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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B65D
審判 全部申し立て 出願日、優先日、請求日  B65D
審判 全部申し立て 4号2号請求項の限定的減縮  B65D
管理番号 1081467
異議申立番号 異議2003-70878  
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-03-07 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-04-07 
確定日 2003-07-19 
異議申立件数
事件の表示 特許第3333151号「折畳コンテナ」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3333151号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3333151号は、平成5年1月12日に特許出願した特願平5-3539号(以下、「原出願という。」)の一部を平成11年8月26日に新たな特許出願とし、平成14年7月26日に設定の登録がなされ、平成14年10月7日にその特許掲載公報が発行された後、宇部日東化成株式会社外1名より特許異議の申立てがなされたものである。

2.異議申立ての理由の概要
異議申立人宇部日東化成株式会社外1名は、証拠として下記の甲第1乃至5号証を提出し、本件請求項1に係る発明は、以下の理由により取り消されるべきものであると主張している。
[理由1]本件請求項1に係る発明は、甲第1乃至4号証あるいは甲第1乃至5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。なお、甲第5号証は、原出願に係る公開公報であるが、本件出願が、適法な分割出願でないため、その出願日は、分割出願のなされた平成11年8月26日となるので、上記証拠は公知文献として採用できる。
[理由2]本件の出願日は、平成11年8月26日となるので、補正の要件は平成5年法が適用されるところ、平成13年11月5日付けの手続補正は、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲外の事項(新規事項)を含んでいるので、特許法第17条の2第3項の規定に違反する。
[異議申立人の提出した証拠]
甲第1号証:実願平2-72615号(実開平4-32924号)のマイクロフィルム
甲第2号証:特開平4-214738号公報
甲第3号証:実公平1-38027号公報
甲第4号証:実願平2-60374号(実開平4-19148号)のマイクロフィルム
甲第5号証:特開平6-211240号公報

3.本件発明
本件請求項1に係る発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された以下のとおりのものである(以下、「本件発明」という。)。
「 高さの途中に水平なヒンジ部を形成して内側に折り畳まれるようになっている側板を有する折畳コンテナにおいて、次の(a)〜(d)の要件を備えてなることを特徴とする。
(a)二枚の段ボールライナーの間に中芯を有するプラスチック段ボールで前記側板を形成する。
(b)前記プラスチック段ボールは、中芯の向きが側板の高さ方向に向かうように使用方向を設定する。
(c)前記ヒンジ部は、プラスチック段ボールの内側から中芯を横断状に切断することにより形成する。
(d)プラスチック段ボールの前記切断の切り口は、側板を起立させた状態で、寸断された中芯の端面同士が突き合わさる形態にする。」

