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審決分類 審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  G06F
審判 全部申し立て 2項進歩性  G06F
審判 全部申し立て 発明同一  G06F
管理番号 1076411
異議申立番号 異議2002-70023  
総通号数 42 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-07-21 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-01-08 
確定日 2003-04-11 
異議申立件数
事件の表示 特許第3183862号「情報処理装置および情報処理装置のデータ処理方法」の請求項1ないし16に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3183862号の請求項1、2、6、9、10、14に係る特許を取り消す。 同請求項3ないし5、7ないし8、11ないし13、15ないし16に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許3183862号に係る発明についての出願は、平成4年6月19日に出願した特願平4-186359号の一部を平成10年10月16日に新たな特許出願としたものであって、平成13年4月27日にその特許の設定登録がなされ、その後、その特許について異議申立人神田泰貴より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成14年7月30日に訂正請求がなされた後、訂正拒絶理由が通知され、訂正拒絶理由通知に対して手続補正書が提出されたものである。

2.訂正の適否
2-1.訂正請求に対する補正の適否について
2-1-イ.訂正請求に対する補正の内容
特許権者は、全文訂正明細書を以下のように補正することを求めたものである。
(1)訂正請求書第4頁第15行の「(5)訂正事項e(なお、補正書には○に5と記載されているが、以下このように記す)
平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項5に係る記載
「【請求項5】前記判断手段は、前記出力すべきデータをバンド制御できないと判断した場合に、前記出力すべきデータを少なくし、該少なくされたデータを印刷可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項4記載の情報処理装置。」を、
「【請求項5】前記データ容量は,前記プリンタに出力するデータを解析することにより算出されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置。」と訂正する。」を下記のように補正する。
「(5)訂正事項e
平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項5,6を削除し、平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項7を該請求項5,6の削除に伴い繰り上げて下記請求項5と訂正する。
「【請求項7】前記データ容量は、前記プリンタに出力するデータを解析することにより算出されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報処理装置。」を、
「【請求項5】前記データ容量は、前記プリンタに出力するデータを解析することにより算出されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置。」と訂正する。」
(2)訂正請求書第4頁第25行の「(6)訂正事項f
平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項6に係る記載
「前記判断手段は、前記プリンタで前記出力すべきデータを印刷できないと判断した場合に、前記出力すべきデータを前記情報処理装置で展開した後、印刷可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置。」を、
「【請求項6】前記報知手段は、前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知し、プリンタメモリの拡張を促すことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の情報処理装置。」と訂正する」を下記のように補正する。
「(6)訂正事項f
平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項8に係る記載
「【請求項8】前記報知手段は、前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知し、プリンタメモリの拡張を促すことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の情報処理装置。」を、
「【請求項6】前記報知手段は、前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知し、プリンタメモリの拡張を促すことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の情報処理装置。」と訂正する。」
(3)訂正請求書第5頁第6行の「(7)訂正事項g
平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項7に係る記載
「【請求項7】前記データ容量は、前記プリンタに出力するデータを解析することにより算出されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報処理装置。」を、
「【請求項7】双方向インタフェースを介してプリンタに接続された情報処理装置のデータ処理方法であって、
前記双方向インタフェースを介して接続される前記プリンタのメモリ容量を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した前記メモリ容量を認識する認識ステップと、
前記認識結果に基づいて、前記プリンタに出力すべきデータを該情報処理装置内でイメージデータとして処理することなく、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する第一の判断ステップと、
前記第一の判断ステップにより前記データを前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合に、前記データを該情報処理装置内でイメージデータとして処理し、該処理することにより得られる新たなデータを前記プリンタにおいて格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該処理することにより得られる新たなデータを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する第二の判断ステップと、
前記第二の判断ステップにより前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知する報知ステップと、を有することを特徴とする情報処理装置のデータ処理方法。」と訂正する。」を下記のように補正する。
「(7)訂正事項g
平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項9に係る記載
「【請求項9】双方向インタフェースを介してプリンタに接続された情報処理装置のデータ処理方法であって、
前記双方向インタフェースを介して接続される前記プリンタのメモリ容量を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した前記メモリ容量を認識する認識ステップと、
前記認識結果に基づいて、前記プリンタに出力すべきデータが前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにより前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知する報知ステップと、を有することを特徴とする情報処理装置のデータ処理方法。」を、
「【請求項7】双方向インタフェースを介してプリンタに接続された情報処理装置のデータ処理方法であって、
前記双方向インタフェースを介して接続される前記プリンタのメモリ容量を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した前記メモリ容量を認識する認識ステップと、
前記認識結果に基づいて、前記プリンタに出力すべきデータを該情報処理装置内でイメージデータとして処理することなく、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する第一の判断ステップと、
前記第一の判断ステップにより前記データを前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合に、前記データを該情報処理装置内でイメージデータとして処理し、該処理することにより得られる新たなデータを前記プリンタにおいて格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該処理することにより得られる新たなデータを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する第二の判断ステップと、
前記第二の判断ステップにより前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知する報知ステップと、を有することを特徴とする情報処理装置のデータ処理方法。」と訂正する。」
(4)訂正請求書第6頁第2〜14行の「(8)訂正事項h
平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項8に係る記載
「【請求項8】前記報知手段は、前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知し、プリンタメモリの拡張を促すことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の情報処理装置。」を、
「【請求項8】前記認識ステップは、更に前記プリンタに出力すべきデータのデータ容量を認識し、
前記第一の判断ステップは、前記メモリ容量と前記データ容量に基づいて、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項7記載の情報処理装置のデータ処理方法。」と訂正する。」を下記のように補正する。
「(8)訂正事項h
平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項10に係る記載
「【請求項10】前記認識ステップは、更に前記プリンタに出力すべきデータのデータ容量を認識し、
前記判断ステップは、前記メモリ容量と前記データ容量に基づいて、前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項9記載の情報処理装置のデータ処理方法。」を、
「【請求項8】前記認識ステップは、更に前記プリンタに出力すべきデータのデータ容量を認識し、
前記第一の判断ステップは、前記メモリ容量と前記データ容量に基づいて、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項7記載の情報処理装置のデータ処理方法。」と訂正する。」
(5)訂正請求書第6頁第15〜第7頁3行の「(9)訂正事項i
平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項9に係る記載
「【請求項9】双方向インタフェースを介してプリンタに接続された情報処理装置のデータ処理方法であって、
前記双方向インタフェースを介して接続される前記プリンタのメモリ容量を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した前記メモリ容量を認識する認識ステップと、
前記認識結果に基づいて、前記プリンタに出力すべきデータが前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにより前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知する報知ステップと、
