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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  F21S
管理番号 1089781
異議申立番号 異議2002-71706  
総通号数 50 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2001-12-21 
種別 異議の決定 
異議申立日 2002-07-15 
確定日 2003-10-20 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3246555号「照明装置および誘導灯装置」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3246555号の請求項1、4に係る特許を取り消す。 同請求項2、3に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許3246555号の請求項1〜4に係る発明についての出願は、平成10年11月30日に出願した特願平10-340811号(優先権主張平成10年6月2日、平成10年8月31日)の一部を平成13年4月20日に新たな特許出願としたものであって、平成13年11月2日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、塚脇正博、三洋電機株式会社、三菱電機株式会社より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成15年7月15日に意見書が提出されるとともに明細書の訂正の請求がされたものである。

2.訂正の適否
(1)訂正の内容
特許権者が求めている訂正の内容は以下のa、bのとおりである。
A.訂正事項a
ア.特許請求の範囲の請求項1について、「被取付部が設けられた枠部を周囲に有しこの枠部の少なくとも前面に開口部が形成され内部に電気部品収納部が形成された器具本体と;導光体および導光体の少なくとも一辺に沿って設けられ導光体の側部から光を照射する光源を有し器具本体の開口部とほぼ同じ大きさで開口部を閉塞する表面の表示手段と;器具本体の電気部品収納部に収納され光源を点灯させる電気的部品を有する点灯手段と;を具備したことを特徴とする照明装置。」を「被取付部が設けられた枠部を周囲に有しこの枠部の少なくとも前面に開口部が形成され内部に電気部品収納部が形成された器具本体と;導光体および導光体の上辺に沿い導光体の上端面から光を照射する直管型の蛍光ランプおよび反射板を取付けてなり導光体の上部に配置される光源を有し器具本体の開口部とほぼ同じ大きさで開口部を閉塞する表面の表示手段と;器具本体の電気部品収納部に収納され光源を点灯させる電気的部品を有する点灯手段と;を具備したことを特徴とする照明装置。」と訂正する。
イ.特許請求の範囲の請求項2について、「被取付部が設けられた枠部を周囲に有し枠部の前面に開口部が形成され枠部の背面側が背面板で閉塞され内部に電気部品収納部が形成された器具本体と;導光体および導光体の少なくとも一辺に沿って設けられ導光体の側部から光を照射する光源を有し器具本体の開口部とほぼ同じ大きさで開口部を閉塞する表面の表示手段と;導光体および導光体の一辺に沿って設けられ導光体の側部から光を照射する光源を有し器具本体の背面板とほぼ同じ大きさで背面板に取り付けられる背面の表示手段と;器具本体の電気部品収納部に収納され光源を点灯させる電気的部品を有する点灯手段と;を具備したことを特徴とする照明装置。」を「被取付部が設けられた枠部を周囲に有し枠部の前面に開口部が形成され枠部の背面側が背面板で閉塞され内部に電気部品収納部が形成された器具本体と;導光体および導光体の上辺に沿い導光体の上端面から光を照射する直管型の蛍光ランプおよび反射板を取付けてなり導光体の上部に配置される光源を有し器具本体の開口部とほぼ同じ大きさで開口部を閉塞する表面の表示手段と;導光体および導光体の上辺に沿い導光体の上端面から光を照射する直管型の蛍光ランプおよび反射板を取付けてなり導光体の上部に配置される光源を有し器具本体の背面板とほぼ同じ大きさで背面板に取り付けられる背面の表示手段と;器具本体の電気部品収納部に収納され光源を点灯させる電気的部品を有する点灯手段と;を具備したことを特徴とする照明装置。」と訂正する。

B.訂正事項b
発明の詳細な説明の記載について、以下のように訂正する。
ア.段落【0008】の「請求項1記載の照明装置は、被取付部が設けられた枠部を周囲に有しこの枠部の少なくとも前面に開口部が形成され内部に電気部品収納部が形成された器具本体と;導光体および導光体の少なくとも一辺に沿って設けられ導光体の側部から光を照射する光源を有し器具本体の開口部とほぼ同じ大きさで開口部を閉塞する表面の表示手段と;器具本体の電気部品収納部に収納され光源を点灯させる電気的部品を有する点灯手段とを具備したもので、器具本体の開口部を閉塞するように表面の表示手段を取り付け、表面の表示手段の導光体には光源からの光が照射されて導光体に入射した光が屈折し表示手段に出力することにより、器具本体の内部の電気部品収納部に電気部品を収納しても陰になるなど光学特性に悪影響を与えることがないため電気部品の配置の自由度が大きくなり、また、枠部を天井面に取り付けたり、背面を壁面などに取り付けることにより取り付ける際の汎用性が向上する。」を「請求項1記載の照明装置は、被取付部が設けられた枠部を周囲に有しこの枠部の少なくとも前面に開口部が形成され内部に電気部品収納部が形成された器具本体と;導光体および導光体の上辺に沿い導光体の上端面から光を照射する直管型の蛍光ランプおよび反射板を取付けてなり導光体の上部に配置される光源を有し器具本体の開口部とほぼ同じ大きさで開口部を閉塞する表面の表示手段と;器具本体の電気部品収納部に収納され光源を点灯させる電気的部品を有する点灯手段とを具備したもので、器具本体の開口部を閉塞するように表面の表示手段を取り付け、表面の表示手段の導光体には光源からの光が照射されて導光体に入射した光が屈折し表示手段に出力することにより、器具本体の内部の電気部品収納部に電気部品を収納しても陰になるなど光学特性に悪影響を与えることがないため電気部品の配置の自由度が大きくなり、また、枠部を天井面に取り付けたり、背面を壁面などに取り付けることにより取り付ける際の汎用性が向上する。」と訂正する。
