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審決分類 審判 全部無効 2項進歩性 無効としない G09F
管理番号 1092264
審判番号 無効2000-35475  
総通号数 52 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1998-06-30 
種別 無効の審決 
審判請求日 2000-09-05 
確定日 2004-02-12 
事件の表示 上記当事者間の特許第2910868号発明「標識照明システム及び方法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 〔1〕手続の経緯
本件特許第2910868号(以下「本件特許」という。)及び本件無効審判事件に係る手続の経緯の概要は、以下のとおりである。
1)本件特許の先の出願(特許法第41条):特願平6-179930(出願日:平成6年8月1日)
2)本件特許の国際出願:PCT/US95/09532(国際出願日:1995年7月27日)
3)特許法第184条の5第1項の規定による書面及び翻訳文の提出日:平成9年1月31日)
4)特許出願人名義変更:平成9年3月27日付け
5)明細書の手続補正(第1回):平成9年3月13日差出
6)明細書の手続補正(第2回):平成9年3月26日差出
7)特許査定:平成11年1月26日付け
8)特許権の設定の登録:平成11年4月9日
9)特許無効審判の請求:平成12年9月5日
10)審判請求書副本の送達:平成12年10月11日
11)期間延長請求書(被請求人):平成13年1月9日
12)審判事件答弁書(被請求人、第1回):平成13年4月4日付け
13)訂正請求書の提出:平成13年4月4日付け
14)弁駁書(第1回)の提出(請求人、証拠の追加):平成13年4月18日付け
15)上申書(請求人、証拠の追加):平成13年4月18日付け
16)上申書(請求人、利害関係の疎明):平成13年4月18日付け
17)口頭による審尋(第1回):平成13年4月18日
18)口頭審理(第1回):平成13年4月18日
19)上申書(請求人、利害関係の証明):平成13年5月14日付け
20)弁駁書(第2回)の提出(請求人、証拠の追加):平成13年5月28日付け
21)弁駁書(第3回)の提出(請求人、証拠の追加):平成13年6月15日付け
22)弁駁書(第4回)の提出(請求人、利害関係の証拠の追加):平成13年7月18日付け
23)審判事件答弁書(.被請求人、第2回):平成13年6月22日付け
23)口頭による審尋(第2回):平成13年7月18日
24)口頭審理(第2回):平成13年7月18日
25)訂正請求の取下げ:平成13年8月23日付け
26)審判事件答弁書(被請求人、第3回):平成13年8月23日付け

〔2〕当事者の主張
1.請求人は、「特許第2910868号は、これを無効とする。審判費用は被請求人の負担とする。との審決を求める。」(請求の趣旨)ものであって、請求の理由は、本件特許の請求項1乃至11に係る発明は、本件特許の出願前に頒布された刊行物である甲第6号証、甲第8号証、甲第14号証乃至甲第17号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであって、特許法第29条第2項の規定に違反するものであるから、それらの特許は無効とされるべきである、というにあるものと認められる。
そして、請求人は以下の証拠方法を提出している。
甲第6号証:実公昭48-37504号公報
甲第8号証:日本工業規格「保安用反射シート及びテープ」JIS Z 9117-1984(1989年確認)
甲第14号証:特開昭56-27498号公報
甲第15号証:特開平3-160600号公報
甲第16号証:特開平5-334569号公報
甲第17号証:特開昭54-117124号公報
甲第19号証:「総合報道」第1369号第3面「ヨシタケ」記事
甲第20号証:パンフレット「ヨシタケ道路照明システム」
甲第21号証:入射角度と照射半径の関係を示した図面
なお、甲第1号証乃至甲第5号証、甲第7号証、甲第9号証乃至甲第13号証、甲第18号証、甲第22号証及び甲第23号証は取り下げられた。

2.一方、被請求人は、「本件審判の請求は成り立たない、審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」(答弁の趣旨)ものである。

〔3〕本件特許に係る発明
本件特許に係る発明は、明細書及び図面の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1乃至請求項11に記載された以下のものにある。
「【請求項1】
標識面を持つ標識と照明源を備えた標識照明システムであって、前記照明源は、前記標識面に対して約0°から約30°の範囲の入射角度にて前記標識面に入射する光を放射し、前記標識面は再帰性反射部分を備えた標識照明システム。
【請求項2】
前記照明源は、前記標識面の実質的に全てに対して約0°から約30°の間の入射角度で前記標識面に入射する光を放射する請求項1に記載のシステム。
【請求項3】
前記標識は道路の路肩上に設置される請求項1に記載のシステム。
【請求項4】
前記標識は道路上に設置される請求項1に記載のシステム。
【請求項5】
前記照明源は道路の路肩上に設置され、前記標識は道路標識と広告掲示板から選択される請求項1に記載のシステム。
【請求項6】
前記照明源は投光照明器を備え、前記投光照明器は実質的に前記標識面のみを照明するマスク手段を具備する請求項1に記載のシステム。
【請求項7】
前記投光照明器は地上から次式、
(100-L)X/100< H <(X+Y)(300-L)/300
に基づいて前記標識面に対して設置され、ここで、Lは照明源と道路標識の間の水平距離、Xは地上から標識面の底部までの高さ、Yは標識自体の高さ、Hは投光照明器の地上からの高さであり、全ての距離はメートルであり、Lは100メートルより少ないか等しい、請求項6に記載のシステム。
【請求項8】
前記入射角度は0°から約15°の範囲である請求項1に記載のシステム。
【請求項9】
前記再帰性反射部は、少なくとも、カプセルレンズ型、露出レンズ型、及び封入レンズ型の再帰性反射材料の内のいずれか1つである請求項1に記載のシステム。
【請求項10】
再帰性反射部分を備えた標識面を持つ標識を照明する方法であって、前記方法は、照明源を、前記標識面に対して前記標識面のいかなる再帰性反射点においても観察者の視野を遮らずに広観察角度を有効に利用するように配置し、前記照明源は前記道路標識上のいかなる点においても0°から約30°の範囲の入射角度を形成する光を放射する、標識を照明する方法。
【請求項11】
前記標識面から前記照明源の距離が、約10から約100メートルである請求項10に記載の方法。」

