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審決分類 審判 査定不服 特39条先願 特許、登録しない。 D06M
管理番号 1097121
審判番号 不服2000-20444  
総通号数 55 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1993-06-08 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-12-25 
確定日 2004-05-10 
事件の表示 平成 4年特許願第120457号「ペンタエリトリトール化合物およびベントナイトの混合物を基剤とする布帛柔軟化製品」拒絶査定に対する審判事件[平成 5年 6月 8日出願公開、特開平 5-140869]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯・本願発明
本願は、平成4年5月13日(パリ条約による優先権主張1991年9月6日、米国)の出願であって、「ペンタエリトリトール化合物およびベントナイトの混合物を基剤とする布帛柔軟化製品」に関するものであり、その請求項1に係る発明(「本願発明」という。)は、平成12年4月19日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次の事項により特定されるとおりのものであって、(A)〜(D)の4つの選択肢を構成要件として有したものであると認める。
「布帛柔軟化成分を繊維物質に付着させて、それを柔軟化させるように、繊維物質に適用する布帛柔軟化製品において、該製品が(A)液状若しくはゲル状リンスサイクル若しくは洗浄サイクル添加剤組成物又は乾燥機物品、(B)液状又はゲル状洗浄剤組成物、(C)粒状又は固体洗浄剤組成物並びに(D)粒状若しくは固体洗浄又はリンスサイクル添加剤組成物からなる群から選択され、それらのそれぞれが、ペンタエリトリトール高級脂肪酸エステル、ペンタエリトリトールオリゴマー高級脂肪酸エステル、ペンタエリトリトール低級アルキレンオキシド誘導体高級脂肪酸エステルもしくはペンタエリトリトールオリゴマー低級アルキレンオキシド誘導体高級脂肪酸エステルまたはそれらの混合物からなる群から選択される布帛柔軟化成分であるペンタエリトリトール誘導体およびモンモリロン石クレーを含み、前記組成物が実質的に四級アンモニウム布帛柔軟化剤を実質的に含まず、ペンタエリトリトール誘導体:そのクレーの重量比が、Aの場合、1〜40:99〜60であり、Bの場合、1〜25:1〜50であり、Cの場合、1〜25:10〜30であり、Dの場合、1〜25:10〜99であることを特徴とする布帛柔軟化製品。」

2.原査定の理由
原査定の拒絶の理由の概要は、本願発明は、その出願日前の出願である特願平4-2440号(特許第3005351号、特許第3005351号公報参照)に係る発明(「先願発明」という。)と同一であるから、特許法第39条第1項の規定により特許を受けることができないというものである。
なお、平成11年10月8日付け拒絶理由の通知において、理由1として特許法第39条第1項、理由2として同条第2項の規定を適用し、拒絶査定の備考欄において、特許法第39条第2項の規定により特許を受けることができないと結んでいるが、査定の理由としては「平成11年10月8日付け拒絶理由通知書に記載した理由1によって、拒絶査定する。」と明記しているところであり、かつ備考欄に記載した先願発明の摘示記載事項からも理由1の先願発明であることが明らかであり、また、一方、平成13年5月11日付けの審判請求書の手続補正書(以下、単に「審判請求書」という。)で審判請求人も自認しているところであり、結びにおける「特許法第39条第2項」は「特許法第39条第1項」の誤記であるので、上記の通り認定した。

