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審決分類 審判 全部申し立て 5項1、2号及び6項 請求の範囲の記載不備  C10L
審判 全部申し立て 特36 条4項詳細な説明の記載不備  C10L
審判 全部申し立て 2項進歩性  C10L
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載  C10L
管理番号 1104399
異議申立番号 異議2001-72968  
総通号数 59 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1995-08-08 
種別 異議の決定 
異議申立日 2001-10-25 
確定日 2004-07-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3161255号「ガソリンエンジン用燃料油」の請求項1に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3161255号の請求項1に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
特許第3161255号の請求項1に係る発明は、平成6年11月29日(優先権主張、平成5年11月30日、日本)に出願され、平成13年2月23日に特許権の設定登録がされ、その後、株式会社ジョモテクニカルリサーチセンター、昭和シェル石油株式会社、日石三菱株式会社、東燃ゼネラル石油株式会社及びコスモ石油株式会社により特許異議の申立て(以下順に、「「異議1」ないし「異議5」という。」)がされ、取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成14年3月11日に訂正請求がされ、平成14年5月22日付けで「訂正を認める。特許第3161255号の請求項1に係る特許を取り消す。」旨の取消決定がされたものである。
これに対して、本件の特許権者により、当該取消決定の取消しを求める訴えが東京高等裁判所に提起され(平成14年(行ケ)第362号)、平成16年5月31日に東京高等裁判所において、「特許庁が異議2001-72968号事件について平成14年5月22日にした決定を取り消す。」との判決の言い渡しがあったものである。

2.訂正の適否についての判断
(1)訂正の内容
ア.訂正事項a
特許請求の範囲の請求項1の記載について、「(4)ベンゼン含有量が1容量%以下で、かつ硫黄分が40ppm以下であること、」とあるのを、「(4)ベンゼン含有量が1容量%以下で、硫黄分が40ppm以下、かつ含酸素化合物含有量が0容量%であること、」と訂正する。
イ.訂正事項b
明細書の段落【0004】の記載について、「(4)ベンゼン含有量が1容量%以下 で、かつ硫黄分が40ppm以下であること、」とあるのを、「(4)ベンゼン含有量が1容量%以下で、硫黄分が40ppm以下、かつ含酸素化合物含有量が0容量%であること、」と訂正する。
ウ.訂正事項c
明細書の段落【0021】の記載について、「実施例1,2及び比較例1〜4」とあるのを、「実施例1及び比較例1〜5」と訂正する。
エ.訂正事項d
明細書の段落【0024】の第2表-1の記載について、「実施例2」及び「比較例1」とあるのを、それぞれ「比較例1」、「比較例2」と訂正する。
オ.訂正事項e
明細書の段落【0025】の第2表-2の記載について、「比較例2」、「比較例 3」及び「比較例4」とあるのを、それぞれ「比較例3」、「比較例4」及び「比較例5」と訂正する。
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無及び特許請求の範囲の拡張、変更の存否
ア.訂正事項aは、請求項1に記載のガソリンエンジン用燃料油の含酸素化合物含有量を0容量%とするものであるが、明細書の段落【0014】、及び第2表-1の実施例1の記載によれば、訂正前の請求項1に係る発明は含酸素化合物含有量が0容量%の場合もそうでない場合も含んでいるから、含酸素化合物含有量を0容量%とすることは、特許請求の範囲の減縮を目的とする明細書の訂正に該当する。
イ.訂正事項b〜eは、訂正事項aとの整合を図るためのものであるから、明りようでない記載の釈明を目的する明細書の訂正に該当する。
そして、訂正事項a〜eは、いずれも、新規事項の追加に該当せず、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。
(3)むすび
したがって、本件訂正は、特許法第120条の4第3項において準用する平成6年法律第116号による改正前の特許法第126条第1項ただし書及び第2項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

3.特許異議の申立てについての判断
(1)本件発明
上記2.で示したように、本件訂正が認められるから、訂正後の本件の請求項1に係る発明(以下、「本件発明」という。)は、訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「(1)沸点25℃未満の留分が3〜10容量%、沸点25℃以上75℃未満の留分が35〜50容量%,沸点75℃以上125℃未満の留分が25〜40容量%,沸点125℃以上175℃未満の留分が10〜30容量%及び沸点175℃以上の留分が5容量%以下であること、
(2)上記各留分のリサーチ法オクタン価が80以上であること、
(3)式(I)
Y=1.07BZ+0.12TO+0.11EB+0.05XY+0.03C9+A+0.005〔100-(BZ+TO+EB+XY+C9+A)〕・・・(I)
〔式中、BZはベンゼン含有量、TOはトルエン含有量、EBはエチルべンゼン含有量、XYはキシレン含有量、C9+Aは炭素数9以上の芳香族分含有量(いずれも燃料油中の含有量で容量%)を示す。〕
で表される排気ガス指数Yが5以下であること、
(4)ベンゼン含有量が1容量%以下で、硫黄分が40ppm以下、かつ含酸素化合物含有量が0容量%であること、及び
(5)リサーチ法オクタン価が97〜102であることを特徴とするガソリンエンジン用燃料油。」(以下、本件発明の上記(1)ないし(5)の構成をそれぞれ「構成(1)ないし(5)」などという。)

(2)先にした本件異議決定の取消理由(以下、「取消理由」という。)について
ア.取消理由の概要
本件発明は、本件出願の優先権主張の日前に頒布されたことがあきらかな引用文献1及び2に記載された発明に基づき当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件発明に係る特許は、特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであり、取り消されるべきものであるというにある。
引用文献1:石原健二、山下忠孝「自動車ガソリンの性状と組成」東洋大学工学部研究報告、第25号、p103〜114(1990年7月)
(異議1の甲第2号証、異議2の甲第3号証、異議5の甲第1号証)
