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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  H03H
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  H03H
管理番号 1094674
異議申立番号 異議2003-71348  
総通号数 53 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-04-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-05-19 
確定日 2004-03-19 
異議申立件数
事件の表示 特許第3348824号「弾性表面波フィルタ」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3348824号の請求項1ないし4に係る特許を取り消す。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3348824号の請求項1ないし請求項4に係る発明についての出願は、平成9年9月30日に特許出願され、平成14年9月13日にその発明について特許権の設定登録がなされ、その後、雨山範子より特許異議の申立てがなされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成15年9月29日に訂正請求がなされた後、平成15年10月17日付で当該訂正請求についての訂正拒絶理由通知を兼ねた取消理由通知がなされ、当該通知に対して、何らの応答もなかったものである。

2.訂正拒絶理由通知を兼ねた取消理由通知
当該訂正拒絶理由通知を兼ねた取消理由通知は、以下のとおりである。
『1.訂正の適否について
平成15年9月30日付訂正請求は、特許請求の範囲の請求項1に「該反射器電極の各々の位置に、」とあるのを「該反射器電極を構成するバスバー電極の外側の位置に、」と、また、請求項2に「該弾性表面波フィルタの接続点と相向かい合う該反射器電極の各々の位置に、」とあるのを「該弾性表面波フィルタの該反射器電極の縦続接続点側のバスバー電極の外側の位置に、」と訂正することを含むものであるが、これらの訂正により、訂正前には、反射器電極の各々に容量電極が配置されていた(その位置については下記3.a.に示すように不明りょうではあるが)のに対し、訂正後には、容量電極が配置されない反射器電極の存在が許容されることとなることから、前記訂正は、特許請求の範囲を実質上拡張し、又は変更するものである。したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第3項で準用する同法第126条第3項の規定に適合しないので当該訂正は認められない。

2.本件発明
前記1.に述べたように、上記訂正請求は認められないから、本件特許第2957236号の請求項1ないし請求項4に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。

3.特許法第36条第3項及び第4項違反について
a.請求項1および請求項2に「反射器電極の各々の位置に・・・容量電極を配置した」とあるが、容量電極を「反射器電極の位置」に形成することはできず、「位置」とはどこか不明りょうである。これらの請求項を引用する請求項3および請求項4も同様に不明りょうである。
b.請求項4に「容量電極は・・・反射器電極と最大で同じ長さを持つ」とあるが、「反射器電極の長さ」とは反射器のどの部分の長さのことか不明りょうである。また、これと関連して、明細書の段落【0013】に「反射器電極3の各々の位置に配置される容量電極4は少なくとも反射器電極3の長さ分量がある。本発明は容量電極4が反射器電極3の位置(反射器の横)に反射器電極3と最大で同じ長さを持つことを特徴とするもので、」とあるが、「容量電極4は少なくとも反射器電極3の長さ分量がある」と「容量電極4が・・・反射器電極3と最大で同じ長さを持つ」とは矛盾する記載である。
c.請求項4における請求項の引用が択一的になされていない。

よって、請求項1ないし4に係る発明の特許は、特許法第36条第4項及び第6項の規定に違反してされたものである。

なお、
1)この取消理由通知は、訂正拒絶理由通知を兼ねている。再度訂正請求をする場合は、不要な訂正請求を取下げることが望ましい。
2)上記訂正請求書に添付された訂正明細書では、特許明細書の請求項1に、「該入力側弾性表面波共振子と該出力側弾性表面波共振子」とあった個所が、「該弾性表面波共振子と該出力側弾性表面波共振子」となっている。再度訂正請求をする場合は、このような不備がないよう十分に留意されたい。』

なお、この訂正拒絶理由通知を兼ねた取消理由通知の「2.本件発明」の項において、「本件特許第2957236号の請求項1ないし請求項4に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものである。」とあるのは、その前後の記載等から明らかなように「本件特許第3348824号の請求項1ないし請求項4に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項4に記載されたとおりのものである。」の誤記である。

3.当審の判断
前記訂正拒絶理由通知を兼ねた取消理由通知において示した、前記訂正が認められない理由は妥当なものであり、上記訂正は、特許法第120条の4第3項で準用する同法第126条第3項の規定に適合しないので当該訂正は認められないものである。
したがって、本件請求項1ないし請求項4に係る発明は、特許明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1ないし請求項4に記載されたとおりのものである。
これに対して、前記訂正拒絶理由通知を兼ねた取消理由通知において、前記したように明細書の記載が不備で特許法第36条第4項及び第6項の規定に違反したものである旨を指摘した不備の点は、依然として解消していない。

4.むすび
以上のとおりであるから、本件請求項1ないし請求項4に係る発明の特許は、特許法第113条第4号に該当し、取消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2004-01-29 
出願番号 特願平9-283022
審決分類 P 1 651・ 536- ZB (H03H)
P 1 651・ 537- ZB (H03H)
最終処分 取消  
特許庁審判長 下野 和行
特許庁審判官 東森 秀朋
治田 義孝
登録日 2002-09-13 
登録番号 特許第3348824号(P3348824)
権利者 キンセキ株式会社
発明の名称 弾性表面波フィルタ  

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