イ.段落【0009】の「請求項2記載の照明装置は、被取付部が設けられた枠部を周囲に有し枠部の前面に開口部が形成され枠部の背面側が背面板で閉塞され内部に電気部品収納部が形成された器具本体と;導光体および導光体の少なくとも一辺に沿って設けられ導光体の側部から光を照射する光源を有し器具本体の開口部とほぼ同じ大きさで開口部を閉塞する表面の表示手段と;導光体および導光体の一辺に沿って設けられ導光体の側部から光を照射する光源を有し器具本体の背面板とほぼ同じ大きさで背面板に取り付けられる背面の表示手段と;器具本体の電気部品収納部に収納され光源を点灯させる電気的部品を有する点灯手段とを具備したもので、器具本体の開口部を閉塞するように表面の表示手段を取り付け、表面の表示手段の導光体には光源からの光が照射されて導光体に入射した光が屈折し表示手段に出力することにより、器具本体の内部の電気部品収納部に電気部品を収納しても陰になるなど光学特性に悪影響を与えることがないため電気部品の配置の自由度が大きくなるとともに、小形化および薄形化が図れ、また、器具本体の背面側に背面の表示手段を設けることにより両面表示が可能となり、枠部を天井面に取り付けることにより汎用性が向上する。」を「請求項2記載の照明装置は、被取付部が設けられた枠部を周囲に有し枠部の前面に開口部が形成され枠部の背面側が背面板で閉塞され内部に電気部品収納部が形成された器具本体と;導光体および導光体の上辺に沿い導光体の上端面から光を照射する直管型の蛍光ランプおよび反射板を取付けてなり導光体の上部に配置される光源を有し器具本体の開口部とほぼ同じ大きさで開口部を閉塞する表面の表示手段と;導光体および導光体の上辺に沿い導光体の上端面から光を照射する直管型の蛍光ランプおよび反射板を取付けてなり導光体の上部に配置される光源を有し器具本体の背面板とほぼ同じ大きさで背面板に取り付けられる背面の表示手段と;器具本体の電気部品収納部に収納され光源を点灯させる電気的部品を有する点灯手段とを具備したもので、器具本体の開口部を閉塞するように表面の表示手段を取り付け、表面の表示手段の導光体には光源からの光が照射されて導光体に入射した光が屈折し表示手段に出力することにより、器具本体の内部の電気部品収納部に電気部品を収納しても陰になるなど光学特性に悪影響を与えることがないため電気部品の配置の自由度が大きくなるとともに、小形化および薄形化が図れ、また、器具本体の背面側に背面の表示手段を設けることにより両面表示が可能となり、枠部を天井面に取り付けることにより汎用性が向上する。」と訂正する。

(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否
A.訂正事項aは、特許明細書の特許請求の範囲に記載された、表面の表示手段に関する「導光体の少なくとも一辺に沿って設けられ導光体の側部から光を照射する光源」又は背面の表示手段に関する「導光体の一辺に沿って設けられ導光体の側部から光を照射する光源」について、両者ともより下位概念である「導光体の上辺に沿い導光体の上端面から光を照射する直管型の蛍光ランプおよび反射板を取付けてなり導光体の上部に配置される光源」に限定しようとするものである。また、この訂正事項aは、特許明細書の段落【0021】及び【0023】並びに図1に記載されていたものである。そうすると、上記訂正事項aは、特許明細書に記載された事項の範囲内において「光源」を限定したものといえるから、特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

B.訂正事項bは、訂正事項aの訂正にともない、特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載との整合をとるものである。よって、上記訂正事項bは明りょうでない記載の釈明を目的とする明細書の訂正に該当するものであって、新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものでもない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記訂正は特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する第126条第2、3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立ての概要
(1)申立人塚脇正博は、下記の甲第1号証より、請求項1〜4に係る発明の特許は、特許法第29条第1項第3号又は同法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから取り消すべき旨、
甲第1号証:特開平9-204805号公報(a)
(2)申立人三洋電機株式会社は、下記の甲第1〜3号証より、請求項1〜4に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから取り消すべき旨、
甲第1号証:特開平9-204805号公報(a)
甲第2号証:特開平7-288016号公報(b)
甲第3号証:特許第2779091号公報(c)
(3)申立人三菱電機株式会社は、下記の検甲第1号証、甲第4号証、検甲第5号証より、請求項1〜4に係る発明の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから取り消すべき旨、それぞれ主張している。
検甲第1号証:三菱室内通路誘導灯「KYH2611」(d)
甲第4号証:実開昭63-28202号公報(e)
検甲第5号証:三菱室内通路誘導灯「KSH2622」(f)

4.本件発明
本件特許3246555号の請求項1〜4に係る発明(以下、それぞれ、「本件発明1」、「本件発明2」、「本件発明3」、「本件発明4」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定されるとおりのものである。

5.本件発明1の特許について
(1)刊行物記載の発明
当審が通知した取消しの理由に引用された引用刊行物1(特開平9-204805号公報(a))には、次の事項が記載されている。
(イ)「実施の形態3.また、図6に示すように、プリント配線板52を表示ユニット2の底面裏側へ突出させ突出部へ電気接続接点53を設けてもよく、壁面へ取付けて使用する照明装置に使用することができる。」(第4頁右欄第19〜22行)
