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審決分類 審判 全部無効 1項2号公然実施 無効としない B21D
審判 全部無効 1項1号公知 無効としない B21D
管理番号 1086221
審判番号 無効2003-35093  
総通号数 48 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-04-26 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-03-12 
確定日 2003-11-05 
事件の表示 上記当事者間の特許第3171696号発明「パイプ曲げ加工方法、及び、その方法の実施に用いるパイプベンダー」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
(1)本件特許第3171696号の特許の請求項1及び2に係る発明(以下、「本件発明1」及び「本件発明2」という。)についての出願は、平成4年10月5日に特許出願され、平成13年3月23日にその発明について特許権の設定登録がなされた。
(2)請求人株式会社コムコは、平成15年3月12日付けで、本件発明1及び2についての特許を無効とする、審判請求費用は被請求人の負担とする趣旨の審決を求める無効審判を請求し、平成15年7月31日付けで陳述要領書及び陳述要領書(II)を、平成15年8月8日付けで上申書を、それぞれ提出した。
(3)これに対して、被請求人は、平成15年6月6日付けで答弁書を、平成15年7月31日付けで陳述要領書及び手続補正書を、平成15年8月18日付で上申書を、それぞれ提出した。
(4)平成15年7月31日に第1回口頭審理が行われた。

2.本件発明
本件発明1及び2は、設定登録時の願書に添付した明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】対象パイプ(P)の管端部を外周側から把持するチャック(1)と、
対象パイプ(P)の曲げ予定部に対する曲げ案内用の円弧状部(2m)を形成した曲げ型(2)と、
対象パイプ(P)の曲げ予定部を前記曲げ型(2)との間で挟圧保持するクランプ台(3)と、
そのクランプ台(3)のチャック側に位置して対象パイプ(P)の曲げ予定部を前記曲げ型(2)との間で挟圧保持するプレッシャ台(4)とを備えるパイプベンダーを用いたパイプ曲げ加工方法であって、
対象パイプ(P)の管端面に対して先端を接当作用させる小径の出退扞状具(36)を、前記チャック(1)の中心軸芯上でチャック先端よりも突出する作用状態とチャック奥部に引退する引退状態とに切り換え操作自在に設けておき、
対象パイプ(P)の管芯方向に並ぶ複数の曲げ予定部のうち、チャック側の管端近傍に位置する最終の曲げ予定部以外の曲げ予定部については、
前記出退扞状具(36)の引退状態でパイプ管端部を把持させた前記チャック(1)をその中心軸芯方向に移動させるとともに中心軸芯周りで回動させて、曲げ予定部を所要の回動姿勢で前記曲げ型(2)に対する適切位置に位置させ、
それに続き、前記クランプ台(3)及び前記プレッシャ台(4)により曲げ予定部を挟圧保持した状態で、パイプ管端部把持状態の前記チャック(1)により対象パイプ(1)の管端部を押圧付勢しながら、前記クランプ台(3)を前記曲げ型(2)と一体的に前記プレッシャ台(4)からの離間側に回動させて、その曲げ予定部に曲げ加工を施し、
これに対し、最終の曲げ予定部については、
