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審決分類 審判 全部申し立て 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備  B29C
審判 全部申し立て 特36条4項詳細な説明の記載不備  B29C
審判 全部申し立て 2項進歩性  B29C
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  B29C
管理番号 1096365
異議申立番号 異議2001-72303  
総通号数 54 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2004-06-25 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-08-24 
確定日 2004-04-19 
異議申立件数
事件の表示 特許第3138754号「ラベル用低温熱収縮性フィルム」の請求項1〜8に係る特許についてされた平成15年5月13日付けの「特許第3138754号の請求項1ないし8に係る特許を取り消す。」いう結論の特許異議の申立てについての決定(以下「取消決定」という。)に対し、別途訂正審判による訂正が確定した後、東京高等裁判所において、取消決定を取り消すとの判決(平成15年(行ケ)286号、平成16年2月4日言い渡し)があったので、更に審理の上、次のとおり決定する。 
結論 特許第3138754号の請求項1ないし6に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3138754号は、1998年10月28日を国際出願日(優先権主張1997年12月5日、日本国)とする特許出願に係り、平成12年12月15日にその特許権の設定登録(請求項の数8)がなされ、その後、特許異議申立人シーアイ化成株式会社(以下、「申立人A」という。)、同三菱樹脂株式会社(以下、「申立人B」という。)及び同東洋紡績株式会社(以下、「申立人C」という。)からそれぞれ特許異議の申立てがなされ、平成14年7月26日付で取消理由が通知され、その指定期間内である平成14年10月8日に意見書が提出されるとともに、同日付けで訂正請求がなされ、平成15年2月12日付で訂正拒絶理由が通知され、その指定期間内である平成15年4月21日に訂正意見書が提出されたものであって、平成15年5月13日付けで、取消決定がされたものである。
これに対して特許権者は、東京高等裁判所に、平成15年(行ケ)286号として、特許取消決定取消請求の訴えをするとともに、平成15年7月22日に、訂正審判(訂正2003-39148号)を請求したところ、その後、平成15年12月2日付けで、「特許第3138754号に係る明細書及び図面を本件審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおり訂正することを認める。」との審決(以下、「訂正審決」という。)がされ、平成15年12月16日に該訂正審決が確定し、平成16年2月4日に、前記特許取消決定取消請求の訴えについて、「特許庁が異議2001-72303号事件について平成15年5月13日にした決定を取り消す。」との判決の言い渡しがあった。
なお、平成14年10月8日付けの訂正請求は、平成16年3月15日付けで取り下げられた。

2.本件特許発明
本件特許第3138754号の請求項1〜6に係る発明は、訂正審決の確定により、上記訂正審判の審判請求書に添付された訂正明細書及び図面のとおりに訂正された明細書及び図面の記載からみて、それぞれ、その特許請求の範囲の請求項1〜6に記載された事項により特定される次のとおりのものである(以下、それぞれ「本件発明1」〜「本件発明6」という。)。

「【請求項1】80℃における1方向の熱収縮率Yと熱収縮時間t(秒)(1≦t≦5)との関係を示す相関図において、そのY’が、式1と式2とで示される範囲内にあり、且つ、その熱収縮率Yが式3と式4とで示される熱収縮率の範囲内にある、3層の熱可塑性樹脂からなるラベル用低温熱収縮性フィルムであって、該フィルムがポリスチレン樹脂、耐衝撃性ポリスチレン樹脂、及び熱可塑性エラストマーが添加されたグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む中間層(B)と、スチレン-ブタジエンブロックコポリマーを主成分とする樹脂系を含む内外層(A)、(C)とを、(A)/(B)/(C)の順に積層したフィルムであり、かつ、中間層(B)の厚みは全体の厚みの65〜85%であるラベル用低温熱収縮性フィルム。
Y’=-1.05t2+12.05t (式1)
Y’=-0.30t2+2.90t (式2)
Y=-1.05t2+12.05t+40 (式3)
Y=-0.30t2+2.90t+9 (式4)
(ただし、Y=at2+bt+cのとき、Y’=Y-c=at2+btを表す。)」
【請求項2】内外層(A)、(C)が、ブタジエン含有量10〜40重量%のスチレン-ブタジエンブロックコポリマー100重量部に、ポリスチレン樹脂を2〜100重量部混合した樹脂系を含む請求項1に記載のラベル用低温熱収縮性フィルム。
【請求項3】前記中間層(B)に紫外線吸収剤をさらに含む請求項1又は2に記載のラベル用低温熱収縮性フィルム。
【請求項4】250〜380nmの波長領域における光線透過率の最大値が25%以下である請求項1〜3のいずれかに記載のラベル用低温熱収縮性フィルム。
【請求項5】請求項1〜4のいずれかに記載のフィルムを、70〜84℃でのラベルの熱収縮装置に適した容器に適用する工程、70〜84℃で熱収縮する工程を含む熱収縮性フィルムの装填方法。
【請求項6】請求項1〜4のいずれかに記載のフィルムを容器に熱収縮装着した包装体。」

3.特許異議の申立てについて
(3-1)特許異議の申立ての理由の概要
(3-1-A)申立人Aの主張の概要
申立人Aは、以下の甲第1〜6号証を提出して、以下の理由A1〜A5により本件特許が取り消されるべきものである旨を主張している。
甲第1号証:特開昭58-64958号公報(以下、「甲A1」という。)
甲第2号証:実験報告書(1)(2001年8月20日付け。実験報告者、シーアイ化成株式会社佐谷昭一外1名)(以下、「甲A2」という。)
甲第3号証:特公平3-5306号公報(以下、「甲A3」という。)
甲第4号証:実験報告書(2)(2001年8月20日付け。実験報告者、シーアイ化成株式会社佐谷昭一外1名)(以下、「甲A4」という。)
甲第5号証:特開平9-114380号公報(以下、「甲A5」という。)
甲第6号証:特開平3-9832号公報(以下、「甲A6」という。)

理由A1:訂正前の請求項1、7、8に係る発明は、甲A1又は甲A3に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができないものである。
理由A2:訂正前の請求項2に係る発明は、甲A1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができないものである。
理由A3:訂正前の請求項3〜6に係る発明は、甲A3に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができないものである。
理由A4:訂正前の請求項1に係る発明は明確でないから、本件特許は特許法第36条第6項第2号の規定を満たしていない出願に対してされたものである。
理由A5:本件特許の明細書発明の詳細な説明は、訂正前の請求項1に係る発明を実施することができる程度に記載されていないから、本件特許は特許法第36条第4項の規定を満たしていない出願に対してされたものである。

