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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B41J
管理番号 1098074
異議申立番号 異議2003-71456  
総通号数 55 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-09-09 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-06-02 
確定日 2004-03-31 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3353629号「多色画像記録装置」の請求項1ないし7に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3353629号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。 
理由 第1 手続の経緯
優先権主張の基礎となる出願から本決定に至るまでの主だった経緯を箇条書きにすると次のとおりである。
・平成7年12月26日 特許権者らにより特願平7-339549号出願
・平成8年12月24日 特許権者らにより、上記出願に基づく優先権を主張して本件出願
・平成14年9月27日 特許権の設定登録(請求項1〜請求項7)
・平成15年6月2日 特許異議申立人中石幸明より請求項1〜請求項7に係る特許に対して特許異議申立
・同年8月20日付けで当審にて取消理由通知
・同年10月24日 特許権者らにより特許異議意見書及び訂正請求書提出
・同年11月10日付けで当審にて訂正拒絶理由通知
・平成16年1月16日 特許権者らにより意見書及び手続補正書(訂正請求書)提出

第2 訂正の許否の判断
1.補正の採否
(1)平成16年1月16日付けの手続補正による補正事項
[補正事項1]請求項1の記載を補正前の「記録媒体に対峙して固定配置された記録素子アレイを外部より入力する所定解像度の画像データに応じて選択的に駆動することにより前記記録媒体に記録を行う印字ヘッドを記録色毎に異なる位置に複数配した多色画像記録装置において、
前記記録素子アレイは、副走査方向に対して前記所定解像度のn倍の画素密度で記録可能な単位記録素子の集合で構成されるとともに、
それぞれ異なる色の印字データを、前記同一位置の原画像が前記記録媒体上の記録位置において合致するように異なる記録タイミングに対応して、各色別の印字データを対応する色の印字ヘッドに転送出力して記録する同期データ転送手段と、
各印字ヘッド毎に、印字データを所定ライン分保持する補正用データ記憶手段と、
原画像の主走査方向の1ラインデータを補正すべき印字ヘッドの位置ずれ量に応じた分割数に従ったデータ数毎に順次前記ヘッドの傾きとは逆方向にラインシフトしながら前記補正用データ記憶手段の複数ライン分のメモリ領域に跨ってアドレス指定しつつ原画像の1ラインデータを書き込む処理を繰り返し、
主走査方向に沿ったライン領域に格納された1ラインデータを読み出す処理を繰り返す
書き込み読み出し制御手段と、
該書き込み読み出し制御手段により読み出された1ラインのデータを印字ヘッドに出力し、記録媒体に印字を行う印字制御手段と、
を備えることを特徴とする多色画像記録装置。」から、
「感光体に対峙して固定配置された記録素子アレイを外部より入力する所定解像度の画像データに応じて選択的に発光させることにより感光体を選択的に露光し、静電潜像を形成する画像露光部を異なる位置に複数有する多色画像記録装置において、前記記録素子アレイは、副走査方向に対して前記所定解像度のn倍の画素密度で記録可能な単位記録素子の集合で構成されるとともに、それぞれ異なる色の印字データを、前記同一位置の原画像が前記記録媒体上の記録位置において合致するように異なる記録タイミングに対応して、各色別の印字データを対応する色の画像露光部に転送出力して記録する同期データ転送手段と、各画像露光部毎に、印字データを所定ライン分保持する補正用データ記憶手段と、原画像の主走査方向の1ラインデータを補正すべき画像露光部の位置ずれ量に応じた分割数に従ったデータ数毎に順次前記画像露光部の傾きとは逆方向にラインシフトしながら前記補正用データ記憶手段の複数ライン分のメモリ領域に跨ってアドレス指定しつつ原画像の1ラインデータを書き込む処理を繰り返し、主走査方向に沿ったライン領域に格納された1ラインデータを読み出す処理を繰り返す書き込み読み出し制御手段と、該書き込み読み出し制御手段により読み出された1ラインのデータを画像露光部に出力し、記録媒体に印字を行う印字制御手段と、を備えることを特徴とする多色画像記録装置。」と補正する。
[補正事項2]補正前請求項2記載の「印字ヘッド」を「画像露光部」と補正する、との訂正を追加する。
[補正事項3]明細書の段落【0008】の記載を補正前の「【課題を解決するための手段】上記課題は請求項1記載の発明によれば、記録媒体に対峙して固定配置された記録素子アレイを外部より入力する所定解像度の画像データに応じて選択的に駆動することにより前記記録媒体に記録を行う印字ヘッドを記録色毎に異なる位置に複数配した多色画像記録装置において、前記記録素子アレイは、副走査方向に対して前記所定解像度のn倍の画素密度で記録可能な単位記録素子の集合で構成されるとともに、それぞれ異なる色の印字データを、前記同一位置の原画像が前記記録媒体上の記録位置において合致するように異なる記録タイミングに対応して、各色別の印字データを対応する色の印字ヘッドに転送出力して記録する同期データ転送手段と、各印字ヘッド毎に、印字データを所定ライン分保持する補正用データ記憶手段と、原画像の主走査方向の1ラインデータを補正すべき印字ヘッドの位置ずれ量に応じた分割数に従ったデータ数毎に順次前記ヘッドの傾きとは逆方向にラインシフトしながら前記補正用データ記憶手段の複数ライン分のメモリ領域に跨ってアドレス指定しつつ原画像の1ラインデータを書き込む処理を繰り返し、主走査方向に沿ったライン領域に格納された1ラインデータを読み出す処理を繰り返す書き込み読み出し制御手段と、該書き込み読み出し制御手段により読み出された1ラインのデータを印字ヘッドに出力し、記録媒体に印字を行う印字制御手段と、を備えることを特徴とする多色画像記録装置を提供することで達成できる。」から「【課題を解決するための手段】上記課題は請求項1記載の発明によれば、感光体に対峙して固定配置された記録素子アレイを外部より入力する所定解像度の画像データに応じて選択的に発光させることにより感光体を選択的に露光し、静電潜像を形成する画像露光部としての印字ヘッドを異なる位置に複数有する多色画像記録装置において、前記記録素子アレイは、副走査方向に対して前記所定解像度のn倍の画素密度で記録可能な単位記録素子の集合で構成されるとともに、それぞれ異なる色の印字データを、前記同一位置の原画像が前記記録媒体上の記録位置において合致するように異なる記録タイミングに対応して、各色別の印字データを対応する色の画像露光部に転送出力して記録する同期データ転送手段と、各画像露光部毎に、印字データを所定ライン分保持する補正用データ記憶手段と、原画像の主走査方向の1ラインデータを補正すべき画像露光部の位置ずれ量に応じた分割数に従ったデータ数毎に順次前記画像露光部の傾きとは逆方向にシフトしながら前記補正用データ記憶手段の複数ライン分のメモリ領域に跨ってアドレス指定しつつ原画像の1ラインデータを書き込む処理を繰り返し、主走査方向に沿ったライン領域に格納された1ラインデータを読み出す処理を繰り返す書き込み読み出し制御手段と、該書き込み読み出し制御手段により読み出された1ラインのデータを画像露光部に出力し、記録媒体に印字を行う印字制御手段と、を備えることを特徴とする多色画像記録装置を提供することで達成できる。」に補正する。
[補正事項4]明細書の段落【0016】に記載の「印字ヘッド」を「画像露光部」に補正する、との訂正を追加する。
[補正事項5]明細書の段落【0094】に記載の「以上説明したように、本発明によれば以下のような効果を有する。請求項1記載の発明によれば、」を「以上説明したように、本発明によれば、」と補正する、との訂正を追加する。
[補正事項6]明細書の段落【0095】の記載を、補正前の「請求項2記載の発明によれば、メモリ容量を削減することができ、上述と同様装置の低コスト化を図ることができる。さらに、請求項3から請求項6記載のように発明を具体化することにより、更にメモリの使用量を減らし低コスト化を図ることができる。さらに、請求項3から請求項6記載のように発明を具体化することにより、更にメモリの使用量を減らし低コスト化を図ることができる。」から「また本発明によれば、メモリ容量を削減することができ、上述と同様装置の低コスト化を図ることができる。」と補正する、との訂正を追加する。
[補正事項7]明細書の段落【0096】の記載を削除する、との訂正を追加する。

(2)補正事項についての検討
補正前後の請求項1の記載を比較すると、大幅な補正がされているから、一見すると補正事項1は、訂正請求書の要旨を変更する補正であるようにみえる。しかし、平成15年10月24日付け訂正請求書に「特許請求の範囲の減縮を目的として、もとの請求項1、3、4,7を削除し、以下項数を繰り上げ「1、2、3」と訂正します。」(4頁28〜29行)、及び「上記の訂正点のうち、「記録媒体に対峙して固定配置された記録素子アレイを外部より入力する所定解像度の画像データに応じて選択的に駆動することにより前記記録媒体に記録を行う印字ヘッドを記録色毎に異なる位置に複数配した多色画像記録装置において、前記記録素子アレイは、副走査方向に対して前記所定解像度のn倍の画素密度で記録可能な単位記録素子の集合で構成されるとともに、」は、出願時(決定注.「特許時」の趣旨と解する。)の特許明細書の請求項1に記載された要件であり」(9頁13行)と記載されていることからすると、訂正後請求項1は、訂正前請求項2に訂正前請求項1の限定を加えたものとなるべきである。ところが、平成15年10月24日付け訂正請求書に添付された訂正明細書ではそのようになっていないから、これは特許権者らが誤記したものと解するべきである。
また、訂正前請求項2に訂正前請求項1の限定を加える関係上、訂正前請求項2記載の「印字ヘッド」はその下位概念たる「画像露光部」となるべきであるが、補正前訂正明細書ではその処理が施されていなかった。補正事項1,2のうち「印字ヘッド」を「画像露光部」に補正することは、当然施すべきその処理をしたにすぎない。さらに補正事項1では、改行及び空白の削除が行われているが、これは単に体裁を整えるにすぎない。
したがって、補正事項1,2は、訂正請求書の要旨を変更するというほどの補正には当たらない。補正事項3,4は、特許請求の範囲の補正に伴う発明の詳細な説明の補正であるから、これも同様である。
また、補正事項5〜7については、請求項削除等に伴って、作用効果の記載も改めるべきであったところ、本件補正前ではその処理が施されていなかったものを施した程度であるから、これも訂正請求書の要旨を変更するというほどの補正には当たらない。

