• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 全部申し立て 1項1号公知  D03D
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  D03D
審判 全部申し立て 2項進歩性  D03D
管理番号 1083111
異議申立番号 異議2000-73908  
総通号数 46 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2003-10-31 
種別 異議の決定 
異議申立日 2000-10-17 
確定日 2003-07-14 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3034045号「高密度織物」の請求項1ないし10に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3034045号の請求項1ないし8に係る特許を維持する。 
理由 1.手続きの経緯
本件特許第3034045号の請求項1〜10に係る発明についての出願は、平成6年3月15日に日本国に国際出願(PCT/JP94/00414、優先日:平成5年3月16日)されたものに基づいて国内出願されたものであり、平成12年2月18日にその設定登録がなされ、平成12年9月27日付けで訂正審判の請求がなされ(2000年審判第39111号)、その後、その請求項1〜10に係る発明の特許について、異議申立人ユニチカ株式会社及び東洋紡績株式会社より特許異議の申立てがなされ、平成12年12月11日付けで訂正を認める審決がなされ、平成13年9月13日付けで取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成13年11月15日に特許異議意見書と訂正請求書が提出され、平成14年2月19日に異議申立人東洋紡績株式会社より上申書が提出されたものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正請求の内容
本件訂正請求は、上記2000年審判第39111号の訂正審判により訂正された明細書(以下、「特許明細書」という。)を訂正請求書に添付された全文訂正明細書のとおりに訂正することを求めるもので、その訂正事項の具体的内容は以下のとおりである。

訂正事項1:
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1における
「全繊度が120デニール以下の長繊維糸条がそれぞれ経糸および緯糸を構成してなる高密度織物であって、該長繊維糸条は同一または異なった糸条からなり、かつ該長繊維糸条の40重量%以上が単繊維繊度1.1デニール以下の単繊維で占められ、該織物を構成する経糸および緯糸のそれぞれの断面重なり係数WpおよびWfが下記(a)および(b)を同時に満足し、かつ織物の経および緯方向の引裂強度がいずれも1000g以上であることを特徴とする高密度織物。
(a)1.30≧Wp≧1.10
(b)1.20≧Wf≧0.85
(ここで、断面重なり係数WpおよびWfは次のように定義される。
Wp=W1f/W0f
Wf=W1p/W0p
W0f:織物の最小繰り返し単位中の任意の緯糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1f:上記W0fの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各経糸の占める幅の和。
W0p:織物の最小繰り返し単位中の任意の経糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1p:上記W0pの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各緯糸の占める幅の和。」を
「全繊度が100デニール以下のポリエステルマルチフィラメント糸条がそれぞれ経糸および緯糸を構成してなる高密度織物であって、該ポリエステルマルチフィラメント糸条は同一または異なった糸条からなり、かつ該ポリエステルマルチフィラメント糸条の40重量%以上が単繊維繊度1.1デニール以下の単繊維で占められ、該織物を構成する経糸および緯糸のそれぞれの断面重なり係数WpおよびWfが下記(a)および(b)を同時に満足し、かつ織物の経および緯方向の引裂強度がいずれも1000g以上、織物を撥水処理した後の耐水圧が1000mm水柱以上であることを特徴とする高密度織物。
(a)1.30≧Wp≧1.10
(b)1.20≧Wf≧0.85
(ここで、断面重なり係数WpおよびWfは次のように定義される。
Wp=W1f/W0f
Wf=W1p/W0p
W0f:織物の最小繰り返し単位中の任意の緯糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1f:上記W0fの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各経糸の占める幅の和。
W0p:織物の最小繰り返し単位中の任意の経糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1p:上記W0pの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各緯糸の占める幅の和。」と訂正する。

訂正事項2:
特許明細書の特許請求の範囲の請求項5における「長繊維糸条の少なくとも一方がポリエステルマルチフィラメントの実質的に」を「ポリエステルマルチフィラメント糸条の少なくとも一方が実質的に」と訂正する。

訂正事項3:
特許明細書の特許請求の範囲の請求項7、8における「長繊維糸条が、」を「ポリエステルマルチフィラメント糸条が、」と訂正する。

訂正事項4:
特許明細書の特許請求の範囲の請求項2、4を削除すると共に、この訂正に伴い特許請求の範囲の請求項3、5、6、7、8、9、10を繰り上げて、それぞれ請求項2、3、4、5、6、7、8とする。

訂正事項5:
特許明細書第2頁第15行〜第3頁第5行の「かくして本発明によれば、全繊度が120デニール以下の長繊維糸条がそれぞれ経糸および緯糸を構成してなる高密度織物であって、該長繊維糸条は同一または異なった糸条からなり、かつ該長繊維糸条の40重量%以上が単繊維織度1.1デニール以下の単繊維で占められ、該織物を構成する経糸および緯糸のそれぞれの断面重なり係数WpおよびWfが下記(a)および(b)を同時に満足し、かつ織物の経および緯方向の引裂強度がいずれも1000g以上であることを特徴とする高密度織物が提供される。
(a)1.30≧Wp≧1.10
(b)1.20≧Wf≧0.85
(ここで、断面重なり係数WpおよびWfは次のように定義される。
Wp=W1f/W0f
Wf=W1p/W0p
W0f:織物の最小繰り返し単位中の任意の緯糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1f:上記W0fの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各経糸の占める幅の和。
W0p:織物の最小繰り返し単位中の任意の経糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1p:上記W0pの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各緯糸の占める幅の和。」を
「かくして本発明によれば、全繊度が100デニール以下のポリエステルマルチフィラメント糸条がそれぞれ経糸および緯糸を構成してなる高密度織物であって、該ポリエステルマルチフィラメント糸条は同一または異なった糸条からなり、かつ該ポリエステルマルチフィラメント糸条の40重量%以上が単繊維繊度1.1デニール以下の単繊維で占められ、該織物を構成する経糸および緯糸のそれぞれの断面重なり係数WpおよびWfが下記(a)および(b)を同時に満足し、かつ織物の経および緯方向の引裂強度がいずれも1000g以上、織物を撥水処理した後の耐水圧が1000mm水柱以上であることを特徴とする高密度織物が提供される。
(a)1.30≧Wp≧1.10
(b)1.20≧Wf≧0.85
(ここで、断面重なり係数WpおよびWfは次のように定義される。
Wp=W1f/W0f
Wf=W1p/W0p
W0f:織物の最小繰り返し単位中の任意の緯糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1f:上記W0fの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各経糸の占める幅の和。
W0p:織物の最小繰り返し単位中の任意の経糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1p:上記W0pの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各緯糸の占める幅の和。」と訂正する。

訂正事項6:
特許明細書第3頁第19行〜同頁第20行及び第6頁第26行〜同頁第27行の「全繊度が120デニール以下、好ましくは100デニール以下の」を「全繊度が100デニール以下の」と訂正する。

訂正事項7:
特許明細書第3頁第25行の「全繊度が120デニールを越える場合には」を「全繊度が100デニールを越える場合には」と訂正する。

訂正事項8:
特許明細書第6頁第20行〜同頁第21行の「本発明の高密度織物に使用される長繊維糸条は、ポリエステルより形成されたマルチフィラメントであるのが好ましく、」を「本発明の高密度織物に使用される長繊維糸条は、ポリエステルより形成されたマルチフィラメントであり、」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
上記訂正事項1は、特許明細書第3頁第20行の「好ましくは100デニール以下の」の記載、同第6頁第20行〜同頁第21行の「本発明の高密度織物に使用される長繊維糸条はポリエステルより形成されたマルチフィラメントであるのが好ましく、」の記載、及び同第8頁第21行〜同頁第22行の「前記撥水処理を行なった後は1000mm水柱以上という高い耐水圧を示す。」の記載に基づき、特許請求の範囲の請求項1に請求項2及び4の技術事項を直列的に付加したものであり、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
上記訂正事項2、3は、特許明細書第6頁第20行〜同頁第21行の「本発明の高密度織物に使用される長繊維糸条はポリエステルより形成されたマルチフィラメントであるのが好ましく、」の記載に基づき、「長繊維糸条」を「ポリエステルマルチフィラメント糸条」に限定するものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認められる。
上記訂正事項4における、請求項の削除は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、これに伴い請求項を繰り上げるのは、明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認められる。
上記訂正事項5〜8は、上記訂正事項1の訂正に伴い、明細書の記載整合性を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認められる。
そして、上記訂正事項1〜8の訂正は、いずれも願書に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものであって、実質的に特許請求の範囲を拡張又は変更するものではない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例とされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立てについての判断
(1)特許異議申立ての理由の概要
(A)異議申立人ユニチカ株式会社は、甲第1〜5号証を提示し、
[理由1]訂正前の本件発明1〜5及び9〜10は、本件出願日前に日本国内において頒布された刊行物(甲第1号証、甲第2-1号証)に記載された発明であり、特許法第29条第1項第3号の規定により特許を受けることができないものであるから、
[理由2]訂正前の本件発明1〜5、9及び10は、本件出願日前に日本国内において頒布された甲第3-1号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、また、訂正前の本件発明6、7、8は、本件出願日前に日本国内において頒布された甲第1、2、4及び5号証に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、
訂正前の本件発明1〜10に係る特許を取り消すべき旨主張している。