(3-1-B)申立人Bの主張の概要
申立人Bは、以下の甲第1〜7号証を提出して、以下の理由B1〜B3により本件特許が取り消されるべきものである旨を主張している。
甲第1号証:特開平5-169536号公報(以下、「甲B1」という。)
甲第2号証:三菱樹脂株式会社比留間隆が作成した平成13年8月17日付けの実験報告書1(以下、「甲B2」という。)
甲第3号証:特開平9-272182号公報(以下、「甲B3」という。)
甲第4号証:三菱樹脂株式会社比留間隆が作成した平成13年8月17日付けの実験報告書2(以下、「甲B4」という。)
甲第5号証:特願平9-190871号(特願平10-190909号について優先権を主張する先の出願。特開平11-77916号公報参照)の願書に最初に添付した明細書及び図面(以下、「甲B5」という。)
甲第6号証:三菱樹脂株式会社比留間隆が作成した平成13年8月17日付けの実験報告書3(以下、「甲B6」という。)
甲第7号証:特開平6-345879号公報(以下、「甲B7」という。)

理由B1:訂正前の請求項1、2に係る発明は、甲B1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができないものである。
理由B2:訂正前の請求項1、3〜8に係る発明は、甲B3に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができないものである。
理由B3:訂正前の請求項1、3〜8に係る発明は、甲B5の出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明と同一であって、かつ、発明者及び本件特許出願時の出願人が同一でないから、特許法第29条の2の規定に該当し、特許を受けることができないものである。

(3-1-C)申立人Cの主張の概要
申立人Cは、以下の甲第1〜3号証を提出して、以下の理由C1、C2により本件特許が取り消されるべきものである旨を主張している。
甲第1号証:特開平11-71473号公報(以下、「甲C1」という。)
甲第2号証:2001年8月27日付けの実験報告書(実験報告者、シーアイ化成株式会社早川聡)(以下、「甲C2」という。)
甲第3号証:特開平1-258935号公報(以下、「甲C3」という。)

理由C1:訂正前の請求項1、2に係る発明は、甲C1に記載された発明であるから、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができないものである。
理由C2:訂正前の請求項1、2、6に係る発明は、甲C1及び甲C3に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
(なお、特許異議申立書の「請求項の表示」、並びに「申立ての理由の要約」、「本件発明の要旨」における「本件特許発明」の特定、及び「相違点について」の記載等からみて、理由C1は、訂正前の請求項1、2に係る特許の取消を、また、理由C2は、訂正前の請求項1、2、6に係る特許の取消を、それぞれ求める趣旨と解した。)

(3-2)甲号各証の記載
甲A1には、次の記載がある。
ア:「1 非晶質ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはシートをガラス転移点以上100℃以下の温度で1.5〜4.5倍に一軸延伸または二軸延伸することによって配向戻り応力を10〜70kg/cm2としたことを特徴とする熱収縮性フィルム。
2 熱収縮性フィルムで物品を包んだ後に、加熱により熱収縮性フィルムを収縮させる物品の熱収縮包装方法に於いて、熱収縮性フィルムとして非晶質ポリエチレンテレフタレートフィルムまたはシートをガラス転移点以上100℃以下の温度で1.5〜4.5倍に一軸延伸または二軸延伸することによって配向戻り応力を10〜70kg/cm2とした熱収縮性フィルムを使用することを特徴とする物品の熱収縮包装方法。」(特許請求の範囲の1、2)
イ:「実施例1
押出機により非晶質ポリエチレンテレフタレート…を押出成形して厚さ0.13mmのシートを製造した後に、延伸装置を使用して延伸温度90℃で延伸倍率1.5倍、2.0倍、2.5倍、3.0倍、4倍、5倍の一軸延伸を行い熱収縮性フィルムを製膜した。」(第3ページ左上欄第5〜11行)

甲A2には、次の記載がある。
ウ:「5.実験の目的
特開昭58-64958号公報(甲第1号証)に記載された実施例1の方法で得られた熱収縮性ポリエステル系フィルムが特許第3138754号公報の特許請求の範囲の請求項1に記載された(式1)〜(式4)で規定される物性値の条件に適合するか否かを検証する事。」(第1ページ第15〜18行)

甲A3には、次の記載がある。
エ:「1 ビニル芳香族炭化水素と、…脂肪族不飽和カルボン酸系誘導体との共重合体で、…ビニル芳香族炭化水素よりなる成分の含量が95〜20重量%より成る、少なくとも1種の共重合体成分(A)と、少なくとも1個のビニル芳香族炭化水素より成る重合体ブロックと、少なくとも1個の共役ジエン誘導体を主体として重合した重合体ブロックと、を有しビニル芳香族炭化水素よりなる重合体成分が95〜20重量%より成る少なくとも1種のブロック共重合体成分(B)との混合組成物を主体とし、両者の重量混合比率が0.05≦A/(A+B)≦0.95である混合組成物からなる層を少なくとも1層有し、少なくとも1軸に延伸され、その主たる延伸方向での、加熱収縮応力が少なくとも50g/mm2、100℃での収縮応答性が少なくとも20%であることを特徴とする多層低温収縮性フィルム。…
8 共重合体成分(A)と共重合体成分(B)とよりなる混合組成物を主体とした少なくとも1層(X層とする)以外の他層が、該(A)成分の共重合体より選ばれる少なくとも1者よりなる成分又は該(B)成分の共重合体より選ばれる少なくとも1者よりなる成分から選ばれる成分を主体とした少なくとも1層(Y層とする)からなる2層以上の特許請求の範囲第1項記載のフィルム。
9 共重合体成分(A)と共重合体成分(B)とよりなる混合組成物を主体とした少なくとも1層(X層とする)以外の他層が、該(A)、(B)以外の成分を主体とした少なくとも1層(Z層とする)よりなる2層以上の特許請求の範囲第1項記載のフィルム。
10 共重合体成分(A)と共重合体成分(B)とよりなる混合組成物を主体とした少なくとも1層(X層とする)以外の他層が、該(A)成分の共重合体より選ばれる少なくとも1者よりなる成分、又は該(B)成分の共重合体より選ばれる少なくとも1者よりなる成分から選ばれる成分を主体とした少なくとも1層(Y層)と、該(A)、(B)以外の成分を主体とした少なくとも1層(Z層)と、よりなる少なくとも3層よりなる特許請求の範囲第1項、第8項または第9項記載のフィルム。」(特許請求の範囲1〜10)
オ:「本発明は主として、包装材料等の用途に供する収縮性能とりわけ低温収縮性、低温収縮応力、腰硬さ(引張弾性率で表わす)、光学特性、ヒート・シール特性、耐クラツク特性、寸法安定性等、又他の表面特性にも優れた、特殊なビニル芳香族系共重合体混合組成物を用いた硬質多層延伸フイルム、特に収縮性フイルムを提供するにある。」(第2頁第4欄第3〜10行)
カ:「実施例1
その(I)、ビニル芳香族系炭化水素としてスチレン、脂肪族不飽和カルボン酸エステルとしてブチル・アクリレートその他、カルボン酸としてアクリル酸、アクリル酸亜鉛をそれぞれ選定し、…熱ラジカル重合によりスチレン-ブチルアクリレート-アクリル酸共重合体を得た、このものを(A)成分として使用した、又その他の成分も含めてこれらのものの特徴を表Iに記す。…
その(II)、ビニル芳香族系炭化水素よりなる少なくとも1個の重合体ブロツクと、少なくとも1個の共役ジエンを主体とする重合体ブロツクを有する(B)成分として以下第2表のごとく共重合体を得た。」(第12ページ第24欄第15行〜第13ページ第25欄第17行)
キ:「表1[(A)成分、その他]」において、「名称」が「SA-3」の「共重合体のもとの成分と特徴」として、「スチレン成分含量(重量%) 85、ブチルアクリレート含量(重量%) 14.5、アクリル酸亜鉛としての含量(重量%) 0.5、VSP(℃) 72、SV(溶液粘度:cps) 35、*3MFR(メルト・フローレート) 2.0」であることが記載されている。(第12〜13ページ表1)
ク:「表2[(B)成分]」において、「名称」が「SB-1」、「SB-2」、「SB-3」の「共重合体の成分と特徴」として、それぞれ、「スチレン成分含有率(重量%)」が70、80、40、「1,3ブタジエン原料の含量(重量%)」が30、20、60、「スチレンブロックの平均分子量」が3.5×104 4.8×104 1.6×104、「共重合体の分子量」が10×104、12×104、8×104、及び、「スチレン(S)、ブタンジエン(B)各重合体ブロックの結合状態」が(B-S)2、S-B-S*2、(B-S)2、であることが記載されている。(第13ページ表2)
ケ:「実施例2
実施例1と同様にして表5の組合せで表6の特性のフィルムを得た。」(第17ページ第34欄第30〜32行)
コ:「表5(組成、層構成、条件一覧表)」の「RunNo.12」の「構成及び条件」として、「第1層(μ)」が「SB-1(50)」、「第2層(μ)」が「SA-3:50 SB-1:40 SB-3:10(150)」、「第3層(μ)」が「SB-2(50)」、「合計の厚み(μ)」が「250」、「延伸温度(℃)」が「80」、「延伸倍率」が「5」であることが記載されている。(第18ページ表5)
サ:「表6[特性表]」の「RunNo.12」の「特性」として、「引張破断強度(kg/mm2)」、「同伸度(%)」等の数値が記載されている。(第19ページ表6)

