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審決分類 審判 全部無効 4項(5項) 請求の範囲の記載不備 無効としない F24H
審判 全部無効 2項進歩性 無効としない F24H
管理番号 1078849
審判番号 審判1999-35764  
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1986-03-15 
種別 無効の審決 
審判請求日 1999-12-20 
確定日 2003-06-26 
事件の表示 上記当事者間の特許第1841614号発明「温風暖房機」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
特許第1841614号(以下、「本件特許」という。)に対する無効審判請求事件の手続の経緯は、以下のとおりである。
審判請求 平成11年12月20日
証人尋問申請 平成11年12月20日
上申書 平成11年12月22日
答弁書 平成12年 4月20日
弁駁書 平成12年 7月11日
審判請求理由補充 平成12年 9月19日

2.本件特許発明
本件特許の特許請求の範囲に係る発明(昭和59年8月22日出願、平成6年5月12日設定登録。以下、「本件特許発明」という。)の、発明が解決しようとする問題点・目的、要旨、作用、効果は、特許査定された明細書及び図面の記載からみて、以下のとおりのものと認められる。
(1)発明が解決しようとする問題点・目的
従来の温風暖房機は、温風をケース11正面から下向きに吹き出させるために、カートリッジタンク1の前方に気化器5とバーナー6が設置されていると共に、熱遮蔽板7と整流板10の間に温風が混合する空間を必要とするために、温風暖房機の奥行が長くなり、また奥行を短くすると気化器5の間口方向ー側にカートリッジタンク1が配置されるために間口(幅)が広くなり、暖房機が大型化するという問題があった。
この発明は、上述説明したような従来のものの問題を解決して、奥行が短く小型な温風暖房機を簡単な構成で提供することを目的としている。
(2)要旨
「液体燃料を気化させる気化器と、液体燃料の気化ガスと空気との予混合気を燃焼させるバーナーと、燃焼ガスと空気を混合させた温風を送風ファンにより水平面に対し下向きケース外へ吹き出す通路を形成する熱遮蔽板及びダクトとを備えた温風暖房機において、上記バーナーを垂直面に対し後向きに傾斜させるとともに上記気化器を前方に設けたことを特徴とする温風暖房機。」
(3)作用
この発明は、バーナーを後向きに傾斜させたことで、バーナーの炎口をケースの後側にずらすと共に、火炎も後傾することで、温風暖房機の間口を広くすることなく、奥行を短くして小型化を図ったものである。
(4)効果
この発明によれば、温風を水平面に対して下向きに吹き出す温風暖房機ににおいて、バーナーを垂直面に対し後向きに傾斜させるという簡単な手段により、間口が狭まく奥行が短く小型であると共に、燃焼が良好なものを提供できるという効果が得られる。

3.請求人の主張
審判請求人は、本件特許を無効とする、並びに、審判費用は、被請求人の負担とする趣旨の無効審判を請求し、証拠方法として後記の甲号各証、人証をもって、以下に示す第1及び第2の理由により無効にされるべきであると主張している。
(1)第1の理由
本件特許の特許請求の範囲には、明瞭でない記載が含まれ、発明の構成に欠くことができない事項のみが記載されているとはいえないので、特許法第36条第4項の規定に違反する。よって、本件特許は、特許法第123条第1項第3号の規定により、無効とされるべきである。
(2)第2の理由
本件特許発明は、特許出願前に頒布された文献に記載された発明及び公然実施をされた発明から当業者が容易に発明できたもので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない発明であるから、本件特許は、特許法第123条第1項第1号の規定により、無効とされるべきである。

(3)証拠方法
(ア)書証