(B)異議申立人東洋紡績株式会社は、甲第1〜6号証を提示し、
[理由3]訂正前の本件発明1〜5及び9〜10は、甲第1号証に記載の発明及びそれに添付された生地サンプルにより公然知られた発明であり、特許法第29条第1項に規定する発明に該当するから、
[理由4]訂正前の本件発明6〜8は、甲第1〜4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものであるから、
訂正前の本件発明1〜10に係る特許は取り消されるべき旨主張している。

(2)本件請求項1〜8に係る発明
上記2.で示したように、上記訂正が認められるから、本件請求項1〜8に係る発明(以下、「本件発明1〜8」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜8に記載された事項により特定される次のとおりのものである。

【請求項1】
全繊度が100デニール以下のポリエステルマルチフィラメント糸条がそれぞれ経糸および緯糸を構成してなる高密度織物であって、該ポリエステルマルチフィラメント糸条は同一または異なった糸条からなり、かつ該ポリエステルマルチフィラメント糸条の40重量%以上が単繊維繊度1.1デニール以下の単繊維で占められ、該織物を構成する経糸および緯糸のそれぞれの断面重なり係数WpおよびWfが下記(a)および(b)を同時に満足し、かつ織物の経および緯方向の引裂強度がいずれも1000g以上、織物を撥水処理した後の耐水圧が1000mm水柱以上であることを特徴とする高密度織物。
(a)1.30≧Wp≧1.10
(b)1.20≧Wf≧0.85
(ここで、断面重なり係数WpおよびWfは次のように定義される。
Wp=W1f/W0f
Wf=W1p/W0p
W0f:織物の最小繰り返し単位中の任意の緯糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1f:上記W0fの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各経糸の占める幅の和。
W0p:織物の最小繰り返し単位中の任意の経糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1p:上記W0pの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各緯糸の占める幅の和。

【請求項2】
(Wp-Wf)の値が0.3以下である請求の範囲第1項記載の高密度織物。

【請求項3】
ポリエステルマルチフィラメント糸条の少なくとも一方が実質的に無撚のフラットヤーンである請求の範囲第1項に記載の高密度織物。

【請求項4】
経糸または緯糸いずれか一方がポリエステルマルチフィラメントの仮撚加工糸である請求の範囲第1項記載の高密度織物。

【請求項5】
ポリエステルマルチフィラメント糸条が、構成糸条の40重量%未満が、単繊繊維度が1.1デニールを越え、3デニール以下の単繊維で占められた長繊維条である請求の範囲第1項記載の高密度織物。

【請求項6】ポリエステルマルチフィラメント糸条が、構成糸条の40重量%未満が、単繊維繊度が1.1デニールを越え、2デニール以下の単繊維で占められた長繊維条である請求の範囲第1項記載の高密度織物。

【請求項7】
経方向と緯方向のカバーファクター(CF)の合計が1800〜3500である請求の範囲第1項記載の高密度織物。

【請求項8】
請求の範囲第1項記載の高密度織物より構成された衣料。

(3)甲各号証に記載の事項
(A)特許異議申立人ユニチカ株式会社が提示した甲各号証
甲第1号証(「繊維科学」第25巻 第5号、1983年6月号、第22〜25頁、株式会社日本繊維センター、昭和58年6月1日発行)には、次の事項が記載されている。
ア.「超高密度織物“マイクロフト(R)”の特性について」(22頁上欄タイトル、なお、甲第1号証原文においては、「(R)」は丸記号のRで記載されている。(以下、「マイクロフト」と記載する。))
イ.「マイクロフト・・・はテトロン・・・マルチフィラメント(単糸デニール1デニール)を経糸に、テトロン・・・極細繊維(単糸デニール0.4デニール)を緯糸に用い、織物構造自体に超緻密さを持たせたポリエステル100%織物からなっている。」(23頁左欄11〜16行)
ウ.「マイクロフトの顕微鏡拡大写真(上:表面図 下:断面図)」(23頁右欄)
エ.「完全組織のフィラメント数は、432本で」(23頁左欄25行)
オ.25頁上欄の表2商品性能と展開分野には、マイクロフトの耐水圧が1,000mm以上、適用素材がT-織物であり、展開分野がスポーツウエア各種であることが記載されている。(25頁表2)

甲第2-1号証(「注目素材品質情報」No.5 1983年11月、日本繊維協会、昭和58年11月発行)には、「防水・透湿素材について」の項で次の事項が記載されるとともに、〔付記事項〕以降に生地見本として提供されたものが添付されている。
カ.「・・・スポーツウェアを代表として、タウン、レジャーあるいはカジュアルウェア等の・・・」(1頁3行)
キ.「〔ジムスターXQ〕・・・
0,3デニールの超極細ポリエステルフィラメントを経糸と緯糸に織り込み、約10万本/平方インチという超高密度の葦舟構造・・・の織物である。耐水圧は1,500である。」(4頁左欄11〜15行)
ク.「マイクロフト」と「ジムスターXQ」の生地見本添付(7頁見本16及び19)、(なお、甲第2-1号証には、当該生地見本に係るコピーは添付されてないが、甲第2-2号証の試験証明書には、該当頁のコピーがあり、これから添付されていたものと推認した。)
ケ.8頁上欄の表(撥水・耐水・透湿性能一覧表)には、ブランド名としてジムスターXQが記載され、耐水圧(mm)が1,500であることが表示されている。(8頁の表)

甲第2-2号証(財団法人日本紡績検査協会近畿事業所による、甲第2-1号証に係る「注目素材品質情報」添付品であるとする試料見本(16)マイクロフト及び見本(19)ジムスターXQ[ユニチカ株式会社提出]の試験証明書、2000年9月6日)には、
コ.資料明細として試料見本(16)マイクロフト及び見本(19)ジムスターXQの試料及び状況写真のコピーが添付され、見本(16)マイクロフト及び見本(19)ジムスターXQの[たて]、[よこ]の電子顕微鏡写真(5〜6頁)が添付され、試験結果として、見本(16)マイクロフトの断面重なり係数Wp≒1.216、Wf≒0.998、Wp-Wf≒0.22であり、見本(19)ジムスターXQの断面重なり係数Wp≒1.162、Wf≒0.997、Wp-Wf≒0.17であること(4頁)、見本(16)マイクロフトの経糸の全繊度(デニール)、フィラメント数(本)、単繊維繊度(デニール)は、それぞれ86.40、72、1.20、緯糸の全繊度(デニール)、フィラメント数(本)、単繊維繊度(デニール)は、それぞれ138.24、288、0.48であり、見本(19)ジムスターXQの経糸の全繊度(デニール)、フィラメント数(本)、単繊維繊度(デニール)は、それぞれ117.60、336、0.35、緯糸の全繊度(デニール)、フィラメント数(本)、単繊維繊度(デニール)は、それぞれ117.60、336、0.35であること(7頁)、また、見本(16)マイクロフトの織物密度は、経糸:62.3本/cm、緯糸:32.0本/cm、見本(19)ジムスターXQの織物密度は、経糸:51.0本/cm、緯糸:27.8本/cmであること(8頁)が記載されている。

甲第3-1号証(「1984 テキスタイル特殊加工選集」昭和58年12月16日、繊維社発行)には、
サ.生地試料のサンプル56マイクロフトのコピーが添付されるとともに、マイクロフトの形態が織物、使用素材構成がポリエステル100%であることの一覧、及び「マイクロファイバー使いの高密度織物に超揆水加工を施したもので、防水性に優れ同時に透湿性が高く、・・・新タイプの素材。」であることが記載されている。

甲第3-2号証(財団法人日本紡績検査協会近畿事業所による、甲第3-1号証に係る「1984 テキスタイル特殊加工選集」添付品であるとする試料見本サンプル56貼付品(商品名:マイクロフト)[ユニチカ株式会社提出]の試験証明書、2000年9月6日)には、
シ.資料明細として試料見本マイクロフトの試料及び状況写真のコピーが添付され、見本サンプル56マイクロフトの[たて]、[よこ]の電子顕微鏡写真(5頁)が添付され、試験結果として、サンプル56マイクロフトの断面重なり係数Wp≒1.132、Wf≒0.951、Wp-Wf≒0.18であること(4頁)、サンプル56マイクロフトの経糸の全繊度(デニール)、フィラメント数(本)、単繊維繊度(デニール)は、それぞれ84.24〜87.12、72、1.17〜1.21であり、緯糸の全繊度(デニール)、フィラメント数(本)、単繊維繊度(デニール)は、それぞれ70.56〜73.44、144、0.49〜0.51であること(6頁)、簡便法による緯方向及び経方向の引裂強力は、15.3N、9.8Nであり、シングルタング法で測定した場合の推定値は、それぞれ15.0N、10.1Nであること(7〜10頁)、また、マイクロフト サンプル56の織物密度は、経糸:62.5本/cm、緯糸:39.0本/cmであること(11頁)が記載されている。