(3)補正の採否の結論
以上のとおりであるから、平成16年1月16日付けの手続補正を採用する。

2.訂正の内容
平成16年1月16日付けの手続補正が採用されるから、訂正事項は次のとおりである。
[訂正事項1]請求項1を削除し、請求項2を請求項1と改めた上で、その記載を、
「感光体に対峙して固定配置された記録素子アレイを外部より入力する所定解像度の画像データに応じて選択的に発光させることにより感光体を選択的に露光し、静電潜像を形成する画像露光部を異なる位置に複数有する多色画像記録装置において、前記記録素子アレイは、副走査方向に対して前記所定解像度のn倍の画素密度で記録可能な単位記録素子の集合で構成されるとともに、それぞれ異なる色の印字データを、前記同一位置の原画像が前記記録媒体上の記録位置において合致するように異なる記録タイミングに対応して、各色別の印字データを対応する色の画像露光部に転送出力して記録する同期データ転送手段と、各画像露光部毎に、印字データを所定ライン分保持する補正用データ記憶手段と、原画像の主走査方向の1ラインデータを補正すべき画像露光部の位置ずれ量に応じた分割数に従ったデータ数毎に順次前記画像露光部の傾きとは逆方向にラインシフトしながら前記補正用データ記憶手段の複数ライン分のメモリ領域に跨ってアドレス指定しつつ原画像の1ラインデータを書き込む処理を繰り返し、主走査方向に沿ったライン領域に格納された1ラインデータを読み出す処理を繰り返す書き込み読み出し制御手段と、該書き込み読み出し制御手段により読み出された1ラインのデータを画像露光部に出力し、記録媒体に印字を行う印字制御手段と、を備えることを特徴とする多色画像記録装置。」と訂正する。
[訂正事項2]請求項3及び請求項4を削除し、請求項5を請求項2に改めた上で、その記載を「前記補正用データ記憶手段から読み出される1ラインデータは、画像露光部の記録素子アレイの個々の記録素子の駆動条件を決める情報としてシフトレジスタに転送され、その条件に従って、記録素子が駆動されることを特徴とする請求項1記載の多色画像記録装置。」と訂正する。
[訂正事項3]請求項6を請求項3と改める。
[訂正事項4]明細書の段落【0008】の記載を、「【課題を解決するための手段】
上記課題は請求項1記載の発明によれば、感光体に対峙して固定配置された記録素子アレイを外部より入力する所定解像度の画像データに応じて選択的に発光させることにより感光体を選択的に露光し、静電潜像を形成する画像露光部としての印字ヘッドを異なる位置に複数有する多色画像記録装置において、前記記録素子アレイは、副走査方向に対して前記所定解像度のn倍の画素密度で記録可能な単位記録素子の集合で構成されるとともに、それぞれ異なる色の印字データを、前記同一位置の原画像が前記記録媒体上の記録位置において合致するように異なる記録タイミングに対応して、各色別の印字データを対応する色の画像露光部に転送出力して記録する同期データ転送手段と、各画像露光部毎に、印字データを所定ライン分保持する補正用データ記憶手段と、原画像の主走査方向の1ラインデータを補正すべき画像露光部の位置ずれ量に応じた分割数に従ったデータ数毎に順次前記画像露光部の傾きとは逆方向にシフトしながら前記補正用データ記憶手段の複数ライン分のメモリ領域に跨ってアドレス指定しつつ原画像の1ラインデータを書き込む処理を繰り返し、主走査方向に沿ったライン領域に格納された1ラインデータを読み出す処理を繰り返す書き込み読み出し制御手段と、該書き込み読み出し制御手段により読み出された1ラインのデータを画像露光部に出力し、記録媒体に印字を行う印字制御手段と、を備えることを特徴とする多色画像記録装置を提供することで達成できる。」と訂正する。
[訂正事項5]明細書の段落【0013】の「請求項3の記載は、請求項2記載の発明をより具体的にするものであり、」との記載、及び段落【0015】の「請求項4の記載は、請求項2又は3記載の発明をより具体的にするものであり、」との記載、並びに段落【0009】、段落【0010】、段落【0018】〜段落【0020】及び段落【0096】の全記載を削除する。
[訂正事項6]明細書の段落【0016】の「請求項5の記載のように、前記補正用データ記憶手段から読み出される1ラインデータは、印字ヘッドの記録素子アレイの個々の記録素子の駆動条件を決めるシフトレジスタに転送され、その条件に従って、記録素子が駆動される。」との記載を「請求項2の記載のように、前記補正用データ記憶手段から読み出される1ラインデータは、画像露光部の記録素子アレイの個々の記録素子の駆動条件を決める情報としてシフトレジスタに転送され、その条件に従って、記録素子が駆動される。」と訂正する。
[訂正事項7]明細書の段落【0017】の「請求項6の記載は、」との記載を「請求項3の記載は、」と訂正する。
[訂正事項8]明細書の段落【0094】の「以上説明したように、本発明によれば以下のような効果を有する。請求項1記載の発明によれば、」との記載を「以上説明したように、本発明によれば、」と訂正する。
[訂正事項9]明細書の段落【0095】の記載を、「また本発明によれば、メモリ容量を削減することができ、上述と同様装置の低コスト化を図ることができる。」と訂正する。

3.訂正事項についての判断
請求項1,3,4の削除並びにこれに伴う、訂正前請求項2,5の請求項番号及び引用請求項番号の変更(訂正事項1,2)は、特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認める。
訂正事項1の残余の事項のうち、「感光体に対峙して固定配置された記録素子アレイを外部より入力する所定解像度の画像データに応じて選択的に発光させることにより感光体を選択的に露光し、静電潜像を形成する画像露光部を異なる位置に複数有する多色画像記録装置において、」を「感光体に対峙して固定配置された記録素子アレイを外部より入力する所定解像度の画像データに応じて選択的に発光させることにより感光体を選択的に露光し、静電潜像を形成する画像露光部を異なる位置に複数有する多色画像記録装置において、前記記録素子アレイは、副走査方向に対して前記所定解像度のn倍の画素密度で記録可能な単位記録素子の集合で構成されるとともに、」と訂正すること、「印字ヘッド」を「画像露光部」と訂正すること、及び「補正すべき印字ヘッドの位置ずれ量に応じて前記補正用データ記憶手段の複数ライン領域にわたって原画像の1ラインデータを書き込む処理を繰り返し、主走査方向に沿ったライン領域に格納された1ラインデータを読み出す書き込み読み出し制御手段」を「原画像の主走査方向の1ラインデータを補正すべき画像露光部の位置ずれ量に応じた分割数に従ったデータ数毎に順次前記画像露光部の傾きとは逆方向にラインシフトしながら前記補正用データ記憶手段の複数ライン分のメモリ領域に跨ってアドレス指定しつつ原画像の1ラインデータを書き込む処理を繰り返し、主走査方向に沿ったライン領域に格納された1ラインデータを読み出す処理を繰り返す書き込み読み出し制御手段」と訂正することは、いずれもは特許請求の範囲の減縮を目的とするものと認める。
訂正事項1のうち「前記異なる記録タイミング」を「異なる記録タイミング」と訂正することは、明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認める。
訂正事項2のうち「個々の記録素子の駆動条件を決めるシフトレジスタに転送され」を「個々の記録素子の駆動条件を決める情報としてシフトレジスタに転送され」と訂正することは、明りょうでない記載の釈明を目的とするものと認める。
訂正事項3は、一見すると、訂正前請求項6が訂正前請求項1を引用し、訂正後請求項3が引用する訂正後請求項2は訂正前請求項1ではなく訂正前請求項2を減縮したものであるから、違法な訂正であるように考えられる。しかし、訂正前請求項6が引用する訂正前請求項1には「感光体に対峙して固定配置された記録素子アレイ」との限定があるから、「前記記録素子は感光体を露光する光書き込み素子であり」との限定は無意味である。そればかりか、訂正前明細書には「請求項6の記載は、上記請求項2記載の発明をより具体化するものであり、」(段落【0017】)との記載があり、さらに訂正前請求項2には「記録素子は感光体を露光する光書き込み素子」であることについての一切の限定はない。そうである以上、訂正前請求項6に「請求項1の記載の」とあるのは「請求項2の記載の」(正確には「請求項2記載の」又は「請求項2に記載の」と記すべきであるが、問題とするほどではない。)の誤記と解すべきである。したがって、訂正事項3は、誤記の訂正を目的とするものと認める。
訂正事項4〜訂正事項9はいずれも、特許請求の範囲の訂正に伴って発明の詳細な説明を訂正するものであるから、その目的は訂正事項1〜訂正事項3の目的と異ならない。
訂正事項1〜訂正事項9が、願書に添付した明細書又は図面に記載の範囲内でなされたこと、及び訂正事項1〜訂正事項9が特許請求の範囲を実質上拡張又は変更するものでないことは明らかである。

4.訂正の許否の判断の結論
以上のとおりであり、平成16年1月16日付けで補正された平成15年10月24日付け訂正請求は、平成15年改正前特許法120条の4第2項の規定、同条3項で準用する同法126条2項及び3項の規定に適合するので、上記訂正請求による訂正を認める。

第3 特許異議申立についての当審の判断
1.本件発明の認定
平成16年1月16日付けで補正された訂正請求が認められるから、請求項1〜請求項3に係る発明は、同手続補正書に添付された訂正明細書(以下、単に「訂正明細書」という。)の特許請求の範囲【請求項1】から【請求項3】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。本決定は、「発明を特定するための事項」という意味で「構成」という用語を用いることを予めことわっておく。
「【請求項1】感光体に対峙して固定配置された記録素子アレイを外部より入力する所定解像度の画像データに応じて選択的に発光させることにより感光体を選択的に露光し、静電潜像を形成する画像露光部を異なる位置に複数有する多色画像記録装置において、前記記録素子アレイは、副走査方向に対して前記所定解像度のn倍の画素密度で記録可能な単位記録素子の集合で構成されるとともに、それぞれ異なる色の印字データを、前記同一位置の原画像が前記記録媒体上の記録位置において合致するように異なる記録タイミングに対応して、各色別の印字データを対応する色の画像露光部に転送出力して記録する同期データ転送手段と、各画像露光部毎に、印字データを所定ライン分保持する補正用データ記憶手段と、原画像の主走査方向の1ラインデータを補正すべき画像露光部の位置ずれ量に応じた分割数に従ったデータ数毎に順次前記画像露光部の傾きとは逆方向にラインシフトしながら前記補正用データ記憶手段の複数ライン分のメモリ領域に跨ってアドレス指定しつつ原画像の1ラインデータを書き込む処理を繰り返し、主走査方向に沿ったライン領域に格納された1ラインデータを読み出す処理を繰り返す書き込み読み出し制御手段と、該書き込み読み出し制御手段により読み出された1ラインのデータを画像露光部に出力し、記録媒体に印字を行う印字制御手段と、を備えることを特徴とする多色画像記録装置。」(以下「本件発明1」という。)
「【請求項2】前記補正用データ記憶手段から読み出される1ラインデータは、前記画像露光部の記録素子アレイの個々の記録素子の駆動条件を決める情報としてシフトレジスタに転送され、その条件に従って、記録素子が駆動されることを特徴とする請求項1記載の多色画像記録装置。」(以下「本件発明2」という。)
「【請求項3】前記記録素子は感光体を露光する光書き込み素子であり、前記記録媒体は電子写真方式により記録されることを特徴とする請求項1の記載の(決定注.「請求項1記載の」の趣旨と認める。)多色画像記録装置。」(以下「本件発明3」という。)