甲A4には、次の記載がある。
シ:「5.実験の目的
特公平3-5306号公報(甲第1号証)に記載された実施例2の表5のRunNo.12の熱収縮性ポリスチレン系多層フィルムが、特許第3138754号公報の特許請求の範囲の請求項1に記載された(式1)〜(式4)で規定される物性値の条件に適合するか否かを検証する事。」(第1ページ第15〜18行)

甲A5には、次の記載がある。
ス:「【請求項1】 ポリスチレン樹脂、又はブタジエン含有量10重量%以下のハイインパクトポリスチレン樹脂からなる中間層(A) と、該中間層(A) の両面に形成されたスチレン-ブタジエン-ブロック共重合体、又はスチレン-ブタジエン-アクリル酸系ブロック共重合体からなる外側層 (B),(C)から形成され、前記中間層(A) の厚みの比率が全厚みの40乃至80%であり、且つ被装着物(3) に装着した時の縦方向(X) の屈折率が1.580乃至1.584である熱収縮性フィルム(1) を有することを特徴とする熱収縮性ラベル。
【請求項2】 前記外面層 (B),(C)のブタジエン成分含有量が12乃至25重量%である請求項1に記載の熱収縮性ラベル。」(特許請求の範囲の請求項1、2)
セ:「製造された熱収縮性ラベルを自動ラベル貼付装置に供給して、ポリエチレンテレフタレート製の2リットル入り容器(以下PETボトルという)に該自動ラベル貼付装置によって装着した後に、シュリンクトンネルを通過させて装着させる。…自動ラベル貼付装置によって熱収縮性ラベルをPETボトルに装着する場合に、本発明の熱収縮性ラベルは腰が強いためつぶれたりしわが生じたりして装着しにくいということがなく、装置によって自動的に良好に装着させることができる。」(段落0024〜0025)

甲A6には、次の記載がある。
ソ:「(1)紫外線吸収剤の有効量がオレフィン系重合体に対して0.5〜20wt%である紫外線吸収剤を含むオレフィン系重合体を主成分とする2軸延伸フィルムであり…光線透過率が波長350nmで5%以下、波長380nmで30%以下である紫外線遮断性に優れた製材包装用フィルム。」(特許請求の範囲)

甲B1には、次の記載がある。
タ:「非晶性ポリエステル系樹脂からなるフイルムが、ガラス転移温度+20℃以上ガラス転移温度+60℃以下の温度条件で延伸され、且つ延伸後直ちに急冷されてなることを特徴とするポリエステル系熱収縮フイルム。」(特許請求の範囲の請求項1)
チ:「実施例1
ジカルボン酸成分がテレフタル酸よりなり、ジオール成分がエチレングリコール70モル%、1,4-シクロヘキサンジメタノール30モル%よりなる共重合ポリエステル樹脂を、押出機を用いてシート状に押し出し、厚さ120μmの未延伸フイルムを得た。…テンター延伸機を用いて…延伸した後、フイルムを延伸温度で5秒間保持した後、直ちにテンターより引き出し、室温(30℃)に冷却し、厚さ40μmの本発明のポリエステル系熱収縮フイルムを得た。…
実施例2
ジカルボン酸成分がテレフタル酸80モル%とイソフタル酸20モル%よりなり、ジオール成分がエチレングリコール100モル%よりなる共重合ポリエステル樹脂を用いたこと以外は、実施例1と同様にして厚さ160μmの未延伸フイルムを得た。この未延伸フイルムを、ロール延伸機を用い…延伸した後、引き続いて25℃に水冷した冷却ロールを通して急冷し、厚さ40μmの熱収縮性フイルムを得た。」(段落0023〜0025)

甲B2には、次の記載がある。
ツ:「3.実験の目的
特開平5-169536号公報(特願平3-344460号 出願日平成3年12月26日)に記載された実施例1および2の方法により得られたポリエステル系熱収縮フイルムが特許第3138754号公報の特許請求の範囲に規定された特性の範囲に入るか否かを検証する。」(第1ページ第13〜17行)