引用文献2:California Regulatory Notice Register,Register91,No.40-Z,October 4,1991, pp1326-1330
(異議1の甲第1号証、異議2の甲第4号証)
イ.引用文献の記載事項
引用文献1には、
「またガスクロマトグラフィーによるオクタン価(わが国ではリサーチオクタン価を採用しているためここで述べるオクタン価は全てリサーチオクタン価である)の推定値について検討した結果を報告する.」(第103頁最下行〜104頁第2行)、
「試料ガソリンは市販の自動車ガソリンで,日石,出光,三菱,モービル,昭石,ゼネラル,コスモ,共石の8種類の銘柄の中,毎年ガソリンスタンドより購入した.」(第104頁第5〜6行)、
「平成元年9月に購入した市販ガソリンの性状試験結果を表-1に示す.」(第104頁第18行)、
第105頁の表-1には、レギュラーガソリン(1-1R〜1-5R)とプレミアムガソリン(1-1H〜1-5H)の蒸留性状と、1-4Hの芳香族分は37Vol(容量)%であること、
第108〜109頁の表-3には、1-4Hに含有される各炭化水素成分とその含有量、及びリサーチ法オクタン価の推定値が97.8、実測値が99.6であること、
第111頁の表-4には、ガソリン炭化水素成分グループ分けとオクタン価係数が、それぞれ記載されている。
引用文献2には、
「CALIFORNIA AIR RESOURCES BOARDによる、リフォーミュレーテッドガソリン(フェーズ2ガソリン仕様)とガソリンの冬季酸素含有に関する規制に対する修正及び採択の検討のための公聴会の告示」(第1326頁右欄第23〜30行)、
「RVP以外の6項目の特性についての基準は、-供給システム全体のガソリン(代替フォーミュレーションを含む)に適用される絶対的制限(「cap」)と、製造者又は輸入者から最初に供給される際のガソリンに適用されるより厳格な基準(代替フォーミュレーションとして適格なガソリンはこのより厳格な基準から免除される)-という少なくとも2つの階層を含んでいる。硫黄、ベンゼン及び芳香族炭化水素の制限において、製造者又は輸入者は、最初に供給される際のガソリンに適用される基準に従うという付加的なオプションを有する。均一的制限、又は、「予定された代替制限」プロセスにより平均的に適合しうる更に厳格な制限のどちらかを選ぶことができる。」(第1327頁左欄第46〜60行)、
「基準:提案された、供給システム全体に適用される「cap」、製造者又は輸入者により最初に供給される際のガソリンに対する均一的制限、及び、「予定された代替制限」(DAL)オプションに基づき製造者及び輸入者が守るべき基準は次の通りである(製造者の引用には輸入者を含む)。
特性 “cap” 製造者用 DALオプション
均一的制限 による製造者用基準
RVP 7.0psi 適用なし 適用なし
硫黄 80ppm 40ppm 30ppm
ベンゼン 1.20容量% 1.00容量% 0.80容量%
芳香族 30容量% 25容量% 20容量%
炭化水素
オレフィン 10容量% 5容量% 適用なし
蒸留温度
T90 330F 300F 適用なし
T50 220F 210F 適用なし
酸素(min)1.8重量% 1.8重量% 適用なし
(max)2.7重量% 2.7重量% 適用なし」
(第1327頁右欄第1〜7行及びその下表)旨記載されている。

ウ.対比
引用文献1の記載を更に検討する。
引用文献1には、平成元年9月に購入した市販ガソリンをGC(ガスクロマトグラフイ一)により分析して得た組成が、第108〜109頁の表-3に掲載されている。また、各成分のオクタン価係数が表-4に掲載されており、このオクタン価係数を用いて算出された各市販ガソリンのオクタン価推定値が、表-3に掲載されている。
そして、表-3の成分組成に基づいて、プレミアムガソリン「1-1H」から「1-5H」の性状を算出すると、次表のとおりになる。
(異議5の申立書第6頁〜第7頁8行参照)
1-1H 1-2H 1-3H 1-4H 1-5H
温度(℃) 留分比率(容量%)
25未満 4.1 3.2 3.2 6.0 3.2
25〜75 29.7 32.3 34.0 33.6 28.6
75〜125 39.1 26.5 27.1 30.8 33.1
125〜175 25.8 34.8 32.0 25.5 30.1
175以上の留分 1.0 2.8 3.4 4.0 6.3
留分オクタン価(RON)
25未満 102 115 99 114 109
25〜75 82 87 82 87 82
75〜125 98 97 101 90 102
125〜175 111 111 111 111 109
175以上の留分 86 86 86 86 86
ガソリンオクタン価99.6 100.0 98.5 99.6 99.6
排気ガス指数関与成分
ベンゼン 5.18 1.70 3.44 1.61 5.72
トルエン 17.50 13.29 16.82 8.19 19.82
エチルベンゼン 3.24 3.79 3.23 1.52 2.92
キシレン 16.64 18.79 16.83 8.22 17.51
C9+芳香族 6.51 13.63 13.87 18.06 9.54
排気ガス指数Y 9.28 5.42 7.54 4.14 10.20
なお、換算はつぎのように行なった。
各留分の含有量:構成(1)に関して、表-3の各成分の沸点に分けて振り分け、各成分の含有量を積算して算出した。
各留分のオクタン価:表-4を用いて各成分のオクタン価推定値を算出し、構成(1)の各留分を構成する各成分のオクタン価を積算して算出した。
表-3には未同定の「不詳成分」が記載されているが、この表の成分はGCの留出順に記載されていると考えられ、かつ、GCではほぼ沸点の高低にしたがって留出することに鑑みて、前後の成分から該当する成分を推定した。
本件発明の構成(1)ないし(5)と引用文献1に記載された1-4Hガソリンを対比する。
構成(1)について、本件発明では、沸点25℃以上75℃未満の留分が35〜50容量%であるのに対して、1-4Hガソリンは33.6容量%である点で相違し、他の留分は一致している。
構成(2)について、1-4Hガソリンの各留分のリサーチ法オクタン価が80以上であるから、両者は一致する。
構成(3)について、排気ガス指数Yは、引用文献1には、直接的記載はないが、1-4Hガソリンについて検討すると、4.14と計算されるから、排気ガス指数Yが5以下である点で一致する。
構成(4)について、本件発明では、ベンゼン含有量が1容量%以下で、硫黄分が40ppm以下としているが、1-4Hガソリンは、ベンゼン含有量が1.61容量%であり、硫黄分については記載がない点で相違する。また、1-4Hガソリンには、含酸素化合物が実質含まれていない点で本件発明と一致する。
構成(5)について、1-4Hガソリンは、リサーチ法オクタン価が、実測値が99.6であるので、本件発明とオクタン価が一致するガソリンエンジン用燃料油である。
それ故、本件発明と引用文献1記載の1-4Hガソリンとは、(1)本件発明では、沸点25℃以上75℃未満の留分が35〜50容量%であるのに対して、1-4Hガソリンは33.6容量%である点、(2)本件発明では、ベンゼン含有量が1容量%以下であるのに対して、1-4Hガソリンは、ベンゼン含有量が1.61容量%である点、(3)本件発明では、硫黄分が40ppm以下であるのに対して、1-4Hガソリンは、硫黄分については特段の記載がない点で相違する。
