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審決分類 審判 審判種別コード:11 2項進歩性  G01N
管理番号 1082973
審判番号 審判1992-1770  
総通号数 46 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1980-05-08 
種別 無効の審決 
審判請求日 1992-02-03 
確定日 2003-09-30 
事件の表示 上記当事者間の特許第1609226号「微小領域X線デイフラクトメ-タ-」の特許無効審判事件についてされた平成 6年 7月15日付け審決に対し、東京高等裁判所において審決取消の判決(平成11年(行ケ)第81号、平成11年 6月 9日判決言渡)があったので、さらに審理のうえ、次のとおり審決する。 
結論 特許第1609226号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は被請求人の負担とする。 
理由 1 手続の経緯
本件特許第1609226号に係る出願は、昭和53年10月30日に出願され(特願昭53-134388号)、平成1年10月11日における出願公告(特公平1-46822号)を経て、平成3年6月28日に特許の設定の登録がされたものであり、平成4年2月3日に本件特許に対して特許の無効審判が請求され、平成6年7月15日に上記請求は成り立たないとする審決がされた。
その後、平成8年11月19日に本件の願書に添付した明細書の特許請求の範囲及び発明の詳細な説明の記載を訂正する旨の訂正審判が請求され、平成9年7月14日に上記訂正を認める旨の審決がされ、訂正が確定し、東京高等裁判所において、上記平成6年7月15日付け審決を取消す判決(平成11年(行ケ)第81号、平成11年6月9日判決言渡)がされた。

2 本件発明
本件特許に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、上記訂正後の明細書及び図面からみて、その特許請求の範囲に記載された次のとおりのものと認められる。
「多数の結晶粒から成る試料と、
X線源と、
該X線源からのX線をコリメートして前記試料上の微小領域に照射するための手段と、
前記試料上のX線照射位置を観察するための光学顕微鏡と、
前記X線の光路を含む面内に前記試料によって回折されるX線の所望角度範囲をカバーするように試料の回りに半円状を成して配置された位置感応型X線検出器と、
前記光学顕微鏡を用いて試料の所望の微小領域を測定位置に位置付けるため前記試料の位置を微調整するための調整機構と、
前記検出器からの信号を処理し位置情報を得る回路と、
この信号を一定期間積算的に記憶する手段と、
該信号を積算的に記憶する測定期間中、その先端に前記試料を保持する回転軸(φ)を連続的に回転させると共に該試料を前記回転軸(φ)とは垂直なχ軸の回りに連続的に回転させるための試料駆動機構と、
前記記憶された信号を読み出し、表示する手段と
から構成したことを特徴とする微小領域X線デイフラクトメーター。」

3 引用例及びその記載事項
甲第1号証;ADVANCES IN X-RAY ANALYSIS Vol.20」(1977年,University of Denver、p.529-545)(以下、「引用例1」という。)
「粉末試料と、その試料にX線をコリメートして照射するための手段と、試料によって回折されるX線の所望角度範囲をカバーするように配置された位置感応型のX線検出器と、検出器からの信号を処理し位置情報を得る回路と、この信号を一定期間記憶する手段と、前記試料を保持する回転軸を回転させるための手段とからなるX線デイフラクトメーター」が記載され、位置感応型のX線検出器に関して、次のとおり記載されている。
「粉末回折法への応用を伴った新しい比例計数管X線検出器が開発された。この新しい検出器は、実質的に完全な回折スペクトルを、良好な効率と角度分解能とをもって収集する。したがって、小さな試料の粉末スペクトルを、フィルムまたは従来の粉末デイフラクトメータを使う場合よりも非常に高速に得ることができる。検出器の出力はデジタルであって、専用のミニコンピュータに接続される。」(529頁7〜13行)
「粉末回折法は、試料の同定をするのに有用で強力な手段であり、好ましい条件(反射が強くて指標を指定できる場合)では、結晶構造を決定することも可能である。この粉末法は、ランダムな方向を向いた小さな結晶粒を必要とし、そのために、この方法は、比較的弱くてしばしば密集している反射群によって特徴づけられる。現在入手できるカメラとデイフラクトメータは、それぞれ通常のX線フィルム帯か、コリメートされた移動計数管検出器を用いているが、弱い強度を補う何の手段もない。要望されているものは、広い角度範囲をカバーする検出器であって、かつ、目的のエネルギーにおいてX線放射に対する高い効率を備えるものであり、さらに、有限のビーム・コリメーションや、ビームエネルギーの広がりや試料の寸法といった制限条件に少なくとも匹敵するだけの角度分解能を備えることである。このような検出器は、理想的には、電子的な読み出し方法を備えるべきであり、これにより、コンピュータでデータを入手、記憶、処理そして表示すること可能になる。」(529頁16〜29行)