(ロ)「表示ユニット2は底面、側面及び端面が形成され底面と対向する面が開口した箱状で、側面近傍には一対のプリント配線板52が電気接点部53を表示ユニット2より突設するように配設されている。プリント配線板52は、表示ユニット2のほぼ中央部に冷陰極ランプ60の金属製キャップ59を電気的に接続し機械的弾性力で保持するホルダ58が半田により接続され電気接点部53までプリント配線により導通されている。表示ユニット2の両側面の外隔側上部には、コ字状の切り欠き61によって表示ユニット2内方へ弾性的に可動する係止片57が設けられ、底面に対向する開口した面には冷陰極ランプ60を収容する溝64を備えた導光板63が開口面を覆うように設けられ、この導光板63に表示板62が取付けられている。なお、導光坂63の表面は拡散反射をする処理が行われており、プリント配線板52の導光板63側の表面は反射を良くするため、白色塗装または白色印刷がされている。」(第3頁右欄第30〜46行)
(ハ)「実施の形態1.以下、この発明の一実施の形態を図1〜図4について説明する。図1はこの発明の実施の形態1である照明装置を示す斜視図、図2は表示ユニットの斜視図、図3は本装置に使用する冷陰極ランプの斜視図、図4は図1の部分拡大図である。図において、この発明の照明装置は、器具本体1と表示ユニット2の2つのユニットより構成されている。1は断面略口字状に形成された器具本体であり、内部に点灯装置6、表示ユニット2との電気接続される内部にコンタクト65を有する電気接続コネクタ51及び機械的保持をする係止部55を備えた係止板54が器具本体の両端近傍に配設され、上面が天井面へ取付けられる。50は器具本体1を覆う枠体であり、器具本体の上面に対向する面に表示ユニット2が挿入する開口部12がもうけられている。」(第3頁右欄第16〜29行)
(ニ)「以上のような構成に対して、図9は特開平7-240104号公報に示されたもので、図において照明装置は器具本体1と表示ユニット2の2つのユニットから構成されている。器具本体1は天井面等に取付けられる天付部6が設けられ下面に表示ユニット2が着脱可能に嵌合する開口部7が形成されている。器具本体1の内部には光源の点灯装置と導電性を有する一対のプラグ受体8が取付けられ、このプラグ受体8に点灯装置が電気接続されている。表示ユニット2は内部に光を導き、反射拡散させる導光板9を収納し、この導光板9の上端面に向けて開口する断面略U字状の反射体10が取付けられて、この反射体10の両端には一対の断面略C字状に形成された導電性とばね弾性を持つホルダ11が付けられており、冷陰極ランプ12はこのホルダ11に電気接続状態に保持されている。反射体10の上面には導電性を有する金属製で各ホルダ11に電気接続される一対の膨出部13を有するプラグ14が上方に突設されている。」(第2頁右欄第4〜21行)
また、図6には、枠部材を周囲に有しており、この枠部材の前面が開口しており、背面側は点灯装置6が取り付けられた背面部材で閉塞され、内部に点灯装置6や電気接続コネクタ51などの電気部品を収納する収納領域を設けた器具本体1及び器具本体1の開口部分とほぼ同じ大きさで開口部分を閉塞する表示ユニット2が記載されている。
これら(イ)〜(ニ)の記載及び図面の記載を総合すると、上記引用刊行物1には「枠部材を周囲に有しこの枠部材の前面に開口部分が形成され枠部材の背面側が背面部材で閉塞され内部に電気部品を収納する収納領域が形成された器具本体1と、器具本体1の開口部分とほぼ同じ大きさで開口部分を閉塞するものであり、ほぼ中央部に冷陰極ランプ60からなる光源部材を配置し、この冷陰極ランプ60を収納する溝64を備えた導光板63からなる表示ユニット2と、器具本体1の電気部品を収納する収納領域に収納され冷陰極ランプ60からなる光源部材を点灯させる電気的部品を有する点灯装置6と、を具備した照明装置」という発明(以下、「引用発明1」という。)が記載されていると認められる。
(2)対比・判断
本件発明1と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「枠部材」、「開口部分」、「電気部品を収納する収納領域」、「器具本体1」、「光源部材」、「導光板63」、「表示ユニット2」、「点灯装置6」は、その機能と構造からみて、本件発明1の「枠部」、「開口部」、「電気部品収納部」、「器具本体」、「光源」、「導光体」、「表面の表示手段」、「点灯手段」に、それぞれ相当し、また引用刊行物1の器具本体1は、その枠部材の前面に開口部分が形成されていることから、「少なくとも前面に開口部が形成され」ているものに含まれるものと認められる。
そうしてみると、両者は、「枠部を周囲に有しこの枠部の少なくとも前面に開口部が形成され内部に電気部品収納部が形成された器具本体と、導光体および光源を有し器具本体の開口部とほぼ同じ大きさで開口部を閉塞する表面の表示手段と、器具本体の電気部品収納部に収納され光源を点灯させる電気的部品を有する点灯手段と、を具備した照明装置」である点で一致し、以下の点で相違している。
(A)器具本体について、本件発明1においては、枠部に被取付部が設けられているのに対し、引用発明1においては、その点が不明である点(以下、「相違点(A)」という。)。
(B)表面の表示手段について、本件発明1においては、導光体および導光体の上辺に沿い導光体の上端面から光を照射する直管型の蛍光ランプおよび反射板を取付けてなり導光体の上部に配置される光源を有するのに対し、引用発明1においては、ほぼ中央部に配置された冷陰極ランプ60からなる光源部材と、この冷陰極ランプ60を収納する溝64を備えた導光板63を有する点(以下、「相違点(B)」という。)。
そこで、これらの相違点について検討する。
まず、相違点(A)について検討する。引用刊行物1には、実施の形態3として図6に示されるように照明装置を壁面に取り付けて使用するもの(上記5.(1)(イ)参照)が記載されている。この実施形態において、図6に記載された器具本体1(本件発明1の「器具本体」に相当。以下同じ。)を壁に取り付ける手段としては、器具本体1の背面にある背面部材又は枠部材(「枠部」に相当)に被取付部を設けることは技術的にみて明らかなことである。してみると、引用発明1の器具本体1について壁への取り付けに際し、被取付部を枠部材に設けることは必要に応じて適宜なし得るものであり当業者ならば容易になし得るものと認められる。