甲第1号証 実開昭56-58044号公報と実願昭54-142070 号(実開昭56-58044号)のマイクロフィルム
甲第2号証 特開昭55-38427号公報
甲第3号証 実開昭56-128940号公報と実願昭55-28090 号(実開昭56-128940号)のマイクロフィルム
甲第4号証 「ダイニチブルーヒータ一取扱説明書・注意書」
甲第5号証 ダイニチ工業(株)の売上伝票の抜粋(昭和59年8月18 日付)の写し
甲第6号証 ダイニチ工業(株)の売上伝票抜粋(昭和59年8月20日 付)の写し
甲第7号証 株式会社カマヤ取締役社長佐々木英吉の販売先証明書の写し
甲第8号証 ユアサ商事株式会社北陸支店竹田の販売先証明書の写し
甲第9号証 「ダイニチブルーヒータ一FA-261,FA-325,F A-525販売店用テキスト」
甲第10号証 3条印刷株式会社取締役社長渋谷義徳の納品証明書の写し
甲第11号証 ダイニチ工業株式会社吉井外2名の製造販売宣誓書の写し
甲第12号証 電波新聞(昭和59年8月21日付発刊)の写し
甲第13号証 公知の石油ファンヒーター(公知構造)
甲第14号証 販売製品(FA-261)の現品写真
甲第15号証 FA-261参考平面見取図
甲第16号証 平成11年(ワ)第24433号事件の訴状及び添付目録の 写し
甲第17号証 実開昭56-115651号公報と実願昭55-12915 号(実開昭56-115651号)のマイクロフィルム
甲第18号証 実開昭58-184145号公報と実願昭57-81911 号(実開昭58-184145号)のマイクロフィルム
甲第19号証 実開昭58-184151号公報と実願昭57-81912 号(実開昭58-184151号)のマイクロフィルム
甲第20号証 実開昭57-11452号公報と実願昭55-88000号 (実開昭57-11452号)のマイクロフィルム
甲第21号証 実開昭58-15862号公報と実願昭56-108142 号(実開昭58-15862号)のマイクロフィルム
甲第22号証 昭和59年日本燃焼器具検査協会「検査合格一覧昭和59年 1〜6」抜粋の写し
甲第23号証 東芝開放式石油ストーブの取扱説明書・注意書(東芝KSG 33MTR)抜粋の写し
(イ)人証
証人(a) 新潟県白根市大字北田中780-6
ダイニチ工業株式会社
代表取締役 吉井 久夫
(b) 新潟県白根市大字北田中780-6
ダイニチ工業株式会社
生産部部長 花野 哲行
(c) 新潟県白根市大字北田中780-6
ダイニチ工業株式会社
営業部部長 本間 勤志
(d) 新潟県3条市下須頃33番地
株式会社 カマヤ 内
取締役社長 佐々木 英吉
(e) 富山県奥田新町11番23号
ユアサ商事株式会社 北陸支店内
住設建材部部長 武田 義章

4.判断
(1)特許法第36条第4項について
請求人は、特許請求の範囲の「気化器を前方に設けたこと」に関して、「前方」が何に対して前方であることを意味するのか明瞭でない、或いは、「気化器を前方に設けたこと」という要件は効果を生じさせる上で必須ではないと主張する。
しかしながら、前記2.(1)の「カートリッジタンク1の前方に気化器5とバーナー6が設置されている」との記載、同「気化器5の間口方向ー側にカートリッジタンク1が配置されるために間口(幅)が広くなり」との記載、及び前記2.(3)の「温風暖房機の間口を広くすることなく、奥行を短くして小型化を図った」との記載からみて、特許請求の範囲の「前方」とは、カートリッジタンクの前方を意味し、これによって、気化器の間口方向ー側にカートリッジタンクが配置されるために間口(幅)が広くなり、暖房機が大型化するという問題を解決し、もって、奥行を短くすることが明らかである。
したがって、特許請求の範囲が明瞭でない、或いは、必須でない要件が存在するとの請求人の主張は、採用することができない。
(2)特許法第29条第2項ついて
請求人が本件特許発明の構成が記載されていると主張する甲第1号証乃至甲第3号証、甲第4号証及び甲第13号証乃至甲第15号証、甲第17号証乃至甲第21号証、甲第23号証について、以下、本件特許発明と当該甲号各証に記載のものとを対比し、検討する。
