• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 4号2号請求項の限定的減縮 特許、登録しない。 F16F
審判 査定不服 特174条1項 特許、登録しない。 F16F
管理番号 1103567
審判番号 不服2002-13428  
総通号数 59 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-02-28 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-07-18 
確定日 2004-10-01 
事件の表示 特願2001-145620「有機スプリング、波スプリング及びその製造方法」拒絶査定に対する審判事件[平成14年2月28日出願公開、特開2002-61691]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年4月9日の出願であって、平成13年9月12日付の拒絶理由通知に対して平成13年11月26日付で手続補正書が提出され、次いで、平成14年2月6日付の最後の拒絶理由に対しては応答がなく、平成14年6月13日付で拒絶査定がされ、これに対し、平成14年7月18日に拒絶査定に対する審判請求がされるとともに、同日付で手続補正がされたものである。

2.平成14年7月18日付の手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成14年7月18日付の手続補正を却下する。

[理由]

(1)本件補正の内容
平成14年7月18日付の手続補正(以下、「本件補正」という。)は、特許請求の範囲に関しては、以下の事項を内容とするものである。
[補正事項]
明細書(平成13年11月26日付手続補正後のもの)の特許請求の範囲の記載、
「【請求項1】ばね性のある線材を、連続した波形で側面形状を直線に成形したエレメントの、各頂点部を直線上に並べ、各頂点部を連続した別部材により固定した、U字ばね形状のばね構成要素が各々独立して連続した、段階的にばね定数を変えることが出来る、U字ばねの面外荷重を特徴とするクッション材。
【請求項2】請求項1記載の別部材によるエレメントの固定部を、エレメントの中央部付近とした、請求項1記載のクッション材。
【請求項3】請求項1記載のエレメントの頂点部を丸状にして、連続した丸状の別部材により固定した、円筒面、回転体表面、球面に取り付け可能を特徴とする請求項1、2記載のクッション材。
【請求項4】請求項3記載のエレメント先端を、他の別部材で固定した、樽型構造、回転体表面に取り付け可能を特徴とする請求項3記載のクッション材。
【請求項5】請求項1記載のエレメント2個を、各山部が合致するように斜交いに置き三角形の2辺とし、底辺を1/2波高のエレメント2個で作り、以上の三辺で三角形を構成し、三辺全てを同位相とした三角形のユニットを連続して横方向、上方向に各山、谷部分が合流するように配置し、合流する各エレメントの山、谷部分を別部材により固定した構造の、斜交い部の二辺を曲げ加工で製作できる、各層の仮想平面を曲面にできる、円筒面上,回転体表面に取り付け可能、横幅を変化させることができることを特徴とするクッション材。
【請求項6】請求項5記載の三角形のユニットを、四角形のユニットとした請求項5記載のクッション材。
【請求項7】請求項1記載のエレメントを同位相にして、エレメントのピッチで垂直に並べた第1層の上に、第1層のエレメントと直角方向に同様に配置した第2層を第1層の山と、第2層の谷が合致するように重ね、この合致する部分を溶接により固定した、各層の仮想平面を曲面にできる、円筒面上に取り付け可能、最上段の層は面内荷重、これより下の層は面外荷重を特徴とするクッション材。
【請求項8】請求項7記載の重ね方を、第1層の山と第2層の山とした、請求項7記載のクッション材。
【請求項9】請求項1記載のエレメントを交互に半周期の位相差をもたせ、1/2ピッチで垂直に並べた第1層の上に、同様に配置した第2層を第1層のエレメントと直角方向にし、第1層の山と、第2層の山が合致するように重ね、この合致する部分を溶接により固定した、プレス加工で製作できることを特徴とするクッション材。
【請求項10】ばね性のある線材で、線幅を太くした十文字の縁に沿って一巡して閉じた形にし、相対するコの字部分を上向きに、他方の相対するコの字部分を下向きに折り曲げた形をした、この4方向に伸びた腕どうしを別部材で固定する事により、XYZ軸方向に連結ができる、円筒面上に取り付け可能を特徴とするクッション材。