次に、相違点(B)について検討する。引用刊行物1には、従来技術として上記5.(1)(ニ)の記載がある。また、誘導灯などで用いられる「冷陰極ランプ」として、「冷陰極蛍光ランプ」は周知であり(必要であれば、特開平7-235205号公報、特開平7-320510号公報、特開平8-273412号公報など参照)、引用刊行物1に記載の「冷陰極ランプ」は「冷陰極蛍光ランプ」を、すなわち「蛍光ランプ」を含んでいるものと認められる。上記引用刊行物1の記載及び図9の記載並びに「冷陰極ランプ」は「蛍光ランプ」を含んでいる点を総合すると、引用刊行物1には「導光板9(「導光体」に相当)および導光板9の上辺に沿い導光板9の上端面から光を照射する直管型の冷陰極ランプ12(「蛍光ランプ」に相当)および反射体10(「反射板」に相当)を取付けてなり導光板9の上部に配置される光源部材(「光源」に相当)を有する表示ユニット2(「表面の表示手段」に相当)」が記載されている。してみると、引用発明1の照明装置において、引用発明1のほぼ中央部に配置された冷陰極ランプからなる光源部材と、この冷陰極ランプを収納する溝を備えた導光板を有する表示ユニットにおいて、導光板に対する光源部材の配置を変更し、導光板および導光板の上辺に沿い導光板の上端面から光を照射する直管型の冷陰極ランプおよび反射体を取付けてなり導光板9の上部に配置される光源部材を有する表示ユニットとすることは、引用刊行物1の図9及びこれに関連した記載に基いて、当業者ならば必要に応じて適宜なし得るものと認められる。
そして、本件発明1の効果は引用刊行物1に記載された発明から当業者が予測し得る範囲内のものである。
したがって、本件発明1は、引用刊行物1に記載された発明に基いて当業者が容易に発明できたものであるから、本件発明1の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

6.本件発明2の特許について
本件発明2と引用発明1とを対比すると、引用発明1の「枠部材」、「開口部分」、「背面部材」、「電気部品を収納する収納領域」、「器具本体1」、「光源部材」、「導光板63」、「表示ユニット2」、「点灯装置6」は、その機能と構造からみて、本件発明の「枠部」、「開口部」、「背面板」、「電気部品収納部」、「器具本体」、「光源」、「導光体」、「表面の表示手段」、「点灯手段」に、それぞれ相当している。
そうしてみると、両者は、「枠部を周囲に有し枠部の前面に開口部が形成され枠部の背面側が背面板で閉塞され内部に電気部品収納部が形成された器具本体と、導光体および光源を有し器具本体の開口部とほぼ同じ大きさで開口部を閉塞する表面の表示手段と、器具本体の電気部品収納部に収納され光源を点灯させる電気的部品を有する点灯手段と、を具備した照明装置」である点で一致し、以下の点で相違している。
(C)器具本体について、本件発明2においては、枠部に被取付部が設けられているのに対し、引用発明1においては、その点が不明である点(以下、「相違点(C)」という。)。
(D)表面の表示手段について、本件発明2においては、導光体および導光体の上辺に沿い導光体の上端面から光を照射する直管型の蛍光ランプおよび反射板を取付けてなり導光体の上部に配置される光源を有しているのに対し、引用発明1においては、ほぼ中央部に冷陰極ランプ60からなる光源部材を配置し、この冷陰極ランプ60を収納する溝64を備えた導光板63からなるものである点(以下、「相違点(D)」という。)。
(E)本件発明2においては、導光体および導光体の上辺に沿い導光体の上端面から光を照射する直管型の蛍光ランプおよび反射板を取付けてなり導光体の上部に配置される光源を有し器具本体の背面板とほぼ同じ大きさで背面板に取り付けられる背面の表示手段が設けられているのに対し、引用発明1においては、背面の表示手段が設けられていない点(以下、「相違点(E)」という。)。
そこで、これらの相違点について検討する。
まず、相違点(C)及び(D)については、それぞれ上記5.における相違点(A)及び(B)の検討結果と同様である。
次に、相違点(E)について検討する。引用発明1の照明装置は、壁取り付けの照明装置であり(上記5.(1)(イ)参照)、器具本体1(本件発明2の「器具本体」に相当。以下同じ。)の枠部材(「枠部」に相当)の表面側が表示部分であることから、背面側は通常壁側であると考えられ、このことからすると引用発明1の枠部材の背面側に背面の表示手段が設けられることは想定し難い。また、引用刊行物1には、「表示ユニット2を背中合わせに2個配置し、表示を表示ユニット2の両側にすることができる。」(第4頁右欄第3〜5行)旨の記載があるが、これは、第1図及び第2図に示される上部を取付位置とする別の実施例に関するものであるし、仮に、この記載を元に図6の実施例のものの背面に表示ユニットを配するとしても、図6の実施例が壁に背面を取り付ける実施例である以上、その適用に阻害があるというべきであるから、引用発明1の枠部材の背面側に背面の表示手段を設けることは示唆されるものでもない。さらに、特許異議申立人が提出した証拠のいずれにおいても、「導光体および導光体の上辺に沿い導光体の上端面から光を照射する直管型の蛍光ランプおよび反射板を取付けてなり導光体の上部に配置される光源を有し器具本体の背面板とほぼ同じ大きさで背面板に取り付けられる背面の表示手段」を設ける点について示唆するものはない。
そして、本件発明2は相違点(E)を有することにより、特許異議申立人の提出する証拠から得ることのできない、小型化、薄形化が図れ、両面表示が可能となるという特有の効果を奏するものである。
してみると、本件発明2のように「導光体および導光体の上辺に沿い導光体の上端面から光を照射する直管型の蛍光ランプおよび反射板を取付けてなり導光体の上部に配置される光源を有し器具本体の背面板とほぼ同じ大きさで背面板に取り付けられる背面の表示手段」を設けることは、特許異議申立人の提出する証拠に基いて容易に想到できたものとすることができない。
また、本件発明2は、特許異議申立人が証拠として提出したいずれかの刊行物に記載された発明又は公然知られた若しくは公然実施された発明でも、また、これらの刊行物に記載された発明又は公然知られた若しくは公然実施された発明から容易に発明できたものでもないので、本件発明2の特許は、特許法第29条第1項第1〜3号又は同法第29条第2項のいずれの規定にも違反してなされたものではない。

7.本件発明3の特許について
