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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  G09G
管理番号 1084749
異議申立番号 異議2001-72849  
総通号数 47 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1993-07-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-10-16 
確定日 2003-07-28 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3156327号「液晶表示装置」の請求項1ないし5に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3156327号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3156327号発明は、平成4年1月7日に特許出願され、平成13年2月9日にその特許の設定登録がなされ、その後、異議申立人 古川京子より特許異議の申立がなされ、取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成14年4月1日付けで訂正請求がなされ、再度取消理由がなされ、その指定期間内である平成15年5月26日付で訂正請求がなされると共に上記平成14年4月1日付け訂正請求が取り下げられたものである。

2.訂正の適否
2-1.訂正事項
訂正事項a:
特許明細書の特許請求の範囲の請求項1を削除し、請求項2に
「【請求項2】請求項1に記載の液晶表示装置において、前記制御手段は、1水平ライン分の表示データ容量の記憶容量を有し、複数の記憶領域に分割された第2の記憶手段をさらに有し、2つの記憶手段のうち、一方が表示データを書き込んでいる時、他方の記憶手段から表示データを読み出させることを特徴とする液晶表示装置。」とあるのを
「【請求項1】表示データと同期信号を入力して、液晶駆動用の液晶表示データ及び制御信号を生成する制御手段と、1ライン分の液晶表示データを順次入力し、液晶駆動用電圧に変換して出力する複数の信号駆動ドライバで構成され、各表示画素部をスイッチング素子と液晶とで構成するアクティブマトリックスタイプの液晶パネルとから成る液晶表示装置において、
前記液晶表示データ及び制御信号を生成する制御手段に設けられ、1水平ライン分の表示データ容量の記憶容量を有し、複数の記憶領域に分割された第1の記憶手段と、
前記液晶表示データ及び制御信号を生成する制御手段に設けられ、1水平ライン分の表示データ容量の記憶容量を有し、複数の記憶領域に分割された第2の記憶手段と、
入力する表示データを各記憶領域に書き込む手段と、
前記第1の記憶手段および第2の記憶手段のうち、一方に表示データを書き込んでいる時、他方の記憶手段の記憶領域各々から表示データを並列に読み出す手段と、
読み出されたそれぞれの表示データを、前記液晶パネルの片側端部の、前記複数の記憶領域の各々に対応する各信号駆動ドライバに転送する手段とを有することを特徴とする液晶表示装置。」
と訂正する。

訂正事項b:
特許明細書の特許請求の範囲の請求項3〜5を削除する。

訂正事項c:
特許明細書の特許請求の範囲の請求項6〜8を請求項2〜4とする。

2-2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張・変更の存否
訂正事項aについて
訂正前の請求項2が引用する請求項1には、
「【請求項1】表示データと同期信号を入力して、液晶駆動用の液晶表示データ及び制御信号を生成する制御手段と、1ライン分の液晶表示データを順次入力し、液晶駆動用電圧に変換して出力する複数の信号駆動ドライバで構成され、各表示画素部をスイッチング素子と液晶とで構成するアクティブマトリックスタイプの液晶パネルとから成る液晶表示装置において、
前記液晶表示データ及び制御信号を生成する制御手段に設けられ、1水平ライン分の表示データ容量の記憶容量を有し、複数の記憶領域に分割された記憶手段と、
入力する表示データを各記憶領域に書き込む手段と、
前記記憶手段に書き込まれた表示データを前記複数の記憶領域各々から読み出す手段と、
読み出されたそれぞれの表示データを対応する各信号駆動ドライバに転送する手段とを有することを特徴とする液晶表示装置。」が記載されているから、
訂正事項aは、請求項1を削除し、実質的に訂正前の請求項2が引用する請求項1を取り込んで独立請求項とするとともに、訂正前の請求項2に記載されていた「2つの記憶手段のうち、一方が表示データを書き込んでいる時、他方の記憶手段から表示データを読み出させる」なる記載を「前記第1の記憶手段および第2の記憶手段のうち、一方が表示データを書き込んでいる時、他方の記憶手段の記憶領域各々から表示データを並列に読み出す手段」とし、訂正前の請求項1に記載されていた「読み出されたそれぞれの表示データを対応する各信号駆動ドライバに転送する手段とを有する」なる記載を「読み出されたそれぞれの表示データを、前記液晶パネルの片側端部の、前記複数の記憶領域の各々に対応する各信号駆動ドライバに転送する手段とを有する」とするものである。
請求項1を削除する点は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものである。請求項1を取り込んで独立請求項とする点は、請求項1を削除するために、請求項2が引用していた請求項1を取り込んだものであるから、明りょうでない記載の釈明にあたる。
