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審決分類 審判 訂正 2項進歩性 訂正しない A01K
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない A01K
管理番号 1102182
審判番号 訂正2003-39221  
総通号数 58 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-01-16 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2003-10-17 
確定日 2004-08-23 
事件の表示 特許第3193569号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第一.請求の要旨
本件訂正審判請求の要旨は、特許第3193569号(平成6年6月27日出願、平成13年5月25日設定登録)の明細書について訂正が認められた平成14年2月13日付訂正明細書を、特許請求の範囲の減縮を目的として審判請求書に添付した明細書のとおりに訂正しようとするものであるところ、その特許請求の範囲の請求項1に記載された発明(以下「訂正発明」という)は、以下のとおりである。
「底板と周壁体と天井体とによって愛玩動物を収容する収容空間を形成した愛玩動物用畜舎において、前記天井体を前記周壁体に対して複数のスライドバックルにより着脱自在とし、前記複数のスライドバックルの全てをアンロック位置に操作すると前記天井体を取り外すことができ、前記複数のスライドバックルの一部のみをアンロック位置に操作すると前記天井体の一部が回動自在な扉として機能するよう構成するとともに、前記スライドバックルとして、操作用の突起を有し前記天井体の取付箇所に設けられた係止孔に嵌挿可能なスライダを備えたスライドバックルを用い、かつ、前記係止孔を前記天井体の取付箇所を2分する中央線に関し互いに対称となるように設定することにより、前記天井体が向きを左右に逆転させて前記複数のスライドバックルにより前記周壁体に対して取り付けることができるようにしたことを特徴とする愛玩動物用畜舎。」


第二.特許法第126条の独立特許要件:特許法第36条の訂正拒絶理由
[1].平成15年12月25日付で通知した当審の訂正拒絶理由の概要 請求項1には、「係止孔を前記天井体の取付箇所を2分する中央線に関し互いに対称となるように設定することにより、前記天井体が向きを左右に逆転させて周壁体に対して取り付けることができる」旨記載されているが、当該記載事項は以下(A)、(B)の点が不明であるから、当該訂正発明は、出願の際独立して特許を受けることができないというものである。
(A).「天井体の取付箇所」とは何処を指すのか不明である。
(B).天井体の向きを左右に逆転させてスライドバックルにより取付可能とする場合、当該スライドバックルの位置を特定しないときは、天井体の左右は点対称となることが必要であるが、当該構成は記載されていないから、中央線に関して互いに対称とすることにより、左右逆転して如何様に取付けられるのか不明である。

[2].審判請求人の主張。
(A-1).「本件特許明細書の実施例に即して言いえば、「取付箇所」とは、天井体5が内嵌される矩形状の開口部41と、その開口部41を形成し係止孔44が設けられる枠体4の内周面42とからなる箇所全体を指している。」
(A-2).「本件特許の【0011】、【0019】、【図2】には、天井体5が着脱自在に内嵌される矩形状の開口部41と、その開口部41を形成し係止孔44が設けられる枠体4の内周面42とからなる箇所全体、すなわち訂正発明における「取付箇所」を左右に2分する中央線Lに関し互いに対称となるように各係止孔44の位置を設定することが示されている。」
(B-1).訂正発明では「係止孔を天井体の取付箇所を左右に2分する中央線に関し互いに対称となるように設定し、かつこの係止孔の位置設定に応じて天井体が向きを左右に逆転させて取り付けることができるように、天井体におけるスライドバックルの位置を設定する」ものであるから、訂正発明においてはスライドバックルの位置は係止孔の位置に応じて特定されるものである。
(B-2).実公平3-54032号公報第9図の例は、「係止孔を天井体の取付箇所を左右に2分する中央線に関し互いに対称となるように設定する」という構成と、「上記係止孔の位置設定に応じて、天井体が向きを左右に逆転させて複数のスライドバックルにより周壁体に対して取り付けることができるように、天井体におけるスライドバックルの位置を設定する」という構成のうち後者を具備するものではないから、訂正発明の構成に該当するものではない。