甲第4号証(特開平2-216238号公報)には、次の事項が記載されている。
ス.「本発明の布帛は、単糸繊度が1.2de以下の極細長繊維糸条を含む糸を高密度に織成した織物である。該極細長繊維糸としては、・・・ポリエステル・・・が例示される。さらに、単糸deとしては1.2de以下が必要であり、好ましくは0.5de〜0.01de以下である。」(2頁右上欄7〜13行)
セ.「本発明でいう長繊維糸条とはフィラメント糸は、勿論、その糸を捲縮加工・・・したものを含む。さらに、該長繊維糸条は、トータルデニールが80de以下のものを使用することが望ましい。・・・該極細繊維は少なくとも該長繊維糸条に対して40重量%以上が含まれていることが好ましい。 本発明の布帛は、該長繊維糸条を高密度(例えば、カバーファクターCFで示せば、・・・経糸のカバーファクターと緯糸のカバーファクターとの和が1700以上のものが好ましい)に織成して得られる」(2頁右上欄19行〜左下欄11行)
ソ.「本発明においては、・・・表面拡巾係数Wが1.10以上であることが重要である。ここに、表面拡巾係数は、次のように定義される。
W=W1/W0
W0:該屈曲率大の糸と直交する方向の織物断面において、織物の基準長さ、例えば、糸10本当たりの長さをいう。
W1:織物表面及び裏面において、屈曲率大の糸のおのおのの幅(cm)の和をいう。
第1図は、表面拡巾係数Wを説明する断面図であり・・・第2図は、本発明に使用する織物の表面を説明する図であって、・・・実際の計測にあたっては、織物断面の顕微鏡写真により求める。」(2頁右下欄2行〜3頁左上欄1行)
タ.「本発明において、カバーファクター・・・は下記の通り定義される。
a.カバーファクター
本発明において、カバーファクターCFは、
CF=密度(本/インチ)×√(糸のデニール)
の式により求められるものである。」(5頁左下欄1〜7行)

甲第5号証(特開平1-298278号公報)には、次の事項が記載されている。
チ.「高収縮ナイロンフィラメント(A)と、単糸デニールが1.5デニール以下であるナイロン捲縮糸(B)とが混繊され、撚係数700〜4500の撚を有する混繊糸を経糸及び/又は緯糸に用いてなり・・・」(請求項1)
ツ.「本発明は、雨衣、特にスポーツ用の・・・防水布に関する」(1頁右下欄5〜6行)
テ.「本発明の織物の特徴は後述する如く、高密度織物であるにもかかわらず通気性に優れていることにあるが、織物を高密度化するために高収縮ナイロンフィラメント(A)は使用されている」(2頁左下欄14〜17行)
ト.「本発明の混繊糸における高収縮ナイロンフィラメント(A)の混率も上記の理由から20〜50重量%が好ましい。・・・又高収縮ナイロンフィラメント(A)の単糸デニールは1〜4デニールが好ましい。」(2頁右下欄2〜9行)
ナ.「更に、本発明では・・・カバーファクターの和が1900以上、好ましくは2000以上なければならない。・・・2400以上3000以下が特に好ましい。」(3頁右上欄13行〜左下欄4行)
ニ.「3.カバーファクター
インチ当たりの糸本数×√D(Dはデニール)」(4頁右下欄14〜15行)

(B)特許異議申立人東洋紡績株式会社が提示した甲各号証
甲第1号証(「衣生活研究」第10卷第7号、69〜76頁、昭和58年11月1日、関西衣生活研究会発行)には、次の事項が記載され、生地サンプルのコピーが添付されている。
ヌ.「なお、直接紡糸技術による極細糸(0.2〜0.4デニール)を用いた高密度織物も作られている。」(72頁左欄7〜8行)
ネ.写真1 高密度織物と題し、ジムスター(R)XQ(ユニチカ)の表面拡大写真及び断面拡大写真(なお、甲第1号証原文では、「(R)」は丸記号のRで記載されている。(以下、「ジムスターXQ」と記載する。))、(72頁左欄写真1)
ノ.ユニチカ(株)のジムスターXQの生地サンプルのコピー及びその説明として「材質 ポリエステル100% 組織 平織:高密度タフタ 糸使い タテヨコ:110d(極細糸) 加工 撥水加工 用途 スポーツ衣料全般」(74頁下欄枠内)

甲第2号証(「繊維科学」1983年 6月号、30〜34頁、昭和58年6月1日、日本繊維センター発行)には、次の事項が記載されている。
ハ.「(2)防水性
特にジムスターXQは、経・緯糸ともにポリエステル超極細糸100%の高密度構造になっており、構成各単糸の半径3μのポリエステルフィラメントが約10万本/2.54cm本の高密度配列になっている。・・・葦舟構造に設計されている。この高緻密の多層構造と前述の高揆水性能とによって、高度の耐水圧1,500mmを保持することができる。」(31頁右欄3〜32頁左欄3行)

甲第3号証(財団法人日本紡績検査協会近畿事業所による、甲第1号証に係る「衣生活研究」添付品であるとする試料ジムスターXQ(商品名)[東洋紡績株式会社提出]の試験証明書、2000年10月13日)には、
ヒ.ジムスターXQの生地サンプルについて、走査型電子顕微鏡による経糸断面、緯糸断面の断面拡大写真及びこれに採寸法を記入した写真(4〜5頁)、この断面拡大写真からの断面重なり係数Wpが1.203、Wpが0.978であり(3〜5頁)、引裂強度の簡便法からのJIS L 1079 A1シングルタング法による推測値が経糸1.55(kgf)で緯糸1.46(kgf)であること(11〜12頁)、また、クロスセクション写真からのフィラメント本数が経糸:332(本)、緯糸:336(本)、撚数が経糸:0.0(回/2.54cm)、緯糸:0.5(回/2.54cm)、織密度が経糸:135.8(本/2.54cm)、緯糸:73.8(本/2.54cm)であること(14頁)が記載されている。

甲第4号証(「超極細繊維の新商品」1989年9月12日発行、(株)大阪ケミカルマーケティングセンター、145〜167頁)には、次の事項が記載されている。
フ.高密度織物である「マイクロフト・レクタス」は、2.0d/0.44dの混繊糸を用い、「スーパーレオックス」は、2.5d/0.1dの混繊糸を用いること(147頁表3-47)
ヘ.ザヴィーナDPとザヴィーナAQの高収縮高密度加工後の写真(150頁写真3-7)
ホ.「エレットミルパは、帝人のヒット商品になっているミルパの複合多層嵩高構造糸(異繊度異収縮混繊の特殊複合仮撚り加工糸、梳毛調)を経糸に用いたものである。」(154頁3〜5行)
マ.表3-53ジムスターシリーズの主要製品には、ジムスターの構成・機能として、経糸 緯糸}ポリエステルスーパーマルチ糸(75d/72f、75d/48f)、組成:PET100%、耐水圧:500mm、透湿度:5,000g/m2/24hr以上であることが記載されている。(156頁表3-53)
ミ.「ジムスターXQ」の表面と断面写真(157頁写真3-9)
ム.マイクロフト・レクタスの拡大写真という表題の写真(161頁写真3-11)
メ.スーパーレオックスの拡大写真という表題の写真(163頁写真3-12)

甲第5号証(特開昭57-154455号公報)には、次の事項が記載されている。
モ.「合成繊維マルチフィラメントヤーンを用いた平織物を製造するに当って、経糸と緯糸のカバー率・・・の和を1400〜2000・・・となし、・・・隣接する経糸および緯糸の側縁部間を緯糸および経糸を介して重ね合わせる・・・」(請求項1)
ヤ.「この発明の製造方法による織物は・・・剪断応力等が作用しても織物が柔軟で応力を分散吸収し、しかも経糸,緯糸は側縁部が重なった状態で熱セットされていて隙間を生じ難く、・・・撥水・防水加工の効果・・・が高い」(2頁右下欄4〜11行)

甲第6号証(特開昭57-154431号公報)には、次の事項が記載されている。
ユ.「この剪断応力は糸繊度、糸密度、織組織が主として影響する。繊度、密度が大となると大となり、交絡点の多い平織物は綾・朱子織物よりも一般に大である。」(2頁右上欄15〜18行)

(4)対比・判断
訂正により訂正前の請求項2、4が削除されている。そこで、訂正前の請求項1、3は、訂正後の請求項1、2(本件発明1、2)に、訂正前の請求項5〜10は、訂正後の請求項3〜8(本件発明3〜8)にそれぞれ対応するものとして検討する。

