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審決分類 審判 全部申し立て 判示事項別分類コード:533  B41J
管理番号 1081369
異議申立番号 異議2002-72781  
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2001-04-17 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-11-19 
確定日 2003-05-24 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3284442号「テーププリンタ」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3284442号の請求項に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3284442号の請求項1乃至5に係る発明は、国内優先日を平成2年8月29日、遡及出願日を平成3年6月27日とし、平成14年3月8日にその特許権の設定登録がなされたものであるが、その後、特許異議申立人竹森芳子より異議の申立がなされ、取消の理由が通知され、その指定期間内である平成15年3月28日に訂正請求がなされたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
A.訂正事項a
特許明細書の段落【0049】ないし【0054】の記載を削除する。
B.訂正事項b
特許明細書の【図面の簡単な説明】の図18ないし図20までの記載を削除する。
C.訂正事項c
図面において、【図18】ないし【図20】を削除する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項a-cいずれも、特許明細書の不明瞭な記載の釈明を目的とするものであって、願書に添付した明細書または図面に記載された範囲内の訂正であり、実質的に特許請求の範囲を拡張または変更するものではない。
(3)むすび
したがって、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについての判断
(1)申立ての理由の概要
特許異議申立人竹森芳子は、請求項1乃至5に係る発明は、特許法第36条第5項第1号に規定する記載要件をみたしていないものであり、特許法第113条第4項に該当するものであることから、同法第114条第2項の規定に基いて特許を取り消すべきものであると主張している。

(2)本件特許発明
上記2.で示したように、上記訂正が認められるから、本件の請求項1乃至5に係る発明は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1乃至5に記載された事項により特定されるとおりのものである。

(3)判断
請求項1について検討する。
本件特許明細書の【課題を解決するための手段】欄である段落【0006】乃至【0008】には、本件発明の「余白設定手段により印字機構とテープカッタ機構との間の所定距離と同一の1つの余白データを選択設定し、これを文字等の前後に形成される共通の余白データとして使用し、テープの送り制御を行う」点について記載されており、さらに【発明の詳細な説明】欄にはその具体的な実施例が図面とともに開示されているものと認められるから、特許異議申立人の主張を採用することはできない。
他の請求項を検討しても同様の理由から、本件特許明細書及び図面の記載が不備であるとすることはできない。

(4)むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1乃至5に係る特許を取り消すことができない。
また、他に本件請求項1乃至5に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
テーププリンタ
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 テープ送り機構と、前記テープ送り機構により送られたテープ上に文字等の印字を行う印字機構と、前記テープ送り機構によるテープ送り方向に沿って前記印字機構から所定距離だけ離間されるとともに前記印字機構よりも下流側に配設されたテープカッタ機構とを有するテーププリンタにおいて、
前記テープにおける文字等が印字される部分の前後に設定する余白を、予め決められた余白の大きさを表す複数の余白データとして表示する表示手段と、
印刷データ毎に前記複数の余白データから1つの余白データを選択設定可能な余白設定手段と、