エ.判断
相違点(2)について検討する。
引用文献2には、「DALオプションによる製造者用基準」が掲げられ、硫黄30ppm(以下)、ベンゼン0.80容量%(以下)、芳香族炭化水素20容量%(以下)でその他の項目が適用なしと規制されている。
ところで、引用文献2記載の規制について、平成14年(行ケ)第362号判決(平成16年5月31日判決言渡)では、「酸素の含有量について規定のない基準を選択するときは,硫黄,ベンゼン,芳香族炭化水素の含有量については,それぞれ「30ppm」,「0.80容量%」,「20容量%」という制限値と組み合わせなければ規制を満足せず,規制という性格からみて,各項目ごとに,都合の良い項目のみを組み合わせることは,予定されていないというべきである。」(判決謄本第16頁1〜5行)と判示された。
してみれば、1-4Hガソリンのベンゼンの含有量を本件発明の値にすることの容易性を判断するには、芳香族炭化水素の含有量についても37容量%を20容量%(以下)とすることを想定し、さらにその場合に本件発明と一致する点と認定した他の項目の数値範囲が引き続き満たされるかどうか、さらに検討を要するものである。
そこで、上記酸素の含有量について規定のない基準を選択して、1-4Hガソリンのベンゼンの含有量1.61容量%を0.8容量%以下にするためには、芳香族炭化水素の含有量についても、37容量%であるのを20容量%以下にすることが求められることになるが、その際、どの化合物をどの程度追加配合するのかを検討するとして、引用文献1の表-3及び表-4に炭化水素成分とそのオクタン価が示されているからといって、当業者が直ちに分かるものとはいえないというのが自然であるから、1-4Hガソリンのベンゼンの含有量を本件発明の1容量%以下とすることが当業者に容易になし得たということはできない。
したがって、本件発明は、引用文献1及び2に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

(3)異議1について
ア.申立ての理由の概要
訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるか、あるいは、甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであると主張している。
甲第1号証:California Regulatory (取消理由の引用文献2)
甲第2号証:「自動車ガソリンの性状と組成」(取消理由の引用文献1)
甲第3号証:Takei Y et al.,“Effects of California Phase 2 Reformulated Gasoline Specifications on Exhaust Emission Reduction”SAE922179(1992)
イ.甲号各証の記載事項
甲第1号証には、取消理由の引用文献2の摘示事項が記載されている。
甲第2号証には、取消理由の引用文献1の摘示事項が記載されている。
甲第3号証には、CaRGF2に相当する燃料を用いて排気ガス低減効果をテスト評価し、その結果、硫黄分を増すとNOx排出が増加すること(第8頁左欄第1〜5行)、燃料中のベンゼン量と排気中のベンゼン量との相関(第5頁の表4、図7)が記載されている。
ウ.対比・判断
[特許法第29条1項3号について]
甲第1号証には、訂正後の本件発明の構成の一部である硫黄、ベンゼンの規制値の記載が散見できるにすぎず、甲第1号証には、本件発明が記載されているということはできない。
[特許法第29条第2項について]
甲第3号証記載のガソリンは、酸素含有化合物を含むものであって、取消理由のエ.判断を左右するものではない。
したがって、本件発明が甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(4)異議2について
ア.申立ての理由の概要
訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであると主張している。
甲第1号証:JIS K2202-1991
甲第2号証:昭和59年12月石油連盟広報部発行「石油製品の品質と規格」第29〜41頁
甲第3号証:「自動車ガソリンの性状と組成」(取消理由の引用文献1)
甲第4号証:California Regulatory (取消理由の引用文献2)
甲第5号証:SAE922179(異議1の甲第3号証)
甲第6号証の1:「SAE Technical Paper Series」892076
甲第6号証の2:「FUEL vol.1,No.2」1991年11月/12月第8〜10頁
甲第6号証の3:1992年8月31日化学工業日報社発行「国際化学物質安全性カード(ICSC)」第830〜831頁
甲第6号証の4:1991年3月25日株式会社南山堂発行「南山堂医学大辞典」第1420〜1421頁、第1794〜1797頁
甲第7号証:石油学会誌第5巻第11号、第29〜36頁、1962年
甲第8号証:社団法人自動車技術会学術講演会前刷集892第85〜88頁1989-10)
甲第9号証:日石レビュー第28巻第6号第43〜51頁1986年11月
イ.甲号各証の記載事項
甲第1号証には、自動車ガソリンの品質の変遷が示されている。
甲第2号証には、第12図には蒸留性状(揮発性)と実用性能の関係が示されている。
甲第3号証には、取消理由の引用文献1の摘示事項が記載されている。
甲第4号証には、取消理由の引用文献2の摘示事項が記載されている。
甲第5号証には、異議1の甲第3号証の摘示事項が記載されている。
甲第6号証の1には、ガソリン中の芳香族分、たとえばエチルベンゼンのようなアルキルベンゼンは燃焼中にベンゼンとオレフインに分離するなどして、排気ガス中にベンゼン成分を排出すること(1頁右列)、ベンゼンは毒性のある空気汚染物質として指定されていること(1頁左列)が示されている。
甲第6号証の2には、ガソリン中のベンゼンは、1986年ARBにより毒性成分と認定された旨記載されている。
甲第6号証の3には、ベンゼンは毒性があり、ヒトに対して発ガン性を示す旨記載されている。
甲第6号証の4には、ベンゼンやトルエンが人体に有害であることが記載されている。
甲第7号証には、ガソリンAの各留分毎のオクタン価が示されている。
甲第8号証には、運転性は50%留出点が大きく影響していることが示されている。
甲9号証には、運転性デメリット評点とガソリン性状との相関係数について記載されている。
ウ.対比・判断
甲第6号証の1ないし4には、ガソリン中のベンゼンに毒性がある旨の記載があるが、本件発明のようにガソリンの1容量%を上限として規制をすべき旨の記載がなく、また、他の証拠をみても、取消理由のエ.判断を左右するところがない。
したがって、本件発明が甲第1号証ないし甲第9号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(5)異議3について
ア.申立ての理由の概要
訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1号証に記載された発明であるか、あるいは、甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであると主張している。
甲第1号証:「オート/オイル・エアー・クウオリティー・インプルーブメント・リサーチ・プログラム,第2巻」(1993年10月)
甲第2号証:「カルフオルニア・フェーズ2・リフオーミュレーテッド・ガソリンの内容」(1991年10月4日)
甲第3号証:「オート/オイル・エアー・クウオリティー・インプルーブメント・リサーチ・プログラムにおける排気ガスにおけるガソリン硫黄レベルの影響に関する研究報告書」(1992年2月)
甲第4号証:「排気ガスにおけるカルフオルニア・フェーズ2・リフオーミュレーテッド・ガソリン成分の影響に関する研究報告書」(1992年10月19-22日)(異議1の甲第3号証)
甲第5号証:「昭和61年度自工会受託研究報告書 市販自動車用燃料の性状調査試験」(昭和62年9月)
イ.甲号各証の記載事項
甲第1号証には、「ベース1」にMTBEを配合したガソリンが記載されている。
甲第2号証には、取消理由の引用文献2と共通する「フェーズ2ガソリン仕様」が記載されている。
甲第3号証には、排気ガスにおけるガソリンの硫黄レベルの影響に関する研究報告書である。
甲第4号証には、燃料中の硫黄レベルが増加すると触媒効率が低下することが記載されている。
甲第5号証は、市販自動車用燃料の性状調査試験の報告書である。この報告書の表2.2には昭和62年2月における市販のガソリン性状の種類別全国統計が示されており、無鉛プレミアムガソリンの硫黄分は、最小は0.0重量%(0重量ppm)で、最大でも0.003重量%(30重量ppm)であることが示されている。
ウ.対比・判断
[特許法第29条1項3号について]
甲第1号証には、ベース1にMTBEを配合したガソリンが記載されているが、訂正後の本件発明では酸素含有化合物(MTBE)を含まないので、甲第1号証には、本件発明が記載されているということはできない。
[特許法第29条第2項について]
甲第1号証ないし甲第5号証には、ベンゼン含有量を1容量%以下とすることに関する新たな記載がなく、取消理由のエ.判断を左右するところがない。
したがって、本件発明が甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(6)異議4について
ア.申立ての理由の概要
訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであると主張している。
甲第1号証:SAE Paper 922179,1992(異議1の甲第3号証)
甲第2号証:「石油製品の品質と規格」(異議2の甲第2号証)
甲第3号証:「三菱石油 技術資料」No.77、第9〜18頁、三菱石油化学株式会社(平成3年発行)
イ.甲号各証の記載事項
甲第1号証には、異議1の甲第3号証の摘示事項が記載されている。
甲第2号証には、異議2の甲第2号証の摘示事項が記載されている。
甲第3号証には、自動車ガソリンの品質動向及び表1には芳香族分、オレフィン分、飽和分、ベンゼン、硫黄分が記載されている。
ウ.対比・判断
甲第1号証ないし甲第3号証には、ベンゼン含有量をガソリンの1容量%以下とすることに関する新たな記載がなく、取消理由のエ.判断を左右するところがない。
したがって、本件発明が甲第1号証ないし甲第3号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとすることはできない。

(7)異議5について
ア.申立ての理由の概要
訂正前の請求項1に係る発明は、甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるし、また、発明の詳細な説明中、表中に掲げられたオクタン価係数について、計算では説明のつかない記載不備があると主張している。
甲第1号証:「自動車ガソリンの性状と組成」(取消理由の引用文献1)
甲第2号証:山口隆章ほか「改訂石油製品の知識」幸書房(昭和53年第3版)117〜120頁
甲第3号証:SAE892076(異議2の甲第6号証の1)
甲第4号証:SAE920798(1992年)137〜150頁
甲第5号証:FUEL REFORMULATION(異議2の甲第6号証の2)
イ.甲号各証の記載事項
甲第1号証には、取消理由の引用文献1の摘示事項が記載されている。
甲第2号証には、ガソリンの蒸留性状と運転性の関連について記載されている。
甲第3号証には、異議2の甲第6号証の1の摘示事項が記載されている。
甲第4号証には、「排気ガス中のベンゼンの濃度は、等式(1)を用いて調整した。この関係は、文献【10】に記載されたベンゼンの関係式2種の、平均をとったものである。
Ebz=0.901Fbz+0.092Ftol+0.068Fha
Ebz=排気中のベンゼンの重量%
Fbz=燃料中のベンゼンの重量%
Ftol=燃料中のトルエンの重量%
Fha=燃料中のよりヘビーな芳香族(C8PA)の重量%」(141頁右欄第11〜18行)と記載されている。
甲第5号証には、取消理由の引用文献2と共通するカルフォリニア規制(フェーズ2)が記載され、該提案で、ガソリン中のベンゼン含有量を100%カットすることが要求される旨記載されている。
ウ.対比・判断
[特許法第36条第4項について]
特許権者は、特許異議意見書中で、第2表-2比較例3(訂正前比較例2)のRONが100と記載されているが、112.6の明白な誤記であること、及び第2表-1、実施例1のV4 RONが95.6と記載されているが、115.6の誤記である旨釈明している。
その点を検討すると、上記釈明のとおりに解することが技術常識であるから、明細書の発明の詳細な説明に記載不備はないといえる。
[特許法第29条第2項について]
甲第1号証ないし甲第5号証には、ガソリンのベンゼン含有量を1容量%以下とすることに関する新たな記載がなく、甲第5号証に記載された規制(提案)は、取消理由の引用文献2の内容と同等であるから、取消理由のエ.判断を左右するところがない。
なお、申立人は、本件発明は、既存のガソリン(1-4H等)に既知の目的(ベンゼンの減少)のために、既知の技術(蒸留、吸着、転化)を適用して、ベンゼンの含有量を1%にも満たない僅かの量(0.61容量%)を減少させたものにすぎないと主張しているが、「酸素の含有量について規定のない基準を選択するときは、硫黄、ベンゼン、芳香族炭化水素の含有量については、それぞれの制限値と組み合わせなければ規制を満足せず、規制という性格からみて、各項目ごとに、都合の良い項目のみを組み合わせることは、予定されていないというべきである。」旨の前記判示に適合しないので、採用できないことは、3.(2)エ.に記載のとおりである。
したがって、本件発明が甲第1号証ないし甲第5号証に記載された発明に基づいて容易に発明をすることができたものとすることはできない。
4.むすび
以上のとおりであるから、取消理由および特許異議の申立ての理由および証拠によっては、本件発明に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明についての特許を取り消すべき理由を発見しない。