(A)特許異議申立人ユニチカ株式会社の主張について
[理由1]について
(本件発明1について)
a.本件発明1(前者)と甲第1号証に記載された発明(後者)との対比・検討
甲第1号証には、上記ア、イの記載から、高密度織物「マイクロフト」は、マルチフィラメント(単糸デニール1デニール)の経糸を用い、単糸デニールが0.4デニールの緯糸を用いたポリエステル100%の織物であることが記載され、マイクロフトの耐水圧性能が1000mm以上であること(上記オ)が記載されていると認められるから、両者は、「ポリエステルマルチフィラメント糸条がそれぞれ経糸および緯糸を構成してなる高密度織物であって、該ポリエステルマルチフィラメント糸条は同一または異なった糸条からなり、かつ該ポリエステルマルチフィラメント糸条の40重量%以上が単繊維繊度1.1デニール以下の単繊維で占められ、織物の耐水圧が1000mm水柱以上であることを特徴とする高密度織物。」である点で一致するが、後者には、前者の必須の構成要件である、
(相違点1)経糸及び緯糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条の全繊度が100デニール以下である点、
(相違点2)経糸および緯糸のそれぞれの断面重なり係数WpおよびWfが下記(a)および(b)を同時に満足する点、
(a)1.30≧Wp≧1.10
(b)1.20≧Wf≧0.85
(相違点3)織物の経および緯方向の引裂強度がいずれも1000g以上であり、織物の耐水圧が撥水処理した後のものである点、の3点について明記されていない点で両者は相違している。
そこで、これら相違点について検討すると、甲第1号証には、これら相違点について示唆するものがなく、また、該事項が自明のものとも認められないことから、これら相違点が甲第1号証に記載されているに等しいものとすることはできない。
なお、異議申立人は、相違点1については、上記ウの顕微鏡拡大写真から上記エの完全組織の構成フィラメント数を計測し、経糸の全繊度は約75デニール、緯糸の全繊度は約56デニールと算出し、相違点2については、上記ウの写真を前者の測定方法に準じて測定し、Wp=1.16、Wf=0.91と算出し、相違点3については、他の要件が満たされることにより奏される効果にすぎず、後者には、実質的に他の要件が記載されているので、該要件は記載されているに等しいものである旨主張している。
そこで、この主張について検討すると、まず相違点1については、上記ウの写真は、隣接するモノフィラメントが鮮明に写っておらず、経糸あるいは緯糸の全繊度及びWp、Wfの数値を正確に算出することができない。
また、相違点3に係る織物の経および緯方向の引裂強度に関しても、甲第1号証には、何ら記載も示唆もされておらず、該事項が他の要件を満たすことにより必然的に満たされる要件とも認められないことから、これら相違点について、甲第1号証に記載されているに等しいものとすることはできない。
したがって、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明であるとすることはできない。

b.本件発明1(前者)と甲第2-1号証に記載された発明(後者)との対比・検討
後者には、上記カのようなスポーツウェア等の用途としての高密度織物「ジムスターXQ」に関し、上記キ、ケの記載から、0.3デニールの超極細ポリエステルフィラメントを経糸と緯糸に織り込んだ超高密度の葦舟構造の織物であり、耐水圧が1,500(mm)であることが記載され、また、葦舟構造の織物の経糸及び緯糸を構成する糸条がマルチフィラメントであることは模式図から明らかであるものと認められるから、両者は、「ポリエステルマルチフィラメント糸条がそれぞれ経糸および緯糸を構成してなる高密度織物であって、該ポリエステルマルチフィラメント糸条は同一または異なった糸条からなり、かつ該ポリエステルマルチフィラメント糸条の40重量%以上が単繊維繊度1.1デニール以下の単繊維で占められ、織物の耐水圧が1000mm水柱以上であることを特徴とする高密度織物。」である点において一致するが、後者には、前者の要件である、「全繊度が100デニール以下のポリエステルマルチフィラメント糸条がそれぞれ経糸および緯糸を構成」する点(相違点1)及び「織物の経および緯方向の引裂強度がいずれも1000g以上、織物を撥水処理した後の耐水圧が1000mm水柱以上である」点(相違点2)について記載されていない点において、少なくとも両者は相違する。
該相違点1について検討すると、甲第2-2号証の試験結果における、ジムスターXQの経糸及び緯糸の全繊度は、いずれも117.60デニールであり、100デニール以下という要件を満たさない。
したがって、相違点2について検討するまでもなく、本件発明1は、甲第2-1号証に記載された発明であるとすることはできない。

(本件発明2〜3、7及び8について)
本件発明2〜3、7及び8は、本件発明1を引用し、本件発明1を更に技術的に限定したものであるから、本件発明1についてと同様の理由により、甲第1号証に記載された発明であるとも、甲第2-1号証に記載された発明であるとすることもできない。

(2)[理由2]について
a.本件発明1〜3、7及び8(訂正前の本件発明1〜5、9及び10に相当)と甲第3-1号証に記載された発明との対比・検討

(本件発明1について)
本件発明1(前者)と甲第3-1号証に記載された発明(後者)とを対比すると、後者には、上記サに記載の発明、及び上記シに記載の甲第3-1号証に添付された生地サンプルの試験結果に係る発明が記載されていると認められるからから、両者は、「全繊度が100デニール以下のポリエステルマルチフィラメント糸条がそれぞれ経糸および緯糸を構成してなる高密度織物であって、該ポリエステルマルチフィラメント糸条は同一または異なった糸条からなり、該織物を構成する経糸および緯糸のそれぞれの断面重なり係数WpおよびWfが下記(a)および(b)を同時に満足し、かつ織物の経および緯方向の引裂強度がいずれも1000g以上であることを特徴とする高密度織物。
(a)1.30≧Wp≧1.10
(b)1.20≧Wf≧0.85 」である点で一致し、後者には、「ポリエステルマルチフィラメント糸条の40重量%以上が単繊維繊度1.1デニール以下の単繊維で占められ」る点(相違点1)及び「織物を撥水処理した後の耐水圧が1000mm水柱以上である」点(相違点2)が記載されていない点で両者は相違している。
そこで、これら相違点について検討すると、後者には、該相違点について何ら記載も示唆もなく、また、該事項が自明なものとも認められないことから、該相違点を当業者が容易に想到し得るものとはいえない。
なお、異議申立人は、この相違点1について、甲第3-1号証に添付された生地サンプルである試料「マイクロフト」を分析・測定した試験結果が記載されている甲第3-2号証(上記シ)には、単繊維繊度(経糸)が1.19デニールである測定値が記載されており、前者の1.1デニールに対しわずか8%ほど上回っているだけであり、この程度の設計変更は、当業者が容易に推考し得るものであると主張するが何ら根拠のない主張であり、認めることができない。
そして、本件発明1は、本件特許明細書記載の作用・効果を奏するものである。
したがって、本件発明1は、甲第3-1号証に記載された発明から当業者が容易になし得た発明であるとすることはできない。

(本件発明2〜3、7及び8について)
本件発明2〜3、7及び8は、本件発明1を引用し、本件発明1を更に技術的に限定したものであるから、本件発明1についてと同様の理由により、甲第3-1号証に記載された発明から当業者が容易になし得た発明であるとすることはできない。

b.本件発明4〜6(訂正前の本件発明6〜8に相当)と甲第1、2、4及び5号証に記載された発明との対比・検討

(本件発明4について)
本件発明4(前者)と甲第1号証もしくは甲第2-1号証に記載された発明(後者)とを対比すると、甲第1号証及び甲第2-1号証に記載の発明については、上記のとおりであり、また、本件発明4との相違点は、少なくとも上記[理由1]で述べた本件発明1についての相違点を含むものと認められる。
そして、甲第4号証には、上記ス〜タの記載より、単糸繊度が1.2de以下、好ましくは0.5〜0.01deのポリエステル等の極細繊維を含み、トータルデニールが望ましくは80de以下の長繊維糸条を高密度に織製した織物であって、長繊維糸条にはフィラメント糸を捲縮加工したものを含むことが記載され、甲第5号証には、上記チ〜ニの記載より、高密度織物であって、単糸デニールが好ましくは1〜4デニールの高収縮ナイロンフィラメントの混率を20〜50重量%にすることが好ましいことが記載されているが、本件発明4と甲第1号証及び甲第2-1号証との前記相違点に関しては、何ら記載又は示唆するもがなく、該事項が自明のこととも認められないことから、本件発明4は、甲第1号証もしくは甲第2号証及び甲第4号証又は甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものとすることはできない。
そして、本件発明4は、本件特許明細書記載の作用・効果を奏するものである。
したがって、本件発明4は、甲第1、2、4及び5号証に記載された発明から当業者が容易になし得た発明であるとすることはできない。

(本件発明5、6について)
本件発明5、6は、本件発明1を引用し、本件発明1を更に技術的に限定したものであるから、上記本件発明4について述べたと同様の理由により、甲第1、2、4及び5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものとすることはできない。

(B)異議申立人東洋紡績株式会社の主張について
(1)[理由3]本件発明1〜3、7及び8(訂正前の本件発明1〜5、9及び10に相当)と甲第1号証に記載された発明及び甲第1号証に添付された生地サンプル「ジムスターXQ」により公然知られた発明との対比・検討

