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審決分類 |
審判 全部無効 1項3号刊行物記載 無効とする。(申立て全部成立) E02B |
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管理番号 | 1105163 |
審判番号 | 無効2004-35112 |
総通号数 | 60 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2002-10-18 |
種別 | 無効の審決 |
審判請求日 | 2004-02-25 |
確定日 | 2004-10-12 |
事件の表示 | 上記当事者間の特許第3486628号発明「水路用安全カバーの開閉カバー支持構造」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 |
結論 | 特許第3486628号の請求項1ないし7に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 |
理由 |
1.手続の経緯 (1)本件特許第3486628号の請求項1ないし7に係る発明は、平成9年12月8日に出願され、平成15年10月31日にその発明についての設定登録がされた。 (2)これに対して、平成16年2月25日に請求人有限会社クライスより無効審判請求がなされ、特許無効理由の要点は次のとおりであり(審判請求書2頁参照)、又、証人尋問を申請した。 (a)本件特許の請求項1〜請求項7に係る発明は、甲第1号証〜甲第8号証記載の発明、または、甲第1号証に記載のある福島県あずま総合運動公園に設置された水路用安全カバー、と同一であり、または、これに基づいて、当業者が容易に発明することができたものであり、特許法第29条第1項または第2項に該当し、同法123条第1項第1号に該当する。 (b)本件特許は、その特許が発明者でない者であってその発明について特許を受ける権利を継承しないものの特許出願についてなされたものであり、特許法第123条第1項第6号に該当する。 (3)被請求人に無効審判請求書を送付し答弁求めたが指定期間内に被請求人からは応答がなく、平成16年7月15日に口頭審理及び証人尋問を行ったが被請求人の出廷はなかった。 2.本件発明 本件特許第3486628号の請求項1ないし7に係る発明(以下、「本件発明1」等という。)は、本件特許明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし7に記載された事項により特定される次のとおりのものである。 【請求項1】 下記の構成要件(A01)〜(A08)を備えたことを特徴とする水路用安全カバーの開閉カバー支持構造、 (A01)凹溝を形成する一対の側壁の上端部にそれぞれ固定され且つ前記各側壁に沿って延びる一対の金属製のベースと、前記各ベースの両端部においてそれぞれ前記凹溝を横切って配置され且つ中央部が上方に湾曲する金属パイプにより構成されるとともに外端部が前記一対のベースの各端部にそれぞれ支持されたフレームとを有する固定枠体、 (A02)前記凹溝を形成する一対の側壁の上端部に前記凹溝に沿って所定間隔離れて配置された複数の前記固定枠体、 (A03)前記凹溝を横切る方向の中央部において前記凹溝に沿って延び且つ前記複数の固定枠体のフレームに連結される中央部継ぎフレーム、 (A04)所定間隔離れて配置された前記複数の固定枠体、前記中央部継ぎフレームおよび隣接する固定枠体の間の前記凹溝の上方空間を連続して被覆し且つ外側部が前記ベースに固定された固定枠体用のネット、 (A05)1つの固定枠体用のネットに被覆された固定枠体の一対のベースと他の固定枠体用のネットに被覆された他の固定枠体の一対のベースとの間に配置されるとともに前記凹溝を形成する一対の側壁の上端部にそれぞれ支持され且つ前記各側壁に沿って延びる一対の金属製のベースと、前記各ベースの両端部においてそれぞれ前記凹溝を横切って配置され且つ中央部が上方に湾曲する金属パイプにより構成されるとともに外端部が前記一対のベースの各端部にそれぞれ支持されたフレームとを有する回動枠体、 (A06)前記回動枠体の外側を被覆して外側部が前記ベースに固定された回動枠体用ネット。 (A07)前記回動枠体および前記回動枠体用ネットを有する開閉カバー、 (A08)前記回動枠体の前記一対のベースの中の一方のベースをその両側に配置された前記各固定枠体のベースに回動可能に連結する回動連結部材。 【請求項2】 下記の構成要件(A01)〜(A04),(A09)〜(A011)を備えたことを特徴とする水路用安全カバーの開閉カバー支持構造、 (A01)凹溝を形成する一対の側壁の上端部にそれぞれ固定され且つ前記各側壁に沿って延びる一対の金属製のベースと、前記各ベースの両端部においてそれぞれ前記凹溝を横切って配置され且つ中央部が上方に湾曲する金属パイプにより構成されるとともに外端部が前記一対のベースの各端部にそれぞれ支持されたフレームとを有する固定枠体、 (A02)前記凹溝を形成する一対の側壁の上端部に前記凹溝に沿って所定間隔離れて配置された複数の前記固定枠体、 (A03)前記凹溝を横切る方向の中央部において前記凹溝に沿って延び且つ前記複数の固定枠体のフレームに連結される中央部継ぎフレーム、 (A04)所定間隔離れて配置された前記複数の固定枠体、前記中央部継ぎフレームおよび隣接する固定枠体の間の前記凹溝の上方空間を連続して被覆し且つ外側部が前記ベースに固定された固定枠体用のネット、 (A09)前記凹溝に沿う方向に離れ且つ隣接して配置された一対の固定枠体の隣接して配置された一対のフレームの間において前記中央部継ぎフレームの片側部分が除去された前記固定枠体用のネット、 (A010)前記凹溝に沿った軸回りに回動する回動部材を有し、前記ネット除去部分に配置された回動フレームと、前記回動フレームに支持され且つ回動フレームの外側を被覆するように配置された回動フレーム用ネットとを有する開閉カバー、 (A011)前記回動フレームの回動部材を回動可能に支持し且つ前記固定枠体のフレームに支持された回動連結部材。 【請求項3】下記の構成要件(A012)を備えたことを特徴とする請求項1または2記載の水路用安全カバーの開閉カバー支持構造、 (A012)前記ネットの外側部に沿った網目を互い違いに縫うように貫通し且つ前記ベースに連結されたネット固定部材。 【請求項4】 下記の構成要件(A013)を備えたことを特徴とする請求項1ないし3のいずれか記載の水路用安全カバーの開閉カバー支持構造、 (A013)一端側に小径部が形成され他端側に前記小径部が嵌合可能な形状の嵌合穴が形成された前記中央部継ぎフレーム。 【請求項5】 下記の構成要件(A014)を備えたことを特徴とする請求項1ないし4のいずれか記載の水路用安全カバーの開閉カバー支持構造、 (A014)前記中央部継ぎフレームの一端部が嵌合する溝および前記横フレームの外側面に密着して当接する接合面を有する継ぎフレーム嵌合部材と、前記継ぎフレーム嵌合部材に連結されて両端部が半円状に曲げられた針金状弾性部材とを有し、前記中央部継ぎフレームの一端部と前記横フレームとを連結するワイヤティワン。 【請求項6】 下記の構成要件(A015)を備えたことを特徴とする請求項1ないし5のいずれか記載の水路用安全カバーの開閉カバー支持構造、 (A015)前記中央部継ぎフレームに引っ掛ける半円形中央部と半円状に曲げられた両端部とを有し、前記フレームと中央部継ぎフレームの中間部とを連結するトップセッタ。 【請求項7】 下記の構成要件(A016),(A017)を備えたことを特徴とする請求項1ないし6のいずれか記載の水路用安全カバーの開閉カバー支持構造、 (A016)前記凹溝に沿って配置された複数の各枠体のうちの外端に配置された枠体の外端面を被覆するように配置された外端面被覆ネット、 (A017)前記凹溝を横切って配置されるとともに両端部が前記凹溝を形成する両側壁に固定され、且つ前記外端面被覆ネットの下端を支持する外端面被覆ネット下端支持部材。 3.