したがって、本件発明についての特許は、拒絶の査定をしなければならない特許出願に対してされたものと認めない。
よって、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第14条の規定に基づく、特許法等の一部を改正する法律の施行に伴う経過措置を定める政令(平成7年政令第205号)第4条第2項の規定により、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
ガソリンエンジン用燃料油
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 (1)沸点25℃未満の留分が3〜10容量%、沸点25℃以上75℃未満の留分が35〜50容量%,沸点75℃以上125℃未満の留分が25〜40容量%,沸点125℃以上175℃未満の留分が10〜30容量%及び沸点175℃以上の留分が5容量%以下であること、(2)上記各留分のリサーチ法オクタン価が80以上であること、(3)式(I)
Y=1.07BZ+0.12TO+0.11EB+0.05XY+0.03C9+A+0.005〔100-(BZ+TO+EB+XY+C9+A)〕・・・(I)
〔式中、BZはベンゼン含有量、TOはトルエン含有量、EBはエチルベンゼン含有量、XYはキシレン含有量、C9+Aは炭素数9以上の芳香族分含有量(いずれも燃料油中の含有量で容量%)を示す。〕
で表される排気ガス指数Yが5以下であること、(4)ベンゼン含有量が1容量%以下で、硫黄分が40ppm以下、かつ含酸素化合物含有量が0容量%であること、及び(5)リサーチ法オクタン価が97〜102であることを特徴とするガソリンエンジン用燃料油。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【産業上の利用分野】
本発明は新規なガソリンエンジン用燃料油に関する。さらに詳しくは、自動車の運転性能に優れ、かつ低公害性の無鉛高オクタン価ガソリンエンジン用燃料油に関するものである。
【0002】
【従来の技術】
オクタン価向上剤として四エチル鉛などの鉛化合物を添加することが規制されて以来、無鉛高オクタン価ガソリンの開発が積極的になされ、種々の無鉛高オクタン価ガソリンが提案され、上市されてきた。さらに、最近、高オクタン価基材として、アルコール類やエーテル類などの含酸素化合物を添加した無鉛高オクタン価ガソリンが提案されている。
このような高オクタン価ガソリンとしては、例えば接触改質ガソリン及び接触分解ガソリンに、あるいはこれらにアルキレートを配合したものに、メチルターシャリーブチルエーテル(MTBE)を添加してなるガソリン(特開平3-93894号公報)、特定の蒸留性状及び成分組成を有するガソリン基材に、MTBEを配合してなるガソリン(特開平3-263493号公報)、ブタン-ブテン留分,脂肪族炭化水素成分及び芳香族炭化水素成分を一定の割合で配合した基材油に、MTBEを添加してなるリサーチ法オクタン価105以上の燃料油組成物(特開平3-229796号公報)が知られている。
しかしながら、ガソリンのオクタン価を上げるためにMTBEの添加量を増やすと、密度低下による燃費の低下や排気ガス中のNOxが増加する。また、ガソリンの主要基材の一つである接触分解ガソリンは、他の基材に比べて硫黄分が多く、これが排気ガス中のSOx増加をもたらす。またガソリン中の硫黄分が多いと、触媒の被毒によって三元触媒の活性が低下し、その結果排気ガス中のNOxが増加することとなる。
このように、今までに提案されているMTBEを配合した無鉛高オクタン価ガソリンは、いずれもオクタン価や運転性の向上を目指すものであって、排気ガス中のNOxやSOxの量の低減が不充分であって、公害防止の観点からみると必ずしも満足すべきものではなかった。
また、ガソリン中にベンゼンが多いとガソリン自体が人体に悪影響を及ぼすうえ、排気ガス中にベンゼン分が多くなり、環境汚染をもたらすなどの問題が生じる。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、このような状況下で、高速耐ノック性,加速性,燃焼性,始動性,運転性などの自動車の運転性能に優れるとともに、排気ガス中のベンゼン分や、NOX,SOXなどの少ない低公害性で、かつ無鉛高オクタン価のガソリンエンジン用燃料油を提供することを目的とするものである。
【0004】
【課題を解決するための手段】
本発明者らは、運転性能に優れ、かつ低公害性の無鉛高オクタン価ガソリンエンジン用燃料油を開発すべく鋭意研究を重ねた結果、特定の蒸留性状を有し、各留分のリサーチ法オクタン価が80以上であり、かつ特定の式で表される排気ガス指数、ベンゼン含有量及び硫黄分が特定の値以下であって、リサーチ法オクタン価が97〜102の範囲にあるガソリンエンジン用燃料油が、その目的に適合しうることを見出した。本発明は、かかる知見に基づいて完成したものである。
すなわち、本発明は、(1)沸点25℃未満の留分が3〜10容量%,沸点25℃以上75℃未満の留分が35〜50容量%,沸点75℃以上125℃未満の留分が25〜40容量%、沸点125℃以上175℃未満の留分が10〜30容量%及び沸点175℃以上の留分が5容量%以下であること、(2)上記各留分のリサーチ法オクタン価が80以上であること、(3)式(I)
Y=1.07BZ+0.12TO+0.11EB+0.05XY+0.03C9+A+0.005〔100-(BZ+TO+EB+XY+C9+A)〕・・・(I)
〔式中、BZはベンゼン含有量、TOはトルエン含有量、EBはエチルベンゼン含有量、XYはキシレン含有量、C9+Aは炭素数9以上の芳香族分含有量(いずれも燃料油中の含有量で容量%)を示す。〕
で表される排気ガス指数Yが5以下であること、(4)ベンゼン含有量が1容量%以下で、硫黄分が40ppm以下、かつ含酸素化合物含有量が0容量%であること、及び(5)リサーチ法オクタン価が97〜102であることを特徴とするガソリンエンジン用燃料油を提供するものである。
【0005】
本発明の燃料油は、(1)蒸留性状として、沸点25℃未満の留分が3〜10容量%、沸点25℃以上75℃未満の留分が35〜50容量%,沸点75℃以上125℃未満の留分が25〜40容量%,沸点125℃以上175℃未満の留分が10〜30容量%及び沸点175℃以上の留分が5容量%以下である。
沸点25℃未満の留分が3容量%未満では、始動性に劣り、10容量%を超えるとベーパーロックなどを生じる。また、沸点25℃以上75℃未満の留分,沸点75℃以上125℃未満の留分及び沸点125℃以上175℃未満の留分が、それぞれ上記の範囲にあれば、運転性及び加速性が優れたものとなる。いずれか一つでも上記範囲を逸脱すると運転性が低下したり、加速性が低下したりする。さらに、沸点175℃以上の留分が5容量%を超えると、エンジンが汚れたり、オイル希釈の問題が生じる。
【0006】
本発明の燃料油においては、(2)上記各留分のリサーチ法オクタン価(RONと略記する場合がある。)が80以上、好ましくは85以上である。この値が80未満では、バランスのよいアンチノック性が得られない。
なお、上記蒸留性状は後述のようにガスクロマトグラフ法により求め、また各留分のRONは後述のようにこのガスクロマトグラフ法の結果より求めた。