前記テープにおける文字等が印字される部分の前に少なくとも設定された余白を残すように前記テープ送り機構を制御し、前記テープにおける文字等が印字される部分の後ろに前記設定された余白を形成するように前記テープ送り機構を制御する制御手段とを備え、
前記複数の余白データの1つは前記印字機構と前記テープカッタ機構との間の所定距離と同一であり、前記余白設定手段により、前記所定距離とほぼ同一の余白データが選択設定されたとき、前記制御手段は、前記テープの端から前記所定距離とほぼ同一の距離を残した位置から前記印字機構の動作と同期して前記テープ送り機構の動作を開始し、また、文字等の印字終了後、前記テープ送り機構により前記テープを、前記所定距離のほぼ2倍送るように制御することを特徴とするテーププリンタ。
【請求項2】 前記複数の余白データの1つは前記印字機構と前記テープカッタ機構との間の所定距離よりも小さく、前記所定距離よりも小さい余白データを選択したき、前記制御手段は、前記テープの端から前記所定距離よりも大きい距離を残した位置から前記印字機構の動作を開始し、印字動作後、前記テープ送り機構により前記テープを、前記余白データと前記所定距離の和だけ送るように制御することを特徴とする請求項1に記載のテーププリンタ。
【請求項3】 前記所定距離よりも小さい余白データを選択したとき、前記制御手段は、印字開始端よりも前記余白データだけ前の位置が前記テープカッタ機構に達するように前記テープを送るように制御することを特徴とする請求項2に記載のテーププリンタ。
【請求項4】 前記印字機構と前記テープカッタ機構との間に、前記印字機構により印字がなされたテープに、一面に剥離紙が貼着された両面粘着テープの他面の粘着面を圧着する圧着機構が配設されていることを特徴とする請求項1、2または3に記載のテーププリンタ。
【請求項5】 前記テープ及び前記両面粘着テープを内部に収納するとともに、前記テープ及び前記両面粘着テープの端部を外部へ露出させるテープカセットであって、装置に装着することにより、カセット外部へ露出している前記テープを前記印字機構の印字位置に配置するとともに、前記テープ及び前記両面粘着テープを前記圧着機構の圧着位置に配置するテープカセットを備え、
前記圧着手段は、前記テープカセットに設けられた第1ローラと、装置側に設けられたローラであって、前記第1ローラと協働して前記テープに前記両面粘着テープの粘着面を圧着する第2ローラとから構成されることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載のテーププリンタ。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は文字図形をテープ状の被印刷物に印刷するテーププリンタに係わり、特にテープをカットするためのカット手段を有するテーププリンタにおいて、カット手段の制御に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
従来のテーププリンタにおいて、印刷手段とカット手段とが位置的に離れているため、印刷したテープの印刷部の前には、印刷手段とカット手段の距離分の余白が残っていた。また、印刷の完了したテープ片を得るためには印刷終了後、テープ送り手段によってテープを所定の位置まで送り、その後でテープカットを行っていた。
【0003】
この種のプリンタは、特開H2-147272(USP4836697)、特開S58-500475(USP4462708)などがある。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
一般的に印字部分の前後に同じ大きさの余白を形成することが多く、また見栄えもよい。しかし、この印字部分の前後の余白(マージン)を、それぞれ数値入力することは、それが上記の印刷手段とカット手段の距離分の余白であっても、入力操作が面倒なものとなる。また、前後の余白の寸法(大きさ)は、印字部分との関係や貼着対象物との関係で、ユーザにとって厳密な寸法でなくても感覚的に良好とされる寸法で十分である。
【0005】