前記出退扞状具(36)の引退状態でパイプ管端部を把持させた前記チャック(1)をその中心軸芯方向に移動させるとともに中心軸芯周りで回動させて、最終の曲げ予定部を所要の回動姿勢で前記曲げ型(2)に対する適切位置に位置させた後、
前記チャック(1)のパイプ管端部に対する把持を解除した状態で前記チャック(1)をその中心軸芯方向で前記プレッシャ台(4)との非干渉位置まで引退移動させ、
それに続き、前記クランプ台(3)及び前記プレッシャ台(4)により最終の曲げ予定部を挟圧保持した状態で、作用状態に切り換えた前記出退扞状具(36)により対象パイプ(P)の管端を押圧付勢しながら、前記クランプ台(3)を前記曲げ型(2)と一体的に前記プレッシャ台(4)からの離間側に回動させて、最終の曲げ予定部に曲げ加工を施すパイプ曲げ加工方法。」
「【請求項2】請求項1に係るパイプ曲げ加工方法の実施に用いるパイプベンダーであって、
対象パイプ(P)の管端部を外周側から把持するチャック(1)と、
対象パイプ(P)の曲げ予定部に対する曲げ案内用の円弧状部(2m)を形成した曲げ型(2)と、
対象パイプ(P)の曲げ予定部を前記曲げ型(2)との間で挟圧保持するクランプ台(3)と、
そのクランプ台(3)のチャック側に位置して対象パイプ(P)の曲げ予定部を前記曲げ型(2)との間で挟圧保持するプレッシャ台(4)とを備える構成において、
対象パイプ(P)の管端面に対して先端を接当作用させる小径の出退扞状具(36)を、前記チャック(1)の中心軸芯上でチャック先端よりも突出する作用状態とチャック奥部に引退する引退状態とに切り換え操作自在に設け、
対象パイプ(P)の管芯方向に並ぶ複数の曲げ予定部に対する順次曲げ加工を自動的に実施するのに、それら複数の曲げ予定部のうち、チャック側の管端近傍に位置する最終の曲げ予定部以外の曲げ予定部については、
前記出退扞状具(36)の引退状態でパイプ管端部を把持させた前記チャック(1)をその中心軸芯方向に移動させるとともに中心軸芯周りで回動させて、曲げ予定部を所要の回動姿勢で前記曲げ型(2)に対する適切位置に位置させ、
それに続き、前記クランプ台(3)及び前記プレッシャ台(4)により曲げ予定部を挟圧保持した状態で、パイプ管端部把持状態の前記チャック(1)により対象パイプ(1)の管端部を押圧付勢しながら、前記クランプ台(3)を前記曲げ型(2)と一体的に前記プレッシャ台(4)からの離間側に回動させて、その曲げ予定部に曲げ加工を施し、
これに対し、最終の曲げ予定部については、
前記出退扞状具(36)の引退状態でパイプ管端部を把持させた前記チャック(1)をその中心軸芯方向に移動させるとともに中心軸芯周りで回動させて、最終の曲げ予定部を所要の回動姿勢で前記曲げ型(2)に対する適切位置に位置させた後、
前記チャック(1)のパイプ管端部に対する把持を解除した状態で前記チャック(1)をその中心軸芯方向で前記プレッシャ台(4)との非干渉位置まで引退移動させ、
それに続き、前記クランプ台(3)及び前記プレッシャ台(4)により最終の曲げ予定部を挟圧保持した状態で、作用状態に切り換えた前記出退扞状具(36)により対象パイプ(P)の管端を押圧付勢しながら、前記クランプ台(3)を前記曲げ型(2)と一体的に前記プレッシャ台(4)からの離間側に回動させて、最終の曲げ予定部に曲げ加工を施すように、
前記チャック(1)、前記曲げ型(2)、前記クランプ台(3)、前記プレッシャ台(4)、並びに、前記出退扞状具(36)を自動操作する制御手段(17)を設けてあるパイプベンダー」