本件発明3は、本件発明2に「背面の表示手段の光源および点灯手段を電気的に接続する電気的接続手段と、器具本体の背面板に形成され電気的接続手段を挿通する接続手段挿通孔とを具備した」構成を付加するものである。上記6.において検討したように、本件発明2の特許が、特許法第29条第1項第1〜3号又は同法第29条第2項のいずれの規定にも違反してなされたものではないとされる以上、さらに上記構成を付加する本件発明3の特許についても同様に、特許法第29条第1項第1〜3号又は同法第29条第2項のいずれの規定にも違反してなされたものではない。

8.本件発明4の特許について
本件発明4は、本件発明1〜3のいずれかの「照明装置の導光体に配設された誘導表示パネルを具備した誘導灯装置」である。照明装置として導光体に誘導表示パネルを配設するものは従来周知である(必要であれば、引用刊行物1の図10など参照)ことから、引用発明1の照明装置において導光体に配設された誘導表示パネルを具備し誘導灯装置とする程度のことは、当業者ならば必要に応じて適宜なし得たものと認められる。
よって、本件発明4は、引用刊行物1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。
したがって、本件発明4は、引用刊行物1に記載された発明及び周知技術に基いて当業者が容易に発明できたものであるから、本件発明4の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。

9.むすび
以上のとおりであるから、本件発明1及び4の特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであるから、同法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
また、本件発明2及び3の特許については、取消理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
照明装置および誘導灯装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】被取付部が設けられた枠部を周囲に有しこの枠部の少なくとも前面に開口部が形成され内部に電気部品収納部が形成された器具本体と;
導光体および導光体の上辺に沿い導光体の上端面から光を照射する直管型の蛍光ランプおよび反射板を取付けてなり導光体の上部に配置される光源を有し器具本体の開口部とほぼ同じ大きさで開口部を閉塞する表面の表示手段と;
器具本体の電気部品収納部に収納され光源を点灯させる電気的部品を有する点灯手段と;
を具備したことを特徴とする照明装置。
【請求項2】被取付部が設けられた枠部を周囲に有し枠部の前面に開口部が形成され枠部の背面側が背面板で閉塞され内部に電気部品収納部が形成された器具本体と;
導光体および導光体の上辺に沿い導光体の上端面から光を照射する直管型の蛍光ランプおよび反射板を取付けてなり導光体の上部に配置される光源を有し器具本体の開口部とほぼ同じ大きさで開口部を閉塞する表面の表示手段と;
導光体および導光体の上辺に沿い導光体の上端面から光を照射する直管型の蛍光ランプおよび反射板を取付けてなり導光体の上部に配置される光源を有し器具本体の背面板とほぼ同じ大きさで背面板に取り付けられる背面の表示手段と;
器具本体の電気部品収納部に収納され光源を点灯させる電気的部品を有する点灯手段と;
を具備したことを特徴とする照明装置。
【請求項3】背面の表示手段の光源および点灯手段を電気的に接続する電気的接続手段と;
器具本体の背面板に形成され電気的接続手段を挿通する接続手段挿通孔と;
を具備したことを特徴とする請求項2記載の照明装置。
【請求項4】請求項1ないし3いずれか記載の照明装置の導光体に配設された誘導表示パネルを具備したことを特徴とする誘導灯装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、表示手段を有する照明装置および誘導灯装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来、この種の誘導灯装置としては、たとえば特許掲載第2779091号公報に記載されている構成が知られている。
【0003】
この特許掲載第2779091号公報には、導光板の一辺に沿って蛍光ランプを配設して表示パネルを形成し、この表示パネルの背面側に蛍光ランプを点灯させる点灯装置が収納された器具本体が取り付けられている。
【0004】
そして、点灯装置で蛍光ランプを点灯させ、蛍光ランプの光を導光板に照射して導光板全体をほぼ均一の明るさで照射している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特許掲載第2779091号公報に記載の構成の場合、表示パネルの背面側に器具本体を取り付けたもののため、小型化が図られていないとともに、埋込あるいは露出させて背面側を壁に取り付けることしかできず、天井面などに取り付けることができず、汎用性が低い。
【0006】
また、表示パネルは片面側にしか設けることができず、両面表示に対応できない問題を有している。
【0007】
本発明は、上記問題点に鑑みなされたもので、汎用性を向上した照明装置および誘導灯装置を提供することを目的とする。
【0008】
【課題を解決するための手段】
請求項1記載の照明装置は、被取付部が設けられた枠部を周囲に有しこの枠部の少なくとも前面に開口部が形成され内部に電気部品収納部が形成された器具本体と;導光体および導光体の上辺に沿い導光体の上端面から光を照射する直管型の蛍光ランプおよび反射板を取付けてなり導光体の上部に配置される光源を有し器具本体の開口部とほぼ同じ大きさで開口部を閉塞する表面の表示手段と;器具本体の電気部品収納部に収納され光源を点灯させる電気的部品を有する点灯手段と;を具備したもので、器具本体の開口部を閉塞するように表面の表示手段を取り付け、表面の表示手段の導光体には光源からの光が照射されて導光体に入射した光が屈折し表示手段に出力することにより、器具本体の内部の電気部品収納部に電気部品を収納しても陰になるなど光学特性に悪影響を与えることがないため電気部品の配置の自由度が大きくなり、また、枠部を天井面に取り付けたり、背面を壁面などに取り付けることにより取り付ける際の汎用性が向上する。
【0009】