「2つの記憶手段のうち、一方が表示データを書き込んでいる時、他方の記憶手段から表示データを読み出させる」を「前記第1の記憶手段および第2の記憶手段のうち、一方に表示データを書き込んでいる時、他方の記憶手段の記憶領域各々から表示データを並列に読み出す手段」とする点は、表示データを読み出す際に並列に読み出すことに限定するものであり、これは、段落【0017】〜【0019】および図7の記載に基づくものである。(例えば、図7では、メモリAのリードにおいて、領域1の1番の信号駆動ドライバのデータと、領域2の2番の信号駆動ドライバのデータと、領域3の3番の信号駆動ドライバのデータと、領域4の4番の信号駆動ドライバのデータとが、互いに並列にリードされていることが明らかである。)また、「読み出されたそれぞれの表示データを対応する各信号駆動ドライバに転送する手段とを有する」を「読み出されたそれぞれの表示データを、前記液晶パネルの片側端部の、前記複数の記憶領域の各々に対応する各信号駆動ドライバに転送する手段とを有する」とする点は、表示データを、信号駆動ドライバに転送する際に、前記並列に読み出された表示データを、片側端部の、前記複数の記憶領域の各々に対応する各信号駆動ドライバに転送するように限定するものであり、段落【0017】および図6の記載に基づくものである。
よって、訂正事項aは、願書に添付された明細書又は図面に記載されていた事項の範囲内の訂正であって、明りょうでない記載の釈明及び特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

訂正事項bについて
訂正事項bは、請求項3〜5を削除するものであり、願書に添付された明細書又は図面に記載されていた事項の範囲内の訂正であって、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものではない。

訂正事項cについて
訂正事項cは、請求項1および3〜5を削除し、請求項2を請求項1とするのにともない、請求項6〜8を請求項2〜4に繰り上げるものであり、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

むすび
以上のとおりであるから、上記訂正(訂正事項a〜c)は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるとされる、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書、第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議申立についての判断(取消理由についての判断)
3-1.本件特許発明
前述のとおり、本件明細書の訂正請求は認められるので、本件特許第3156327号の請求項1に係る発明は、平成15年5月26日付け全文訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1欄に記載されたとおりのものである。

3-2.申立理由の概要および取消理由の概要
異議申立人 古川京子は、甲第1号証(特開平2-126285号公報)を提出し、請求項1〜5に係る発明は甲第1号証に記載の発明と同一であり、あるいは、それに基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第1項及び第2項の規定に違反してなされたものであり、また、請求項1〜3に係る発明は、明細書の発明の詳細な説明に記載された発明でなく、特許法第36条第5項第1号の記載要件を満たしていないため、取り消されるべきである、というものである。
当審で通知した平成14年1月22日付の取消理由は、請求項1〜5に係る発明は異議申立人提出の甲第1号証(特開平2-126285号公報)に基づいて、当業者が容易に発明できたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反してなされた、というものであり、また、同じく当審で通知した平成15年3月17日付の取消理由は、請求項1〜3に係る発明は、特許法第36条第5項の記載要件を満たしていない、というものである。
なお、訂正前の請求項1及び3〜5は訂正の結果削除されたので、訂正後の請求項1(以下「本件発明1」という。)について検討する。

3-3.36条違反について
本件明細書の記載は、上記a、bの訂正により明確となったから、本件発明1に係る特許は、特許法第36条第5項に記載する要件を満たさない特許出願に対してされたものであるとすることができない。

3-4.29条違反について
・引用刊行物
異議申立人提出の甲第1号証である特開平2-126285号公報(以下「刊行物1」という)には、第1図乃至第7図とともに、次の事項が記載されている。
(a)「本発明は、アクティブマトリクス表示形カラー液晶表示パネルなどに好適に実施される液晶駆動回路に関する。」(第1頁右下欄12行〜14行)、
(b)「そこで、高速走査を低速のソースドライバで対応可能とし、しかも駆動回路の小型化を図るために、画面2を多重分割し、分割された複数の画素列を個別にソースドライバで駆動する方法が提案されている。」(第2頁左下欄4行〜8行)、
(c)「本発明による液晶駆動回路は、第1記憶手段により1水平期間のカラービデオ信号R、G、Bをアナログ/デジタル変換器によってデジタルデータに変換し、変換されたデータはスイッチング手段によって書き込み順序に従い、対をなす一方の第2記憶手段へ出力され、当該第2記憶手段に一括してストアされる。 同時にひとつ前の水平期間に他方の第2記憶手段にストアされた内容が、データ読出手段によって、1水平期間の前半と後半に分割されて交互に読み出される。読み出されたデータはデジタル/アナログ変換器によってアナログ信号であるカラービデオ信号R、G、Bに変換され、対応する駆動手段にそれぞれ入力される。複数の駆動手段は、交互に出力される上記前半と後半のデータを適切に取り込み、液晶を駆動する」(第3頁左下欄14行〜右下欄9行)、
(d)「第1図は、本発明の一実施例の液晶駆動回路の電気的構成を示すブロック図である。液晶駆動回路31は、表示パネル32を駆動するために表示パネル32の周辺部の左上-左下-右上-右下の4箇所に配置された駆動手段であるソースドライバ33〜36と、ソースドライバ33〜36にカラービデオ信号R、G、Bを供給する一対の第1記憶手段であるラインメモリ回路37、38とから構成されている。」(第3頁右下欄11行〜19行)、