甲B3には、次の記載がある。
テ:「【請求項1】 内外両層がスチレン含有量65〜90重量%、ブタジエン含有量10〜35重量%からなるスチレン-ブタジエンブロック共重合体50〜98重量%と、ポリスチレン50〜2重量%とを含有する共重合体樹脂層からなり、内外両層間の中間層がポリスチレン樹脂層からなる共押出積層体に形成され、かつ、延伸されてなることを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
【請求項2】 内外両層がポリスチレン樹脂層と、内外両層間の中間層がスチレン含有量65〜90重量%、ブタジエン含有量10〜35重量%からなるスチレン-ブタジエンブロック共重合体50〜98重量%と、ポリスチレン50〜2重量%とを含有する共重合体樹脂層からなる共押出積層体に形成され、かつ、延伸されてなることを特徴とする熱収縮性多層フィルム。
【請求項3】 ポリスチレン樹脂層が一般ポリスチレン(GPPS)又は耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)からなることを特徴とする請求項1又は2に記載の熱収縮性多層フィルム。
【請求項4】 該フィルムの80℃温水中に入れて30秒後の寸法収縮率が延伸方向で20〜50%であり、かつ、40℃恒温状態で7日間自然放置後の自然収縮率が延伸方向で0〜3%であることを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の熱収縮性多層フィルム。」(特許請求の範囲の請求項1〜4)
ト:「【発明が解決しようとする課題】本発明は、上記したような状況に 鑑み、熱収縮率が安定で、低温収縮性に優れ、自然収縮率が小さく、フィルムの腰の強い熱収縮性多層フィルムの提供を目的とする。」(段落0006)
ナ:「本発明において使用されるポリスチレン樹脂層のポリスチレンとは、スチレンの単独重合体である一般ポリスチレン(GPPS)又はポリ スチレンにブタジエン共重合体などの弾性体をブレンドした耐衝撃性ポリ スチレン(HIPS)である。HIPSの例としては、スチレン系樹脂からなる連続相に、スチレン系樹脂を内部に包含し、かつ、スチレン系樹脂がグラフトしたゴム状重合体からなる粒子が分散する構造を基本とし、これに、各種添加剤を添加したスチレン系樹脂組成物を示すことができる。」(段落0010)
ニ:「(実施例1)スチレン含有量75.0重量%、ブタジエン含有量25.0重量%からなるスチレン-ブタジエンブロック共重合体85.0重量%と、ポリスチレン15.0重量%とを含有する共重合体樹脂(A)とポリスチレン樹脂(B)をA/B/Aの3層構成として(厚み比率=1/4/1)フラット状に共押出し、しかる後90℃にて緯方向に約6倍テンター延伸し、80℃の温水30秒間での熱収縮率が緯方向に40%の熱収縮性多層フィルムを得た。このフィルムを30秒間温水浴したときの熱収縮曲線を図1に示す。このフィルムの自然収縮率は、40℃恒温状態で7日間自然放置後、延伸方向で0.8%であった。係るフィルムに印刷を施し、筒状にセンターシールした後、適宜長にカットし、主たる熱収縮方向がスリーブの円周方向に一致するようにして、スリーブ形成し、熱収縮性のラベルを得た。次いで該ラベルをペットボトル容器にゆるい状態で被覆し、この状態で生蒸気による関係湿度約100%、温度85℃とした湿熱雰囲気下のトンネル状ボックスに約10秒間投入して熱収縮せしめ、ボックス外に出したところ、熱収縮性ラベルはペットボトル容器に密着被覆されており、印刷柄の歪み及び上下縁部の歪み等もない美しいものであった。」(段落0019)

甲B4には、次の記載がある。
ヌ:「3.実験の目的
特開平9-272182号公報に記載された実施例1の方法により得られた熱収縮性多層フイルムが特許第3138754号公報の特許請求の範囲に規定された特性の範囲に入るか否かを検証する。
4.実験の要旨
特開平9-272182号公報に記載された実施例1の方法により得られた熱収縮性多層フイルムについて、実施例1記載の特性を測定しました。
この実験結果では、上記の得られたフィルムの特性は特開平9-272182号公報と同程度でした。…前記フィルムの相関図は特許第3138754号公報の特許請求の範囲内であることが確認できました。
5.実験の内容
(1)熱収縮性多層フィルムの製造
実験(実施例1)
スチレン含有量75.0重量%、ブタジエン含有量25.0重量%からなるスチレン-ブタジエンブロック共重合体85.0重量%と、ポリスチレン15.0重量%とを含有する共重合体樹脂(A)とポリスチレン樹脂(B)をA/B/Aの3層構成として(厚み比率=1/4/1)フラット状に共押出し、しかる後90℃にて緯方向に約6倍テンター延伸し、厚さ60μmの熱収縮性多層フィルムを得た。
なお、ポリスチレン樹脂(B)として、エー・アンド・エムスチレン株式会社社製SS-700タイプ(ゴム成分5〜15重量%にスチレン50〜60重量%とメタクリル酸アルキル25〜35重量%とアクリル酸アルキル10〜20重量%がグラフト共重合した樹脂)を使用した。」(第1ページ第13行〜第2ページ第14行)

甲B5には、次の記載がある。
ネ:「【請求項1】 スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーからなる共重合体の連続相中に、分散粒子としてゴム状弾性体を1〜20重量%含有し、損失弾性率(E”)のピーク温度が50〜85℃の範囲にあるゴム状弾性体分散ポリスチレン系樹脂を中間層とし、スチレン系炭化水素と共役ジエン系炭化水素とからなるブロック共重合体またはこのブロック共重合体にスチレン系重合体を配合してなる混合重合体または異なった種類のブロック共重合体を2種類以上配合してなる混合重合体樹脂からなり、振動周波数10Hzで測定した90℃における貯蔵弾性率(E’)が2.0×109dyn/cm2〜9.0×109dyn/cm2の範囲である樹脂を表裏層として積層し延伸したフィルムであって、100℃×1分の熱収縮率が少なくとも一方向において40%以上であることを特徴とする熱収縮性ポリスチレン系積層フィルム。
【請求項2】 中間層の連続相中に含まれるスチレン系モノマーがスチレンであり、(メタ)アクリル酸エステル系モノマーが、メチルメタクリレートおよびブチル(メタ)アクリレートであることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性ポリスチレン系積層フィルム。
【請求項3】 表裏層のスチレン系炭化水素がスチレンであり、共役ジエン系炭化水素がブタジエンであることを特徴とする請求項1記載の熱収縮性ポリスチレン系積層フィルム。
【請求項4】 中間層、表裏層の各樹脂に、可塑剤および/または粘着付与樹脂を1〜10重量部の範囲で添加したことを特徴とする請求項1乃至請求項3記載の熱収縮性ポリスチレン系積層フィルム。」(特許請求の範囲の請求項1〜4)
ノ:「[実施例1]
ブタジエン7重量%とスチレン5重量%とからなるスチレン-ブタジエン共重合体を分散粒子とし、スチレン46重量%、メチルメタクリレート30重量%、ブチルアクリルレート12重量%からなる共重合体が連続相となった、損失弾性率のピーク温度が75℃であるゴム状弾性体分散ポリスチレン系樹脂を中間層原料とし、スチレン80重量%とブタジエン20重量%とからなるブロック共重合体40重量%、スチレン71重量%とブタジエン29重量%とからなるブロック共重合体60重量%の混合樹脂を表裏層原料とし、それぞれの原料を別々の押出機で溶融押出しし、ダイ内で合流させて、表層/中間層/裏層の3層構造からなる溶融体をキャストロールで冷却し総厚み200μmの未延伸フィルムを得た。
この未延伸フィルムを105℃の温度の雰囲気のテンター延伸設備内でTD方向に4.0倍延伸して、約50μm(表層/中間層/表層=1/5/1)の熱収縮性積層フィルムを得た。…
[実施例5]
実施例2と同様な樹脂にジオクチルフタレート(DOP)を中間層、表裏層とも3重量部添加し、延伸温度を100℃とした以外は実施例1と同様な方法で熱収縮性積層フィルムを得た。」(段落0053〜0057)
ハ:「ゴム状弾性体分散ポリスチレン系樹脂の製造は、連続相形成用の原料溶液中にゴム状弾性体を溶解し、攪拌しながら重合する方法によることができる。ゴム状弾性体粒子は…重合時に重合槽中のモノマーおよび重合溶液に添加し分散することが最も効果的である。…重合時にゴム状弾性体の粒子表面にモノマーがグラフト重合し、連続相重合体への親和性が著しく高まり、透明性と耐衝撃性向上効果が最も発現しやすい。」(段落0024)