さらに、(3)式(I)
Y=1.07BZ+0.12TO+0.11EB+0.05XY+0.03C9+A+0.005〔100-(BZ+TO+EB+XY+C9+A)〕・・・(I)
〔式中、BZはベンゼン含有量、TOはトルエン含有量、EBはエチルベンゼン含有量、XYはキシレン含有量、C9+Aは炭素数9以上の芳香族分含有量(いずれも燃料油中の含有量で容量%)を示す。〕
で表される排気ガス指数Yが5以下、好ましくは4以下、より好ましくは3.5以下である。該指数Yは、燃料油がエンジンで燃焼した際に生じる排気炭化水素中に含まれるベンゼンの割合を示すものであり、各係数は、排気炭化水素中のベンゼン含有量(重量%)/燃料油中の各成分の含有量(容量%)の値である。すなわち、この値はベンゼンが最も大きく、次いでモノアルキルベンゼン、ジアルキルベンゼン、トリアルキルベンゼンと、ベンゼン環の置換基が多くなるほど小さくなる。また、パラフィン及びオレフィンはそれぞれ0.005と極めて小さい。〔100-(BZ+TO+EB+XY+C9+A)〕は燃料油中の芳香族分以外の成分を表す。上記式(I)で表される排気ガス指数Yが5を超えると、排気ガスの低公害化が充分に達せられない。なお、各芳香族分の含有量は、ガスクロマトグラフ法による燃料油の全組成分析(石油学会法JPI-5S-90に準拠)から算出した値である。
【0007】
本発明の燃料油においては、(4)ベンゼン含有量が1.0容量%、好ましくは0.5容量%以下であり、かつ硫黄分が40ppm以下、好ましくは30ppm以下である。ベンゼン含有量が1.0容量%を超えると、燃料油自体が人体に悪影響を及ぼしたり、また排気ガス中のベンゼン含有量が多くなって、環境汚染をもたらすおそれが生じる。硫黄分が40ppmを超えると、排気ガス中のSOXが増加するとともに、触媒の被毒によって三元触媒の活性が低下し、その結果排気ガス中のNOXも増加することとなる。なお、硫黄分の含有量は、JIS K-2541に従って微量電量滴定酸化法により測定した値である。
さらに、本発明の燃料油においては、(5)リサーチ法オクタン価が97〜102、好ましくは98〜101の範囲にある。
【0008】
本発明の燃料油は、上記(1)〜(5)の条件を満たすものであればよく、その起源については、特に制限はないが、例えば次に示すガソリン基材を用いて、該(1)〜(5)の条件を満たすように適宜配合することにより、調製することができる。該ガソリン基材としては、例えば原油の常圧蒸留によるナフサ留分を分留して得られる軽質ナフサ、接触分解法や水素化分解法などで得られる分解ガソリン、接触改質法などで得られる改質ガソリンから後述の方法でベンゼン留分を取り除いた残りの留分、オレフィンの重合により得られる重合ガソリン、イソブタンなどの炭化水素に低級オレフィンを付加(アルキル化)することにより得られるアルキレート、直鎖の低級パラフィン系炭化水素の異性化によって得られるアイソメレート、脱n-パラフィン油、及びこれらの特定範囲の留分や芳香族炭化水素などが挙げられる。
【0009】
上記改質ガソリン(ベンゼン4〜10容量%)中のベンゼン量低減化方法としては、例えば、▲1▼接触改質装置の運転条件の変更、▲2▼原料の脱硫重質ナフサ中のC6留分の蒸留による除去方法、▲3▼改質ガソリンからベンゼン留分を蒸留により取り除く方法、▲4▼触媒反応により、改質ガソリン中のベンゼン分を水素化処理してシクロヘキサン等に転化し、更にこれを異性化装置に導いて高オクタン価の異性体に異性化処理する方法、▲5▼触媒反応により、改質ガソリン中のベンゼン分をアルキル化し、高オクタン価のアルキル芳香族分に転化する方法、及び▲6▼上記▲2▼の方法で除去分離したベンゼン分を、エチレン等を多量に含有するFCC(流動接解分解装置)オフガスによりアルキル化して、高オクタン価のアルキル芳香族分に転化する方法などがある。
上記▲1▼の方法は、反応温度を低くする方法であるが、原料の脱硫重質ナフサ中のC6ナフテンの脱水素反応が律速であり、改質ガソリン中のベンゼン含有量を4容量%以下にするのは困難であり、また、▲2▼の方法では、原料の脱硫重質ナフサ中の軽質留分(C6が主体)を45容量%程度カットしても、改質ガソリン中のベンゼン含有量は1.5容量%程度が限界である。これは、炭素数7以上の炭化水素からもベンゼンが生成するためである。したがって、改質ガソリンのベンゼン量低減化方法としては、上記▲3▼の方法が好適である。この方法は、通常第1スプリッター及び第2スプリッターを用いて、改質ガソリンからベンゼン留分を取り除く方法であり、得られる脱ベンゼン改質ガソリン中のベンゼン含有量は0〜0.5容量%程度にまで低下する。また、ベンゼン分は、精製してベンゼン製品化やシクロヘキサン,スチレンモノマー等の原料化等、石油化学原料用として利用することができる。さらに、このベンゼンをアルキル化すればトルエン,キシレン等のアルキルベンゼンに転化することができる。また、シクロヘキサンを異性化すればメチルシクロペンタンに転化することができる。
上記▲4▼及び▲5▼の方法は、触媒反応のために更に新たな処理装置の設置が必要となるが、抽出したベンゼン分の利用方策がない場合、及び該装置から得られる新規留分が、ガソリン製造基材や石油化学原料用等として利用可能な場合においては、上記▲3▼の方法に比較して更に効率的なベンゼン低減方法となり得る。
その他に、ベンゼン留分の水素化処理法やベンゼン抽出法などがある。ここでベンゼン留分の水素化処理法では、まずベンゼン先駆物質を含む留分を蒸留により分離し、残りの留分を接触改質装置にかけ、生成したリフォーメートはスプリッターへ導入してベンゼン留分を分離し、これを水素処理飽和化する。さらに三成分を再びブレンドして混合リフォーメートにする。一方、ベンゼン抽出法では、水素化脱硫ナフサを蒸留して、i-C5〜n-C6留分を分離し、70℃+留分を接触改質装置にかけ、スプリッターでC5留分,ベンゼントルエン留分(BT留分)及びリフォーメート留分に分離する。このうちBT留分は抽出装置へ導入し、ベンゼン(B),トルエン(T)及びラフィネートに分離する。ベンゼンは石油化学原料に利用し、リフォーメート高沸点留分はそのままC5留分,トルエン及びラフィネートと混合して混合リフォーメートにする。
【0010】
次に、上記▲4▼の方法について、更に詳細に説明する。この方法では、改質ガソリン(リフォーメート)を蒸留してC5,C6留分を含むライトリフォーメート留分をカットした後、これを水素化処理して留分中のベンゼンをシクロヘキサンに転化し、更にこのシクロヘキサンを異性化装置に導入して、メチルシクロペンタン及びn-ヘキサンに開環するとともに、n-ヘキサンは更に高オクタン価の異性体に変換する。この方法は、これらの諸反応を二塔式あるいは一塔式で行う二種のプロセスに大別することができる。
このうち二塔式のプロセスの概略は以下の通りである。まず、原料油と水素が熱交換器で予熱された後、加熱炉で昇温され、水素化反応塔(第1反応塔)へ導入される。水素化反応塔は発熱反応であるため触媒層は水素ガスにより冷却され、反応温度が制御される。温度上昇を抑えることにより水素化分解が抑制されるので、液収率を上げることができる。水素化反応塔から出た処理油は、ゼオライト系異性化触媒が充填されている異性化反応塔(第2反応塔)へ導入される。この第2反応塔は、第1反応塔とほぼ同じ温度で運転されることから、何ら熱交換器を必要としない。この異性化反応塔を出た反応生成物は、分離塔へ送られ、気・液分離される。水素は反応塔へリサイクルされ、液相部はスタビライザーへ送られ、オフガスが分離される。