(本件発明1について)
本件発明1(前者)と甲第1号証に記載された「ジムスターXQ」に係る発明及び甲第1号証に添付された生地サンプル「ジムスターXQ」により公然知られた発明(後者)とを対比すると、甲第1号証には、「ジムスターXQ」は、高密度織物(上記ネ)であり、直接紡糸技術による極細糸(0.2〜0.4デニール)を用いた高密度織物も作られている(上記ヌ)こと、また、甲第1号証の「ジムスターXQ」と同じ「ジムスターXQ」に係る甲第2号証の上記ハを参照すると、ポリエステル100%のポリエステルマルチフィラメント糸条が経糸及び緯糸を構成する高密度織物であり(該極細糸の単繊維繊度は、上記ハの記載から事実上0.36デニールに相当する)、ジムスターXQの耐水圧が1500mm(上記ハ)であることが記載されていると認められることから、両者は、「ポリエステルマルチフィラメント糸条がそれぞれ経糸および緯糸を構成してなる高密度織物であって、該ポリエステルマルチフィラメント糸条は同一または異なった糸条からなり、かつ該ポリエステルマルチフィラメント糸条の40重量%以上が単繊維繊度1.1デニール以下の単繊維で占められ、織物を撥水処理した後の耐水圧が1000mm水柱以上であることを特徴とする高密度織物。」である点で一致するが、後者には、前者の必須の構成要件である、
(相違点1)経糸及び緯糸を構成するポリエステルマルチフィラメント糸条の全繊度が100デニール以下である点、
(相違点2)経糸および緯糸のそれぞれの断面重なり係数WpおよびWfが下記(a)および(b)を同時に満足する点、
(a)1.30≧Wp≧1.10
(b)1.20≧Wf≧0.85
(相違点3)織物の経および緯方向の引裂強度がいずれも1000g以上である点について直接的には記載されていない点において両者は相違する。
そこで、これら相違点について検討すると、相違点1について、甲第1号証には、110dにすることは記載されているが、100デニール以下にすることは何ら記載も示唆もされておらず、また、生地サンプル「ジムスターXQ」の試験結果を示す甲第3号証を参照しても、ポリエステルマルチフィラメント糸条の全繊度に関する記載はなく、前者に相違点1が実質的に記載されているに等しいものとすることはできない。
したがって、相違点2及び相違点3について検討するまでもなく、本件発明1は、甲第1号証に記載された発明及び甲第1号証に添付されたサンプルにより公然知られた発明であると認めることはできない。

(本件発明2〜3、7及び8)について
本件発明2〜3、7及び8は、本件発明1を引用し、本件発明1を更に技術的に限定したものであるから、本件発明1についてと同様の理由により、甲第1号証に記載された発明及び甲第1号証に添付された生地サンプルにより公然知られた発明であると認めることはできない。

(2)[理由4]本件発明4〜6(訂正前の本件発明6〜8に相当)と甲第1〜4号証に記載の発明との対比・検討

(本件発明4〜6について)
本件発明4〜6は、本件発明1を引用し、本件発明1を更に技術的に限定したものである。
そして、本件発明1は、上記[理由3]で述べたとおり、甲第1号証に記載の発明ではなく、その相違点については、上記[理由3]で述べたとおりである。
これに対して、甲第4号証には、上記フ〜メの記載より、多数の高密度織物の写真、単繊維繊度が1.1デニールを越え、3デニール以下の単繊維を40重量%未満で占められる長繊維糸条及び2.5デニールと0.1デニールの混繊糸を用いる高密度織物が記載されているが、前記相違点については何ら示唆されておらず、甲第1〜4号証を総合的に勘案しても示唆するものがない。また、本件特許明細書記載の作用・効果も予測し得るものとも認められないことから、本件発明1は、甲第1〜4号証に記載された発明に基づいて当業者が容易になし得たものとはいえない。
したがって、本件発明1を引用し、本件発明1を更に技術的に限定した、本件発明4〜6は、甲第1〜4号証から当業者が容易になし得た発明であるとすることはできない。