(e)「第1図において、表示パネル(以下、パネルという)32の画面水平(横)方向の画素列数は、たとえば640であり、これを上記一対のラインメモリ回路37、38によって駆動すると、ラインメモリ回路1個あたりの画素列数は320になる。」(第4頁左上欄3行〜8行)、
(f)「第2図は本実施例のラインメモリ回路37の電気的構成を示すブロック図であり、第1図に示された第1ラインメモリ37、第2ラインメモリ回路38ともに同一の構成である。以下、第1ラインメモリ回路37について述べる。なお、参照符番号に添えた記号b,r,gは、カラー信号B,R,Gに対応し、総称するときは記号b,r,gを省略し、参照符番号のみで示す。
第1ラインメモリ回路37は、図示されないライン増幅器を介して入力されるカラービデオ信号B,R,Gを個別にデジタル変換するアナログ/デジタル(以下、A/Dという)変換器39b,39r,39gと、上記A/D変換器39から導出された各色のデジタルデータを後述するメモリへの書込み順序に従いON/OFF制御する3ステートバッファ40b,40r,40gとを含む。またこの書込み時に上記3ステートバッファ40から導出される書込みデータを一対のメモリ43,44に入力するための3ステートバッファ41,42と、書込み/読出し自在な一対のメモリ43,44のうち、読出し側のメモリのカラー信号Bd,Rd,Gdを次段のデータラッチ回路46に導出させるためのデータマルチプレクサ45とを含む。」(第4頁右下欄6行〜第5頁左上欄8行)、
(g)「また、データマルチプレクサ45から出力されたカラー信号のデータを、読出し順序に従いラッチするデータラッチ回路46b,46r,46gと、データラッチ回路46によってラッチされたデータをそれぞれアナログ信号に変換するデジタル/アナログ(以下、D/Aという)変換器47b,47r,47gと、上記アナログ変換されたカラー信号B,R,Gのレベルを増幅して図示しないソースドライバに出力する増幅器48b,48r,48gの各回路ブロック」(第5頁左上欄9行〜18行)、
(h)「一定のタイミングで前記メモリ43,44の書込み/読出し動作とアドレスを選択指示するアドレスマルチプレクサ49とを含む。」(第5頁左上欄18行〜同頁右上欄1行)、
(i)「また、データ書込み時(ライトサイクル)に書込みアドレスを発生するライトアドレス発生回路50、データ読出し時(リードサイクル)に読出すべきメモリのアドレスを発生させるリードアドレス発生回路51と、およびこれらの回路ブロックの動作を制御するラインメモリ制御回路52とから構成されている。」(第5頁右上欄第2〜8行)、
(j)「最初の1水平期間H1の320個のカラー信号B,R,Gのデータは、前半が一対のメモリ43,44の一方のメモリ、たとえばメモリ43のアドレスA1(0〜j)に、後半が同じメモリ43のアドレスA2(28〜28+j)に、上記ライトアドレス発生回路50が指定するライトアドレスに基づいて書込まれるように、ラインメモリ制御回路52によって制御される。」(第5頁左下欄第2〜10行)、
(k)「次の1水平期間H2では、メモリ43,44のリード/ライト動作が切換わり、データはもう一方のメモリ44のアドレスA1、A2に書込まれ、それとともに一つ前の1水平期間H1でメモリ43に書込まれたデータが、リードアドレス発生回路51が指定するリードアドレスに基づいて読出されるようにラインメモリ制御回路52によって制御される。」(第5頁左下欄第11〜18行)、
(l)「このように本発明では、1水平期間Hごとにメモリ43,44のリード/ライト動作を切換え、一方のメモリからデータが読出されているとき、他方のメモリにデータを書込むようにし、しかも1水平期間Hを前後半に分け、交互に書込み/読出しが行われるようにして、液晶駆動回路31の電気的構成の簡単化と、動作の高速化を実現している。」(第5頁右下欄第17行〜第6頁左上欄第4行)
・対比、判断
本件発明1と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載された発明の何れにも、本件発明1の構成要件である「複数の記憶領域に分割された第1の記憶手段」及び「複数の記憶領域に分割された第2の記憶手段」から「表示データを並列に読み出す手段」と「読み出されたそれぞれの表示データを、前記液晶パネルの片側端部の、前記複数の記憶領域の各々に対応する各信号駆動ドライバに転送する手段」を備えていない。
すなわち、刊行物1に記載された発明は、「高速走査を低速のソースドライバで対応可能」とするために、摘記事項(c)に記載のように「1水平期間の前半と後半に分割されて交互に読み出される。読み出されたデータはデジタル/アナログ変換器によってアナログ信号であるカラービデオ信号R、G、Bに変換され、対応する駆動手段にそれぞれ入力される。複数の駆動手段は、交互に出力される上記前半と後半のデータを適切に取り込み、液晶を駆動する」ものであり、表示データの読出は、メモリから「1水平期間の前半と後半に分割されて交互に読み出される」ものの、第3図に記載のように、該表示データは、「交互」に逐次読み出されているものであり、並列に読み出されて対応ドライバに転送されるものではないから、パネルの片側端部の複数のドライバに、表示データを並列に読み出して転送する手段を備えていない。
そして前記構成により本件発明1は、「L個の信号駆動ドライバが同時に駆動可能となり、1ライン分の表示データ転送速度を変えずに信号駆動ドライバへの表示データ転送速度を低速にすることができ、表示パネルの表示解像度が上がり表示データが多くなり、かつ表示データの転送速度が高速化しても、低速な信号駆動ドライバの動作速度の仕様を満足し、かつ液晶表示パネルのフレーム周波数を上げることができ、良好な表示品質を保つことができる。また、表示データの転送速度を低く抑えることができるため、電磁放射も小さくすることができる。」という、明細書に記載の効果を奏するものと認められる。
したがって本件発明1は、刊行物1記載の発明と同一でなく、また、刊行物1記載の発明から当業者が容易に発明をすることができたものであるとすることもできない。