本発明は、印字部分の前後の余白設定を簡単に行うことができるテーププリンタを提供することをその目的としている。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明のテーププリンタは、テープ送り機構と、テープ送り機構により送られたテープ上に文字等の印字を行う印字機構と、テープ送り機構によるテープ送り方向に沿って印字機構から所定距離だけ離間されるとともに印字機構よりも下流側に配設されたテープカッタ機構とを有するテーププリンタにおいて、テープにおける文字等が印字される部分の前後に設定する余白を、予め決められた余白の大きさを表す複数の余白データとして表示する表示手段と、印刷データ毎に複数の余白データから1つの余白データを選択設定可能な余白設定手段と、テープにおける文字等が印字される部分の前に少なくとも設定された余白を残すようにテープ送り機構を制御し、テープにおける文字等が印字される部分の後ろに設定された余白を形成するようにテープ送り機構を制御する制御手段とを備え、複数の余白データの1つは印字機構とテープカッタ機構との間の所定距離と同一であり、余白設定手段により、所定距離とほぼ同一の余白データが選択設定されたとき、制御手段は、テープの端から所定距離とほぼ同一の距離を残した位置から印字機構の動作と同期してテープ送り機構の動作を開始し、また、文字等の印字終了後、テープ送り機構によりテープを、所定距離のほぼ2倍送るように制御することを特徴とする。
【0007】
この場合、複数の余白データの1つは印字機構とテープカッタ機構との間の所定距離よりも小さく、所定距離よりも小さい余白データを選択したき、制御手段は、テープの端から所定距離よりも大きい距離を残した位置から印字機構の動作を開始し、印字動作後、テープ送り機構によりテープを、余白データと所定距離の和だけ送るように制御することが、好ましい。
【0008】
この場合、所定距離よりも小さい余白データを選択したとき、制御手段は、印字開始端よりも余白データだけ前の位置がテープカッタ機構に達するようにテープを送るように制御することが、好ましい。
【0009】
これらの場合、印字機構とテープカッタ機構との間に、印字機構により印字がなされたテープに、一面に剥離紙が貼着された両面粘着テープの他面の粘着面を圧着する圧着機構が配設されていることが、好ましい。
【0010】
これらの場合、テープ及び両面粘着テープを内部に収納するとともに、テープ及び両面粘着テープの端部を外部へ露出させるテープカセットであって、装置に装着することにより、カセット外部へ露出しているテープを印字機構の印字位置に配置するとともに、テープ及び両面粘着テープを圧着機構の圧着位置に配置するテープカセットを備え、圧着手段は、テープカセットに設けられた第1ローラと、装置側に設けられたローラであって、第1ローラと協働してテープに両面粘着テープの粘着面を圧着する第2ローラとから構成されることが、好ましい。
【0011】
【発明の実施の形態】
以下本発明の実施形態を図面に従って説明する。
【0012】
図1は本発明の一実施形態を示すテーププリンタの外観図である。本体1は、上ケース2と下ケース3とカセットカバー4でケーシングされており、図ではカセットカバー4が開いてテープカセット147、リボンカセット148を装着した状態にある。
【0013】
15は、表示装置で液晶表示装置を用いている。20は、キーボードで電源キー21、プリントキー22、文字キー23、ファンクションキー24等のキーが配列されている。
【0014】
図2、図3は本発明のテーププリンタの機構部の構成を示す略図であり、図2はテープカセット無し時の構造を示す上面図であり、図3は図2の左側面図である。図2、図3から判るようにテープカセット装着部のカセットカバー4は開いている。これより図2、図3を用いて構造の説明を行う。
【0015】
105は等間隔に複数の発熱体(図示しない)を有しヘッド支持体106に保持されている印刷ヘッド、107はレリーズレバ軸116との当接部107-1を有しヘッドアーム軸109に軸支されたヘッドアーム、108はヘッドアーム107にヘッド支持体106を軸支させる役目を成すヘッド支持軸、110はヘッドアーム107を矢印A17方向に付勢する役目をするヘッド押えばねである。111はテープ送り歯車128(図5に示す)の軸部128-1に固着したテープ送りローラ、112は当接部112-1を有しテープ送り歯車128を保持しているテープ送りローラホルダ、113は軸部128-1を矢印A19方向に付勢する役目を成すテープ送りローラばね、129はテープ送りローラホルダ112を軸支しているテープ送りローラホルダ軸である。114はメインフレーム101に固着したレリーズレバ支持軸115に軸支され両矢印A15,A16方向に回動可能なレリーズレバー、116はレリーズレバ114に固着しているレリーズレバ軸である。117はサブフレーム7にガイドされ両矢印A12,A13方向に移動可能でかつレリーズレバ114に当接している解除レバ、4は解除レバ117の移動を制御する役目をする矢印A11方向へ回動可能な解除カム6を有し解除カム軸121を支点として矢印A10方向に回動可能なカセットカバー、3はメインフレーム101を固定しているプリンタ下ケースである。118は下ケース3と一体成形された、解除カム軸121を支軸する支柱である。103はモータ歯車122を有したモータ、126はモータ歯車122の回転を伝達歯車123から伝達歯車124と噛合して駆動するリボン巻取歯車、104はリボン巻取歯車126によって駆動されるリボン巻取軸、127は伝達歯車123と伝達歯車125を介してモータ歯車122の回転を受けるテープ送り伝え歯車、130はテープ送り伝え歯車軸、131はプラテンローラ軸である。
