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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  F16L
管理番号 1081484
異議申立番号 異議2001-70106  
総通号数 45 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-03-24 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-01-12 
確定日 2003-08-11 
異議申立件数
事件の表示 特許第3063857号「炭化水素流体用の静電荷散逸多層チューブ」の請求項1ないし16に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3063857号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 1.出願手続の経緯
本件特許第3063857号に係る特許出願は、平成6年4月28日の米国出願を優先権の基礎として、平成7年4月20日に国際出願されたものであって(特願平7-528259号)、平成12年5月12日に特許権の設定登録がなされたものである。

2.特許異議の申立て
平成13年1月12日付けで森弘太郎及び伊藤壽朗から2件の特許異議の申立がなされた。

森弘太郎からの異議の申立(以下、「異議申立A」という。)の要点は、
a)本件特許明細書の請求項11ないし13に係る記載に不備があり、特許法第36条第4項の規定により拒絶されるべきものである。

b)本件特許の請求項11に係る発明は、甲第1号証に記載された発明から当業者が容易に想到できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、又は甲第2号証に記載された発明と同一であるから、特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。

伊藤壽朗からの異議の申立(以下、「異議申立B」という。)の要点は、
a)本件特許の請求項1ないし4、5ないし10、14ないし16に係る発明は、甲第1号証ないし第6-2号証に記載された発明から、当業者がそれぞれ容易に想到できたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

b)本件特許明細書の請求項11ないし13に係る記載に不備があり、特許法第36条第3項、第4項及び第5項の規定により拒絶されるべきものである。

というものである。

3.訂正請求
この特許異議の申立てにより、平成13年3月29日付けで取消理由が通知され(発送日は平成13年4月10日。)、これに対して、平成13年10月10日付けで意見書と共に、訂正請求書が提出された。
さらに、平成13年11月20日付けで取消理由が通知され(発送日は平成13年11月30日。)、これに対して、平成14年5月28日付けで意見書と共に、訂正請求書が提出された。

平成13年10月10日付け訂正請求は、平成14年5月28日付けで取り下げられた。
また、平成14年5月28日付け訂正請求書による訂正は、本件特許の請求項1に係る発明について、第3層を構成する樹脂と第2層を構成する樹脂との限定に関する訂正を含むものである。

4.異議の決定
前記特許異議の申立てに対して、平成14年7月29日付けで異議の決定がなされた。
その結論は、
a)平成14年5月28日付け訂正請求書による訂正を認める。
b)請求項1ないし3(訂正前の請求項1、3、4に対応する。)に係る特許を取り消す。
c)請求項4ないし10(訂正前の請求項5、7、8、9、10、11、13に対応する。)に係る特許を維持する。
というものである。【以下、請求項については、訂正後の請求項を記載する。】

5.異議決定取消訴訟
前記異議の決定に対して、平成14年12月11日付けで特許取消決定取消の訴えが提起され(平成14年(行ケ)第619号)、平成15年5月30日に判決が言い渡された。

この判決の主文は、前記異議の決定のうち、「請求項1ないし3に係る特許を取り消す。」との部分を取り消す、というものである。

また、前記取り消しの理由の要点は、本件特許の請求項1ないし3に係る発明の認定において、「ビニルアセテート」と認定すべき個所を誤って「ビニルアルコール」と認定しており、この事実誤認が異議の決定の結論に影響を及ぼすことは明らかである、というものである。

すなわち、平成14年5月28日付けの訂正請求書により、第2層を構成する樹脂について、本件特許の請求項1を設定登録時の「4よりも少ない炭素原子を有するアルケンおよびビニルアルコールの共重合体と、4よりも少ない炭素原子を有するアルケンおよびビニルアセテートの共重合体と、これらの混合物とからなるグループから選択された」(本件特許掲載公報に記載されたもの)という選択的な記載から、
「少なくとも、4よりも少ない炭素原子を有するアルケンおよびビニルアセテートの共重合体を包含する」に限定する訂正請求がなされ、この訂正請求は異議の決定の中で認められたにもかかわらず、
同異議の決定では、この第2層を構成する樹脂について、「少なくとも、4よりも少ない炭素原子を有するアルケンおよびビニルアセテートの共重合体を包含する」ではなく、「少なくとも、4よりも少ない炭素原子を有するアルケンおよびビニルアルコールの共重合体を包含する」と認定しており、この事実誤認は異議の決定の結論に影響を及ぼすことは明らかである、というものである。