を有することを特徴とする情報処理装置のデータ処理方法。」を、
「【請求項9】前記第一の判断ステップは、前記プリンタにおいてバンドメモリが確保できるか判断する前に、前記プリンタに当該データを格納し、かつ当該データをプリンタメモリに対し1ページのビットマップデータとして展開できるかどうかを判断することを特徴とする請求項7または8記載の情報処理装置のデータ処理方法。」と訂正する。」を下記のように補正する。
「(9)訂正事項i
平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項11に係る記載
「【請求項11】前記判断ステップは、前記プリンタに出力すべきデータをプリンタメモリに対し1ページのビットマップデータとして展開できるかどうかを判断することを特徴とする請求項9または10記載の情報処理装置のデータ処理方法。」を、
「【請求項9】前記第一の判断ステップは、前記プリンタにおいてバンドメモリが確保できるか判断する前に、前記プリンタに当該データを格納し、かつ当該データをプリンタメモリに対し1ページのビットマップデータとして展開できるかどうかを判断することを特徴とする請求項7または8記載の情報処理装置のデータ処理方法。」と訂正する。」
(6)訂正請求書第7頁第4〜18行の「(10)訂正事項j
平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項10に係る記載
「【請求項10】前記認識ステップは、更に前記プリンタに出力すべきデータのデータ容量を認識し、
前記判断ステップは、前記メモリ容量と前記データ容量に基づいて、前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項9記載の情報処理装置のデータ処理方法。」を、
「【請求項10】前記第一の判断ステップは、前記プリンタで1ページのビットマップデータの展開処理ができないと判断した場合に、前記プリンタに出力すべきデータを該情報処理装置内でイメージデータとして処理することなく、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項9記載の情報処理装置のデータ処理方法。」と訂正する。」を下記のように補正する。
「(10)訂正事項j
平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項12に係る記載
「【請求項12】前記判断ステップは、前記プリンタで1ページのビットマップデータの展開処理ができないと判断した場合に、バンド制御により印刷可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項11記載の情報処理装置のデータ処理方法。」を、
「【請求項10】前記第一の判断ステップは、前記プリンタで1ページのビットマップデータの展開処理ができないと判断した場合に、前記プリンタに出力すべきデータを該情報処理装置内でイメージデータとして処理することなく、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項9記載の情報処理装置のデータ処理方法。」と訂正する。」
(7)訂正請求書第7頁第19〜35行の「(11)訂正事項k
平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項11に係る記載
「【請求項11】前記判断ステップは、前記プリンタに出力すべきデータをプリンタメモリに対し1ページのビットマップデータとして展開できるかどうかを判断することを特徴とする請求項9または10記載の情報処理装置のデータ処理方法。」を、
「【請求項11】前記データ容量は、前記プリンタに出力するデータを解析することにより算出されることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の情報処理装置のデータ処理方法。」と訂正する。」を下記のように補正する。
「(11)訂正事項k
平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項13,14を削除し、平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項15を該請求項13,14の削除に伴い繰り上げて下記請求項11と訂正する。
「【請求項15】前記データ容量は、前記プリンタに出力するデータを解析することにより算出されることを特徴とする請求項9乃至15のいずれかに記載の情報処理装置のデータ処理方法。」を、
「【請求項11】前記データ容量は、前記プリンタに出力するデータを解析することにより算出されることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の情報処理装置のデータ処理方法。」と訂正する。」
(8)訂正請求書第7頁第36〜第8頁10行の「(12)訂正事項l
平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項12に係る記載
「【請求項12】前記判断ステップは、前記プリンタで1ページのビットマップデータの展開処理ができないと判断した場合に、バンド制御により印刷可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項11記載の情報処理装置のデータ処理方法。」を、
「【請求項12】前記報知ステップは、前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知し、プリンタメモリの拡張を促すことを特徴とする請求項6乃至11のいずれかに記載の情報処理装置のデータ処理方法。」と訂正する。」を下記のように補正する。
「(12)訂正事項l
平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項16に係る記載
「【請求項16】前記報知ステップは、前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知し、プリンタメモリの拡張を促すことを特徴とする請求項9乃至15のいずれかに記載の情報処理装置のデータ処理方法。」を、
「【請求項12】前記報知ステップは、前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知し、プリンタメモリの拡張を促すことを特徴とする請求項6乃至11のいずれかに記載の情報処理装置のデータ処理方法。」と訂正する。」
(9)訂正請求書第8頁第11〜第9頁1行の「(13)訂正事項m
平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項13に係る記載
「【請求項13】前記判断ステップは、前記出力すべきデータをバンド制御できないと判断した場合に、前記出力すべきデータを少なくし、該少なくされたデータを印刷可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項12記載の情報処理装置のデータ処理方法。」を削除する。
(14)訂正事項n
平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項14に係る記載
「【請求項14】前記判断ステップは.前記プリンタで前記出力すべきデータを印刷できないと判断した場合に、前記出力すべきデータを前記情報処理装置で展開した後、印刷可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項9または10記載の情報処理装置のデータ処理方法。」を削除する。
(15)訂正事項o
平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項15に係る記載
「【請求項15】前記データ容量は、前記プリンタに出力するデータを解析することにより算出されることを特徴とする請求項9乃至15のいずれかに記載の情報処理装置のデータ処理方法。」を削除する。」を削除する。
(10)訂正請求書第8頁第18〜24行の「(16)訂正事項p
平成13年2月13日の本件請求人提出に係る補正書により補正された特許請求の範囲の請求項16に係る記載
「【請求項16】前記報知ステップは、前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知し、プリンタメモリの拡張を促すことを特徴とする請求項9乃至15のいずれかに記載の情報処理装置のデータ処理方法。」を削除する。」を、下記のように補正する。
「(16)訂正事項p
特許第31838562号発明の明細書の「発明の詳細な説明」の欄を次の通り訂正する。
(ア)明細書の【0007】欄を特許請求の範囲の請求項1との整合を図るため次の通り訂正する。
「 【課題を解決するための手段】
本発明に係る第1の発明は、双方向インタフェース(図4に示す双方向インタフェース13)を介してプリンタに接続された情報処理装置であって、前記双方向インタフェースを介して接続される前記プリンタのメモリ容量を取得する取得手段(CPU1がROM2,RAM3,ハードディスク11,フロッピーディスク12等に記憶されたプログラムを実行して取得処理する)と、前記取得手段で取得した前記メモリ容量を認識する認識手段(CPUIがROM2,RAM3,ハードディスク11,フロッピーディスク12等に記憶されたプログラムを実行して認識処理する)と、前記認識結果に基づいて、前記プリンタに出力すべきデータを該情報処理装置内でイメージデータとして処理することなく、前記プリンタにおいて当該データを格納し.かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する第一の判断手段(CPU1がROM2,RAM3,ハードディスク11,フロッピーディスク12等に記憶されたプログラムを実行して判断処理する(図6のステップ(4))と、前記第一の判断手段により前記データを前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合に、前記データを該情報処理装置内でイメージデータとして処理し、該処理することにより得られる新たなデータを前記プリンタにおいて格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該処理することにより得られる新たなデータを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する第二の判断手段(CPU1がROM2,RAM3,ハードディスク11,フロッピーディスク12等に記憶されたプログラムを実行して判断処理する(図6のステップ(7))と、前記第二の判断手段により前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知する報知手段とを有することを特徴とする。)
(イ)明細書の【0008】欄を特許請求の範囲の請求項2との整合を図るため次の通り訂正する。
「 【0008】
本発明に係る第2の発明は、前記認識手段は、更に前記プリンタに出力すべきデータのデータ容量を認識し、前記第一の判断手段は、前記メモリ容量と前記データ容量に基づいて、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断することを特徴とする。」
(ウ)明細書の【0009】欄を特許請求の範囲の請求項3との整合を図るため次の通り訂正する。
「 【0009】
本発明に係る第3の発明は、前記第一の判断手段は、前記プリンタにおいてバンドメモリが確保できるか判断する前に、前記プリンタに当該データを格納し、かつ当該データをプリンタメモリに対し1ページのビットマップデータとして展開できるかどうかを判断することを特徴とする。」
(工)明細書の【0010】欄を特許請求の範囲の請求項4との整合を図るため次の通り訂正する。
「 【0010】
本発明に係る第4の発明は、前記第一の判断手段は、前記プリンタで1ページのビットマップデータの展開処理ができないと判断した場合に、前記プリンタに出力すべきデータを該情報処理装置内でイメージデータとして処理することなく、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断することを特徴とする。」
(オ)明細書の【0011】欄を特許請求の範囲との整合を図るため次の通り訂正する。
「 【0011】