【0016】
133はテープカセットの有り無しとテープの幅などのテープカセットの種類を検出するカセット検出器132のスイッチ部である。
【0017】
134、135はテープを切断するカッタ刃である。プリンタフレーム101に固定された固定刃134とDCモータ146の駆動により、ウオームギア145が回転し、伝達歯車143、伝達歯車142、伝達歯車141を介して、カッタ駆動歯車139が回転する。矢印A20,A21,A22,A23はテープカットの回転方向を示す。そしてカッタ駆動歯車139にはカム曲線の溝140が彫られており、この溝の中をカッタアーム137に取り付けられたカッタ駆動ピン138が上下移動する。つまりカッタ駆動歯車139の回転によってカッタ駆動ピン138はカッタ回動軸136を中心に回動する。この回動運動によってカッタアーム137に取り付けられたカッタ刃135が回動し、テープ押さえローラ150(図4に示す)とテープ送りローラ111によって送り出されて来る印刷テープ154をカットする。159は、カッタ駆動歯車139の突起部139-1によりカッタホーム位置を検出するマイクロスイッチからなるカッタホーム検出器である。
【0018】
図2に於て、解除カム6によって解除レバ117は両矢印A12、A16方向に押されている。従って解除カム6に於いてはヘッド押えばね110とテープ送りローラばね113の力によって両矢印A13、A15方向への反力を受けており、両矢印A16,A15方向への回転が阻止されている。以上が本発明のテーププリンタの構造を示す説明である。
【0019】
図4は、本発明のテーププリンタ機構部にテープカセット147、リボンカセット148を装着した図である。テープカセット147はリボンカセット148の側面部を覆うように装着される。テープカセット147の中には印刷が施される透明テープ151と、これの印刷面を保護するための両面粘着テープ152が装填されている。図4の状態は、カセットカバー4が閉じた状態で、本体側のヘッド支持体106がテープカセット148側のプラテンローラ149に圧接され、本体側のテープ送りローラ111がテープカセット側のテープ押さえローラ150に圧接されていて、透明テープ151とインクリボン153をヘッド支持体106とプラテンローラ149が、両面粘着テープ152と透明テープ151をテープ送りローラ111とテープ押さえローラ150がそれぞれ加圧し狭持している。
【0020】
図5は、本発明のテーププリンタのブロック図である。
【0021】
テーププリンタの入力、出力等のすべての各デヴァイスはCPU50によって統括制御される。CPU50には数多くのI/Oポート71、72があり、入出力制御を行う。液晶表示装置15はLCDドライバ73を介して制御される。20はキーボードでCPU50から直接キースキャンニングを行いどのキーが入力されたかを検知する。75は警告や応答を知らせるブザーであり、ブザードライバ74を介してCPU50が制御する。51はROMであり、プログラム52、表示用キャラクタジェネレータ(以下CGと称す)53、印刷用CG54、55、56を内蔵している。複数の印刷用CGを持つことにより、複数の文字フォントの印刷を可能にしている。
【0022】
57はRAMであり、編集バッファ58、表示用バッファ59、印刷用バッファ60、作業エリア61、スタックエリア62、印刷設定の文字高さ設定63、文字幅設定64、文字装飾設定65、文字間スペース設定66、テープ長さ設定67、前部マージン設定68、フォント選択69、リピート設定70などを記憶している。
【0023】