【請求項11】継手とばね性のある別部材を用い、継手間に自由度をもたせたことを特徴とする請求項4〜9記載のクッション材。
【請求項12】請求項1、2、4〜10記載の材料を板材としたもの。
【請求項13】請求項1〜9記載のエレメントの側面形状を円弧としたもの。」を、
「【請求項1】連続した波形に成形したばね材(エレメント)とそのエレメントを固定する別部材とを有するクッション材において、エレメントの片方の各頂点部を直線上に配置し、この各頂点部を連続した別部材により固定した、U字ばね形状のばね構成要素が各々独立して連続していることを特徴とするクッション材。
【請求項2】請求項1記載の別部材によるエレメントの固定部を、エレメントの中央部付近とした、請求項1記載のクッション材。
【請求項3】連続した波形に成形したばね材(エレメント)とそのエレメントを固定する別部材とを有するクッション材において、エレメントの片方の各頂点部を丸状に配置し、連続した丸状の別部材によりエレメントの片方の各頂点部又はエレメントの中央部付近を固定した、円筒面、回転体表面、球面に取り付け可能を特徴とするクッション材。
【請求項4】請求項1〜3記載の別部材で固定してない方のエレメント先端を、更に他の別部材で固定したことを特徴とする請求項1〜3記載のクッション材。
【請求項5】請求項1記載のエレメント2個を、各山部が合致するように斜交いに置き三角形の2辺とし、底辺を1/2波高のエレメント2個で作り、以上の三辺で三角形を構成し、三辺全てを同位相とした三角形のユニットを連続して横方向、上方向に各山、谷部分が合流するように配置し、合流する各エレメントの山、谷部分を別部材により固定した構造の、斜交い部の二辺の連続した形状を曲げ加工で製作できる、各層の仮想平面を曲面にできる、円筒面上,回転体表面に取り付け可能、横幅を変化させることができることを特徴とするクッション材。
【請求項6】請求項5記載の三角形のユニットを、四角形又は六角形のユニットとした請求項5記載のクッション材。
【請求項7】請求項1記載のエレメントを同位相にして、エレメントのピッチで垂直に並べた第1層の上に、第1層のエレメントと直角方向に同様に配置した第2層を第1層の山と、第2層の谷が合致するように重ね、この合致する部分を溶接等により固定した、各層の仮想平面を曲面にできる、円筒面上に取り付け可能を特徴とするクッション材。
【請求項8】請求項7記載の第1層と第2層の重ね方を、第1層の山と第2層の山とした、プレス加工で製作できることを特徴とする請求項7記載のクッション材。
【請求項9】請求項1記載のエレメントを交互に半周期の位相差をもたせ、1/2ピッチで垂直に並べた第1層の上に、同様に配置した第2層を第1層のエレメントと直角方向に配置し、第1層の山と、第2層の山が合致するように重ね、この合致する部分を溶接等により固定した、プレス加工で製作できることを特徴とするクッション材。
【請求項10】少なくとも一つのばね構成要素を具備するクッション材において、前記ばね構成要素が、その平面図における右向きに伸びている第一の腕部と、その平面図における上向きに伸びている第二の腕部と、その平面図における左向きに伸びている第三の腕部と、その平面図における下向きに伸びている第四の腕部とを具備し、前記第一の腕部と前記第三の腕部とが、ばね構成要素の平面図の表面側に伸びており、前記第二の腕部と前記第四の腕部とが、ばね構成要素の平面図の裏面側に伸びている、この四方向に伸びた腕どうしを別部材で固定することによりXYZ方向に連結ができることを特徴とするクッション材。
【請求項11】継手とばね性のある別部材を用い、継手間に自由度をもたせたことを特徴とする請求項4〜9記載のクッション材。」と補正する。

(2)補正の目的の適否
上記補正事項は、具体的には以下の(a)〜(f)を内容とするものを含むものである。
(a)請求項1について
本件補正後の「連続した波形に成形したばね材(エレメント)とそのエレメントを固定する別部材とを有するクッション材において、エレメントの片方の」、「連続していること」は、それぞれ、補正前の「ばね性のある線材を、連続した波形で側面形状を直線に成形したエレメント」から、「側面形状を直線に成形した」を削除するとともに、「連続した、段階的にばね定数を変えることが出来る、U字ばねの面外荷重を」から、「段階的にばね定数を変えることが出来る、」、「面外荷重」を削除するものである。