本発明に係る第5の発明は、前記データ容量は、前記プリンタに出力するデータを解析することにより算出されることを特徴とする。」
(ク)明細書の【0012】欄を特許請求の範囲との整合を図るため次の通り訂正する。
「 【0012】
本発明に係る第6の発明は、前記報知手段は、前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知し、プリンタメモリの拡張を促すことを特徴とする。」
(ケ)明細書の【0013】欄を特許請求の範囲との整合を図るため次の通り訂正する。
「 【0013】
本発明に係る第7の発明は、双方向インタフェース(双方向1/F13)を介してプリンタに接続された情報処理装置のデータ処理方法であって、前記双方向インタフェースを介して接続される前記プリンタのメモリ容量(RAM16の容量)を取得する取得ステップ(図6のステップ(1)の前ステップ)と、前記取得ステップで取得した前記メモリ容量を認識する認識ステップ(図6のステップ(1))と、前記認識結果に基づいて、前記プリンタに出力すべきデータを該情報処理装置内でイメージデータとして処理することなく、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する第一の判断ステップ(図6のステップ(4))と、前記第一の判断ステップにより前記データを前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合に、前記データを該情報処理装置内でイメージデータとして処理し、該処理することにより得られる新たなデータを前記プリンタにおいて格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該処理することにより得られる新たなデータを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する第二の判断ステップ(図6のステップ(7))と、前記第二の判断ステップにより前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知する報知ステップ(図6のステップ(10))を有することを特徴とする。」
(ケ)明細書の【00141欄を特許請求の範囲との整合を図るため次の通り訂正する。
「 【0014】
本発明に係る第8の発明は、前記認識ステップは、更に前記プリンタに出力すべきデータのデータ容量を認識し、前記第一の判断ステップは、前記メモリ容量と前記データ容量に基づいて、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断することを特徴とする。
(コ)明細書の【0015】欄を特許請求の範囲との整合を図るため次の通り訂正する。
「 【0015】
本発明に係る第9の発明は、前記第一の判断ステップは、前記プリンタにおいてバンドメモリが確保できるか判断する前に、前記プリンタに当該データを格納し、かつ当該データをプリンタメモリに対し1ページのビットマップデータとして展開できるかどうかを判断することを特徴とする。
(サ)明細書の【0016】欄を特許請求の範囲との整合を図るため次の通り訂正する。
「 【0016】
本発明に係る第10の発明は、前記第一の判断ステップは、前記プリンタで1ページのビットマップデータの展開処理ができないと判断した場合に、前記プリンタに出力すべきデータを該情報処理装置内でイメージデータとして処理することなく、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断することを特徴とする。
(シ)明細書の【0017】欄を特許請求の範囲との整合を図るため次の通り訂正する。
「 【0017】
本発明に係る第11の発明は、前記データ容量は、前記プリンタに出力するデータを解析することにより算出されることを特徴とする。
(ス)明細書の【0018】欄を特許請求の範囲との整合を図るため次の通り訂正する。
「 【0018】
本発明に係る第12の発明は、前記報知ステップは、前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知し、プリンタメモリの拡張を促すことを特徴とする。
(ス)明細書の【0019】〜【0020】欄を特許請求の範囲との整合を図るため削除した。
(セ)明細書の【0069】欄を特許請求の範囲との整合、および誤記の補正を図るため次の通り訂正する。
「 【0069】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明に係る第1の発明によれば、双方向インタフェースを介してプリンタに接続された情報処理装置であって、前記双方向インタフェースを介して接続される前記プリンタのメモリ容量を取得する取得手段と、前記取得手段で取得した前記メモリ容量を認識する認識手段と、前記認識結果に基づいて、前記プリンタに出力すべきデータを該情報処理装置内でイメージデータとして処理することなく、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する第一の判断手段と、前記第一の判断手段により前記データを前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合に、前記データを該情報処理装置内でイメージデータとして処理し、該処理することにより得られる新たなデータを前記プリンタにおいて格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該処理することにより得られる新たなデータを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する第二の判断手段と、前記第二の判断手段により前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知する報知手段とを有するので、ユーザに出力すべきデータのデータ容量がプリンタのメモリ容量を超えている状態をユーザに認知させることができる。」
(ソ)明細書の【0070】欄を特許請求の範囲との整合を図るため、および誤記を次の通り訂正する。
「 【0070】
第2の発明によれば、前記認識手段は、更に前記プリンタに出力すべきデータのデータ容量を認識し、前記第一の判断手段は、前記メモリ容量と前記データ容量に基づいて、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断するので、出力すべきデータのデータ容量がプリンタのメモリ容量を超えているかどうかを精度よく判断し、その判断結果をユーザに認知させることができる。」
(タ)明細書の【0071】欄を特許請求の範囲との整合を図るため次の通り訂正する。
「 【0071】
第3の発明によれば、前記第一の判断手段は、前記プリンタにおいてバンドメモリが確保できるか判断する前に、前記プリンタに当該データを格納し、かつ当該データをプリンタメモリに対し1ページのビットマップデータとして展開できるかどうかを判断するので、出力すべきデータのデータ容量をプリンタのメモリ容量で1ページのビットマップデータとして展開できるかどうかを判断し、その判断結果をユーザに認知させることができる。」
(チ)明細書の【0072】欄を特許請求の範囲との整合を図るため次の通り訂正する。
「 【0072】
第4の発明によれば、前記第一の判断手段は、前記プリンタで1ページのビットマップデータの展開処理ができないと判断した場合に、前記プリンタに出力すべきデータを該情報処理装置内でイメージデータとして処理することなく、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断するので、出力すべきデータ容量をプリンタのメモリ容量で印刷処理できない場合に、バンド展開制御により印刷可能かどうかを判断して、その判断結果をユーザに認知させることができる。」
(ツ)明細書の【0073】欄を特許請求の範囲との整合を図るため次の通り訂正する。
【0073】
第5の発明によれば、前記データ容量は、前記プリンタに出力するデータを解析することにより算出されるので、出力すべきデータに基づいてプリンタ側で生成される印刷データ量を精度よく算出することができる。
(テ)明細書の【0074】欄を特許請求の範囲との整合を図るため次の通り訂正する。
【0074】
第6の発明によれば、前記報知手段は、前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知し、プリンタメモリの拡張を促すので、利用者に出力すべきデータの印刷処理不可能を認識させることができる。
(ト)明細書の【0075】欄を特許請求の範囲との整合を図るため次の通り訂正する。
「 【0075】
第7の発明によれば、双方向インタフェースを介してプリンタに接続された情報処理装置のデータ処理方法であって、前記双方向インタフェースを介して接続される前記プリンタのメモリ容量を取得する取得ステップと、前記取得ステップで取得した前記メモリ容量を認識する認識ステップと、前記認識結果に基づいて、前記プリンタに出力すべきデータを該情報処理装置内でイメージデータとして処理することなく、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する第一の判断ステップと、前記第一の判断ステップにより前記データを前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合に、前記データを該情報処理装置内でイメージデータとして処理し、該処理することにより得られる新たなデータを前記プリンタにおいて格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該処理することにより得られる新たなデータを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する第二の判断ステップと、前記第二の判断ステップにより前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知する報知ステップとを有するので、ユーザに出力すべきデータのデータ容量がプリンタのメモリ容量を超えている状態をユーザに認知させることができる。」
(テ)明細書の【0076】欄を特許請求の範囲との整合を図るため次の通り訂正する。
「 【0076】
第8の発明によれば、前記認識ステップは、更に前記プリンタに出力すべきデータのデータ容量を認識し、前記第一の判断ステップは、前記メモリ容量と前記データ容量に基づいて、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断するので、出力すべきデータのデータ容量がプリンタのメモリ容量を超えているかどうかを精度よく判断し、その判断結果をユーザに認知させることができる。」
(ト)明細書の【0077】欄を特許請求の範囲との整合を図るため次の通り訂正する。
「 【0077】
第9の発明によれば、前記第一の判断ステップは、前記プリンタにおいてバンドメモリが確保できるか判断する前に、前記プリンタに当該データを格納し、かつ当該データをプリンタメモリに対し1ページのビットマップデータとして展開できるかどうかを判断するので、出力すべきデータのデータ容量をプリンタのメモリ容量で1ページのビットマップデータとして展開できるかどうかを判断し、その判断結果をユーザに認知させることができる。」
(ナ)明細書の【0078】欄を特許請求の範囲との整合を図るため次の通り訂正する。
「 【0078】
第10の発明によれば、前記第一の判断ステップは、前記プリンタで1ページのビットマップデータの展開処理ができないと判断した場合に、前記プリンタに出力すべきデータを該情報処理装置内でイメージデータとして処理することなく、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断するので、出力すべきデータ容量をプリンタのメモリ容量で印刷処理できない場合に、バンド展開制御により印刷可能かどうかを判断して、その判断結果をユーザに認知させることができる。」
(二)明細書の【0079】欄を特許請求の範囲との整合を図るため次の通り訂正する。
【0079】
第11の発明によれば、前記データ容量は、前記プリンタに出力するデータを解析することにより算出されるので、出力すべきデータに基づいてプリンタ側で生成される印刷データ量を精度よく算出することができる。」
(ヌ)明細書の【0080】欄を特許請求の範囲との整合を図るため次の通り訂正する。
「 【0080】
