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審決分類 審判 査定不服 特36 条4項詳細な説明の記載不備 取り消して特許、登録 H04N
審判 査定不服 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備 取り消して特許、登録 H04N
管理番号 1087375
審判番号 不服2002-3727  
総通号数 49 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-12-08 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-03-04 
確定日 2003-12-08 
事件の表示 平成 6年特許願第117118号「画像表示装置及びその駆動方法」拒絶査定に対する審判事件〔平成 7年12月 8日出願公開、特開平 7-322180、請求項の数(13)〕について、次のとおり審決する。 
結論 原査定を取り消す。 本願の発明は、特許すべきものとする。 
理由 1.手続きの経緯、本願発明
本願は、平成6年5月30日の出願であって、その特許請求の範囲の請求項1ないし13に係る各発明は、平成13年12月11日付け手続補正書により補正された明細書および図面の記載からみて、請求項1ないし12にそれぞれ記載されるとおりの「画像表示装置」と、請求項13に記載されるとおりの「駆動方法」であると認めることができる。

2.原査定の理由
これに対して、原査定の理由は、本願の特許請求の範囲の記載は特許法第36条で規定する要件を満たしていないとするもので、その要点は、請求項1、11ないし13について、これら各請求項の記載要件では、表示素子(冷陰極素子)として、表面伝導型以外の例えば電界放出型(FE型)や金属/絶縁層/金属型(MIM型)の表示素子を用い、これら表示素子をマトリックス回路の列方向で重複せずに複数行分同時駆動することになるが、明細書や意見書(拒絶理由通知に対する平成13年12月11日付け意見書)での説明を参酌しても、如何にすれば上記MIM型やFE型の表示素子を用いて上記のような同時駆動ができるのか不明であり、また、この点は、平成14年1月10日付けで提出された技術説明書記載の構成を採用すれば可能となるとも考えられるが、そのような構成は上記各請求項には記載がなく、元々明細書にも記載されていないというものである。

3.判断
そこで以下、上記原査定の理由について検討すると、本願明細書の記載によれば、その発明の詳細な説明には、上記各請求項に係る発明で用い得る表示素子(冷陰極素子)として上記表面伝導型、FE型、およびMIM型のものが挙げられているが、原査定の理由で問題とする“表示素子をマトリックス回路の列方向に重複せずに複数行分同時駆動する”ための具体的構成(以下単に同時駆動のための具体的構成という)については、確かに、表示素子が上記表面伝導型のものである場合についてだけ記載され、上記FE型やMIM型のものである場合については記載がないことが認められる。
しかしながら、上記FE型やMIM型の表示素子は、本願明細書の記載や、上記意見書で挙げる特開平1-235136号公報、特開昭64-54637号公報、特開平2-257544号公報等の記載によれば、いずれも所定の閾値電圧以上の電圧を印加することにより電子放出を行う冷陰極素子として上記表面伝導型の表示素子と同等のものであることが明らかであり、上記同時駆動のための具体的構成におけるこれら表示素子の代替使用を困難とする特段の事情があるとも認められないから、上記FE型やMIM型表示素子を用いる場合の上記同時駆動のための具体的構成は、特に記載がなくとも、上記表面伝導型表示素子を用いる場合の具体的構成から当業者には明らかであるというべきであり、したがって、かかる具体的構成について記載がないことをもって本願明細書の記載が不備であるとはいえない。
もっとも、上記同時駆動のための具体的構成は、図1の実施例に則して見ると、同時駆動を行う上で、各表示素子への印加電圧の極性(各表示素子の2つの電極に印加する電圧の向き)が一様ではないものであるところ、本件審判の請求理由や前記技術説明書を参酌すると、上記表面伝導型表示素子は、印加電圧の極性によらずに駆動できる素子であるのに対し、FE型やMIM型表示素子は、所定の印加電圧極性で駆動できる素子であると認められ、したがって、上記実施例の構成では、表面伝導型表示素子を用いる場合には、上記印加電圧の極性に関係なく表示素子を結合できるのに対し、FE型やMIM型表示素子を用いる場合には、上記印加電圧の極性に合わせた向きで表示素子が結合されるようにする必要があるが、そのようなことは、これらFE型やMIM型表示素子を用いる際の実施態様として当業者に自明のことというべきであるから、この点からしても、本願明細書の記載が原査定の理由でいうように格別不備であるとはいえない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本願明細書の記載が特許法第36条の規定を満たしていないとする原査定の理由によっては本願を拒絶することはできない。
また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審決日 2003-11-26 
出願番号 特願平6-117118
審決分類 P 1 8・ 534- WY (H04N)
P 1 8・ 531- WY (H04N)
最終処分 成立  
前審関与審査官 西島 篤宏  
特許庁審判長 藤内 光武
特許庁審判官 杉山 務
小松 正
発明の名称 画像表示装置及びその駆動方法  
代理人 大塚 康弘  
代理人 高柳 司郎  
代理人 大塚 康徳  
代理人 木村 秀二  

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