(2)-1甲第1号証
甲第1号証のマイクロフィルムには、第1図とともに、次の記載がある。
A.「第1図はセラミックバーナを用いるファン付ガスストーブの横断面図である。本体ケース5の中に箱型の燃焼筒6を収め、その下部にセラミックバーナ1をセットしてある。燃焼筒6の後部、本体ケース5の背板の部分にファンモータ7により駆動される温風ファン8が取り付けてある。燃料ガスは、ガス管継手9より供給され、ガスコック10において開閉される。操作ツマミ11を開くとガスはバーナに供給される。燃焼に必要な1次空気はバーナの混合管より吸引され、2次空気は2次空気孔12より燃焼筒内に供給される。燃焼を終えた燃焼ガスは、温風ファンにより生じた空気流と混合しルーバ13より温風となって吹き出す。」(第3頁6〜19行)
B.「第1図のごとく金属製(例えばステンレス板等)の反射板14をセラミックプレート炎孔に対向して設けることにより、セラミックプレートの表面温度を高め、燃焼を促進させる構成としたものである。また反射板14と燃焼筒6の空間の下部に2次空気口12を設けることにより、2次空気の流れを反射板の背後に形成できる。この流れにより反射板14は冷却されて、耐久性を向上できる。また2次空気は予熱されて燃焼筒内に入るため、火炎に供給される時には火炎の2次燃焼を促進させる効果も持っている。」(第4頁9〜20行)
本件特許発明(前者)と甲第1号証に記載のもの(後者)とを対比すると、後者の「ファン付ガスストーブ」は前者の「温風暖房機」に相当し、また、後者の「セラミックバーナ」もバーナーの一つであるから、両者は、
バーナーを備えた温風暖房機において、バーナーを垂直面に対し後向きに傾斜させる温風暖房機、
で一致し、次の点で相違する。
【相違点1】
前者は、液体燃料を気化させる気化器を前方に設け、バーナーが液体燃料の気化ガスと空気との予混合気を燃焼させるのに対して、後者が、ガスを燃焼させるセラミックバーナである点。
【相違点2】
前者は、燃焼ガスと空気を混合させた温風を送風ファンにより水平面に対し下向きケース外へ吹き出す通路を形成する熱遮蔽板及びダクトを有するのに対して、後者が、ルーバによって温風を下向きケース外へ吹き出す点。
(2)-2甲第2号証
甲第2号証には、図面ともに、次の記載がある。
A.「周壁に空気孔を設けた有底筒形のバーナーを、その底面側が他端開口側より低くなるように傾斜して配置し」(特許請求の範囲)
B.「燃料は送油ポンプ(22)により送油管(23)、燃料流入口(14)を介して傾斜した底面(11b)に供給され、この上を流下する。」(第2頁左下欄4〜6行)
C.「この場合、燃料が流下する底面(11b)を傾斜させてその流下時間を長びかせているので、燃料を充分に蒸発させ、効率よく燃焼させることができる」(第2頁右下欄6〜9行)
D.「傾斜形のバーナーであるため燃焼筒、熱交換器等をたて長にも横長にも構成することが可能となり、製品への適用範囲が拡がる。また従来困難であつた横長構成にした場合は、製品高さが低くなり安定性が増大する。更にこれを温風暖房器に設けた場合は、温風の下吹き出しが可能となり商品性の向上が図れる。」(第3頁左欄10行〜右欄2行)
本件特許発明(前者)と甲第2号証に記載のもの(後者)とを対比すると、後者の「ポット式バーナー」もバーナーの一つであるから、両者は、
バーナーを備えた温風暖房機において、上記バーナーを垂直面に対し傾斜させる温風暖房機、で一致し、次の点で相違する。
【相違点1】
前者は、液体燃料を気化させる気化器を前方に設け、バーナーが液体燃料の気化ガスと空気との予混合気を燃焼させるのに対して、後者が、ポット式バーナーである点。
【相違点2】
前者は、燃焼ガスと空気を混合させた温風を送風ファンにより水平面に対し下向きケース外へ吹き出す通路を形成する熱遮蔽板及びダクトを有するのに対して、後者が、温風の下吹き出しが可能である点。
【相違点3】
前者は、バーナーを後向きに傾斜させるのに対して、後者が、後向きか否か、明らかでない点。
(2)-3甲第3号証
