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審決分類 審判 全部無効 1項2号公然実施 無効としない C04B
審判 全部無効 1項3号刊行物記載 無効としない C04B
審判 全部無効 特123条1項6号非発明者無承継の特許 無効としない C04B
審判 全部無効 発明者・出願人 無効としない C04B
審判 全部無効 1項1号公知 無効としない C04B
審判 全部無効 特38条共同出願 無効としない C04B
審判 全部無効 2項進歩性 無効としない C04B
管理番号 1103654
審判番号 無効2001-35307  
総通号数 59 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1973-01-29 
種別 無効の審決 
審判請求日 2001-07-09 
確定日 2004-10-07 
事件の表示 上記当事者間の特許第1215503号発明「単独型ガス燃焼窯による燻し瓦の製造法」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 審判費用は、請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
出願日 昭46年6月8日(特願昭46-40330号)
出願公告 昭58年4月19日(特公昭58-19623号)
特許登録 昭59年6月27日(特許第1215503号)
無効審判(1) 昭60年4月12日(審判昭60-7309号)
審決 昭61年3月20日(不成立)
無効審判(2) 平1年5月22日(審判平1-9485号)
審決 平2年11月1日(不成立)
出訴 平3年2月16日(平3年(行ケ)第25号)
判決 平4年12月24日(棄却)
上告 平5年(行ツ)第54号
決定 平5年6月11日(棄却)
無効審判(3) 平13年7月9日(無効2001-35307号)
答弁書 平13年10月5日
2.本件特許発明
本件特許発明は、その明細書の特許請求の範囲の記載によれば、
「LPガスを燃焼させるバーナーと、該バーナーにおいて発生するガス焔を窯内に吹込むバーナー口とを設けた単独型ガス燃焼窯の、バーナー口を適時に密封できるようにすると共に、該燃焼窯の煙突口の排気量を適時に最小限に絞り又は全く閉鎖する絞り弁を設け、さらに前記LPガスを未燃焼状態で窯内に供給する供給ノズルをバーナー以外に設け、前記単独型ガス燃焼窯の窯内に瓦素地を装てんし、バーナー口及び煙突口を開放してバーナーからLPガス焔を窯内に吹き込み、その酸化焔熱により瓦素地を焼成し、続いてバーナー口及び煙突口を閉じて外気の窯内進入を遮断し、前記のバーナー口以外の供給ノズルから未燃焼のLPガスを窯内に送って充満させ、1000℃〜900℃付近の窯温度と焼成瓦素地の触媒的作用により前記の未燃焼LPガスを熱分解し、その分解によって単離される炭素を転位した黒鉛を瓦素地表面に沈着することを特徴とする単独型ガス燃焼窯による燻し瓦の製造法」
である。
2.当事者の主張
2-1.請求人の主張
本件請求人は、甲第1ないし34号証、及び参考資料を提示し、以下のように主張している。
(1)要旨変更に基づく特許無効理由A〜C
ア.本件特許発明の出願当初の明細書(甲第2号証)の特許請求の範囲には、「・・・、その分解によって単離される炭化水素中の炭素を転位した黒鉛を瓦素地表面に沈着すること・・・」と記載され、同明細書の発明の詳細な説明には、「それによって単離する炭素及びその炭素の転位により結晶化した黒鉛が瓦素地表面に沈積し・・・」(2頁右上欄4〜6行)、「並びにその炭素の転位した黒鉛を焼成瓦素地表面に沈積して、」(2頁左下欄6〜7行)と記載されている。
イ.また、被請求人の出願に係る特願昭47-306号の明細書及び図面を掲載した特開昭48-80608号公報(甲第3号証)には、「その炭素の転位によって結晶化した黒鉛が瓦素地表面に沈着し」(第2頁右上欄15行〜左下欄1行)と記載するとともに、「いぶし瓦のガス焼成に続く沈積炭素、黒鉛による金属製黒色着色の一貫操業に適応し」(第2頁左下欄4〜6行)、「その熱分解による焼成品素地への炭素、黒鉛の沈積量を均等にして着色濃度にむらを生じさせず」(第2頁左下欄9〜11行)と記載されていることを考慮すると、本件特許発明の出願当初明細書の特許請求の範囲の「沈着する」なる語述の技術内容は、瓦素地表面に沈着された炭素、黒鉛は物理的手段あるいは化学的手段によって定量測定できるものであるから、瓦素地と一体形成されているものではなく、瓦素地表面に向けて沈み積もった状態に形成され、瓦素地表面から剥離することができる程度で付着されている、と解されるべきものである。
