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審決分類 審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  A01B
管理番号 1079665
異議申立番号 異議2002-71304  
総通号数 44 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-12-08 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-05-24 
確定日 2003-06-05 
異議申立件数
事件の表示 特許第3231701号「ロータリ耕耘機の耕深自動制御装置」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3231701号の請求項1に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続きの経緯
特許第3231701号の請求項1に係る発明についての出願は、昭和61年3月7日に出願した実願昭61-32664号を原出願とする、実用新案法第9条第1項により準用される特許法第44条第1項の規定による実用新案出願として、平成8年8月27日に新たな実用新案登録出願とし、さらに平成10年6月12日に特許出願に変更したものであって、平成13年9月14日にその発明について特許権の設定がなされた後、その特許について、特許異議申立人溝畑典宏より特許異議の申立てがなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成14年12月18日に特許異議意見書が提出されたものである。

2.本件発明
特許第3231701号の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものである。
「耕深設定器(15)で設定される設定値対応位置に均平板(7)の揺動角度検知値が合致するよう耕耘部(2)の上下動を行うことで耕耘深さの自動制御を成す制御機構には、均平板位置が設定値対応位置から一定の範囲内に位置するときは検知値と設定値とが合致したとして耕耘部の上下動を行わない不感域角度として大小異なる角度値(β、α)が予め設定されており、かつ耕耘設定器(15)での設定値が、予め決められた均平板の基準角度値(θ)に対して浅耕側である場合には前記大きい不感域角度値(β)を、深耕側である場合には前記小さい不感域角度値(α)をそれぞれ選択をする不感域選択手段が設けられていると共に、前記大小異なる不感域角度値(β、α)としては、耕耘設定器(15)の設定値が基準角度値(θ)を基準として浅耕側である場合の耕耘深さ方向の不感域幅(Y)が、深耕側である場合の耕耘深さ方向の不感域幅(X)よりも大きい値のある設定になっていることを特徴とするロータリ耕耘機の耕深自動制御装置。」

3.特許法第29条第1項第3号違反について
3-1.本件発明に係る特許出願の出願日について
本件発明に係る特許出願は、昭和61年3月7日に出願した実用新案登録出願(実願昭61-32664号。以下、「原原出願」という。)の一部を分割して平成8年8月27日に新たな実用新案登録出願(実願平8-9349号。以下、「原出願」という。)とし、さらに平成10年6月12日に特許出願(特願平10-164780号。以下、「本件出願」という。)に変更しようとしたものである。
しかし本件出願の出願日は、以下の理由により、平成8年8月27日である。
本件発明は、「前記大小異なる不感域角度値(β、α)としては、耕耘設定器(15)の設定値が基準角度値(θ)を基準として浅耕側である場合の耕耘深さ方向の不感域幅(Y)が、深耕側である場合の耕耘深さ方向の不感域幅(X)よりも大きい値のある設定になっている」ことをその構成の一部とするものである。
一方、原原出願の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下、「原原出願の当初明細書等」という。)である、実願昭61-32664号(実開昭62-144410号)のマイクロフィルム(甲第2号証)には、「制御部20の作動を開始せしめると、・・・耕深設定器15の設定値Cが予め決められた基準角度値・・・θよりも大きい(C>θ)か否か、即ち深耕(大きい場合に深耕制御になる)であるか否かが判断され、大きいとしてYESの判断が成された場合には不感域としてαという小さい値が選択設定され、小さい(即ち浅耕制御である)としてNOの判断が成されると不感域としてβ(α<β)という大きい値が選択設定され、以後の耕深制御は、この選択設定された何れかの不感域αまたはβによって成されることになり、この様にして不感域選択手段が構成されている。」(第6頁第4-18行)と記載されている。上記記載及び原原出願の当初明細書等の第7図によれば、「深耕側の小さい不感域をα」とし、「浅耕側の大きい不感域をβ」として、耕深設定器15の設定値Cが、予め決められた基準角度値θに対して大きく深耕である場合には、小さい不感域αが選択設定され、基準角度値θに対して小さく浅耕である場合には、大きい不感域βが選択設定され、耕深制御は深耕であるか浅耕であるかによって不感域α、βが大小選択設定されるのであって、前記「α」と「β」は共に角度値であることが明らかであり、また原原出願の当初明細書等全体の記載をみても、原原出願の当初明細書等には、「α」と「β」は予め定められた値として記載されており、「設定値C」に応じて変化することは記載されていないばかりか、示唆されてもいない。なお、原原出願の当初明細書等の第7図には、α、βの角度範囲に対応した耕深範囲が寸法線として引き出されているが、上記のとおりα、βが「設定値C」に応じて変化することは示唆されていないから、寸法線として引き出されている耕深範囲も「設定値C」に応じて変化することを示唆するものではない。
これに対して原出願の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下、「原出願の当初明細書等」という。)である、実願平8-9349号(実開平9-297号)のCD-ROM(甲第1号証)には、「均平板7が実質的に耕深設定される範囲、つまり実耕耘作業範囲(通常は15度前後から65度前後の範囲に設定される)においては、第7図に示すように、基準角度値θより深い深耕状態で不感角度αを設定することに基づく耕深方向の不感幅Xは、基準角度θより浅い浅耕状態で不感角度βを設定することに基づく均平板7の上下方向の不感幅Yよりも小さく(X<Y)なるように設定されると共に、基準角度θから浅耕側に揺動変位する場合の基準角度θ位置近傍での不感幅Yが、基準角度θから深耕側に揺動変位する場合の基準角度θ位置近傍での不感幅Xに対して段差的に大きく変化するように設定されている。」(第9頁下から4行-第10頁第4行)と記載されている。これによれば、「基準角度値θより深い深耕状態で不感角度αを設定」し、「基準角度θより浅い浅耕状態で不感角度βを設定」するとともに、さらに「不感角度αを設定することに基づく耕深方向の不感幅X」及び「不感角度βを設定することに基づく均平板7の上下方向の不感幅Y」について「不感幅Xは、不感幅Yよりも小さく(X<Y)なるように設定されると共に、基準角度θから浅耕側に揺動変位する場合の基準角度θ位置近傍での不感幅Yが、基準角度θから深耕側に揺動変位する場合の基準角度θ位置近傍での不感幅Xに対して段差的に大きく変化するように設定されている。」として、原原出願の当初明細書等の第7図においてα、βの角度範囲に対応して寸法線として引き出されていた耕深範囲をそれぞれ新たに「不感幅X」及び「不感幅Y」と呼ぶとともに、「不感幅Xは、不感幅Yよりも小さく(X<Y)なるように設定されると共に、基準角度θから浅耕側に揺動変位する場合の基準角度θ位置近傍での不感幅Yが、基準角度θから深耕側に揺動変位する場合の基準角度θ位置近傍での不感幅Xに対して段差的に大きく変化するように設定されている。」という新たな構成が付加された。しかしながら、上記新たに付加された構成は原原出願の当初明細書等には記載されておらず、また示唆されてもいない。
したがって、原出願は特許法第44条第1項に規定された適法な分割出願と認めることはできず、出願日の遡及を認めることはできないから、原出願である実願平8-9349号の出願日は平成8年8月27日であり、原出願の変更出願である本件発明に係る出願の出願日も平成8年8月27日である。