請求項2記載の照明装置は、被取付部が設けられた枠部を周囲に有し枠部の前面に開口部が形成され枠部の背面側が背面板で閉塞され内部に電気部品収納部が形成された器具本体と;導光体および導光体の上辺に沿い導光体の上端面から光を照射する直管型の蛍光ランプおよび反射板を取付けてなり導光体の上部に配置される光源を有し器具本体の開口部とほぼ同じ大きさで開口部を閉塞する表面の表示手段と;導光体および導光体の上辺に沿い導光体の上端面から光を照射する直管型の蛍光ランプおよび反射板を取付けてなり導光体の上部に配置される光源を有し器具本体の背面板とほぼ同じ大きさで背面板に取り付けられる背面の表示手段と;器具本体の電気部品収納部に収納され光源を点灯させる電気的部品を有する点灯手段と;を具備したもので、器具本体の開口部を閉塞するように表面の表示手段を取り付け、表面の表示手段の導光体には光源からの光が照射されて導光体に入射した光が屈折し表示手段に出力することにより、器具本体の内部の電気部品収納部に電気部品を収納しても陰になるなど光学特性に悪影響を与えることがないため電気部品の配置の自由度が大きくなるとともに、小形化および薄形化が図れ、また、器具本体の背面側に背面の表示手段を設けることにより両面表示が可能となり、枠部を天井面に取り付けることにより汎用性が向上する。
【0010】
請求項3記載の照明装置は、請求項2記載の照明装置において、背面の表示手段の光源および点灯手段を電気的に接続する電気的接続手段と;器具本体の背面板に形成され電気的接続手段を挿通する接続手段挿通孔とを具備したもので、接続手段挿通孔により背面板に電気的接続手段を挿通できるため、背面の表示手段の取り付けを容易にできる。
【0011】
請求項4記載の誘導灯装置は、請求項1ないし3いずれか記載の照明装置の導光体に配設された誘導表示パネルを具備したもので、それぞれの作用を奏する。
【0012】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の誘導灯装置の一実施の形態を図面を参照して説明する。
【0013】
図1は誘導灯装置を示す分解斜視図、図2は器具本体を背面側から示す斜視図、図3は誘導灯装置を前面側から示す一部を切り欠いた正面図である。
【0014】
図1に示すように、照明装置である誘導灯装置1は、樹脂製の器具本体2を有し、この器具本体2は周囲に四角形状の枠部3を有し、この枠部3の前面側には開口部4が形成され、枠部3の背面側は背面板5で閉塞され、これら枠部3および背面板5で閉塞された部分には電気部品収納部6が形成されている。
【0015】
また、枠部3の上辺には天井面などに取り付ける際に図示しない電源線を挿通する電源線挿通孔7およびこの電源線挿通孔7を中心とした対称位置に天井面などに図示しないねじなどで取り付ける際の被取付部としてのねじ挿通孔8がそれぞれ開口形成されている。一方、この枠部3の上辺の内面側には金属製の補強板11が取り付けられ、この補強板11にはフック部12が形成されている。
【0016】
さらに、背面板5には壁面などに取り付ける際に図示しない電源線を挿通する電源線挿通孔15およびこの電源線挿通孔15を中心とした対称位置に壁面などに図示しないねじなどで取り付ける際の被取付部としてのだるま穴のねじ挿通孔16がそれぞれノックアウト構造で形成されるとともに、四角形状の接続手段挿通孔としての配線挿通孔17が一対同様にノックアウト構造で形成されている。なお、ダルマ穴は下方の径が大きいものに限らず、側方に径が大きい部分を設けてもよい。
【0017】
また、枠部3の両側にはそれぞれ異なる高さ位置に装着部21,21が内方に向けて突出して形成され、また、背面板5の背面側にも同様にそれぞれ異なる高さ位置に装着部22,22が開口形成され、それぞれの装着部21,22はそれぞれ正面視した場合に左右の高さ位置が同一になるように形成されている。
【0018】
そして、電気部品収納部6のほぼ中央には、インバータ回路などが収納された点灯手段としての点灯ユニット25が取り付けられ、また、この点灯ユニット25の上部には端子台26が取り付けられ、これら点灯ユニット25および端子台26の間は配線コード27にて電気的に接続され、さらに、点灯ユニット25からは先端にコネクタ28を有する電気的接続手段としての配線コード29が2系統引き出され、点灯ユニット25の下部にはバッテリ30が取り付けられている。
【0019】
さらに、点灯ユニット25の上方の枠部3の上辺のねじ挿通孔8が設けられている部分との間には空間部31が形成され、ねじ挿通孔8に挿通するねじあるいは作業者の手が入る所定の大きさの作業用のスペースとなり、作業性を向上している。
【0020】
また、枠部3の開口部4にはほぼ開口部4を閉塞する大きさの表示手段としての表面表示手段40が設けられ、この表面表示手段40にはアクリル樹脂にハロゲン化物などの難燃材を添加した難燃性アクリル樹脂板の乳白色の表示パネル41が取り付けられ、この表示パネル41の表面には誘導表示であるピクトグラム42が表示され、表示パネル41の背面には導光体としてのアクリル樹脂製の四角板状の導光板43が設けられている。
【0021】
さらに、表面表示手段40の上部の一辺には光源44が取り付けられ、この光源44には直管型の蛍光ランプ45およびこの蛍光ランプ45からの光を導光板43方向に反射する断面ほぼU字型の反射板46が取り付けられ、この光源44にはコネクタ28を接続する図示しないソケットが取り付けられている。さらに、導光板43の裏面側には装着部21,21に対応して高さが異なる取付部47,47が突出して形成され、この取付部47の先端はテーパ状に形成され、側面には係止用の係止突部48が突出して形成されている。
【0022】
一方、背面板5にはほぼ背面板5と同一形状の表示手段としての背面表示手段50が設けられ、この背面表示手段50にはアクリル樹脂にハロゲン化物などの難燃材を添加した難燃性アクリル樹脂板の乳白色の表示パネル51が取り付けられ、この表示パネル51の表面には誘導表示であるピクトグラムが表示され、表示パネル51の背面には導光体としてのアクリル樹脂製の四角板状の導光板53が設けられている。
【0023】
さらに、背面表示手段50の上部の一辺には光源54が取り付けられ、この光源54には直管型の蛍光ランプ55およびこの蛍光ランプ55からの光を導光板53方向に反射する断面U字型の反射板56が取り付られ、この光源54にはコネクタ28を接続するソケット52が取り付けられている。さらに、導光板53の裏面側には装着部22,22に対応して高さが異なる取付部57,57が突出して形成され、この取付部57の先端はテーパ状に形成され、側面には係止用の係止突部58が突出して形成されている。
【0024】