4.本件が適法な分割出願であるか否かについて
本件特許の出願日を特定するために、まず、本件が適法な分割出願であるか否かについて検討する。
異議申立人は、概略以下の点により、本件発明が、原出願の願書に添付された明細書又は図面に開示された発明とは認められないので、本件特許出願は適正な分割出願ではないと主張している。
(イ)本件発明の「(a)二枚の段ボールライナーの間に中芯を有するプラスチック段ボールで前記側板を形成する」構成〔以下、構成(a)という。〕、及び、「(b)前記プラスチック段ボールは、中芯の向きが側板の高さ方向に向かうように使用方向を設定する」構成〔以下、構成(b)という。〕について原出願の明細書には何ら具体的説明がなされていない。
(ロ)本件発明の「(c)前記ヒンジ部は、プラスチック段ボールの内側から中芯を横断状に切断することにより形成する」構成〔以下、構成(c)という。〕について、原出願の明細書には、「プラスチック段ボールの厚さの一部を切断してヒンジ部とした」旨のみが記載されており、上記の「厚さの一部を切断」は、中芯を切断することの外に中芯以外の中空部を切断することやライナーだけを切断することなども包含され、「中芯を横断状に切断」とは、切断の深さや位置の違いによって機能や作用に差異を生むことがあり得るので、上記の構成は、原出願の明細書に記載されておらず、原出願の明細書の記載から自明な事項でもない。
(ハ)本件発明の「(d)プラスチック段ボールの前記切断の切り口は、側板を起立させた状態で、寸断された中芯の端面同士が突き合わさる形態にする」構成〔以下、構成(d)という。〕は、上記構成(c)が、原出願の明細書又は図面の記載内容から自明でない以上、当業者にとって自明の事項とはいえない。
(ニ)本件明細書に記載された技術的課題は分割出願時に新規に加入されたものであり、該課題と一体の作用や効果を生じる本件発明の技術的思想は原出願の明細書に開示されていたものとは認められない。
そこで検討する。
(イ)「段ボール」は、「ライナー」と称する強靱な表面シートと波形に段をつけた「中芯」とからなること、2枚のライナーの間に中芯を有する両面段ボールが木箱に代わる段ボール箱等に広く用いられていること、段ボール箱の強度を考慮すれば、側板においては中芯の段の向を高さ方向に向けるようにすること等はいずれも、当業者に周知・慣用の技術常識であり、該技術常識に鑑みて、原出願の願書に添付された図面をみれば、【図1】、【図4】、【図6】、【図8】及び【図9】に示された外側板3又は13に連接する底板3c又は13c及び保持部3aの断面、【図2】、【図5】、【図7】、【図9】に示された内側板2又は12に連接する底板2c又は12cの断面、及び、【図7】及び【図8】に示された内側板2及び外側板3のヒンジ部の断面は、いずれも上記構成(a)及び(b)を示しているものと認められる。
(ロ)所定の厚みを持った板状体を厚さの一部を切断することによって折り曲げ可能とする場合に折り曲げの度合に応じた切断の深さが求められるところ、折り畳み、すなわち略180度の折り曲げをする場合、厚みの大部分を切断する必要があることは当業者にとって自明の事項であり、板状体が段ボールである場合には当然中芯の部位においても切断されることになる。そして、原明細書の願書に添付された図面の【図7】及び【図8】には、折り畳まれた内側板2及び外側板3の断面に中芯の波形が露出して示されており、これらの図面は、技術常識に鑑みれば、折り曲げ部において中芯が横断状に切断していること、すなわち上記構成cを示しているものと認められる。
(ハ)原出願の願書に添付された図面の【図2】、【図4】、【図5】及び【図9】には、内側板2又は12及び外側板3又は13が立ち上がった状態でヒンジ部の上下間に間隙のない状態が示されており、上記(イ)及び(ロ)で示した他の図面の開示事項をも勘案すれば当該部位において、切断された中芯の端面同士が付き合わされた形態をとること、すなわち構成dも当業者にとって自明の事項と認められる。
(ニ)異議申立人が本件出願時に新規に技術的課題を加入したとしている本件明細書の記載は、従来周知の蝶番等の金具で屈曲自在に連結された側板を有する折畳コンテナの問題点を記載したものであり、上記の問題点自体も本件出願前周知のものと認められるので、当該記載により、上記の原出願の明細書又は図面に記載されていたと認められる構成(a)乃至(d)によって生じる作用や効果に格別の差異が生じるものではない。
以上のとおり、上記構成(a)乃至(d)を具備する本願発明は、技術常識に鑑みれば、原出願の願書に最初に添付した明細書及び図面に記載されていたものと認められるので、上記の異議申立人の主張は採用できない。
また、他に本件出願が適法な分割出願でないとする理由も見出せない。
したがって、本件出願は、原出願の出願の時にしたものとみなされる。