3.先願発明
先願発明に関し、その特許明細書(「先願明細書」という。)には以下の記載が認められる。
1)「【請求項1】ペンタエリスリトールの高級脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールのオリゴマーの高級脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの低級アルキレンオキシド誘導体の高級脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールオリゴマーの低級アルキレンオキシド誘導体の高級脂肪酸エステル、又はこれらの混合物である布帛柔軟化用成分を、キャリヤー中もしくはキャリヤー上に担持させた状態で含み、前記布帛柔軟化用成分を繊維材料に付着させて前記繊維材料を柔軟化するよう作用させる、繊維材料に適用するための生分解性の布帛柔軟化用組成物もしくは物品であって、第四アンモニウム化合物の布帛柔軟剤を本質的に含まない前記布帛柔軟化用組成物もしくは物品。」
2)「【請求項7】粒状形態もしくは粉末状形態であって、
(a)約1〜25%の布帛柔軟化用成分;及び
(b)約75〜99%の粒状もしくは粉末状キャリヤー、このとき前記布帛柔軟化用成分が前記キャリヤー中に分散され、前記キャリヤー上に付着され、あるいは前記キャリヤー中に吸収される;
を含む、請求項1記載の布帛柔軟化用組成物。」
3)「【請求項8】
(a)ペンタエリスリトールの高級脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールのオリゴマーの高級脂肪酸エステル、又はこれらの混合物を1〜10%;及び
(b)粒状もしくは粉末状キャリヤーを90〜99%;
含む、請求項7記載の粒状もしくは粉末状形態の布帛柔軟化用組成物。」
4)「【請求項9】前記の粒状もしくは粉末状キャリヤーが布帛柔軟化用クレーであり、第四アンモニウム化合物が含まれていない、請求項8記載の布帛柔軟化用組成物。」
5)「【請求項10】前記布帛柔軟化用クレーがベントナイトであり、前記布帛柔軟化用成分が、ペンタエリスリトールのオリゴマーを8〜24個の炭素原子を有する高級脂肪酸で部分エステル化して得られる化合物である、請求項8記載の組成物。」
6)「【請求項15】請求項1記載の布帛柔軟化用組成物もしくは物品を、前記組成物中の布帛柔軟化用成分が洗濯物に付着して洗濯物を柔軟化するような仕方及び条件下にて前記洗濯物に施すことを含む、洗浄された洗濯物を柔軟化するための方法。」
7)「【請求項17】前記布帛柔軟化用組成物が洗濯物に加えられ、前記布帛柔軟化用組成物が粒状もしくは粉末状の形態となっていて、約1〜25%の布帛柔軟化用成分と約75〜99%のベントナイトを含み、洗濯機においてすすぎ洗い水中に分散され、そして洗濯された洗濯物に少なくともその一部が付着して洗濯物を柔軟化する、請求項15記載の方法。」
8)「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、すすぎ洗いサイクル時及び/又は乾燥サイクル時において洗浄された洗濯物に適用するための布帛柔軟化用組成物及び/又は物品に関するものであり、この場合、洗浄された洗濯物の布帛の繊維に、前記布帛柔軟化用組成物及び/又は物品中の布帛柔軟化有効量の布帛柔軟化用成分が施される。さらに詳細には本発明は、ペンタエリスリトールの高級脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールのオリゴマーの高級脂肪酸エステル、又はこれらのエトキシ化誘導体の高級脂肪酸エステルを布帛柔軟化用成分として含み、そして第四アンモニウム塩を含有しないような組成物と物品に関する。」
9)「【0002】【従来の技術】布帛柔軟化用組成物と布帛柔軟化用物品は、洗浄された洗濯物の手触りをよりソフトにするために、また着心地をより快適にするために従来より長い間使用されている。このような組成物としては、溶液、エマルジョン、粒状物、及び粉末状物などがあり、またこのような物品としては、布帛柔軟剤を含浸したペーパーストリップがある。殆どの市販製品に対して選択されている布帛柔軟剤は、通常は第四アンモニウム塩(例えば塩化ジメチルジタローイルアンモニウム)であり、洗濯物を効果的に柔軟化するために、このような柔軟剤のエマルジョンが洗濯機中のすすぎ洗い水に加えられている。これとは別に、このような布帛柔軟剤を含んだエマルジョンや粉末物質を、洗剤組成物と共に洗浄水に加えることもできるし、あるいは洗剤組成物中に布帛柔軟化用成分を配合して、いわゆる“ソフタージェント(softergent)”を作製することもできる。布帛柔軟化用成分(例えば第四アンモニウム塩)を含有した物品を自動洗濯物乾燥機に加えることができ、このとき高温環境での洗濯物のタンブリング時において、繰り返し行われる接触によって布帛柔軟剤が洗濯物に加えられ、そして洗濯物が柔軟化される。」
10)「【0010】【課題を解決するための手段】本発明の組成物と物品の主要成分(ベントナイト以外の本質的に唯一の布帛柔軟化用化合物である)は、好ましくは、ペンタエリスリトール化合物の高級脂肪酸エステル(この用語は、本明細書において、ペンタエリスリトールの高級脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールオリゴマーの高級脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの低級アルキレンオキシド誘導体の高級脂肪酸エステル、及びペンタエリスリトールオリゴマーの低級アルキレンオキシド誘導体の高級脂肪酸エステルを表わすのに使用される)である。ペンタエリスリトール化合物は、ここではPECと略記することができ、この表わし方を、文脈によって示されるようなペンタエリスリトール化合物として又はエステルとして、ペンタエリスリトール、ペンタエリスリトールのオリゴマー、及びペンタエリスリトールのアルコキシル化誘導体の全てに対して適用することとする。」
11)「【0024】本発明の組成物及び物品中の各成分の割合は、布帛柔軟化用途に対する安定で且つ有効な生成物が得られるような割合である。PECに関して、本発明の組成物及び物品中の濃度は、通常は約1〜25%、好ましくは1〜10%、さらに好ましくは2〜8%、そして最も好ましくは3〜7%(例えば約5%)であるが、本発明の物品の場合、支持体材料の種類と密度に応じて10〜20%の範囲のパーセント値が好ましいことが多い。」
12)「【0026】粒状もしくは粉末状の組成物又はドライヤー物品(dryer article)を作製する場合、PECのパーセントは、前述のパラグラフにて記載したのと同じであるか、又は少なくとも前記の範囲内であるが、粉末キャリヤー又は支持体(物品の場合)が組成物又は物品の残部であってもよい。」
13)「【0031】以下に実施例を挙げて本発明を説明するが、本発明はこれによって限定されることはない。特に明記しない限り、本明細書及び特許請求の範囲における部やパーセントはいずれも重量基準であり、温度は全て℃で表示している。」