ウ.本件特許発明の出願当初の明細書は、昭和50年7月14日付けで「黒鉛を焼成瓦素地表面に沈積して」(甲第2号証:第2頁左下欄6〜7行)が「黒鉛の表面沈着によって」(甲第4号証の1第7頁14行)と補正され、ついで、昭和55年5月14日によりさらに「黒鉛が瓦素地表面に沈積し」(甲第4号証の1第5頁11〜12行)とあった語述部分が「黒鉛が瓦素地表面に沈着し」と補正され、「沈積(する)」なる文言のすべてが「沈着する」なる文言に補正された。
エ.一方、被請求人は、本件特許発明に係わる「沈着する」なる用語の技術内容に付き、名古屋地方裁判所、昭和59年(ワ)第3840号特許権侵害行為停止等請求事件、昭和60年(ワ)第974号特許権侵害行為停止等請求事件において、「原告は沈着という言葉を使用しているが、これは堆積や沈殿とは異なり、空中にて生成した炭素が瓦の表面に降ってくるといった過程で(すなわち、沈んで積もる)を意味する用語ではなく、付着に近く、ただもう少し、素地にしっかり付いた、表面のみではなく、瓦の素地の気孔に根をおろしたがごとく炭素が浸透している状態を指す用語である。」(甲第6号証の「第一、一、3」)と陳述しており、このことは前記裁判の証人調書(甲第7号証)からも裏付けられる。
オ.ところが、被請求人は、少なくとも昭和55年5月14日以前の時点において、「沈着する」なる用語を、「沈積する」と実質同一の技術内容を意味する用語として使用していたことは明らかであり、本件特許発明の技術内容(瓦素地表面に沈着するとする黒鉛の挙動、すなわち炭化水素中の経時的な化学的及び物理的変化)は、昭和55年5月14日を前後して実質的に要旨変更されている。
カ.本件特許発明は、昭和55年5月14日の時点において、当該技術的内容の要旨変更があり、旧特許法第40条の規定により、本件特許の出願は、上記手続補正書の提出日である、昭和55年5月14日に繰り下がってなされたものとみなされるべきものである。
そうすると、
【理由A】
本件特許発明は、甲第8号証及び甲第9号証によれば、昭和47年1月26日の時点において公知公用となり(特許法第29条第1項第1号違反)、少なくとも昭和47年11月末には公然実施されていた(特許法第29条第1項第2号違反)ものであるから、本件特許は、特許法第132条第1項の規定により、無効とされるべきものである。
【理由B】
本件発明は、その出願前に頒布された甲第3号証(特開昭48-80603号公報)に記載された発明である(特許法第29条第1項第3号違反)から、特許法第132条第1項の規定により、無効とされるべきでものである。
【理由C】
仮に、本件特許発明が、甲第3号証に記載された発明と別異のものであるしても、甲第3号証の記載内容に甲第10号証の記載内容を参酌すれば、本件発明は、当業者が容易に想到しうる程度のものである(特許法第29条第2項違反)から、特許法第132条第1項の規定により無効とされるべきものである。
(2)その他の特許無効理由
【理由D】
ア.甲12号証の1の写真は、野口氏が昭和45年12月5日に催された発表会で公開された「改良型ニイミ式シャトルキルン(以下「野口窯」という)」であり、甲第12号証の2は、甲12号証の1の要部を拡大したものであり、これらの写真から、
・各空気供給口(11)は、炉外側にメクラプラグ(21)を着脱自在に備えた連通孔を設け、該連通孔の炉内側に二次空気を上方に誘導するパイプ部材(22)を取着した構造体に改造されている。
・閉塞された各空気供給口(11)周辺(パイプ部材(21)の基部)から上方に向け、蝋燭炎状に白く抜けた酸化燃焼痕(23)が観察でき、窯内天井の開閉扉側にもわずかに白く抜けた酸化燃焼痕(24)が観察できる。
・パイプ部材(22)の上端側には、酸化燃焼痕がない。
こと等が解る。
イ.したがって、この構造体は、瓦素地を焼成する際にはメクラプラグを取り外して、二次燃焼用空気供給口として使用し、燻化剤を供給する前に、メクラプラグを装着する位置に、LPガスタンクに連続する生ガス供給プラグを装着し、炉内に生ガスを未燃焼のままで供給するように改良されていたものと推認できる。