2.引用刊行物の記載事項
当審における取消理由通知に引用した特開平4-291372号公報(特許異議申立人の提出した甲第1号証、以下「引用例1」という。)には、次のア〜セの記載又は図示がある。なお「…」は引用例1自体にある中略であり、「・・・」は当審における中略を示す。
ア.「感光ドラム(1)とアレイ状に並んだ発光素子からなる露光源(3)とプリントすべき画像情報を記憶する画像情報記憶部(60)及び露光源制御部(30)とを少なくとも備え、上記露光源制御部(30)が画像情報に基づいて予め帯電させられた感光ドラム上に露光するように露光源(3)へライン毎に指示し、当該感光ドラム上の上記画像情報に対応した位置に潜像を形成し、当該潜像に対応してトナーを付着させ、当該トナーを記録媒体(100)へ転写の後に融着させることにより上記プリントすべき画像を記録媒体(100)にプリントするプリンタにおいて、露光源制御部(30)に、露光源(3)が露光する夫々の露光ドット(3-i)の予め定められた基準位置に対する位置ずれの補正のための情報を記憶する補正情報記憶部(70)と、上記画像情報記憶部(60)の画像情報及び上記露光ドットの位置ずれ補正情報によって露光パターンを決定する露光位置補正回路(50)とを設け、上記露光位置補正回路(50)が上記決定された露光パターンに基づいてライン毎に露光源(3)が露光を行うことにより露光源(3)が露光する夫々の露光ドット(3-i)の位置ずれを補正するようにしたことを特徴とするプリンタの露光位置補正処理方式。」(【請求項1】)
イ.「上記補正情報記憶部(70)は、1走査ラインをN個(N≧2)の時間間隔に分割した各サブラインに対応した位置ずれ補正情報を保持するよう構成されると共に、上記露光位置補正回路(50)は、上記サブライン単位で上記夫々の露光ドット(3-i)の位置ずれを補正するようにしたことを特徴とする請求項1記載のプリンタの露光位置補正処理方式。」(【請求項2】)
ウ.「感光ドラム(1)と露光源(3)と露光源制御部(30)とからなる記録ユニットを複数備え、夫々の記録ユニットが相異なる色の像を請求項1記載の露光位置補正処理方式を使用して記録媒体(100)へプリントして、カラーのプリントを行うプリンタ。」(【請求項3】)
エ.「図9はカラープリンタの例を示す。この図は露光源としてLEDアレイを用いたカラープリンタの例である。1aないし1dは感光ドラム、・・・3aないし3dは露光用LEDアレイ、・・・このプリンタは3原色のイエロー、マゼンタ、シアンにブラックを加えた4色の記録を行うための4組の記録ユニットP1ないしP4を備え」(段落【0002】)
オ.「LEDアレイの露光ラインが一直線状に並んでいないと、記録画像の直線が凸凹する問題がある。特にカラープリンタにおいては、記録ユニットが複数並んだ構成を採っているため、それぞれのLEDアレイの露光ドット位置がずれていると各色の露光ドット位置が異なることになり、色ずれをおこして出力画像が劣化することになる。」(段落【0007】)
カ.「位置補正情報の作成・・・あらかじめ、LEDアレイの取りつけ位置を基準とする基準ドット位置(座標)をもとに実際のLEDアレイのドット位置ずれを測定しておく。これは、それぞれのLEDアレイに特有であるから、LEDアレイ毎に測定する。次に、測定したドット位置ずれを補正するための補正情報を位置ずれ量に応じてランク分け(ここでは、1サブラインの間隔を単位とする)して、位置補正メモリ(PROM)に書き込んでおく。」(段落【0018】)
キ.「図4において、201は記録データを格納しているページバッファ、202はサブライン単位での位置ずれ補正情報が書き込まれる位置補正メモリ(PROM)、203は露光データの構成であって記録パターンを位置補正メモリ202の内容にもとづいて構成せしめたもの、204は露光データ構成203の詳細図、205は得られた露光パターン、206は露光ラインの曲りであって位置補正メモリ202に格納されているものを表わしている。」(段落【0019】)
ク.「図5において、符号202は図4に対応し、207はラインバッファであって図4に示すページパッファ201の内容が1ライン分読出されてセットされるもの、208はサブラインバッファであってサブラインに対応して位置ずれ補正データを得て格納されるもの、209は補正後のドット位置を表わしている。なおドット位置209に関連して破線は補正前のドット位置を表わしている。」(段落【0020】)
ケ.「処理回路210の内部では、ページパッファ201からの記録データの1ライン分(アドレス:n)のデータと、対応するLEDアレイのドット番号の補正情報とのデータの論理積が取られる。ただし、補正情報データは図5に示すサブライン208の内容として示す如く例えば8サブライン分である。」(段落【0023】)
コ.「つまり、記録データ(アドレス:n)と、補正情報データ(アドレス:H1)、補正情報データ(H2)、補正情報データ(H3)、…、補正情報データ(H8)のそれぞれの補正情報データとの論理積が取られる。・・・さらに、次の1ライン分(アドレス:n+1)と補正情報データ(H9)、補正情報データ(H10)、補正情報データ(H11)、…、補正情報データ(H16)のそれぞれの補正情報データと論理積が取られる。・・・さらに、次の1ライン分(アドレス:n+2)と補正情報データ(H17)、補正情報データ(H18)、補正情報データ(H19)、…、補正情報データ(H24)のそれぞれの補正情報データと論理積が取られる。・・・さらに、次の1ライン分(アドレス:n+3)と補正情報データ(H25)、補正情報データ(H26)、補正情報データ(H27)、…、補正情報データ(H32)のそれぞれの補正情報データと論理積が取られる。・・・以上、32個の論理積が取られた後、LEDアレイのドット番号に応じて、これらの論理和を取る。この結果、実際に記録される1サブラインのパターンが得られる。これは、処理回路210から次のサブラインバッファ208へ入力されて保持される。」(段落【0024】〜段落【0028】)
サ.「サブラインバッファ208のデータは、LEDアレイの記録動作に同期してサブラインバッファ208から読みだされ、シリアルデータの形に変えられ、データシフトクロックと同期して1サブラインのデータがLEDアレイに送られ、露光動作が行われる。」(段落【0029】)
シ.「LEDアレイはラッチ信号および発光制御信号により・・・、LEDアレイ内部のシフトレジスタからラッチへデータが転送、保持される。さらにサブライン単位で、発光時間の制御が行われ、露光が行われる。」(段落【0030】)
ス.「以上説明したようにして、サブライン単位に発光パターンを変えることにより、図5に示す補正後のドット位置209として示す如く、LEDアレイの各発光素子の記録位置の補正を行うことができる。・・・この結果、主走査方向に延びた直線を記録する場合、記録される線の曲がりを、最大でも1ドットラインの1/N(図示の例では1/8)の幅まで低下させることができる。」(段落【0031】〜段落【0032】)
セ.【図5】には、PROM202(記載カ,キの「位置補正メモリ」)のドット番号毎に、特定のラインが「1」とされた図、及び8サブラインを1ラインとするサブラインバッファ208の記憶状態が図示されており、LEDアレイのドット番号毎に「1」として記憶されるサブラインが異なるとともに、どのドット番号であっても「1」が8サブライン連続する様子が図示されている。

3.引用例1記載の発明の認定
記載カ,キの「補正情報が書き込まれる位置補正メモリ(PROM)」が記載ア,イの補正情報記憶部(70)の具体例である。
記載ク、コ,サの「サブラインバッファ208」は、記載ア,イの「露光位置補正回路」の一部をなすものであり、【図5】では、LEDアレイのドット位置ずれに応じて、1ライン分の記録データが、ドット番号に応じて異なる8サブラインに書き込まれている。
記載サ,シによれば、「サブラインバッファ208」の個々のサブラインのデータが、シフトレジスタに転送され、ラッチされるものであり、このラッチデータに従って個々のLEd(記載アの発光素子)の発光が制御される。
したがって、記載又は図示ア〜セを含む引用例1の全記載又は図示によれば、引用例1には次の発明(以下「引用例発明1」という。)が記載されているものと認められる。
「感光ドラムと発光素子アレイからなる露光源とプリントすべき画像情報を記憶する画像情報記憶部及び露光源制御部とを有する記録ユニットを4組備え、
露光源制御部に、補正情報記憶部と露光位置補正回路とを設け、
補正情報記憶部は、1走査ラインをN個(N≧2)に分割した各サブラインに対して、ドット番号毎に発光素子アレイの位置ずれに応じたサブラインを「1」とすることにより、位置ずれ補正情報を保持するよう構成され、
露光位置補正回路にはサブラインバッファ及び処理回路を設け、処理回路は、補正情報記憶部の出力と画像情報記憶部からのライン出力に応じて、1ライン分のライン出力をサブラインバッファのNサブラインに書き込み、サブライン毎に読み出すものであり、
発光素子アレイにはシフトレジスタ及びラッチが設けられており、サブライン毎に読み出されたデータに従って感光ドラムを露光することによって潜像を形成するものであり、
4組の記録ユニットの各々は、当該潜像に対応してイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの4色のうちの1色のトナーを付着させ、当該トナーを記録媒体へ転写の後に融着させるものであるプリンタ。」

4.本件発明1と引用例発明1との一致点及び相違点の認定
引用例発明1の「感光ドラム」及び「発光素子」は、本件発明1の「感光体」、「記録素子」及び「記録素子アレイ」に相当し、「発光素子アレイ」は「記録素子アレイ」及び「画像露光部」の両者に相当し(本件発明1において「記録素子アレイ」と「画像露光部」は区別されており、「画像露光部」は「記録素子アレイ」だけでなく周辺素子(請求項2記載のシフトレジスタ等)を含むものと解される。引用例発明1の「発光素子アレイ」はシフトレジスタ及びラッチを含むから、「画像露光部」に相当することは問題ない。この意味では、「記録素子アレイ」に相当するとはいえないかもしれないが、シフトレジスタ及びラッチ等を除いた発光素子群だけをみれば、明らかに「記録素子アレイ」に相当するといえるから、このように認定しておく。)、引用例発明1の感光ドラムと発光素子アレイが対峙して固定配置されていることは明らかである。
引用例発明1が「所定解像度の画像データに応じて選択的に発光させることにより感光体を選択的に露光し、静電潜像を形成する画像露光部を異なる位置に複数有する」ことはいうまでもない。
引用例発明1の「4組の記録ユニット」はそれぞれイエロー、マゼンタ、シアン及びブラックの記録を行うものであるから、4組を備えた「プリンタ」は「多色画像記録装置」ということができる。
本件発明1の「記録素子アレイは、副走査方向に対して前記所定解像度のn倍の画素密度で記録可能な単位記録素子の集合で構成される」との構成については、単位記録素子により記録される副走査方向のサイズが所定解像度で定まるピッチの1/n程度であり、このサイズの記録を副走査方向に所定解像度で定まるピッチの1/nずつずらせてn回記録することをいうものと解される。これに対して、引用例発明1においては、1ラインをN分割したサブライン毎に露光が行われ、記録される線の曲がりを、最大でも1ドットラインの1/Nの幅まで低下させることができるのであるから、副走査方向に所定解像度で定まるピッチの1/NずつずらせてN回記録することはいえるものの、各回における副走査方向の記録サイズまでが本件発明1と同一であるとまではいえない。ここで引用例発明1の「N」と本件発明1の「n」は、単に表記が異なるだけであり、その意味するところは同じである。
引用例発明1では、4つの記録ユニットがタンデム状に配置されており(【図9】参照)、「各色の露光ドット位置が異なることになり、色ずれをおこして出力画像が劣化する」(記載オ)ことを解決するものであるから、当然「それぞれ異なる色の印字データを、前記同一位置の原画像が前記記録媒体上の記録位置において合致するように異なる記録タイミングに対応して、各色別の印字データを対応する色の画像露光部に転送出力して記録する同期データ転送手段」を備えるといえる(引用例発明1の「サブラインバッファ」から読み出されたデータが「印字データ」に相当する。)。
請求項1の「画像露光部の位置ずれ量」と「画像露光部の傾き」は同義のものとして用いられていることが明らかであり、「画像露光部の傾き」は引用例発明1の「発光素子アレイの位置ずれ」の一形態である。
引用例発明1の「サブラインバッファ」は本件発明1の「補正用データ記憶手段」に相当するものであり、「印字データを所定ライン分保持する」ものである。そして、1ライン分のライン出力をサブラインバッファのどのNサブラインに書き込むかは、補正情報記憶部において、どのサブラインが「1」として記憶されているかにより定まるものであり、書き込むべきNサブラインを決定することは「アドレス指定」といえる。したがって、引用例発明1において「補正情報記憶部の出力と画像情報記憶部からのライン出力に応じて、1ライン分のライン出力をサブラインバッファのNサブラインに書き込」むことと、本件発明1の「複数ライン分のメモリ領域に跨ってアドレス指定しつつ原画像の1ラインデータを書き込む処理」には相違はない。
引用例発明1において「サブライン毎に読み出す」ことは、本件発明1の「主走査方向に沿ったライン領域に格納された1ラインデータを読み出す処理」と異ならない。そして、引用例発明1において「サブラインバッファ」に対しての書き込みと読み出しが繰り返されることは明らかであるから、引用例発明1は本件発明1の「書き込み読み出し制御手段」を備えるといえ(「処理回路」がこれに相当する。)、「書き込み読み出し制御手段により読み出された1ラインのデータを画像露光部に出力し、記録媒体に印字を行う印字制御手段と、を備える」点においても、本件発明1と引用例発明1には相違がない。
したがって、本件発明1と引用例発明1とは、
「感光体に対峙して固定配置された記録素子アレイを所定解像度の画像データに応じて選択的に発光させることにより感光体を選択的に露光し、静電潜像を形成する画像露光部を異なる位置に複数有する多色画像記録装置において、副走査方向に所定解像度で定まるピッチの1/NずつずらせてN回記録するように構成されるとともに、それぞれ異なる色の印字データを、前記同一位置の原画像が前記記録媒体上の記録位置において合致するように異なる記録タイミングに対応して、各色別の印字データを対応する色の画像露光部に転送出力して記録する同期データ転送手段と、各画像露光部毎に、印字データを所定ライン分保持する補正用データ記憶手段と、原画像の主走査方向の1ラインデータを補正すべき画像露光部の位置ずれ量に応じてラインシフトしながら前記補正用データ記憶手段の複数ライン分のメモリ領域に跨ってアドレス指定しつつ原画像の1ラインデータを書き込む処理を繰り返し、主走査方向に沿ったライン領域に格納された1ラインデータを読み出す処理を繰り返す書き込み読み出し制御手段と、該書き込み読み出し制御手段により読み出された1ラインのデータを印字ヘッドに出力し、記録媒体に印字を行う印字制御手段と、を備えることを特徴とする多色画像記録装置。」である点で一致し、以下の各点で相違する。
〈相違点1〉本件発明1では「所定解像度の画像データ」が外部より入力されるのに対し、引用例発明1ではこの点明らかでない点。
〈相違点2〉本件発明1が「副走査方向に対して前記所定解像度のn倍の画素密度で記録可能な単位記録素子の集合で構成される」、すなわち、1回の記録による副走査方向のサイズが所定解像度で定まるピッチの1/n程度となるよう単位記録素子の大きさが限定されているのに対し、引用例発明1がかかる限定を有するかどうか明らかでない点。
〈相違点3〉本件発明1では「原画像の主走査方向の1ラインデータを補正すべき画像露光部の位置ずれ量に応じた分割数に従ったデータ数毎に順次前記画像露光部の傾きとは逆方向にラインシフトしながら」補正用データ記憶手段に書き込むのに対し、引用例発明1では「画像露光部の位置ずれ量」を「画像露光部の傾き」に限定しておらず、その結果本件発明1の上記構成を有するともいえない点。