次に、一塔式のプロセスは、水素化反応と異性化反応を同一反応塔で実施するために、温度制御は極めて細心の注意を払って行われる。冷却水素は反応塔の各段へ供給される。下流部分は上記二塔式のプロセスとほぼ同じ構成になっている。いずれの方式も通常の異性化反応に適用される反応条件(温度,圧力)は、温和な条件で行われ、いずれも接触改質において発生した水素を使用する。
上記▲4▼の方法では、二塔式や一塔式のプロセスのいずれを問わず、そこで使用される水素化反応触媒は、白金/アルミナ系であり、高活性でしかも安定性があり、液収率が高い。異性化反応触媒は、ゼオライトをベースにした触媒であり、水素化反応とほぼ同じ温度で通油されることから、熱交換や冷却システムが簡素化され、建設費が安価であって経済的であり、また温和な運転条件により、触媒寿命を延ばすことも可能である。この運転条件の一例を挙げれば、水素化反応を圧力29.6atm(絶対圧),入口温度180〜250℃,液時空間速度(LHSV)4〜6hr-1で行い、異性化反応を圧力29.6atm(絶対圧),入口温度240〜270℃,液時空間速度(LHSV)1〜3hr-1で行うことができる。
なお、単にベンゼン分を低減化するだけであれば、ベンゼン濃度30容量%以下のC5〜C6留分を各種の貴金属触媒を使用して水素化処理することによって、効率よくシクロヘキサンに転化でき、副反応を極力抑制することができる。
【0011】
続いて、上記▲6▼の方法について、更に詳細に説明する。この方法は、下記の方法Iと方法IIの二つに大別される。
まず方法Iでは、はじめにC5以上のリフォーメート留分を蒸留によってC5留分,ベンゼンを含む留分およびC7+重質リフォーメートの三留分に分離する。FCCオフガスはアミン洗浄して硫化水素を除去した後、直ちにベンゼン低減化装置(例えば、モービル社製,MBR装置)へ導入する。FCCオフガスは大部分がエチレンであるが、5〜10%程度のプロピレンを含有する。なお、ベンゼン低減化装置にはZSM-5触媒が使用され、流動床式反応塔とスリップストリーム型再生装置が組合されている。導入される希釈ベンゼンの半分がアルキル化され、高オクタン価のアルキルベンゼンが生成される。希釈ベンゼンのアルキル化はエチレンの利用に好適であり、C5〜C7オレフィンが共存しても問題はない。ベンゼンのアルキル化により、ベンゼンの減少に対してオクタン価の増加が認められる。
次に方法IIでは、ベンゼン前駆体である環状C6化合物が接触改質装置へ供給されると、シクロヘキサンやメチルシクロペンタンからベンゼンが合成される。従って、ナフサスプリッターを事前に配置して、ベンゼン前駆体をサイドカットする必要がある。この方法IIでは、サイドカットした環状C6化合物が接触改質装置をバイパスし、ベンゼン低減化装置へ導入される。大部分の環状C6留分が改質用原料から除かれるため、低オクタン価のライトリフォーメートが若干少なくなり、C5+リフォーメートベンゼンが約10容量%まで増加する。ライトリフォーメートもまたストリッパーで分離されベンゼン低減化装置へ導入される。この方法では接触改質装置から生成する水素量が少なくなるが、この減少量はベンゼンを飽和化するプロセスで使用される水素量より少ない。環状C6留分をバイパスさせることにより、リフォーメートベンゼンは1/2から3/4少なくなり、残留ベンゼンはベンゼン低減化装置でFCCオレフィンガスによりアルキル化される。同時にベンゼン低減化装置は極端に低オクタン価のC6+直鎖パラフィンを分解し、環状C6留分やリフォーメートベンゼンとともに留出される。直鎖C6留分はプロパン,ブタンおよびライトオレフィンに分解される。生成したライトオレフィンの大部分はガソリンに転化される。FCCオフガスのエチレンおよびプロピレンのエチルベンゼンやクメンへの転化率は高く、ベンゼンのアルキル化およびC6+パラフィンの分解により、リサーチおよびモーターオクタン価が大きく増加する。この方法によれば、FCCオフガス燃料の過剰生成、あるいはFCCガスプラントのプロピレン量の不足等の束縛条件を緩和することができるので、これを採用することにより、FCCの運転条件をより苛酷にすることが可能である。
さらに、これらの変法として、ベンゼンリッチ留分にライトオレフィン(例えばプロピレン)を混合通油して反応させるベンゼンのアルキル化プロセスを、既設固定床リフォーマーのセパレーターとスタビライザーの間に組み込むことによっても、ベンゼンの低減化を計ることができる。
【0012】
また、FCC(流動接解分解装置)ガソリン(ベンゼン0.9〜1.6容量%)、軽質FCCガソリン(ベンゼン1〜2容量%)及び脱硫重質ナフサ(ベンゼン0.9〜1.3容量%)は、通常経済性の点から脱ベンゼン処理せずに使用されるが、もちろん脱ベンゼン処理して使用してもよい。この場合、FCCガソリンのベンゼン量低減化は、例えば供給原料や運転条件を制御することによって行うことができ、また、軽質FCCガソリンのベンゼン量低減化は、FCCガソリンの分留時のカット温度の制御によって行うことができる。
また、脱硫重質ナフサのベンゼン量低減化は、ナフテン系原油の混合量を減らすことによって行うことができる。
【0013】
次に、燃料油中の硫黄分を40ppm以下に抑えるためには、ガソリン基材の中で特に硫黄分の多い接触分解ガソリン中の硫黄分を低下させることが肝要である。そのためには、接触分解の原料油を水添処理によって脱硫して、接触分解装置に通油し、さらには生産された接触分解ガソリンをマーロックス装置などの脱硫装置に導入して脱硫を行うことが好ましい。
【0014】
本発明の燃料油は、前記(1)〜(5)の条件を満たすとともに、通常、次の組成及び性状を有している。すなわち、通常MTBEやメチルターシャリーアミルエーテル(MTAE),エチルターシャリーブチルエーテル(ETBE),エチルターシャリーアミルエーテル(ETAE)などの含酸素化合物含有量が0〜15容量%、好ましくは2〜15容量%、より好ましくは4〜10容量%、芳香族分含有量が15〜45容量%、好ましくは21〜39容量%であって、炭素数9以上の芳香族分含有量が10容量%以下、好ましくは8容量%以下、オレフィン分含有量2〜25容量%、好ましくは5〜19容量%で、また、〔リサーチ法オクタン価(RON)+モーター法オクタン価(MON)〕/2の値が93以上、好ましくは94以上で、かつリード蒸気圧が0.4〜0.8kg/cm2である。
【0015】
上記含酸素化合物は、オクタン価を向上させる作用を有し、その含有量が15容量%を超えると、エンジン排ガス中のNOXが増加する傾向がみられる。また、芳香族分含有量が15容量%未満では、得られる燃料油のオクタン価が充分に向上せず、オクタン価を向上させるために該含酸素化合物を多量に加えた場合、上述したように排気ガス中のNOXが増加するなど好ましくない事態を生じる。逆に45容量%を超えると燃料系統に使用されている各種機器のゴムが劣化したり、排気ガス中の有害成分が増加する傾向がみられる。さらに、この芳香族分のうち、炭素数9以上の芳香族分含有量が10容量%を超えると、中間気温(15〜25℃)での運転性、特に加速応答性が低下する傾向がみられる。なお、芳香族分含有量はJIS K-2536に準じて測定した値であり、また、炭素数9以上の芳香族分含有量は、ガスクロマトグラフによるガソリンの全組成分析(石油学会法JPI-5S-90に準拠)から算出した値である。