ウ.つぎに、甲第13号証は、前記野口窯と同種の小型テスト炉を用い、8本のベンチュリーバーナー中の一本のバーナー口に密閉可能な接続部材を設け、燻化にあたっては、当該1本のバーナー口から生ガスを注入したところ、従来の燻し着色に遜色なかったという、実験報告書である。
エ.以上のことを総合的に考察すると、本件特許発明は、その出願日より前の昭和45年12月5日に催された「単独型ガス焼成窯」発表会において、野口製瓦所(野口健男氏)によって、実質的に公知公用となったものであり、少なくとも同日以降は公然実施されていたものであるから、本件特許は特許法第29条第1項第1号並びに第2号の規定に該当するから、同法第132条第1項の規定により無効とされるべきものである。
【理由E】
オ.前記「特許無効の理由D」で述べたように、本件特許発明は、野口氏によって完成されたことは動かし難く、訴外新見治男氏を発明者として出願された本件特許の出願人は、真の発明者ではない者から特許を受ける権利を譲り受けた点で、特許法第29条柱書きに違反するものであり、仮に、前記新見治男氏が本件特許発明の完成に何らかの協力をなしたことが認められ、その結果、本件発明の特許を受ける権利が野口健男氏と共有に係ると認められたとしても、本件特許出願は同法第37条に違反する違法なものであることにかわりはない。
カ.よって、本件特許には、冒認出願または共同出願人の一人を発明者とする出願である点で明らかな無効事由があるから、同法第123条第1項第1号、同項第4号の規定により、無効とされるべきものである。
【理由F】
キ.甲第14号証には、焼成燃料と燻化剤の種類が異なることを別として、焼成用の焔導管と燻化用のコールタール流し込道とを備えており、本件特許の窯構成並びに燃焼方法、燻化方法を充足する。
ク.野口窯がLPガスを燃焼させ窯内にガス焔を吹き込むバーナー口以外に、LPガスを空気と接触することなく未燃焼の状態で窯内に導く供給口を有していたことは、上述したとおりであり、野口窯の構成は、窯温度並びに瓦表面に沈着するものが黒鉛であるか否かについて明らかでない点を除き、本件特許の構成を充足する。
ケ.したがって、本件特許発明は、本件特許発明の出願前に公知となった前記野口窯の技術内容に、甲第14号証記載の技術内容を組み合わせることで、当業者が容易に想到することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反し、特許法第123条第1項第1号の規定により、無効とされるべきものである。
4.請求人が主張する無効理由の検討
4-1.要旨変更についての検討
(1)本件特許出願の出願当初の明細書(甲第2号証)の特許請求の範囲には「黒鉛を瓦表面に沈着する」と記載され、同発明の詳細な説明には、「炭素を沈着して」「炭素の沈着によって」「黒鉛が瓦素地表面に沈積し」「黒鉛を焼成瓦素地表面に沈積して」なる記載があり、昭和50年7月14日付手続補正書(甲第4号証の1)及び昭和55年5月14日付手続補正書(甲第4号証の2)によって、発明の詳細な説明中の「沈積」なる用語はすべて「沈着」という用語に補正されたことについては、当事者間に争いはない。
(2)特許請求の範囲の記載は、昭和50年7月14日付手続補正書(甲第4号証の1)により、(a-1)「酸化焔」が「前記ガス燃料の燃焼による酸化焔」に、(a-2)「生ガス燃料を直接」を「前記ガス燃料を燃焼させることなく直接」に、(a-3)「該生ガス」を「前記未燃焼生ガス」に、それぞれ補正され、昭和55年5月14日付手続補正書(甲第4号証の2)により、(b-1)特許請求の範囲中の「燃焼炉」を「燃焼窯」に、(b-2)「酸化焔により」を「酸化焔熱により」と、(b-3)「前記ガス燃料を燃焼させることなく」を「前記と同じガス燃料をバーナー以外の供給口から燃焼させることなく」と、それぞれ補正されている。
以上の補正事項について検討すると、(b-3)以外の補正は、単に表現上の補正であって実質的に技術的事項が変更されたものとは認められない。一方、(b-3)の補正は、燻化剤としてのガス燃料の供給口を、バーナー以外に限定するものであるが、本件出願当初の明細書の記載「続いてバーナーを退けてバーナー口を完全に密封すると同時に煙突口の絞り弁を充分に絞り、炉内には供給ノズルから生ガスを約1時間30分にわたって供給する。」(甲第2号証2頁左上欄10〜13行)からみて、本件特許発明の方法では、もともと生ガスの供給口(=「供給ノズル」)は、バーナー口以外に設けられていることは明らかである。