3-2.刊行物に記載された発明
「3-1.本件発明に係る特許出願の出願日について」に記載したとおり、本件発明に係る特許出願の出願日は平成8年8月27日であるから、当審で通知した取り消しの理由で引用した実公平7-50884号公報(甲第4号証)は、本件出願の出願前に頒布された刊行物である。(以下、これを「刊行物」という。)
そして、刊行物(実公平7-50884号公報)には以下(a.及びb.)の記載がある。
a.「耕深設定器で設定される設定値対応位置に均平板の揺動角度検知値が合致するよう耕耘部の上下動を行うことで耕耘深さの自動制御を成す制御機構には、均平板位置が設定値対応位置から一定の範囲内に位置するときは検知値と設定値とが合致したとして耕耘部の上下動を行わない不感域角度を耕耘設定器での設定値が予め決められた均平板の基準角度に対して浅耕側に操作された場合と深耕側に操作された場合とで予め設定された大小異なる角度値の選択をする不感域選択手段が設けられており、かつ該大小異なる不感域角度値は、耕耘設定器の設定値が基準角度に対し浅耕側である方が深耕側であるよりも耕深方向に対する不感域幅が大きくなるように設定されていることを特徴とするロータリ耕耘機の耕深自動制御装置。」(実用新案登録請求の範囲の請求項1)
b.「制御部20の作動を開始せしめると、・・・耕深設定器15の設定値Cが予め決められた基準角度値・・・θよりも大きい(C>θ)か否か、即ち深耕(大きい場合に深耕制御になる)であるか否かが判断され、大きいとしてYESの判断が成された場合には不感角度としてαという小さい値が選択設定され、小さい(即ち浅耕制御である)としてNOの判断が成されると不感角度としてβ(α<β)という大きい値が選択設定され、以後の耕深制御は、この選択設定された何れかの不感角度αまたはβによって成されることになり、この様にして不感域選択手段は構成されている。そして、均平板が実質的に耕深設定される範囲においては、第7図に示すように、基準角度値θより深い深耕状態で不感角度αを設定することに基づく耕深方向の不感幅Xは、基準角度θより浅い浅耕状態で不感角度βを設定することに基づく耕深方向の不感幅Yよりも小さく(X<Y)なるように設定されている。」(第2頁右欄第23-41行)
上記記載より、刊行物には以下の発明が記載されている。
「耕深設定器で設定される設定値対応位置に均平板の揺動角度検知値が合致するよう耕耘部の上下動を行うことで耕耘深さの自動制御を成す制御機構には、均平板位置が設定値対応位置から一定の範囲内に位置するときは検知値と設定値とが合致したとして耕耘部の上下動を行わない不感域角度を耕耘設定器での設定値が予め決められた均平板の基準角度θに対して浅耕側に操作された場合と深耕側に操作された場合とで予め設定された大小異なる角度値の選択をする不感域選択手段が設けられており、かつ該大小異なる不感域角度値は、耕耘設定器の設定値が基準角度θに対し浅耕側である不感角度βが深耕側である不感角度αよりも大きい値(α<β)に設定されるとともに、基準角度θより浅い浅耕状態で不感角度βを設定することに基づく耕深方向の不感幅Yは、基準角度値θより深い深耕状態で不感角度αを設定することに基づく耕深方向の不感幅Xよりも大きく(X<Y)なるように設定されていることを特徴とするロータリ耕耘機の耕深自動制御装置」

3-3.対比・判断
本件発明と刊行物(実公平7-50884号公報)に記載された発明とを対比すると、本件発明はその特許出願の出願前に頒布された刊行物(実公平7-50884号公報)に記載された発明である。
したがって、本件発明は、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本件発明についての特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-04-15 
出願番号 特願平10-164780
審決分類 P 1 651・ 113- Z (A01B)
最終処分 取消  
前審関与審査官 寺山 啓進番場 得造西田 秀彦  
特許庁審判長 藤井 俊二
特許庁審判官 瀬津 太朗
渡部 葉子
登録日 2001-09-14 
登録番号 特許第3231701号(P3231701)
権利者 三菱農機株式会社
発明の名称 ロータリ耕耘機の耕深自動制御装置  
代理人 北村 修一郎  
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