[3].審判請求人の主張に対する反論
(3-1).一般的に左右逆転しても、逆転しない場合と同様の状態にするためには点対称とすればよいことは周知の事項であるが、訂正発明は、2分する中央線に対称と記載されているので、2分する中央線に対称との構成で当該逆転の場合も可能か否か以下検討する。
(3-2).前記請求人の主張からすると、取付箇所とは天井体が覆う開口の周囲全体を指すと言うことになるから、「取付箇所を2分する中央線」とは、前記開口、すなわち、枠体を2分する線、例えば左右に2分する線、上下に2分する線、開口が正方形ならば対角線等が想定できる(なお、当該2分する線を2等分線として話を進める。)。
(3-3).ところが、訂正発明は、係止孔の位置が特定されていないから、例え、枠体を2分する中央線Lに関し互いに対称となるように係止孔が設定されていたとしても、「天井体が向きを左右に逆転させて周壁体に対して取り付けること」ができないことは、例えば、図2において、枠体を2分する中央線Lを挟んで設けられている固定側天井部材、可動側天井部材の下側に設けられている係止孔44,44を除去した場合には、天井体の向きを左右逆転させると取付けることができないこと、さらには、実公平3-54032号公報第9図に示されるようにスライドブロック2を模擬的に見えている2とした場合に、蓋の取付箇所を2分する中央線(スライドブロック2,2の中間点を通過する長手方向線)に関し互いに対称となるように取付箇所を配置したとしても、左右逆転した場合には取付け不可能となるものであるが、同公報第8図に示されるように長手方向両端部中央にスライドブロック2を設けた場合、すなわち、左右に2分した中央線に対称に配設した場合でもそのスライドブロックの配設位置を特定することにより左右逆転した場合に取付け可能となるものである。
しかしながら、訂正発明には、係止孔の配設位置、スライドバックルの配設位置、及び両者間の配設位置関係が規定されていないから、向きを左右逆転した場合に必ず取付け可能となるとは言えないものであり、この点不明瞭である。
(3-4).係止孔の配設位置、スライドバックルの配設位置関係について、請求人は「係止孔の位置設定に応じて天井体が向きを左右に逆転させて取り付けることができるように天井体におけるスライドバックル位置を設定する」旨主張するが、請求項1には「スライドバックル位置を設定する」旨の記載は認められないから、当該主張は理由がない。