以上より、上記の2回の手続補正により、本件特許請求の範囲に記載される「燻し瓦の製造法」における焼成条件には、何ら変更がなかったというべきであり、そうである以上、特許請求の範囲に記載される「沈着」の技術的内容が変更されたということもできず、発明の詳細な説明の「沈積」なる用語を「沈着」の補正することは、単に明細書の用語を統一されるためのものといわざるを得ない。
(3)請求人は、請求書及び上申書において、甲第3号証、甲第14号証ないし甲第20号証を示し、被請求人(本件特許権者)は、「沈着」という用語を、昭和55年5月14日の手続補正書提出前後で、異なった技術的内容で使用していたと主張するが、甲第14号証ないし甲第20号証に記載される、燻し瓦の製造方法は、本件発明の方法とは構成が異なり、これらの刊行物に記載される、燻し瓦の表面における炭素の沈着状態に差異があるとしても、それによって本件発明の技術的内容が変更されたことにはならない。また、甲第3号証は、本件特許発明に関連する技術について開示するものであるが、請求人が指摘する「黒鉛の沈積量を均等にし」は、前後の文章から「着色度にむらを生じさせ」ないことを意味すると解するのが相当であり、必ずしも沈積した黒鉛が分離可能である必要はなく、この点に関する請求人の主張も採用できない。
(4)したがって、本件特許出願の審査経過における昭和55年5月14日付け手続補正により、本件発明の要旨が変更された事実は認められず、係る事実を前提とする請求人の特許無効理由AないしCは、採用することはできない。
4-2.公知公用の主張【理由D】について
(1)一事不再理の主張に対して
被請求人は、本件甲第12号証の写真は、平成1年審判9485号事件において、参考資料として提出し、さらに同審決に対する審決取消請求訴訟事件(東京高裁平成3年(行ケ)第25号)では、甲第12号証の1及び2として提出されたものであり、今回の無効審判は、少なくとも理由Dに関する限り、実質的に確定審決で判断された事項について更に審理を求めるものであり、特許法第167条に違反し許されない旨主張する。
しかしながら、上記の審判事件では進歩性欠如(特許法第29条第2項違反)の主張するために提出されたのに対し、本件審判事件では、新規性欠如(特許法第29条第1項違反)を主張するために提出されたものであるから、同一の事実に基づく無効審判の請求とはいえず、被請求人の前記特許法第167条に違反する旨の主張は、採用しない。
(2)甲第12号証の写真に写されている「野口窯」が、昭和45年12月5日に催された「単独型ガス焼成炉」発表会において、公開となったことについては当事者間に争いがなく、それを否定する証拠もない。
(3)甲第12号証の1ないし6の写真は鮮明ではなく、これらの写真から「野口窯」の内壁面に見られる棒状のものが、請求人が主張するように空気供給口(11)に取着されたパイプ部材(22)であるか、被請求人が主張するように外気の侵入による燃焼痕における煤の痕跡なのか、いずれであるか判断することはできない。
しかしながら、仮に請求人が主張するように、内壁面の棒状のものがパイプ部材であったとしても、昭和45年12月5日の公開時に、野口氏より、係るパイプ部材の機能だけでなく、「野口窯」における焼成法及び燻化法について詳細な説明がなされたとする証拠もなく、また、そのような説明がなされなければ、甲第12号証の示される、空気供給口にメクラプラグ(21)が装着された状態の「野口窯」から、未燃焼LPガスの供給だけでなく、バーナー口や煙突口の開閉操作も伴う本件発明の構成を、当業者といえども理解することができないことは明らかであり、甲第12号証の「野口窯」の公開によって、本件発明が公然知られた状態となったとすることはできない。