3.請求人の主張
請求人は、証拠として、甲第1号証乃至甲第19号証並びに平成15年7月31日付陳述要領書及び陳述要領書(II)に添付の参考資料1乃至6を提出し、以下の旨の無効理由を主張している。
<無効理由>
(1)1号機を、被請求人会社の工場内及び1号機の納入先の工場内で、本件特許出願前に顧客や見学者の面前で稼働させて曲げ加工テストを行い、さらに出退杆状具の説明も行った(陳述要領書(II) III(1)(2)参照)。
(2)第1回口頭審理調書の「請求人 6.」で、「2つの曲げ加工テストで出退杆状具の作動状況まで見せたことを裏付ける具体的根拠は示していない」と主張したが、この陳述は事実に反し誤りなので、以下のように訂正する。
「2つの曲げ加工テストで1号機の出退杆状具は外部から見知できた(甲第3号証による)」(上申書第11頁第6乃至10行参照)
(3)甲第4号証の1乃至12は、1号機製造の設計図ではないが、1号機と同型機の設計図であるので、甲第4号証の1乃至12に記載されたものから1号機の構成を特定することができる(陳述要領書(II) II(1)参照)。
(4)また、甲第4号証の1乃至12の内、甲第4号証の1乃至4に、本件特許公報の図1、図2、図3及び図8に相当する図面が記載されている(陳述要領書(II) II(2)参照)。
(5)第1回口頭審理調書の「請求人 5.」で、「出退杆状具の作動状態及び引退状態に係る構成が本件発明1及び2のものと同一であることを裏付ける根拠は示していない」と主張したが、この陳述は事実に反し誤りなので、以下のように訂正する。
「1号機における出退杆状具の作動状態及び引退状態が、本件発明1及び2と同一であることは請求人提出の甲第3号証に開示されている。」(上申書第10頁第3乃至7行参照)
(6)前記曲げ加工テストは、顧客や見学者になんら守秘義務を課さずに公開した(陳述要領書 5.(4)参照)。
(7)1号機は、すべての構造を外部から見知することができる(甲第3号証 5.参照)。
(8)そうすると、本件発明1及び2は、本件出願前に日本国内において公然と知られ、また公然と実施をされた発明であり、したがって、本件発明1及び2についての特許は、特許法第29条第1項第1号及び第2号の規定に違反してなされたものであって、無効とすべきである。

<証拠方法>
甲第1号証:特許第3171696号の特許公報
甲第2号証:特許第3171696号の登録磁気原簿
甲第3号証:平成15年2月17日付株式会社コムコ取締役技術部長岩本伸一作成の報告書
甲第4号証の1乃至12:極小曲げベンダーの1号機と同型機の設計図の一部
甲第5号証:株式会社大旺の見積書
甲第6号証:株式会社大旺の注文請書
甲第7号証:静岡県知事発行の中小企業近代化資金貸付内定通知
甲第8号証:株式会社大旺から有限会社試作中村板金に送付されたCNCパイプベンダーHYP-60ST1号機の納品書
甲第9号証:株式会社大旺から有限会社試作中村板金に送付されたCNCパイプベンダーHYP-60ST1号機の請求書
甲第10号証:有限会社試作中村板金に納入された1号機の検収票
甲第11号証:有限会社試作中村板金から株式会社大旺に振り込まれた1号機の購入代金の振込金受領書
甲第12号証の1及び2:株式会社大旺から有限会社試作中村板金に送付された2通の領収書
甲第13号証:有限会社試作中村板金代表取締役中村幸弘作成の報告書
甲第14号証:1号機の見学者の名刺
甲第15号証:1号機の銘板の写真
甲第16号証:1号機に貼付された静岡県の銘板の写真
甲第17号証:1号機の本体外観写真
甲第18号証:1号機のチャック装置部分の写真
甲第19号証:1号機のストッパー突き出し装置部分の写真
参考資料1:平成15年5月26日付有限会社試作中村板金代表取締役中村幸弘作成の報告書
参考資料2:平成15年5月19日付株式会社コムコ取締役技術部長岩本伸一作成の報告書
参考資料3:平成15年4月23日付株式会社コムコ取締役奈須野毅作成の報告書
参考資料4及び5:曲げ加工されたパイプの写真
参考資料6:平成15年5月15日付石井司作成の報告書

4.被請求人の主張
一方、被請求人は、証拠として乙第1号証乃至乙第10号証及び平成15年7月31日付け陳述要領書に添付の乙第11号証乃至乙第13号証を提出し、以下の旨を主張している。
(1)平成4年7月中旬に完成したとする1号機は、出退杆状具を備えておらず、関係ユーザーを招待して被請求人会社の工場内で出退杆状具を備えていない1号機の曲げ加工テストを公開しても、本件発明1及び2を、本件出願前に日本国内において公然知られ、また公然実施をされた発明とすることはできない(被請求人提出の陳述要領書 5.(1)参照)。さらに、請求人が提出した陳述要領書に添付の参考資料1の報告書に、1号機の納入先の工場内での曲げ加工テストで、出退杆状具を第三者に公開したという陳述はない(被請求人提出の陳述要領書 5.(3)参照)。
(2)被請求人会社の工場内で行われた曲げ加工テストにおいて、見学者に守秘義務を負わせないような形で安易に公開することは有り得ない(答弁書 7.第3(4)参照)、また、1号機の納入先である有限会社試作中村板金は、守秘義務を負っていた(被請求人提出の陳述要領書 5.(3)参照)。
(3)出退杆状具は、通常チャックの奥部に内装され、外からは見知することはできない(答弁書 7.第4(1)参照)。
(4)したがって、本件発明1及び2は、本件出願前に日本国内において公然知られ、また公然実施されたものでない。