[4].まとめ
したがって、訂正発明は、訂正拒絶理由のとおり出願の際独立して特許を受けることができないものである。


第三.特許法第126条の独立特許要件:特許法第29条第2項の訂正拒絶 理由
[1].当審で通知した訂正拒絶の理由は、訂正発明は、(A)実公昭50-32470号公報、(B)実願平4-78862号(実開平6-34448号)のCD-ROM、(C)意匠登録第900513号公報に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明できたもので、出願の際独立して特許を受けることができないものである、というもので、以下詳細に記載する。
<1>.刊行物記載事項
(A)実公昭50-32470号公報(本件特許の無効審判事件(無効2002-35438号)に添付された甲第2号証、以下甲号証は同様、以下「刊行物1」という)記載事項。
(A-1).「コンテナー1の蓋部2は前方中央に鶏の通孔3を設け、通孔3の後端縁4に左右及び中央に突片5,5´,5´´を設け通孔3に装着の小蓋6には後端縁7の左右に前記左右の突片5´,5´´の盲貫小孔8,8´に嵌挿のピン9,9´を突設なし、その中央に前記中央の突片5の通孔10と連通の通孔11,11´を有する併列の突片12,12´を設けて蝶結なし2条の┐型機枠13,13´に懸架の断面工字状引掛け杆握り柄14の先端には之れに連結して段部15を設けて身部16の縁枠17の窪部18に挿入なす引掛け杆19を突設し、」(第2欄第4〜15行)
(A-2).「蓋部2の基体20には上方への彎曲部21,21´・・・下方への彎曲部22,22´・・・を各々形成し身部16の両側壁板24,24´に小孔25,25´を穿設し夫々の彎曲部21,21´・・・22,22´・・・小孔25,25´を挿通の止留片26を有する金属製支承杆27を各々嵌挿して支承杆27の小孔28に割ピン29を止着すべくなし蓋部2身部16は之れをプラスチック材料にて一体成型なしたものである。」(第2欄第15〜24行)
(A-3).「本考案は上記の構造であるからコンテナーに鶏を収納なすには支承杆を抜脱して蓋部を取除き収納なすものである。然して収納後は支承杆を身部小孔及び上下彎曲部を連通して挿通し、割ピンを支承杆の小孔に挿入して被蓋なし小蓋の引掛け杆握柄を摺動させその先端引掛け杆を身部の縁枠の窪部に挿入引掛けて小蓋を止留なすものである。然してコンテナーから鶏を開放し又は之れを移し代えるには、引掛け杆握り柄を把持して後退させその身部の縁枠との引掛りを解き小蓋後端縁の蝶結を利用して小蓋を開披し、コンテナー側を持ち上げ身部の縁枠が地面に接地なすまで傾倒なすとき鶏は通路を利用して傾斜角度に従って逐次口縁より脱出なし、自然の中に開放されることゝなる」(第2欄第25〜末行)
(A-4).また、当該コンテナーは、鶏の輸送に使用されるものであるから、底部、周囲壁、蓋部から構成されることは明らかである。
そして、コンテナーは蓋部、身部で表現されているので、身部はコンテナーの周囲壁、底部を包含する表現であると認められる。
(A-5).してみると、刊行物1に記載された発明(以下「引用発明」という)を、訂正発明に準えて記載すると以下のとおりである。 すなわち、
底部、周囲壁等からなる身部と蓋部とによって動物を収容する収容空間を形成した動物用コンテナーにおいて、前記蓋部を身部である前記周囲壁に対して、引掛け杆握り柄の先端の引掛け杆を身部の縁枠の窪部に挿入する係止手段を含む複数の係止手段により着脱自在とし、前記複数の係止手段の全てをアンロック位置に操作すると前記蓋部を取り外すことができ、前記複数の係止手段の一部である引掛け杆握り柄の先端の引掛け杆を身部の縁枠の窪部に挿入する係止手段をアンロック位置に操作すると前記蓋部の一部である小蓋が回動自在な扉として機能するよう構成した動物用コンテナー。

(B)実願平4-78862号(実開平6-34448号)のCD-ROM(甲第1号証、以下「刊行物2」という)記載事項。
【0012】欄に、「図2〜4に示すように、このペットケージ1は、ポリプロピレンを成形した各部材により直方体形状に組み立て形成され、床面に載置される底板2と、この底板2上に組み立てられる、扉3を備えた前面周壁4、左右側周壁5,6および背面周壁7と、それら各周壁4,5,6上に載設される天板8とから構成されている。天板8は、その中央部にてピン結合(図示省略)により回動自在に連結された2枚の分割天板8a,8bからなり、左右どちらの分割天板8a,8bも上方に開くことができるように構成されている。」と記載されている。

(C)意匠登録第900513号公報(甲第3号証、以下「刊行物3」という)記載事項。
「天面パネルは組立方により左右に変えることができる。左側面図は右側面図と対称にあらわれる。」(第1頁「(55)説明」欄、第2〜3行)