5.相違点の判断及び本件発明1の進歩性の判断
(1)相違点1について
引用例1に明文記載がなくとも、相違点1に係る本件発明1の構成は記録装置の技術分野における常識的事項である。また、引用例発明1の認定にあたっては、「画像情報記憶部」を引用例発明1の構成の一部としたが、これを除外したものを引用例発明1と認定することも可能であり、その場合「画像情報記憶部」は引用例発明1からみて「外部」となる。
いずれにしても、相違点1は実質的相違点といえるほどの相違点ではなく、この相違点の存在によって、進歩性が左右されることはあり得ない。

(2)相違点2について
引用例発明1において、副走査方向に所定解像度で定まるピッチの1/NずつずらせてN回記録することは既に述べたとおりである。ところで、1ラインの記録を副走査方向に順次ずらせて記録を行う場合、1回の記録における副走査方向の記録サイズを、副走査方向の記録ピッチ程度とすることは、良好な記録を行う上で広く採用されていることである。引用例発明1において、1回の記録における副走査方向の記録サイズをこのようにしない場合(所定解像度で定まるピッチ程度のサイズとする場合)、N回の記録により副走査方向に長いドットが形成されることになり、これが好ましくないことは当業者には明らかである。そうであれば、引用例1に明文記載はないけれども、1回の記録における副走査方向の記録サイズが副走査方向の記録ピッチ程度(所定解像度で定まるピッチの1/N)となるように、個々の発光素子(本件発明1の「単位記録素子」)の大きさを定めることは設計事項程度というべきである。

(3)相違点3について
取消理由に引用した特開平7-304211号公報(特許異議申立人の提出した甲第2号証、以下「引用例2」という。)には、「従来のカラ-記録方法にあっては、記録媒体に対して記録ヘッドが傾いて配置してあると、カラ-画像を重ねて記録した場合、カラ-画像の位置ずれによって、色ずれを生じ、所望の色再現が実現できないという問題点があり、色ずれの生じないカラ-記録方法が望まれていた。」(段落【0002】)との記載があり、【図2】には「カラー電子写真プリンタを示す概略構成図」が図示されている。引用例2の上記段落【0002】の「カラ-画像の位置ずれによって、色ずれを生じ、所望の色再現が実現できないという問題点」は、引用例1の「LEDアレイの露光ドット位置がずれていると各色の露光ドット位置が異なることになり、色ずれをおこして出力画像が劣化することになる。」(記載オ)と実質同一であり、引用例2の【図2】と引用例1の【図9】も実質同一である。
そうすると、引用例1は「記録ヘッドが傾いて配置」されることを「LEDアレイの露光ドット位置がずれている」ことの例として明記するものではないが、引用例1,引用例2の両者に接した当業者であれば、「記録ヘッドが傾いて配置」されることを、引用例発明1における「発光素子アレイの位置ずれ」の典型例として理解するであろう。
そして、引用例発明1における「発光素子アレイの位置ずれ」が「記録ヘッドが傾いて配置」である場合、補正情報記憶部の記憶状態が「画像露光部の位置ずれ量に応じた分割数に従ったデータ数毎」に「1」となるサブラインがずれた状態となるように、「画像露光部の傾きとは逆方向にラインシフト」した状態となることは必然である。そして引用例発明1では、「1」となる補正情報記憶部のサブライン番号に従ってサブラインバッファに書き込むべきサブライン番号がアドレス指定されるのであるから、画像露光部の位置ずれ量(発光素子アレイの位置ずれ)と補正用データ記憶手段(サブラインバッファ)への書き込み処理の関係についても、本件発明1でいう「原画像の主走査方向の1ラインデータを補正すべき画像露光部の位置ずれ量に応じた分割数に従ったデータ数毎に順次前記画像露光部の傾きとは逆方向にラインシフトしながら前記補正用データ記憶手段の複数ライン分のメモリ領域に跨ってアドレス指定しつつ原画像の1ラインデータを書き込む処理」にならざるを得ない。
すなわち、相違点3に係る本件発明1の構成は、引用例発明1の「発光素子アレイの位置ずれ」を引用例2記載の技術に従い「記録ヘッドが傾いて配置」に限定したことにより、採用せざるを得ない構成であり、当業者にとって想到容易といわざるを得ない。

(4)本件発明1の進歩性の判断
相違点1〜相違点3は、実質的相違といえないか、設計事項程度であるか又は当業者にとって想到容易な相違点でしかなく、これら相違点に係る本件発明1の構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。したがって、本件発明1は本件優先日当時の技術常識を踏まえた上で、引用例発明1及び引用例2記載の技術に基づいて当業者が容易に発明できたものとして、本来ならば特許法29条2項の規定により特許を受けることができない発明である。

6.本件発明2の進歩性の判断
本件発明2は、本件発明1に「前記補正用データ記憶手段から読み出される1ラインデータは、前記画像露光部の記録素子アレイの個々の記録素子の駆動条件を決める情報としてシフトレジスタに転送され、その条件に従って、記録素子が駆動される」との限定を加えるものである。しかし、補正用データ記憶手段から読み出される1ラインデータがシフトレジスタに転送されることは、引用例発明1においても行われている。また、シフトレジスタに転送される情報が「画像露光部の記録素子アレイの個々の記録素子の駆動条件を決める情報」であること、及び「その条件に従って、記録素子が駆動される」ことは当然のことである。
すなわち、上記本件発明2の限定は引用例発明1との新たな相違点を構成するものではないから、本件発明2も、引用例発明1及び引用例2記載の技術に基づいて当業者が容易に発明できたものとして、本来ならば特許法29条2項の規定により特許を受けることができない発明である。

7.本件発明3の進歩性の判断
本件発明3は、本件発明1に「前記記録素子は感光体を露光する光書き込み素子であり、前記記録媒体は電子写真方式により記録される」との限定を加えるものであるが、この限定構成は引用例発明1に備わっている。
すなわち、上記本件発明3の限定は引用例発明1との新たな相違点を構成するものではないから、本件発明3も、引用例発明1及び引用例2記載の技術に基づいて当業者が容易に発明できたものとして、本来ならば特許法29条2項の規定により特許を受けることができない発明である。