4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件の請求項1に係る特許を取り消すことができない。また、他に本件請求項1に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
液晶表示装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】表示データと同期信号を入力して、液晶駆動用の液晶表示データ及び制御信号を生成する制御手段と、1ライン分の液晶表示データを順次入力し、液晶駆動用電圧に変換して出力する複数の信号駆動ドライバで構成され、各表示画素部をスイッチング素子と液晶とで構成するアクティブマトリックスタイプの液晶パネルとから成る液晶表示装置において、
前記液晶表示データ及び制御信号を生成する制御手段に設けられ、1水平ライン分の表示データ容量の記憶容量を有し、複数の記憶領域に分割された第1の記憶手段と、
前記液晶表示データ及び制御信号を生成する制御手段に設けられ、1水平ライン分の表示データ容量の記憶容量を有し、複数の記憶領域に分割された第2の記憶手段と、
入力する表示データを各記憶領域に書き込む手段と、
前記第1の記憶手段および前記第2の記憶手段のうち、一方に表示データを書き込んでいる時、他方の記憶手段の記憶領域各々から表示データを並列に読み出す手段と、
読み出されたそれぞれの表示データを、前記液晶パネルの片側端部の、前記複数の記憶領域の各々に対応する各信号駆動ドライバに転送する手段とを有することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項2】表示データと同期信号を入力して、液晶駆動用の液晶表示データ及び制御信号を生成する制御手段と1ライン分の液晶表示データを順次入力し、液晶駆動用電圧に変換して出力する信号駆動ドライバをM個(Mは2以上の整数)で構成し、各表示画素部をスイッチング素子と液晶とで構成するアクティブマトリックスタイプの液晶パネルとから成る液晶表示装置において、
M個の信号駆動ドライバを入力表示データをL(<M)個ずつのグループに分け、前記L個のグループそれぞれに対して、1ライン分の表示データをL個に分けられた部分表示データを転送することを特徴とする液晶表示装置。
【請求項3】請求項2に記載の液晶表示装置において、
前記L個の信号駆動ドライバが駆動する表示データ分の記憶容量を有する記憶手段を2つ設け、前記各々の記憶手段は記憶領域をL分割し、入力する表示データを各記憶領域に書き込む手段と、各記憶手段に記憶した表示データをL個の領域から読み出す手段とを設け、前記2つの記憶手段の一方が、書き込み動作を行う時、他方の記憶手段が読み出し動作を行うように制御する制御手段と2つの記憶手段から読み出されるデータバスを切換える切換え手段を設けL個の信号駆動ドライバを同時に駆動可能としたことを特徴とする液晶表示装置。
【請求項4】請求項3に記載の液晶表示装置において、
前記記憶手段の各々の記憶容量は、前記複数の信号駆動ドライバの個数分であることを特徴とする液晶表示装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】本発明は、パソコン、ワークステーション等の大量で高速な表示データを液晶表示パネルに表示させるのに好適な液晶表示データ制御装置に関する。
【0002】
【従来の技術】パソコン、ワークステーション等の表示データを液晶パネルに表示する従来技術としては、日立LCDドライバLSIデータブックp661,662に記載のような構成と表示データのラッチタイミングとなっている。以下、図2、図3、図4、図10を用いて説明する。
【0003】図2は従来技術による液晶表示データ制御装置のブロック図で、1はパソコンやワークステーション等の6aの表示データ及び7aの同期信号を生成する表示データ生成手段、10は液晶表示データ制御装置、8は信号駆動ドライバ、4は液晶表示データ制御装置10のうち前記信号駆動ドライバ8を制御する7dの同期信号を生成する制御信号生成手段であり、2は入力する表示データ6aを信号駆動ドライバ8の入力インタフェイスに沿ったフォーマットの表示データに変換するデータ変換手段である。
【0004】図3は、12の水平画素数がR,G,B各々640画素、計1920画素を有し、垂直の画素数が480画素有するカラー液晶パネルを駆動する場合のシステム構成図である。8a,8bの信号駆動ドライバは日立製HD66310で、日立LCDドライバLSIデータブックに記載されているように出力本数160本、4画素データ並列入力、最大動作周波数15MHzである。よって、水平方向の画素を同時に駆動するため8aに6個、8bに6個各々必要となる。11は、走査駆動ドライバである。
【0005】図4は、図2に示すデータ変換手段2で、入力表示データ6aを出力表示データ6dにシリアル/パラレルデータ変換を行うタイミングを示した図である。
【0006】図12は、図3に示す信号駆動ドライバ8aの接続状態を示した図である。
【0007】次に、再び図2に戻り、本システム構成での動作を説明する。表示データ生成手段1が生成するR,G,B3画素並列表示データ6aを制御信号7a,7b,7dに同期してデータ変換手段2で、図4に示すように、シリアル/パラレル変換を行い、信号駆動ドライバ8a,8bの入力フォーマットに沿った上側、下側各4画素の合計8画素出力データに変換を行う。入力3画素のR,G,Bデータの8サイクルを、入力データの2倍の周期の8画素データ4サイクルに変換する。次に、図12を用いて、前記8画素出力データを順次信号駆動ドライバにラッチする動作について説明する。EIO1はチップイネーブル信号の入力、EIO2はチップイネーブル信号の出力で、前段のEIO2と後段のEIO1がカスケード接続されており、前段のEIO2信号により後段の信号駆動ドライバを起動する。6個の信号駆動ドライバ8aは、入力チップイネーブル信号EIO1がイネーブルになると内部に4画素の表示データを40回、計160画素分の表示データを取り込み、次段への出力チップイネーブル信号EIO2がイネーブルになる。また、6個の信号駆動ドライバ8bも同様に接続されており、同様の動作を行う。このように順次、表示データを信号駆動ドライバにラッチし、1ライン分の表示データを信号駆動ドライバ8a,8bがラッチすると、1ライン分同時に液晶パネル12に出力し表示する。従って、本構成では1ライン分、つまり上下各6個の信号駆動ドライバ8a,8b分の表示データは、4画素並列で信号駆動ドライバ6個直列で転送していた。
