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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B22F
管理番号 1084854
異議申立番号 異議1998-70682  
総通号数 47 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1992-01-14 
種別 異議の決定 
異議申立日 1998-02-13 
確定日 2003-10-09 
異議申立件数
事件の表示 特許第2640694号「放電焼結装置」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第2640694号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第2640694号の請求項1〜3に係る発明についての出願から手続の経緯は次のとおりである。
出願 平成2年9月18日
(国内優先権 平成2年2月2日)
手続補正書 平成7年3月14日
手続補正書 平成8年12月24日
設定登録 平成9年5月2日
異議申立て 平成10年2月13日
証拠調申請書 平成10年2月13日
手続補正書 平成10年2月27日
上申書(異議申立人) 平成11年3月2日
口頭審理陳述要領書 平成11年3月26日
(特許権者)
検証物指示説明書 平成11年4月7日
上申書(異議申立人) 平成11年4月7日
上申書(特許権者) 平成11年4月12日
検証 平成11年4月12日
上申書(異議申立人) 平成11年4月13日
口頭審理及び証拠調べ 平成11年4月13日
上申書(特許権者) 平成11年6月30日
上申書(異議申立人) 平成11年7月19日
取消理由通知 平成11年9月20日
(平成11年10月15日発送)
意見書 平成11年12月3日
訂正請求書 平成11年12月3日
手続補正書(方式) 平成12年1月14日
取消理由通知 平成12年4月28日
(訂正拒絶理由通知兼用 平成12年5月16日発送)
審尋(異議申立人宛) 平成12年4月28日
(平成12年5月16日発送)
意見書 平成12年6月8日
訂正請求書取下書 平成12年6月8日
回答書(異議申立人) 平成12年7月17日
上申書(特許権者) 平成12年8月23日
上申書(特許権者) 平成12年9月11日
上申書(特許権者) 平成12年10月10日
2.本件発明
本件請求項1〜3に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】先端部にジャケット33、51を設けこのジャケット33、51に冷却水を送る給水路34、52と排水路35、53とを備えた一対の電極32、41と、一方の電極32に嵌合した電気絶縁性のチャンバーフランジ60と、このチャンバーフランジ60に一端部を支持し、内部に冷却水を通す空間62cを有し、他端部にチャンバー端部フランジ65を有するチャンバー61と、このチャンバー61を電極32に対して相対的に移動させるための移動装置71と、他方の電極41に嵌合した電気絶縁性の受け台フランジ78と、この受け台フランジ78に一端部を支持し、他端部に前記チャンバー61のチャンバー端部フランジ65と接合してチャンバー61内を気密に保つ受け台端部フランジ76を有し、側部にチャンバー61内の雰囲気を変える装置を接続する接続口79、81、86を有するチャンバー受け台77と、を備えた放電焼結装置。
【請求項2】電極32、の基端部を電気的に絶縁して固定した揺動板30と、この揺動板30に電極32の先端面38の傾きを調整する引きねじ37と、押しねじ39と、を備えていることを特徴とする請求項1記載の放電焼結装置。
【請求項3】チャンバー61を移動する電極32の移動装置23、24と、チャンバー61を電極32に対して相対的に移動させるための移動装置71と、を備えていることを特徴とする請求項1記載の放電焼結装置」
3.取消理由の概要
平成12年4月28日付けの取消理由の概要は、本件特許の請求項1〜3に係る発明についての出願に関する平成7年3月14日付けの手続補正は、明細書又は図面の要旨を変更するものであり、本件特許の請求項1〜3に係る発明についての出願の出願日は、平成7年3月14日とみなされるから、本件請求項1〜3に係る発明は、その出願前に頒布された刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明することができたものであり、本件請求項1〜3に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである、というものである。
4.要旨変更について、