<2>.訂正発明と刊行物1に記載された発明との対比
(1).訂正発明の認定
訂正発明は、前記「第二」に記載したように不明瞭な点が存在するので、当該不明瞭な点については、天井体の向きを逆転させても取付可能な対称配置の場合を想定する。
(2).訂正発明と引用発明との構成上の対応関係
(i).後者における「蓋部2」は、前者における「天井体」に、後者における「小蓋」は、前者の「天井体の一部が回動自在な扉」に、その機能から見て各々対応する。
(ii).後者におけるコンテナーは、前記のように身部がコンテナーの周囲壁、底部を包含する表現であると認められるので、後者における「身部」は、前者における「底板」、「周囲壁」に、後者における「コンテナー」は、前者の「動物畜舎畜舎」に各々対応当する。
(iii).後者における「身部16の窪部18と当該窪部18に挿脱する引掛け杆19を設けた引掛け握り柄14」等からなる係止手段は、前者ににおける「スライドバックル」に対応する。
(iv).前者における「愛玩動物」は、動物である点において後者における「鶏」に対応する。
(3).訂正発明と刊行物1に記載された発明との一致点、相違点
(i).一致点
「底板と周壁体と天井体とによって動物を収容する収容空間を形成した動物用畜舎において、前記天井体を前記周壁体に対してスライドバックルを含む取付手段により着脱自在とし、前記スライドバックルを含む取付手段の全てをアンロック位置に操作すると前記天井体を取り外すことができ、前記取付手段の一部であるスライドバックルをアンロック位置に操作すると前記天井体の一部が回動自在な扉として機能するよう構成するとともに、前記スライドバックルとして、操作用の突起を有し前記天井体の取付箇所に設けられた係止孔に嵌挿可能なスライダを備えたスライドバックルを用いたことを特徴とする動物用畜舎。」

(ii).相違点
(ア).天井体と周壁体を着脱自在とする取付手段として、前者は総てがスライドバックルであるのに対し、後者は、天井体の回動自在な扉として機能する部分に用いられているスライドバックルと、支承杆である点、
(イ).天井体の取付に関して、前者は、取付箇所を2分する中央線に関して互いに対称となるように係止孔を設定することにより、天井体の向きを左右逆転させても取付可能としているのに対し、後者は、向きを左右に逆転させて取付けることに関しては記載されていない点。
(ウ).動物用畜舎に関して、前者は愛玩用と限定されているのに対し、後者には当該限定が無い点。

(4).相違点の検討
(i).相違点(ア)について、
スライドバックルは、例えば、刊行物1、実公昭63-27573号公報(止金具17参照)、実願昭60-166965号(実開昭62-74556号)のマイクロフィルム(スライド型錠片22参照)、実公平3-54032号公報(スライドブロック2参照)に見られるように周知の係止手段であり、しかも、2物体間の取付手段を全て解除することにより、当該2物体を分離できること等も周知の事項であることを勘案すれば、天井体の着脱の手段として、全てを当該スライドバックルで構成する点に困難性は認められない。
そして、その効果も予測の範囲内の効果で格別のものではない。

(ii).相違点(イ)について、
天井体の向きを左右に逆転させて周壁体に対して取り付け可能とすることは刊行物3に記載されており、しかも、係止手段を、取付部を2分する中央線に関して左右対称に配置した場合でも、その配置位置により点対称と同様に、蓋の向きを左右逆転させても取付可能となることは、例えば、実公平3-54032号公報第8図に示されるように、周知の知識であるから、当該相違点は周知の点対称の知識に基づいて当業者が容易に想到できることと認められる。
したがって、当該相違点も格別ではない。
(iii).相違点(ウ)について、
動物用畜舎は動物を収容するものであり、単に「愛玩用」と限定したことのみで格別の構成が具備されているとは認められない。
したがって、当該限定は単なる設計的事項であるから、当該相違点も格別のものではない。

(5).むすび
以上のとおりであるから、訂正発明は、刊行物1、3に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたもので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。
したがって、訂正発明は、出願の際独立して特許を受けることができないものである。