76はテープ送りを行うステップモータドライバでステップモータ103を駆動する。また77はカッタ駆動を行うDCモータドライバでDCモータ146を駆動する。105は印刷ヘッドであり、本発明ではサーマルヘッドを用いている。印刷ヘッド105は、ヘッドドライバ79を介して駆動する。印刷ヘッド105はヘッド支持体106とヘッドアーム107、ヘッド支持軸108、ヘッドアーム軸109で支持されている。132はテープカセット検出器で、2本のスイッチ部133により、テープカセットのありなしや、複数のテープ幅を検出する。ステップモータ103が正転駆動されると、モータ歯車122が矢印A1方向に回転し、伝達歯車123がA2方向に回転する。伝達歯車123から伝達歯車125を介してテープ送り伝え歯車127がA6方向に回転し、さらにテープ送り歯車128が回転してテープ送りローラ111がテープを送り出す。テープ押さえローラ150はテープカセット側に装着されており、テープカセット147装着時には、印刷テープ154をはさんでテープ送りローラ111に圧着している。130はテープ送り伝え歯車軸であり、テープ押さえローラ150の支持軸も兼ねている。伝達歯車123は、伝達歯車124も回転させ、リボン巻取歯車126も回転させる。リボン巻取歯車126の回転により、リボン巻取軸104が矢印A4方向に回転しリボン巻取コア158と契合してリボン153を巻取る。矢印A3、A5、A7はテープ送りする歯車の回転方向を示している。78は上記全ての回路を駆動する電源である。
【0024】
つづいて、本発明のテーププリンタの印刷制御について説明する。
【0025】
図6は、テープ印刷の説明図で、58はRAM57内の編集バッファでありキーボードから入力された文字群200を記憶している。201は編集文字の終わりを示す終了コードである。60は、RAM57内に確保されている印刷バッファであり、図にしめすとうり、編集バッファ58内の文字をROM51内の印刷CGを用いてビットマップに展開するメモリである。印刷バッファ60内の202と203はそれぞれドットのあるなしを示している。印刷バッファ60内の縦方向の列が左側から順に印刷ヘッド105に送信され通電を行うと図6(c)の様に印刷を行う。図6(c)では印刷文字「A」の一部を印刷ヘッド105に送信し通電を行った時の印刷ドットを示す。204は印刷しないドットを205は印刷したドットを示す。各通電は、1列毎に行われ、その間にステップモータ103が駆動されテープ送りが行われる。ドット列間の距離d1はステップモータ103の駆動によりテープ送りローラ111の回転送り量により制御している。図7は、本発明のテーププリンタの印刷テープ154とヘッド位置の関係について示した図である。矢印A30はテープ送り方向、217はヘッド位置とカッタ位置の距離分の余白のテープであり、210はその長さを示している。211はテープ長で、前部マージン212、印刷範囲213、後部マージン214の総和である。215はテープ幅で、216は印刷幅である。
【0026】
初期状態では印刷ヘッド105はH1に位置している。印刷指令を受けると前部マージン212分テープを送る。印刷ヘッド105がH2の位置にくると印刷を開始する。印刷開始後前部マージンの先端がカッタ位置にくる時、印刷ヘッド105はH3の位置にあり、印刷を停止しカット処理を行う。カット後印刷を再開し印刷を終了すると印刷ヘッド105はH4に位置する。印刷を停止し後部マージン214分のテープ送りを行う。このときH5に位置する。そして印刷したテープ片を得るために、ヘッドカッタ間距離210分のテープを送った後、カットを行なう(印刷ヘッド105の位置はH6)。このときのヘッドカッタ間距離210分のテープは無駄である。その無駄を解消する方法は後で述べる。
【0027】
さて、カット時のドット間の縦抜けを防ぐ為に、本発明の実施形態を説明する。その方法の1つは、ステップモータのホールド制御であり、他の1つはテープカット前後にテープを逆転させる方法である。
【0028】
まず、ステップモータのホールド制御について説明する。本実施形態では2つの方法について例をあげる。その1つは電流制御であり、他の1つはチョッピング制御である。
【0029】
図8はステップモータの駆動制御回路の略図である。図9は図8の駆動制御回路の駆動方法を示すタイミング図である。図10はステップモータのホールド制御をモータ駆動制御により実現したタイミング図である。
【0030】
図8のステップモータの駆動制御回路はステップモータ103の電流制限回路を電流制限抵抗237と大電流をバイパスするトランジスタ236によって簡単に構成したものである。ホールド信号235が入るとトランジスタ236はOFF状態となり電流は電流制限抵抗237を通して流れる。ホールド信号235が入らない時はトランジスタ236はON状態になり大きな電流が流せるようになる。このようにしてステップモータの回転を停止させ小電力でホールド状態にするものである。図中230はステップモータ駆動ドライバであり、231、232、233、234はそれぞれステップモータの1相、2相、3相、4相の各端子を示す。
【0031】