本件特許の請求項1〜3に係る発明についての出願に関する平成7年3月14日付けの手続補正は、補正前の特許請求の範囲の請求項4に記載されていたチャンバーと電極との接続手段を、請求項1において、「一方の電極に移動出来るように嵌合したテフロン等電気絶縁性のフランジと、このフランジで電極と電気的に絶縁して支持し・・・とを有するチャンバー」と補正するものであり、平成8年12月20日付けの手続補正は、さらに、これを「一方の電極32に嵌合した電気絶縁性のチャンバーフランジ60と、このチャンバーフランジ60に一端部を支持し、・・・を有するチャンバー61と、このチャンバー61を電極32に対して相対的に移動させる」と補正するものであり、また、これらの手続補正により、発明の詳細な説明に、「電極32の円筒状部分に、内面にOリング等のシール部材を有する耐熱温度260℃(260℃程度)のテフロン等(合成樹脂等)の電気の絶縁部材で作ったフランジ(チャンバーフランジ)60を摺動することが出来、しかも気密を保つように嵌合する。そのフランジ(チャンバーフランジ)60に椀状のチャンバー61(チャンバー61の一端部)を図示していないねじで気密に固定して支持する。」(平成7年3月14日付けの手続補正書第5頁下から5〜2行、括弧内は、平成8年12月20日付けの手続補正書による補正)という記載が追加された。
してみると、平成7年3月14日付けの手続補正は、チャンバーと電極との接続手段についての「発明の構成に関する技術的事項」を、「一方の電極32に移動出来るように嵌合した電気絶縁性のフランジ60と、このフランジ60で支持するチャンバー61」としたものと認められ、その後の補正によっても、該技術的事項は変更されていない。
一方、 願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書等」という。)には、「チャンバと電極とを絶縁体を介してベローズで接続」(特許請求の範囲の請求項4、明細書第4頁3〜4行)、「ベローズでチャンバとシールした電極はその端面の平行を自由に調整することが出来」(第4頁16〜17行、「作用」の欄)、「電極39にテフロン等のフランジ40を固定し、その、フランジ40にベローズ41の一端を気密に固定し他端をチャンバ42に取付ける。」(第7頁8〜11行)、「電極20にテフロン等のフランジ82を固定し、その、フランジ82にベローズ84の一端を気密に固定し他端を椀状のチャンバ83に気密に固定してシール装置を構成する。」(第14頁6〜9行)、「チャンバ受け台91は・・・ジャケット103を設け、そのジャケット103と電極15に固定したテフロン等のフランジ104との間にベローズ105を設けてシール装置を構成している。」(第15頁11〜15行)、「移動する電極とチャンバとをベローズによってシールしたのでチャンバ内の気密を良く保つことができるようになった」(第21頁下から1行〜第22頁2行、「発明の効果」の欄)と記載されている。
すなわち、当初明細書等には、発明の作用効果であるチャンバ(チャンバー)内の気密を保つために、チャンバ(チャンバー)と電極との接続手段についての「発明の構成に関する技術的事項」として、電極にテフロン等電気絶縁性のフランジを固定し、そのフランジにベローズの一端を気密に固定し他端をチャンバ(チャンバー)に取付けてシールすることが示されているだけで、電極にフランジを移動出来るように嵌合し、ベローズを介さずにフランジでチャンバ(チャンバー)を支持することは示されていない。
また、電極にフランジを移動出来るように嵌合し、ベローズを介さずにフランジでチャンバ(チャンバー)を支持することは、出願時において、周知、慣用技術であったとは認められず、さらに、チャンバ内の気密を保つという発明の作用効果(発明の目的)との関連で当業者にとって当初明細書等の記載からみて自明な事項であるとも認められない。
したがって、平成7年3月14日付けの手続補正の結果、「発明の構成に関する技術的事項」が、当初明細書等に記載した事項の範囲内でないものとなったので、この手続補正は、明細書又は図面の要旨を変更するものと認められ、本件特許の請求項1〜3に係る発明についての出願は、手続補正書を提出した時である、平成7年3月14日にしたものとみなされる。
なお、特許権者は、平成11年12月3日付けの意見書において、本件特許発明要件は、公知文献(乙第4号証の2特にその第1〜2図、乙第7号証)に記載してある本件公知要件のチャンバーを水平に分割して一方を端部に水平な接合面を有するチャンバーとし、他方をこの接合面と接合するチャンバー受け台としたものであり、特許請求の範囲に単なる従来の公知技術方法である本件公知要件を補足記載し、出願の方法もこれによるものであることを明らかにするものであるにすぎないから、要旨変更にはならない旨の主張をしているので、上記主張について検討する。
当初明細書等に記載した事項を補正した結果、要旨変更でないというためには、補正した事項が公知であることでは足りず、当初明細書等の記載からみて自明な事項でなければならないが、上記のとおり、補正した事項は当初明細書等の記載からみて自明な事項であるとはいえず、また、当初明細書等に記載された「チャンバと電極とを絶縁体を介してベローズで接続する方法」を、「電極にフランジを移動出来るように嵌合し、ベローズを介さずにフランジでチャンバ(チャンバー)を支持する方法」に変更しており、単なる従来の公知技術方法である本件公知要件を補足記載したものであるとはいえないから、上記特許権者の主張は採用できない。
5.刊行物に記載された発明
平成12年4月28日付けの取消理由通知に引用された刊行物1(特開平4-9405号公報)には、
「2.加圧台と、この加圧台の先端に設けた絶縁体と、この絶縁体を介して前記加圧台に取り付けた電極とを一対備え、加圧装置で被加圧体を加圧し通電する一対の電極の端面の平行度を前記加圧台のねじ又は楔で調整する加圧及び通電装置。