「我々は位置感応型の単線式比例検出器を開発したが、これは、上述の検出器仕様に適合するものである。」(529頁下から4〜3行)
「理想的な適用例とは、そして最近までは無視されてきた全く驚くべき適用例とは、X線粉末回折法である。この適用例に対して検出器を設計するときの基本的な問題は幾何学的なものであった。好ましいイメージング表面は、平面ではなくて、むしろ、ビーム軸に直交していて試料上に中心が来るような真正の円筒である。散乱平面では、粉末リングの座標は回折角度2θに比例する。
我々が開発した比例検出器の独特の特徴は、その円筒形状にある。すなわち、陽極ワイヤーと読み出し平面とが散乱平面内で円弧状にカーブしている。このことは、読み出しが2θに正確に比例するという利点をもたらし、この場合、検出器はコリメートもされないし、機械的に走査されることもない。」(532頁14〜26行)
「理想的には、このワイヤ一式検出器は2θで180°をカバーするはずである。我々の陽極ワイヤー形成方法は、この可能性を容易には満たさない。・・・我々は、・・・検出器の最適な角度スパンを実験的に決定し、結果として、半径135mmで約70°を得た。我々は、このスパンと、回折パターンに固有の対称性とを利用して、3個の別個の独立した検出器を配置することを採用した。これらの検出器は ・・・粉末試料を中心とする1つの真空チャンバーの周辺に設置される(図2を参照)。この方法では、ユーザーはほぼ180°に近いスペクトルを得ることができる。実際の構造は入射コリメータと出射ビームストッパとを含み、この出射ビームストッパは背面方向の15°と前方方向の3°とを遮断する。したがって、実際には、2θで3〜165°を同時に観測できる。」(532頁下から14〜2行)
また、粉末試料について、「試料は、可能な最良の2θ分解能となるように準備された。すなわち、この粉末はキャピラリーの内部に詰められ、試料幅は200μmのオーダーとなる。これらの細い試料は、ラインフォーカスと相まって、ビームの発散を約0.08°の半価幅に制限している。」(534頁下から3行〜535頁1行)と記載され、試料の1軸回転について、「図9は、1kWのCuのX線管で発生したX線ビーム中で200μmの試料を回転させて120秒間測定したときの水晶のスペクトルである。」(541頁16〜17行)と記載されている。

甲第8号証;THE REVIEW OF SClENTIFIC INSTRUMENTS、Vol.20、No.5」(1949年、p.365-366)(以下、「引用例2」という。)
「単結晶試料と、X線源と、該X線源からのX線をコリメートして前記試料に照射するための手段と、前記試料の位置を調整するための調整機構と、前記試料を保持する回転軸を連続的に回転させると共に該試料を前記回転軸とは垂直な軸の回りに連続的に回転させるための試料駆動機構とから構成したX線デイフラクトメーター」が記載され、「単結晶を粉末にすることなく単結晶の同定をすることがときどき要求される。」(365頁右欄本文1〜2行)、「同定の目的のためには単結晶から直接粉末データが得られれば便利である。このことは、X線ビーム中に配置した結晶に、非常に多数の方向性を与えることによって達成される。」(365頁右欄本文12〜15行)、「モータ(12)の運動が歯車(13)を介して大きな平歯車に伝達されると、試料ホルダーはコリメータの軸の回りに回転する。同時に、円板(4)はコリメータ軸に垂直な軸の回りに試料を回転させる。このようにして、結晶は互いに垂直な2つの軸の回りに回転する。パターンは、ビームの軸の回りで結晶とは反対方向に回転する平坦なフィルム上に記録される。」(365頁右欄本文下から5行〜366頁左欄3行)、「上述の平坦なカセットを、日常の同定に使う粉末カメラと半径を同じにした半円筒状のカセットに置き換えれば、より改良されるであろう。」(366頁右欄2〜5行)と記載されている。

甲第10号証;「材料、第21巻、第227号」(昭和47年8月、p.807-815)(以下、「引用例3」という。)
「多数の結晶粒からなる試料と、X線源と、該X線源からのX線をコリメートして前記試料に照射するための手段と、前記試料を保持する回転軸の回りに振動させると共に該試料を前記回転軸とは垂直な軸の回りに振動させるX線による応力測定装置」が開示され、次のとおり記載されている。
