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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 E04D
管理番号 1077343
審判番号 不服2001-11472  
総通号数 43 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-02-13 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-07-05 
確定日 2003-05-31 
事件の表示 平成11年特許願第214606号「防災瓦」拒絶査定に対する審判事件[平成13年 2月13日出願公開、特開2001- 40821]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯・本願発明
本願は、平成11年7月29日の出願であって、その請求項1ないし5に係る発明は、平成13年3月28日付け手続補正書により補正された出願当初の明細書および図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1ないし5に記載された事項により特定されるとおりのものと認められ、その請求項1に記載された発明(以下「本願発明1」という。)は次のとおりである。
【請求項1】 瓦本体の両側端部に葺合時重合される桟と差込部を形成した平板状の瓦であって、千鳥葺き合わせ時に、瓦本体に設けた係合凸部と係合差込部が係合する防災瓦において、瓦本体の尻側水返し上面の中央付近に、立上部と該立上部から桟側への水平部を連続した係合凸部を設けて、水返し上面と係合凸部の水平部下面の間に差込空間を設け、上記差込空間に差し込まれる係合差込部を、差込部の水返しの外側に設けたことを特徴とする防災瓦。
なお、平成13年7月31日付けでされた手続補正は、却下された。

2.引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由に引用され、本願の出願前に国内において頒布された刊行物である、特開平8-93141号公報(以下、「引用例1」という。)には、段落【0010】「実施例3は、図10,11に示す瓦Zのように、桟覆部Sと差込受部Uとの同段葺き合わせ部分がほぼ瓦1枚の厚さに納まる葺き合わせ構造をとり、尻部R側に釘孔10を穿設した厚平形系瓦において、差込受部Uの頭部T側端に水返し6により導水帯1と分離して瓦裏面とほぼ同じレベルの表面を有する係止受部2cを形成し、尻部R側の中央付近に尻切欠部8を形成してこの上面に尻部R側縁より内側でかつ瓦表面とほぼ同じかないしはこれよりやや高い裏面部分を有する係止突起3cを形成するものである。この瓦を葺き合わせると、図12,13,図14に示すように斜め上段側の瓦Z1の導水帯1の部分は斜め下段側の瓦Zの流水面12上に載置され、係止受部2cは尻切欠部8内係止突起3c下方に装入され、斜め下段側瓦Zの係止突起3cが斜め上段側瓦Z1の係止受部2cを抑止し、振れ止め係止する係止耐風厚平形瓦である。」及び図10〜14の記載を参照すると、「両側端部に葺合時重合される桟覆部と差込受部を形成し、千鳥葺き合わせ時に、係止突起と係止受部が係合する平板状の係止耐風厚平形瓦において、尻部側水返し上面の中央付近に、立上部と該立上部から桟覆部側への水平部を連続した係止突起を設けて、係止突起の水平部下面下の空間を設け、該空間に差し込まれる係止受部を差込受部の水返しの外側に設けた係止耐風厚平形瓦」が記載されている。

3.対比・判断
本願発明1と引用例1に記載された発明を対比すると、引用例1に記載された発明の「桟覆部」、「差込受部」、「係止突起」、「係止受部」、「尻部側水返し」、「係止耐風厚平形瓦」は、それぞれ、本願発明1の「桟」、「差込部」、「係合凸部」、「係合差込部」、「尻側水返し」、「防災瓦」に相当し、引用例1に記載された発明の「係止突起の水平部下面下の空間」は、本願発明1の「水返し上面と係合凸部の水平部下面の間の差込空間」と、「係合凸部の水平部下面下の差込空間」で共通するから、両者は、「瓦本体の両側端部に葺合時重合される桟と差込部を形成した平板状の瓦であって、千鳥葺き合わせ時に、瓦本体に設けた係合凸部と係合差込部が係合する防災瓦において、瓦本体の尻側水返し上面の中央付近に、立上部と該立上部から桟側への水平部を連続した係合凸部を設けて、係合凸部の水平部下面下に差込空間を設け、上記差込空間に差し込まれる係合差込部を、差込部の水返しの外側に設けた防災瓦」の点で一致し、下記の点で相違している。
a.差込空間を、本願発明1では、水返し上面と係合凸部の水平部下面の間に設けているのに対し、引用例1記載の発明では、係止突起の水平部下面下には、尻切欠部が形成されていて、差込空間を係止突起の水平部下面下ではあるが、水返し上面との間に設けているとは明記されていない点。
しかしながら、引用例1の図13,14、特に図13をみると、引用例1記載の発明においても、斜め上段側の瓦Z1の係止受部2cの上面は係止突起3cの水平部下面下に配置されるとともに、瓦Z1の尻切欠部からはずれた部分の係止受部2cの下面は、差し込まれる瓦Zの尻部側水返し上面上に配置されるようになっており、防水性を考慮して尻切欠部を設けずに差込空間を水返し上面と係止突起の水平部下面の間に設けるようにすることは、当業者が適宜なしうる設計的事項にすぎない。
そして、本願発明1によってもたらされる効果も、引用例1に記載された発明から当業者であれば予測することができる程度のものであって、格別顕著なものとはいえない。

4.むすび
したがって、本願発明1は、引用例1に記載された発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明1は、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-03-19 
結審通知日 2002-03-26 
審決日 2002-05-13 
出願番号 特願平11-214606
審決分類 P 1 8・ 121- Z (E04D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 青山 敏伊藤 陽土屋 真理子吉岡 麻由子  
特許庁審判長 木原 裕
特許庁審判官 鈴木 憲子
蔵野 いづみ
発明の名称 防災瓦  
代理人 西山 聞一  

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