甲第3号証のマイクロフィルムには、「点火操作直後から温風を送ることがワンダイヤル操作で可能な気化式液体燃料装置」(第2頁1〜2行)に関するもので、第1図の正面断面図、第2図の側断面図について、次の記載がある。
A.「第1図において1は、ノズル3を介して気化ガスをバーナ2に噴射する気化器であり、この気化器1は、気化パイプ4および送油ポンプ5を介して油受皿6内のボリュートポンプ7に接続されている。ボリュートポンプ7はポンプモータ8で駆動され、油受皿6内の灯油を気化器1側に供給するようになっている。前記気化器1近傍にはシーズヒータ9が、またバーナ2近傍には第2図に示すように点火プラグ10がそれぞれ設けられている」(第3頁10〜18行)
B.「ポンプモータ8が回転すると、ボリュートポンプ7により油受皿6内の油は気化器1側に圧送され、気化パイプ4で気化されてノズル3より噴射される。この気化ガスと一次空気とはバーナ2内で混合され、バーナ2より噴射されて二次空気と混合され、さらに点火プラク10で点火されて燃焼される。」(第4頁6〜12行)
本件特許発明(前者)と甲第3号証に記載のもの(後者)とを対比すると、後者の「油」は前者の「液体燃料」に相当するから、両者は、
液体燃料を気化させる気化器と、液体燃料の気化ガスと空気との予混合気を燃焼させるバーナーとを備えた温風暖房機、で一致し、次の点で相違する。
【相違点1】
前者は、燃焼ガスと空気を混合させた温風を送風ファンにより水平面に対し下向きケース外へ吹き出す通路を形成する熱遮蔽板及びダクトを有するのに対して、後者が、第2図からみて、ルーバによって温風の下吹き出しが可能である点。
【相違点2】
前者は、バーナーを垂直面に対し後向きに傾斜させるとともに気化器を前方に設けるのに対して、後者が、バーナーを垂直に設け、気化器が前方に設けられているか否か明らかでない点。
(2)-4甲第4号証及び甲第13号証乃至甲第15号証
甲第4号証及び甲第13号証乃至甲第15号証は、「ダイニチブルーヒーターFA-261」の構造を記載しており、甲第4号証の「各部の名称」(第7頁)、「送油経路図」(第20頁)、甲第13号証乃至甲第15号証からみて、本件特許発明とそれらに記載されたものとは、
液体燃料を気化させる気化器と、液体燃料の気化ガスと空気との予混合気を燃焼させるバーナーとを備えた温風暖房機において、上記気化器を前方に設けた温風暖房機、
で一致し、次の点で相違する。
【相違点1】
前者は、燃焼ガスと空気を混合させた温風を送風ファンにより水平面に対し下向きケース外へ吹き出す通路を形成する熱遮蔽板及びダクトとを備えるのに対して、後者が、そうではない点。
【相違点2】
前者は、バーナーを垂直面に対し後向きに傾斜させるのに対して、後者のバーナーが明らかでない点。
(2)-5甲第17号証乃至甲第21号証
甲第17号証乃至甲第21号証には、本件特許発明に照らして、それぞれ、次のものが記載されていると認められる。
バーナーと、燃焼ガスと空気を混合させた温風を送風ファンにより水平面に対し下向きケース外へ吹き出す通路を形成する熱遮蔽板及びダクトとを備えた温風暖房機。
そして、本件特許発明(前者)と甲第17号証乃至甲第21号証に記載のもの(後者)とを対比すると、両者は、
バーナーと、燃焼ガスと空気を混合させた温風を送風ファンにより水平面に対し下向きケース外へ吹き出す通路を形成する熱遮蔽板及びダクトとを備えた温風暖房機、
で一致し、次の点で相違する。
【相違点1】
前者は、液体燃料を気化させる気化器を前方に設け、バーナーが液体燃料の気化ガスと空気との予混合気を燃焼させるのに対して、後者が、明らかでない点。
【相違点2】
前者は、バーナーを垂直面に対し後向きに傾斜させるのに対して、後者が、図面からみて、垂直に設ける点。
(2)-6甲第23号証
甲第23号証には、本件特許発明に照らして、次のものが記載されていると認められる。
液体燃料を気化させる気化器と、バーナーと、燃焼ガスと空気を混合させた温風を送風ファンにより水平面に対し下向きケース外へ吹き出す通路を形成する熱遮蔽板及びダクトとを備えた温風暖房機。
そして、本件特許発明(前者)と甲第23号証に記載のもの(後者)とは、