図9において、240、241、242、243はそれぞれステップモータの1相、2相、3相、4相の各タイミング信号である。また244は、ホールド信号を示す。T1,T3区間はステップモータの回転制御区間であり、T2区間はホールド制御区間である。図8で説明した通り、ホールド信号244がHIGHの状態(T2区間)ではトランジスタ236がOFF状態となりステップモータ122を小電力でホールドする。このT2区間において、印刷したテープのカットを行う。図では4相においてホールドしている。
【0032】
図10はステップモータのホールド制御を励磁相の駆動信号を断続的に制御するいわゆるチョッピング制御する事により実現したものであり、ステップモータの駆動制御回路は図8より電流制限抵抗237、トランジスタ236、ホールド信号235を削除したものとなる。T1,T3が回転制御区間であり、T2がホールド制御区間である。図中240、241、242、243はそれぞれステップモータの1相、2相、3相、4相の各タイミング信号である。
【0033】
次に、テープカット前後にテープを逆転させる方法を説明する。
【0034】
図11は、テープカット前後にテープ送りを逆転・正転するタイミングチャートである。図に於て240、241、242、243はそれぞれステップモータ103の1相、2相、3相、4相の各駆動信号を示す。また、250はヘッドの通電信号、251はカッタ起動信号、252はカッタホームセンサの検出信号、244はヘッドホールド信号である。T1区間では通常のテープ送り(t1、t2,t3,t4)と通電(t5)を行っている。T6は1ドット列分のテープ送り時間を示す。カット位置にくるとテープ送りを逆転させ(T4)、テープカットを行う(T2)。その後逆転させたテープを正転させカット前の位置にテープを戻す(T5)。そしてテープ送りと印刷を再開する(T3)。テープカットに際しては、前述したように、ステップモータのホールド信号244もしくはチョッピング制御によりホールドする。その間カッタを駆動するDCモータ146をカッタ駆動信号251により起動する。オートカットが終了したことを示す信号がカッタホーム検出器159よりホーム位置検出信号252として出力されるので、そのカッタホーム検出信号252を検出した時点でオートカッタ駆動信号251を停止する。次にホールド信号244を停止し印刷動作を再開する。図中t1、t2、t3、t4はそれぞれステップモータ1の1相、2相、3相、4相の駆動パルス時間を示し、t5は印刷ヘッド6の通電時間、t7はカッタの駆動時間、t8とt9はカッタの検出器のパルス時間、t6はテープ逆転後、電源が安定しカッタを駆動するまでの時間を示す。
【0035】
テープカット時における、両面粘着テープと透明テープの状態を示したものが図12である。図において、両面粘着テープ152と透明テープ151は、通常テープ送り出しの張力により引っ張られているが、テープ送りの逆転により、それぞれ152-1と151-1のようにたるませた状態となる。このとき、印刷ヘッド105の位置では、透明テープ151とインクリボン153は印刷ヘッド105とプラテンローラ149に圧着され動くことはない。ここでテープカットされると、両面粘着テープ152-1と透明テープ151-1はカッタに引っ張られわずかに送られるが、やはり、透明テープ151とインクリボン153は印刷ヘッド105とプラテンローラ149に圧着され動くことはない。テープカット後にテープ送りは正転され、両面粘着テープ152-1と透明テープ151-1は元の張った状態に戻る。正転させるとき、逆転の時より少ないパルス数分戻すことにより、余分に引っ張り出してしまうことのないよう制御する。
【0036】
逆転の有効性を図13(a)図13(b)で説明する。図13(a)図13(b)は、ステップモータ歯車122と伝達歯車123の契合部の略図である。図13(a)は通常のテープ送りときの停止状態を、図13(b)は逆転のときの停止状態を示している。図13(a)において矢印A31方向に回転するとテープを送り出す。この状態でカッタが動作すると、矢印A32方向にテープが引っ張られ伝達歯車は、破線123’のように動いてしまう。図13(b)の状態では、矢印A33方向にテープを逆転させており、このときカッタが動作して矢印A34方向に引っ張られても伝達歯車123は動くことができない。図13(a)の現象は、他のテープ送りに係わるすべての歯車125、127、128についても起こるのでカット時にテープが引き出されるのは容易であり、その量も累積される。
【0037】
図14、図15、図16はテープカット時の逆転を含めた制御フローチャートである。
【0038】
図14において、LMは前部マージン、PLは印刷長、RMは後部マージン、Cはテープ送りのドットカウンタ値を示す。Nはヘッドカッタ間のテープ送り距離をドット換算した数値である。これらの変数は、RAM57内の作業用領域61内に確保される。
【0039】