(4)甲第13号証の実験報告書の結果によっても、請求人が無効審判請求書第13頁17〜18行で認めるように「野口窯が、燻化にあたって採用した生ガス供給口の具体的構造を明確に断定し得」ず、さらに、上記「野口窯」公開の模様を報道した新聞記事(乙第6〜9号証)によれば、野口窯の焼成、燻化方法について「LPガスは空気の量を少なくし、生のガスで済むようにするもので、」(乙第7号証)、「プロパンガス燃料では燃焼させるときに空気量を少なくし、蒸すように焼けばよいことがわかった。」(乙第8号証)と、被請求人と野口氏との間で行われ、結局失敗に終わったテスト段階での方法程度しか解説されておらず、甲第28号証における森田氏の証言内容「本数は15、6本くらいは付けたかなという話を聞いて、どうやって付けたとか、その辺のところは秘密にしておった。お客さんにも来た人にも見せないようにしたとか、・・・」「私が野口さんのところへ行って聞いたときの状況というのは、発表時点の45年の段階ですもんで、そのときは、そういうものを秘密にしておったというふうに聞いております。」(同号証9枚目左頁)をも参酌すると、野口氏は、「野口窯」の詳細な操作方法については、上記の公開時にも、その後の実施時にも秘密の状態にしていたと解される。
したがって、野口窯における具体的な焼成・燻化方法は明らかではないが、仮にそれが本件特許発明の方法と同一であったとしても、本件発明が、「野口窯」の実施によって、本件特許出願前に公然実施された発明とすることもできない。
(5)以上により、本件発明が、甲第12号証に示される「野口窯」の昭和45年12月5日の公開により公然知られた発明であり、少なくとも同日以降、公然実施されたものであるとする請求人の主張を採用することはできない。
4-3.冒認、又は共同出願違反【理由E】について
(1)前項で検討したように、野口窯における具体的な焼成・燻化方法は明らかではないが、仮にそれが本件特許発明の方法と同一、即ち、野口氏が本件特許出願前に本件特許発明を完成したとしても、本件特許発明の発明者である新見氏が、野口氏の発明を盗んだとする証拠はなく、野口氏が本件特許出願前に本件特許発明を完成したことを以て、本件特許出願を冒認とすることはできない。
(2)さらに、本件特許発明が、野口氏と新見氏との共同でなされたという証拠もない。
(3)したがって、本件特許には、冒認出願または共同出願人の一人を出願人とする出願である点で無効事由を有するとする、請求人の主張を採用することはできない。
4-4.特許法第29条第2項違反【理由F】について
(1)4-2項で検討したように、野口窯における具体的な焼成・燻化方法は明らかではないが、仮にそれが本件特許発明の方法と同一であったとしても、公開されたのは、乙第6〜9号証に記載される程度のことであり、本件発明の本質的な構成部分は秘密にされていたと解されるから、甲第14号証記載の発明と組み合わせて、本件発明を当業者が容易に発明をすることができたとすることはできない。
(2)したがって、本件特許発明は、本件特許発明の出願前に公知となった前記野口窯の技術内容に、甲第14号証記載の技術内容を組み合わせることで、当業者が容易に想到することができたものであるとする、請求人の主張を採用することはできない。
5、むすび
以上のとおりであるから、本件発明に係る特許は、本件請求人の上記主張および証拠によっては、本件発明に係る特許を無効とすることはできない。
また、他に本件発明を無効にすべき証拠も見当たらない。
よって、上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2002-03-15 
結審通知日 2002-03-19 
審決日 2002-04-01 
出願番号 特願昭46-40330
審決分類 P 1 112・ 113- Y (C04B)
P 1 112・ 152- Y (C04B)
P 1 112・ 151- Y (C04B)
P 1 112・ 112- Y (C04B)
P 1 112・ 121- Y (C04B)
P 1 112・ 111- Y (C04B)
P 1 112・ 15- Y (C04B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 佐藤 修  
特許庁審判長 石井 良夫
特許庁審判官 野田 直人
西村 和美
登録日 1984-06-27 
登録番号 特許第1215503号(P1215503)
発明の名称 単独型ガス燃焼窯による燻し瓦の製造法  
代理人 今城 俊夫  
代理人 中村 稔  
代理人 村社 厚夫  
代理人 西島 孝喜  
代理人 廣江 武典  
代理人 宍戸 嘉一  
代理人 大塚 文昭  
代理人 箱田 篤  
代理人 竹内 英人  
代理人 小川 信夫  
代理人 熊倉 禎男  
代理人 服部 博信  
代理人 田中 伸一郎  
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