4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申し立ての理由及び証拠によっては本件発明1〜8についての特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1〜8についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
高密度織物
【発明の詳細な説明】
技術分野
本発明は高密度織物に関する。さらに詳しくは、本発明は薄くて軽く、高い引裂強度と良好な防水性能(耐水圧)を有する高密度織物に関する。
背景技術
従来より、高密度織物は防水性が要求される一般被服材料やスポーツ衣服用途あるいは布団の側地などの衣料材料として広く使用されている。
特にスポーツ衣料用途においては、アウトドアスポーツの普及に伴なって、その需要が年々増えつつあり、防水性向上に対する要求が高くなってきている。
このような要求に応えるため、構成糸条の単繊維繊度を小さくするか、あるいは織密度を高めることにより、織物の緻密性を上げる方法が種々提案されている。
例えば米国特許第4,548,848号明細書には、単繊維繊度が1.2デニール以下の長繊維糸条を経糸および緯糸に用い、経方向と緯方向のカバーファクターの合計を1400〜3400とした、高密度の防水性織物が開示されている。
また、特開平2-216238号公報には、経糸または緯糸のいずれか一方の織クリンプ率を他方に比べて大きくするとともに、該クリンプ率の大きい糸条と直交する方向の糸が互いに重なり合った構造を有する、高密度織物が開示されている。
しかしながら、上記2件の先行技術の織物においては、経または緯のいずれか一方のみの織密度が高められているに過ぎないため経/緯のバランスが悪く、該織物を撥水処理した後、防水性布帛として用いた場合には、実用上の必要耐水圧(1000mm水柱)が満足されないという問題があった。
また、これまでは、織物の密度を高めた場合には、経糸や緯糸の拘束力が高められ、糸のズレが起こりにくくなるので、引裂の際の引裂応力が少数本の糸に集中し、織物のみかけの引裂強力はむしろ低下すると言われていた(例えば日本繊維機械学会 産業用資材研究会編、「産業用繊維資材ハンドブック」P.24、図1・17)。
特に、織物の緻密性を高めるために構成糸条の全繊度を小さくすると、この現象が顕著に現われ、高密度織物において、実用上問題のない引裂強力を得ることは困難であった。
つまり、従来、実用上問題のない引裂強力を保持しながら、高い耐水圧を有する高密度織物、言い換えれば高い引裂強力と耐水圧の両者を具備した高密度織物を得ることはできなかった。
発明の開示
本発明の目的は、上記の二律背反性を克服し、引裂強力が低下することなく且つ良好な防水性能が付与された高密度織物を提供することにある。
本発明者らは上記問題を解決するため鋭意研究を進めた結果、高密度織物を製織する際、織物を構成する経糸および緯糸の重なりをある一定の関係に保つとき、引裂強力の低下がなく且つ高い耐水圧を有する高密度織物が得られることを究明した。
かくして本発明によれば、全繊度が100デニール以下のポリエステルマルチフィラメント糸条がそれぞれ経糸および緯糸を構成してなる高密度織物であって、該ポリエステルマルチフィラメント糸条は同一または異なった糸条からなり、かつ該ポリエステルマルチフィラメント糸条の40重量%以上が単繊維繊度1.1デニール以下の単繊維で占められ、該織物を構成する経糸および緯糸のそれぞれの断面重なり係数WpおよびWfが下記(a)および(b)を同時に満足し、かつ織物の経および緯方向の引裂強度がいずれも1000g以上、織物を撥水処理した後の耐水圧が1000mm水柱以上であることを特徴とする高密度織物が提供される。
(a)1.30≧Wp≧1.10
(b)1.20≧Wf≧0.85
(ここで、断面重なり係数WpおよびWfの次のように定義される。
Wp=W1f/W0f
Wf=W1p/W0p
W0f:織物の最小繰り返し単位中の任意の緯糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1f:上記W0fの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各経糸の占める幅の和。
W0p:織物の最小繰り返し単位中の任意の経糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1p:上記W0pの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各緯糸の占める幅の和。
図面の簡単な説明
第1図は、経糸の断面重なり係数Wpを説明するための、経糸と直交する方向の織物断面図である。
第2図は、経糸の断面重なり係数Wpと緯糸の断面重なり係数Wfの関係を示すグラフである。
第3図は、経糸と緯糸の相互作用を説明するための、緯糸と直交する方向の織物断面図である。
第4図は、本発明の高密度織物を織成するための織機の構造の一例を示す模式図である。
発明を実施するための最良の形態
以下、本発明について詳述する。
本発明の高密度織物を構成する経糸および緯糸は、いずれも構成糸条の40重量%以上、好ましくは65重量%以上が単繊維繊度1.1デニール以下、好ましくは0.5デニール以下の単繊維で占められ且つ全繊度が100デニール以下の長繊維糸条であることを前提とする。一方、単繊維繊度の下限は0.02デニールであるのが好ましく、0.05デニールであるのがより好ましい。また、全繊度の下限は10デニールであるのが好ましく、20デニールであるのがより好ましい。
単繊維繊度が1.1デニール以下の繊維の構成比率が40重量%未満の場合や、全繊度が100デニールを越える場合には織物の緻密性が低下して耐水圧が低くなる上、風合が硬くなり、防水性が要求される衣料用途には適さない。
長繊維糸条の40重量%未満の部分を構成する他の繊維の単繊維繊度は1.1デニールを越え3デニール以下であるのが好ましく、1.1デニールを越え2デニール以下であるのがさらに好ましい。
上記長繊維糸条としては、熱可塑性合成繊維のマルチフィラメントフラットヤーン、仮撚加工糸あるいは異なった物性を有する2種以上のマルチフィラメントからなる混繊糸などが例示できる。
経糸および緯糸を構成する長繊維糸条は、同種のものであっても異なっていても構わない。
また、本発明の高密度織物を構成する経糸および緯糸の断面重なり係数WpおよびWfは、下記(a)および(b)を満足する必要がある。
(a)1.30≧Wp≧1.10、好ましくは1.30≧Wp≧1.15
(b)1.20≧Wf≧0.85、好ましくは1.20≧Wf≧0.90
ここで、断面重なり係数WpおよびWfは次のように定義される。
Wp=W1f/W0f
Wf=W1p/W0p
また、上記式中のW0f、W1f、W0pおよびW1pは下記のごとく定義される。
W0f:織物の最小繰り返し単位中の任意の緯糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅、例えば平織の場合は経糸2本、2/2綾織の場合は経糸4本、5枚朱子の場合は経糸5本が占める幅をいう。ただし、該幅は、異なる3ケの最小繰り返し単位における平均値とする。
W1f:上記W0fの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各経糸の占める幅の和をいう。ただし、該幅の和は、異なる3ケの最小繰り返し単位における平均値とする。
W0p:織物の最小繰り返し単位中の任意の経糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅、例えば平織の場合は経糸2本、2/2綾織の場合は経糸4本、5枚朱子の場合は経糸5本が占める幅をいう。ただし、該幅は、異なる3ケの最小繰り返し単位における平均値とする。
W1p:上記W0pの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各緯糸の占める幅の和をいう。ただし、該幅の和は、異なる3ケの最小繰り返し単位における平均値とする。
例えば、第1図は経糸の断面重なり係数を説明するための、経糸と直交する方向の平織物の断面図であり、W0fは平織組織の最小繰り返し単位である経糸2本あたりの最大幅、またW1、W2は該繰り返し単位中に含まれる経糸の最大幅を示し、W1f=W1+W2によりW1fが求められる。
緯糸の断面重なり係数Wfも、緯糸と直交する方向の織物断面からWpと同様の方法により求められる。
第2図はWpおよびWfの関係を示すグラフであり、本発明の高密度織物は、第2図のCの範囲のWPおよびWfを有する。
つまり、本発明の高密度織物は、構成糸条の40重量%以上が単繊維繊度1.1デニール以下の単繊維で占められ且つ全繊度が120デニール以下の長繊維糸条を用いて、WpおよびWfの値を第2図のCの範囲内に制御しているため、経方向および緯方向ともに充分な緻密さを有しており、かつ経/緯バランスが良好であるため、高い耐水圧を有する。
これに対して、前掲の米国特許第4,548,848号明細書および特開平2-216238号公報の織物を含む従来の高密度織物は、主として経密度のみを高めて織物全体の密度を高めていたため、WpおよびWfは、例えば第2図のAの領域にあり、織物の緻密さ、特に緯方向の緻密さが不足し、充分な耐水圧が得られなかった。
その理由は、織物の緯密度を高めることは技術的に困難な点が多く、従来の方法では、緯密度を高めようとすると、今度は経密度が大幅に低下するからである。この時、WpおよびWfは、例えば第2図のBの領域に移行する。
従って、従来は経あるいは緯のいずれか一方の密度を高めることしかできず、本発明の高密度織物のように経/緯ともに充分な緻密さを有する織物は得られなかった。
本発明においては、WpおよびWfを上記範囲に設定することにより、充分な耐水圧を付与できる上、全繊度が120デニール以下の長繊維糸条を用いているにもかかわらず、織物の引裂強力を高いレベルに維持することが可能となる。
即ち、本発明の高密度織物においては、隣り合う経糸(および緯糸)同志が互いに重なり合っているため、多数本の糸が同時に引裂応力を受けるようになり、糸を破断させるのに要する引裂力が増大するため、これまでは密度の増加に伴って低下してきたみかけの引裂強力が経および緯方向ともに大きく向上するのである。
なお、本発明においては、緯糸同志が重なり合わない部分(0.85≦Wf≦1.0の部分)もあるが、後述のように経糸の張力が極めて高いので、経糸が緯糸と一体となって引裂力に対して挙動するため、この部分においても引裂強力は1000gを確保できることが確認された。
何故なら、通常の経糸張力の場合(Wfは0.85未満となる)、第3図(a)のように隣り合う経糸1、2および緯糸3の間には空隙4が生じ、緯糸と経糸が独立した挙動を示すのに対し、本発明においては経糸張力が極めて高いので、第3図(b)に示すように空隙4はほとんど存在せず、縦糸と緯糸が一体となって挙動するのである。
このような知見は、高密度織物において、経(緯)糸の重なりを極限にまで高める、以下に述べる製織技術の確率によって初めて見出されたものであり、この製織技術を利用することによって引裂強力を低下させることなく、高い耐水圧を有する高密度織物を得ることが可能となった。
さらに、WpおよびWfが前述の値を満足しても、(Wp-Wf)の値が0.3を越える場合(第2図のC2の範囲)には、織物の経/緯バランスがややくずれ、耐水圧や引裂強力が低下する傾向があるので、(Wp-Wf)の値は0.3以下(第2図のC2の範囲)であることが好ましい。
本発明の高密度織物に使用される長繊維糸条は、ポリエステルより形成されたマルチフィラメントであり、そのポリエステルは、エチレンテレフタレート単位を全繰り返し単位の80モル%以上有するポリエステルであるのが有利である。
上記本発明の高密度織物を得る方法としては、例えば構成糸条の40重量%以上、好ましくは65重量%以上が単繊維繊度が1.1デニール以下、好ましくは0.5デニール以下の単繊維で占められ且つ全繊度が100デニール以下のポリエステルマルチフィラメントフラットヤーンをそれぞれ経糸および緯糸に配し、経糸の張力を従来(高々0.3g/デニール)の2倍以上に高めて、経方向と緯方向のカバーファクター(CF)の合計を1800〜3500として製織することにより得られる。
ここで、カバーファクター(CF)は下記式に基づいて決定される値である。