4.当審の判断

(1)本願発明と先願発明との対比
本願発明は、(A)〜(D)の4つの選択肢を構成要件として有しているが、(D)の選択肢の場合の発明(「本願発明D」という。)に着目し、先願発明に係る請求項7に記載された発明(「先願発明7」という。)と対比する。
先願発明7は、上記摘示記載2)のとおりであって、上記摘示記載1)に係る請求項1に記載された発明の構成要件をすべて含むものであり、本願発明Dの「布帛柔軟化成分を繊維物質に付着させて、それを柔軟化させるように、繊維物質に適用する布帛柔軟化製品」は、該製品が(D)の組成物であるので、先願発明7の「布帛柔軟化用成分を繊維材料に付着させて前記繊維材料を柔軟化するよう作用させる、繊維材料に適用するための布帛柔軟化用組成物」に対応し、本願発明Dの「ペンタエリトリトール高級脂肪酸エステル、ペンタエリトリトールオリゴマー高級脂肪酸エステル、ペンタエリトリトール低級アルキレンオキシド誘導体高級脂肪酸エステルもしくはペンタエリトリトールオリゴマー低級アルキレンオキシド誘導体高級脂肪酸エステルまたはそれらの混合物からなる群から選択される布帛柔軟化成分であるペンタエリトリトール誘導体」は、先願発明7の「ペンタエリスリトールの高級脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールのオリゴマーの高級脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールの低級アルキレンオキシド誘導体の高級脂肪酸エステル、ペンタエリスリトールオリゴマーの低級アルキレンオキシド誘導体の高級脂肪酸エステル、又はこれらの混合物である布帛柔軟化用成分」に対応するから、
本願発明Dと先願発明7とは、「布帛柔軟化成分を繊維物質に付着させて、それを柔軟化させるように、繊維物質に適用する布帛柔軟化製品において、該製品が組成物であり、ペンタエリトリトール高級脂肪酸エステル、ペンタエリトリトールオリゴマー高級脂肪酸エステル、ペンタエリトリトール低級アルキレンオキシド誘導体高級脂肪酸エステルもしくはペンタエリトリトールオリゴマー低級アルキレンオキシド誘導体高級脂肪酸エステルまたはそれらの混合物からなる群から選択される布帛柔軟化成分であるペンタエリトリトール誘導体を含み、前記組成物が実質的に四級アンモニウム布帛柔軟化剤を実質的に含まないことを特徴とする布帛柔軟化製品」である点において一致する。
そして、本願発明Dでは、「(D)粒状若しくは固体洗浄又はリンスサイクル添加剤組成物」であるのに対し、先願発明7では、「粒状形態もしくは粉末状形態の柔軟化用組成物」である点(「相違点1」という。)、
本願発明Dでは、布帛柔軟化成分であるペンタエリトリトール誘導体および「モンモリロン石クレー」を含むのに対し、先願発明7では、布帛柔軟化用成分を、「キャリヤー中もしくはキャリヤー上に担持させた状態」で含むとされている点(「相違点2」という。)、
本願発明Dでは、「ペンタエリトリトール誘導体:クレーの重量比が、(Dの場合、)1〜25:10〜99である」のに対し、先願発明7では、「(a)約1〜25%の布帛柔軟化用成分;及び(b)約75〜99%の粒状もしくは粉末状キャリヤー、を含む」とされている点(「相違点3」という。)、
において一応相違している。