6.請求項1ないし3に係る発明の特許性の検討
上記判決を受け、本件特許の請求項1ないし3に係る発明が特許を受けることができるか否かについて再度検討する。

(1)異議申立Bにおける主張
異議申立Bにおける請求項1ないし3に係る発明に関する主張の要点は次のとおりである。
請求項1ないし3に係る発明は、甲第1号証ないし第3-2号証に記載された発明から当業者が容易に想到できたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

特に、請求項1に係る発明については、甲第1号証に「静電エネルギーを散逸可能」な点以外の基本的な構成が記載されており、この「静電エネルギーを散逸可能」な点は、甲第2-1号証ないし第2-3号証に記載されているように従来周知である、というものである。

また、第2層を構成する樹脂について、設定登録時(異議申立時)の請求項1は、前記したように「4よりも少ない炭素原子を有するアルケンおよびビニルアルコールの共重合体と、4よりも少ない炭素原子を有するアルケンおよびビニルアセテートの共重合体と、これらの混合物とからなるグループから選択された」という選択的なものであったが、
異議申立Bでは、「4よりも少ない炭素原子を有するアルケンおよびビニルアルコールの共重合体」について甲第1号証に記載されているとのみ主張し、「4よりも少ない炭素原子を有するアルケンおよびビニルアセテートの共重合体」については、何も言及していない。

なお、異議申立Aは、請求項1ないし3については、何も言及していない。

(2)本件発明
本件特許の請求項1ないし3に係る発明は、平成14年5月28日付け訂正請求による訂正後の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載された次のとおりのものと認められる。

「【請求項1】自動車システムに接続されて炭化水素を含有する流体を取扱う長い多層チューブであって、
半径方向の最内側に配置され、炭化水素を含有する流体に長期にわたって晒すことが可能な内面と、この内面から所定の第1半径方向厚さで離隔した外面とを有し、ナイロン11と、ナイロン12と、ナイロン6と、熱可塑性エラストマーと、これらの混合物とからなるグループから選択される押出し可能で溶融加工可能な熱可塑性樹脂からなる第1層と、
最大でもこの第1層の厚さに等しい所定の第2半径方向厚さを有する第2層とを備え、この第2層は、第1層に均一に結合され、この第1層に十分永久的に積層接着してこの多層チューブの所要の使用寿命にわたって積層分離を防止する押出し可能で溶融加工可能な熱可塑性樹脂からなり、これらの第1層と第2層との少なくとも一方が、炭化水素の透過を防止するための耐性を有し、更に、
第1層よりも大きな所定の第3半径方向厚さを有し、第2層に均一に結合される第3層を備え、この第3層は、この第2層に十分永久的に積層接着してこの多層チューブの所要の使用寿命にわたって積層分離を防止する押出し可能で溶融加工可能な熱可塑性樹脂からなり、この押出し可能で溶融加工可能な熱可塑性樹脂は、ナイロン11と、ナイロン12と、塩化亜鉛耐性のナイロン6と、熱可塑性エラストマーとの少なくとも1つであり、
この多層チューブの少なくとも1の層が、静電エネルギを散逸可能であり、
前記第2層は、少なくとも、4よりも少ない炭素原子を有するアルケンおよびビニルアセテートの共重合体を包含する押出し可能で溶融加工可能な熱可塑性樹脂を主要構成物として含む、多層チューブ。」(以下、「本件特許発明1」という。)