甲B6には、次の記載がある。
ヒ:「3.実験の目的
特開平11-77916号(優先権主張番号:特願平9-190871号 優先日平成9年7月16日)に記載された実施例1および実施例5の方法により得られた熱収縮性ポリスチレン系積層フイルムが特許第3138754号公報の特許請求の範囲に規定された特性の範囲に入るか否かを検証する。」(第1ページ第13〜18行)

甲B7には、次の記載がある。
フ:「【請求項1】 合成樹脂素材の中に酸化亜鉛の粒径0.005〜0.1μmの超微粒子粉末が1.0重量%〜70.0重量%混入された筒状のフィルムで、熱収縮性をもち実質的に透明な紫外線遮断フィルム。
【請求項2】 プラスチック若しくはガラス製の容器本体(1)の外周面に、酸化亜鉛の粒径0.005〜0.1μmの超微粒子粉末が合成樹脂素材に対して1.0重量%〜70.0重量%混入された熱収縮性をもつ筒形の合成樹脂フィルムを套嵌し、加熱収縮させて密着させた紫外線吸収膜(2)を形成させてなる透明な紫外線遮断容器。」(特許請求の範囲の請求項1、2)

甲C1には、次の記載がある。
ヘ:「【請求項1】 80℃温水中で30秒処理後の主収縮方向の熱収縮率〔HS30〕が30%以上であり、80℃温水中で5秒処理後の主収縮率方向の熱収縮率〔HS5 〕との比〔HS5 /HS30〕が0.8以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項2】 請求項1記載の80℃温水中で30秒処理後の主収縮方向の熱収縮率〔HS30〕が40%以上であり、80℃温水中で5秒処理後の主収縮率方向の熱収縮率〔HS5 〕との比〔HS5 /HS30〕が0.7以下であることを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。
【請求項3】 請求項1記載のフィルムの80℃温水中での前記主収縮方向と直角方向の収縮率が10%以下であり、しかも0〜30秒処理において極大値のみを有することを特徴とする熱収縮性ポリエステル系フィルム。」(特許請求の範囲の請求項1〜3)
ホ:「(実施例1)ポリエステルAを35重量%、ポリエステルBを40重量%、ポリエステルCを10重量%、ポリエステルEを15重量%混合したポリエステルを280℃で押し出し・急冷して未延伸フィルムを得た。該未延伸フィルムを横方向に90℃で2.3倍さらに80℃で1.5倍延伸して90℃で20秒間熱処理して厚み45μmの熱収縮性ポリエステル系フィルムを得た。」(段落0022)
マ:「(実施例4)実施例1において、ポリエステルをポリエステルG70重量%及びポリエステルH(ダイマージオールは東亜合成化学のHP-1000を使用)30重量%の混合物を原料として用い、横方向に90℃で4倍延伸し、その後90℃で3秒熱処理し、10%伸長下で急速に冷却した。」(段落0028)

甲C2には、次の記載がある。
ミ:「4.実験の目的
特開平11-71473号公報に記載された実施例1及び実施例4の方法により得られた熱収縮性ポリエステル系フィルムが特許第3138754公報の特許請求の範囲に規定された物性条件範囲に入るものであるか否かを検証すること。」(第1ページ第11〜14行)

甲C3には、次の記載がある。
ム:「(1) 100℃エアオーブンで5分間処理後の収縮率が、フィルムの縦又は横のいずれか一方向において20%以上であり、該方向と直角方向においては15%以下であり、且つ、波長390nmにおけるフィルムの光線透過率が20%以下であることを特徴とするポリエステル系収縮フィルム。」(特許請求の範囲)

(3-3)当審の判断
(3-3-A)申立人Aの主張に関して
(3-3-A-1)特許法第36条について
(3-3-A-1-1)特許法第36条第6項第2号違反の存否
申立人Aの主張を更に詳述すると、訂正前の請求項1に係る発明について、請求項1に記載される式1〜4で表される発明を特定するための事項は、当業者に慣用されているものではなく、関係式の技術的な意味が不明であり、低温収縮性との技術的な関連性も不明であり、具体的な熱収縮性フィルムを想定することができないから、特許を受けようとする訂正前の請求項1に係る発明が明確でない、というものである。
しかしながら、本件発明1については、請求項1の記載によれば、本件発明1のラベル用低温熱収縮性フィルムは、3層構成の積層フィルムであって、中間層の厚みの全体の厚みに対する比率が特定範囲のものであり、かつ、中間層及び内外層がそれぞれ特定の熱可塑性樹脂から成るものであって、さらに、本件発明1を特定するための事項である式1〜4については、本件特許明細書の発明の詳細な説明中に測定方法と導出方法の記載があり、かつ、実施例1、2及び比較例1、2の記載と第4、5図の記載から、式1〜4の要件を充足する具体的な物を想定することができる。
したがって、請求項1の記載では、本件発明1が明確でないということはできない。

なお、申立人Aは、訂正前の請求項2〜8に係る発明について、これらの特許を受けようとする発明が明確でない旨を主張していないが、念のために、本件発明2〜6について検討する。本件発明2〜6は、本件発明1を特定するために必要な事項をすべて備えて、更に、発明を特定するために必要な事項を備えることによって、本件発明1を具体化するものであるから、本件発明1について述べたと同様の理由により、本件発明2〜6が明確でないということはできない。

(3-3-A-1-2)特許法第36条第4項違反の存否
申立人Aの主張を更に詳述すると、本件明細書の発明の詳細な説明の記載については、実施例が少なすぎ、また、製造条件と熱収縮率の変動という最低限の情報の開示がないから、訂正前の請求項1に係る発明の熱収縮性フィルムをいかに製造できるか予想もつかず、当業者に過度の試行錯誤を求めるものであって、当業者が特許を受けようとする訂正前の請求項1に係る発明を実施することができない、というものである。
しかしながら、本件特許明細書の発明の詳細な説明には、実施例1、2として、3層構成の積層フィルムであって、中間層の厚みの全体の厚みに対する比率が特定範囲のものであり、かつ、中間層及び内外層がそれぞれ特定の熱可塑性樹脂から成ることが記載上も明確となった本件発明1に対応するラベル用低温熱収縮性フィルムについて、中間層及び内外層の各層の厚みと組成、押出、積層及び延伸の条件、熱処理の条件並びに熱収縮特性の数値などの効果がそれぞれ具体的に記載されているから、当業者であれば、格別過度の試行錯誤を行うことなく、本件発明1のラベル用低温熱収縮性フィルムを製造し、その効果を確認することができると認められ、発明の詳細な説明の記載では、本件発明1が実施不可能である、ということはできない。
したがって、発明の詳細な説明は、当業者が本件発明1の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているものと認められる。

