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審決分類 審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない G10K
審判 訂正 2項進歩性 訂正しない G10K
管理番号 1080555
審判番号 訂正2002-39137  
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1992-05-15 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2002-06-10 
確定日 2003-07-14 
事件の表示 特許第2508394号に関する訂正審判事件について,次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は,成り立たない。 
理由 第1 訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は,以下のとおりである。
1 請求項1に係る発明を次のとおりに訂正する。
「【請求項1】楽曲のデジタル楽音情報を格納した楽音情報記憶部と,
背景情報を格納した映像記憶部と,
記憶された前記各情報を読み出し伴奏音の再生と共に背景映像並びに歌詞の画像表示を行うように装置の動作制御を行う制御部とを備える電子音楽再生装置において,
前記楽音情報記憶部に格納されるデジタル楽音情報は,種々の楽器の演奏情報と歌詞表示指示情報と,を有し,
前記歌詞表示指示情報は,歌詞の表示・消去指示情報と,前記演奏情報の主旋律の進行に適合した歌詞文字表示の色変化を行わせる色変え指示情報と,色変えを行う文字が所定の幅ずつ色変えが行われるように,前記演奏情報の主旋律の進行に適合し文字の表音数や音階数により異なった色変えの幅を指示する色変え幅情報と,を含むよう構成され,
制御部は,前記各指示情報に基づき歌詞の画像表示制御を行うと共に,色変え幅情報に基づいて,現在色が変わっている位置から,前記表音数や音階数により異なった色変えの幅だけ色変えを行うよう制御することを特徴とする電子音楽再生装置。」
(以下,「本件訂正発明」という。下線部が訂正箇所である。)

2 発明の詳細な説明の【課題を解決するための手段】について,請求項1に対応する文章に,上記1と同じ文言を挿入する。

第2 当審の判断
1 訂正の目的
本件訂正は,「色変えの幅」に「文字の表音数や音階数により異なった」という修飾語を加え,色変えの幅を限定することにより特許請求の範囲を減縮しようとするものである。
文字の表音数や音階数に関する説明として,本件特許公報4頁7欄24行ないし31行には,
「なお,このデータは,かな1文字で,その主旋律に対応する音階が1つの音である場合には,1文字全体を1度に変えるような1文字全体の幅を示す指示データとなる。しかし,複数の表音からなる漢字文字の場合や,複数の音階あるいは長音のかな文字の場合には,それをできるだけ主旋律の流れに適合して色変えを行うように,1文字を所定の幅ずつ色変えを行わせるためのデータとなる。」と記載されている。
本件特許公報全体の記載からみて,表音数の意味は,漢字文字の場合には発音の数を示し,仮名文字の場合は1つの発音であり,また,音階数の意味は,1つの発音に対し音の高さ,すなわち音高が途中で異なる場合には,その音高の数を意味していることが把握できる。
そうすると,前記1の訂正は,色変えの幅を限定しようとするものであり,願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内で,かつ特許請求の範囲の減縮を目的とするものと判断でき,特許法126条1項ただし書きの規定に適合する。
また,前記2の訂正は,発明の詳細な説明の【課題を解決するための手段】について,本件特許公報の前記箇所を含め他の箇所にも記載されている「表音数や音階数により異なった色変えの幅」を追加するものであり,願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内で,かつ,明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり,特許法126条1項ただし書きの規定に適合する。
そして,これらの訂正は,実質上特許請求の範囲を拡張し,又は変更するものでもないので,特許法126条2項に適合する。

2 独立特許要件(126条3項:特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則6条1項の規定によりなお従前の例によるとされる)
「色変え幅情報」の内容を前記のように限定したことによって,本件訂正発明がその出願の際独立して特許を受けることができるものであるか検討する。

刊行物:特開平2-242294号公報(甲第1号証)
甲第1号証には,次の事項が示されている。
(1) 発明の目的として,2頁右上欄11ないし14行には,
「さらに楽曲と正確に対応した歌詞の進行が可能なカラオケ用ディスプレイの歌詞表示装置を提供することを目的とする。」と記載されている。
(2) 4頁右上欄7行ないし17行には,
「文字の色変更あるいは文字消去の場合には色変更の開始位置から終了位置までの指定された色をカラーコードを変更することによって文字の色変更を行い(31),ディスプレイ9に表示する(30)。このとき,変更された文字の色が背景と同一であれば文字が消去されるのと同じ効果を奏し,違うときには文字が徐々に色変わりをするように見える。また,グラフィック処理を行っているので,一文字づつ不連続に変更するのでなく,連続的に徐々に色を変更することが可能である。」と記載されている。
(3) 発明の効果として4頁左下欄15行ないし右下欄6行には,
「本発明はカラオケ情報を楽曲情報(審決注:「楽曲情報を」が誤記であることは明らか)と歌詞情報に分けて,歌詞情報を処理するに際して内蔵したパターンROMのデータを用いているので,効率のよいカラオケ情報の二進符号化を行うことができると共に,演算処理についても比較的簡単に行うことが可能となった。
また,楽曲情報に混在させたトリガ信号によって歌詞の表示を進行させる構成としているので,音楽再生と歌詞表示とは確実にリンクさせることができ,性格の異なる処理の際に生じるずれを防止して扱いやすいカラオケ装置を提供することができた。」と記載されている。