4.被加圧体を収容するチャンバと、このチャンバと電極とを絶縁体を介してベローズで接続した加圧及び通電装置。」(特許請求の範囲の請求項2及び4)
が記載され、また、
「この発明は、金属、希土類、又はセラミックの粉末をダイに入れ、パンチで加圧しながら粉末に通電して加熱し焼結する加圧及び通電装置に関する。」(第1頁右欄7〜9行)
「次ぎに、本発明の第2実施例を第5図及び第5図をA矢視した第6図にもとずいて説明する。
・・・ビーム57の中央に油圧シリンダ65をボルト等で固定し、その油圧シリンダ65のピストンロット66の先端に固定したブロック67に、移動ビーム68をボルト等で水平に固定する。移動ビーム68の両端に直動軸受の軸69を鉛直に取り付けて、その軸受70を柱54に固定することによって、移動ビーム68を水平に保ちながら鉛直方向に移動出来るようにしてある。・・・台72には、テフロン等の絶縁材を介して軸方向に移動する電極20を保持する。・・・電極15、電極20を取り付けた台71,72はいずれもボルト76でビーム58、移動ビーム68に固定したベース77に取り付けるのであるが、そのさいに、少なくとも3本以上あって、それを等分に配置したボルト78で突っ張り、電極15の端面79と、電極20の端面80とが平行になるように調整してナット81で固定する。・・・電極20にテフロン等のフランジ82を固定し、そのフランジ82にベローズ84の一端を気密に固定し他端を椀状のチャンバ83に気密に固定してシール装置を構成する。このチャンバ83は二重構造になっていて、中に水を通して冷却するようになっている。そして、その端部にフランジ85を略水平に設け、そこにシール86を取り付ける。又、チャンバ83に直動軸受の軸受87を取り付け、柱54に取り付けた軸88に沿って移動するようにし、その移動は、移動ビーム68に取り付けた電極20と共に移動する他に、移動ビーム68に設けたリフタ89で移動するロット90によって単独に移動する。このチャンバ83の下降によってフランジ85と接合するチャンバ受け台91は、柱54に固定した山形鋼のビーム92の上に略水平に取り付けてあり、チャンバ受け台91の開口93に真空ポンプ94を接続し、チャンバ83内の気体を排気する。又、チャンバ受け台91の開口95はチャンバ83内にAr等の雰囲気ガスを供給するボンベ96と弁99を介して接続するものであり、この弁99と前記真空ポンプ94とは手動による他、制御装置100の指令によっても作動する。・・・このような装置を接続したチャンバ受け台91はチャンバ83と同様に冷却水を環流するジャケット103を設け、そのジャケット103と電極15に固定したテフロン等のフランジ104との間にベローズ105を設けてシール装置を構成している。」(第4頁右上欄8行〜第5頁左上欄15行)
と記載されている。
以上の記載からみて、刊行物1には、「(1)一対の電極20、15と、一方の電極20に固定したテフロン等のフランジ82と、このフランジ82にベローズ84を介して一端部を支持し、内部に冷却水を通す空間を有し、他端部にフランジ85を有するチャンバ83と、このチャンバ83を電極20に対して相対的に移動させるためのロット90と、他方の電極15に固定したテフロン等のフランジ104と、このフランジ104にベローズ105を介して一端部を支持し、他端部に前記チャンバ83のフランジ85と接合してチャンバ83内を気密に保つフランジ(番号なし)を有し、側部にチャンバ83内の雰囲気を変える装置を接続する開口93、95を有するチャンバ受け台91と、を備えた放電焼結装置。」、「(2)電極20の基端部を電気的に絶縁して固定した台72と、この台72に電極20の端面80の傾きを調整するボルト76と、ボルト78と、を備えている(1)記載の放電焼結装置。」及び「(3)チャンバ83を移動する電極20の移動装置65、66と、チャンバ83を電極20に対して相対的に移動させるためのロット90と、を備えている(1)記載の放電焼結装置。」の発明が記載されているものと認める。
6.対比・判断
本件請求項1に係る発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載された発明における「一対の電極20、15」、「一方の電極20」、「テフロン等のフランジ82」、「フランジ85」、「チャンバ83」、「ロット90」、「他方の電極15」、「テフロン等のフランジ104」、「フランジ(番号なし)」、「開口93、95」、「チャンバ受け台91」は、本件請求項1に係る発明における「一対の電極32、41」、「一方の電極32」、「電気絶縁性のチャンバーフランジ60」、「チャンバー端部フランジ65」、「チャンバー61」、「移動装置71」、「他方の電極41」、「電気絶縁性の受け台フランジ78」、「受け台端部フランジ76」、「接続口79、81、86」、「チャンバー受け台77」に相当し、また、放電焼結装置等の電極を加熱する装置において電極の先端部にジャケットを設け、これに冷却水を送る給水路と排水路とを備えることは慣用手段であるから、両者は、「先端部にジャケット33、51を設け、このジャケット33、51に冷却水を送る給水路34、52と排水路35、53とを備えた一対の電極32、41と、一方の電極32に取り付けた電気絶縁性のチャンバーフランジ60と、このチャンバーフランジ60に一端部を支持し、内部に冷却水を通す空間62cを有し、他端部にチャンバー端部フランジ65を有するチャンバー61と、このチャンバー61を電極32に対して相対的に移動させるための移動装置71と、他方の電極41に取り付けた電気絶縁性の受け台フランジ78と、この受け台フランジ78に一端部を支持し、他端部に前記チャンバー61のチャンバー端部フランジ65と接合してチャンバー61内を気密に保つ受け台端部フランジ76を有し、側部にチャンバー61内の雰囲気を変える装置を接続する接続口79、81、86を有するチャンバー受け台77と、を備えた放電焼結装置。」