第12の発明によれば、前記報知手段は、前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知し、プリンタメモリの拡張を促すので、利用者に出力すべきデータの印刷処理不可能を認識させることができる。
2-1-ロ.訂正請求に対する補正の適否
例えば、
訂正事項(10)は、
「(16)訂正事項p
特許第31838562号発明の明細書の「発明の詳細な説明」の欄を次の通り訂正する。」として、明細書の発明の詳細な説明を(ア)項から(ヌ)項までを訂正するように求めている。
しかしながら、このように補正することは、訂正事項の削除や誤記の補正ではないので、訂正請求の要旨を変更するものと認められ、当該補正事項を含む上記補正は、特許法第120条の4第3項で準用する同法第131条第2項の規定に違反するものであり、採用しない。
2-2.訂正の適否について
2-2-イ.訂正の内容
(1)訂正事項a
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1に係る記載
「【請求項1】双方向インタフェースを介してプリンタに接続された情報処理装置であって、
前記双方向インタフェースを介して接続される前記プリンタのメモリ容量を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した前記メモリ容量を認識する認識手段と、
前記認識結果に基づいて、前記プリンタに出力すべきデータが前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知する報知手段と、を有することを特徴とする情報処理装置。」を、
「【請求項1】双方向インタフェースを介してプリンタに接続された情報処理装置であって、
前記双方向インタフェースを介して接続される前記プリンタのメモリ容量を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した前記メモリ容量を認識する認識手段と、
前記認識結果に基づいて、前記プリンタに出力すべきデータを該情報処理装置内でイメージデータとして処理することなく、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する第一の判断手段と、
前記第一の判断手段により前記データを前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合に、前記データを該情報処理装置内でイメージデータとして処理し、該処理することにより得られる新たなデータを前記プリンタにおいて格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該処理することにより得られる新たなデータを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する第二の判断手段と、
前記第二の判断手段により前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知する報知手段と、を有することを特徴とする情報処理装置。」と訂正する。
(2)訂正事項b
特許明細書の特許請求の範囲の請求項2に係る記載
「【請求項2】前記認識手段は、更に前記プリンタに出力すべきデータのデータ容量を認識し、
前記判断手段は、前記メモリ容量と前記データ容量に基づいて、前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。」を、
「【請求項2】前記認識手段は、更に前記プリンタに出力すべきデータのデータ容量を認識し、
前記第一の判断手段は、前記メモリ容量と前記データ容量に基づいて、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。」と訂正する。
(3)訂正事項c
特許明細書の特許請求の範囲の請求項3に係る記載
「【請求項3】前記判断手段は、前記プリンタに出力すべきデータをプリンタメモリに対し1ページのビットマップデータとして展開できるかどうかを判断することを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置。」を、
「【請求項3】前記第一の判断手段は、前記プリンタにおいてバンドメモリが確保できるか判断する前に、前記プリンタに当該データを格納し、かつ当該データをプリンタメモリに対し1ページのビットマップデータとして展開できるかどうかを判断することを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置。」と訂正する。
(4)訂正事項d
特許明細書の特許請求の範囲の請求項4に係る記載
「【請求項4】前記判断手段は、前記プリンタで1ページのビットマップデータの展開処理ができないと判断した場合に、バンド制御により印刷可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項3記載の情報処理装置。」を、
「【請求項4】前記第一の判断手段は、前記プリンタで1ページのビットマップデータの展開処理ができないと判断した場合に、前記プリンタに出力すべきデータを該情報処理装置内でイメージデータとして処理することなく、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項3記載の情報処理装置。」と訂正する。
(5)訂正事項e
特許明細書の特許請求の範囲の請求項5に係る記載
「【請求項5】前記判断手段は、前記出力すべきデータをバンド制御できないと判断した場合に、前記出力すべきデータを少なくし、該少なくされたデータを印刷可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項4記載の情報処理装置。」を、
「【請求項5】前記データ容量は、前記プリンタに出力するデータを解析することにより算出されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置。」と訂正する。
(6)訂正事項f
特許明細書の特許請求の範囲の請求項6に係る記載
「前記判断手段は、前記プリンタで前記出力すべきデータを印刷できないと判断した場合に、前記出力すべきデータを前記情報処理装置で展開した後、印刷可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置。」を、
「【請求項6】前記報知手段は、前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知し、プリンタメモリの拡張を促すことを特徴とする請求項1乃至5のいずれかに記載の情報処理装置。」と訂正する。
(7)訂正事項g
特許明細書の特許請求の範囲の請求項7に係る記載
「【請求項7】前記データ容量は、前記プリンタに出力するデータを解析することにより算出されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報処理装置。」を、
「【請求項7】双方向インタフェースを介してプリンタに接続された情報処理装置のデータ処理方法であって、
前記双方向インタフェースを介して接続される前記プリンタのメモリ容量を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した前記メモリ容量を認識する認識ステップと、
前記認識結果に基づいて、前記プリンタに出力すべきデータを該情報処理装置内でイメージデータとして処理することなく、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する第一の判断ステップと、
前記第一の判断ステップにより前記データを前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合に、前記データを該情報処理装置内でイメージデータとして処理し、該処理することにより得られる新たなデータを前記プリンタにおいて格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該処理することにより得られる新たなデータを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する第二の判断ステップと、
前記第二の判断ステップにより前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知する報知ステップと、を有することを特徴とする情報処理装置のデータ処理方法。」と訂正する。
(8)訂正事項h
特許明細書の特許請求の範囲の請求項8に係る記載
「【請求項8】前記報知手段は、前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知し、プリンタメモリの拡張を促すことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の情報処理装置。」を、
「【請求項8】前記認識ステップは、更に前記プリンタに出力すべきデータのデータ容量を認識し、
前記第一の判断ステップは、前記メモリ容量と前記データ容量に基づいて、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項7記載の情報処理装置のデータ処理方法。」と訂正する。
(9)訂正事項i
特許明細書の特許請求の範囲の請求項9に係る記載
「【請求項9】双方向インタフェースを介してプリンタに接続された情報処理装置のデータ処理方法であって、
前記双方向インタフェースを介して接続される前記プリンタのメモリ容量を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した前記メモリ容量を認識する認識ステップと、
前記認識結果に基づいて、前記プリンタに出力すべきデータが前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにより前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知する報知ステップと、
を有することを特徴とする情報処理装置のデータ処理方法。」を、
「【請求項9】前記第一の判断ステップは、前記プリンタにおいてバンドメモリが確保できるか判断する前に、前記プリンタに当該データを格納し、かつ当該データをプリンタメモリに対し1ページのビットマップデータとして展開できるかどうかを判断することを特徴とする請求項7または8記載の情報処理装置のデータ処理方法。」と訂正する。
(10)訂正事項j
特許明細書の特許請求の範囲の請求項10に係る記載
「【請求項10】前記認識ステップは、更に前記プリンタに出力すべきデータのデータ容量を認識し、
前記判断ステップは、前記メモリ容量と前記データ容量に基づいて、前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項9記載の情報処理装置のデータ処理方法。」を、
「【請求項10】前記第一の判断ステップは、前記プリンタで1ページのビットマップデータの展開処理ができないと判断した場合に、前記プリンタに出力すべきデータを該情報処理装置内でイメージデータとして処理することなく、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項9記載の情報処理装置のデータ処理方法。」と訂正する。
(11)訂正事項k
特許明細書の特許請求の範囲の請求項11に係る記載
「【請求項11】前記判断ステップは、前記プリンタに出力すべきデータをプリンタメモリに対し1ページのビットマップデータとして展開できるかどうかを判断することを特徴とする請求項9または10記載の情報処理装置のデータ処理方法。」を、
「【請求項11】前記データ容量は、前記プリンタに出力するデータを解析することにより算出されることを特徴とする請求項7乃至10のいずれかに記載の情報処理装置のデータ処理方法。」と訂正する。
(12)訂正事項1
特許明細書の特許請求の範囲の請求項12に係る記載
「【請求項12】前記判断ステップは、前記プリンタで1ページのビットマップデータの展開処理ができないと判断した場合に、バンド制御により印刷可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項11記載の情報処理装置のデー
タ処理方法。」を、
「【請求項12】前記報知ステップは、前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知し、プリンタメモリの拡張を促すことを特徴とする請求項6乃至11のいずれかに記載の情報処理装置のデータ処理方法。」と訂正する。
(13)訂正事項m