「【請求項2】更に、第3層を覆うジャケットを形成する第4層を備え、このジャケットは、ナイロン11と、ナイロン12と、塩化亜鉛耐性のナイロン6と、ポリエーテルブロックアミドと、熱可塑性エラストマーと、これらの混合物とからなるグループから選択された熱可塑性ゴムからなる材料を備える請求項1に記載の多層チューブ。」(以下、「本件特許発明2」という。)

「【請求項3】少なくとも1の層は、ほぼ104から109ohm/cm2の範囲で静電荷を散逸可能である請求項1に記載の多層チューブ。」(以下、「本件特許発明3」という。)

(3)異議申立Bにおける甲第1号証(特開昭61-248739号公報)(以下、単に「甲第1号証」という。)

甲第1号証には、図面とともに、以下の記載がある。

・「ポリアミド壁を有しかつスクリュ押し出し機による押し出しにより作られた合成樹脂管から成り、所定の長さで固定的に設置可能な自動車用燃料送り導管において、ポリアミド壁(2)が、流れ通路の側にポリビニルアルコールをベースにしたアルコール遮断層(3)を有し、かつこのアルコール遮断層が、、流れ通路の側にポリアミドをベースにした水遮断層(4)を有し、その際ポリアミド壁(2),アルコール遮断層(3)および水遮断層(4)が、同時押し出しにより材料結合してまとめられており、かつポリアミド壁(2)が所定の長さの支障ある程の増加を生じることなく、アルコール吸収に基づく水遮断層の膨潤を吸収する壁厚を有することを特徴とする、所定の長さで固定的に設置可能な自動車用燃料送り導管。」(特許請求の範囲(1))

・「ポリアミド壁(2)が、DIN7728によるポリアミド11またはポリアミド12から構成されている、特許請求の範囲第1項記載の導管。」(特許請求の範囲(2))

・「アルコール遮断層(3)が、十分な割合のポリビニルアルコールを含む押し出し可能なコポリマーから成る、特許請求の範囲第1または2項記載の導管。」(特許請求の範囲(3))

・「コポリマーが、ビニルアルコール+エチレンから構成されている、特許請求の範囲第3項記載の導管。」(特許請求の範囲(4))

・「水遮断層(4)が、DIN7728によるポリアミド11またはポリアミド12から構成されている、特許請求の範囲第1-4項の1つに記載の導管。」(特許請求の範囲(5))

・「ポリアミド壁(2)が、0.75-1.25mmの厚さを有する、特許請求の範囲第1-5項の1つに記載の導管。」(特許請求の範囲(6))

・「遮断層(3,4)が、ポリアミド壁(2)の厚さのほぼ10%の壁厚を有する、特許請求の範囲第1-6項の1つに記載の導管。」(特許請求の範囲(7))

・「本発明は、次のような知識に基づいている。すなわちポリアミド壁を含む周知の導管の膨潤に基づく伸びは、燃料からポリアミド壁にアルコールが侵入拡散し、かつここで膨潤を引き起こすことによって生じる。アルコールに耐えるためポリビニルアルコールをベースにした遮断部をポリアミド壁の流れ通路側に設ける実験は、失敗に終わっただけである。アルコールは拡散の過程でこの遮断層を通過してしまう。驚くべきことに本発明により示したように、アルコール遮断層の流れ通路側にポリアミドから成る別の遮断層を配置した場合、こうはならない。このポリアミド層は、水遮断層として作用し、かつわずかな壁厚でもアルコール遮断層内への水の拡散を防ぎ、他方においてこのアルコール遮断層は、極めて薄壁に構成できる。ポリビニルアルコールをベースにしたアルコール遮断層に水が達しない場合、(中略)この層は、確実にアルコール遮断層として働く。」(第3頁左下欄第4行-右下欄3行)