5.[理由1]について
5-1.証拠
甲第1号証には、上下方向に2分割された側板が分割位置でヒンジ結合されている通い箱(実用新案登録請求の範囲の記載参照)について、側板としてプラスチックダンボールの板材が使用できること(第5頁第1行〜4行の記載参照)、側板同士に使用するヒンジ結合は、ヒンジ部材として補強枠間を肉薄状のヒンジで結合したものや、蝶つがい、凹凸嵌合状態に枢着したものなど回動可能なものであれば、何れの方法であっても良いこと(第5頁第5〜9行の記載参照)、上下分割側板18a、18bは、表面側に設けられたヒンジ部22により内方に折り畳まれること(第8頁第1〜15行、第11頁第13〜20行等の記載参照)が図面とともに示されている。
甲第2号証には、ヒンジ付き中空成形品を、側板が高さの途中で水平なヒンジ部により内側に折り畳まれるようになっている折りたたみコンテナーの側板として用いることが図面とともに記載されている。
甲第3号証には、折畳コンテナーの側板を側板枠と該側板枠に溶着される板体を構成する合成樹脂製の段ボール樹脂板とから構成することが記載されている。
甲第4号証には、平行リブ付中空プラスチックシートを用いて製作した容器が記載されており、その折り曲げ部に、シートの少なくとも下板部は切断され、上板部は接続している半切り切れ目を設けることが図面とともに記載されている。
甲第5号証は、原出願に係る公開公報であり、本件が適法な分割出願であるので、本件出願前に頒布された刊行物ということはできない。
5-2.対比・判断
本件発明と甲第1号証に記載された発明を対比すると、甲第1号証に記載された「通い箱」は、本件発明でいう「高さの途中に水平なヒンジ部を形成して内側に折り畳まれるようになっている側板を有する折畳コンテナ」に相当し、その側板として、プラスチック段ボールを使用することができるので、その場合、本件発明の構成(a)及び(b)を具備することは明らかである。
しかし、ヒンジ部について、甲第1号証に記載のものは、「いずれの方法であっても良い」とはされるものの、2分割された側板を結合するものである以上、側板を構成するプラスチック段ボールを切断して得られるものではあり得ない。
したがって、甲第1号証には、本件発明の、ヒンジ部に係る構成(c)及び(d)については記載も示唆もされていない。
そこで、上記ヒンジ部についての本件発明の構成(c)及び(d)について、他の証拠を検討すると、甲第2号証に記載された折りたたみコンテナーの側板を折り畳み可能にするヒンジ部は、中空成形品からなる側板の成形時に形成されるものであり、プラスチック段ボールからなる側板を切断して得られるものではなく、甲第3号証には、合成樹脂(プラスチック)製段ボールからなる側板にヒンジ部を設けることはなにも記載されておらず、甲第4号証に記載された「平行リブ付き中空プラスチックシート」は本件発明の「プラスチック段ボール」に類似した構造を有しているが、「半切り切れ目」は、側板を内側に折り曲げるものではなく、たとえ、折り曲げ部に設けられるという点で本件発明の「ヒンジ部」とその機能において共通するものがあるとしても、該半切り切れ目について「シートの少なくとも下板部は切断され、上板部は接続している」とされるのみであって、リブについては何も言及されていないので、本件発明の「ヒンジ部はプラスチック段ボールの内側から中芯を横断状に切断することにより形成する」という構成を示唆するものではない。
以上のとおりであるから、異議申立人の提出した甲第1乃至4号証には本件発明の構成(c)および(d)について記載も示唆もされておらず、本件発明は、上記の構成を具備することにより、明細書に記載された特有の効果を奏するものであるので、上記の証拠に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものとすることはできない。
5-3.異議申立人の主張
異議申立人は、甲第1号証に従来の折畳コンテナの構成部品と組立工数が多くコスト高であるという課題が開示されていたので、甲第4号証を動機付けとしてヒンジ部を切断手段により形成してコストダウンを達成することは当業者が当然予測できたものである旨主張しているが、甲第4号証に記載された「リブ付き中空プラスチックシート」の「半切り切れ目」が本件発明のプラスチックダンボールで形成したヒンジ部の構成を具備していないことは上記「5-2.対比・判断」で述べたとおりであるのでこの主張は採用できない。

6.[理由2]について
異議申立人が理由2の前提としている、本件出願の分割要件は、上記「4.本件が適法な分割出願であるか否かについて」で述べたとおりであり、本件は原出願の出願時に出願されたものとみなされ、平成5年法は適用されないので、理由2によって本件特許を取り消すことはできない。

7.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件請求項1に係る特許は拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものではない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-07-01 
出願番号 特願平11-239078
審決分類 P 1 651・ 572- Y (B65D)
P 1 651・ 121- Y (B65D)
P 1 651・ 03- Y (B65D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 一ノ瀬 覚  
特許庁審判長 鈴木 美知子
特許庁審判官 杉原 進
山崎 勝司
登録日 2002-07-26 
登録番号 特許第3333151号(P3333151)
権利者 株式会社アパックス
発明の名称 折畳コンテナ  
代理人 渡邊 薫  
代理人 渡邊 薫  
代理人 武蔵 武  
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