特許明細書の特許請求の範囲の請求項13に係る記載
「【請求項13】前記判断ステップは、前記出力すべきデータをバンド制御できないと判断した場合に、前記出力すべきデータを少なくし、該少なくされたデータを印刷可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項12記載の情報処理装置のデータ処理方法。」を削除する。
(14)訂正事項n
特許明細書の特許請求の範囲の請求項14に係る記載
「【請求項14】前記判断ステップは、前記プリンタで前記出力すべきデータを印刷できないと判断した場合に、前記出力すべきデータを前記情報処理装置で展開した後、印刷可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項9または10記載の情報処理装置のデータ処理方法。」を削除する。
(15)訂正事項o
特許明細書の特許請求の範囲の請求項15に係る記載
「【請求項15】前記データ容量は、前記プリンタに出力するデータを解析することにより算出されることを特徴とする請求項9乃至15のいずれかに記載の情報処理装置のデータ処理方法。」を削除する。
(16)訂正事項p
特許明細書の特許請求の範囲の請求項16に係る記載
「【請求項16】前記報知ステップは、前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知し、プリンタメモリの拡張を促すことを特徴とする請求項9乃至15のいずれかに記載の情報処理装置のデータ処理方法。」を削除する
2-2-ロ.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
例えば、
●訂正事項eの訂正の内容は、
特許請求の範囲の請求項5に係る記載、「【請求項5】前記判断手段は、前記出力すべきデータをバンド制御できないと判断した場合に、前記出力すべきデータを少なくし、該少なくされたデータを印刷可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項4記載の情報処理装置。」を、
「【請求項5】前記データ容量は、前記プリンタに出力するデータを解析することにより算出されることを特徴とする請求項1乃至4のいずれかに記載の情報処理装置。」と訂正することを求めているものである。
しかしながら、訂正前の記載は「判断手段」に関するものであり、訂正後は「データ容量」の算出に関するものであり、上記のように請求項5に係る発明を訂正することは、特許請求の範囲を変更するものと認められる。
●訂正事項gの訂正事項の内容は、
特許請求の範囲の請求項7に係る記載、「【請求項7】 前記データ容量は、前記プリンタに出力するデータを解析することにより算出されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報処理装置。」を、
「【請求項7】 双方向インタフェースを介してプリンタに接続された情報処理装置のデータ処理方法であって、
前記双方向インタフェースを介して接続される前記プリンタのメモリ容量を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した前記メモリ容量を認識する認識ステップと、
前記認識結果に基づいて、前記プリンタに出力すべきデータを該情報処理装置内でイメージデータとして処理することなく、前記プリンタにおいて当該データを格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該データを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する第一の判断ステップと、
前記第一の判断ステップにより前記データを前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合に、前記データを該情報処理装置内でイメージデータとして処理し、該処理することにより得られる新たなデータを前記プリンタにおいて格納し、かつバンドメモリを確保できるかを判断することにより、当該処理することにより得られる新たなデータを前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する第二のステップと、
前記第二のステップにより前記プリンタにおいて印刷処理できないと判断された場合にその旨を報知する報知ステップと、を有することを特徴とする情報処理装置のデータ処理方法。」と訂正することを求めている。
しかしながら、上記のように請求項7に係る発明を訂正することは、発明のカテゴリを変えていることは明らかであり、特許請求の範囲を変更するものと認められる。

したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第3項の規定に適合しないので、当該訂正は認められない。

3.本件発明
特許3183862号の請求項1〜16に係る発明は、特許請求の範囲の請求項1〜16に記載された事項により特定される次のとおりものである。
「【請求項1】 双方向インタフェースを介してプリンタに接続された情報処理装置であって、
前記双方向インタフェースを介して接続される前記プリンタのメモリ容量を取得する取得手段と、
前記取得手段で取得した前記メモリ容量を認識する認識手段と、
前記認識結果に基づいて、前記プリンタに出力すべきデータが前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する判断手段と、
前記判断手段により前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知する報知手段と、を有することを特徴とする情報処理装置。
【請求項2】 前記認識手段は、更に前記プリンタに出力すべきデータのデータ容量を認識し、
前記判断手段は、前記メモリ容量と前記データ容量に基づいて、前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項1記載の情報処理装置。
【請求項3】 前記判断手段は、前記プリンタに出力すべきデータをプリンタメモリに対し1ページのビットマップデータとして展開できるかどうかを判断することを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項4】 前記判断手段は、前記プリンタで1ページのビットマップデータの展開処理ができないと判断した場合に、バンド制御により印刷可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項3記載の情報処理装置。
【請求項5】 前記判断手段は、前記出力すべきデータをバンド制御できないと判断した場合に、前記出力すべきデータを少なくし、該少なくされたデータを印刷可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項4記載の情報処理装置。
【請求項6】 前記判断手段は、前記プリンタで前記出力すべきデータを印刷できないと判断した場合に、前記出力すべきデータを前記情報処理装置で展開した後、印刷可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項1または2記載の情報処理装置。
【請求項7】 前記データ容量は、前記プリンタに出力するデータを解析することにより算出されることを特徴とする請求項1乃至6のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項8】 前記報知手段は、前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知し、プリンタメモリの拡張を促すことを特徴とする請求項1乃至7のいずれかに記載の情報処理装置。
【請求項9】 双方向インタフェースを介してプリンタに接続された情報処理装置のデータ処理方法であって、
前記双方向インタフェースを介して接続される前記プリンタのメモリ容量を取得する取得ステップと、
前記取得ステップで取得した前記メモリ容量を認識する認識ステップと、
前記認識結果に基づいて、前記プリンタに出力すべきデータが前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する判断ステップと、
前記判断ステップにより前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知する報知ステップと、
を有することを特徴とする情報処理装置のデータ処理方法。
【請求項10】 前記認識ステップは、更に前記プリンタに出力すべきデータのデータ容量を認識し、
前記判断ステップは、前記メモリ容量と前記データ容量に基づいて、前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項9記載の情報処理装置のデータ処理方法。
【請求項11】 前記判断ステップは、前記プリンタに出力すべきデータをプリンタメモリに対し1ページのビットマップデータとして展開できるかどうかを判断することを特徴とする請求項9または10記載の情報処理装置のデータ処理方法。
【請求項12】 前記判断ステップは、前記プリンタで1ページのビットマップデータの展開処理ができないと判断した場合に、バンド制御により印刷可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項11記載の情報処理装置のデータ処理方法。
【請求項13】 前記判断ステップは、前記出力すべきデータをバンド制御
できないと判断した場合に、前記出力すべきデータを少なくし、該少なくされた
データを印刷可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項12記載の
情報処理装置のデータ処理方法。
【請求項14】 前記判断ステップは、前記プリンタで前記出力すべきデータを印刷できないと判断した場合に、前記出力すべきデータを前記情報処理装置で展開した後、印刷可能であるかどうかを判断することを特徴とする請求項9または10記載の情報処理装置のデータ処理方法。
【請求項15】 前記データ容量は、前記プリンタに出力するデータを解析することにより算出されることを特徴とする請求項9乃至15のいずれかに記載の情報処理装置のデータ処理方法。
【請求項16】 前記報知ステップは、前記プリンタにおいて印刷処理ができないと判断された場合にその旨を報知し、プリンタメモリの拡張を促すことを特徴とする請求項9乃至15のいずれかに記載の情報処理装置のデータ処理方法。」

4.取消理由通知の取消理由
4-1.特許法第29条の2違反について
4-1-イ.引用した特願平4-68663号(特開平5-270065号公報)の発明
上記出願の願書に添付した明細書又は図面(以下、「先願書類」という)には、以下のようなことが記載されている。
「【産業上の利用分野】 この発明は、画像形成装置に係り、特に、外部装置、例えば、ホスト装置から画像データが供給されて画像を形成する画像形成装置に関する。」(段落番号【001】)、
「【発明が解決しようとする課題】 ところが、画像形成装置は、通常その未使用領域の容量を外部に伝達する手段を備えず、しかも、外部のホスト装置は、画像形成装置の受信準備が整うと、画像形成装置のメモリの容量が十分か否かに拘らず画像データを画像形成装置に送ってしまう問題がある。このような場合、ホスト装置から受信した画像データが次々にビットイメージに展開されても、必要十分なメモリ容量がRAM内に残っていないと、画像形成装置は、「メモリ容量の不足」を原因としたエラー状態となってしまう。このエラー状態では、画像形成装置は、画像データを受け付けなくなることから、正確な印字結果を出力することができなくなってしまう。」(段落番号【0004】)、
「【課題を解決するための手段】 この発明によれば、外部から画像データを受信し、これを記憶する記憶手段と、この記憶された画像データをビットデータに変換する手段であって前記記憶手段を監視し、この記憶手段に記憶可能な容量を外部に送信する変換送信手段と、変換されたビットデータに応じて画像を形成する画像形成手段とを具備することを特徴とする画像形成装置が提供される。
また、この発明によれば、外部から画像データを受信し、これを記憶する記憶手段と、この記憶された画像データをビットデータに変換する手段であって前記記憶手段を監視し、この記憶手段に記憶可能な容量を外部に送信し、この送信に応答して外部から送られたデータ消去指令に基づいて記憶手段に記憶されている少なくとも一部のデータを消去する変換送信手段と、変換されたビットデータに応じて画像を形成する画像形成手段とを具備することを特徴とする画像形成装置が提供される。」(段落番号【0006】〜段落番号【0007】)、
