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審判番号(事件番号) | データベース | 権利 |
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不服20061739 | 審決 | 特許 |
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審決分類 |
審判 査定不服 (訂正、訂正請求) 取り消して特許、登録 A61K |
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管理番号 | 1099385 |
審判番号 | 不服2003-18446 |
総通号数 | 56 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2004-08-27 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2003-09-22 |
確定日 | 2004-07-27 |
事件の表示 | 特許権存続期間延長登録願2000-700142拒絶査定不服審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 原査定を取り消す。 本願については、特許権の存続期間の延長登録をすべきものとする。 特許番号 特許第1864295号 延長の期間 5年 特許法第67条第2項の政令で定める処分の内容 願書に記載のとおり |
理由 |
原査定の理由は、本件特許請求の範囲に記載されている変形されたインターフェロン-βは天然のインターフェロン-βの17位のみの置換又は欠失であるからN末端のメチオニンを有するのに対し、本件の特許法第67条第2項の政令で定める処分の対象となった物である「インターフェロンベーター1b」は、N末端のメチオニンが欠けているから、本件特許請求の範囲の物ではないとし、特許法第67条の3第1項第1号の規定により延長登録出願は拒絶すべきものであるというものである。しかしながら、下記の理由から、原査定の理由によって本願を拒絶することはできない。また、他に本願を拒絶すべき理由を発見しない。 よって結論の通り審決する。 記 本件特許の特許請求の範囲は以下のとおりである。 [第1項] 天然インターフェロン-βの17位のシステイン残基が他のアミノ酸残基により置き換えられているか、又は欠失しており、且つ天然インターフェロン-βの生物学的活性を有する変形されたインターフェロン-β。 上記において、「変形されたインターフェロンβ」中の「天然インターフェロン-βの17位」とは、「変形されたインターフェロン-β」と、「天然インターフェロン-β」のアミノ酸配列とを対比したときに、「天然インターフェロンβの17位」に相当する位置を意味するものであるが、このことは、本件明細書において、実施例9で、天然インターフェロン-βの17位をセリンに置換した「IFN-βser17」を作るように形質転換されたE.コリから回収された調製物である「IFN-βser17」についてN末端がメチオニンを欠き実際のセリンの位置は調整されたIFN-βにおいては16位であるにもかかわらず、ser17と表記していることからも明らかである。 また、大腸菌で代表される原核細胞宿主を用いて、外から導入したDNAからペプチド又はタンパク質を発現させる場合、翻訳開始コドンとしてメチオニンをコードする「ATG」が使用され、翻訳された直後においてはN末端にメチオニンが存在すると推定されるが、このメチオニンはすぐに除去されてしまい、N末端にメチオニンを有する発現生成物(ペプチド又はタンパク質)が検出・回収できない場合があることは当業界においてよく知られており、(「Stryer,Biochemistry(1981), p.656-661」の第661頁「MANY PROTEINS ARE MODIFIED FOLLOWING TRANSLATION」、Watson,Molecular Biology of the the Gene(1976)p327-328 )、さらに、原核細胞宿主では発現生成物のグリコシル化がされないことも周知である。 本件特許明細書においても、上記実施例9の記載によれば、突然変異IFN-βser17遺伝子を大腸菌で発現させて得た調製物は、N末端メチオニンが上記のように不可避的に除去され、グリコシル化されていない状態であるが、インターフェロン-βとしての生物学的活性を有しており、この調製物を「IFN-βser17」と称している。 本件発明の技術的特徴は、組換えDNA技術により微生物学的にインターフェロン-βを製造する際にマルチマーが生成するという問題を解決するために、天然のインターフェロン-βの17位のシステインを他のアミノ酸残基と置換又は欠失させ変形させることにあるのは本件特許明細書の記載から明らかであり、この変形部位が特許請求の範囲に特定されているのであるが、本件発明が微生物学的にタンパク質を製造することを前提とする発明であることに照らせば、この変形位置を「天然のインターフェロン-βの17位」と特定したことが、それ以外の位置に起こりうる通常の変形、即ち微生物学的手法を採用することに伴って不可避的に生じるN末端のメチオニンの欠如という変形までも排除する趣旨と解することはできない。 そうすると、天然インターフェロン-βの17位のシステイン残基がセリンに置換され、N末端メチオニンが欠失している以外は天然インターフェロン-βと同じアミノ酸配列を有し、その生物的活性を有する「インターフェロンベーター1b」が本件特許請求の範囲の物ではないとする原査定の判断は妥当ということはできない。 |
審決日 | 2004-07-15 |
出願番号 | 特願2000-700142(P2000-700142) |
審決分類 |
P
1
8・
71-
WY
(A61K)
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最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 冨永 保 |
特許庁審判長 |
森田 ひとみ |
特許庁審判官 |
谷口 博 深津 弘 |
発明の名称 | 変形されたインターフェロン―β及びその製造方法 |
代理人 | 樋口 外治 |
代理人 | 西山 雅也 |
代理人 | 石田 敬 |
代理人 | 福本 積 |
代理人 | 鶴田 準一 |