第4 むすび
本件発明1〜本件発明3は、いずれも特許法29条2項の規定により特許を受けることができない発明であるから、請求項1〜請求項3に係る特許は、特許法29条2項の規定に違反してされた特許である。
すなわち、請求項1〜請求項3に係る特許は、平成15年改正前特許法113条2号の規定に該当するから、取り消されなければならない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
多色画像記録装置
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 感光体に対峙して固定配置された記録素子アレイを外部より入力する所定解像度の画像データに応じて選択的に発光させることにより感光体を選択的に露光し、静電潜像を形成する画像露光部を異なる位置に複数有する多色画像記録装置において、前記記録素子アレイは、副走査方向に対して前記所定解像度のn倍の画素密度で記録可能な単位記録素子の集合で構成されるとともに、それぞれ異なる色の印字データを、前記同一位置の原画像が前記記録媒体上の記録位置において合致するように異なる記録タイミングに対応して、各色別の印字データを対応する色の画像露光部に転送出力して記録する同期データ転送手段と、各画像露光部毎に、印字データを所定ライン分保持する補正用データ記憶手段と、原画像の主走査方向の1ラインデータを補正すべき画像露光部の位置ずれ量に応じた分割数に従ったデータ数毎に順次前記画像露光部の傾きとは逆方向にラインシフトしながら前記補正用データ記憶手段の複数ライン分のメモリ領域に跨ってアドレス指定しつつ原画像の1ラインデータを書き込む処理を繰り返し、主走査方向に沿ったライン領域に格納された1ラインデータを読み出す処理を繰り返す書き込み読み出し制御手段と、該書き込み読み出し制御手段により読み出された1ラインのデータを画像露光部に出力し、記録媒体に印字を行う印字制御手段と、を備えることを特徴とする多色画像記録装置。
【請求項2】 前記補正用データ記憶手段から読み出される1ラインデータは、画像露光部の記録素子アレイの個々の記録素子の駆動条件を決める情報としてシフトレジスタに転送され、その条件に従って、記録素子が駆動されることを特徴とする請求項1記載の多色画像記録装置。
【請求項3】 前記記録素子は感光体を露光する光書き込み素子であり、前記記録媒体は電子写真方式により記録されることを特徴とする請求項1の記載の多色画像記録装置。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は所謂タンデム方式を用いた多色(カラー)の画像記録装置に関する。
【0002】
【従来の技術】
カラー印刷を行う多色画像記録装置として、例えばイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の印刷を行う画像形成ユニットを配設し、各色の印刷を順次行うことにより、用紙に印刷を行う所謂タンデム方式の多色画像記録装置が知られている。この方式の多色画像記録装置ではイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)のトナーを用紙に順次転写し、カラー画像を形成するため、各色の画像形成ユニットの配設位置精度が重要になる。すなわち、各色の画像形成ユニットの配設精度が悪いと、形成する画像に位置ずれを生じ、印刷品質の悪い画像となる。
【0003】
このため従来、各色毎の画像の位置ずれを防止し、印刷品質の優れた画像を得るため、以下の発明がなされている。
(イ)先ず、公開特許公報(特開昭59ー155870)の発明は、カラー画像の位置ずれを防止するため、各転写位置(画像形成ユニット)の上流側に転写材(用紙)の検知手段を設けておき、この検知手段で転写材の通過を検出し、対応するプリンタ機構を駆動し、画像の転写タイミングの一致を図っている。
【0004】
また、(ロ)公開特許公報(特開昭62ー145962)の発明は、複数のレーザ書き込み系(画像形成ユニット)の中で最初のレーザ書き込み系で記録材に標識像を書き込み、以後、各レーザ書き込み系の上流側に設けられた検出器で上記標識像を検出し、各レーザ書き込み系において、画像を転写するタイミングを図り、各色毎の画像のずれを防止している。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
従来の多色画像記録装置では上述の如く、(イ)、(ロ)の発明共に、転写材(記録材)、又は記録材に形成された標識像を検出する検出手段(検出器)が必要である。また、検出手段の検出結果に従った転写装置等の駆動制御も煩雑である。
【0006】
また、上記(イ)、(ロ)の発明共、転写材(記録材)の搬送方向(副走査方向)の色ずれは調整できるが、上述の副走査方向と直交する主走査方向や斜め方向への色ずれは防止できない。
【0007】
本発明は、こうした実情に鑑みなされたものであり、特別な検出手段(検出器)や制御を必要とすることなく、主走査、副走査方向等の各方向への色ずれを防止できる多色画像記録装置を提供するものである。
【0008】
【課題を解決するための手段】
上記課題は請求項1記載の発明によれば、感光体に対峙して固定配置された記録素子アレイを外部より入力する所定解像度の画像データに応じて選択的に発光させることにより感光体を選択的に露光し、静電潜像を形成する画像露光部としての印字ヘッドを異なる位置に複数有する多色画像記録装置において、前記記録素子アレイは、副走査方向に対して前記所定解像度のn倍の画素密度で記録可能な単位記録素子の集合で構成されるとともに、それぞれ異なる色の印字データを、前記同一位置の原画像が前記記録媒体上の記録位置において合致するように異なる記録タイミングに対応して、各色別の印字データを対応する色の画像露光部に転送出力して記録する同期データ転送手段と、各画像露光部毎に、印字データを所定ライン分保持する補正用データ記憶手段と、原画像の主走査方向の1ラインデータを補正すべき画像露光部の位置ずれ量に応じた分割数に従ったデータ数毎に順次前記画像露光部の傾きとは逆方向にシフトしながら前記補正用データ記憶手段の複数ライン分のメモリ領域に跨ってアドレス指定しつつ原画像の1ラインデータを書き込む処理を繰り返し、主走査方向に沿ったライン領域に格納された1ラインデータを読み出す処理を繰り返す書き込み読み出し制御手段と、該書き込み読み出し制御手段により読み出された1ラインのデータを画像露光部に出力し、記録媒体に印字を行う印字制御手段と、を備えることを特徴とする多色画像記録装置を提供することで達成できる。
【0009】
【0010】
【0011】
ここで、上記同期データ転送手段は、例えばイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各色別の印字データを感光体等の記録媒体上に印字位置をずらして印字する手段であり、例えばインターフェイスコントローラが対応し、各色の印字ヘッドの配設位置の相違を調整する。また、補正用データ記憶手段は上記同期データ転送手段から出力される印字データを記憶し、例えば印字ヘッドがずれて配置されている場合でも、印字に必要な印字データのみを記憶する。また、選択手段は印字ヘッドの位置ずれ量(例えば、副走査方向に対して基準ヘッドからのずれ角θ)に対応し、例えば上記補正用データ記憶手段に記憶するライン毎の印字データを選択し1ライン印字データを作成する。この作成方法として、例えば上記位置ずれ量に対応して順次連続するラインから印字データを選択し、1ラインデータを作成する。
【0012】
このようにして作成した1ラインデータは印字制御手段によって印字ヘッドに出力され、記録紙に画像が印刷される。すなわち、本発明で使用する補正用データ記憶手段には、選択手段で画像作成に必要な最小限の印字データのみしか記憶されておらず、従来に比較してメモリ容量を削減することができる。
【0013】
前記補正用データ記憶手段は、原画像の主走査方向の1ラインデータをヘッドの傾きに応じた分割数に従ったデータ数毎に順次前記ヘッドの傾きとは逆方向にラインシフトしながら複数ライン分のメモリ領域に跨って書き込まれ、読み出し時には、主走査方向に対応する1ライン分の領域からデータが読み出され、印字ヘッドに転送されることにより記録が行われる構成である。
【0014】
ここで、異なるラインの印字データとは相隣り合うラインの印字データであり、複数ラインの印字データを一部ずつ連続して選択するものである。このように構成することにより、少ない容量のメモリで補正用データ記憶手段を構成するものである。
【0015】
前記印字ヘッドは、例えば主走査方向に多数配列された印字素子の集合により形成された記録素子アレイからなる。
【0016】
すなわち、上記各記録素子に出力する印字データは、上記選択手段によって元画像データの各ラインから選択された印字データであり、請求項2の記載のように、前記補正用データ記憶手段から読み出される1ラインデータは、画像露光部の記録素子アレイの個々の記録素子の駆動条件を決める情報としてシフトレジスタに転送され、その条件に従って、記録素子が駆動される。
【0017】
請求項3の記載は、上記請求項1記載の発明をより具体化するものであり、前記記録素子は、例えば感光体を露光する光書き込み素子であり、前記記録媒体は電子写真方式により記録される構成である。
【0018】
【0019】
【0020】
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の実施形態を図面を用いて詳細に説明する。
<第1の実施形態例>
図1は、本実施形態の多色画像記録装置の全体構成図である。尚、本実施形態の説明において使用する多色画像記録装置は、所謂タンデム方式のカラープリンタである。同図において、カラープリンタ1は、用紙供給/搬送機構2、複数の画像形成ユニット3、定着器4で構成されている。用紙供給/搬送機構2は、用紙Pを積載収納した給紙カセット5、及び用紙搬送系6で構成されている。また、用紙搬送系6は給紙カセット5から用紙Pを搬出するための給紙コロ8、給紙コロ8によって搬出された用紙Pを搬送する用紙搬送経路7、用紙位置をトナー像に一致させて給紙するための待機ロール9、不図示のモータによって駆動する駆動ロール10、11、駆動ロール10、11によって回動する搬送ベルト12で構成されている。
【0022】
給紙カセット5から給紙コロ8の回動により用紙搬送経路7に搬出される用紙Pは、給紙コロ8の回動により待機ロール9まで送られ、後述する感光体ドラムに形成されるトナー像と一致するタイミングで搬送ベルト12上を移動する。尚、除電装置13は搬送ベルト12に残る電荷を除去する装置である。
【0023】
用紙Pが搬送ベルト12を移動する間、搬送ベルト12上の用紙Pには各画像形成ユニット15、16、17、18によって各色のトナーが転写され、用紙Pにカラー転写が行われる。その後、定着器4によって熱定着処理を施し、用紙Pを機外に搬出する。
【0024】
また、定着器4は熱ロール4aと圧接ロール4bで構成され、用紙Pがこの熱ロール4aと圧接ロール4b間を挟持搬送される間、用紙Pに転写された例えば複数色のカラートナーは溶融して用紙Pに印刷される。
【0025】
一方、画像形成ユニット部3は上述のように、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の4個の画像形成ユニット15〜18で構成され、この順序で配設されている。イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)は、減法混色によりカラー印刷を行う画像形成ユニット15〜17であり、ブラック(BK)の画像形成ユニット18はモノクロ印刷に使用する画像形成ユニットである。
【0026】
各画像形成ユニット15〜18は、現像容器に収納された現像剤(の色)を除き、全く同じ構成であり、感光体ドラムの周面近傍に帯電器、印字ヘッド、現像器、転写器を順次配置する構成である。ここで、4個の画像形成ユニット15〜18を代表してイエロー用の画像形成ユニット15を例にして構成を説明する。感光体ドラム20は、その周面が例えば有機光導電性材料で構成され、感光体ドラム20の周面近傍には、帯電器21、印字ヘッド22、現像ロール23’(現像器23)、転写器24が順次配設されている。感光体ドラム20は矢印方向に回動し、先ず帯電器21からの電荷付与により、感光体ドラム20の周面を一様に帯電する。次に、印字ヘッド22から印字情報に基づく光書き込みにより、感光体ドラム20の周面に静電潜像を形成し、現像ロール23’による現像処理によりトナー像を形成する。この時、感光体ドラム20の周面に形成するトナー像は、現像容器23に収納したイエロー(Y)色のトナーによる。このようにして感光体ドラム20の周面に形成されるトナー像は、感光体ドラム20の矢印方向の回動に伴って転写器24の位置に達し、転写器24によって搬送ベルト12上を搬送される用紙Pに転写される。
【0027】
用紙Pの上面に転写されたトナー像は、搬送ベルト12の移動と共に矢印方向に搬送され、上述と同様の構成の他の画像形成ユニット16、17、によって、イエロー(Y)色のトナーと共に、マゼンダ(M)、シアン(C)の各色のトナーが順次転写され、減法混色によるカラー印刷が行われる。例えば、印刷画像が青色であれば、減法混色の原理に基づき画像形成ユニット16からマゼンタ(M)色のトナーを用紙Pに転写した後、画像形成ユニット17からシアン(C)色のトナーを用紙Pに転写し、青色画像を実現する。また、例えば、印刷画像が赤色であれば、現像ユニット15からイエロー(Y)色のトナーを用紙Pに転写した後、画像形成ユニット16からマゼンタ(M)色のトナーを用紙Pに転写し、赤色画像を実現する。