<証拠方法>
乙第1号証の1:平成3年12月17日付SPD-60ST外観図面
乙第1号証の2:平成3年12月13日付SPD-60ST部分図面
乙第2号証:平成4年5月付HYP-60ST仕様書
乙第3号証:平成4年12月付HYP-60ST仕様書
乙第4号証:平成4年11月6日付遠越英行作成の報告書
乙第5号証:平成4年11月19日付遠越英行作成の報告書
乙第6号証:昭和53年11月19日付取引協力契約書
乙第7号証:平成15年6月4日付羽谷幸祐の陳述書
乙第8号証:平成15年6月3日付河野光生の陳述書
乙第9号証:平成15年6月4日付遠越英行の陳述書
乙第10号証:名古屋地裁平成6年(ワ)第1811号判決
乙第11号証:平成15年7月25日付遠越英行の陳述書
乙第12号証:株式会社シンコー製作所の平成4年7月28日付納品書控
乙第13号証:平成6年3月26日付取引協力契約書

5.当審の判断
<本件発明2について>
請求人が主張するように、被請求人会社の工場内及び1号機の納入先の工場内で、本件特許出願前に顧客や見学者の面前で稼働させて行った1号機の2回の曲げ加工テストによって、本件発明2が、本件出願前に日本国内において公然知られ、もしくは公然実施をされた発明であるとするには、次の3つの条件をすべて満足することを要する。
(イ)1号機が、本件発明2の構成要件をすべて具備すること。
(ロ)上記2回の曲げ加工テストで、出退杆状具を含めて1号機の構成及び作動がすべて知られ得る状況であったこと。
(ハ)上記曲げ加工テストが、本件特許の出願前に、1号機の内容に関して守秘義務を負わない人、すなわち不特定人の前で、実施されたこと。
ここで、請求人が平成15年7月31日付けで提出した陳述要領書及び陳述要領書(II)に添付の参考資料1乃至6の追加、及びそれら参考資料1乃至6に基づく主張が、仮に請求の理由の要旨を変更するものではないとして、以下検討する。
(イ)について
請求人は、甲第4号証の1乃至12に本件発明2と同様の構成が示されていることをもって、1号機が本件発明2の構成要件をすべて備えている旨主張している(上記「3.(3)、(4)」参照)。
しかしながら、甲第4号証の1乃至12記載のの設計図は、請求人自身も認めるように1号機そのものの設計図ではなく1号機の同型機の設計図にすぎない。そして、1号機の設計、作成から甲第4号証の1乃至12記載の設計図作成の間に仕様変更がなされなかったとする根拠を見出すことができず、逆に、請求人が1号機の設計図が作成されたとする平成4年4月より後の平成4年5月付けの、1号機の同型機の「ハイパーベンダー HYPー60ST」の仕様書(乙第2号証参照)には出退扞状具について何ら記載されておらず、平成4年12月付けの、1号機の同型機の「ハイパーベンダー HYPー60ST」の仕様書(乙第3号証)でようやく出退扞状具について記載されていることからみると、むしろ仕様変更がなされたと解する方が妥当である。
また、請求人は、1号機における出退扞状具の作動状態及び引退状態が本件発明2と同一であることは甲第3号証に裏付けられている旨主張しているが、請求人が裏付けの該当箇所と指摘する甲第3号証の第3頁第21行乃至第4頁第10行には、曲げ加工テストの際に、出退扞状具が引退状態にある最終の曲げ予定部以外の曲げ予定部の曲げ加工と、出退扞状具が作動状態にある最終の曲げ予定部の曲げ加工との双方の曲げ加工を行ったことを裏付ける記載はない。
そして、甲第3号証及び甲第4号証の1乃至12以上に、1号機が出退扞状具を備えていたこと、及び、1号機が出退扞状具を備えていたとしても、1号機における出退扞状具の作動状態及び引退状態での曲げ加工が本件発明2と同一のものであることを裏付けるものは見出せない。
したがって、1号機が、出退扞状具を備え、出退扞状具の引退状態及び作動状態の動作に関する「チャック側の管端近傍に位置する最終の曲げ予定部以外の曲げ予定部については、前記出退扞状具(36)の引退状態で・・・その曲げ予定部に曲げ加工を施し、これに対し、最終の曲げ予定部については、・・・作動状態に切り換えた前記出退扞状具(36)により対象パイプ(P)の管端を押圧付勢しながら・・・最終の曲げ予定部に曲げ加工を施す」との構成要件を含めた、本件発明2の構成要件をすべて具備していた、とすることはできない。
(ロ)について
請求人は、1号機を、被請求人会社の工場内及び1号機の納入先の工場内で、本件特許出願前に顧客や見学者の面前で稼働させて曲げ加工テストを行い、さらに出退杆状具の説明も行ったと主張している(上記3.(1)参照)。また、請求人は、第1回口頭審理における「2回の曲げ加工テストで出退杆状具の作動状況まで見せたことを裏付ける根拠は示していない」との主張(第1回口頭審理調書の「請求人 6」参照)を撤回し、「2回の曲げ加工テストで1号機の出退杆状具は外部から見知できた(甲第3号証による)」と主張している(上記3.(2)参照)。
しかしながら、上記(イ)でも述べたように、甲第3号証には、外部からすべて見知できたとする曲げ加工運転の際に、1号機の出退杆状具を作動させたか否かについて何ら記載されていない以上、2回の曲げ加工テストで1号機の出退杆状具の作動状況まで見知できたとすることはできない。
よって、上記2回の曲げ加工テストで、出退杆状具及びその作動状況も含めて1号機の構成がすべて知られうる状況であったとすることはできない。
したがって、上記(ハ)について検討するまでもなく、本件発明2は、上記2回の曲げ加工テストによって、本件特許出願前に日本国内において公然知られ、もしくは公然実施をされた発明であるとすることはできない。