前記式において、nは織物の1インチ(inch)当りの経糸または緯糸の数を示し、deは織物の経糸または緯糸それぞれのデニールを示す。
本発明の織物は、経方向と緯方向のカバーファクター(CF)の合計が1800〜3500、好ましくは2000〜3500の範囲を有している。
この際、使用するマルチフィラメントヤーンの撚数は300T/m以下であることが好ましく、さらに好ましくは実質的に無撚状態のフラットヤーンである。
ここで、実質的に無撚状態であるとは、撚糸等による積極的な撚が施されておらず、解除撚などの意図しない撚しか付与されていない状態をいう。
また、上記マルチフィラメントヤーンは、仮撚加工等による捲縮を有するものでも良いし、例えば熱収縮率が互いに異なる2種以上のマルチフィラメントが引き揃え、合撚あるいは空気交絡等公知の手段によって混繊されたものでも構わない。
経糸の張力を高める方法としては、織機のバックローラーとプレスローラーの巻取り速度差を大きくする等の方法が採用できる。
第4図は、経糸張力を高めて本発明の高密度織物を製織するための織機の構造の一例を模式的に示したものであり、5はビーム、6はバックロール、7は経糸、8はヘルド、9は筬、10はプレスロール、また11はクロスロールを示す。
本発明においては、バックロール6およびプレスロール10の径を、例えば通常(高々100mm程度)の1.5倍以上とし、スリップを起こさずに巻き取れるようにして該両ローラーの巻取り速度差を大きくし、経糸7の張力を高めている。
張力の値は、使用するマルチフィラメントの繊度や製織密度に応じて適宜設定すれば良いが、経糸1本あたり0.35〜0.9g/デニール、好ましくは0.4〜0.7g/デニール程度が必要である。
前述の様に、織物の緯密度を高めることは、経密度を高めることに比べて技術的に困難な点が多い。
つまり、緯密度を高めるためには緯糸の打ち込み本数を多くすることが必要であるが、通常の織機を使用した場合には筬打後の経糸のゆるみ等が発生し、打ち込み本数の増加には物理的な限界が生ずる。
これに対して、本発明では経糸張力を従来の常識を遙かに越える程度にまで高め、経糸が突っ張った状態で緯糸を打ち込むので、経糸のゆるみ等は起こらず、経/緯のバランスを保ちながら織物を高密度化させることが可能となる。
本発明において使用する織機には特に制限はなく、ノルマルルーム織機の他、ウオータージェットルーム織機やエアージェットルーム織機を使用することもできる。
また、織組織にも制限はなく、平組織の他、綾組織、朱子組織等任意の組織が採用できる。
製織後の織物は常法に従って精練、リラックス、プレセット、染色し、必要に応じて撥水処理を行なった後カレンダー加工を行なうことが好ましい。
撥水処理に際しては、フッ素系あるいはシリコン系の撥水剤をスプレー法、パディング法あるいは浸漬法などの方法で付与すればよい。この際、撥水剤の織物への付着量は15〜80重量%が好ましい。
また、処理浴にイソプロピルアルコールなどの浸透性向上剤を加えたり、処理時間を通常の織物の場合よりも長くして撥水剤の浸透を高めておくことが好ましい。
かくして得られた高密度織物は、経方向および緯方向とも、従来の高密度織物をはるかに上回る1000g以上の引裂強力を有するとともに、前記撥水処理を行なった後は1000mm水柱以上という高い耐水圧を示す。
このように本発明の高密度織物は、布帛表面に撥水性被膜を形成させないでも、織物の構造に基づいて充分に高い耐水圧を有している点に特徴を有している。
実施例
以下、実施例により本発明をさらに具体的に説明する。
なお、実施例中の各物性は下記の方法により測定したものである。
(1)経糸および緯糸のそれぞれの断面重なり係数WpおよびWf、織物の経および緯方向の任意の断面における断面顕微鏡写真より、下記のW0f、W1f、W0pおよびW1pの値を読み取り、次式により算出した。
W0f:織物の最小繰り返し単位中の任意の緯糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅、例えば平織の場合は経糸2本、2/2綾織の場合は経糸4本、5枚朱子の場合は経糸5本が占める幅をいう。ただし、該幅は、異なる3ケの最小繰り返し単位における平均値とする。
W1f:上記W0fの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各経糸の占める幅の和をいう。ただし、該幅の和は異なる3ケの最小繰り返し単位における平均値とする。
W0p:織物の最小繰り返し単位中の任意の経糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅、例えば平織の場合は経糸2本、2/2綾織の場合は経糸4本、5本朱子の場合は経糸5本が占める幅をいう。ただし、該幅は、異なる3ケの最小繰り返し単位における平均値とする。
W1p:上記W0pの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各緯糸の占める幅の和をいう。ただし、該幅の和は異なる3ケの最小繰り返し単位における平均値とする。
Wp=W1f/W0f
Wf=W1p/W0p
(2)織物の引裂強力
JIS L 1079 A1のシングルタング法に従い、経/緯それぞれ5回測定してその平均値で表わした。なお、経方向の引裂強力とは、織物の経方向に沿って緯糸を引裂いていくのに要する引裂力を示すものとする。
(3)耐水圧
JIS L 1092の低水圧法に従い、5回測定してその平均値で表わした。なお、耐水圧については5回洗濯後の織物についても同様に測定した。洗濯の条件はJIS L 1018-77 6.36H法に従った。
実施例1
経糸として撚数S300T/mの100デニール288フィラメントのポリエステルマルチフィラメントのフラットヤーン、緯糸として64デニール144フィラメントのポリエステルマルチフィラメントの無撚のフラットヤーンを用い、第3図に示す、プレスローラーの径が150mm、バックローラーの径が160mmのウォータージェットルーム織機を使用し、経糸1本あたりの張力を0.5g/デニールとして平織物を製織した。
この際の経糸密度は144本/inch、緯糸密度は117本/inchに設定した。
得られた織物を常法に従って精練、プレセットした後、液流染色機にて染色し乾燥した。
乾燥後、下記成分を含む浴中に浸漬し、ピックアップ量を60重量%に調整した後熱セットを行ない、160℃でカレンダー加工して仕上げた。
フッ素系の撥水剤(アサヒガードLS317;旭ガラス(株)製)
5.0Wt%
フッソ系の撥水剤(アサヒガードLS380K;旭ガラス(株)製)
0.3Wt%
イソプロピルアルコール
3.0Wt%
得られた高密度織物のWpおよびWfはそれぞれ1.14、0.91であった。得られた織物の引裂強力、耐水圧を表1に示す。
実施例2
実施例1において、経糸を撚数S 300T/mの100デニール288フィラメントのポリエステルマルチフィラメントの仮撚加工糸に変更し、経糸密度を140本/inch、緯糸密度を112本/inchに設定した以外は実施例1と同様の方法で製織、仕上げを行なった。
得られた高密度織物のWp、Wf、引裂強力および耐水圧を表1に示す。
実施例3
実施例1において、経糸および緯糸を、異なった沸騰水収縮率を有する2種のポリエステルマルチフィラメントのフラットヤーンから構成される62デニール84フィラメントの混繊糸(撚数S 300T/M、単繊維繊度1.1デニール以下の繊維の構成比率52%)に変更し、経糸密度を178本/inch、緯糸密度を112本/inchに設定した以外は実施例2と同様の方法で製織、仕上げを行なった。
得られた高密度織物のWp、Wf、引裂強力および耐水圧を表1に示す。
実施例4
実施例1において、経糸および緯糸を、異なった沸騰水収縮率を有する2種のポリエステルマルチフィラメントのフラットヤーンから構成される62デニール84フィラメントの混繊糸(撚数S 300T/M、単繊維繊度1.1デニール以下の繊維の構成比率40%)に変更し、経糸密度を170本/inch、緯糸密度を142本/inchに設定した以外は実施例2と同様の方法で製織、仕上げを行なった。
得られた高密度織物のWp、Wf、引裂強力および耐水圧を表1に示す。
実施例5
実施例1において、製織の際の織機をエアージェットルーム織機に変更し、経糸密度を144本/inch、緯糸密度を135本/inchに設定した以外は実施例1と同様の方法で製織、仕上げを行なった。
得られた高密度織物のWp、Wf、引裂強力および耐水圧を表1に示す。
実施例6
実施例1において、製織の際の経糸密度を158本/inch、緯糸密度を120本/inchに変更した以外は実施例1と同様の方法で製織、仕上げを行った。
得られた高密度織物のWp、Wf,引裂強力および耐水圧を表1に示す。
比較例1
実施例3において、織機を通常のウオータージェットルーム織機に変更し、経糸1本あたりの張力を0.11g/デニールとして製織しようとしたところ、停台が多発し高密度織物を得ることはできなかった。
比較例2
比較例1において、経糸密度を132本/inch、緯糸密度を96本/inchに変更した以外は比較例1と同様の方法で製織、仕上げを行った。
得られた高密度織物のWp、Wf、引裂強力および耐水圧を表1に示す。
比較例3
実施例1において、製織の際の経糸密度を116本/inch、緯糸密度を90本/inchに変更した以外は実施例1と同様の方法で製織、仕上げを行った。
得られた高密度織物のWp、Wf、引裂強力および耐水圧を表1に示す。
比較例4
実施例1において、経糸を80デニール72フィラメントのポリエステル仮撚加工糸、緯糸を75デニール72フィラメントのポリエステルマルチフィラメントのフラットヤーンに変更し、経糸密度を138本/inch、緯糸密度を98本/inchに変更した以外は、実施例1と同様の方法で仕上げた。
得られた高密度織物のWp、Wf、引裂強力および耐水圧を表1に示す。
比較例5
実施例1において、経糸および緯糸を、異なった沸騰水収縮率を有する2種のポリエステルマルチフィラメントのフラットヤーンから構成される130デニール120フィラメントの混繊糸(撚数S 150T/M、単繊維繊度1.1デニール以下の繊維の構成比率38%)に変更し、経糸密度を106本/inch、緯糸密度を60本/inchに設定した以外は実施例1と同様の方法で製織、仕上げを行なった。
得られた高密度織物のWp、Wf、引裂強力および耐水圧を表1に示す。

発明の効果
本発明の高密度織物は、薄くて軽いにもかかわらず引裂強力が大きく、しかも防水性能に優れているので、スキー衣料やウインドブレーカー、アウトドア衣料、コート、作業着、手術着などの衣料用途のみならず、シャワーカーテンやテーブルクロス、傘地等の用途にも広く使用することが可能である。
(57)【特許請求の範囲】
1.全繊度が100デニール以下のポリエステルマルチフィラメント糸条がそれぞれ経糸および緯糸を構成してなる高密度織物であって、該ポリエステルマルチフィラメント糸条は同一または異なった糸条からなり、かつ該ポリエステルマルチフィラメント糸条の40重量%以上が単繊維繊度1.1デニール以下の単繊維で占められ、該織物を構成する経糸および緯糸のそれぞれの断面重なり係数WpおよびWfが下記(a)および(b)を同時に満足し、かつ織物の経および緯方向の引裂強度がいずれも1000g以上、織物を撥水処理した後の耐水圧が1000mm水柱以上であることを特徴とする高密度織物。
(a)1.30≧Wp≧1.10
(b)1.20≧Wf≧0.85
(ここで、断面重なり係数WpおよびWfは次のように定義される。
Wp=W1f/W0f
Wf=W1p/W0p
W0f:織物の最小繰り返し単位中の任意の緯糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1f:上記W0fの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各経糸の占める幅の和。
W0p:織物の最小繰り返し単位中の任意の経糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1p:上記W0pの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各緯糸の占める幅の和。
2.(Wp-Wf)の値が0.3以下である請求の範囲第1項記載の高密度織物。
3.ポリエステルマルチフィラメント糸条の少なくとも一方が実質的に無撚のフラットヤーンである請求の範囲第1項に記載の高密度織物。
4.経糸または緯糸のいずれか一方がポリエステルマルチフィラメントの仮撚加工糸である請求の範囲第1項記載の高密度織物。
5.ポリエステルマルチフィラメント糸条が、構成糸条の40重量%未満が、単繊維繊度が1.1デニールを越え、3デニール以下の単繊維で占められた長繊維糸条である請求の範囲第1項記載の高密度織物。
6.ポリエステルマルチフィラメント糸条が、構成糸条の40重量%未満が、単繊維繊度が1.1デニールを越え、2デニール以下の単繊維で占められた長繊維糸条である請求の範囲第1項記載の高密度織物。
7.経方向と緯方向のカバーファクター(CF)の合計が1800〜3500である請求の範囲第1項記載の高密度織物。
8.請求の範囲第1項記載の高密度織物より構成された衣料。
 