なお、申立人Aは、訂正前の請求項2〜8に係る発明について、発明の詳細な説明が、これらの発明を当業者が実施できる程度に記載されていない旨を主張していないが、念のために、本件発明2〜6について検討する。発明の詳細な説明には、実施例1、2として、先にあげた点に加えて、紫外線吸収剤及びその配合量、光線透過率の最大値、PETボトルへの熱収縮による被覆の条件がそれぞれ具体的に記載され、本件発明2〜6の実施の一態様が示されているから、発明の詳細な説明は、当業者が本件発明2〜6の実施をすることができる程度に明確かつ十分に記載されているものと認められる。

(3-3-A-2)特許法第29条第1項第3号について
(3-3-A-2-1)本件発明1について
(3-3-A-2-1-1)甲A1記載の発明との対比と判断
甲A1には、摘示アのとおり、ポリエチレンテレフタレートを材料とする熱収縮性フィルムに関する発明が記載されており、摘示イの製造の具体例に照らしても、この熱収縮性フィルムは単層のものと認められる。
本件発明1と甲A1に記載された発明を対比すると、本件発明1が、「ポリスチレン樹脂、耐衝撃性ポリスチレン樹脂、及び熱可塑性エラストマーが添加されたグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む中間層(B)と、スチレン-ブタジエンブロックコポリマーを主成分とする樹脂系を含む内外層(A)、(C)とを、(A)/(B)/(C)の順に積層したフィルム」であることを発明を特定するための事項に備えるものである点で少なくとも相違する。すなわち、フィルムの材料が異なり、層構造においても相違している。
したがって、ポリエステル系フィルムについての検証を目的として提示された甲A2を参酌するまでもなく、本件発明1が甲A1に記載された発明であるとする余地はない。

(3-3-A-2-1-2)甲A3記載の発明との対比と判断
甲A3には、摘示オの「包装材料等の用途に供する収縮性能、とりわけ低温収縮性…」の記載を踏まえると、「ラベル用低温熱収縮性フィルム」に関する発明が記載されている。さらに、摘示エの特に特許請求の範囲1、8、の記載、及び摘示キ〜コの記載からみて、甲A3には、3層の熱可塑性樹脂からなるフィルムであって、該フィルムが、「SA-3:50 SB-1:40 SB-3:10」の中間層とスチレン-ブタジエンブロックコポリマーを主成分とする樹脂系を含む内外層SB-1及びSB-2(摘示クから、SB-1、SB-2はいずれもスチレン-ブタジエンブロックコポリマーに属するものであると認められる。)とを積層したフィルムであり、かつ、摘示コから、中間層の厚み(第2層150μ)が全体の厚み(合計の厚み250μ)の60%であるものが記載されていると認められる。そして、中間層である「SA-3:50 SB-1:40 SB-3:10」の中のSA-3は、摘示キから、スチレン85重量%、ブチルアクリレート14.5重量%、アクリル酸亜鉛0.5重量%のスチレン系共重合体(以下、「SA-3共重合体」という。)であり、SB-1とSB-3は、摘示クからスチレン-ブタジエンブロックコポリマーに属するものである。
本件発明1と甲A3に記載された発明(以下、「甲A3発明」という。)を対比すると、両者は、「3層の熱可塑性樹脂からなるラベル用低温熱収縮性フィルムであって、該フィルムが、スチレン系の重合体を含む中間層(B)とスチレン-ブタジエンブロックコポリマーを主成分とする樹脂系を含む内外層(A)、(C)とを、(A)/(B)/(C)の順に積層したラベル用低温熱収縮性フィルム」である点で一致し、
中間層が、本件発明1では「ポリスチレン樹脂、耐衝撃性ポリスチレン樹脂、及び熱可塑性エラストマーが添加されたグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む」ものであるのに対し、甲A3発明では、SA-3共重合体と、スチレン-ブタジエンブロックコポリマーに属するものであるSB-1とSB-3との3者ブレンド物である点(相違点1)、中間層の全体の厚みに対する厚みが、本件発明1では「65〜85%」であるのに対し、甲A3発明では「60%」である点(相違点2)、及び、熱収縮性フィルムが、本件発明1では「80℃における1方向の熱収縮率Yと熱収縮時間t(秒)(1≦t≦5)との関係を示す相関図において、そのY’が、式1と式2とで示される範囲内にあり、且つ、その熱収縮率Yが式3と式4とで示される熱収縮率の範囲内にある」のに対して、甲A3発明では該範囲内にあるか否かが不明である点(相違点3)で相違する。

相違点1について更に検討する。
まずSA-3共重合体は、摘示キの組成からみて、本件発明1における「ポリスチレン樹脂」ではない。また、本件発明1における「耐衝撃性ポリスチレン樹脂」とは、「ポリスチレンと、例えばポリブタジエンやポリイソプレン等の合成ゴムとの混合物、または、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の合成ゴムにスチレンをグラフト重合させた重合体をいう。」とされるものであり、「グラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン樹脂」とは、「前記したスチレン系樹脂からなる連続相に、前記したスチレン系樹脂を内部に包含し且つ前記したスチレン系樹脂がポリブタジエン等ゴム成分にグラフトしたゴム状重合体からなる粒子が分散する構造を基本としたスチレン系樹脂という。」とされるものであるから、SA-3共重合体は、「耐衝撃性ポリスチレン樹脂」でも、「グラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン樹脂」でもなく、ましてや「熱可塑性エラストマーが添加されたグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン樹脂」ではない。
さらに、SB-1とSB-3はスチレン-ブタジエンブロックコポリマーに属するものであるから、「ポリスチレン樹脂、耐衝撃性ポリスチレン樹脂、及び熱可塑性エラストマーが添加されたグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂」ではない。
してみると、SA-3共重合体とSB-1とSB-3との3者ブレンド物は、「ポリスチレン樹脂、耐衝撃性ポリスチレン樹脂、及び熱可塑性エラストマーが添加されたグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む」ものではないから、先の相違点1は、実質的な相違点である。

次いで、相違点2については、明らかに重複する範囲がなく、実質的な相違点である。

したがって、相違点3について検討するまでもなく、本件発明1が甲A3に記載された発明であるということはできない。また、甲A4は、甲A3に記載の表5のRunNo.12の熱収縮性ポリスチレン系多層フィルムについての検証を目的として提示されたものであるから、既に述べたように、RunNo.12の熱収縮性ポリスチレン系多層フィルムが、中間層の組成において本件発明1と異なるものである以上、甲A4の記載内容を参酌したとしても、本件発明1が甲A3に記載された発明であるとする余地はない。