「……… 内部バス712に接続されたRAM703には、ページバッファとして用いられ、ホスト装置709からホストインターフェース708及び内部バス712を介して送られるコードデータ及びイメージデータを含む画像データ、フォントデータ及びこのフォントデータを管理するマクロデータが一時的に蓄えられる。」(段落番号【0033】参照)、
「ホスト装置から送られる画像データとしてのイメージデータがビットマップデータ等の大量のデータであり、しかも、上記RAM703では、1ページ分のデータを格納できない場合に用いられる大容量のメモリとして拡張メモリ704が内部バス712に付設されている。………」(段落番号【0034】参照)、
「ホストインターフェース708は、例えば、電子計算機或いは、画像読取り装置で構成されるホスト装置709とこのプリンタ制御基板602との間でデータを受渡しする為に設けられ、シリアル転送ライン710A及びパラレル転送ライン710Bの2種類を備えている。……」(段落番号【0035】)、
「………本願の画像形成装置では、以下の手順でRAM703のメモリ容量の不足が解消される。」(段落番号【0038】参照)、
「(1)画像形成装置のCPU701は、RAM703のメモリ残量を確認しているが、確認されたRAM703のメモリ残量のデータは、このCPU701から内部バス712及びホストインターフェース708を介してホスト装置709に送信される。」(段落番号【0039】)、
「(2)ホスト装置709では、メモリ残量と次に送信する画像データと比較し、メモリ残量が次に送信する画像データを記憶するに十分であるか否かが判断される。」(段落番号【0040】)、
「(3)ホスト装置709においてメモリの残量が十分であると判断された場合には、画像データがCPU701に向けて送られ、RAM703に記憶される。これに対して、ホスト装置709においてメモリの残量が不十分であると判断された場合には、この画像データの処理に用いられないフォントデータ或は、マクロデータの消去命令をCPU701に向けて送る。」(段落番号【0041】)、
「(4)この消去命令を受信したCPU701は、RAM703中から対応するフォントデータ或は、マクロデータを消去して、RAM703のメモリ残量を増加させる。
(5)RAM703のメモリ残量が増加されてもメモリ残量が不十分な場合には、画像形成装置の操作パネル16に『エラー』が表示される。」(段落番号【0042】)、
「図8のアルゴリズムを説明する。最初に、RAM703のメモリ残量がどの程度であるかホスト装置に伝達される(SP1)。そして、ビットイメージを生成する際、RAM703のメモリ残量が十分であるか否かをホスト装置が判断する(SP2)。メモリ残量が十分である場合には、通常の画像形成が行われる(SP3)。しかし、メモリ残量が十分でない場合には、RAM703内から消去できるフォント及びマクロデータがあるか否かが判断される(SP4)。消去できるフォント及びマクロデータがある場合には、ホスト装置がRAM703のデータを消去する命令を送信する(SP5)。そして、CPU701は、RAM703のデータを消去する(SP6)。そして、最初の状態に戻される。ところが、画像形成装置に消去できるフォント及びマクロデータがない場合には、画像形成装置が画像形成ができない『エラー』であることを知らせる(SP7)。」(段落番号【0044】)。
4-1-ロ.請求項1に係る発明との対比、判断
先願書類の「画像形成装置」、「情報処理装置」、「ホストインタフェース」は、それぞれ、請求項1に係る発明の「プリンタ」、「ホスト装置」、「双方向インターフェース」に相当する。そして先願書類の「RAM703のメモリ容量がどの程度であるかホスト装置に伝達」することは、ホスト装置が、画像形成装置のメモリ容量を得ていることになるので、結果的には、請求項1に係る発明の「双方向インターフェースを介して接続されるプリンタの容量を取得する取得手段」に相当しているものと認められる。先願書類の「ホスト装置709では、メモリ残量と次に送信する画像データと比較し、メモリ残量が次に送信する画像データを記憶するに十分であるか否かが判断される」構成としているのであるから、請求項1に係る発明の「認識手段」と「判断手段」とは、先願書類に記載されているものと認められる。また先願書類の「RAM703のメモリ残量が増加されてもメモリ残量が不十分な場合には、画像形成装置の操作パネル16に『エラー』が表示される」構成は、請求項1に係る発明の「報知手段」に相当する。
そうすると、先願書類には、請求項1に係る発明が実質的に記載されているものと認められる。
4-1-ハ.請求項2に係る発明との対比、判断
請求項2に係る発明は、請求項1に係る発明を引用しており、そして先願書類には、「ホスト装置709では、メモリ残量と次に送信する画像データと比較し、メモリ残量が次に送信する画像データを記憶するに十分であるか否かが判断される」ことが記載されており、請求項2に係る発明の「前記認識手段は、更に前記プリンタに出力すべきデータのデータ容量を認識し、前記判断手段は、前記メモリ容量と前記データ容量に基づいて、前記プリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断する」構成に相当するものと認められる。
そうすると、先願書類には、請求項2に係る発明が実質的に記載されているものと認められる。
4-1-ニ.請求項9、10に係る発明との対比、判断
請求項9に係る発明は、請求項1に係る発明を、また請求項10に係る発明は、請求項2に係る発明を、単に方法の発明としたものと認められるので、請求項9に係る発明は、上記4-1-ロ.と同様の理由により、請求項10に係る発明は、上記4-1-ハ.と同様の理由により、請求項9、10に係る発明は先願書類に記載された発明である。

以上のとおりであるから、請求項1、2、9、10に係る発明は、先願書類に記載されたものと実質的に同一と認められ、しかも請求項1、2、9、10の係る発明の発明者がその出願前の特許出願に係る上記先願発明をした者と同一ではなく、また請求項1、2、9、10に係る発明の出願の時において、その出願人が上記他の出願の出願人と同一でもないので、請求項1、2、9、20に係る発明の特許は、特許法第29条の2の規定に違反してされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
4-2.特許法第36条違反について
4-2-イ.第36条違反の内容
先の取消理由通知で、以下のような36条に関する取消理由を通知した。
「(1)請求項1、9の記載において、認識結果に基づいて、プリンタに出力すべきデータがプリンタにおいて印刷可能であるかどうかを判断する「判断手段」(請求項1)及び「判断ステップ」(請求項9)は、どのように判断して印刷可能かを判断する判断過程の構成が記載されておらず、請求項1、9記載の発明の必須な構成が記載されているとは認められない。
したがって、請求項1、9係る発明の特許は、特許法第36条第5項第2号の規定に違反してされたものである。
(2)明細書には、「一方、ステップ(2)の判定でNOの場合は、CPU1はRAM18上に確保するバンドメモリサイズを算出し(3)、バンドサイズが確保できる最小バンドサイズ未満かどうかを判定し、」(段落番号【0057】参照)と記載されているが、どのようにしてバンドメモリサイズを算出するのか不明であり、また最小バンドサイズとはどのように定義されうるのか不明であり、当業者が容易に実施できる程度に、その発明の構成が記載されているとは認められず、特許法第36条第4項の規定に違反している。
そして請求項4、12の発明において、「プリンタで1ページのビットマップデータの展開処理ができないと判断した場合に、バンド制御により印刷可能であるかどうか判断する」と記載されているが、上述したように「バンド制御」を行うためのバンドサイズをどのように求められ、最小バンドサイズがどのように定義されているのか不明であり、特許を受けようとする発明が発明の詳細な説明に記載したものであるとは認められず、請求項4、12係る発明の特許は、特許法第36条第5項第1号の規定に違反してされたものである。
また請求項5、13の記載の発明は、それぞれ、請求項4、12の発明を引用しており、その点で上述したように、そして請求項5、13の記載の発明において、「出力すべきデータを少なくし」なる記載はその構成が不明瞭であり、請求項5、13係る発明の特許は、特許法第36条第5項第1号の規定に違反してされたものである。
(3)請求項6、14の発明の記載において、判断手段もしくは判断ステップが、プリンタで印刷できないと判断した場合、請求項6は請求項1または2を、請求項14は請求項9または10を、引用していることからして、印刷ができない旨の報知をするのではないのか。判断手段もしくは判断ステップが、プリンタで印刷できないと判断した場合、出力すべきデータを情報処理装置で展開した後、印刷可能であるかどうかを判断する構成は、請求項6が引用している請求項1、2の発明と、請求項9が引用している請求項9、10の発明との関係が不明瞭であり、請求項6、14の記載は、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載されているものとは認められず、特許法第36条第5項第2号の規定に違反してなされたものである。
4-2-ロ.判断
・(1)項について
請求項1、9に係る発明は、上記4-1-ロ、4-1-ニに記載した理由により、取り消されるべきものである。。
・(2)項について
特許権者は、訂正請求書と同時に提出した意見書で、「どのようにしてバンドメモリサイズを算出するのか不明であり、また最小バンドサイズとはどのように定義されうるのか不明」である点について、下記のような意見を主張している。
「明細書の段落【0004】に記載されているように.記録データの展開とプリンタエンジンの印字処理速度とが同期できる程度のバンドメモリに順次記録データを展開しながら、記録データをプリンタエンジンに転送するバンド記録処理が提案されていることが記載されています。
このようなバンドメモリに対して記録データを展開する場合には、もう1つのバンドメモリに展開されている記録データをプリンタエンジンに転送するため、プリンタエンジンの印字処理速度に間に合うように、バンドメモリに対して記録データを展開する必要があります。また、記録データは、ページ内で必ずしも均等に記録されることもないため、ある領域は記録データが複雑で多く、またある領域は記録データが少ない場合があります。
そのため、バンドメモリが大きい場合には、そのバンドメモリに記録データの展開処理を行うことが許される時間が大きくなり,記録データが多い部分と記録データが少ない部分とが相殺される可能性が高くなるので、記録データの展開処理が間に合うことになります。
また逆に.バンドメモリが小さい場合には、そのバンドメモリに記録データの展開処理を行うことが許される時間が小さくなり、記録データが多い部分は記録データが少ない部分に相殺される可能性が減るために、記録データの展開処理が間に合わなくなる(一般にオーバーランエラーと呼ぶ)恐れがあります。
よって、通常、バンドメモリは、経験的に、オーバーランエラーのほとんど起こらなくなるバンドサイズを最小バンドサイズとして決めておき、この最小バンドサイズを従来の技術に記載されて固定容量(ただし、解像度により変更される)にするか、本実施例のように最小バンドサイズより大きなサイズをバンドメモリとして確保しております。本件特許明細書の記載からも、当業者が容易に実施できる程度に記載されているものと思料するものであり、特許法36条第4項の規定に違反するものではありません。」
したがって、「どのようにしてバンドメモリサイズを算出するのか」、「また最小バンドサイズとはどのように定義」するかの点は、本件明細書の記載に不備があるとすることはできない。またこのことにより「バンド制御」を行うための「バンドサイズ」「最小バンドサイズ」は、本件明細書に示唆されているものと認められので、請求項4、5、12、13の記載不備は解消した。「出力すべきデータを少なくした」なる記載は、実施例(例えば、第10図)を上位概念化したものと認められる。
・(3)項について