【0008】以上、従来技術の例では、入力データ周期にたいして、出力データ周期は2倍となる。したがって、信号駆動ドライバ8a,8bの最大動作周波数15MHzにたいして、入力データの最大周波数は30MHzとなる。この時、液晶パネルの1画面を走査する周波数であるフレーム周波数は最大約97Hz(=30MHz÷640÷480)である。
【0009】しかし、今日パネル解像度は高くなる傾向にあり、水平画素数がR,G,B各々1120画素、計3360画素を有し、垂直の画素数が780画素有する高精細カラー液晶パネルを従来技術で表示する場合、信号駆動ドライバは上下各11個必要となる。このとき、1ライン分の表示データを、4画素並列で信号駆動ドライバ11個直列で転送すると、信号駆動ドライバの最大動作周波数15MHzを満足するためには、フレーム周波数は約34Hzに低下してしまい、フレーム周波数60Hz以上が要求される現在の液晶パネルにおいては、ちらつきが発生し表示品質が低下してしまうという課題があった。
【0010】
【発明が解決しようとする課題】上記従来技術では、液晶表示パネルの信号駆動ドライバの動作速度に合わせて表示データを転送していたため、表示の解像度が上がり表示データが多くなると、それに対応して液晶表示パネルのフレーム周波数が遅くなってしまいちらつきが起こりやすくなってしまう問題点があった。
【0011】本発明の目的は、液晶表示パネルの表示解像度が上がり表示データが多くなり、かつ表示データの転送速度が高速化しても、低速な信号駆動ドライバの動作速度で液晶表示パネルのフレーム周波数を上げることにより、良好な表示品質を保つことにある。
【0012】
【課題を解決するための手段】上記目的を解決するための手段として、液晶表示データ制御装置の中に、液晶表示データ及び制御信号を生成する制御手段に、1水平ライン分の表示データ容量の記憶容量を有する記憶手段を2つ設け、前記各々の記憶手段は、記憶領域をL(<M)分割し、入力する表示データを順に各記憶領域に書き込む手段と、各記憶手段に記憶した表示データをL個の領域から同時に読み出す手段とを設け、前記2つの記憶手段の一方が、1水平ライン分の表示データの書き込み動作を行う時、他方の記憶手段が1ライン前の表示データの読み出し動作を行うように制御する制御手段と2つの記憶手段から読み出されるデータバスを切換える切換え手段を設ける。または、液晶表示データ及び制御信号を生成する制御手段に、L(<M)個の信号駆動ドライバが駆動する表示データ分の記憶容量を有する記憶手段を2つ設け、前記各々の記憶手段は記憶領域をL分割し、入力する表示データを順に各記憶領域に書き込む手段と、各記憶手段に記憶した表示データをL個の領域から同時に読み出す手段とを設け、前記2つの記憶手段の一方が、1個の信号駆動ドライバが駆動する表示データの書き込み動作を行う時、他方の記憶手段が前の1個の信号駆動ドライバが駆動する表示データの読み出し動作を行うように制御する制御手段と2つの記憶手段から読み出されるデータバスを切換える切換え手段を設ける。または、前記手段に加え信号駆動ドライバへの表示データを時分割するデータ時分割制御手段を設ける。
【0013】
【作用】上記手段によれば、L個の信号駆動ドライバを同時に駆動することが可能となり、1ライン分の表示データ転送速度を変えることなく、信号駆動ドライバへの表示データ転送速度を低速にすることができる。つまり、液晶表示パネルの表示解像度が上がり表示データが多くなり、かつ表示データの転送速度が高速化しても、低速な信号駆動ドライバの動作速度で液晶表示パネルのフレーム周波数を上げることができ、良好な表示品質を保つことができる。
【0014】
【実施例】2ライン分の記憶容量の記憶手段を設けた、第1の実施例について図1、図5、図6、図7、図13を用いて説明する。
【0015】図1は、本発明の1実施例を示すブロック図で、1はパソコンやワークステーションなどの、6aの表示データ及び7aの同期信号を生成する表示データ生成手段であり、8は信号駆動ドライバ、10は6aの表示データと7aの同期信号から信号駆動ドライバ8を駆動する6dの表示データと7dの同期信号を生成する液晶表示データ制御装置である。6a,6b,6c,6dは表示データであり、7a,7b,7c,7dは同期制御信号である。2a,2bは、データ変換手段であり、3はメモリである。4は同期信号7aからデータ変換手段2a,2b、メモリ制御手段5への制御信号7bと信号駆動ドライバ8への同期信号7dを生成する制御信号生成手段であり、5はメモリ3のリード/ライトを制御する制御信号7cを生成するメモリ制御手段である。
【0016】図5はメモリ制御手段5の詳細なブロック図で、52は制御信号7bから制御信号を生成する制御信号生成手段である。55a,55bは制御信号生成手段52で生成する制御信号である。50は制御信号55aからメモリのリードアドレスを生成するメモリリードアドレス生成手段、51は制御信号55aからメモリのライトアドレスを生成するメモリライトアドレス生成手段であり、56a,56bはメモリリードアドレス、メモリライトアドレスである。53,54はメモリリードアドレス56aとメモリライトアドレス56bを制御信号55bで選択する選択手段である。30,31は表示データ6bを記憶するメモリで、制御信号7cによりリード/ライト動作を制御し、リードデータは表示データ6cとして出力する。
