ポートフォリオを新規に作成して保存 |
|
|
既存のポートフォリオに追加保存 |
|
PDFをダウンロード |
審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F |
---|---|
管理番号 | 1095449 |
審判番号 | 不服2002-1564 |
総通号数 | 54 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1998-04-24 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-01-31 |
確定日 | 2004-04-16 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第 70220号「コンピュータ・システム」拒絶査定に対する審判事件[平成10年 4月24日出願公開、特開平10-105285]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
1.手続の経緯、本願発明 本願は、平成9年3月24日(パリ条約による優先権主張1996年(平成8年)8月29日、アメリカ合衆国)の出願であって、その請求項1に係る発明は、平成13年8月23日付け手続補正書によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される次のとおりのもの(以下、「本願発明」という)である。 「電源と、取り外し可能なモバイル・コンピュータ装置を備えたベース・コンピュータを有し、 前記モバイル・コンピュータ装置は、取り外されたとき、前記ベース・コンピュータから離れた状態またはそれと結合した状態でコンピュータとして完全に機能するものであり、 前記モバイル・コンピュータ装置は、音声起動手段、脳波起動手段、眼球追跡手段、及びそれらの混合手段から選択されたハンドフリー起動手段と、単一のハウジング内に一般用途のコンピュータのコンポーネントと、ユーザーの身体に取り付けるための手段を有し、 前記ベース・コンピュータは、前記モバイル・コンピュータ装置が取り外される前と後においても、完全に機能するための手段を有するコンピュータ・システム。」 2.引用文献の記載事項 これに対して、原査定で引用された特開平4-275612号公報(以下、「引用文献1」という)には、次の技術事項が記載されている。 (a1)「【産業上の利用分野】 本発明はコンピュータ装置、あるいはコンピュータ装置を利用して構成したワードプロセッサ、電子手帳等の情報処理装置に関するものである。」(【0001】参照) (a2)「図1は本発明の構造例を示したものである。1は例えば最上位機器としての32ビット構成のデスクトップ形のパーソナルコンピュータである。これは入力装置としてはキーボードKBを有し、出力装置としてCRTディスプレイ装置DSPを備えている。そして、補助記憶装置EMとしては大容量のハードディスクとフロッピーディスクを装備している。2は中位機器としての、バッテリー駆動可能な、いわゆるノート型パソコンと呼ばれるもので、16ビット構成のマイクロコンピュータを使用し、出力装置として液晶型平面表示装置を、入力装置として内蔵型キーボードを、補助記憶装置として3.5インチフロッピーディスク装置を装備している。いずれもオプションの入出力機器としてマウスやプリンタを接続することが可能なものである。」(【0019】参照) (a3)「コンピュータ1の本体には下位コンピュータ2の本体を収納するための収納部1gと接続用コネクタ1fを設ける。コンピュータ2の本体には、コンピュータ1の本体と接続するための接続用コネクタ1f’を設け、更に下位コンピュータ3を収納する収納部2gと接続用コネクタ2fを設ける。」(【0021】参照) (a4)「これらコンピュータ1,2,3はそれぞれ単独で機能する独立したコンピュータとして使用することができ、またそれぞれが結合された状態では下位の機器は上位の機器の一部分として組み込まれて機能する。」(【0028】参照) (a5)「【図1】本発明の一実施例を示す斜視図である。」(【図面の簡単な説明】参照) 以上の記載から、引用文献1には、次の発明が記載されている。 「収納・接続ができるノート型パソコン2を備えたデスクトップ型コンピュータ1を有し、 前記ノート型パソコン2は、単独で機能する独立したコンピュータとして使用することができるものであり、 前記ノート型パソコン2は、入力装置と、出力装置や補助記憶装置を有し、 前記デスクトップ型コンピュータ1は、単独でも、ノート型パソコン2と結合された状態でも機能するコンピュータ装置。」 また、原査定で引用された特開平7-249006号公報(以下、「引用文献2」という)には、第1図とともに次の技術事項が記載されている。 (b1)「【産業上の利用分野】 本発明は概して計算機に関し、更に詳細には、手を使用せずユーザによって支持され、頭部で支持された接眼ディスプレイ及び音声認識能力を備えたた携帯用計算機に関する。」