(3-3-A-2-2)本件発明2〜6について
本件発明2〜6は本件発明1の発明を特定するための事項をすべて備えて、さらに別の事項を発明を特定するための事項に備えるものであるから、(3-3-A-2-1)で述べたとおり、本件発明1が、甲A1又は甲A3に記載された発明ではない以上、甲A5、甲A6の紫外線吸収剤の添加又は光透過性に関する記載(摘示ス〜ソ)を参酌してもなお、本件発明2〜6が、特許法第29条第1項第3号の規定に該当し、特許を受けることができないものであるとすることはできない。

(3-3-B)申立人Bの主張に関して
(3-3-B-1)本件発明1について
(3-3-B-1-1)特許法第29条第1項第3号について
(3-3-B-1-1-1)甲B1記載の発明との対比と判断
甲B1には、摘示タ、チからみて、単層のポリエステル系熱収縮フィルムに関する発明が記載されていると認められる。一方、本件発明1は、「ポリスチレン樹脂、耐衝撃性ポリスチレン樹脂、及び熱可塑性エラストマーが添加されたグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む中間層(B)と、スチレン-ブタジエンブロックコポリマーを主成分とする樹脂系を含む内外層(A)、(C)とを、(A)/(B)/(C)の順に積層したフィルム」であるから、両者は、フィルムの材料及び層構造において相違がある。
したがって、ポリエステル系熱収縮フィルムについての検証を目的として提示された甲B2を参酌したとしても、本件発明1が甲B1に記載された発明であるとする余地はない。

(3-3-B-1-1-2)甲B3記載の発明との対比と判断
甲B3には、摘示テ〜ニの記載からみて、ペットボトル容器に密着させるための低温熱収縮性ラベル(特に摘示ト、ニ)に関する発明が記載されており、該ラベルが、内外両層がスチレン含有量65〜90重量%、ブタジエン含有量10〜35重量%からなるスチレン-ブタジエンブロック共重合体50〜98重量%と、ポリスチレン50〜2重量%とを含有する共重合体樹脂層からなり、内外両層間の中間層がポリスチレン樹脂層からなる共押出積層体に形成され、かつ、延伸されてなる、熱収縮性多層フィルムの発明が記載されている。
本件発明1と甲B3に記載された発明(以下、「甲B3発明」という。)を対比すると、
甲B3発明における「ポリスチレン樹脂層」のポリスチレンは、「スチレンの単独重合体である一般ポリスチレン(GPPS)…である」(摘示ナ)から、本件発明1におけるポリスチレン樹脂に相当すること、及び、甲B3発明の実施例1における「A/B/Aの3層構成として(厚み比率=1/4/1)フラット状に共押出し」(摘示ニ)は中間層Bの厚みが全体の厚みの約66.7%となることを踏まえると、両者は、3層の熱可塑性樹脂からなるラベル用低温熱収縮性フィルムであって、該フィルムが、ポリスチレン樹脂からなる中間層と、スチレン-ブタジエンブロックコポリマーを主成分とする樹脂を含む内外層とを積層したフィルムであり、かつ、中間層の厚みは全体の厚みの67.7%である、点で一致し、
本件発明1が、フィルムの「80℃における1方向の熱収縮率Yと熱収縮時間t(秒)(1≦t≦5)との関係を示す相関図において、そのY’が、式1と式2とで示される範囲内にあり、且つ、その熱収縮率Yが式3と式4とで示される熱収縮率の範囲内にある」のに対し、甲B3発明のフィルムでは不明である点(相違点1)において相違する。

相違点1について検討する。
先に述べたように、甲B3には、相違点1の熱収縮率と熱収縮時間との関係に関する記載や直接の示唆はなく、申立人Bは、甲B4を提示することにより、相違点1が実質的な相違点ではない旨を主張しているものと解されるから、これについて検討する。
甲B4には、摘示ヌの「4.実験の要旨」に記載のとおり、甲B3に記載された実施例1の追試実験の結果、得られた熱収縮性多層フィルムが先の相違点1として示した熱収縮に関する特性を示した旨が報告されている。
そして、摘示ヌの「5.実験の内容」によれば、特性を試験した熱収縮性多層フィルムの中間層である「ポリスチレン樹脂(B)」として、「エー・アンド・エムスチレン株式会社社製SS-700タイプ(ゴム成分5〜15重量%にスチレン50〜60重量%とメタクリル酸アルキル25〜35重量%とアクリル酸アルキル10〜20重量%がグラフト共重合した樹脂)」を使用し、及び、「厚さ60μmの熱収縮性多層フィルムを得た」とされている。
一方、甲B3に記載の実施例1においては、中間層は、「ポリスチレン樹脂(B)」(摘示ニ)であり、該「ポリスチレン樹脂(B)」は、先にも述べたとおり「スチレンの単独重合体である一般ポリスチレン(GPPS)又はポリスチレンにブタジエン共重合体などの弾性体をブレンドした耐衝撃性ポリスチレン(HIPS)」(摘示ナ)である。さらに、熱収縮性多層フィルムの厚さは不明である。
してみると、甲B4において使用した特定の「ポリスチレン樹脂(B)」が、甲B3の実施例1において使用した「ポリスチレン樹脂(B)」と同一のものであると認めることはできない。また甲B3には、熱収縮性多層フィルム全体の厚みについての記載も示唆もないから、全体の厚さが60μmであると認めるに足る根拠もない。
したがって、甲B4が、甲B3に記載された実施例1の忠実な追試の結果を示すものであると認めることができないから、甲B4をみても、相違点1が実質的な相違点ではない、ということはできない。
結局、本件発明1と甲B3発明は、少なくとも相違点1において異なるから、本件発明1が甲B3に記載された発明であるということはできない。

(3-3-B-1-2)特許法第29条の2について
(3-3-B-1-2-1)甲B5出願の明細書に記載の発明との対比と判断
甲B5出願の明細書には、「スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーからなる共重合体の連続相中に、分散粒子としてゴム状弾性体を1〜20重量%含有し、損失弾性率(E”)のピーク温度が50〜85℃の範囲にあるゴム状弾性体分散ポリスチレン系樹脂」を中間層とし、スチレンとブタジエンとからなるブロック共重合体を含む樹脂を表裏層として積層し延伸してなる熱収縮性ポリスチレン系積層フィルムの発明が記載されている(摘示ネ)。
本件発明1と甲B5出願の明細書に記載された発明(以下、「甲B5発明」という。)を対比すると、熱収縮性フィルムが、本件発明1では「80℃における1方向の熱収縮率Yと熱収縮時間t(秒)(1≦t≦5)との関係を示す相関図において、そのY’が、式1と式2とで示される範囲内にあり、且つ、その熱収縮率Yが式3と式4とで示される熱収縮率の範囲内にある」のに対して、甲B5発明ではかかる特定がない点(相違点1)、及び、中間層が、本件発明1では「ポリスチレン樹脂、耐衝撃性ポリスチレン樹脂、及び熱可塑性エラストマーが添加されたグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む」ものであるのに対して、甲B5発明では「スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーからなる共重合体の連続相中に、分散粒子としてゴム状弾性体を1〜20重量%含有し、損失弾性率(E”)のピーク温度が50〜85℃の範囲にあるゴム状弾性体分散ポリスチレン系樹脂」(以下、「ゴム状弾性体分散ポリスチレン系樹脂」という。)である点(相違点2)で、少なくとも両者は相違する。