また、表示パネル41にはフック部12に取り付けられたワイヤ、チェーンなどの線状体59が、仮止めおよび落下防止のために接続される。
【0025】
なお、表示パネル41および表示パネル51は同一のものを用いてよい。ただし、この場合、表示に方向性がある場合には表示方向に整合性を持たせることは必要である。
【0026】
次に、上記実施の形態の使用状態について説明する。
【0027】
まず、表示パネル41のみを使用して片面表示で天井面に取り付ける場合について説明する。
【0028】
背面板5の電源線挿通孔15、ねじ挿通孔16および配線挿通孔17のいずれもノックアウトせずにそのままの状態にする。
【0029】
また、器具本体2のねじ挿通孔8に内部からねじを挿通し、ねじにより天井面に器具本体2を取り付け、電源線挿通孔7から電源線を導入し、端子台26に接続する。
【0030】
そして、線状体59で器具本体2と表示パネル41を接続して仮止めするとともに、コネクタ28を光源44のソケットに電気的に接続し、高所作業で両手を使えるようにする。
【0031】
さらに、表示パネル41の取付部47,47を器具本体2の装着部21,21に挿入し、器具本体2の開口部4を表示パネル41で閉塞する。なお、線状体59で器具本体2と表示パネル41とを繋ぐことにより、表示パネル41の落下を防止する。
【0032】
次に、表示パネル51も取り付けて両面表示する場合について説明する。
【0033】
この場合、あらかじめ背面板5の電源線挿通孔15をノックアウトし、コネクタ28を配線挿通孔17を介して光源54のソケット52に電気的に接続する。さらに、表示パネル51の取付部57,57を器具本体2の装着部22,22に挿入し、器具本体2の背面板5に表示パネル51を取り付けておく。
【0034】
その後は、上述の片面表示と同様にする。
【0035】
また、表示パネル41のみを使用して片面表示で壁面に取り付ける場合について説明する。
【0036】
背面板5の電源線挿通孔15およびねじ挿通孔16をノックアウトし、器具本体2のねじ挿通孔16に内部からねじを挿通し、ねじにより壁面に器具本体2を取り付け、電源線挿通孔15から電源線を導入し、端子台26に接続する。
【0037】
その後は、上述の片面表示と同様にする。
【0038】
上記実施の形態によれば、器具本体2の電気部品収納部6は光学特性に関係しないため、中央に点灯ユニット25を配設しても表示に陰が生じないため、任意に点灯ユニット25を配設できる。また、点灯ユニット25の上方に空間部31を設け、この空間部31により比較的重量のある点灯ユニット25およびバッテリ30が器具本体2の下方に位置するため、重心が低くなり安定性が向上する。
【0039】
また、光源44,54は表示パネル41または表示パネル51の上部に位置するとともに、器具本体2の外側に配設されるため、光源44,54の熱が放散されやすく温度上昇を小さくできるとともに、点灯ユニット25およびバッテリ30にも熱影響を与えにくい。
【0040】
さらに、左右の装着部21,21,22,22の高さを異ならせ、前面と背面の対応する装着部21,22の高さを異ならせることにより、器具本体2の厚さを厚くすることなく、取付部47,57の長さを長くすることができ、表示パネル41および表示パネル51を確実に器具本体2に取り付けることができ、装着部21,22の位置をそれぞれ平面視同一にすることにより、表示パネル41および表示パネル51に同一のものを用いることができる。
【0041】
また、背面板5の電源線挿通孔15およびねじ挿通孔16をノックアウト構造としたので、電源線挿通孔15およびねじ挿通孔16をノックアウトにより形成しない場合には、片面表示の場合には背面板5を誘導灯装置1の通常の背面を閉塞する部材として用いることができる。
【0042】
さらに、導光板43,53にアクリル樹脂を用いることにより、光利用効率および均斉度が向上し、蛍光ランプ45,55などの長寿命化も望めるので、省エネルギ化を図れる。
【0043】
なお、導光板43に直接ピクトグラムを設けてもよい。
【0044】
次に、他の実施の形態を図4を参照して説明する。
【0045】
この図4は他の実施の形態の導光板の一部を拡大して示す斜視図で、図4に示すように、導光板43,53に代えて導光板61を用いたものである。
【0046】
そして、この導光板61の表示パネル41,51が位置する面と反対側の面には、表示面側への光の出射効率を向上する複数の微小な凹部62が形成されている。この凹部62は、図5および図6に示すように、一端の蛍光ランプ37に対向する部分に円柱の周面を斜めに切り欠いた面の傾斜面63が形成され、この傾斜面63により蛍光ランプ37からの照射光を反射させて表示面に向けており、凹部62は表示面側に向かうに従い先細に形成されている。そして、この凹部62の傾斜面63はこの導光板61内を伝搬してきた光が傾斜面63で全反射され、表示面に対する入射角を導光板61の屈折率により定まる臨界角内にするものであればよい。なお、この凹部62は、でき得る限り微小に円柱の一端の面から斜めに切り欠いた凹状に射出加工などにより全体が一体加工で形成されている。
【0047】
また、導光板61の表示パネル41,51が位置する面側には光方向変換手段65が配設され、この光方向変換手段65は、蛍光ランプ45,55の長手方向に直交する方向に軸方向を有し斜辺が下辺に対してそれぞれ45°の角度の断面ほぼ台形の凸部66が複数平行に隣り合わせで形成されている。また、これら光方向変換手段65の凸部66は蛍光ランプ45,55からの光を導光板61の奥、すなわち蛍光ランプ45,55と最も離れた方向まで光を導光させ、蛍光ランプ45,55の軸方向に広がった出射光を表示パネル41,51の法線方向に屈折させる。
【0048】
そして、導光板61では蛍光ランプ45,55からの入射光を反射面63で表示パネル41,51側に反射し、蛍光ランプ45,55と反対側からの入射光を反射面64で表示パネル41,51に反射する。
【0049】
また、蛍光ランプ45,55から導光板61に入射された光は、直接または表示パネル41,51側の面および表示パネル41,51と反対側の面で数回の反射を繰り返した後、表示パネル41,51から出射する。
【0050】