(b)請求項4について
本件補正に係る「更に他の別部材で固定した」は、補正前の「他の別部材で固定した、樽型構造、回転体表面に取り付け可能を」から「樽型構造、回転体表面に取り付け可能を」を削除するものである。

(c)請求項6について
本件補正に係る「四角形の」は、補正前の「四角形又は六角形の」から「六角形」を削除するものである。

(d)請求項7について
本件補正に係る「円筒上面に取り付け可能」は、補正前の「円筒面上に取り付け可能、最上段の層は面内荷重、これより下の層は面外荷重を」から「最上段の層は面内荷重、これより下の層は面外荷重を」を削除するものである。

(e)請求項9について
本件補正に係る「溶接等により」は、補正前の「溶接により」に、「等」の別の概念を付加するものである。

(f)請求項10について
本件補正に係る「XYZ方向に連結ができる」は、補正前の「XYZ軸方向に連結ができる、円筒面上に取り付け可能」から「円筒面上に取り付け可能」を削除するものである。

(g)まとめ
上記補正事項は、上記(a)〜(f)のように、特許請求の範囲の記載事項の一部を削除するか、又は記載事項の一部に別の概念を付加するものであって、本件補正により、特許請求の範囲が拡張したことは明らかである。
してみると、このような補正事項を含む本件補正は、特許法第17条の2第4項第2号に規定する特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当しないばかりか、同条同項第1号に規定する請求項の削除、同条同項第3号に規定する誤記の訂正、同条同項第4号に規定する明りょうでない記載の釈明を目的とするもののいずれにも該当しない。

(3)結論
以上のとおりであるから、本件補正は、特許法第17条の2第4項の規定に適合しないものであり、同法第159条第1項の規定により読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

3.本願発明について
平成14年7月18日付けの手続補正は上記のとおり却下されたので、本件出願に係る発明は、平成13年11月26日付けの手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1〜13に記載された事項により特定されるとおりのものである(記載事項については、上記2(1)欄の補正前のものを参照)。

(1)原査定の拒絶の理由の概要
原査定の拒絶の理由の概要は、平成13年11月26日付けでした手続補正(以下、「手続補正1」という。)は、「補正後の請求項1の「段階的にばね定数を変えることが出来る、U字ばねの面外荷重を特徴とする」記載(以下、「記載事項A」という。)は、出願当初の明細書又は図面の記載から直接的かつ一義的に導き出せる記載ではないと認められる。」から、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものと認められず、特許法第17条の2第3項に規定する要件を満たしていない、というものである。

(2)判断
そこで、願書に最初に添付した明細書又は図面(以下、「当初明細書」という。)に、上記記載事項Aが記載されていたかどうか検討する。
当初明細書には、ばね定数に関して、【発明が解決しようとする課題】に「任意の部分がバネ定数の異なるスプリング」、【発明の実施の形態】に「これにより任意の部分のバネ定数を変化させることが可能となる。」、【0011】に「即ち任意の点がバネ定数の異なるスプリングの製作が可能となる。」、【発明の効果】に「任意の点にバネ定数の違うスプリングの配置が可能となる。」との記載があることが認められる。
しかしながら、その関連箇所を含め当初明細書には、上記補正に係る「段階的に」、「U字ばねの面外荷重」との記載はなく、それを示唆する記載も見当たらない。
したがって、上記記載事項Aが、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載した事項の範囲内においてしたものと認めることができない。

(3)むすび
以上のとおりであるから、上記本件手続補正1は、特許法第17条の2第3項に規定される要件を満たしているとは認められず、本願は、拒絶されるべきである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-03-25 
結審通知日 2003-04-01 
審決日 2003-04-21 
出願番号 特願2001-145620(P2001-145620)
審決分類 P 1 8・ 55- Z (F16F)
P 1 8・ 572- Z (F16F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤原 直欣  
特許庁審判長 船越 巧子
特許庁審判官 前田 幸雄
常盤 務
発明の名称 有機スプリング、波スプリング及びその製造方法  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