そして、請求人提出の参考資料1乃至6の追加、及びそれら参考資料1乃至6に基づく請求人の主張が、請求の理由の要旨を変更するものであるとして検討した場合には、請求人の主張のうち、参考資料1乃至6に基づく部分が採用されないので、当然に、請求の理由の要旨を変更しないとした場合と同様に、本件発明2は、上記2回の曲げ加工テストによって、本件特許出願前に日本国内において公然知られ、もしくは公然実施をされた発明であるとすることはできない。

<本件発明1について>
本件発明1と本件発明2は、カテゴリーの相違に伴って表現上で相違するものの、両者の構成要件に関し実質上の相違はないものと認められる。
したがって、上記<本件発明2について>で述べたのと同様の理由により、本件発明1も、上記2回の曲げ加工テストによって、本件特許出願前に日本国内において公然知られ、もしくは公然実施をされた発明であるとすることはできない。

6.むすび
以上のとおりであるから、請求人の主張及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1及び2に係る発明の特許を無効とすることはできない。
審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-08-29 
結審通知日 2003-09-03 
審決日 2003-09-24 
出願番号 特願平4-265239
審決分類 P 1 112・ 111- Y (B21D)
P 1 112・ 112- Y (B21D)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 西川 恵雄
特許庁審判官 林 茂樹
鈴木 孝幸
登録日 2001-03-23 
登録番号 特許第3171696号(P3171696)
発明の名称 パイプ曲げ加工方法、及び、その方法の実施に用いるパイプベンダー  
代理人 垣内 勇  
代理人 瀧野 秀雄  
代理人 畑 郁夫  
代理人 平野 恵稔  
代理人 茂木 鉄平  
代理人 藤本 英二  
代理人 松村 貞男  
代理人 北村 修一郎  
代理人 辻 淳子  
代理人 河宮 治  

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