ここで、蛍光ランプ45,55から出射する光は、反射板46,56により蛍光ランプ45,55の軸方向と直交する断面においては、導光板61の光軸方向に絞られた配光が望ましい。一方、蛍光ランプ45,55の軸方向と平行な断面においては、反射板46,56により配光を制御することはできないため、広がりの大きな配光になる。そして、導光板61の表示パネル41,51は平面であるため、表示パネル41,51の配光に依存し、表示パネル41,51の面に垂直でかつ蛍光ランプ45,55の軸方向に平行な面においては出射配光は広がりが大きい。
【0051】
また、光方向変換手段65の凸部66の斜面に当たった光は法線方向に屈折されて出射し、上辺に当たった光は法線方向へ屈折されないので、台形の上辺の長さに依存して凸部66による集光性能が決定し、さらに、凸部66の透過率、反射率は凸部66の入射角度に依存しており、反射した光は導光板61内を伝搬するため、導光板61の特性を損なわない。このようにして、誘導灯装置1の奥行き方向の長さを短くしても、表示パネル41,51の面の正面輝度、すなわち表示パネル41,51の面の法線方向の光であるため、光利用効率が向上する。
【0052】
また、他の実施の形態を図7を参照して説明する。
【0053】
この図7は他の実施の形態の導光板の一部を拡大して示す斜視図で、図7に示すように、光方向変換手段65に代えて光方向変換手段71を用いたものである。
【0054】
この光方向変換手段71は、蛍光ランプ45,55の長手方向に直交する方向に軸方向を有した断面ほぼ三角形の凸部72が複数平行に隣り合わせで形成されている。
また、これら光方向変換手段71の凸部72は蛍光ランプ45,55からの光を導光板61の奥、すなわち蛍光ランプ45,55と最も離れた方向まで光を導光させ、蛍光ランプ45,55の軸方向に広がった出射光を表示パネル41,51の法線方向に屈折させる。
【0055】
また、凸部72に対向してアクリル樹脂製の対向板73が配設され、この対向板73には凸部72に対向する面の反対側の面に蛍光ランプ45,55の長手方向と平行に軸方向を有した断面ほぼ三角形の三角溝74が複数平行に隣り合わせで形成されている。また、これら光方向変換手段71の三角溝74は導光板61からの光を表示パネル41,51の法線方向に屈折させ、図4に示す場合と同様に光利用効率を向上する。
【0056】
さらに、他の実施の形態を図8を参照して説明する。
【0057】
この図8は他の実施の形態の表示手段を示す斜視図で、図8に示すように、図1に示す表面表示手段40または背面表示手段50に代えて表示手段80を用いたものである。
【0058】
図8に示すように、表示手段80は上部が開口し前面に表示パネルとなる表示パネル部81を有する乳白色の難燃性のアクリル樹脂製のケース体82を備え、このケース体82内に矩形板状のアクリル樹脂製の導光体である導光板83を収納したものである。
【0059】
このようにケース体82内に導光板83を収納すればよいので、製造を容易にすることができる。
【0060】
なお、取付部57,57は非線対称に設けたが、全体の厚さを考慮せずあるいは互いの干渉を考えなければ線対称に設けてもよい。
【0061】
【発明の効果】
請求項1記載の照明装置によれば、器具本体の開口部を閉塞するように表面の表示手段を取り付け、表面の表示手段の導光体には光源からの光が照射されて導光体に入射した光が屈折し表示手段に出力することにより、器具本体の内部の電気部品収納部に電気部品を収納しても陰になるなど光学特性に悪影響を与えることがないため電気部品の配置の自由度が大きくなり、また、枠部を天井面に取り付けたり、背面を壁面などに取り付けることにより汎用性を向上できる。
【0062】
請求項2記載の照明装置によれば、器具本体の開口部を閉塞するように表面の表示手段を取り付け、表面の表示手段の導光体には光源からの光が照射されて導光体に入射した光が屈折し表示手段に出力することにより、器具本体の内部の電気部品収納部に電気部品を収納しても陰になるなど光学特性に悪影響を与えることがないため電気部品の配置の自由度が大きくなるとともに、小形化および薄形化が図れ、また、器具本体の背面側に背面の表示手段を設けることにより両面表示が可能となり、枠部を天井面に取り付けることにより汎用性を向上できる。
【0063】
請求項3記載の照明装置によれば、請求項2記載の照明装置に加え、接続手段挿通孔により背面板に電気的接続手段を挿通できるため、背面の表示手段の取り付けを容易にできる。
【0064】
請求項4記載の誘導灯装置によれば、請求項1ないし3いずれか記載の照明装置の導光体に配設された誘導表示パネルを具備したので、それぞれの効果を奏することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明の一実施の形態の誘導灯装置を示す分解斜視図である。
【図2】
同上器具本体を背面側から示す斜視図である。
【図3】
同上誘導灯装置を前面側から示す一部を切り欠いた正面図である。
【図4】
同上他の実施の形態の導光板の一部を拡大して示す斜視図である。
【図5】
同上図4に示す導光板の凹部の形状を示す模式図である。
【図6】
同上他の実施の形態の導光板を示す側面図である。
【図7】
同上他の実施の形態の導光板の一部を拡大して示す斜視図である。
【図8】
他の実施の形態の表示手段を示す斜視図である。
【符号の説明】
1 照明装置である誘導灯装置
2 器具本体
3 枠部
4 開口部
5 背面板
6 電気部品収納部
8 被取付部としてのねじ挿通孔
17 接続手段挿通孔としての配線挿通孔
25 点灯手段としての点灯ユニット
29 電気的接続手段としての配線コード
40 表示手段としての表面表示手段
41 表示パネル
43,53,83 導光体としての導光板
44,54 光源
50 表示手段としての背面表示手段
51 表示パネル
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2003-08-29 
出願番号 特願2001-123647(P2001-123647)
審決分類 P 1 651・ 121- ZD (F21S)
最終処分 一部取消  
前審関与審査官 高木 彰  
特許庁審判長 田中 秀夫
特許庁審判官 石川 好文
藤原 直欣
登録日 2001-11-02 
登録番号 特許第3246555号(P3246555)
権利者 東芝ライテック株式会社
発明の名称 照明装置および誘導灯装置  
代理人 和泉 順一  
代理人 宮田 金雄  
代理人 高瀬 彌平  
代理人 和泉 順一  

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