相違点2に関して更に検討する。
甲B5発明におけるゴム状弾性体分散ポリスチレン系樹脂が、「ポリスチレン樹脂」に相当しないことは当業者に明らかであり、また、熱可塑性エラストマーが添加されたものではないから、「熱可塑性エラストマーが添加されたグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン樹脂」に相当しないことは当業者に明らかである。次いで、「耐衝撃性ポリスチレン樹脂」に相当するか否かを検討する。
本件発明1における「耐衝撃性ポリスチレン樹脂」とは、本件明細書に記載されるとおり、「ポリスチレンと、例えばポリブタジエンとやポリイソプレン等の合成ゴムとの混合物、または、ポリブタジエン、ポリイソプレン等の合成ゴムにスチレンをグラフト重合させた重合体をいう。」と特定されるものである。
これに対し、甲B5発明における「ゴム状弾性体分散ポリスチレン系樹脂」は、スチレン系モノマーと(メタ)アクリル酸エステル系モノマーからなる共重合体樹脂からなる連続相にゴム状重合体からなる粒子が分散している構造を有するものであるから、合成ゴムにスチレンと(メタ)アクリル酸エステルをグラフト重合させた重合体に相当するものと認めることはできる。そうであれば、「ゴム状弾性体分散ポリスチレン系樹脂」は、グラフト成分としてスチレン以外に必ず(メタ)アクリル酸エステルも含むものとなるから、「ポリブタジエン、ポリイソプレン等の合成ゴムにスチレンをグラフト重合させた重合体」には相当し得ないものであり、また、明らかに「ポリスチレンと、例えばポリブタジエンとやポリイソプレン等の合成ゴムとの混合物」にも相当しない。
してみれば、甲B5発明における「ゴム状弾性体分散ポリスチレン系樹脂」は、損失弾性率のピーク温度などの他の要件について検討するまでもなく、本件発明1における「耐衝撃性ポリスチレン樹脂」と異なるものであると認められるから、先の相違点2は実質的な相違点である。
したがって、先の相違点1について検討するまでもなく、また、甲B5発明の実施例1、5の追試結果として提示された甲B6の記載内容を検討するまでもなく、本件発明1が、甲B5発明と同一であるとすることはできない。

(3-3-B-2)本件発明2〜6について
本件発明2〜6は本件発明1の発明を特定するための事項をすべて備えて、さらに別の事項を発明を特定するための事項に備えるものであるから、(3-3-B-1)で述べたとおり、本件発明1は、甲B1又は甲B3に記載された発明でも、甲B5出願の明細書に記載された発明と同一でもない以上、本件発明2〜6が、特許法第29条第1項第3号又は同法第29条の2第1項の規定により、特許を受けることができないものであるとすることはできない。

(3-3-C)申立人Cの主張に関して
(3-3-C-1)はじめに
甲C1は、本件特許の優先権主張日である平成9年12月5日より後の平成11年3月16日に出願公開されたものであるから、申立人Cが主張する特許法第29条第1項第3号及び第2項の規定を適用する余地はない。
しかしながら、甲C1は、前記優先権主張日より前の平成9年7月1日の優先権を主張する特願平10-145560号の特許出願(先の特許出願:特願平9-175418号)に係るものであって、該特許出願及び該先の特許出願の願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された発明を掲載しているものと認められ、かつ、本件特許に係る発明と該特許出願に係る発明とは、発明者が同一でなく、本件特許出願の時において出願人が同一でもないから、特許法第29条の2第1項の規定に該当するかどうかについて検討することとする。

(3-3-C-2)本件発明1との対比と判断
甲C1の出願の明細書又は図面には、摘示ヘ〜マのとおり、単層の熱収縮性ポリエステル系フィルムに関する発明が記載されている。
本件発明1と甲C1の出願の明細書又は図面に記載された発明(以下、「甲C1発明」という。)を対比すると、本件発明1が、「ポリスチレン樹脂、耐衝撃性ポリスチレン樹脂、及び熱可塑性エラストマーが添加されたグラフトタイプ耐衝撃性ポリスチレン樹脂からなる群から選ばれる少なくとも1種の樹脂を含む中間層(B)と、スチレン-ブタジエンブロックコポリマーを主成分とする樹脂系を含む内外層(A)、(C)とを、(A)/(B)/(C)の順に積層したフィルム」であることを発明を特定するための事項に備えるものである点で少なくとも相違する。すなわち、フィルムの材料が異なり、層構造においても相違がある。
したがって、甲C1発明の実施例1、4についての検証を目的として提示された甲C2の記載内容を検討するまでもなく、及びポリエステル系収縮フィルムに関する甲C3の記載を参酌したとしても、本件発明1が甲C1発明と同一であるとする余地はない。

(3-3-C-3)本件発明2〜6について
本件発明2〜6は本件発明1の発明を特定するための事項をすべて備えて、さらに別の事項を発明を特定するための事項に備えるものであるから、(3-3-C-2)で述べたとおり、本件発明1は、甲C1の出願に記載された発明と同一ではない以上、本件発明2〜6が、特許法第29条の2第1項の規定に該当し、特許を受けることができないものであるとすることはできない。

4.むすび
以上のとおりであるから、特許異議の申立ての理由及び証拠によっては、本件発明1〜6に係る特許を取り消すことができない。
他に、本件発明1〜6が特許を受けることができないものであるとすべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2003-05-13 
出願番号 特願平11-530558
審決分類 P 1 651・ 537- Y (B29C)
P 1 651・ 536- Y (B29C)
P 1 651・ 121- Y (B29C)
P 1 651・ 113- Y (B29C)
最終処分 維持  
特許庁審判長 高梨 操
特許庁審判官 石井 淑久
野村 康秀
登録日 2000-12-15 
登録番号 特許第3138754号(P3138754)
権利者 グンゼ株式会社
発明の名称 ラベル用低温熱収縮性フィルム  
代理人 鈴木 三義  
代理人 青山 正和  
代理人 村山 靖彦  
代理人 西 和哉  
代理人 舘 泰光  
代理人 渡邊 隆  
代理人 藤井 淳  
代理人 高橋 詔男  
代理人 中野 睦子  
代理人 齋藤 健治  
代理人 掛樋 悠路  
代理人 三枝 英二  
代理人 中川 博司  
代理人 関 仁士  
代理人 志賀 正武  
代理人 小原 健志  

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