「結晶質材料中に存在する微視的組織の観察手段としての細束X線回折法は次の3つの大きな利点を有している。まず他のX線回折法と共通の特徴として、(1)・・・材料を破壊することなく観察することが可能であること、さらに材料に照射されるX線束の直径が小さいため・・・、(2)回折像の分解能がよく結晶変形のより詳細な定量的観察が可能であること、ならびに(3)X線照射域の大きさが数10〜100μ程度であり材料が不均一に変形している場合などその一部分の領域の変形を選択して観察することが可能であることの3点である。」(807頁左欄2〜14行)
「エックス線カメラの中に光学顕微鏡が組込まれ、顕微鏡の光軸と入射X線束の軸とを一致するように工夫されて試料の随意の位置に細束エックス線束を照射することが可能となったカメラも現在数種市販されている。さらに微小領域X線応力測定法のために試料およびフィルムカセットに振動装置が付加されたカメラもある・・・」(807頁右欄3〜9行)
「塑性変形があまり大きくない材料から試料・フィルムの静止状態で得られる細束X線回折像は通常連続環となっていない。しかし、結晶振動法を導入し試料を写真撮影中にX線軸およびそれに垂直な軸(図21参照)のまわりに小さい角度範囲で振動させることにより、X線束の照射位置を変化させることなく回折にあずかる結晶粒の数を倍加させ得る。そのため振動条件を適当に定めると、焼きなまし材あるいは塑性変形があまり大きくない材料のときにもデバイ環全周に渡って連続した回折像が得られる。」(813頁右欄10〜19行)と記載されている。

甲第13号証;「材料、第27巻、第294号」(昭和53年3月、p.216-220)(以下、「引用例4」という。)
「放射線の位置および強度分布を純電子的に計測する位置検出型比例計数管」(2頁左欄2〜3行)をX線応力測定に応用すると、「とくに従来写真法しか適用できなかった微小領域の残留応力測定が可能と考えられ」(2頁左欄10〜11行)ること、「X線応力測定用の位置検出型比例計数管PSPCの試作とその性能試験およびX線応力測定についての基礎実験を行っ」(6頁左欄7〜9行)たこと、「測定時間は従来の計数管方式に比較して著しく短縮された」(6頁左欄13〜14行)ことが記載され、今後「細束X線を用いた応力測定に本方式を適用して、時間の短縮化、精度向上を図る」(6頁左欄19〜21行)ことが記載されている。

甲第15号証;「日本結晶学会誌、第18巻、第30号」(1976年、p.30‐34)(以下、「引用例5」という。)
「粉末や金属箔さらには岩石薄片などの試料と、その微小領域にX線をコリメートして照射するための手段と、光学顕微鏡と、試料によって回折されるX線の所望角度範囲をカバーするように走査するドーナツ型中空筒のX線検出器とからなる微小領域X線デイフラクトメーター」が記載され、該微小領域X線ディフラクトメーターの開発の背景として、「X線ディフラクトメータには、集中法を用いた粉末法X線ディフラクトメータ、4軸ゴニオメータを備えた単結晶解析用X線ディフラクトメータなどがある。粉末法X線ディフラクトメータは試料の同定分析、定量分析、状態の研究など広い応用分野に使われている。しかしこの装置は試料の全体から情報を得、試料全体がどういう物質から成っているか、どういう状態にあるのかを研究するために用いられており、試料の局部(例:介在物、析出物など)がどのような物質構成で、どのような状態になっているかを議論するには不得意な装置である。
従来このような微小部分の研究には微小焦点X線発生装置を用い、微小部の研究にふさわしいX線カメラが用いられてきた。しかしこれらのX線カメラには次のような欠点があった。
(1)微小部にX線を照射することから、回折に寄与する結晶粒子の数が少なくなり、しばしば回折像がデバイリングにならず放射状の回折斑点として現われることがあり、データは得られても解析不能な例が多かった。
(2)測定時間を短縮したいことからカメラ長を短くする。このことから測定精度が低下し、同定が困難になってくる。
(3)測角範囲が限定されやすく、解析に必要かつ十分な回折線の数が得難い。
これらの欠点をなくしたのがこの新しいX線ディフラクトメータであり、これをマイクロディフラクトメータと呼んでいる。」(30頁本文2〜17行)と記載されている。
また、該マイクロディフラクトメータに関して、次のとおり記載されている。
「本ディフラクトメータの基本的原理図を第1図に示した。すなわち、X線を試料に入射させ、試料からの回折円錐全体をリング状受光スリットを用いて同時に受光する方法である.リング状受光スリットは入射X線光軸を軸とした同心円の位置に配置され、そのすぐ後に計数管が配置されている。回析角(2θ)の測定はリング状受光リットと計数管とを同時に入射X線光軸にそって走査することにより行なわれる。この走査はCot送り機構を組み込むことにより、回折角等速送りとされている。」(30頁本文19〜31行)
「反射法の測定は透過法測定系のシンチレーション計数管とリング状受光スリットを反射法専用の比例計数管とそのリング状受光スリットに置き換えることで行なわれる。この反射法専用比例計数管はこの目的のために開発したものであり、ドーナッツ型中空筒の比例計数管である。」(31頁6〜12行)