請求項6、14の発明の記載において、請求項6は請求項1または2を、請求項14は請求項9または10を、引用していることからして、判断手段もしくは判断ステップが、プリンタで印刷できないと判断した場合、印刷ができない旨の報知をするものと認められる。また請求項6、14の発明の記載では、判断手段もしくは判断ステップが、プリンタで印刷できないと判断した場合、印刷ができない旨の報知をするのではなく、出力すべきデータを情報処理装置で展開した後、印刷可能であるかどうかを判断するように記載されている。そうすると請求項6、14の発明は、請求項1、2に係る発明もしくは請求項9、10に係る発明のどのものを限定したのか不明であり、プリンタで印刷できないと判断した場合どのような動作をするのか不明であり、請求項6、14の記載は、特許を受けようとする発明の構成に欠くことができない事項のみを記載されているものとは認められない。

以上のとおりであるから、請求項6、14に係る発明の特許は、特許法第36条第5項第2項の規定に違反したものであり、同法第113条第4号の規定により取り消されるべきものである。

5.特許異議申立について
5-1.申立の理由の概要
申立人神田泰貴は、請求項1〜3、7〜11、15、16に係る発明は、甲第1号証(特開平3-149615号公報)及び甲第2号証(特開平2-220863号公報)をもとに容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により、請求項1、2、9、10の発明は、甲第3号証(特願平4-68663号の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明(特開平5-270065号公報参照))に記載された発明であるから、特許法第29条の2の規定により、請求項1、4〜6、9、12〜14に係る発明は、その明細書の記載が特許法第36条第4項もしくは第5項の規定に適合していない出願になされたものであり、特許を受けることができないものであり取り消されるべき旨主張している。
5-2.特許法29条第2項違反について
5-2-イ.甲各号証の記載
・ 甲第1号証(特開平3-149615号公報)
上記刊行物には以下のようなことが記載されている。
「[産業上の利用分野]本発明は、文字出力を実現する為にキャッシュメモリを使用する印刷装置に関するものである。」(第(2)頁右上欄第2〜5行目)、 「[課題を解決するための手段]本発明に係る印刷装置は、外部印刷装置と双方向通信を行う通信手段と、入力された文字情報に基づいて、ビットマップ形式で展開されたデータを一時的に記憶しておくキャッシュメモリと、前記通信手段を介して前記外部制御装置から送られてくる第1のコマンドに応答して、前記キャッシュメモリの操作を行う第1制御手段と、前記通信手段を介して前記外部制御装置から送られてくる第2のコマンドに応答して、前記キャッシュメモリの状態を前記外部装置に知らせる第2制御手段とを具備したものである。」(第(2)頁左下欄第15行目〜右下欄第7行目)、
「第1図は本発明の一実施例による印刷装置を示すブロック構成図である。第1図に於て、1は様々なデータを送信する為のホストコンピュータ、2はホストコンピュータと双方向のデータ通信を行う為の例えばRS232Cといった双方向ポート」(第(3)頁左上欄第3〜7行目)、
「ホストコンピュータ1からの送信データが、キャッシュメモリの情報要求に関するものである場合は(ステップS10)、キャッシュメモリ補助装置9から例えば第3図における空き領域サイズの情報を取り出し(ステップS11)、出力バッファ10へ格納する(ステップS12)。出力バッファ10内の当該情報は双方向ポート2を通してホストコンピュータ1へ送出される(ステップ13)。ここでホストコンピュータ1からのキャッシュメモリ情報要求命令とホストコンピュータへの送出情報の一例を第4図に示す。
ホストコンピュータ1側では、第4図(B)の形態の情報を受信して解析する。このことにより、次から多量のベクトル文字の文字データを送ることがホストコンピュータ1側で認知できた場合、キャッシュメモリ情報要求命令を用いてキャッシュメモリ5に空き領域がないことを知ることによって、直ちにキャッシュメモリクリア要求を出すことができる。」(第(3)頁左下欄第3行目〜右下欄第1行)。
・甲第2号証(特開平2-220863号公報)
上記刊行物には、以下のようなことが記載されている。
「[産業上の利用分野] 本発明は、フォントデータ及びイメージデータに基づいて用紙に画像を形成するビットマップ方式のプリンタ装置に関する。」(第(1)右下欄第5〜6行目)、
「[課題を解決するための手段]本発明は、上記の課題を解決するため、イメージデータに基づいて用紙に画像を形成するプリンタ装置であって、一定の容量のメモリ領域を有するメモリ手段と、前記メモリ領域内にフォントデータを格納するフォントロード領域及び前記イメージデータを格納するビットマップ領域を割り当てるメモリ制御手段と、前記画像の大きさを指定するための指定手段と、指定された画像の大きさに対応するビットマップ領域を割り当てることが可能か否かを前記メモリ領域の使用状態により判断手段と、ビットマップ領域を割り当てることが可能でないときに指定された大きさの画像を形成することが不可能である旨を報知するための報知手段とを備えていることを特徴として構成される。」(第(2)頁左下欄第5〜20行目)、
「第1図はし一ザプリンタ1の画像データ処理部10の構成を示すブロック図である。
画像データ処理部10は、画像データ処理部10の全体の動作を制御するマイクロコンピュータからなるCPU(中央処理装置)11、処理のプラグラムを記憶するプログラムROM12、操作パネル44と接続された操作パネルインターフェイス13、ビットマップメモリとして用いられ且つ後述するように各種のデータが格納されるらM17、予め所定のフォントデータが書き込まれたフォントROM、RAM17及びフォントROM18を制御するメモリコントローラ14、外部装置としてのホストコンピュータ(以下「ホスト」という)に接続された外部インターフェイス15、及び電子写真プロセスを制御するプリントエンジン制御部に接続されたプリントエンジンインターフェイス16とから構成されている。」(第(3)頁左下欄第2〜18行目)、
「ステップ♯24では、新たに指定されたイメージサイズの描画に必要なビットマップエリアBMの容量m2(第2図(c)参照)を求める。
続くステップ♯25において、イメージサイズの変更が可能か否かを判断する。すなわち、メモリエリアMAの容量m0から使用中のフオントロードエリアFLの容量m1を差し引いた値の容量m3(m3=m0-m1)が、新たに指定されたイメージサイズの描画に必要なビットマップエリアBMの容量m2より大きいか否かを判断する。」(第(6)頁左上欄第5〜14行目)、
「ステップ♯25でノーの場合には、つまり、第2図(a)に示す例のように、新しくビットマップエリアBMとして割り当てるべく指定された領域bmとフォントロードエリアFLとがなる場合には、ステップ♯26へ進み、重なったエリアWAを含めてビットマップエリアBMに隣接する領域に格納されているフォントデータの中で消去可能なフォントデータの容量を求める。
フォントデータCが上述のような内部1次データを変換した2次データであり、フォントデータDがフォントデータAを変換した2次データであるとすると、これらフォントデータC及びDは、必要に応じて内部又は外部1次データから再度変換して復元可能であるので、一旦消去しても後のプリント動作において支障はない。
したがって、フォントデータC及びDの格納領域と、未使用状態のエリアEAとを合わせた容量m4の領域が、ビットマップエリアBMとして割り当て可能な領域となる。
ステップ♯27において、再度、イメージサイズの変更が可能か否かを判断する。すなわち、容量m3と容量m4とを合わせた容量が、指定されたイメージサイズの描画に必要なビットマップエリアBMの容量m2より大きいか否か、つまり、次の(1)式を満たすか否かを判断する。
m3+m4≧m2 ……(1)
ステップ♯27でイエスであれば、ステップ♯28で、容量m2の領域が確保できるまで、後側からフォントデータD、フォントデータCの順に消去可能なフォントデータの消去、すなわち、上述の実装フォント情報の登録を抹消する処理を行う。第2図に示す例では、フォントデータDの登録を抹消した段階で、第2図(b)のように、フォントエリアFLとして使用中の領域の容量がm5となり、ビットマップエリアBMとして割り当て可能な領域の容量m6が、容量m2よりも大きくなるので、フォントデータCの登録抹消は行われない。
続くステップ♯29では、ビットマップエリアBMの先頭アドレスを更新し、メモリエリアMA内の後半部の容量m2の領域を新たなビットマップエリアBMとして割り当てる(第2図(C)参照)。
ステップ#27でノーの場合には、例えば、フォントデータDが外部1次データなどのように消去可能なフォントデータ(レーザプリンタ1の内部にあるフォントデータから復元できないデータ)である場合には、ステップ♯30で、ホストからイメージサイズの変更が指示されたか否かをチェックする。ステップ♯30でイエスの場合には、実質的にホストからのサイズ変更指示を無視し、処理を終了する。この場合には、元のイメージサイズのままで、画像形成が行われることになる。
ステップ♯30で、ノーの場合には、つまり、サイズ指定キー35のキー入力により当該処理が開始された場合には、ステップ♯31で、上述のステップ♯22で点灯したサイズ表示LEDを所定時間だけ点滅させることにより、上述のステップ♯21で求めたイメージサイズへの変更が不可能である旨をオペレータに報知した後、ステップ♯21へ戻る。」(第(6)頁左上欄第20行目〜第(7)頁左上欄第1行目)。
5-2-ロ.対比、判断
ここでまず、請求項1、9に係る発明について検討する。
甲第1号証に記載されたものは、「文字出力を実現する為にキャッシュメモリを使用する印刷装置」に、特に印刷に使用される文字フォント用の印刷装置側に設けられたキャッシュメモリに関するものである。甲第1号証に記載された「ホストコンピュータ」、「印刷措置」が、それぞれ、本件発明の請求項1、9に記載された「情報処理装置」、「プリンタ」に相当し、甲第1号証のものもホストコンピュータと印刷装置が双方向インターフェースを介して接続されているものである。甲第1号証のものが、双方向インターフェースを介して印刷装置のキャッシュメモリの容量を取得するものと認められるが、キャッシュメモリは文字フォント用のメモリであり、甲第1号証の実施例におけるページメモリの容量を取得しているものではない。本件請求項1、9の発明の実施例では、甲第1号証のキャッシュメモリは、図7、8、9図等におけるフォントデータ領域のメモリに相当するものである。そうすると甲第1号証のものは、「プリンタのメモリ容量を取得」し「認識する」は記載されているとは認められない。また甲第2号証にも、「プリンタのメモリ容量を取得」し「認識する」は記載されているとは認められない。したがって、本件請求項1、9に係る発明は、上記甲1、2号証に記載の事項から当業者が容易に推考しうるものではない。
そして請求項2、3、7、8の係る発明は、直接的もしくは間接的に請求項1に係る発明を引用し、また請求項10、11、15、16に発明は、直接的もしくは間接的に請求項9に係る発明を引用しているものであるから、上記請求項1、9に係る発明についての判断と同様の理由により、上記甲1、2号証に記載の事項から、当業者が容易に推考しうるものではない。、

以上のとおり、請求項1〜3、7〜11、15、16に係る発明は、申立人が提出した甲各1,2号証に記載された事項から当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
5-3.特許法第29条の2違反について
特願平4-68663号(特開平5-270065号公報)の発明に関しては、4-1-イ.に記載した通りであり、上記発明と本件請求項1、2、9、10に係る発明との対比、判断は、4-1-ロ.、4-1-ハ.、4-1-ニ.に記載したとおりである。
5-4.特許法第36条違反について
5-4-イ.異議申立人の主張
異議申立人は、異議申立書において、以下のように主張し、請求項1、請求項4〜6、9、12〜14に係る発明は、その明細書の記載が特許法第36条第4項及び第5項に規定に適合していない出願に対してなされたものであり取り消されるべき旨主張している。
(1)本件特許に係る明細書の発明の詳細な説明には、請求項1及び請求項9の上記構成Eに対応する事項の説明がありません。
請求項1及び請求項9において、この構成Eでの判断結果を受ける上記構成Fは、明らかに、明細書に添付された図6におけるステップ(10)に対応しております。従って、構成Eにおける「判断手段」及び「判断ステップ」とは、ステップ(2),ステップ(4)及びステップ(7)の全体に対応しているのか、それとも、それらのステップのうちの何れかのみに対応しているのかが、全く判りません。
