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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 補正却下を取り消さない 原査定を取り消し、特許すべきものとする A23L
管理番号 1085910
審判番号 審判1998-20153  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-03-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 1998-12-25 
確定日 2003-11-10 
事件の表示 平成 3年特許願第259577号「風味改良剤」拒絶査定に対する審判事件〔平成 5年 3月23日出願公開、特開平 5- 68506、平成 7年12月13日出願公告、特公平 7-114644、請求項の数(1)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続の経緯
(1)本願は、平成3年9月10日の出願であって、平成7年12月13日に出願公告された。
(2)平成8年4月12日付けで特許異議の申立てがなされた。この異議申立てを受けて、平成8年11月27日付けで手続補正書が提出されたところ、平成10年11月6日付けで上記手続補正書による補正について補正の却下の決定がなされたと同時に、「この特許異議の申立は、理由があるものと決定する。」との特許異議の決定がなされた。
(3)請求人は、平成10年12月25日に拒絶査定に対する審判を請求し、上記補正は却下されるべきものではない、よって拒絶すべきものではない旨主張している。

2.補正却下の当否に対する判断
(1)平成8年11月27日付け手続補正は、出願公告された明細書の特許請求の範囲の請求項1の「γーリノレン酸からなる風味改良剤。」との記載を、「γーリノレン酸含有ボラージ油からなる風味改良剤。」に補正することを含むものである。
(2)しかし、上記補正は、γーリノレン酸という特定の化合物からなる風味改良剤を、γーリノレン酸の他にも多数の各種成分を含むボラージ油からなる風味改良剤に補正するものであるから、実質上特許請求の範囲を変更するものである。
この点について、請求人は、明細書(以下、該当個所を公告公報で示す)の2頁3欄1〜4行に「本発明における風味改良剤はγーリノレン酸そのものあるいは月見草油、ボラージ油等γーリノレン酸を含有しているものならいずれでも良い。」と記載され、また2頁4欄11〜15行に「実施例3
マヨネーズにボラージ油(γーリノレン酸含量20重量%)を10重量%添加し……………」と記載されているので、上記のとおり補正することは、特許請求の範囲の減縮であり、実質上特許請求の範囲を変更するものではない旨主張しているが、「γーリノレン酸からなる」という記載からは、γーリノレン酸そのもの以外に月見草油、ボラージ油等γーリノレン酸を含有しているものも含まれると解釈する余地は全くないので、上記主張は採用しない。
(3)したがって、特許法第54条第1項の規定により却下すべきものであるとした原審における補正の却下の決定は妥当なものである。

3.本願発明に対する判断
(1)本願発明
本願の請求項1に係る発明は、出願公告された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものと認める。
「γーリノレン酸からなる風味改良剤」
(なお、平成11年1月22日付け及び平成11年4月2日付け手続補正については、平成15年10月21日に補正の却下の決定がなされた。)

(2)引用例
これに対して、原査定の拒絶の理由である特許異議の決定の理由において引用した特開昭62ー36147号公報(甲第1号証参照)には、γーリノレン酸含有油脂を含むマーガリン、マヨネーズ、サラダドレッシングなどの食用油脂組成物が記載され、また、その実施例2には、マヨネーズに月見草油(γーリノレン酸約9%含有)を含有させて製品10g中にγーリノレン酸が約0.108g含まれるようにしたマヨネーズ製品の製造方法が記載されている。

(3)対比、判断
上記引用例には、マヨネーズにγーリノレン酸あるいはγーリノレン酸含有月見草油を添加することにより、マヨネーズの風味が改良されることについては何も記載されていないので、本願の請求項1に係る発明が上記引用例に記載された発明であるとすることはできない。

4.むすび
したがって、本願の請求項1に係る発明は、上記引用例に記載された発明と同一であるとすることはできないので、本願の請求項1に係る発明は、特許法第29条第1項第3号に該当し、特許を受けることができないとした原審の判断は妥当でない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2003-10-23 
出願番号 特願平3-259577
審決分類 P 1 8・ 113- WYB (A23L)
最終処分 成立  
前審関与審査官 鵜飼 健鈴木 恵理子  
特許庁審判長 田中 久直
特許庁審判官 田村 聖子
種村 慈樹
発明の名称 風味改良剤  

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