「測角範囲は透過法の場合、2θ=5°〜60°、反射法の場合、2θ=30°〜150°である。
測定に用いるコリメータの大きさは透過法、反射法ともに30μmφ、100μmφである。」(31頁15〜16行)

甲第18号証;「16th annual proceedings reliability physics 1978」(April18-20、1978、p.56-58)(以下、「引用例6」という。)
「マイクロディフラクトメーターを用いた10μmスポット内のひずみの決定」(表題)に関し、「特に薄膜上の小さな領域にX線をコリメートして照射するための手段と、光学顕微鏡と、試料によって回折されるX線の所望角度範囲をカバーするように走査するドーナツ型中空筒のX線検出器とからなる微小領域X線デイフラクトメーター」が記載され、該微小領域X線デイフラクトメーターが試料の微小領域のひずみの測定に用いられることが記載されている。
この微小領域X線デイフラクトメーターは、引用例5記載のものと同じ構成からなるものと認められる。

甲第23号証;JAPANESE JOURNAL of APPLIED PHYSICS,Vol.17 No.6,p.1161-1162(1978年6月5日)(以下、「引用例7」という。)
「新湾曲形位置敏感形X線検出器」(表題)に関し、「この新形湾曲形検出器は、回折角2θで160°をカバーする。」(1161頁左欄下から10〜9行)こと、「陽極芯線は5cmの半径で曲げられ、170°2θの広い角度範囲にわたって弾性的に支持されている。」(同右欄3〜5行)こと、「検出器のテストはシリコン粉末試料からのデバイ環の測定で行った。湾曲形検出器はワイセンベルグカメラに取りつけ、測定中は試料を回転させた。」(同右欄下から4行〜1162頁左欄1行)ことが記載され、第1図(1161頁)には、「湾曲形X線検出器試作機の電極配置」が記載され、円弧状のX線検出器がその中心に配置された試料Sに入射するX線の光路を含む面内に配置されていること、及び該検出器の単一の陽極芯線Aの角度範囲は170°であることが認められる。

4 本件発明と引用例1記載の発明との対比
本件発明と引用例1記載の発明とを対比すると、
「試料と、
X線源と、
該X線源からのX線をコリメートして前記試料上の領域に照射するための手段と、
前記X線の光路を含む面内に前記試料によって回折されるX線の所望角度範囲をカバーするように試料の回りに配置された位置感応型X線検出器と、
前記検出器からの信号を処理し位置情報を得る回路と、
この信号を一定期間積算的に記憶する手段と、
該信号を積算的に記憶する測定期間中、その先端に前記試料を保持する回転軸(φ)を連続的に回転させる試料駆動機構と、
前記記憶された信号を読み出し、表示する手段と
から構成したことを特徴とするX線デイフラクトメーター。」
で一致し、次の点で相違する。
(1)本件発明は、多数の結晶粒からなる試料の微小領域を測定対象とするのに対して、引用例1記載の発明の測定対象は粉末試料である点。
(2)本件発明の位置感応型X線検出器が半円状を成して配置されているのに対して、引用例1記載の発明は、3個の別個の独立した円弧状の検出器を配置している点
(3)本件発明は、「試料上のX線照射位置を観察するための光学顕微鏡」を備え、「前記光学顕微鏡を用いて試料の所望の微小領域を測定位置に位置付けるため前記試料の位置を微調整するための調整機構」を備えるのに対して、引用例1記載の発明は、光学顕微鏡及び試料位置調整機構を備えていない点。
(4)本件発明の試料駆動機構は、試料を保持する回転軸(φ)を連続的に回転させるとともに「試料を前記回転軸(φ)とは垂直なχ軸の回りに連続的に回転させる」もの、すなわち2軸回転させるものであるのに対して、引用例1記載の発明の試料駆動機構は1軸回転させるものである点。

5 相違点についての検討
(1)相違点1についての検討
本件特許明細書には、「本発明は、多数の結晶粒から成る試料の微小領域のX線回折像を取得することのできる微小領域X線デイフラクトメーターに関する。」(公告公報1欄22〜2欄2行)、「従来より、物質の構造解析、特に多数の結晶粒から成る物質の構造決定には、X線回折装置が使用されている。この様なX線回折を行うとき、しばしば直径100μm以下の微小領域の情報のみが必要になることがある。このように分析乃至は測定領域が微小になった場合、X線照射領域中に存在する結晶粒は比較的小数になる。そのため、もし試料7が固定されていたり、あるいはφ軸の回りにしか回転していない場合、照射領域中の結晶粒によってブラッグ反射が生ずる確率は小さなものとなる。又、ブラッグ反射が生じたとしても反射X線が試料を取囲んで配置される帯状の検出領域に入射する確率は更に小さなものとなる。従って、このような従来の場合には、多数の結晶粒から成る試料の微小領域にX線を照射した際に、太いX線を試料に照射した場合に得られるところの検出漏れのない回折スペクトルを得ることはできなかった。特に、試料中の結晶粒の結晶格子面の方向分布に偏りがある場合にはこの検出漏れの可能性は更に大きなものとなるため、満足のゆく測定は更に困難であった。」(同2欄4行〜3欄2行)と記載され、「本発明は上記の点に鑑みてなされたもので、多数の結晶粒から成る試料の所望の微小領域からの回折X線の測定を、回折線の検出漏れを生ずることなく比較的短時間に行うことのできる微小領域X線デイフラクトメーターを提供することを目的と」(同3欄4〜9行)すると記載されている。