【0028】
図2は上述の構成のカラープリンタ1のシステム構成を示す。カラープリンタ1は、プリントコントロール部26、エンジンコントロール部27、PPCカラーエンジン部28で構成されている。プリントコントロール部26は、ホストコンピュータ29から出力される印刷データを解析し、前述の各印字ヘッド22(尚、印字ヘッド22Yをイエロー(Y)用とし、印字ヘッド22Mをマゼンダ(M)用とし、印字ヘッド22Cをシアン(C)用とし、印字ヘッド22BKをブラック用とする)に出力するドットパターンデータ(ビデオデータ)を作成する。
【0029】
エンジンコントロール部27はCPU等で構成されており、具体的なシステム図を図3に示す。エンジンコントロール部27はCPU30、ROM31、RAM32、EEPROM33、ビデオI/F制御部34、ヘッド制御部35、補正制御部36、入出力制御部37で構成されている。CPU30は本実施形態のカラープリンタ1全体のシステム制御を行い、ROM31に記憶されたプログラムに従った制御を行う。また、RAM32はCPU30の制御処理中発生するデータを格納する。尚、CPU30にはオペレーションパネル38が接続され、オペレーションパネル38からキー操作信号がCPU30に出力される。
【0030】
EEPROM33は、後述する補正値(調整値)を記憶する。また、ビデオI/F制御部34には上述のプリントコントロール部26から出力されるビデオデータが入力し、入力したビデオデータはビデオI/F制御部34の制御により、ヘッド制御部35に出力される。尚、ビデオI/F制御部34は上述のビデオデータ以外にも、プリントコントロール部26との間で各種信号の授受を行う。
【0031】
ヘッド制御部35はビデオI/F制御部34から入力するビデオデータを画像形成ユニット15〜18に配設された印字ヘッド22へ出力制御する回路であり、イエロー(Y)のビデオデータは上述の印字ヘッド22Yに出力し、マゼンダ(M)のビデオデータは印字ヘッド22Mに出力し、シアン(C)のビデオデータは印字ヘッド22Cに出力し、ブラック(BK)のビデオデータは印字ヘッド22BKに出力する。尚、これらの印字ヘッド22(22Y等)は上述のように画像形成ユニット15〜18内に配設され、図2及び図3においてPPCカラーエンジン部28の一部を構成する。
【0032】
図4は印字ヘッド22内のドライブ回路22’の回路図であり、印字ヘッド22Y、22M、22C、22BKのいずれにおいても同じ構成である。同図に示すように、ドライブ回路22’はシフトレジスタ45、ラッチ回路46、ナンドゲート(NANDゲート)47、駆動用トランジスタ48で構成され、駆動用トランジスタ48から出力する信号に従ってLED素子49を駆動する。シフトレジスタ45は1ライン分のビデオデータをシリアルに入力できる構成であり、クロック信号(CLK)に同期して1ライン分の印字データ(HDATA)を入力する。ラッチ回路46はシフトレジスタ45に入力したビデオデータをラッチ信号(LATCH)に同期してラッチする回路であり、ラッチ回路46にラッチされた印字データはストローブ信号(STROB)に同期してナンドゲート47に出力される。
【0033】
ナンドゲート47に出力された印字データは、例えば印字を行うドットのみハイ(H)信号であり、対応するナンドゲート47の出力からハイ(H)又はロー(L)信号を駆動トランジスタ48に出力し、対応するLED素子49を駆動する。尚、上述の構成はイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)のそれぞれの印字ヘッド22Y〜22Cでも同じ構成であり、それぞれのビデオデータに基づいて印字ヘッド22(LED素子49)から感光体ドラム20へ光書き込みを行う。
【0034】
尚、上述のビデオデータ以外のPPCカラーエンジン部28とCPU30間の信号の授受は、前述の入出力制御部37を介して行われる。一方、CPU30に接続された補正制御部36は、ビデオデータを補正する際使用する回路である。尚、この回路は複数のラインバッファで構成されており、具体的な回路構成は後述する。
【0035】
次に、図5は上述の構成のカラープリンタ1の基本的な動作を説明するタイムチャートである。同図において、感光体ドラム20の回転方向(以下副走査方向と称する)に対する同期を制御する垂直同期信号(VSYNY40a、VSYNM40b、VSYNC40c、VSYNBk40d)は、エンジンコントロール部27からプリントコントロール部26に出力される。また、感光体ドラム20の回転方向と直交する方向(以下、主走査方向と称する)の同期を制御する水平同期信号(HSYNY41a、HSYNM41b、HSYNC41c、HSYNBk41d)も、エンジンコントロール部27からプリントコントロール部26に出力される。さらに、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の色それぞれについてドット単位で出力されるビデオデータ(ViDEOY42a、ViDEOM42b、ViDEOC42c、ViDEOBk42d)は、同期クロック(VCLKY43a、VCLKM43b、VCLKC43c、VCLKBk43d)に同期して、プリントコントロール部26からエンジンコントロール部27に出力される。
【0036】
カラープリンタ1は、上述のようにY(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)の4色の画像形成ユニット15〜18を持ち、各色別に上記各信号が出力される。前述のように、ホストコンピュータ29から印刷データがプリントコントロール部26に出力されると、プリントコントロール部26は、その印字データをY、M、C、Bkの各色別にビデオデータに変換し、それぞれの色別のページメモリ(不図示)にビデオデータを格納する。このビデオデータがページメモリに1ページ分格納されると、エンジンコントロール部27にプリント起動信号を出力する。このプリント起動信号が入力したエンジンコントロール部27は起動し、それぞれの色のプロセス手段を動作させ、用紙Pを給紙カセット5から供給する。この用紙Pは待機ロール9に達し、最初に書込みを行うイエロー(Y)色のトナーを用紙Pの所定位置に書き込むタイミングで待機ロール9を回転すると共に、垂直同期信号(VSYNC40a)と水平同期信号(HSYNC41a)をプリントコントロール部26に出力する。プリントコントロール部26は、垂直同期信号(VSYNC40a)と水平同期信号(HSYNC41a)の出力に同期するようにしてイエロー(Y)のビデオデータ(ViDEOY42a)と、同期クロック(VCLKY43a)を出力する。このビデオデータ(ViDEOY42a)が供給されるビデオI/F制御部34は、ヘッド制御部35へこのビデオデータ(ViDEOY42a)を送り、このビデオデータに従って感光体ドラム20Yを露光し、前述と同様現像処理を行い、顕像化したイエロー(Y)のトナー像を用紙Pに転写する。
【0037】
一方、これ以降の垂直同期信号(VSYNM40b〜VSYNBk40d)と水平同期信号(HSYNM41b〜HSYNBk41d)は、それぞれの色のドラム間の距離と用紙Pの搬送速度で決定される時間Tx1、Tx2、Tx3だけの時間差を持ってエンジンコントロール部27から出力され、垂直同期信号(VSYNM40b〜VSYNBk40d)と水平同期信号(HSYNM41b〜HSYNBk41d)に同期したそれぞれの色のドットデータが順次露光、現像され、用紙P上に順次転写される。
【0038】
したがって、垂直同期信号(VSYNY40a)を基準として垂直同期信号(VSYNM40b、VSYNC40c、VSYNBk40d)が順次出力される出力時間差Tx1、Tx2、Tx3を変化させることで、感光体ドラム20に対する露光タイミングを変化させ、用紙P上のそれぞれの色画像の副走査方向の位置を調整することができる。
【0039】
すなわち、印字ヘッド22Yを基準とした場合、Tx1の時間を変化させることでY(イエロー)に対するM(マゼンタ)の画像を副走査方向に対して調整できる。同様にTx1とTx2との和の時間を変化させることで、Y(イエロー)に対するC(シアン)の画像を副走査方向に対して調整でき、同じくTx1とTx2とTx3との和の時間を変化させることで、Y(イエロー)に対するBk(ブラック)の画像を副走査方向に対して調整できる。
【0040】
次に、この調整の具体例を以下に説明する。この場合、例えばオペレーションパネル38のキー操作により、カラープリンタ1を副走査調整モードに切り換え、図6に示すパターンを印刷する(尚、同図において矢印a方向が副走査方向である)。そして、この印字結果によりカラープリンタ1に適性値を設定する。例えば、同図の例によれば、基準となる印字ヘッド22Y(カラープリンタ1)によって符号Aで示す横1ドットラインを印刷し、同じ用紙Pの印刷工程において、調整しようとする印字ヘッド(例えば22M)により、符号Bで示す横1ドットラインを所定のタイミングずつずらして複数本プリントする。ここで、符号Bで示した横線には調整値-5〜+5がプリントされており、調整を行うカラープリンタ1の印字ヘッド22Mの副走査方向の位置が正しい位置にあれば調整値0の位置で重なる。一方、もし印字ヘッド22Mが位置ズレをおこしていると、このズレに応じた位置でラインが重なり、その時の調整値をオペレーションパネル38のキー操作により入力し、CPU30に出力する。CPU30はこのデータが入力すると、このデータをEEPROM33に書き込む。基準となる印字ヘッド22Yに対する印字ヘッド22C及び印字ヘッド22BKの調整も、同様な試し印刷の結果に応じてオペレーションパネル38から適正な調整値が入力される。
【0041】
このようにしてEEPROM33に記憶された調整値のデータは、通常動作時において、電源ONでEEPROM33から読み出され、この調整値のデータによって決定されるタイミングでそれぞれの垂直同期信号(VSYNY40a〜VSYNBK40d)を出力する。
【0042】
図6のパターンは、Y(イエロー)を基準にしてY(イエロー)とM(マゼンタ)間、Y(イエロー)とC(シアン)間、Y(イエロー)とBk(ブラック)間の3通りをEEPROM33に記憶しており、これによってそれぞれの副走査方向の位置調整が可能となる。次に、主走査方向に対する位置調整を説明する。
【0043】
図7は、プリントコントロール部26から1ライン分のドットデータを出力する際の垂直同期信号(HSYN41)とビデオデータ(VIDEO42)との関係を示す図である。プリントコントロール部26は、水平同期信号(HSYN41)に同期してTw(一書き込み周期)の時間内に1ライン分のビデオデータ(nドット)を、同期クロック(VCLK43)に同期させて出力する。このビデオデータ(nドット)が入力するビデオI/F制御部34は、この1ライン分のビデオデータ(nドット)と必要な制御信号をヘッド制御部35に出力する。
【0044】
また、図8は、上述のビデオデータが入力する印字ヘッド22の駆動制御を説明するタイムチャートであり、印字ヘッド22Y、22M、22C、22BKのドット数は1ラインのビデオデータnより大きいmドットで構成されており、ヘッド制御部35がHCLKに同期してmドットのビデオデータを出力する。印字ヘッド22(22Y等)は、入力したmビットのビデオデータ(HDATA)を前述のシフトレジスタ45に供給すると共に、ラッチ信号に同期してラッチ回路46にラッチし、ストローブ信号に同期してLED素子49を発光させる。ここで、用紙Pと印字ヘッド22のそれぞれのセンター(中心)を一致させておけば、印字ヘッド22に対して(m-n)/2のドット数の非発光データをプリントコントロール部26からのnドットのデータの先頭と後端に付加することによって正常な印字が行える。すなわち、(m-n)/2のドット数の非発光データを図7に示す期間TLまたはTRに挿入することにより、用紙のセンター(C)に対して、印字ドットを左右に移行し、主走査方向に対する印字位置の調整を行う。また、Y(イエロー)、M(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)のそれぞれのLEDヘッド22Y、22M、22C、22BK間で付加するドット数を(m-n)/2から変化させることで画像の第1ドットの位置を各色毎の主走査方向に対して可変することができる。尚、この場合でも、先頭と後端に付加されたドットの合計が(m-n)でなければならない。
【0045】
尚、この調整方法は、図9に示すチャートを利用し、図6の場合と同様にして行う。また、上述の制御は図10に示す回路によって行う。この回路は前述した図3の補正制御部36の具体的な回路であり、第1ラインバッファ61及び第2ラインバッファ62のそれぞれが、mドットの長さを備えたバッファで構成され、nドットの印字データはアドレス制御部63の制御に従ってアドレス指示を行う。プリントコントロール部26から出力されたnドットのビデオデータは、前述したビデオインターフェイス制御部34を経由して入力制御部64に供給される。この入力制御部64はまず第1ラインバッファ61を選択し、第1ラインバッファ61に、アドレス制御部63の指定するアドレスから順次nドットのデータを書き込む。次に入力する次のラインでは、入力データは第2ラインバッファ62に書き込まれ、第1ラインバッファ61の出力をHDATAとして出力制御部65が、ヘッド制御部35に出力する。第1ラインバッファ61及び第2ラインバッファ62からの出力はmドットの長さのラインデータを順次出力する。尚、第1ラインバッファ61、第2ラインバッファ62は電源ON時にリセット回路(不図示)によりクリアされており、nドットの前後に余白用ドットが付加された形で印字ヘッド22にmドットのビデオデータが出力する。