<2>.請求人の主張
(1).相違点(ア)の判断誤り
(1-1).2物体間の取付手段を全て解除することにより、当該2物体を分離できること等が周知の事項であることからして、天井体と周壁体の着脱をすべてスライドバックルで行なうことにより、これらスライドバックルの操作のみで天井体を周壁体から取り外すことができることは予測の範囲内の効果であるとしても、天井体と周壁体を着脱自在とするスライドバックルと、天井体を扉にするためのスライドバックルとを兼用することにより、同じスライドバックルの簡単な操作のみで天井体を周壁体から取り外したり、天井体を扉にしたりすることができるという効果は、当業者が予測し得る範囲のものではない。
(1-2).刊行物1の発明において、天井体と周壁体を着脱自在とする取付手段と天井体を扉にするための取付手段とを別々にする構成を採用しているのは、蓋全体が身部から外れて鶏が逃げ出すこと等を防ぐ目的で、蓋が外れにくくなるように、わざわざ、蓋全体を着脱するときには支承杆の面倒な操作が必要となるようしていると考えられる。したがって、刊行物1の発明には、天井体と周壁体を着脱自在とするスライドバックルの一部を、天井体を扉にするためのスライドバックルとして利用するという訂正発明の技術思想に至る動機付けは存在せず、むしろ訂正発明の構成に対する阻害要因となると考えられる。

(2).相違点(イ)の判断誤り
刊行物3に記載されていることは「天面パネルは組立方により左右に変えることができる」ということだけである。
刊行物の畜舎は天井体の向きを左右に変えて取付けることができるものであるが、一旦組み立てた後は天井体を周壁体から取り外すことが難しいものであるが、訂正発明は、いったん組み立てた後に随時スライドバックルの簡単な操作のみで天井体の向きを容易に左右に変えることができるものであるから、訂正発明の構成は開示も示唆もされていない。

<3>.請求人の主張に対する反論
(1).相違点(ア)の主張に対する反論
刊行物1には、天井体の一部を形成する小蓋について、「小蓋の引掛け杆握り柄を摺動させてその先端引掛け杆を身部の縁枠の窪部に挿入引掛けて小蓋を止留なす」小蓋係止手段が示されており、当該小蓋係止手段はその先端を身部に挿入するものであるから、天井体を係止する機能を有することは当業者にとっては明らかなことである。
してみると、刊行物1には、天井体と周壁体を着脱自在とするスライドバックルと、天井体を扉にするためのスライドバックルとを兼用する点が示されている。
また、係止手段としてスライドバックルは周知であるから当該スライドバックルを採用するか否かは、囲い込む動物の態様に応じて行なう設計的事項である。
すなわち、係止手段は、天井体、扉等の開閉頻度、係止手段の強固さ等と、囲い込む動物が活発か否か等の動作態様等を勘案して選択する設計的事項であると認められるから、当該目的に応じて相違する係止手段を畜舎の係止手段として採用することは当業者ならば適宜為し得ることである。
したがって、相違する係止手段を具備するからといって、それらを同一の係止手段にすることに阻害要因があるとは認められない。

(2).相違点(イ)の主張に対する反論
審判請求人は、刊行物3の畜舎は天井体の向きを左右に変えて取付ることができるものであるが、一旦組み立てた後は天井体を周壁体から取り外すことが難しいものである旨主張するが、刊行物3には審判請求人も言うように、「天面パネルは組立方により左右に変えることができる」ということだけであり、組立後は天井体を取り外すことは難しい旨の記載は認められない。
また、蓋などを左右逆転しても取付ることができるようにすることは、実公平3-54032号公報に見られるように周知の事項であるから、刊行物3に記載された「天面パネルは組立方により左右に変えることができる」との記載に基づいて、刊行物1の天井体を左右逆転させても取付可能とするように、周知の点対称の知識に基づいて構成することは当業者が容易に想到できることである。



第四.結び
以上のように、請求人の主張も格別のものではないから、本件審判の請求は、特許法等の一部を改正する法律(平成15年法律第47号)付則第2条第7項の規定によりなお従前の例によるとされる、平成6年改正前の特許法第126条3項の規定に適合しない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-06-04 
結審通知日 2004-06-08 
審決日 2004-07-13 
出願番号 特願平6-167426
審決分類 P 1 41・ 856- Z (A01K)
P 1 41・ 121- Z (A01K)
最終処分 不成立  
特許庁審判長 中村 和夫
特許庁審判官 村山 隆
白樫 泰子
登録日 2001-05-25 
登録番号 特許第3193569号(P3193569)
発明の名称 愛玩動物用畜舎  
代理人 福迫 眞一  
代理人 畑中 芳実  

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