このように、従来、多数の結晶粒からなる物質の微小領域の構造決定に使用されているX線回折装置では、分析領域ないしは測定領域が微小になった場合、X線照射領域中に存在する結晶粒は比較的少数になり、照射領域中の結晶粒によってブラッグ反射が生ずる確率は小さく、ブラッグ反射が生じたとしても、反射X線が試料を取り囲んで配置される帯状の検出領域に入射する確率はさらに小さなものとなるから、検出漏れのない回折スペクトルを得ることはできないという知見の下に、多数の結晶粒からなる試料の所望の微小領域からの回折X線の測定を、回折線の検出漏れを生ずることなく比較的短時間に行うことのできる微小領域X線デイフラクトメーターを提供することを目的として、本件発明がなされたことが認められる。
一方、引用例5には、「試料の局部(例:介在物、析出物など)がどのような物質構成で、どのような状態になっているか」を知るための従来の微小領域の測定(同定分析、定性分析)について、「従来このような微小部分の研究には微小焦点X線発生装置を用い、微小部の研究にふさわしいX線カメラが用いられてきた」が、「微小部にX線を照射することから、回折に寄与する結晶粒子の数が少なくなり、しばしば回折像がデバイリングにならず放射状の回折斑点として現れることがあり、データは得られても解析不能な例が多かった。」と記載され、多数の結晶粒からなる試料(以下、「多結晶試料」ということがある。)の微小領域にX線を照射してその回折X線を検出して測定を行うこと及びその際の技術的課題がよく知られていたことが認められる。
そして、この技術的課題を解決するために、引用例5に記載されたマイクロデイフラクトメータは、移動するリング状ないしドーナッツ型の受光スリットを備えた比例計数管を用いて、回折角の広い範囲にわたって、回折X線を測定するようにしたものと認められる。
したがって、本件出願前には、多結晶試料の微小領域を対象とするX線回折による定性分析において、X線フィルムによる測定に代わり、比例計数管を用いた測定が実現されていたということができる。
また、引用例6には、試料の微小領域の応力測定に微小領域X線デイフラクトメータを用いることが記載され、微小領域の応力測定と微小領域の定性分析とはX線回折分野で技術的に密接な関係があることが認められ、引用例4には、試料の微小領域の応力測定において、回折X線の検出器として位置感応型比例計数管を用いることが記載されている。応力測定の場合は位置感応型比例計数管は、一つの回折円を得ることができればよいものであるが、位置感応型検出器を用いて広い角度範囲の多数の回折円(像)を検出することができ、定性分析を行なうことができれば、当業者であれば、試料の微小領域の定性分析に応用しようと試みることはごく自然な発想であると認められる。
そうすると、引用例1記載の発明のX線デイフラクトメータが、位置感応型比例計数管を用いて広い角度範囲の多数の回折像を検出して粉末試料の定性分析を行なうもので、「小さな試料の粉末スペクトルを、フィルムまたは従来の粉末デイフラクトメータを使う場合よりも非常に高速に得ることができる」ものであってみれば、引用例1記載の位置感応型比例計数管を用いるX線デイフラクトメータを用い、かつ対象試料の変更に伴う設計変更を適宜行いつつ多結晶試料の微小領域の定性分析を試みることは当業者が通常の研究開発において容易になし得ることといわざるを得ない。
被請求人は、引用例1記載の発明が、「線状(板状)」にコリメートされたX線ビームを試料に照射している点を本件発明の相違点とするべきであると主張するが、本件発明も測定対象に適合するようにコリメートしていることに相違はなく、該コリメート手段は、測定対象を微小領域とすることにより当然に「該X線源からのX線をコリメートして前記試料上の微小領域に照射するための手段」とされることは明らかである。よって、被請求人の主張は採用できない。
また、被請求人は、引用例1記載の発明では微量試料の分析はできるが、微小領域の分析はできない、すなわち、引用例1記載の発明は、線状のビームを用い、粉末試料を詰めたキャピラリーをX線軸に直交する軸においてのみ回転するもので、微小領域を対象とする場合には、微小領域以外にもあたってしまい、微小領域の分析は不可能であり、微小領域の測定を行なおうとする動機さえ起こらないものであると主張する。