である点で一致し、本件請求項1に係る発明が、一方の電極32に嵌合したチャンバーフランジ60にチャンバー61の一端部を支持するのに対し、刊行物1に記載された発明は、一方の電極20(「電極32」に相当)に固定したフランジ82(「チャンバーフランジ60」に相当)にベローズ84を介してチャンバ83(「チャンバー61」に相当)の一端部を支持する点で相違する。
上記相違点について検討する。
特許権者の提出した乙第1号証(ジャパックスの開発したプラズマ焼結機「PAS-III」を紹介する平成2年5月2日付け日経産業新聞の記事)、乙第4号証の1ないし2(特願平2-23962号の出願番号通知及び出願明細書)、乙第7号証(PAS取扱説明書の抜粋)及び平成11年12月3日付け意見書第3、4頁の「2.出願日(要旨変更)について」並びに平成11年4月13日の証拠調べにおける証人鴇田正雄の証言(証人調書066〜070、080〜083)によると、放電焼結装置において、電極に嵌合したチャンバーフランジにチャンバーの一端部を支持する構造とすることは、平成7年3月14日より前に公知であったと認められるから、チャンバーを電極に対して相対的に移動させるために、一方の電極に固定したフランジにベローズを介してチャンバーの一端部を支持する代わりに、電極に嵌合したチャンバーフランジにチャンバーの一端部を支持する構造とすることは、当業者が容易に想到し得るものである。
したがって、本件請求項1に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件請求項1に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
また、本件請求項2に係る発明は、請求項1記載の放電焼結装置に加えて、さらに、「電極32の基端部を電気的に絶縁して固定した揺動板30と、この揺動板30に電極32の先端面38の傾きを調整する引きねじ37と、押しねじ39と、を備えていることを特徴とする」ものであるが、刊行物1に記載された発明も、「電極20(「電極32」に相当)の基端部を電気的に絶縁して固定した台72(「揺動板30」に相当)と、この台72に電極20の端面80(「先端面38」に相当)の傾きを調整するボルト76(「引きねじ37」に相当)と、ボルト78(「押しねじ39」に相当)と、を備えている」から、本件請求項2に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件請求項2に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
本件請求項3に係る発明は、請求項1記載の放電焼結装置に加えて、さらに、「チャンバー61を移動する電極32の移動装置23、24と、チャンバー61を電極32に対して相対的に移動させるための移動装置71と、を備えていることを特徴とする」ものであるが、刊行物1に記載された発明も、「チャンバ83(「チャンバー61」に相当)を移動する電極20(「電極32」に相当)の移動装置65、66と、チャンバ83を電極20に対して相対的に移動させるためのロット90(「移動装置71」に相当)と、を備えている」から、本件請求項3に係る発明は、刊行物1に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものである。
したがって、本件請求項3に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものである。
7.むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1〜3に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであり、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2001-07-04 
出願番号 特願平2-248085
審決分類 P 1 651・ 121- Z (B22F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 岡田 万里  
特許庁審判長 松本 悟
特許庁審判官 綿谷 晶廣
三浦 均
登録日 1997-05-02 
登録番号 特許第2640694号(P2640694)
権利者 株式会社イー、ピー、ルーム
発明の名称 放電焼結装置  
代理人 今井 庄亮  
代理人 鈴木 修  
代理人 増井 忠弐  
代理人 神田 藤博  
代理人 社本 一夫  

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