液体燃料を気化させる気化器と、バーナーと、燃焼ガスと空気を混合させた温風を送風ファンにより水平面に対し下向きケース外へ吹き出す通路を形成する熱遮蔽板及びダクトとを備えた温風暖房機、
で一致し、次の点で相違する。
【相違点1】
前者は、気化器を前方に設け、バーナーが液体燃料の気化ガスと空気との予混合気を燃焼させるのに対して、後者は、それが明らかでない点。
【相違点2】
前者は、バーナーを垂直面に対し後向きに傾斜させるのに対して、後者は、それが明らかでない点。
(2)-7検討
前記(2)-1乃至(2)-6における一致点、相違点を総合してみると、「液体燃料を気化させる気化器と、液体燃料の気化ガスと空気との予混合気を燃焼させるバーナーとを備えた温風暖房機において、上記気化器を前方に設け」ることが、甲第4号証及び甲第13号証乃至甲第15号証に記載され、「燃焼ガスと空気を混合させた温風を送風ファンにより水平面に対し下向きケース外へ吹き出す通路を形成する熱遮蔽板及びダクトとを備え」ることが、甲第17号証乃至甲第21号証に記載され、「バーナーを垂直面に対し後向きに傾斜させる」ことが、甲第1号証に記載されており、しかも、それらが温風暖房機という技術分野で共通することが認められる。
しかしながら、前記(2)-1乃至(2)-6の甲号各証には、「液体燃料を気化させる気化器」を「前方に設け」ることと、「液体燃料の気化ガスと空気との予混合気を燃焼させるバーナー」と、「燃焼ガスと空気を混合させた温風を送風ファンにより水平面に対し下向きケース外へ吹き出す通路を形成する熱遮蔽板及びダクト」と、「バーナーを垂直面に対し後向きに傾斜させる」こと、とを組み合わせることについての記載はない。本件特許発明は、これらを組み合わせることによって、「バーナーの炎口をケースの後側にずらすと共に、火炎も後傾することで、温風暖房機の間口を広くすることなく、奥行を短く」し、「燃焼が良好」となるものである。
そして、甲第1号証の前記A乃至Bの記載をもって、本件特許発明のこうした作用・効果を予測することは、当業者であっても、容易に為し得るものとは認められない。
したがって、本件特許発明は、その余の書証を検討するまでもなく、甲第1号証乃至甲第3号証、甲第4号証及び甲第13号証乃至甲第15号証、甲第17号証乃至甲第21号証、甲第23号証にそれぞれ記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたすることができない。
また、請求人は、前記証人(a)乃至(e)によって、甲第4号証及び甲第13号証乃至甲第15号証の「ダイニチブルーヒーターFA-261」の公知性を立証する旨主張するが、前記のとおり、本件特許発明は、前記(2)-1乃至(2)-6の甲号各証に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることができないのであるから、前記証人(a)乃至(e)の証人尋問の必要性は認められない。

5.まとめ
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許発明を無効とすることができない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2000-12-18 
結審通知日 2001-01-05 
審決日 2001-01-22 
出願番号 特願昭59-174568
審決分類 P 1 112・ 121- Y (F24H)
P 1 112・ 532- Y (F24H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 上野 忠好横林 秀治郎  
特許庁審判長 大槻 清寿
特許庁審判官 滝本 静雄
冨岡 和人
登録日 1994-05-12 
登録番号 特許第1841614号(P1841614)
発明の名称 温風暖房機  
代理人 吉井 剛  
代理人 近藤 惠嗣  
代理人 吉井 雅栄  
代理人 柳 誠一郎  

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