これらの記載を参照すると、甲第1号証には次の発明が記載されているものと認められる。
「所定長さの自動車用燃料送り導管であって、
半径方向の最内側に配置され、炭化水素を含有する流体に長期にわたって晒すことが可能な内面と、この内面から所定の第1半径方向厚さで離隔した外面とを有し、ポリアミド11またはポリアミド12からなる押出し可能で溶融加工可能な熱可塑性樹脂からなる水遮断層と、
この水遮断層の厚さに等しい所定の第2半径方向厚さを有するアルコール遮断層とを備え、このアルコール遮断層は、押出し可能で溶融加工可能な熱可塑性樹脂からなり、更に、
水遮断層よりも大きな所定の第3半径方向厚さを有するポリアミド壁を備え、このポリアミド壁は、押出し可能で溶融加工可能な熱可塑性樹脂からなり、この押出し可能で溶融加工可能な熱可塑性樹脂は、ポリアミド11またはポリアミド12からなり、
前記アルコール遮断層は、4よりも少ない炭素原子を有するアルケンおよびビニルアルコールの共重合体からなる押出し可能で溶融加工可能な熱可塑性樹脂を主要構成物として含む、多層チューブ。」(以下、「甲第1号証発明」という。)

(4)対比
そこで、本件特許発明1と、甲第1号証発明とを比較すると、甲第1号証発明の「所定長さの自動車用燃料送り導管」は本件特許発明1の「自動車システムに接続されて炭化水素を含有する流体を取扱う長い多層チューブ」に相当し、以下同様に「水遮断層」は「第1層」に、「アルコール遮断層」は「第2層」に、また「ポリアミド壁」は「第3層」にそれぞれ相当する。

また、甲第1号証発明の「ポリアミド11またはポリアミド12」は「ナイロン11またはナイロン12」のことであって、本件特許発明1の「ナイロン11と、ナイロン12と、ナイロン6と、熱可塑性エラストマーと、これらの混合物とからなるグループから選択される」ものであり、また、「ナイロン11と、ナイロン12と、塩化亜鉛耐性のナイロン6と、熱可塑性エラストマーとの少なくとも1つ」である。

さらに、甲第1号証発明の「水遮断層の厚さに等しい所定の第2半径方向厚さを有するアルコール遮断層」は「最大でもこの水遮断層の厚さに等しい所定の第2半径方向厚さを有するアルコール遮断層」に含まれる。

したがって、両者は、
「自動車システムに接続されて炭化水素を含有する流体を取扱う長い多層チューブであって、
半径方向の最内側に配置され、炭化水素を含有する流体に長期にわたって晒すことが可能な内面と、この内面から所定の第1半径方向厚さで離隔した外面とを有し、ナイロン11と、ナイロン12と、ナイロン6と、熱可塑性エラストマーと、これらの混合物とからなるグループから選択される押出し可能で溶融加工可能な熱可塑性樹脂からなる第1層と、
最大でもこの第1層の厚さに等しい所定の第2半径方向厚さを有する第2層とを備え、この第2層は、押出し可能で溶融加工可能な熱可塑性樹脂からなり、更に、
第1層よりも大きな所定の第3半径方向厚さを有する第3層を備え、この第3層は、押出し可能で溶融加工可能な熱可塑性樹脂からなり、この押出し可能で溶融加工可能な熱可塑性樹脂は、ナイロン11と、ナイロン12と、塩化亜鉛耐性のナイロン6と、熱可塑性エラストマーとの少なくとも1つであり、
前記第2層は、押出し可能で溶融加工可能な熱可塑性樹脂を主要構成物として含む、多層チューブ。」
の点で一致し、次の点で相違する。

[相違点1]本件特許発明1では、「第2層は、第1層に均一に結合され、この第1層に十分永久的に積層接着してこの多層チューブの所要の使用寿命にわたって積層分離を防止する押出し可能で溶融加工可能な熱可塑性樹脂からなり、」また「第2層に均一に結合される第3層を備え、この第3層は、この第2層に十分永久的に積層接着してこの多層チューブの所要の使用寿命にわたって積層分離を防止する押出し可能で溶融加工可能な熱可塑性樹脂から」なるのに対して、甲第1号証発明では、このような限定がない点。