たしかに引用例1記載の発明の測定対象は粉末であり微量試料である。しかしながら、微小領域を測定対象として測定することは出願前に広く行なわれていたことが認められ、引用例1には「X線の光路を含む面内に前記試料によって回折されるX線の所望角度範囲をカバーするように試料の回りに配置された位置感応型X線検出器」を用いる検出システムが微量粉末試料の定性分析に用いて顕著な作用効果を発揮していることが開示されているから、引用例1に接した当業者であれば、これを微小領域を対象とする定性分析に用いようとすることは容易に想到し得るものである。
そして、引用例1記載の発明が試料の1軸回転を採用しているのは、測定対象が粉末試料であることを考慮して採用しているもので、測定対象を微小領域とすれば測定対象に適合するようにX線の照射機構ないし試料回転機構等に設計変更を講じることは当業者にとって当然である。
(2)相違点2についての検討
引用例1には、位置感応型X線検出器について、「我々が開発した比例検出器の独特の特徴は、その円筒形状にある。すなわち、陽極ワイヤーと読み出し平面とが散乱平面内で円弧状にカーブしている。」「理想的には、このワイヤ一式検出器は2θで180°をカバーするはずである。」「我々は、・・・3個の別個の独立した検出器を配置することを採用した。(略)この方法では、ユーザーはほぼ180°に近いスペクトルを得ることができる。」と記載され、引用例7には、X線の光路を含む面内に配置され、試料の回りに回折角2θで160°をカバーして配置された円弧状の位置感応型X線検出器が記載されている。したがって、引用例1記載の装置の位置感応型X線検出器として半円状の検出器を当業者が採用することに困難性は認められない。
被請求人は、本件発明の半円状の検出器は、X線ビームの微小領域への照射と試料の2軸回転と密接に関連した構成であると主張するが、試料からの回折線の所望角度範囲を定性分析に必要な範囲とする点では、本件発明も引用例1記載の発明と軌を一にするものである。
(3)相違点3についての検討
試料の微小領域の測定のためには、所望の微小領域にX線を照射する必要があることは明らかで、引用例5及び引用例6に記載されているように、微小領域X線デイフラクトメーターにおいて、光学顕微鏡を用いて位置合わせを行うことは知られているから、引用例1記載の装置において、微小領域を測定する際に、「試料上のX線照射位置を観察するための光学顕微鏡」を備え、「前記光学顕微鏡を用いて試料の所望の微小領域を測定位置に位置付けるため前記試料の位置を微調整するための調整機構」を備えるようにすることは、当業者が容易になし得ることと認められる。
(4)相違点4についての検討
本件発明の試料の2軸回転の技術的意義は、明細書の記載によれば、多数の結晶粒から成る試料の微小領域ではX線照射領域中に存在する結晶粒は比較的小数であり、もし試料が固定されていたり、あるいはφ軸の回りにしか回転していない場合、検出漏れのない回折スペクトルを得ることはできず、特に、試料中の結晶粒の結晶格子面の方向分布に偏りがある場合にはこの検出漏れの可能性は更に大きく、満足のゆく測定は困難であったが、試料の2軸回転を採用したことによって、比較的短時間な測定期間内において考えれば、X線照射微小領域内の結晶粒の結晶格子面の方向分布は充分ランダマイズでき、試料のX線照射領域中に比較的少数の結晶粒しか存在しないにもかかわらず、検出器の信号を蓄積して得られた信号は、X線照射領域中にランダムな方向分布を有する多数の結晶粒が存在する場合に得られるようなピーク検出の漏れがない連続した回折スペクトル信号となり、特に、結晶粒の結晶格子面の方向の分布に偏りがある場合であっても、前記φ軸とχ軸の回りの回転によりこの偏りがあることによる検出漏れの発生を大きく改善できるため、充分測定が可能となるというものである。
ところで、引用例2には、「X線ビーム中に配置した結晶に、非常に多数の方向性を与える」ために、単結晶試料を2軸回転することが記載され、これは、単結晶から直接に、粉末を測定対象とする際に得られるデータと同等のものを得るためであり、2軸回転により回折に寄与する結晶格子面をランダムな方向に向かせるものである。すなわち、単一の単結晶であっても、2軸回転を行なえば、結晶格子面の方向分布は充分ランダマイズでき、X線照射領域中にランダムな方向分布を有する多数の結晶粒が存在する場合に得られるような検出漏れがない回折像を得ることができることを開示するものである。
また、引用例3には、多結晶試料の微小領域に照射されるX線に対して多結晶試料を2軸回転させることによって、X線回折像が連続環となっていない場合でも、「デバイ環全周に渡って連続した回折像が得られる。」ことが記載され、多結晶試料の2軸回転によって、X線照射微小領域内の結晶粒の結晶格子面の方向分布をランダマイズでき、試料のX線照射領域中に比較的少数の結晶粒しか存在しないにもかかわらず、X線照射領域中にランダムな方向分布を有する多数の結晶粒が存在する場合に得られるような検出漏れがない回折像を得ることができることを開示するものである。