なお,「色変え幅情報」が甲第1号証に記載されていることは,既に東京高等裁判所での平成11年行(ケ)226号及び平成11年行(ケ)328号の判決で判断が示されており,本訂正審判においても,トリガ信号を用いる場合は除外されておらず,判決での判断を踏襲することとなる。
本件訂正発明で使用している「楽音情報」,「伴奏音」,「主旋律」の用語は,いずれもカラオケ装置が備えている基本的な機能であり,甲第1号証の「楽曲」あるいは「楽曲情報」に対応することは明らかである。
また,上記(3)に示すように,甲第1号証にはデジタル化したカラオケ情報(歌詞と楽曲:この楽曲中にはトリガ信号が混在する。)を記憶することが示されている。

以上を踏まえ,本件訂正発明と甲第1号証記載の発明とを対比すると,次の一致点,相違点が認められる。
【一致点】楽曲のデジタル楽音情報を格納した楽音情報記憶部と,記憶された前記各情報を読み出し,伴奏音の再生と共に歌詞の画像表示を行うように装置の動作制御を行う制御部とを備える電子音楽再生装置において,前記楽音情報記憶部に格納されるデジタル楽音情報は,種々の楽器の演奏情報と歌詞表示指示情報と,を有し,前記歌詞表示指示情報は,歌詞の表示・消去指示情報と,前記演奏情報の主旋律の進行に適合した歌詞文字表示の色変化を行わせる色変え指示情報と,色変えを行う文字が所定の幅ずつ色変えが行われるように,前記演奏情報の主旋律の進行に適合する色変えの幅を指示する色変え幅情報と,を含むよう構成され,制御部は,前記各指示情報に基づき歌詞の画像表示制御を行うと共に,色変え幅情報に基づいて,現在色が変わっている位置から指定された幅だけ色変えを行うよう制御することを特徴とする電子音楽再生装置。」
【相違点】
(1)本件訂正発明が背景映像を格納した映像記憶部を有し,背景映像の表示を行うのに対し,甲第1号証が背景色の変更を行うことのみ記載されている点。
(2)色変え幅を,本件訂正発明では「文字の表音数や音階数により異なった色変えの幅」と表現しているのに対し,甲第1号証では,色変え幅について「色変更の開始位置から終了位置」とのみ記載されている点

【相違点】についての判断
上記相違点(1)は,背景映像を格納した映像記憶部を有し,背景映像の表示を行うことが,本件特許明細書の従来技術にも記載されており,また,実願昭63-58823号(実開昭63-72782号公報)のマイクロフィルムの従来の技術にも「テレビ画面に曲目に適した背景画面を映出し」と記載されていることから,当業者が何ら困難を伴うことなく適宜実施しうる手段である。

上記相違点(2)は,
前記2(2)に摘記したように,甲第1号証記載の発明は,1つの文字が徐々に色変わりをするように見えることから,ドット単位の色変わりを含め,所定の色変え幅に応じて色を変えているといえる。
そして,前記(1)に,「楽曲と正確に対応した歌詞の進行が可能なカラオケ用ディスプレイの歌詞表示装置を提供することを目的とする」旨の記載があり,「色変更の開始位置から終了位置」,すなわち,色変えの幅を,発音の数や異なる音高の数に関わりなく,表示文字のみにより同じ幅で機械的に割り振って決めたのでは,楽曲と正確に対応した歌詞の進行とならないことは明らかである。
そうすると,色変えのスピードを楽曲に合わせることは当然として,1文字に対応する音符の数と音符の表す長さに応じて色変えの幅を決めて色変えを行うことは,楽曲と正確に対応した歌詞の進行を可能とする前記目的を考慮すれば,当業者のみならず,カラオケの歌詞表示装置に接する者が自然に発想しうる事項にすぎない。
したがって,色変えの具体的態様として,「文字の表音数や音階数により異なった色変えの幅」に応じて色変えを行うことは,当業者であれば容易に推考できたものと認められる。
そして,上記相違点を全体的にみても格別評価すべき事項は認められず,また,効果に関しても,甲第1号証の「楽曲と正確に対応した歌詞の進行が可能なカラオケ用ディスプレイの歌詞表示装置」以上の格別の効果も認められない。