〔4〕そこで、請求人の提出した甲号各証について検討する。
1.甲第6号証には、「照明器」について記載されているが、ここに示されるものは、単に摺動及び回動自在で臨画の形状と大きさを自在に変えられるなマスク板を装着したスポット照明器にすぎず、本件特許発明の、約0°から約30°の範囲の入射角度にて標識面に入射する光を放射し標識面は再帰性反射部分を備えた標識照明システム及び照明方法については記載も示唆もない。
2.甲第8号証は、日本工業規格「保安用反射シート及びテープ」に関し、単に測定方法と試験方法が示されるにすぎず、本件特許発明の、約0°から約30°の範囲の入射角度にて標識面に入射する光を放射し標識面は再帰性反射部分を備えた標識照明システム及び照明方法については記載も示唆もない。
3.甲第14号証には、「道路交通規制方式」について記載されているが、ここに示されるものは、「トンネル内に事故が発生した場合に、トンネル入口手前の所定区間の道路を交通規制するための道路交通規制方式であり、交通規制を行うためにトンネル入口に遮断膜を垂下し、これを投光器が照明する」というものであって、本件特許発明の、約0°から約30°の範囲の入射角度にて標識面に入射する光を放射し、標識面は再帰性反射部分を備えた標識照明システム及び照明方法については何ら記載されていない。
4.甲第15号証には、「道路交通情報の表示装置」について記載されているが、ここに示されるものは、単にディスプレイパネルにレーザープロジェクタから注意事項を表示するものであって、反射された光によりパネルに描かれている内容を視認するものではなく、レーザープロジェクタが遠隔の交通管制センターからの指示どおりにディスプレイパネル上に焦点が合うように映写するというものであり、本件特許発明の、約0°から約30°の範囲の入射角度にて標識面に入射する光を放射し、標識面は再帰性反射部分を備えた標識照明システム及び照明方法については何ら記載されていない。
5.甲第16号証には、「誘導灯」について記載されているが、ここに示されるものは、開閉扉などの壁面に、光源装置2から「非常口」等の標識を表示したものであって、光源装置2内の「被投光用原版8」の内容を壁面に拡大映写するものにすぎず、本件特許発明の、約0°から約30°の範囲の入射角度にて標識面に入射する光を放射し、標識面は再帰性反射部分を備えた標識照明システム及び照明方法については何ら記載されていない。
6.甲第17号証には、「交通安全標識装置」について記載されているが、ここに示されるものは、図4に図示されているように、路面上に設けた道路鋲に関するものであって、本件特許発明の、約0°から約30°の範囲の入射角度にて標識面に入射する光を放射し、標識面は再帰性反射部分を備えた標識照明システム及び照明方法については記載されていない。
7.そして、本件特許発明、請求項1〜11に係る発明のいずれも、1)標識面を持つ標識と照明源を備えた標識照明システム及び照明方法である点、2)照明源は標識面に対して約0°から約30°の範囲の入射角度にて前記標識面に入射する光を放射する点、3)標識面は再帰性反射部分を備えた点、の構成において(これらが相俟って)、運転者の良好な視認性と安全性が確保されるという、甲号各証に記載された発明に対して有利な効果を奏するものであると認められる。
そうすると、本件特許発明のその余の構成について詳細に検討するまでもなく、本件特許の請求項1〜11に係る発明が、甲号各証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。

〔5〕以上のとおりであるから、請求人の主張する理由及び証拠方法によっては、本件特許の請求項1乃至請求項11に係る発明の特許を無効とすることはできない。
また、審判に関する費用については、特許法第169条第2項で準用する民事訴訟法第61条の規定により、請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2001-08-29 
結審通知日 2001-09-03 
審決日 2001-09-17 
出願番号 特願平8-506628
審決分類 P 1 112・ 121- Y (G09F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松澤 福三郎  
特許庁審判長 青山 紘一
特許庁審判官 和泉 等
松下 聡
登録日 1999-04-09 
登録番号 特許第2910868号(P2910868)
発明の名称 標識照明システム及び方法  
代理人 平山 洲光  
代理人 下道 晶久  
代理人 菊池 武胤  
代理人 石田 敬  
代理人 西山 雅也  
代理人 西山 雅也  
代理人 下道 晶久  
代理人 石田 敬  
代理人 石田 敬  
代理人 下道 晶久  
代理人 西山 雅也  

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