引用例2、3に記載されているように、X線照射領域内に少数の(あるいは一つの)結晶粒しかない場合でも、漏れのない粉末X線回折パターンを得ようとして、X線照射微小領域内の結晶粒の結晶格子面の方向分布を充分ランダマイズするために試料の2軸回転を行なうことが知られており、粉末試料に対して回折にあずかる結晶粒を増加させるために必要に応じて試料を回転させることは周知(吉田・田中著「物質の結晶構造とX線」130〜131頁(株式会社三省堂)昭和14年8月20日4版発行)であり、引用例1の試料の1軸回転も回折にあずかる結晶粒を増加させ、結晶格子面の方向分布を充分ランダマイズするためのものであることは明らかであるから、引用例1記載の装置においても試料駆動機構を2軸回転のための機構とすることは、当業者であれば適宜なし得ることと認められる。特に、引用例3は、多結晶試料の微小領域に照射されるX線に対して、試料を2軸回転させることを開示するものであってみれば、引用例1記載の装置において、多結晶試料の微小領域を測定しようとする際に、試料の2軸回転を行なわせようとすることは当業者にとって容易に採用することができるものである。
被請求人は、引用例2記載のものは、単結晶試料の回転軸の回りの周面に順次X線が照射され、X線照射領域が変化し微小領域は測定できず、微小領域の測定における2軸回転を示唆するものではないと主張するが、引用例2は、単一の単結晶であっても、2軸回転を行なえば結晶格子面の方向分布は充分ランダマイズでき、粉末試料と同様のデータを得て試料の同定を可能とすることを開示しており、結晶格子面の方向分布をランダマイズするための2軸回転という技術的意義は、対象が単結晶であっても微小領域であっても変るところはない。また、測定対象が微小領域であれば微小領域にX線照射領域を限定することは当然である。例えば、引用例3に記載の微小領域にX線を照射して回折像を観察するものにあっては、X線照射領域を微小領域に限定して試料の2軸回転を行なうことを開示している。
また、被請求人は、引用例3記載のものは、応力測定のために、特定の1つの円環状の像について連続した像を得るものであり、単一の回折角に対する測定であって、広い角度範囲にわたり漏れのない回折パターンを得ようとするものではないから、多結晶試料の微小領域分析において試料の2軸回転を採用することを示唆するものではないと主張する。
しかしながら、応力測定はX線デイフラクトメーターに密接に関連する技術であって、多結晶試料の微小領域にX線を照射するものであり、単一の回折角に対する測定であっても、漏れのない粉末X線回折パターンを得ようとするために、特定の微小領域にX線を照射しつつ2軸回転を行なって、X線照射微小領域内の結晶粒の結晶格子面の方向分布を充分ランダマイズする点では本件発明と共通しているから、X線デイフラクトメーターによる多結晶試料の微小領域分析に際して、その技術を転用することは当業者にとっては困難ではない。
さらに、被請求人は、引用例3のものは、実際には入射X線軸の回りへの振動はフィルムカセットをX線軸の回りに振動させているもので、回折に寄与する結晶粒を増加させることについては1軸回転を示唆しているだけであり、本件発明のような試料自体を2軸回転する機構は記載されていないと主張する。
しかしながら、引用例3の記載は、X線照射微小領域内の結晶粒の結晶格子面の方向分布を充分ランダマイズするための試料の2軸回転を開示するものであることは明らかである。なお、本件発明の実施例(第1、2、5、6図)においても、χ軸の回りの回転は入射X線軸の回りの回転である。

6 作用効果についての検討
本件発明の作用効果について、明細書には、「比較的短時間な測定期間内において考えれば、X線照射微小領域内の結晶粒の結晶格子面の方向分布は充分ランダマイズでき、試料のX線照射領域中に比較的少数の結晶粒しか存在しないにもかかわらず、検出器の信号を蓄積して得られた信号は、X線照射領域中にランダムな方向分布を有する多数の結晶粒が存在する場合に得られるようなピーク検出の漏れがない連続した回折スペクトル信号となる。従って、多数の結晶粒から成る試料の微小領域のX線回折分布を比較的短時間のうちに良好に行うことができる。特に、結晶粒の結晶格子面の方向の分布に偏りがある場合であっても、前記φ軸とχ軸の回りの回転によりこの偏りがあることによる検出漏れの発生を大きく改善できるため、充分測定が可能となる。」(7欄8行〜8欄4行)と記載され、訂正後の発明においては、「試料の回りに半円状を成して配置された位置感応型X線検出器」を備えることにより、微小領域の定性分析を可能とすることが認められるから、本件発明は、「多数の結晶粒からなる試料の所望の微小領域からの回折X線の測定を、回折線の検出漏れを生ずることなく比較的短時間に行うことができ、定性分析が可能である微小領域X線デイフラクトメーター」を得ることができたものと認められる。