印刷スタートすると(ステップ300)、まず、RAM57内の前部マージン設定値(LMGN)68から前部マージンLMを計算する。この計算はミリメータをドットに計算する。(ステップ301)
LM=LMGN(mm)/d1 (d1はテープ送りドット間距離。図6参照)
次に、印刷長PLを計算する。印刷長PLは印刷文字の幅(WIDE)64と文字数と文字間スペース(CSPC)66で計算する。(ステップ302)
PL=WIDE×文字数+CPSC×(文字数-1)
次に、後部マージンRMを計算する。後部マージンRMは、テープ長設定(TLNG)67から前部マージンLMと印刷長PLを引けば良い。(ステップ303)
RM=TLNG-LM-PL
計算した後部マージンRMが負であれば、テープ長の設定値が短いため、エラーとする。(ステップ304,305)
テープ送りのドットカウンタCを初期化する。(ステップ306)
まず、前部マージンのテープ送りを行う(S1)。すなわち、LMが0になるまで(ステップ309)1ドット送り(ステップ311)とLMを-1して、カウンタCを+1してゆく(ステップ310)。この時Cの値がカット位置に来たかどうかをCとNを比較することでチェックする。(ステップ307)カット位置に来たならば、カット制御Aを行う。(図15)
同様に、印刷動作を行う(S2)。(ステップ312〜317)印刷動作が前部マージンのテープ送りと異なるのは1ドット送り毎に1ドット列の印刷を行うことと(ステップ317)、カット制御Bを行う(ステップ313)ことである。カット制御Bとカット制御Aの違いは、テープ送りの逆転・正転を行うか行わないかの違いである。
【0040】
前部マージンと同様に、後部マージンのテープ送りを行う(S3)。(ステップ318〜322)
前部マージンのテープ送り、印刷のテープ送り、後部マージンのテープ送りにおいてカッタ位置が来る(C=Nとなる)のは、必ず1回であるから、カット制御のステップ308,313,319はどれか1箇所でカットが行われる。
【0041】
後部マージン送り後、テープのカットを行う。Nドットテープ送りをした後(ステップ323)カット制御Aを行なって(ステップ324)印刷制御を終了する(ステップ325)。
【0042】
図15は、カット制御A(逆転をしない場合)のフローチャートである。図に於てTは、CPU50内部のタイマーであり(図示しない)、TNはカッタのタイムアウト時間である。まず、タイマーTのタイムアウト時間TNをセットする。(ステップ331)そして、カッタ駆動するDCモータ146を起動する(ステップ332)。カッタホームセンサ159の信号がONになるまで(ステップ333)タイマーTを-1減じてゆき(ステップ334)、タイマーTが0になったところでタイムアウトと判断し(ステップ335)、カッタ作動エラーとする(ステップ336)。タイムアウトになる前にカッタホームセンサ159がONとなれば、センサ159がOFFしてから(ステップ337)、DCモータを停止して(ステップ338)終了する(ステップ339)。
【0043】
図16は、カット制御B(逆転する場合)のフローチャートである。図において、W1は逆転のステップ数で、W2は正転のステップ数であり、必ず
W2≦W1
である。
【0044】
カット制御Bでは、カット制御Aを呼ぶ(ステップ342)前にW1ドット分のテープの逆転送りを行い(ステップ341)、カット制御Aの後にW2ドット分のテープの正転送りを行う(ステップ343)。
【0045】
印刷中のカット制御により図7で示した、前部後部マージンにてカットするテープ印刷が可能となる。
【0046】
次に、前部マージンとテープ長の設定手段を説明する。
【0047】
図17は、本発明のテーププリンタの主制御ルーチンのフローである。電源ONで(ステップ350)まずシステム初期化を行う(ステップ351)。続いてプリンタ機構部の初期化を行う(ステップ352)。プリンタ機構部の初期化では、カッタをホーム位置に移動する。353で編集バッファ58の文字を表示し、キー入力待ちを行う(ステップ354)。入力されたキーが文字キーならば(ステップ355)、編集バッファ58へ入力する(ステップ356)。文字キーでなければ制御キー判定を行い(ステップ358)、制御キーに従って動作する。SHIFTキー、CAPSキーでは次の文字を入力待ちし(ステップ359,362)、入力されたキーが文字キーならば(ステップ360,363)、それぞれ記号・大文字に変換し(ステップ361,364)編集バッファに入力する。文字キーでなければ、そのキーを無視し次のキーを入力待ちする(ステップ354)。