訂正の要旨 (1) 本件特許権の訂正審判(審判番号 訂正2000-39111)における訂正明細書の特許請求の範囲に記載された「全繊度が120デニール以下の長繊維糸条がそれぞれ経糸および緯糸を構成してなる高密度織物であって、該長繊維糸条は同一または異なった糸条からなり、かつ該長繊維糸条の40重量%以上が単繊維繊度1.1デニール以下の単繊維で占められ、該織物を構成する経糸および緯糸のそれぞれの断面重なり係数WpおよびWfが下記(a)および(b)を同時に満足し、かつ織物の経および緯方向の引裂強度がいずれも1000g以上であることを特徴とする高密度織物。
(a)1.30≧Wp≧1.10
(b)1.20≧Wf≧0.85
(ここで、断面重なり係数WpおよびWfは次のように定義される。
Wp=W1f/W0f
Wf=W1p/W0p
W0f:織物の最小繰り返し単位中の任意の緯糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1f:上記W0fの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各経糸の占める幅の和。
W0p:織物の最小繰り返し単位中の任意の経糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1p:上記W0pの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各緯糸の占める幅の和。」を「全繊度が100デニール以下のポリエステルマルチフィラメント糸条がそれぞれ経糸および緯糸を構成してなる高密度織物であって、該ポリエステルマルチフィラメント糸条は同一または異なった糸条からなり、かつ該ポリエステルマルチフィラメント糸条の40重量%以上が単繊維繊度1.1デニール以下の単繊維で占められ、該織物を構成する経糸および緯糸のそれぞれの断面重なり係数WpおよびWfが下記(a)および(b)を同時に満足し、かつ織物の経および緯方向の引裂強度がいずれも1000g以上、織物を撥水処理した後の耐水圧が1000mm水柱以上であることを特徴とする高密度織物。
(a)1.30≧Wp≧1.10
(b)1.20≧Wf≧0.85
(ここで、断面重なり係数WpおよびWfは次のように定義される。
Wp=W1f/W0f
Wf=W1p/W0p
W0f:織物の最小繰り返し単位中の任意の緯糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1f:上記W0fの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各経糸の占める幅の和。
W0p:織物の最小繰り返し単位中の任意の経糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1p:上記W0pの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各緯糸の占める幅の和。」と訂正することは、本件特許権の訂正審判における訂正明細書第3頁第20行の「…好ましくは100デニール以下の…」の記載、第6頁第20行〜同頁第21行の「本発明の高密度織物に使用される長繊維糸条はポリエステルより形成されたマルチフィラメントであるのが好ましく、…」の記載、及び第8頁第21行〜同頁第22行の「…前記撥水処理を行なった後は1000mm水柱以上という高い耐水圧を示す。」の記載に基づき、特許請求の範囲第1項に特許請求の範囲第2項及び第4項の要件を付加したものであり、特許請求の範囲を減縮するものである。
(2) 上記特許請求の範囲の減縮に伴い、本件特許権の訂正審判における訂正明細書の特許請求の範囲第3項を第2項に、第5項を第3項に、第6項を第4項に、第7項を第5項に、第8項を第6項に、第9項を第7項に、第10項を第8項にそれぞれ訂正し、さらに第5項の「長繊維糸条の少なくとも一方がポリエステルマルチフィラメントの実質的に・・」を「ポリエステルマルチフィラメント糸条の少なくとも一方が実質的に・・」に、第7項及び第8項の「長繊維糸条が、・・」を「ポリエステルマルチフィラメント糸条が、・・」に訂正することは、特許請求の範囲を減縮するものである。
(3) 本件特許権の訂正審判における訂正明細書第2頁第15行〜同第3頁第5行に記載された「かくして本発明によれば、全繊度が120デニール以下の長繊維糸条がそれぞれ経糸および緯糸を構成してなる高密度織物であって、該長繊維糸条は同一または異なった糸条からなり、かつ該長繊維糸条の40重量%以上が単繊維繊度1.1デニール以下の単繊維で占められ、該織物を構成する経糸および緯糸のそれぞれの断面重なり係数WpおよびWfが下記(a)および(b)を同時に満足し、かつ織物の経および緯方向の引裂強度がいずれも1000g以上であることを特徴とする高密度織物が提供される。
(a)1.30≧Wp≧1.10
(b)1.20≧Wf≧0.85
(ここで、断面重なり係数WpおよびWfは次のように定義される。
Wp=W1f/W0f
Wf=W1p/W0p
W0f:織物の最小繰り返し単位中の任意の緯糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1f:上記W0fの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各経糸の占める幅の和。
W0p:織物の最小繰り返し単位中の任意の経糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1p:上記W0pの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各緯糸の占める幅の和。」を「かくして本発明によれば、全繊度が100デニール以下のポリエステルマルチフィラメント糸条がそれぞれ経糸および緯糸を構成してなる高密度織物であって、該ポリエステルマルチフィラメント糸条は同一または異なった糸条からなり、かつ該ポリエステルマルチフィラメント糸条の40重量%以上が単繊維繊度1.1デニール以下の単繊維で占められ、該織物を構成する経糸および緯糸のそれぞれの断面重なり係数WpおよびWfが下記(a)および(b)を同時に満足し、かつ織物の経および緯方向の引裂強度がいずれも1000g以上、織物を撥水処理した後の耐水圧が1000mm水柱以上であることを特徴とする高密度織物が提供される。
(a)1.30≧Wp≧1.10
(b)1.20≧Wf≧0.85
(ここで、断面重なり係数WpおよびWfは次のように定義される。
Wp=W1f/W0f
Wf=W1p/W0p
W0f:織物の最小繰り返し単位中の任意の緯糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1f:上記W0fの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各経糸の占める幅の和。
W0p:織物の最小繰り返し単位中の任意の経糸の、長さ方向の2分線上に沿った織物断面における、該最小繰り返し単位の占める幅。
W1p:上記W0pの断面において、最小繰り返し単位に含まれる各緯糸の占める幅の和。」と訂正することは、上記特許請求の範囲の減縮に整合させるものであり、発明の構成要件の限定的減縮にあたる。
(4) 本件特許権の訂正審判における訂正明細書第3頁第19行〜同頁第20行及び第6頁第26行〜同頁第27行に記載された「…全繊度が120デニール以下、好ましくは100デニール以下の…」を「…全繊度が100デニール以下の…」と訂正することは、上記特許請求の範囲の減縮に整合させるものであり、発明の構成要件の限定的減縮にあたる。
(5) 本件特許権の訂正審判における訂正明細書第3頁第25行に記載された「…全繊度が120デニールを越える場合には…」を「…全繊度が100デニールを越える場合には…」と訂正することは、上記特許請求の範囲の減縮に整合させるものであり、発明の構成要件の限定的減縮にあたる。
(6) 本件特許権の訂正審判における訂正明細書第6頁第20行〜同頁第21行に記載された「本発明の高密度織物に使用される長繊維糸条は、ポリエステルより形成されたマルチフィラメントであるのが好ましく、…」を「本発明の高密度織物に使用される長繊維糸条は、ポリエステルより形成されたマルチフィラメントであり、…」と訂正することは、上記特許請求の範囲の減縮に整合させるものであり、発明の構成要件の限定的減縮にあたる。
(7) 叙上の通り、本件訂正請求は特許法第120条の4第2項の要件を満たしている。
異議決定日 2003-06-23 
出願番号 特願平6-520868
審決分類 P 1 651・ 113- YA (D03D)
P 1 651・ 121- YA (D03D)
P 1 651・ 111- YA (D03D)
最終処分 維持  
前審関与審査官 小石 真弓  
特許庁審判長 石井 淑久
特許庁審判官 田口 昌浩
鴨野 研一
登録日 2000-02-18 
登録番号 特許第3034045号(P3034045)
権利者 帝人株式会社
発明の名称 高密度織物  
代理人 三原 秀子  
代理人 三原 秀子  
代理人 室之園 和人  
代理人 鈴木 崇生  
代理人 谷口 俊彦  
代理人 尾崎 雄三  
代理人 梶崎 弘一  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