このうち、まず、「多数の結晶粒からなる試料の所望の微小領域からの回折X線の測定」ができるということ自体は、微小領域X線デイフラクトメーターに関しての基本的機能そのものである。
そこで、「回折線の検出漏れを生ずることなく比較的短時間に行うことができ、定性分析が可能である」という作用効果について検討する。
引用例2、引用例3記載の技術は、直交する2つの回転軸の回りに試料を連続的に回転させ、これにより、試料を多数の方向に向かせて、X線照射領域内に少数の(あるいは一つの)結晶粒しかない場合でも、漏れのない粉末X線回折パターンを得ようとするものであることが認められ、引用例2、引用例3には、回折X線が「回折線の検出漏れを生ずることなく」測定できるという作用効果が記載されていることが認められる。
また、引用例1には、「この新しい検出器は、実質的に完全な回折スペクトルを、良好な効率と角度分解能とをもって収集する。したがって、小さな試料の粉末スペクトルを、フィルムまたは従来の粉末デイフラクトメータを使う場合よりも非常に高速に得ることができる。」(529頁8〜12行)と記載され、この記載によれば、引用例1には、位置感応形X線検出器を用いることによって、回折X線の測定を「比較的短時間に行うことができる」という作用効果が記載されているということができる。
さらに、引用例7には、回折角2θで160°をカバーする検出器を用いて粉末試料に対する定性分析を行うことが記載され、引用例7記載の検出器と本件発明の半円状を成す検出器とを比較して、定性分析における作用効果に顕著な相違は認められない。
したがって、回折X線の測定を「回折線の検出漏れを生ずることなく比較的短時間に行うことができ、定性分析が可能である」という作用効果は、上記のような個々の構成を採用することにより生ずるであろうことは、当業者が当然予測できることであって、格別のものとはいえない。
被請求人は、多数の結晶粒からなる試料の所望の微小領域から回折X線の測定を広い角度範囲(半円状)にわたって実行することができる装置は、本件発明以前に存在しなかったもので、本件発明は、あくまで多結晶試料の微小領域の定性分析を目的として半円状の検出器を用い、試料の微小領域へのX線ビームの照射といずれの引用例にも記載されていない新規な試料の2軸回転機構の構成と相まって、「多数の結晶粒からなる試料の所望の微小領域からの回折X線の測定を、回折線の検出漏れを生ずることなく比較的短時間に行うことができ、定性分析が可能である」という作用効果が達成されたものであると主張する。
しかしながら、位置感応型検出器を用い試料回転を行ないつつ回折X線の測定を広い範囲で実行する引用例1記載の装置を多結晶試料の微小領域の定性分析に用いること、その際試料を2軸回転させることが、当業者にとって容易に推考し得るものであることは、先に示したとおりであり、引用例1記載の装置が回折X線の測定を比較的短時間に行うことができるという作用効果を奏し、試料の2軸回転の作用効果が回折線の検出漏れをなくすることであってみれば、本件発明の作用効果は当業者が予測し得る範囲を越えるものではないといわざるを得ない。

7 むすび
以上のとおり、本件特許発明は、本件出願前に頒布された引用例1〜7に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件特許は特許法29条2項の規定に違反してなされたものであり、平成5年改正前の同法123条1項1号に該当し、無効とすべきものである。
審判に関する費用については、特許法169条2項の規定で準用する民事訴訟法61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 1994-06-29 
結審通知日 1994-07-12 
審決日 1994-07-15 
出願番号 特願昭53-134388
審決分類 P 1 11・ 121- Z (G01N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 魚住 高博  
特許庁審判長 伊坪 公一
特許庁審判官 志村 博
後藤 千恵子
松本 邦夫
橋場 健治
登録日 1991-06-28 
登録番号 特許第1609226号(P1609226)
発明の名称 微小領域X線デイフラクトメ-タ-  
代理人 青木 健二  
代理人 内田 亘彦  
代理人 米澤 明  
代理人 菅井 英雄  
代理人 岡崎 謙秀  
代理人 久保田 穣  
代理人 阿部 龍吉  
代理人 鈴木 利之  
代理人 山崎 順一  
代理人 白井 博樹  
代理人 韮澤 弘  
代理人 蛭川 昌信  
復代理人 増井 和夫  
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