【0017】図6は、12の水平画素数がR,G,B各々1120画素、計3360画素を有し、垂直の画素数が780画素有する高精細カラー液晶パネルを駆動する場合のシステム構成図で、8a,8bは同期信号7dと表示データ6dを液晶駆動用電圧に変換して出力する信号駆動ドライバで、日立製HD66310、出力本数160本、4画素データ並列入力、最大動作周波数15MHzである。よって、8aに11個(≒3360÷2÷160)、8bに11個(≒3360÷2÷160)各々必要となる。また、信号駆動ドライバ8a,8bは、ドライバ番号1,2,3と4,5,6と7,8,9と10,11の表示データバスが共通である。つまり、本システム構成は前記4個のドライバグループに同時に表示データを転送する構成となっている。11は同期信号7dから垂直走査信号を生成し液晶パネル12を駆動する走査駆動ドライバである。
【0018】図7は、メモリのリード/ライトタイミングを示した図で、図13は、図6に示す信号駆動ドライバ8aの接続状態を示した図である。
【0019】次に再び図1に戻り、上下各4個の信号駆動ドライバに同時に表示データを転送する本実施例の動作について説明する。表示データ生成手段1が生成するR,G,B3画素並列の表示データ6aを制御信号7bに同期してデータ変換手段2aでシリアル/パラレル変換を行い、並列8画素表示データ6bに変換する。ここで並列8画素に表示データを変換するのは、上下の信号駆動ドライバ8a,8bの入力インタフェイスは各4画素であるため、連続する表示データは8画素ごとに制御するためである。そして、図7に示したように、表示データ6bは、8画素単位で1ライン毎に交互に、メモリA30、メモリB31に1ライン分ずつ書き込む。メモリA30、メモリB31は、4つのドライバグループ(ドライバ番号1,2,3と4,5,6と7,8,9と10,11)に対応して、それぞれ4つの領域に分割し、対応する信号駆動ドライバの領域に表示データを書き込む。そして、メモリA30、メモリB31に書き込んだ表示データは、書き込んだ次のラインで交互に、該4領域から順次読み出し、図1に示すように表示データ6cとなる。表示データ6cは、データ変換手段2bで、上下各4個のドライバ(ドライバ番号1,4,7,10と2,5,8,11と3,6,9)に、各4画素同時に表示データが転送可能なように並列32画素の表示データ6dに変換する。そして、パネル駆動制御信号7dと同期して表示データ6dを信号駆動ドライバ8に転送する。
【0020】次に、図13を用いて、前記32画素出力データを順次信号駆動ドライバにラッチする動作について説明する。EIO1はチップイネーブル信号の入力、EIO2はチップイネーブル信号の出力で、入力チップイネーブル信号EIO1がイネーブルになると内部に4画素の表示データを40回、計160画素分の表示データを取り込み、次段への出力チップイネーブル信号EIO2がイネーブルになる。信号駆動ドライバ8aでは、ドライバ番号1,4,7,10のEIO1は共通で、ドライバ番号1,2,3と4,5,6と7,8,9と10,11の前段のEIO2と後段のEIO1がカスケード接続されており、前段のEIO2信号により後段の信号駆動ドライバを起動する。また、11個の信号駆動ドライバ8bも同様に接続されており、同様の動作を行う。
【0021】このような信号駆動ドライバの接続、及び動作により、次のような表示データ転送を行う。まず最初に、ドライバ番号1,4,7,10の信号駆動ドライバに同時に表示データ6dが転送され、各信号ドライバに160画素転送が終わると、次にドライバ番号2,5,8,11の信号駆動ドライバに同時に表示データ6dが転送され、各信号ドライバに160画素転送が終わると、次にドライバ番号3,6,9の信号駆動ドライバに同時に表示データ6dが転送され、各信号ドライバに160画素転送が終わると1ライン分のデータ転送が終了する。このように1ライン分の動作を以後同様に繰り返す。このように順次、表示データ6dを信号駆動ドライバにラッチし、1ライン分の表示データを信号駆動ドライバ8a,8bがラッチすると、1ライン分同時に液晶パネル12に出力し表示する。従って、本構成では1ライン分、つまり上下各11個の信号駆動ドライバ8a,8b分の表示データは、4画素並列で信号駆動ドライバ3個直列で転送可能となる。
【0022】次に、第1の実施例では1ライン分つまりドライバ22個分の記憶容量であったが、1ライン分以下のドライバ8個分の記憶容量の記憶手段を2つ持つ第2の実施例について、図1、図5、図8、図9、図14を用いて説明する。本実施例のブロック構成は第1の実施例と同様で図1、図5に示す。
【0023】図8は、12の水平画素数がR,G,B各々1120画素、計3360画素を有し、垂直の画素数が780画素有する高精細カラー液晶パネルを駆動する場合のシステム構成図で、8a,8bは同期信号7dと表示データ6dを液晶駆動用電圧に変換して出力する信号駆動ドライバで、日立製HD66310、出力本数160本、4画素データ並列入力、最大動作周波数15MHzである。よって、8aに11個(≒3360÷2÷160)、8bに11個(≒3360÷2÷160)各々必要となる。また、信号駆動ドライバ8a,8bは、ドライバ番号1,5,9と2,6,10と3,7,11と4,8の表示データバスが共通である。つまり、本システム構成は前記4個のドライバグループに同時に表示データを転送する構成となっている。11は同期信号7dから垂直走査信号を生成し液晶パネル12を駆動する走査駆動ドライバである。
【0024】図9は、メモリのリード/ライトタイミングを示した図で、図14は、図8に示す信号駆動ドライバ8aの接続状態を示した図である。