(2)相違点1ないし3についての検討

1)相違点1について
先願発明7は、粒状形態もしくは粉末状形態の柔軟化用組成物であり、先願明細書の上記摘示記載9)にも記載されているように、布帛柔軟化用組成物を粒状物、及び粉末状物などの形態とし、柔軟剤を含んだ粉末物質を洗剤組成物と共に洗浄水に加えることは、従来よりよく知られた布帛柔軟化製品としての組成物の通常の使用態様であって、即ちリンスサイクル添加剤組成物であるといえるから、本願発明Dの構成要件である粒状リンスサイクル添加剤組成物に相当する。よって、相違点1に係る相違は実質的なものではない。

2)相違点2について
上記摘示記載2)ないし5)によれば、先願発明7の構成要件において、粒状もしくは粉末状キャリヤーが具体的に布帛柔軟化用クレーであるとされており、さらに布帛柔軟化用クレーは具体的にベントナイトと特定されている。
他方、本願発明Dの構成要件は、粒状の布帛柔軟化成分を含むものであり、ベントナイトがモンモリロン石クレーの概念に属するクレーの一種であることは本願の請求項2ないし22の記載及び発明の詳細な説明の【0001】の記載等から明らかであるから、相違点2に係る相違は実質的なものではない。

3)相違点3について
先願発明7の構成要件において、(a)の約1〜25%の布帛柔軟化用成分が、ペンタエリトリトール誘導体、(b)の約75〜99%の粒状もしくは粉末状キャリヤーが、クレーに相当するものであることは前述のとおりであり、これらの数値は上記摘示記載13)により重量パーセント基準であるから重量比に換算したときに相違点3に係る本願発明Dの構成要件の範囲に含まれるものであって、上記摘示記載10)ないし12)によれば、先願発明7の各成分の割合は、布帛柔軟化用途に対する安定で且つ有効な生成物が得られるような割合として定められたものであり、これは、本願の発明の詳細な説明、特に【0031】〜【0033】を参酌するに、本願発明Dと同じ技術思想に基づき適した範囲を定めたものであると解されるから、本願発明Dの相違点3に係る構成要件は先願発明7に実質的に記載されているに等しいものであって、この点に係る相違は実質的なものではない。

(3)本願発明と先願発明との同一性についての判断
上記したとおり、本願発明Dと先願発明7との対比に係る相違点1ないし3は、いずれも実質的な相違点ではないから、本願発明Dは先願発明7と実質的に同一である。

(4)審判請求書に記載された補正案について
なお、審判請求人は、審判請求書において、本願発明の請求項1について補正案を提示しているが、この補正案で新たに付加された構成要件である「モンモリロン石クレーの量は、ペンタエリトリトール誘導体の量の3倍未満である」ことについて、本出願の願書に最初に添付された明細書又は図面(「当初明細書等」という。)には記載がされていない。即ち、当初明細書等には、モンモリロン石クレーの量がペンタエリトリトール誘導体の量の3倍未満となるものを含む数値範囲は示されていると認められるものではあるが、その範囲のうちの「モンモリロン石クレーの量は、ペンタエリトリトール誘導体の量の3倍未満」となる部分を独立した別の技術思想として捉えるべき根拠となる記載は見当たらず、この補正は発明の要旨を変更するものであり、結局のところ特許法第53条の規定により却下されるものとなるから、本願発明に係る請求項1は、上述のとおり、平成12年4月19日付け手続補正書により補正された明細書の特許請求の範囲に記載のとおりのものが審理の対象となるものである。


5.むすび
以上のとおり、本願発明は、先願発明と同一であるから、特許法第39条第1項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-12-08 
結審通知日 2003-12-09 
審決日 2003-12-24 
出願番号 特願平4-120457
審決分類 P 1 8・ 4- Z (D06M)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 中島 庸子  
特許庁審判長 石井 淑久
特許庁審判官 菊地 則義
中田 とし子
発明の名称 ペンタエリトリトール化合物およびベントナイトの混合物を基剤とする布帛柔軟化製品  
代理人 戸水 辰男  
代理人 小林 泰  
代理人 増井 忠弐  
代理人 社本 一夫  
代理人 今井 庄亮  
代理人 栗田 忠彦  
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