【0046】
このようにして第1ラインバッファ61、第2ラインバッファ62はプリントコントロール部26からのnドットデータの入力と印字ヘッド22へのmドットデータの出力を交互に繰り返す。したがって、アドレス制御部63の書込みスタートアドレスを変化させることでnドットデータの前後に付加するドット数を変化させることができ、この変化を、上述の図9で示すチャートを用いて予め設定された調整値に合わせることにより、主走査方向に対する印字位置の調整を行うことができる。
【0047】
次に、印字ヘッド22が角度誤差を持っている場合の印字位置の調整について説明する。図11〜図21は、この調整を説明する図である。先ず、図11は印字ヘッド22の位置ずれを説明する図であり、実線で示す現実の印字ヘッド22の位置が、破線で示す印字ヘッド22’の正規のヘッド位置に対してズレている場合であり、1ラインのプリント結果を見た時に図12に示すように印字ヘッド22に出力するデータを上下に並べ変えて補正するようにしたものである。この場合、印字ヘッド22の機械的位置は固定した状態のままでデータの並べ変えによって補正を行うようにしたため、同図の符号Dで示した位置に不連続な部分が生じて段差が生ずるので、この段差を目視によって判別できない程度まで小さくすることが必要となる。
【0048】
そのために本実施例では、例えば印字ヘッド22の発光部のサイズを副走査方向に1/3に小さくした場合について説明する。(ただし、この印字ヘッド22のLED素子のサイズを副走査方向に1/6あるいは1/9のように小さくするに従って段差が目立たなくなるが、この場合は従来の発光サイズを図13(a)として、1回の露光で感光体ドラム20上に1ドット分の静電潜像が形成されたが、同図(b)に示したように副走査方向に小さい発光部の場合は、一回の露光では1ドット分の静電潜像が形成できないため1/3の場合は3回の露光が必要となり、1/6の場合は6回、1/9の場合は9回の露光が必要となる。
【0049】
次に、データの並べ変えについて以下に説明する。図14は正規のプリント状態を角度誤差のある印字ヘッド22から見た図で、印字ヘッドを1ドットの1/3に副走査方向を設定した場合である。同図に示すように、1ラインのデータを複数に分割し、印字ヘッド22に出力するタイミングを変えることによって、前述のように角度誤差のある印字ヘッド22によっても正規のプリント状態に近い画像を得ることができる。
【0050】
このように、右肩上がりに角度誤差を持った印字ヘッド22に対し、図15に示すような複数のラインのデータを、ある露光タイミングで印字ヘッド22に出力すれば補正することが可能となる。
【0051】
図16は、ヘッドの角度誤差による位置ズレ量ごとに、1ラインデータを主走査方向に対し、何分割にすべきかを示したもので、例えば、位置ズレ量が5ドット(=15/3ドット)の場合には1ラインデータを16分割すればよいことを示している。
【0052】
また、図17(a)〜(c)乃至図20(a)〜(c)は、上述の図15及び図16に記載した内容をさらに具体的に説明する図である。図17(a)〜(c)はズレ量が右上がり1/3ドットの場合、図18(a)〜(c)はズレ量が右下がりに1/3ドットの場合、図19(a)〜(c)はズレ量が右上がりに5ドットの場合、図20(a)〜(c)はズレ量が右下がりに5ドットの場合で、それぞれの場合ごとに印字ヘッド22に出力するデータを示した例である。
【0053】
尚、図21は前述した図3の補正制御部36の別回路を示し、同図に基づいて前述した図19における6ライン目の1ラインデータが印字ヘッド22に出力される様子を以下に説明する。先ず、1〜6ライン目の1ラインデータは、入力制御部70によって選択されたラインバッファ71〜77のアドレス制御部78により指定されたアドレスに既に格納されている。この1〜6ライン目の1ラインデータが格納されると、第7ラインバッファ77に7ライン目の1ラインデータの格納を開始すると同時に、出力制御部79及びアドレス制御部78の指示するラインバッファ及びアドレスから6ライン目の1ラインデータとして、先ず、1/3ラインデータとして、区間1〜区間16(図19)の16分割されたデータをヘッドに出力する。最初に区間1に相当する6ライン目のデータを出力し、次に区間2、3、4に相当する5ライン目のデータを出力し・・・といったように区間16迄を出力する。
【0054】
次に、2/3ラインデータとして、最初に区間1、2に相当する6ライン目のデータを出力し、次に区間3、4、5に相当する5ライン目のデータを出力し・・・といったように区間16迄を出力する。
【0055】
さらに、3/3ラインデータとして最初に区間1、2、3に相当する6ライン目データを出力し、次に区間4、5、6に相当する5ライン目データを出力し・・・といったように区間16に相当する1ライン目迄を出力し、これで6ライン目の1ラインデータ出力が終了する。
【0056】
以上の方式で作られた画像は、図19(c)に示した1ライン分の画像のように角度誤差のある印字ヘッド22の場合でも正規のプリント状態に近いものとなる。
【0057】
尚、本実施例における調整の方式は、図6、図9に示すチャートを用いて前述と同様にして行われ例えば、図6のチャートを用紙の左右に配置し、左側で調整値0、右側で調整+3の位置でA、Bラインが重なれば、ヘッドが右上がりに3だけ角度誤差を持っていることが判明する。また、主走査方向も同様である。これによって印字ヘッド22が傾いて設置されている場合でも調整することが可能になる。
【0058】
また、本実施例の変形例として、それぞれのヘッドが湾曲して曲線誤差を持っている場合であっても、同様の方法でヘッドの位置補正することが可能となる。また、本実施例では、印字画像を見て、手動で調整を行うようにしたが、印字結果をスキャナーで読取り、パソコン等によって補正値を算出し、パソコンから直接補正値をプリンタに設定することも可能で、さらには、印字用紙によらずCCDセンサ等によって直接画像露光の光出力を検知し、補正動作を行うようにすることもできる。
【0059】
また、上記実施例においては、印字ヘッド22は、液晶ヘッド、熱転写ヘッド、レーザヘッドのいずれであってもよい。また、印字ヘッド22としてY(イエロー)を基準としたが、印字ヘッドはM(マゼンタ)、C(シアン)、Bk(ブラック)のいずれか一つを基準にすることもできる。また、上記実施例において、4個の印字ヘッド22を使用したが、印字ヘッド22の数は3個でも2個でも良い。
<第2の実施形態例>
次に、本発明の第2の実施形態例について説明する。
【0060】
先ず、本例の原理について説明する。前述の実施形態例で説明したように、タンデム方式のカラー印刷装置は、シアン(C)、マゼンダ(M)、イエロー(Y)、ブラック(K)の各色に専用の印字ヘッドと感光体ドラムを用意し、一回の行程で各色の印刷を行うことにより、高速印刷を行うものである。この方式で重要になるのは、4色の印字位置を正確に重ね合わせることである。これを実現するために、実装の精度を上げることに加えて、電子回路による補正を行うものである。
【0061】
図22は各色の印字結果が用紙の進行方向に対して直交しない場合の例を示すものであり、例えば説明のため単にシアン(C)とマゼンダ(M)の2色のみの印字ヘッドを示す。シアン(C)の印字ヘッドは主走査方向(用紙進行方向に直行する方向)に対して平行であり、マゼンダ(M)の印字ヘッドは主走査方向に対してある角度だけずれており、いわゆる右上がりの状態になっている。
【0062】
このときのシアン(C)の印字画像は用紙の進行方向に対して直交し、各ラインのデータ配列は図23のようになる。一方、マゼンダ(M)の場合、そのままでは右上がりの印字画像となる。そこで、マゼンダ(M)の印字画像を上記シアン(C)の印字画像に一致して重ねるにはどうすれば良いかを示した図が図24であり、マゼンダ(M)の印字の際に次の様な処理を行う。すなわち、マゼンダ(M)の印字データを印字する際、・1ライン目の左側には1ライン目の左側のデータを印字し、1ライン目の中央、及び右側にはデータを印字しない。
【0063】
・2ライン目の左側には2ライン目の左側のデータを印字し、2ライン目の中央には1ライン目の中央のデータを印字し、2ライン目の右側にはデータを印字しない。
【0064】
・3ライン目の左側には3ライン目の左側のデータを印字し、3ライン目の中央には2ライン目の中央のデータを印字し、3ライン目の右側には1ライン目の右側のデータを印字する。
【0065】
以下、図24に示すように印字処理を行う。しかし、このような処理を行うためには、補正するライン数に応じたデータを保持しておく必要がある。例えば、6ライン目の印字開始時点で保持しておく必要のあるデータは、図25に示すデータである。
【0066】
一方、上述とは逆に、シアン(C)の印字画像に対してマゼンダ(M)の印字画像がいわゆる右下がりの状態である場合、図26の状態となる。この場合には上述とは逆に、これを補正するため図27に示すように、・1ライン目の右側には1ライン目の右側のデータを印字し、1ライン目の中央、及び右側にはデータを印字しない。
【0067】
・2ライン目の右側には2ライン目の右側のデータを印字し、2ライン目の中央には1ライン目の中央のデータを印字し、2ライン目の左側にはデータを印字しない。
【0068】
・3ライン目の右側には3ライン目の右側のデータを印字し、3ライン目の中央には2ライン目の中央のデータを印字し、3ライン目の左側には1ライン目の左側のデータを印字する。
【0069】
以下、同図に示すように印字処理する。またこの場合、例えば、6ライン目の印字開始時点で保持しておく必要のあるデータは、図28に示すデータである。したがって、図25及び図28に示すように、上記の方式によると必ずしも全ての印字データを保持する必要はなく、図25において領域aのデータは印字しないデータであり不要である。また、図28において領域bのデータも同様である。すなわち、本例は不要なデータを記憶するメモリ域を削除し、小さい容量のメモリを用いて印字データの記憶を行うものであり、これにより装置のコストダウンを図ろうとするものである。
【0070】
尚、上述の例ではシアン(C)の印字ヘッドを基準としてマゼンダ(M)の印字データを位置合わせする例で説明したが、その他の色についても同様である。以下、具体例な実施形態例を説明する。
【0071】
図29は本実施形態例を説明するシステム構成図である。尚、本例においても、カラープリンタの全体システムは図2に示す通りであり、図29の構成は図2に示すエンジンコントロール部27の構成の一部を示すものである。
【0072】
同図において、同期データ転送手段としての入力制御部80はプリントコントロール部26から供給されるビデオデータを入力し、メモリ82の所定アドレスに出力する。この時、入力制御部80がビデオデータをメモリ82に記憶するアドレスは、アドレス制御部81から出力するアドレス信号に基づいてアドレス変換回路84が指定するアドレスである。
【0073】
乗余算出回路83は、アドレス制御部81と共に選択手段を構成し、アドレス制御部81から出力されるアドレスデータを、例えば予め設定した設定値に基づいて演算処理を行い補正されたアドレスデータを作成する回路である。例えば、この補正されたアドレスデータの作成は、各印字ヘッド間の配設誤差(ずれ角θ)を測定し、この測定結果に従った演算処理である。
【0074】
アドレス変換回路84は、上述の乗余算出回路83が作成したアドレスデータからメモリ82をアクセスするためのアドレスデータに変換する。メモリ82は複数ライン分のビデオデータを記憶する容量を有し、上述の入力制御部80を介して供給されるビデオデータを記憶し、上述のアドレス変換回路84から出力されるアドレス信号に従ったエリアにビデオデータを記憶する。
【0075】
メモリ82の記憶されたビデオデータは、アドレス変換回路84から出力されるアドレスデータに従って指定されたエリアから出力され、出力制御部85を介してPPCカラーエンジン部28に出力される。尚、メモリ82から出力されるビデオデータは各色毎に出力され、対応する色の印字ヘッド22Y〜22BKに出力される。
【0076】
次に、本例の処理動作を説明する。本例の説明として、前述の図22の例に示すように、例えば基準となる印字ヘッドに対してマゼンダ(M)の印字ヘッドが用紙の進行方向に対して右上がりに形成されている場合について説明する。
【0077】
前述の実施形態例と同様、ホストコンピュータ29から出力された印刷情報は、プリントコントロール部26によってビデオデータに変換され、プリントコントロール部26内のフレームメモリに展開される。その後、所定量のビデオデータがフレームメモリに展開されると、入力制御部80を介してビデオデータがメモリ82に供給される。この時、ビデオデータはアドレス変換回路84から出力されるアドレスデータに従ってメモリ82の所定アドレスに記憶される。