(【0001】参照) (b2)「【課題を解決するための手段】 本発明は、手を使用することなしに情報を検索し、その情報をユーザに対して表示するためにユーザによって完全に支持されたコンパクトで独立した携帯用計算装置に関する。本計算装置は、ユーザによって支持するためにハウジングを取り外し可能にユーザに取り付ける手段を備えたハウジングを有する。更に、本ハウジングは、事前に入力された情報を記憶するための記憶手段、及び、記憶されているプログラムに従って情報及びユーザのコマンドを受信、検索及び処理するために記憶手段と交信するプロセッサ手段を有する。更に、本計算装置は、ユーザからオーディオコマンドを受信し、受信したオーディオコマンドを電気信号に変換し、変換した電気信号を認識し、そして、認識した電気信号をプロセッサ手段に送るために、プロセッサ手段と交信するオーディオトランスジューサ及びコンバータ手段を有し、前記のオーディオトランスジューサ及びコンバータ手段は同様にユーザによって支持される。更に、本計算装置は、プロセッサ手段から情報を受信し、そして、受信した情報をユーザに対して表示するために、プロセッサ手段と交信するディスプレイ手段を有し、前記ディスプレイ手段はユーザによって支持され、それにより、ユーザは、オーディオコマンドのみを用いて手を使用しない方法により、情報を表示するように計算装置を操作することが可能である。」(【0005】参照) 3.対比 本願発明と、引用文献1に記載された発明とを対比する。 引用文献1に記載された発明おける「収納・接続ができるノート型パソコン2」、「デスクトップ型コンピュータ1」、「入力装置」、「出力装置や補助記憶装置」、「コンピュータ装置」は、それぞれ、本願発明の「取り外し可能なモバイル・コンピュータ装置」、「ベース・コンピュータ」、「起動手段」、「一般用途のコンピュータのコンポーネント」、「コンピュータ・システム」に相当する。また、コンピュータが電源を備えるものであることは明らかである。 したがって、本願発明と引用文献1に記載された発明とは次の一致点及び相違点を有する。 (一致点) 「電源と、取り外し可能なモバイル・コンピュータ装置を備えたベース・コンピュータを有し、 前記モバイル・コンピュータ装置は、取り外されたとき、前記ベース・コンピュータから離れた状態またはそれと結合した状態でコンピュータとして完全に機能するものであり、 前記モバイル・コンピュータ装置は、起動手段と、単一のハウジング内に一般用途のコンピュータのコンポーネントとを有し、 前記ベース・コンピュータは、前記モバイル・コンピュータ装置が取り外される前と後においても、完全に機能するための手段を有するコンピュータ・システム。」 (相違点1) 本願発明においては、モバイル・コンピュータ装置が有する起動手段が、音声起動手段、脳波起動手段、眼球追跡手段、及びそれらの混合手段から選択されたハンドフリー起動手段あるのに対し、引用文献1に記載された発明においては、ノート型パソコンが有する入力装置(本願発明の「モバイル・コンピュータ装置が有する起動手段」に相当)がハンドフリーであるのかどうかは明らかではない点。 (相違点2) 本願発明においては、モバイルコンピュータ装置がユーザーの身体に取り付けるための手段を有するのに対し、引用文献1に記載された発明では、ノート型パソコン(本願発明の「モバイルコンピュータ装置」に相当)は、ユーザーの身体に取り付けるための手段を有するものではない点。 4.当審の判断 相違点1、2について、併せて検討する。 本願発明と同様の技術分野に属する引用文献2には、「モバイル・コンピュータ装置が有する起動手段として、例えば、音声認識による起動手段からなるハンドフリー起動手段」、及び「携帯用の計算機をユーザーの身体に取り付けるための手段」が記載されており、引用文献1に記載された発明において、入力装置(「起動手段」)として、引用文献2に記載された音声起動手段(あるいは、脳波起動手段、眼球追跡手段、及びそれらの混合手段から選択された)によるハンドフリー起動手段を用いること、及び、携帯用の計算機であるノート型パソコンに、引用文献2に記載されたもののように、ユーザーの身体に取り付けるための手段を備えることは当業者が容易に想到できたものである。 5.むすび 以上のとおり、本願の請求項1に係る発明は、引用文献1および引用文献2に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2002-12-26 |
結審通知日 | 2003-01-10 |
審決日 | 2003-01-22 |
出願番号 | 特願平9-70220 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G06F)
|
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 津幡 貴生 |
特許庁審判長 |
吉村 宅衛 |
特許庁審判官 |
千葉 輝久 今井 義男 |
発明の名称 | コンピュータ・システム |
代理人 | 小堀 益 |