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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B23H
管理番号 1079218
審判番号 不服2000-5865  
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1992-09-17 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-04-24 
確定日 2003-06-30 
事件の表示 平成 3年特許願第253238号「放電加工により加工片を切削するためのワイヤ電極」拒絶査定に対する審判事件[平成 4年 9月17日出願公開、特開平 4-261714、]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本件発明
本件出願は、平成3年10月1日(パリ条約による優先権主張1990年10月2日 ドイツ連邦共和国)の出願であって、その請求項1〜3に係る発明(以下「本件発明1〜3」という。)は、平成12年5月12日付け手続補正書、平成13年3月14日付け手続補正書により補正された明細書及び願書に添付された図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜3に記載されたとおりのものであると認められるところ、請求項1には以下のとおり記載されている。
「【請求項1】 放電加工ワイヤおよび該放電加工ワイヤを包囲する被覆層からなる、放電加工により加工片を切削するためのワイヤ電極において、被覆層が、電気の高伝導性材料の銀からなり、被覆層が0.12〜0.64μmの層厚を有することを特徴とする、放電加工により加工片を切削するためのワイヤ電極。」

第2 引用例記載の発明乃至技術的事項
1 引用例1記載の発明
平成5年法律第26条による改正前の特許法第161条の2の規定による審査(前置審査)において、平成12年9月8日付けで通知された拒絶の理由に引用された本件出願の優先権主張日前に日本国内で頒布された刊行物である特開平2-198717号公報(以下「引用例1」という。)には、以下の技術的事項が記載されている。
(1)特許請求の範囲
「1.芯材として機械的強度の強い材料を、中間被覆材として放電特性の良い材料を、表面被覆材として良電導材料を薄く用いたワイヤ放電加工用電極。
2.機械的強度の強い材料として黄銅又は銅を用いた請求項1記載のワイヤ放電加工用電極。
3.良電導性材料として、銀、銅、アルミニウムのうちいずれか1種類の材料を用いた請求項1記載のワイヤ放電加工用電極。
4.放電特性の良い材料として亜鉛又はカドミウムを用いた請求項1記載のワイヤ放電加工用電極。」
(2)第2頁左下欄第3〜10行
「本発明に係るワイヤ放電加工用電極は、・・・表面被覆材として導電性の良い銀、銅又はアルミニウムを用いたので接触抵抗が下がり電源制御に対する放電の応答性がよくなり加工速度が早く、・・・向上する。」
(3)第3頁左上欄第4〜10行
「実施例1として炭素鋼の芯材に亜鉛を25μm、その上に銅を1μm電気メッキ法により付着させた直径0.2mmのワイヤ放電加工用電極を作製した。また、実施例2として黄銅の芯材に亜鉛を25μm、その上にアルミニウムを電気メッキ法により1μm付着させた直径0.2mmのワイヤ放電加工用電極を作製した。」

上記記載からすると、引用例1には以下の発明が記載されていると認める。
黄銅又は銅の芯材、中間被覆材として放電特性の良い材料、および該芯材、中間被覆材を包囲する表面被覆材からなる、ワイヤ放電加工用電極において、該表面被覆材が、良電導性材料の薄い銀からなるワイヤ放電加工用電極。

2 引用例2記載の技術的事項
原査定において、銀の被覆に関する参照文献として引用された本件出願の優先権主張日前に日本国内で頒布された刊行物である特開昭57-15636号公報(以下「引用例2」という。)には、以下の技術的事項が記載されている。
(1)特許請求の範囲
「ステンレス鋼線に金、銀又は銅をメッキしてなるワイヤーカット放電加工用線。」
(2)第1頁右下欄第19行〜第2頁左上欄第2行
「本発明で用いるステンレス鋼線は、其の径が0.03mm〜0.25mmで、メッキ厚は金メッキで0.1μm〜0.5μm、銀メッキで1μm〜5μm、銅メッキで1μm〜7μmが好ましい。」

第3 対比
本件発明1と引用例1記載の発明を対比する。
引用例1記載の発明における「黄銅又は銅の芯材」、「表面被覆材」、「良電導性材料の銀」は、それぞれ、本件発明1における「放電加工用ワイヤ」、「被覆層」、「電気の高伝導性材料の銀」に相当し、引用例1記載の発明における「ワイヤ放電加工用電極」が放電加工により加工片を切削するための「ワイヤ電極」であることは当業者に明らかであるから、両者は、以下の点で一致する。
放電加工ワイヤおよび該放電加工ワイヤを包囲する被覆層からなる、放電加工により加工片を切削するためのワイヤ電極において、被覆層が、電気の高伝導性材料の銀からなる、放電加工により加工片を切削するためのワイヤ電極。
そして、以下の点で相違する。
相違点:本件発明1では、被覆層が0.12〜0.64μmの層厚を有するのに対し、引用例1記載の発明では、その層厚が特定されていない点。

第4 当審の判断
そこで、上記相違点について検討する。
引用例1には、表面被覆材の実施例として、銀よりも導電性の面で劣る、アルミニウムが挙げられ、層厚が1μmのものが記載されている。そして、引用例1記載の発明において、表面被覆剤は、ワイヤに高電流を流すために選択されたものであるとともに、その被覆厚さは、放電特性を高めるために、放電加工時に中間被覆材が露出する程度の厚さに選択されるものと認められるから、この点及び導電性の観点を考慮しつつ、表面被覆材は、より薄いものの方が好ましいことは明らかである。
また、引用例2には、高電導性のワイヤーを提供することを目的として、銀よりも導電性の面で劣る金0.1〜0.5μmを被覆したものが記載されている。
以上の点からすると、引用例1記載の発明において、表面被覆材として、銀を使用した場合、導電性の面及び 放電加工時における中間被覆材の露出の両方の面で見たとき、表面被覆材の厚さの1μm以下での使用可能性は、当業者であれば、容易に想到することができるものであって、引用例1記載の発明において、表面被覆材の層厚を0.12〜0.64μmの範囲内の値とすることは、当業者が通常の試行錯誤の結果選択しうる程度のものである。

そして、本件発明1の効果は、引用例1記載の発明及び引用例2記載の技術的事項から当業者が予測することができる程度のものであって格別なものとはいえない。

第5 むすび
以上のとおりであるから、本件発明1は、引用例1記載の発明及び引用例2記載の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないので、本件発明2、3について判断するまでもなく、本件出願は拒絶されるべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-02-04 
結審通知日 2003-02-07 
審決日 2003-02-18 
出願番号 特願平3-253238
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B23H)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 小野田 達志石原 正博横溝 顕範  
特許庁審判長 小林 武
特許庁審判官 三原 彰英
加藤 友也
発明の名称 放電加工により加工片を切削するためのワイヤ電極  
代理人 山崎 利臣  
代理人 ラインハルト・アインゼル  
代理人 矢野 敏雄  
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