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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) G06F |
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管理番号 | 1080648 |
審判番号 | 審判1999-1309 |
総通号数 | 45 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1995-02-21 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 1999-01-25 |
確定日 | 2003-07-30 |
事件の表示 | 平成 5年特許願第277051号「ディジタル走査文書の自動的な作成、識別、経路指定および保存のための方法とシステムと装置」拒絶査定に対する審判事件[平成 7年 2月21日出願公開、特開平 7- 49941]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯・本願発明 本願は、平成5年11月5日(パリ条約による優先権主張1992年11月5日、米国)の出願であって、その請求項1乃至請求項19に係る発明は、平成6年3月18日付け、平成10年5月18日付け、及び、平成13年4月24日付けの各手続補正書で補正された明細書、並びに、図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1乃至請求項19に記載されたとおりのものと認められるところ、その請求項1に記載された発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりである。 「所定の複数のシートからなる個別の文書を作成すると共に、走査した文書情報をコンピュータネットワークのユーザに経路指定して送るために、表紙を使用して情報を含むシートをディジタル的に走査する方法であって、前記表紙の有無により各文書の最初と最後のシートを識別し、前記表紙には、機械識別コード内にある前記ユーザの識別情報が含まれていて、文書の走査中にその情報が読み取られるようになっており、 連続するシートの積み重ねを用意して、ディジタル的に走査するための1以上の文書を構成するステップと、 文書を走査するときに、一つの文書を構成するその積み重ね内に最初のシートと他の全てのシートを配置するのに先だって、前記ユーザの識別情報とコンピュータネットワークにおけるディジタル情報の前記ユーザへの所望の経路指定情報とを含む機械識別マークコードを有する表紙を配置するステップと、 前記表紙と前記シートの積み重ねをディジタル化するためのスキャナに供給するステップと、 走査の開始時に、表紙の存在、すなわち、走査されることになる文書の始まりを認識し、次に、表紙の機械識別マークコードを読み取って、それの識別情報及び経路指定情報を記録し、これによって、該表紙を破棄するステップと、 スキャナに供給された新しい表紙を認識するか、または他のシートがないことを認識すると、前回の表紙から走査された全てのシートを一つの文書として識別し、次に、走査されディジタル化された文書情報を、前記記録された表紙の識別情報と経路指定情報に従って、前記ユーザに経路指定して直接送信するステップと、 次の検索または次の処理のために前記ユーザのディレクトリにそれらの文書情報を保存するステップ からなる方法。」 2.引用刊行物 これに対し、当審における平成12年10月 11日付け拒絶理由通知書の拒絶の理由で引用された特開平3-236668号公報(以下、「引用例1」という。)には、図面とともに次の各記載がある。 (ア)「本発明は、ファクシミリの自動送信処理方法に係り、特に自動原稿送り装置(以下、ADFと記載:Auto Document Feeder)にセットされた処理目的の異なる複数の原稿群に対して、それぞの処理形態を自動的に認識し、利用者が直接設定した処理との整合性を確認するのに好適なファクシミリの原稿認識・処理方法に関するものである。」 (第1頁下右欄第18行〜第2頁上左欄第6行) (イ)「本発明の目的は、これら従来技術の課題を解決し、ADF上に置かれた処理形態の異なる原稿群を、纏めて、かつ、正確に自動処理し、操作性の向上を可能とするファクシミリの原稿認識・処理方法を提供することである。」 (第2頁下右欄第12行〜第16行) (ウ)「上記目的を達成するため、本発明のファクシミリの原稿認識・処理方法は、自動原稿送り部に置かれたそれぞれ処理形態の異なる複数の原稿群に、この原稿群のそれぞれの処理形態を示す処理形態情報を付与した原稿処理識別シート(以下識別シートと略記)をそれぞれの原稿群の表紙として添付し、オペレータが、操作キーを介して、この識別シートを表紙とする原稿にそれぞれ対応して設定した処理形態を記憶し、光学式情報読み取り部が原稿の識別シートを読み込むと、この識別シートを検出し、この識別シートに付与された処理形態情報を読み込み、この識別シートから読み込んだ処理形態情報と、オペレータがこの識別シートに対応して設定した処理形態とを比較照合し、一致する場合に、オペレータが指定した処理を、この識別シートを表紙とする原稿に対して実行することを特徴とする。」 (第2頁下右欄第18行〜第3頁上左欄第 15行) (エ)「本発明において、識別シートには、後に続く原稿に対する、メモリ送信や、直接送信、あるいは、コピー等のそれぞれ異なる処理形態の情報を付与する。この識別シートを、それぞれ処理形態の異なる原稿毎に表紙付けすることにより、異なる処理形態の原稿を、ADF上に纏めて重ねておいても、ファクシミリは、各原稿のそれぞれの処理形態を自動的に認識する。」 (第3頁上左欄第17行〜上右欄第5行) (オ)「まず、1ページの原稿をスキャニングして(ステップ601)、その後、次の原稿が識別シートか否かを判定し(ステップ602)、識別シートでなければ、次の原稿のスキャニングを行なう。識別シートであれば、処理形態、および、識別シート番号を認識し(ステップ603)、その後、メモリ送信用識別シートであれば(ステップ604)、オペレータが設定した処理形態がメモリ送信であるかをチェックし(ステップ613)、オペレータが設定した処理形態であれば、オペレータが設定した識別シート番号と同じであるかをチェックする(ステップ614)、識別シート番号が同じであれば、原稿をスキャニングし(ステップ615)、メモリ蓄積を行なう(ステップ616)。 次の原稿の有無を判断し(ステップ617)、原稿が無ければ処理を終了し、原稿があれば、次の原稿が、識別シートか否かを判断する(ステップ618)。識別シートでなければ、原稿をスキャニングし(ステップ615)、識別シートであれば、ステップ603に戻り、処理形態の認識を行なう。(中略) このように、本実施例によれば,ADF機能付きの蓄積機能等を有する多機能ファクシミリにおいて、識別シートを介して、原稿の処理形態を認識することが出来るため、処理目的が異なる原稿を、ADF上に纏めてスタックすることが出来る。さらにオペレータがキー入力した処理形態と照合することにより、指示誤りによる後処理を防止することが出来る。」 (第5頁下右欄第9行〜第6頁下右欄第7行) 3.対比 そこで、本願発明(前者)と引用例1に記載された発明(後者)とを対比すると、 (a)後者の「処理形態の異なる原稿群を、纏めて、原稿認識し、処理すること」(前記(ア)及び(イ)参照。)は、 前者の「所定の複数のシートからなる個別の文書を作成すると共に、走査した文書情報を送ること」に、 (b)後者の「表紙である原稿処理識別シート」(前記(ウ)参照。)は、 前者の「機械識別マークコードを有する表紙」に、 (c)後者の「原稿毎に表紙を付け、ADF上に纏めて重ねておいて、スキャニングすること」(前記(ウ)及び(エ)参照。)は、 前者の「連続するシートの積み重ねを用意して、表紙を使用して情報を含むシートを、スキャナによってディジタル的に走査すること」に、 (d)後者の「原稿の有無を判断し、原稿が無ければ処理を終了し、原稿があれば、次の原稿が、識別シートか否かを判断すること」(前記(オ)参照。)は、 前者の「表紙の有無により各文書の最初と最後のシートを識別すること、走査の開始時に、表紙の存在、すなわち、走査されることになる文書の始まりを認識すること、および、スキャナに供給された新しい表紙を認識するか、または他のシートがないことを認識すること」に、 (e)後者の「光学式情報読み取り部が原稿の識別シートを読み込むと、この識別シートを検出し、この識別シートに付与された、識別シートの後に続く原稿に対する、メモリ送信や、直接送信、あるいは、コピー等のそれぞれ異なる処理形態の情報を読み込み、この読み込んだ処理形態情報の処理を、この識別シートを表紙とする原稿に対して実行すること」(前記(ウ)参照。)は、 前者の「表紙の機械識別マークコードを読み取り、その情報に従って、この表紙につづく原稿に対して、所定の処理を実行すること、すなわち、前回の表紙から走査された全てのシートを一つの文書として識別し、次に、この文書を走査してディジタル化し、所定の処理を実行すること」に、 それぞれ対応する。 (f)そして、後者においては、「識別シートから、処理形態、および、識別シート番号を認識し、その後、メモリ送信用識別シートであれば、識別シートの後に続く原稿をスキャニングし、メモリ蓄積を行なうなど、処理形態に応じた処理を行っている」(前記(ウ)、(エ)、及び(オ)参照。)のであるから、識別シートである表紙は、処理形態、および、識別シート番号を認識した後は、もはや利用されないことは、明らかなことであり、これは、前者における「表紙の機械識別マークコードを読み取って、その情報を記録し、これによって、該表紙を破棄すること」に、 相当するものである。 (g)また、後者においては、処理形態の1つとして、「メモリ送信」が記載されており、これは前者の、「文書情報を保存すること」に、 相当する。 (一致点) してみると、両者(前者と後者)は、 「所定の複数のシートからなる個別の文書を作成すると共に、走査した文書情報を指定して送るために、表紙を使用して情報を含むシートをディジタル的に走査する方法であって、前記表紙の有無により各文書の最初と最後のシートを識別し、前記表紙には、情報が含まれていて、文書の走査中にその情報が読み取られるようになっており、 連続するシートの積み重ねを用意して、ディジタル的に走査するための1以上の文書を構成するステップと、 文書を走査するときに、一つの文書を構成するその積み重ね内に最初のシートと他の全てのシートを配置するのに先だって、情報を含む機械識別マークコードを有する表紙を配置するステップと、 前記表紙と前記シートの積み重ねをディジタル化するためのスキャナに供給するステップと、 走査の開始時に、表紙の存在、すなわち、走査されることになる文書の始まりを認識し、次に、表紙の機械識別マークコードを読み取って、それの情報を記録し、これによって、該表紙を破棄するステップと、 スキャナに供給された新しい表紙を認識するか、または他のシートがないことを認識すると、前回の表紙から走査された全てのシートを一つの文書として識別し、次に、走査されディジタル化された文書情報を、前記記録された表紙の情報に従って、送信するステップと、 次の処理のためにそれらの文書情報を保存するステップ からなる方法。」 である点で、一致しており、次の点で、相違する。 (相違点) 機械識別マークコード内にある情報が、 前者は、「コンピュータネットワークのユーザのディレクトリに、文書情報を保存するための、ユーザの識別情報とユーザへの経路指定情報」 であるのに対して、 後者は、「ファクシミリのメモリ送信や、直接送信、あるいは、コピー等のそれぞれ異なる処理形態のための情報」 である点。 4.当審の判断 そこで、この相違点について検討すると、 上記のような、機械識別マークコード内にある情報の相違は、スキャナで読み取った文書情報を、どのような通信ネットワークを利用して、ユーザへ送信するかによる相違であると認められるが、通信ネットワークとして、コンピュータネットワークもファクシミリネットワークも、よく知られたものであり、また、コンピュータネットワークを利用して、文書情報をユーザへ送信することも、周知のことである。 この点については、例えば、当審の拒絶の理由で引用された特開平2-172348号公報、さらには、情報処理及び通信関係に関するハンドブック及び辞書等をも参照のこと。 したがって、後者の「処理目的の異なる複数の原稿群に対して、ファクシミリのメモリ送信や、直接送信、あるいは、コピー等のそれぞれの処理形態を、自動的に認識し、処理するための情報」の記載から、 文書情報を、コンピュータネットワークを利用して、それぞれのユーザへ、自動的に送信するために、「ユーザの識別情報とユーザへの経路指定情報」を用いて、前者のようにすることは、当業者が容易に想到し得ることである。 5.むすび 以上のとおりであるので、本願発明は、引用例1に記載された発明及び周知技術とに基いて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められ、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2001-11-06 |
結審通知日 | 2001-11-16 |
審決日 | 2001-11-27 |
出願番号 | 特願平5-277051 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
WZ
(G06F)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 岡本 俊威 |
特許庁審判長 |
小川 謙 |
特許庁審判官 |
東 次男 関川 正志 |
発明の名称 | ディジタル走査文書の自動的な作成、識別、経路指定および保存のための方法とシステムと装置 |
代理人 | 古谷 聡 |
代理人 | 古谷 馨 |
代理人 | 溝部 孝彦 |