【0078】
図30はこの時のアドレス表であり、上述の原理に従って基準ヘッドに対してずれ角θを有する場合、例えば同図に示すアドレス表となる。尚、この例の場合、予め測定したずれ角θに基づいて、基準ヘッドに対して6ライン分印字データがずれているものとしている。従って各ラインを主走査方向に6分割し、区分1はバッファ数「2」とし、区分2〜4はバッファ数「3」とし、区分5〜7はバッファ数「4」とし、区分8〜10はバッファ数「5」とし、区分11〜13はバッファ数「6」とし、区分14〜16はバッファ数「7」とし、印字ヘッドのずれに対応するデータをメモリに書き込む構成とする。尚、上述の区分(区間)1〜16はもともとハード的に1ラインを区分するものであり、上述の6分割はこの1〜16区分を6分割することになる。
【0079】
具体的には、前述のようにデータ書き込みの際不要となるデータ領域のデータを書き込みしないため、図31に示すように区間「1」については、データライン番号の「0」、「1」、「0」、「1」・・・のラインデータを繰り返しアクセスする。また、区間「2」〜「4」については、データライン番号の「0」、「1」、「2」、「0」、「1」、「2」・・・のラインデータを繰り返しアクセスし、区間「5」〜「7」については、データライン番号の「0」、「1」、「2」、「3」、「0」、「1」、「2」、「3」・・・のラインデータを繰り返しアクセスする。
【0080】
以下同様にして、6分割目の区間「14」〜「16」についてはデータライン番号の「0」、・・・「6」、「0」・・・「6」、・・・のラインデータを繰り返しアクセスする。このようにアドレスをアクセスすることにより、データ印字の際不要となる印字データをメモリに書き込むことを防止する。
【0081】
すなわち、各区間のアドレスのアクセスは剰余算出回路83により、入力するデータライン番号を対応する区間のバッファ数で割り算し、その余りを算出した結果に基づくものである。
【0082】
アドレス変換回路84は、データをメモリ82に書き込む場合、先ず図31に点線Aで囲んだ「0」、「0」、「0」の印字データをメモリ82の、例えばエリア82aに書き込む。次に、図30の点線Bで囲んだ「0」、「0」、「0」の印字データをメモリ82のエリア82bに書き込み、点線Cで囲んだ「1」、「1」、「1」の印字データをメモリ82のエリア82cに書き込む。さらに、図31の点線Dで囲んだ「0」、「0」、「0」の印字データをエリア82dに書き込み、点線Eで囲んだ「1」、「1」、「1」の印字データをエリア82eに書き込み、点線Fで囲んだ「2」、「2」、「2」の印字データをエリア82fに書き込む。以下同様にして、図31に示す区分に従ってメモリ82の対応するエリアに書き込む。
【0083】
次に、上述のようにしてメモリ82の各エリアに記憶したデータを読み出す場合、以下のように処理する。すなわち、アドレス制御部81から出力するアドレスデータを乗余算出回路83で演算し、アドレス変換回路84でアドレス変換し、メモリ82をアクセスする。例えば、先ずエリア82aのみをアクセスし、エリア82aから1ライン目の右端の印字データである「0」、「0」、「0」を出力する。この印字データは、上述のように1ライン目の右端の印字データであり、この印字データに従って感光体ドラム等の画像形成部を介して記録紙に作成される印字は、例えば基準となる印字位置に一致するものとなる。
【0084】
尚、この場合1ライン目の印字データの中で右端の印字データ以外の部分には余白データ(白データ)を自動的に入れる。次に、エリア82b、82cをアクセスし、エリア82bから1ライン目の右端より少し右側のデータ「0」、「0」、「0」と、2ライン目の右端のデータ「1」、「1」、「1」を読み出す。この場合にも、2ライン目の他の領域には余白データ(白データ)を自動的に付加する。さらに、エリア82d、82e、82fをアクセスし、エリア82dから1ライン目の右端より更に右側のデータ「0」、「0」、「0」と、2ライン目の右端より右側のデータ「1」、「1」、「1」、及び3ライン目の右端のデータ「2」、「2」、「2」を読み出し、他のエリアには余白データを付加し、印字ヘッド22へ出力する。
【0085】
以下、上述の処理を繰り返し、基準となる印字ヘッドの印字位置に一致する印字データを出力し、記録紙に印字を行う。このように本実施形態例によれば、メモリ82を必要限度のメモリ領域で構成し、極めて効率の良いメモリの使用を実現するものである。
<第3の実施形態例>
次に、第3の実施形態例について説明する。
【0086】
本例は、イエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の印字ヘッドの配設について、最もメモリ容量を少なくするための配設構成を説明するものである。
【0087】
図32は用紙Pの進行方向に対してイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)の各印字ヘッド22Y〜22BKを配置した状態を示す図である。また、同図に示すLy、Lm、Lc、Lbkは、それぞれ印字ヘッド22Y〜22BKの中心線を示す。かかる配設構成において、従来では図33に示すように、例えばブラック(BK)の印字ヘッド22bkを基準として他の印字ヘッド22Y〜22Cの位置ずれ(ずれ角θ)を設定している。
【0088】
しかしこの場合には、基準となる印字ヘッド22BKに対して他の印字ヘッドの位置ずれ(ずれ角θ)が大きくなり、特に最も大きなずれ角θを有するイエロー(Y)の印字ヘッド22Yでは大きなメモリ容量を必要とする。すなわち、印字ヘッドの傾きが大きいため、不要であるメモリ領域を大きく設ける必要があるからである。
【0089】
そこで、本例は図34(a)、(b)に示すように、基準となる印字ヘッドをずれ角θが真ん中(中間)であるマゼンダ(M)又はシアン(C)の印字ヘッド22M、22Cとすることで、基準ヘッドからのずれ角θを小さく構成するものである。
【0090】
図34(a)は、シアン(C)の印字ヘッド22Cを基準とする場合であり、イエロー(Y)、マゼンダ(M)の印字ヘッド22Y及び22Mは、+(プラス)のずれ角θを有し、ブラック(BK)の印字ヘッド22BKは-(マイナス)のずれ角θを有する。そしてこの場合、いずれの印字ヘッド22Y、22M、22BKも基準となる印字ヘッド22Cに対して小さなずれ角θを有するだけである。
【0091】
また、同図(b)は、マゼンダ(M)の印字ヘッド22Mを基準とする場合であり、この場合イエロー(Y)の印字ヘッド22Yは、+(プラス)のずれ角θを有し、マゼンダ(M)及びブラック(BK)の印字ヘッド22M、22BKは-(マイナス)のずれ角θを有する。そしてこの場合においても、いずれの印字ヘッド22Y、22C、22BKも基準となる印字ヘッド22Mに対して小さなずれ角θを有するだけである。
【0092】
したがって、上述のように印字ヘッドを配設することにより、基準ヘッドに対する各印字ヘッドのずれ角θは小さなものとなり、各印字ヘッドに印字データを供給するメモリ容量を小さく構成することができる。
【0093】
尚、上述の実施形態例では基準となる印字ヘッドはイエロー(Y)、マゼンダ(M)、シアン(C)、ブラック(BK)と配置された印字ヘッド22Y〜22BKの真ん中に位置するマゼンダ(M)、又はシアン(C)の印字ヘッド22M、22Cであったが、必ずしも真ん中に位置する場合に限るものではない。例えば、イエロー(Y)やブラック(BK)の印字ヘッド22Y、22BKであっても、そのずれ角θが4個の印字ヘッドの中間に位置するものであれば、これらの印字ヘッド22Y、又は22BKを基準印字ヘッドとすることもできる。
【0094】
【発明の効果】
以上説明したように、本発明によれば、タンデム方式のカラープリンタの副走査方向、主走査方向、斜め方向の位置合わせを電気的に行うことによって、機械的精度、組立、調整に要する時間を低減することができ、低コスト化が可能となる。また、画像の副走査方向の重ね合わせを精度良く行う事により、高画質な多色画像記録装置を得ることができる。
【0095】
また本発明によれば、メモリ容量を削減することができ、上述と同様装置の低コスト化を図ることができる。
【0096】
【図面の簡単な説明】
【図1】
一実施形態におけるカラープリンタの全体構成図である。
【図2】
一実施形態におけるカラープリンタのシステム構成図である。
【図3】
エンジンコントロール部のシステム構成図である。
【図4】
印字ヘッドのドライブ回路を示す回路図である。
【図5】
カラープリンタの動作を説明するタイムチャートである。
【図6】
一実施形態におけるカラープリンタの副走査方向のヘッド位置を調整するパターン図である。
【図7】
一実施形態におけるカラープリンタのLEDヘッドを駆動するタイムチャートである。
【図8】
一実施形態におけるカラープリンタの印字ヘッドを駆動するタイムチャートである。
【図9】
一実施形態におけるカラープリンタの主走査方向のヘッド位置を調整するパターン図である。
【図10】
補正制御部36の具体的回路図である。
【図11】
主走査方向の印字ヘッドの位置ズレの補正方法を説明する図である。
【図12】
主走査方向の印字ヘッドの位置ズレの補正方法を説明する図である。
【図13】
印字ヘッドの位置ズレを説明する図である。
【図14】
印字ヘッドの位置ズレを補正するためのデータを説明する図である。
【図15】
印字ヘッドの位置ズレを補正するためのデータを説明する図である。
【図16】
印字ヘッドのズレ量と分割数の関係を示す図である。
【図17】
(a)、(b)は印字ヘッドの位置ズレを説明する図であり、(c)は印字ヘッドの位置ズレの補正方法を説明する図である。
【図18】
(a)、(b)は印字ヘッドの位置ズレを説明する図であり、(c)はLEDヘッドの位置ズレの補正方法を説明する図である。
【図19】
(a)、(b)はLEDヘッドの位置ズレを説明する図であり、(c)はLEDヘッドの位置ズレの補正方法を説明する図である。
【図20】
(a)、(b)はLEDヘッドの位置ズレを説明する図であり、(c)はLEDヘッドの位置ズレの補正方法を説明する図である。
【図21】
補正制御部の他の具体的回路図である。
【図22】
各色の印字結果が用紙の進行方向に対して直交しない場合の例を示すものであり、主走査方向の印字ヘッドの位置ズレの補正方法を説明する図である。
【図23】
シアン(C)の印字画像が用紙の進行方向に対して直交する例を示す図である。
【図24】
マゼンダ(M)の印字画像を上記シアン(C)の印字画像に一致して重ねるにはどうすれば良いかを示した図である。
【図25】
6ライン目の印字開始時点で保持しておく必要のあるデータを説明する図である。
【図26】
シアン(C)の印字画像に対してマゼンダ(M)の印字画像がいわゆる右下がりの状態である場合の例を説明する図である。
【図27】
マゼンダ(M)の印字画像を上記シアン(C)の印字画像に一致して重ねるにはどうすれば良いかを示した図である。
【図28】
6ライン目の印字開始時点で保持しておく必要のあるデータを説明する図である。
【図29】
第2の実施形態例を説明するシステム構成図である。
【図30】
第2の実施形態例を説明するアドレス表である。
【図31】
アドレスデータの変換テーブルである。
【図32】
印字ヘッドの配設構成図である。
【図33】
通常使用される印字ヘッドの配設構成図である。
【図34】
(a)、(b)は第3の実施形態例を説明する印字ヘッドの配設構成図である。
【符号の説明】
1 カラープリンタ
2 用紙供給/搬送機構
3 画像形成ユニット
4 定着器
5 給紙カセット
6 用紙搬送系
7 用紙搬送経路
8 給紙コロ
9 待機ロール
10、11 駆動ロール
12 搬送ベルト
13 除電器
15〜18 画像形成ユニット
20 感光体ドラム
21 帯電器
22 印字ヘッド
23 現像器
23’現像ロール
24 転写器
26 プリントコントロール部
27 エンジンコントロール部
28 PPCカラーエンジン部
29 ホストコンピュータ
30 CPU
31 ROM
32 RAM
33 EEPROM
34 ビデオI/F制御部
35 ヘッド制御部
36 補正制御部
37 入出力制御部
38 オペレーションパネル
40 VSYN
41 HSYN
42 VIDEO
43 VCLK
61、62、71〜77 ラインバッファ
63、78 アドレス制御部
64、70 入力制御部
65、79 出力制御部
80 入力制御部
81 アドレス制御部
82 メモリ
83 剰余算出回路
84 アドレス変換回路
85 出力制御部
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-02-10 
出願番号 特願平8-343974
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (B41J)
最終処分 取消  
前審関与審査官 中村 圭伸  
特許庁審判長 番場 得造
特許庁審判官 津田 俊明
清水 康司
登録日 2002-09-27 
登録番号 特許第3353629号(P3353629)
権利者 カシオ電子工業株式会社 カシオ計算機株式会社
発明の名称 多色画像記録装置  

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