[相違点2]本件特許発明1では、「第1層と第2層との少なくとも一方が、炭化水素の透過を防止するための耐性を有」するのに対して、甲第1号証発明ではこのような限定がない点。

[相違点3]本件特許発明1では、「多層チューブの少なくとも1の層が、静電エネルギを散逸可能で」あるのに対して、甲第1号証発明ではこのような限定がない点。

[相違点4]本件特許発明1では、「第2層は、少なくとも、4よりも少ない炭素原子を有するアルケンおよびビニルアセテートの共重合体を包含する」のに対して、甲第1号証発明では、「第2層は、4よりも少ない炭素原子を有するアルケンおよびビニルアルコールの共重合体からなる」点。

(5)判断
まず、上記相違点4について検討する。
甲第1号証には、中間層に「4よりも少ない炭素原子を有するアルケンおよびビニルアセテートの共重合体」を用いる点は記載されていない。

また、甲第1号証発明において、第2層(アルコール遮断層)の「4よりも少ない炭素原子を有するアルケンおよびビニルアルコールの共重合体」は、第3層(ポリアミド壁)へのアルコールの侵入拡散を防止するために設けられたものであり、
さらに、「4よりも少ない炭素原子を有するアルケンおよびビニルアセテートの共重合体」は、前記「4よりも少ない炭素原子を有するアルケンおよびビニルアルコールの共重合体」とは別の化学物質であり、一般的には、接着剤として用いられるものであることから、
甲第1号証発明において、第2層(アルコール遮断層)に、「4よりも少ない炭素原子を有するアルケンおよびビニルアルコールの共重合体」を用いることに代えて、「少なくとも、4よりも少ない炭素原子を有するアルケンおよびビニルアセテートの共重合体を包含する」熱可塑性樹脂を用いることは、当業者が容易に想到し得たとは認められない。

さらに、甲第2-1号証ないし第2-3号証にも、「4よりも少ない炭素原子を有するアルケンおよびビニルアセテートの共重合体」に関する記載はない。

したがって、本件特許発明1は、相違点1ないし3を検討するまでもなく、異議申立Bの理由および証拠から、当業者が容易に想到し得たものとは認められない。

また、本件特許発明2は、本件特許発明1の構成要件に、「第3層を覆うジャケットを形成する第4層を備え、このジャケットは、ナイロン11と、ナイロン12と、塩化亜鉛耐性のナイロン6と、ポリエーテルブロックアミドと、熱可塑性エラストマーと、これらの混合物とからなるグループから選択された熱可塑性ゴムからなる材料を備える」点を付加したものであり、
本件特許発明3は、本件特許発明1の構成要件に、「少なくとも1の層は、ほぼ104から109ohm/cm2の範囲で静電荷を散逸可能である」点を付加したものであることから、
本件特許発明1が異議申立Bの理由および証拠から、当業者が容易に想到し得たものとは認められない以上、本件特許発明2ないし3も異議申立Bの理由および証拠から、当業者が容易に想到し得たものとすることはできない。

7.まとめ
以上のとおりであるから、本件特許の請求項1ないし3に係る特許は、異議申立Bの理由および証拠から取り消すことはできない。
また、他に本件特許の請求項1ないし3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。

よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2002-07-29 
出願番号 特願平7-528259
審決分類 P 1 651・ 121- Y (F16L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 佐野 遵  
特許庁審判長 橋本 康重
特許庁審判官 久保 克彦
水谷 万司
鈴木 由紀夫
岡本 昌直
登録日 2000-05-12 
登録番号 特許第3063857号(P3063857)
権利者 アイティーティー・マニュファクチャリング・エンタープライジズ・インコーポレーテッド
発明の名称 炭化水素流体用の静電荷散逸多層チューブ  
代理人 鈴江 武彦  
代理人 坪井 淳  
代理人 村松 貞男  
代理人 小原 英一  
代理人 白根 俊郎  
代理人 橋本 良郎  

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