【0025】次に、上下各4個の信号駆動ドライバに同時に表示データを転送する本実施例の動作について説明する。図1、図5に示した、表示データを並列8画素表示データ6bに変換する動作は、第1の実施例と同様である。そして、図9に示したように、メモリA30、メモリB31は4つのドライバグループ(ドライバ番号1,5,9と2,6,10と3,7,11と4,8)に対応して、それぞれ4つの領域に分割する。そして、対応する信号駆動ドライバの領域に表示データ6bを、8画素単位でドライバ番号1,2,3,4と5,6,7,8と9,10,11のドライバグループの単位で交互に、メモリA30、メモリB31に信号駆動ドライバ4個分または3個分ずつ書き込む。まず最初に、ドライバ番号1,2,3,4の信号駆動ドライバの表示データをメモリA30に書き込み、次にドライバ番号5,6,7,8の信号駆動ドライバの表示データをメモリA31に書き込み、同時にこの期間に、ドライバ番号1,2,3,4の信号駆動ドライバの表示データをメモリA30の該4領域から順次読み出す。次にドライバ番号9,10,11の信号駆動ドライバの表示データをメモリA30に書き込み、同時にこの期間に、ドライバ番号5,6,7,8の信号駆動ドライバの表示データをメモリA31の該4領域から順次読み出し、これが終わるとドライバ番号9,10,11の信号駆動ドライバの表示データをメモリA30の該4領域から順次読み出す。このように1ライン分の動作を以後同様に繰り返す。つまり、メモリA30、メモリB31にはそれぞれ信号駆動ドライバ8個分、合計16個分の記憶容量が必要である。メモリA30、メモリB31から交互に読み出した表示データ6cは、データ変換手段2bで、上下各4個のドライバ(ドライバ番号1,2,3,4と5,6,7,8と9,10,11)に、各4画素同時に表示データが転送可能なように並列32画素の表示データ6dに変換する。そして、パネル駆動制御信号7dと同期して表示データ6dを信号駆動ドライバ8に転送する。
【0026】次に、図14を用いて、前記32画素出力データを順次信号駆動ドライバにラッチする動作について説明する。EIO1はチップイネーブル信号の入力、EIO2はチップイネーブル信号の出力で、入力チップイネーブル信号EIO1がイネーブルになると内部に4画素の表示データを40回、計160画素分の表示データを取り込み、次段への出力チップイネーブル信号EIO2がイネーブルになる。信号駆動ドライバ8aでは、ドライバ番号1,2,3,4のEIO1は共通である。そして、ドライバ番号4のEIO2をドライバ番号5,6,7,8のEIO1にカスケード接続し、ドライバ番号4のEIO2によりドライバ番号5,6,7,8の信号駆動ドライバを起動する。同様に、ドライバ番号8のEIO2をドライバ番号9,10,11のEIO1にカスケード接続し、ドライバ番号8のEIO2によりドライバ番号9,10,11の信号駆動ドライバを起動する。また、11個の信号駆動ドライバ8bも同様に接続されており、同様の動作を行う。
【0027】このような信号駆動ドライバの接続、及び動作により、次のような表示データ転送を行う。まず最初に、ドライバ番号1,2,3,4の信号駆動ドライバに同時に表示データ6dが転送され、各信号ドライバに160画素転送が終わると、次にドライバ番号5,6,7,8の信号駆動ドライバに同時に表示データ6dが転送され、各信号駆動ドライバに160画素転送が終わると、次にドライバ番号9,10,11の信号駆動ドライバに同時に表示データ6dが転送され、各信号ドライバに160画素転送が終わると1ライン分のデータ転送が終了する。このように1ライン分の動作を以後同様に繰り返す。このように順次、表示データ6dを信号駆動ドライバにラッチし、1ライン分の表示データを信号駆動ドライバ8a,8bがラッチすると、1ライン分同時に液晶パネル12に出力し表示する。従って、本構成では1ライン分、つまり上下各11個の信号駆動ドライバ8a,8b分の表示データは、4画素並列で信号駆動ドライバ3個直列で転送可能となる。
【0028】次に、第2の実施例の出力データバスの本数を半分にする第3の実施例について、図5、図9、図10、図11、図15、図16を用いて説明する。
【0029】図5、図15は、本実施例のブロック構成図で、図15において20は表示データ6aを時分割制御するデータ時分割制御手段であり、6eは時分割された表示データである。
【0030】図10は、12の水平画素数がR,G,B各々1120画素、計3360画素を有し、垂直の画素数が780画素有する高精細カラー液晶パネルを駆動する場合のシステム構成図で、8a,8bは同期信号7dと表示データ6eを液晶駆動用電圧に変換して出力する信号駆動ドライバで、日立製HD66310、出力本数160本、4画素データ並列入力、最大動作周波数15MHzである。よって、8aに11個(≒3360÷2÷160)、8bに11個(≒3360÷2÷160)各々必要となる。また、信号駆動ドライバ8a,8bは、ドライバ番号1,2,5,6,9,10と3,4,7,8,11の表示データバスが共通である。つまり、本システム構成は前記2個のドライバグループに同時に時分割した表示データを転送する構成となっている。11は同期信号7dから垂直走査信号を生成し液晶パネル12を駆動する走査駆動ドライバである。
【0031】図9は、メモリのリード/ライトタイミングを示した図で、図11は信号駆動ドライバの時分割した表示データのラッチタイミングを示す図で、図16は、図10に示す信号駆動ドライバ8aの接続状態を示した図である。
【0032】次に、上下各4個の信号駆動ドライバに同時に表示データを転送する本実施例の動作について説明する。図5、図9、図15に示した表示データを並列32画素の表示データ6dに変換する動作は第2の実施例と同様である。そして、並列32画素の表示データ6dを、さらにデータ時分割制御手段20で時分割表示データ6eに変換する。図11を用いて、データ時分割制御、信号駆動ドライバのデータラッチタイミングを説明する。データラッチクロックは、互いに位相が180°ずれているφ1,φ2を設け、ドライバ番号が奇数の信号駆動ドライバにはφ1、偶数のドライバにはφ2を接続する。表示データバスに、時分割で、奇数番号ドライバデータと偶数番号ドライバデータを、データラッチクロックの半分の周期で転送し、奇数番号ドライバデータはデータラッチクロックφ1、偶数番号ドライバデータはデータラッチクロックφ2の立ち下がりでそれぞれラッチする。つまり、信号駆動ドライバの動作周波数はそのままで、表示データの周期を半分にする時分割制御を行うことで、表示データバスを共用することが可能となりバスの本数を減らすことができる。そして、このように時分割制御した表示データ6eをパネル駆動制御信号7dと同期して信号駆動ドライバ8に転送する。