【0016】
次に、オレフィン分含有量が上記範囲を逸脱すると、燃料油の安定性の面で問題が生じる。なお、ここでオレフィン分は、通常炭素数4〜11のオレフィンを主成分とするものである。また、このオレフィン分含有量はJIS K-2536に準じて測定した値である。
(RON+MON)/2の値が93未満では、高走耐ノック性が不充分となるおそれがある。
また、燃料油中における炭素数9以上の芳香族分を10容量%以下に抑制するためには、各ガソリン基材について、ガスクロマトグラフで全組成分析を行い、炭素数9以上の芳香族分が10容量%以下になるようにすればよい。この際、当然に炭素数9以上の芳香族分以外の成分組成や性状(例えば、RON,蒸留性状,芳香族分及びオレフィン分など)についても、適正な範囲に入るように、上記全組成分析から判断すべきである。ここで、炭素数9以上の芳香族分を10容量%以下になるように調節するための具体的方法は、様々に考えられるが、下記の(a)〜(e)の方法を好適なものとして挙げることができる。
【0017】
(a)接触改質ガソリン中の炭素数9以上の芳香族分の含有量を下げること。このためには、(i)原料重質ナフサから重質分を除いて軽質化する、(ii)改質ガソリンから重質分を除去する、(iii)接触改質装置の運転条件を調整するなどの手法がある。
(b)燃料油を調製するにあたって、接触改質ガソリンの混合割合を下げること。
(c)接触分解ガソリンから重質分を除いて軽質化すること。
(d)改質ガソリンから石油化学原料としてのBTX(ベンゼン,トルエン,キシレン)を抜き取った後の炭素数9以上の芳香族分を使用しないこと。
(e)改質ガソリンの代わりにトルエンを使用すること。
【0018】
本発明の燃料油には、さらに必要に応じて、各種の添加剤を適宜配合することができる。
このような添加剤としては、例えばフェノール系やアミン系などの酸化防止剤、シッフ型化合物やチオアミド型化合物などの金属不活性剤、有機リン系化合物などの表面着火防止剤、コハク酸イミド,ポリアルキルアミン,ポリエーテルアミンなどの清浄分散剤、多価アルコール及びエーテルなどの氷結防止剤、有機酸のアルカリ金属やアルカリ土類金属塩,高級アルコールの硫酸エステルなどの助燃剤、アニオン性界面活性剤,カチオン性界面活性剤,両性界面活性剤などの帯電防止剤、アルケニルこはく酸のエステルなどの錆止め剤、キリザニン,クマリンなどの識別剤、天然精油,合成香料などの着臭剤、アゾ染料などの着色剤など、公知の燃料油添加剤が挙げられ、これらを一種あるいは二種以上添加することができる。また、これらの添加剤の添加量は状況に応じて適宜選定すればよいが、通常は添加剤の合計量として燃料油の0.1重量%以下とすることが望ましい。
また、2サイクルエンジン用として、通常実施されている方法により、エンジンオイルを混合して利用することも可能である。
【0019】
【実施例】
更に、本発明を実施例により詳しく説明するが、本発明はこれらの例によってなんら制限されるものではない。
なお、燃料油の性状及び性能は次の方法に従って求めた。
〔燃料油の性状〕
(1)オクタン価
JIS K-2280に準拠して測定する。
(2)硫黄分
JIS K-2541に従った微量電量滴定酸化法により測定する。
(3)蒸留性状(1)
JIS K-2254に準拠して求める。
(4)全組成ガスクロマトグラフ法
石油学会法JPI-5S-90に準拠して、燃料油中の各炭化水素含有量を求める。値は重量%に近いので、各炭化水素密度から容量%に換算する。この分析法による各成分は沸点順に出てくる。
(イ)蒸留性状(2)
沸点25℃未満に相当する各成分の量(容量%)を積算して算出する。同様にして、各温度範囲に相当する各成分の量を積算して算出し、蒸留性状(2)を求める。
(ロ)各留分のRON
沸点25℃未満に相当する各成分のRONと量(容量%)との積を積算し、これを積算量(容量%)で除して、沸点25℃未満の留分のRONを求める。同様にして、各温度範囲の留分のRONを求める。
なお、一般に混合物のRONは、単純積算RONよりも高い値を示す。この差はブレンドボーナス(又はオクタン価ボーナス)と呼ぶが、ここではそれを無視した。
(ハ)ベンゼン,トルエン,エチルベンゼン,キシレン,炭素数9以上の芳香族分含有量
該ガスクロ分析値を用いる。
(5)組成
JIS K-2536に準じて測定する。
【0020】
〔燃料油の性能〕
(1)中間気温での運転性
EFI仕様の自動車用エンジンを用い、室温(20℃)にて、エンジン回転数700rpmから加速し、2500rpmに到達するまでの時間(秒)で評価した。この時間が短いほど燃料の加速応答性が良好である。なお、ここでは実施例1の結果を基準にして、到達時間を%で表示した。
(2)排気ガス中のベンゼン濃度
TRIAS23-1991の「ガソリン自動車アイドリング、11モード排出ガス試験法」に従い、かつSAE Paper 920320に記載の方法に準拠して排ガス中のベンゼンを分析した。
【0021】
実施例1及び比較例1〜5
第1表に示す性状のガソリン基材とMTBEを、第2表に示す割合で混合して、燃料油を調製し、その性状及び性能を求めた。その結果を第2表に示す。
【0022】
【表1】

【0023】
【表2】

【0024】
【表3】

【0025】
【表4】

【0026】
【発明の効果】
本発明のガソリンエンジン用燃料油は、高速耐ノック性,加速性,燃焼性,始動性,運転性などの自動車の運転性能に優れるとともに、排気ガス中のベンゼン分や、NOX、SOXなどの少ない低公害性で、かつ無鉛高オクタン価のガソリンである。
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2002-05-22 
出願番号 特願平6-294152
審決分類 P 1 651・ 121- YA (C10L)
P 1 651・ 113- YA (C10L)
P 1 651・ 531- YA (C10L)
P 1 651・ 534- YA (C10L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 守安 智  
特許庁審判長 板橋 一隆
特許庁審判官 井上 彌一
関 美祝
西川 和子
佐藤 修
登録日 2001-02-23 
登録番号 特許第3161255号(P3161255)
権利者 出光興産株式会社
発明の名称 ガソリンエンジン用燃料油  
代理人 友松 英爾  
代理人 河備 健二  
代理人 藤野 清規  
代理人 岡本 利郎  
代理人 大谷 保  
代理人 大谷 保  
代理人 森田 順之  
代理人 須賀 総夫  
代理人 吉見 京子  
代理人 藤野 清也  

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