第3 請求人の意見書における主張について
1 甲第1号証記載の発明の認定誤りについて
(1) 請求人は,グラフィック制御装置6には,トリガ信号と1行分の歌詞情報とがシーケンサ4から供給されるのみであることは明らかであり,色変え幅に関する情報が,歌詞情報に含まれるのか否かについても,グラフィック制御装置6に別個に供給される点についても,甲第1号証には一切記載されていない。このため,「開始位置から終了位置まで」の幅を指定する何らかの色変え幅情報が存在するとしても,その色変え幅情報は音楽再生に伴ってシーケンサ4から供給されるものとは,甲第1号証の記載全体から解釈することはできない。
したがって,徐々に色変わりするための「特定の色変え幅」が,「色変更の開始位置から終了位置まで」を指定する幅に相当するとは,甲第1号証の不明確な記載からでは,特定することができない旨,主張している。
しかし,楽曲にトリガ信号が混在するとあることから,色変え幅情報がどこに蓄積されるか,どこから供給されるかは,甲第1号証に明確に記載されているか否かは問題でなく,楽曲情報がデジタルデータとして記憶装置に記憶され,その記憶された場所から供給されればよく,具体的な手段は,当業者が適宜実施しうる程度の事項にすぎない。
そして,徐々に色変わりするための「特定の色変え幅」が,「色変更の開始位置から終了位置まで」を指定する幅に相当すると判断することは,前記判決と矛盾するものでもない。

(2) トリガ数値が色変更の「開始位置から終了位置まで」を指定する色変え幅情報とどのように関係して記憶されているのか,甲第1号証の記載全体からでは全く不明であり,かつ,文字の色変え幅は,音楽再生に応じて異なるとは想定できない旨,主張している。
しかし,トリガ信号が色変え幅を規定しているものであり,その記憶態様は当業者が適宜決定しうる事項である。
文字の色変え幅を楽音再生に応じて異ならせることは,甲第1号証の目的である「楽曲と正確に対応した歌詞の進行が可能なカラオケ用ディスプレイの歌詞表示装置を提供する」ことに照らせば,当業者が容易に実施しうる事項である。

(3) トリガ信号と音楽再生とをリンクさせる方法について,甲第1号証に何ら示唆されていない旨の主張は,前記目的に照らせば,当業者が適宜自明な手段を用いてリンクさせることができる程度の事項である。

(4) 甲第1号証の記載から「開始位置から終了位置」の幅が,音符の数と音符の表す長さに応じて決められたものと解釈することは誤っている旨,の主張について,目的に照らせば,そうすることが当業者であれば容易にできると判断しているものである。

2 一致点の認定の誤りについて
本件訂正発明の「前記楽音情報記憶部に格納されるデジタル楽音情報は,種々の楽器の演奏情報と歌詞表示指示情報と,を有し」との構成要件は,甲第1号証に記載された発明には存在しないと主張しているが,デジタル楽音情報,楽器の演奏情報及び歌詞表示指示情報が甲第1号証には,明確に示されており,これらの情報が記憶されることは自明というべきであり,どこに記憶させるかは当業者が任意に決定できる事項である。
そして,上記自明な事項からなる構成を一致点に含ませることは,通常行われている一般的な判断手法である。

3 相違点の判断についての誤り
本件発明は,色変え指示時点と色変え動作中の速度とを共に音楽再生に適合させることにより,より正確な音楽再生への適合を図っているが,甲第1号証では,適合させなければならない必要性が提起されていない旨の主張は,甲第1号証の目的に鑑みれば当然に必要なもので,当業者であれば何ら困難なく実施しうる事項である。
したがって,当該主張に進歩性を認めることはできない。

第4 むすび
以上のとおり,訂正明細書の請求項1に係る発明は,本願出願前に国内で頒布された刊行物である甲第1号証に記載された発明に基づいて,当業者が容易に発明をすることができたものであるから,特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

したがって,本件訂正審判は,特許法126条3項の規定に適合しないので,当該訂正は認められない。
よって,結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-05-20 
結審通知日 2003-05-23 
審決日 2003-06-03 
出願番号 特願平2-265728
審決分類 P 1 41・ 121- Z (G10K)
P 1 41・ 856- Z (G10K)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 山下 剛史  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 原 光明
藤内光武
小林秀美
新宮佳典
登録日 1996-04-16 
登録番号 特許第2508394号(P2508394)
発明の名称 電子音楽再生装置  
代理人 岡戸 昭佳  
代理人 大塚 文昭  
代理人 佐尾 重久  
代理人 中村 稔  
代理人 飯田 圭  
代理人 富澤 孝  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 田中 伸一郎  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 山中 郁生  
代理人 相良由里子  
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