【0033】次に、図16を用いて、前記32画素出力データを順次信号駆動ドライバにラッチする動作について説明する。EIO1はチップイネーブル信号の入力、EIO2はチップイネーブル信号の出力で、入力チップイネーブル信号EIO1がイネーブルになると内部に4画素の表示データを40回、計160画素分の表示データを取り込み、次段への出力チップイネーブル信号EIO2がイネーブルになる。信号駆動ドライバ8aでは、ドライバ番号1,2,3,4のEIO1は共通である。そして、ドライバ番号3のEIO2をドライバ番号5,7のEIO1にカスケード接続し、ドライバ番号3のEIO2によりドライバ番号5,7の信号駆動ドライバを起動する。同様に、ドライバ番号4のEIO2をドライバ番号6,8のEIO1にカスケード接続し、ドライバ番号4のEIO2によりドライバ番号6,8の信号駆動ドライバを起動し、ドライバ番号7のEIO2をドライバ番号9,11のEIO1にカスケード接続し、ドライバ番号7のEIO2によりドライバ番号9,11の信号駆動ドライバを起動し、ドライバ番号8のEIO2をドライバ番号10のEIO1にカスケード接続し、ドライバ番号8のEIO2によりドライバ番号10の信号駆動ドライバを起動する。また、11個の信号駆動ドライバ8bも同様に接続されており、同様の動作を行う。
【0034】このような信号駆動ドライバの接続、及び動作により、次のような表示データ転送を行う。まず最初に、ドライバ番号1,2,3,4の信号駆動ドライバに同時に表示データ6eが転送され、各信号ドライバに160画素転送が終わると、次にドライバ番号5,6,7,8の信号駆動ドライバに同時に表示データ6eが転送され、各信号ドライバに160画素転送が終わると、次にドライバ番号9,10,11の信号駆動ドライバに同時に表示データ6eが転送され、各信号ドライバに160画素転送が終わると1ライン分のデータ転送が終了する。このように1ライン分の動作を以後同様に繰り返す。このように順次、表示データ6eを信号駆動ドライバにラッチし、1ライン分の表示データ6eを信号駆動ドライバ8a,8bがラッチすると、1ライン分同時に液晶パネル12に出力し表示する。従って、本構成では1ライン分、つまり上下各11個の信号駆動ドライバ8a,8b分の表示データは、4画素並列で信号駆動ドライバ3個直列で転送可能となる。
【0035】以上述べた、第1、第2、第3の実施例の場合、動作周波数は信号駆動ドライバの最大動作周波数15MHzに対して、ドットクロックは120MHz、フレーム周波数は最大137Hz(=120MHz÷1120÷780)となり、パネルの解像度が増加してもフレーム周波数は低下せず良好な表示品質が得られる。
【0036】また前記実施例では、信号駆動ドライバに日立製HD66310を使用したが、出力データ本数、動作周波数やデータ入力画素数等のインタフェイスの異なる信号駆動ドライバを用いても、信号駆動ドライバの分割数やメモリの構成を変えることで本発明は実現可能である。
【0037】
【発明の効果】本発明によれば、L個の信号駆動ドライバが同時に駆動可能となり、1ライン分の表示データ転送速度を変えずに信号駆動ドライバへの表示データ転送速度を低速にすることができ、表示パネルの表示解像度が上がり表示データが多くなり、かつ表示データの転送速度が高速化しても、低速な信号駆動ドライバの動作速度の仕様を満足し、かつ液晶表示パネルのフレーム周波数を上げることができ、良好な表示品質を保つことができる。また、表示データの転送速度を低く抑えることができるため、電磁放射も小さくすることができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の1実施例を示すブロック図である。
【図2】従来技術を示すブロック図である。
【図3】従来技術でのシステム構成図である。
【図4】従来技術での表示データタイミング変換を示す図である。
【図5】メモリ制御手段のブロック図である。
【図6】第1の実施例のシステム構成図である。
【図7】第1の実施例のメモリのリード/ライトタイミングを示す図である。
【図8】第2の実施例のシステム構成図である。
【図9】第2の実施例のメモリのリード/ライトタイミングを示す図である。
【図10】第3の実施例のシステム構成図である。
【図11】信号駆動ドライバのデータラッチタイミングを示す図である。
【図12】従来技術の信号駆動ドライバの詳細な構成図である。
【図13】第1の実施例の信号駆動ドライバの詳細な構成図である。
【図14】第2の実施例の信号駆動ドライバの詳細な構成図である。
【図15】第3の実施例を示すブロック図である。
【図16】第3の実施例の信号駆動ドライバの詳細な構成図である。
【符号の説明】
1…表示データ生成手段、
2,2a,2b…データ変換手段、
3,30,31…メモリ、
4…制御信号生成手段、
5…メモリ制御手段、
6a,6b,6c,6d,6e…表示データ、
7a,7b,7c,7d,55a,55b…制御信号、
8,8a,8b…信号駆動ドライバ、
10…液晶データ制御装置、
11…走査駆動ドライバ、
12…液晶パネル、
20…データ時分割制御手段、
50…メモリリードアドレス生成手段、
51…メモリライトアドレス生成手段、
52…制御信号生成手段、
53,54…選択手段、
56a…メモリリードアドレス、
56b…メモリライトアドレス。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-07-04 
出願番号 特願平4-583
審決分類 P 1 652・ 121- YA (G09G)
最終処分 維持  
特許庁審判長 西川 一
特許庁審判官 服部 和男
中塚 直樹
登録日 2001-02-09 
登録番号 特許第3156327号(P3156327)
権利者 株式会社日立製作所
発明の名称 液晶表示装置  
代理人 作田 康夫  
代理人 作田 康夫  

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