従って、請求項1及び請求項9は、それに記載された事項が発明の詳細な説明に記載も示唆もされていないか、それに記載された用語が発明の詳細な説明に記載された用語と不統一であってその結果両者の対応関係が不明瞭となっているので、特許法旧第36条第4項第1号に違反します。また、本件特許に係る明細書の発明の詳細な説明は、請求項1及び請求項9中の発明を特定するための事項に対応する技術的手段を具現すべき装置、工程などが不明瞭であり、しかもそれが出願時の技術常識に基づいても当業者が理解できないので、特許法旧第36条第3項に違反します。
(2)請求項4及び請求項12は、請求項3又は請求項11を更に限定し、判断手段又は判断ステップが、(前記プリンタに出力すべきデータをプリンタメモリに対して)「1ページのビットマップデータとして展開処理できないと判断した場合に、バンド制御により印刷可能であるかどうかを判断する」ことを、規定したものです。
特許権者は、本件特許に係る特許出願の審査過程において平成13年2月13日付けで提出した意見書において、請求項3及び請求項11における「前記プリンタに出力すべきデータをプリンタメモリに対して1ページのビットマップデータとして展開できるかどうかを判断する」との構成要件、即ち、請求項4及び請求項12における前半部分については、明細書の段落番号【0056】に記載に基づくと、主張しております(意見書4頁)。なるほど、明細書の段落番号【0056】には、「プリンタメモリに図7に示すように1ページのビットマップを展開できるかどうかを判定し(2)」と記載されているので、請求項3については、それに対応する事項が明細書の発明の詳細な説明に記載があるようです。
であるとするならば、請求項3における判断によって「1ページのビットマップデータとして展開処理できない」と判断された場合の動作を規定する請求項4の後半部分については、「ステップ(2)の判定でNOの場合」に相当するのですから、それに対応する記載が段落番号【0057】に記載されているはずです。
しかしながら、【0057】では、「ステップ(2)の判定でNOの場合は、CPUIはRAM16上に確保するバンドメモリサイズを算出し(3)、バンドサイズが確保できる最小バンドサイズ未満かどうかを判定し(4)」との記載があるだけあり、請求項4における「バンド制御により印刷可能であるかどうかを判断する」との構成要件に明確に対応した記述はありません。
つまり、上述した【0057】における「CPUIはRAM16上に確保するバンドメモリサイズを算出し」との記述だけでは、どのようにしてバンドメモリサイズを算出するのか(即ち、図6におけるステップ(1)にて算出したデータ容量に基づいてバンドメモリサイズを算出のか否か、どのような規則に従って算出するのか)が、全く判りません。
更に、上述した【0057】における「バンドサイズが確保できる最小バンドサイズ未満かどうかを判定し」との記載によると、『(ステップ(3)にて算出したバンドメモリサイズが、何らかの)バンドサイズが確保できる最小バンドサイズ未満であるかどうかを判定する』か、『(RAM16上の空き領域のサイズが、スデップ(3)にて算出した)バンドサイズが確保できる最小バンドサイズ未満かどうかを判定する』かの、2通りの解釈が可能です。しかしながら、これら2通りの解釈の何れが正しいのかを判断するための決め手はありませんし、何れの解釈を採った場合でも、それがどのように「バンド制御により印刷可能であるかどうか」に結びついているかは、全く判りません。
従って、請求項4及び請求項12は、それに記載された事項が発明の詳細な説明に記載も示唆もされていないか、それに記載された用語が発明の詳細な説明に記載された用語と不統一であってその結果両者の対応関係が不明瞭となっているので、特許法旧第36条第4項第1号に違反します。また、本件特許に係る明細書の発明の詳細な説明は、請求項4及び請求項12中の発明を特定するための事項に対応する技術的手段を具現すべき装置、工程などが不明瞭であり、しかもそれが出願時の技術常識に基づいても当業者が理解できないので、特許法旧第36条第3項に違反します。
(3)請求項5及び請求項13は、請求項4又は請求項12を更に限定し、判断手段が、出力すべきデータをバンド制御(により印刷)できないと判断した場合の動作を、規定したものです。
上述したように、本件特許に係る明細書の発明の詳細な説明には、請求項4及び請求項12に対応する事項が記述されていないので、これを受けている請求項5及び請求項13に対応する事項も記述がないと言わざるを得ません。
これに関して、特許権者は、上記意見書において、請求項4及び請求項12の後半部分「前記出力すべきデータを少なくし、該少なくされたデータを印刷可能であるかどうかを判断する」については、図6のステップ(6)が対応していると考えているようです(意見書5頁)(このことからすると、特許権者は、やはり、請求項4及び請求項12の後半部分は図6のステップ(3)及びステップ(4)に対応していると考えているようです)。
しかしながら、図6のステップ(6)を説明している明細書の段落番号【0058】では、このステップ(6)の意味を「…送出するフォントデータ量を削減する等して割り当て可能なバンドサイズが最小バンドサイズ未満かどうかを判定し」と解説していますが、上述したように、「最小バンドサイズ」の意味が不明瞭である以上、このステップ(6)において実際にどのような判断がなされているのか、その判断がどのように「該少なくされたデータを印刷可能であるかどうかを判断する」に結びついているのかは、全く判りません。
従って、請求項5及び請求項13は、それに記載された事項が発明の詳細な説明に記載も示唆もされていないか、それに記載された用語が発明の詳細な説明に記載された用語と不統一であってその結果両者の対応関係が不明瞭となっているので、特許法旧第36条第4項第1号に違反します。また、本件特許に係る明細書の発明の詳細な説明は、請求項4及び請求項12中の発明を特定するための事項に対応する技術的手段を具現すべき装置、工程などが不明瞭であり、しかもそれが出願時の技術常識に基づいても当業者が理解できないので、特許法旧第36条第3項に違反します。
(4)請求項6及び請求項14は、請求項1及び2,又は請求項9及び10における「判断手段」の動作を更に限定し、「前記プリンタで前記出力すべきデータを印刷できないと判断した場合に、前記出力すべきデータを前記情報処理装置で展開した後、印刷可能であるかどうかを判断する」ことを、規定したものです。
特許権者は、上記意見書において、請求項6及び請求項14に記載の構成要件は、明細書の段落番号【0052】の記載に基づくと、主張しております。しかしながら、段落番号【0052】の記載は、「ホストコンピュータ100側でビットマップ展開してしまった方がプリンタ1500にフォント、マッチングパターン等を登録して処理するよりプリンタの使用メモリが少なくなるようなバンドがある場合には、当該バンドはホストコンピュータ100でビットマップ展開して、バンドサイズをその分大きく確保する。」という内容であるので、確かに「前記出力すべきデータを前記情報処理装置で展開」することについては記載があるものの、それは、「ホストコンピュータ100側でビットマップ展開してしまった方がプリンタ1500にフォント、マッチングパターン等を登録して処理するよりプリンタの使用メモリが少なくなるようなバンドがある場合」に実行されると記載されているのであって、請求項6及び請求項14のように「前記プリンタで前記出力すべきデータを印刷できないと判断した場合」に実行されるのではありません。また、段落番号【0052】には、バンドをビットマップ展開した「後」で「印刷可能であるかどうかを判定する」ことについては、全く記述がなされておりません。
なお、特許権者は、上述したように、請求項2及び請求項10においてプリンタに出力すべきデータをプリンタにおいて印刷処理が可能であるかどうかを判断することについては、上記明細書の段落番号【0056】の記載に基づくと、主張しています(意見書4頁)。しかし、この【0056】は図6のフローチャートの説明であり、上記段落番号【0052】の内容との間には相関がありませんし、それに続く図6のフローチャートの説明に、上記段落番号【0052】に相当する内容があるわけでもありません。
従って、請求項6及び請求項14は、それに記載された事項が発明の詳細な説明に記載も示唆もされていないか、それに記載された用語が発明の詳細な説明に記載された用語と不統一であってその結果両者の対応関係が不明瞭となっているので、特許法旧第36条第4項第1号に違反します。また、本件特許に係る明細書の発明の詳細な説明は、請求項4及び請求項12中の発明を特定するための事項に対応する技術的手段を具現すべき装置、工程などが不明瞭であり、しかもそれが出願時の技術常識に基づいても当業者が理解できないので、特許法旧第36条第3項に違反します。
5-4-ロ.判断
(1)について
請求項1、9に係る発明は、上記4-1-ロ、4-1-ハの記載の理由により取り消されるべきものである。
(2)について
請求項4に係る発明は、請求項3に係る発明を引用し、請求項3に係る発明は請求項1または2に係る発明を引用しており、請求項12に係る発明は、請求項11に係る発明を引用し、請求項11に係る発明は請求項9または10に係る発明を引用しており、「判断手段」もしくは「判断ステップ」をより具体的にしたものと認められ、「前記プリンタで1ページのビットマップデータの展開処理ができないと判断した場合に、バンド制御により印刷可能であるかどうかを判断」することは、発明の詳細な説明の段落番号【0056】、【0057】や図6に示されているものと認められる。
なお、最小バンドメモリやバンドサイズメモリについては、4-2-ロ.(2)に記載したとおりである。
よって、明細書の記載に不備があるとは認められず、また特許請求の範囲の記載に不備があるとは認められない。
(3)について
請求項5に係る発明は、請求項4に係る発明を引用し、請求項13に係る発明は、請求項12に係る発明を引用し、「判断手段」もしくは「判断ステップ」を具体化し、その際に「バンド制御」をより具体化したものと認められ、「前記出力すべきデータをバンド制御できないと判断した場合に、前記出力すべきデータを少なくし、該少なくされたデータが印刷かのうであるかどうかを判断」することは、発明の詳細な説明の段落番号【0058】や図6、10に示されているものと認められる。
なお、最小バンドメモリやバンドサイズメモリについては、4-2-ロ.(2)に記載したとおりである。
よって、明細書の記載に不備があるとは認められず、また特許請求の範囲の記載に不備があるとは認められない。
(4)について
請求項4、14に係る発明は、上記4-2-ロ.(3)記載の理由により取り消されるべきものである。

6.むすび
以上のとおりであるから、本件発明1、2、9、10は、先願明細書に記載された発明と同一であり、しかも、本願発明の発明者が前記先願明細書に記載された発明の発明者と同一であるとも、また、本願の出願時に、その出願人が上記他の出願の出願人と同一であるとも認められないので、本願発明は、特許法第29の2の規定により特許を受けることができないものであり、本件請求項6、14係る発明は、特許法第36条第5項第2号に規定する要件を満たしていないから、特許を受けることができないものである。
したがって、本件請求項1、2、6、9、10、14に係る発明の特許は取り消されるべきものである。
また本件請求項3、4、5、7、8、11、12、13、15、16に係る発明の特許については、取消理由を発見しない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の一部の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令205号)第4条第1項及び第2項の規定により、上記のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-02-21 
出願番号 特願平10-294351
審決分類 P 1 651・ 121- ZE (G06F)
P 1 651・ 534- ZE (G06F)
P 1 651・ 161- ZE (G06F)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 田中 貞嗣松川 直樹  
特許庁審判長 下野 和行
特許庁審判官 植松 伸二
今井 義男
登録日 2001-04-27 
登録番号 特許第3183862号(P3183862)
権利者 キヤノン株式会社
発明の名称 情報処理装置および情報処理装置のデータ処理方法  
代理人 小林 将高  

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