制御キー判定において、FUNCキーならば、次のキーを入力待ちし(ステップ365)、文字キーならば(ステップ366)ファンクションキー判定を行い(ステップ367)ファンクション機能を動作させる。ファンクションキー判定において、入力キーが数字キーの1、2、3、4、5、6、ならば、それぞれ文字高さ設定(ステップ371)、文字幅設定(ステップ372)、文字装飾設定(ステップ373)、文字間スペース設定(ステップ374)、テープ長設定(ステップ375)、前部マージン設定(ステップ376)を行う。数字キーは図1においてキーボード20の所定のキーに配置される。印刷指令キーならばリピート印刷を行う(ステップ377)。制御キー判定(ステップ358)において、印刷指令キーならば印刷処理を行い(ステップ368)、カーソルキーならばカーソル移動を行い(ステップ369)、改行キーならば改行動作を行う(ステップ370)。
【0048】
テープ長設定(ステップ375)と前部マージン設定(ステップ376)においては、表示装置15上に見出しと現在の設定値がミリメートルの単位で表示され、カーソルキーで数値を上下させるか、数字キーで数値を直接入力するかして、改行キーで数値を確定する。ここで、後部マージンの設定手段は不要である。すなわち、テープの設定手段と前部マージンの設定手段と文字幅の設定手段、文字間スペース設定手段があれば後部マージンは自動的に決定するからである。
【0049】
【発明の効果】
以上に述べたように本発明によれば、前部の余白と後部の余白とを簡単な操作で選択設定できるので、使いやすいテーププリンタをユーザに提供することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施形態のテーププリンタの外観図。
【図2】
本発明の一実施形態のテーププリンタの構造を示す上面図。
【図3】
本発明の一実施形態のテーププリンタの構造を示す側面図。
【図4】
本発明の一実施形態のテーププリンタにテープカセットを装着した様子を示す上面図。
【図5】
本発明の一実施形態のテーププリンタの全体構成を示すブロック図。
【図6】
本発明の一実施形態のテーププリンタの印刷制御を示す模式図。
【図7】
本発明の一実施形態のテーププリンタの印刷制御を示す模式図。
【図8】
本発明の一実施形態のテーププリンタのテープ送りモータの回路図。
【図9】
本発明の一実施形態のテーププリンタのテープ送りモータの制御タイミング図。
【図10】
本発明の一実施形態のテーププリンタのテープ送りモータの制御タイミング図。
【図11】
本発明の一実施形態のテーププリンタのカット制御を示すタイミング図。
【図12】
本発明の一実施形態のテーププリンタのカット制御の時のテープの略図。
【図13】
本発明の一実施形態のテーププリンタのカット制御の時の歯車の略図。
【図14】
本発明の一実施形態のテーププリンタのカット制御を示すフローチャート図。
【図15】
本発明の一実施形態のテーププリンタのカット制御を示すフローチャート図。
【図16】
本発明の一実施形態のテーププリンタのカット制御を示すフローチャート図。
【図17】
本発明の一実施形態のテーププリンタの主制御を示すフローチャート図。
【符号の説明】
15 液晶表示装置
20 キーボード
50 CPU
52 ROM
57 RAM
103 テープ送りモータ
105 印刷ヘッド
111 テープ送りローラ
146 カッタ駆動モータ
134 カッタ固定刃
135 カッタ可動刃
149 プラテンローラ
150 テープ押さえローラ
151 透明テープ
【図面】

















 
訂正の要旨 ▲1▼ 特許第3284442号公報第7頁第13欄第24行目から同頁第14欄第46行目(段落番号【0049】から【0054】)までを削除する。
▲2▼ 特許第3284442号公報第7頁第14欄第47行目【0055】を【0049】とする。
▲3▼ 特許第3284442号公報第8頁第16欄第8行目から同欄第13行目(【図面の簡単な説明】の【図18】ないし【図20】)までを削除する。
▲4▼ 図18ないし図20を削除する。
異議決定日 2003-05-06 
出願番号 特願2000-266785(P2000-266785)
審決分類 P 1 651・ 533- YA (B41J)
最終処分 維持  
前審関与審査官 前田 幸雄水野 治彦  
特許庁審判長 松縄 正登
特許庁審判官 山崎 豊
祖山 忠彦
登録日 2002-03-08 
登録番号 特許第3284442号(P3284442)
権利者 セイコーエプソン株式会社
発明の名称 テーププリンタ  
代理人 落合 稔  
代理人 落合 稔  

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