証拠方法 [甲号証] 甲第1号証:株式会社ロック作成のカタログ「セフティカバー」 甲第2号証:福島県あずま総合運動公園の施工(平成6年3,4月)一の写真 甲第3号証:セフティカバー実績表 大倉商事株式会社東北営業所作成(平成10年6月現在) 甲第4号証:セフテイカバー施工取付手順書 株式会社ロック 1993年5月第一版発行 甲第5号証:株式会社ロック社員草野正文作成の標準開口部(標準全開口部)の図面(1994.6.6作成) 甲第6号証:株式会社ロック社員草野正文作成の標準開ロ部(標準全開口部)の図面(1993.7作成) 甲第7号証:株式会社ロック社員草野正文作成の標準開ロ部(標準全開口部)の図面(平成2年12月19日作成) 甲第8号証の1:開口部の作成手配の説明書(1993年4月30日にファクシミリしたもの) 甲第8号証の2:開口部の作成手配の説明書(1994年4月6日使用) 甲第8号証の3:株式会社ロックの草野正文から株式会社明商宇都宮営業所坂本氏へ1995年1月10日に渡した書面(添付書類説明書添付) 甲第9号証の1:株式会社ロックの登記簿謄本 甲第9号証の2:大倉商事株式会社の登記簿謄本 甲第10号証:大倉商事株式会社作成のカタログ「セフティカバー」 甲第11号証:シバクリエイト株式会社カタログ「エコプロガード」 甲第12号証:甲第1号証内の写真と本件特許発明との対比説明書 甲第13号証:甲第4号証の配布先を記載した書面 甲第14号証:甲第4号証のデータファイルの作成履歴を示すリスト 〔人証〕 住所 福島県郡山市大槻町字北中野51番地の3 証人 草野 正文 甲第1号証には、次の発明が記載されている。 (1)下記の構成要件(A01)'〜(A08)'を備えたセフティカバー、 (A01)'水路を形成する一対の水路よう壁(6)の上端部にそれぞれ固定され且つ前記各水路よう壁に沿って延びる一対のベース(4)と、前記各ベースの両端部においてそれぞれ前記水路を横切って配置され且つ中央部が上方に湾曲する金属パイプにより構成されるとともに外端部が前記一対のベースの各端部にそれぞれ支持されたフレーム(1)(2)とを有する固定枠体、 (A02)'前記水路を形成する一対の水路よう壁の上端部に前記水路に沿って所定間隔離れて配置された複数の前記固定枠体、 (A03)'前記水路を横切る方向の中央部において前記水路に沿って延び且つ前記複数の固定枠体のフレームに連結される中央部継ぎフレーム(3)、 (A04)'所定間隔離れて配置された前記複数の固定枠体、前記中央部継ぎフレームおよび隣接する固定枠体の間の前記水路の上方空間を連続して被覆し且つ外側部が前記ベースに固定された固定枠体用のネット、 (A05)'1つの固定枠体用のネットに被覆された固定枠体の一対のベースと他の固定枠体用のネットに被覆された他の固定枠体の一対のベースとの間に配置されるとともに前記水路を形成する一対の水路よう壁の上端部にそれぞれ支持され且つ前記各水路よう壁に沿って延びる一対のベースと、前記各ベースの両端部においてそれぞれ前記水路を横切って配置され且つ中央部が上方に湾曲する金属パイプにより構成されるとともに外端部が前記一対のベースの各端部にそれぞれ支持されたフレームとを有する回動枠体(「開口部(管理口)」の標準開口部の写真参照)、 (A06)'前記回動枠体の外側を被覆して外側部が前記ベースに固定された回動枠体用ネット。 (A07)'前記回動枠体および前記回動枠体用ネットを有する開閉カバー、 (A08)'前記回動枠体の前記一対のベースの中の一方のベースをその両側に配置された前記各固定枠体のベースに回動可能に連結する回動連結部材。 (2)下記の構成要件(A01)'〜(A04)',(A09)'〜(A011)'を備えたセフティカバー、 (A01)'水路を形成する一対の水路よう壁の上端部にそれぞれ固定され且つ前記各水路よう壁に沿って延びる一対のベースと、前記各ベースの両端部においてそれぞれ前記水路を横切って配置され且つ中央部が上方に湾曲する金属パイプにより構成されるとともに外端部が前記一対のベースの各端部にそれぞれ支持されたフレームとを有する固定枠体、 (A02)'前記水路を形成する一対の水路よう壁の上端部に前記水路に沿って所定間隔離れて配置された複数の前記固定枠体、 (A03)'前記水路を横切る方向の中央部において前記水路に沿って延び且つ前記複数の固定枠体のフレームに連結される中央部継ぎフレーム、 (A04)'所定間隔離れて配置された前記複数の固定枠体、前記中央部継ぎフレームおよび隣接する固定枠体の間の前記水路の上方空間を連続して被覆し且つ外側部が前記ベースに固定された固定枠体用のネット、 (A09)'前記水路に沿う方向に離れ且つ隣接して配置された一対の固定枠体の隣接して配置された一対のフレームの間において前記中央部継ぎフレームの片側部分が除去された前記固定枠体用のネット(「福島県あずま総合運動公園」の写真参照)、 (A010)'前記水路に沿った軸回りに回動する回動部材を有し、前記ネット除去部分に配置された回動フレームと、前記回動フレームに支持され且つ回動フレームの外側を被覆するように配置された回動フレーム用ネットとを有する開閉カバー、 (A011)'前記回動フレームの回動部材を回動可能に支持し且つ前記固定枠体のフレームに支持された回動連結部材。 (3)下記の構成要件(A012)'を備えた上記(1)または(2)記載のセフティカバー、 (A012)'前記ネットの外側部に沿った網目を互い違いに縫うように貫通し且つ前記ベースに連結されたネット固定部材(「施工手順 7」の写真参照)。 (5)下記の構成要件(A014)'を備えた(1)ないし(3)のいずれか記載のセフティカバー、 (A014)'前記中央部継ぎフレームの一端部が嵌合する溝および前記横フレームの外側面に密着して当接する接合面を有する継ぎフレーム嵌合部材と、前記継ぎフレーム嵌合部材に連結されて両端部が半円状に曲げられた針金状弾性部材とを有し、前記中央部継ぎフレームの一端部と前記横フレームとを連結するワイヤティワン(端部用)。 (6)下記の構成要件(A015)'を備えた上記(1)ないし(3)、(5)のいずれか記載のセフティカバー、 (A015)'前記中央部継ぎフレームに引っ掛ける半円形中央部と半円状に曲げられた両端部とを有し、前記フレームと中央部継ぎフレームの中間部とを連結するトップセッター。 (7)下記の構成要件(A016)',(A017)'を備えた上記(1)ないし(3)、(5)、(6)のいずれか記載のセフティカバー、 (A016)'前記水路に沿って配置された複数の各枠体のうちの外端に配置された枠体の外端面を被覆するように配置された外端面被覆ネット(「施工手順 8」参照)、 (A017)'前記水路を横切って配置されるとともに両端部が前記水路を形成する両水路よう壁に固定され、且つ前記外端面被覆ネットの下端を支持する外端面被覆ネット下端支持部材。 甲第4号証には、次の発明が記載されている。 (1)下記の構成要件(A01)”〜(A08)”を備えたセフティカバー、 (A01)”水路を形成する一対の水路よう壁の上端部にそれぞれ固定され且つ前記各水路よう壁に沿って延びる一対のベース(6頁参照)と、前記各ベースの両端部においてそれぞれ前記水路を横切って配置され且つ中央部が上方に湾曲する金属パイプにより構成されるとともに外端部が前記一対のベースの各端部にそれぞれ支持されたフレーム(主フレーム、補助フレーム)とを有する固定枠体(7,8頁参照)、 (A02)”前記水路を形成する一対の水路よう壁の上端部に前記水路に沿って所定間隔離れて配置された複数の前記固定枠体、 (A03)”前記水路を横切る方向の中央部において前記水路に沿って延び且つ前記複数の固定枠体のフレームに連結される中央部継ぎフレーム(8頁(マル1)参照)、 (A04)”所定間隔離れて配置された前記複数の固定枠体、前記中央部継ぎフレームおよび隣接する固定枠体の間の前記水路の上方空間を連続して被覆し且つ外側部が前記ベースに固定された固定枠体用のネット(11頁参照)、 (A05)”1つの固定枠体用のネットに被覆された固定枠体の一対のベースと他の固定枠体用のネットに被覆された他の固定枠体の一対のベースとの間に配置されるとともに前記水路を形成する一対の水路よう壁の上端部にそれぞれ支持され且つ前記各水路よう壁に沿って延びる一対のベースと、前記各ベースの両端部においてそれぞれ前記水路を横切って配置され且つ中央部が上方に湾曲する金属パイプにより構成されるとともに外端部が前記一対のベースの各端部にそれぞれ支持されたフレームとを有する回動枠体(24頁参照)、 (A06)”前記回動枠体の外側を被覆して外側部が前記ベースに固定された回動枠体用ネット。 (A07)”前記回動枠体および前記回動枠体用ネットを有する開閉カバー(24頁参照)、 (A08)”前記回動枠体の前記一対のベースの中の一方のベースをその両側に配置された前記各固定枠体のベースに回動可能に連結する回動連結部材(22頁参照)。 (2)下記の構成要件(A01)”〜(A04)”,(A09)”〜(A011)”を備えたセフティカバー、 (A01)”水路を形成する一対の水路よう壁の上端部にそれぞれ固定され且つ前記各水路よう壁に沿って延びる一対のベースと、前記各ベースの両端部においてそれぞれ前記水路を横切って配置され且つ中央部が上方に湾曲する金属パイプにより構成されるとともに外端部が前記一対のベースの各端部にそれぞれ支持されたフレームとを有する固定枠体、 (A02)”前記水路を形成する一対の水路よう壁の上端部に前記水路に沿って所定間隔離れて配置された複数の前記固定枠体、 (A03)”前記水路を横切る方向の中央部において前記水路に沿って延び且つ前記複数の固定枠体のフレームに連結される中央部継ぎフレーム、 (A04)”所定間隔離れて配置された前記複数の固定枠体、前記中央部継ぎフレームおよび隣接する固定枠体の間の前記水路の上方空間を連続して被覆し且つ外側部が前記ベースに固定された固定枠体用のネット、 (A09)”前記水路に沿う方向に離れ且つ隣接して配置された一対の固定枠体の隣接して配置された一対のフレームの間において前記中央部継ぎフレームの片側部分が除去された前記固定枠体用のネット(29頁参照)、 (A010)”前記水路に沿った軸回りに回動する回動部材を有し、前記ネット除去部分に配置された回動フレームと、前記回動フレームに支持され且つ回動フレームの外側を被覆するように配置された回動フレーム用ネットとを有する開閉カバー(29頁参照)、 (A011)”前記回動フレームの回動部材を回動可能に支持し且つ前記固定枠体のフレームに支持された回動連結部材。 (3)下記の構成要件(A012)”を備えた上記(1)または(2)記載のセフティカバー、 (A012)”前記ネットの外側部に沿った網目を互い違いに縫うように貫通し且つ前記ベースに連結された袖押え(12頁参照)。 (4)下記の構成要件(A013)”を備えた上記(1)ないし(3)のいずれか記載のセフティカバー、 (A013)”一端側に小径部が形成され他端側に前記小径部が嵌合可能な形状の嵌合穴が形成された前記中央部継ぎフレーム(8頁参照)。 (5)下記の構成要件(A014)”を備えた上記(1)ないし(4)のいずれか記載のセフティカバー、 (A014)”前記中央部継ぎフレームの一端部が嵌合する溝および前記横フレームの外側面に密着して当接する接合面を有する継ぎフレーム嵌合部材と、前記継ぎフレーム嵌合部材に連結されて両端部が半円状に曲げられた針金状弾性部材とを有し、前記中央部継ぎフレームの一端部と前記横フレームとを連結するワイヤティワン(9頁参照)。 (6)下記の構成要件(A015)”を備えた上記(1)ないし(5)のいずれか記載のセフティカバー、 (A015)”前記中央部継ぎフレームに引っ掛ける半円形中央部と半円状に曲げられた両端部とを有し、前記フレームと中央部継ぎフレームの中間部とを連結するトップセッタ(9頁参照)。 (7)下記の構成要件(A016)”,(A017)”を備えた上記(1)ないし(6)のいずれか記載のセフティカバー、 (A016)”前記水路に沿って配置された複数の各枠体のうちの外端に配置された枠体の外端面を被覆するように配置された外端面被覆ネット、 (A017)”前記水路を横切って配置されるとともに両端部が前記水路を形成する両水路よう壁に固定され、且つ前記外端面被覆ネットの下端を支持する外端面被覆ネット下端支持部材(14頁参照)。 4.対比・判断 証人の証言によれば、株式会社ロックは平成7年には業務停止していることから、株式会社ロックのカタログである甲第1号証の頒布時期はそれ以前と考えられ、甲第1号証は、少なくとも、本件出願(平成9年)前に頒布された刊行物であると認められる。 甲第4号証は、その奥付の日付(発行1993年5月第一版)、証人の証言、及び、甲第4号証12頁の図面に手書きした甲第8号証の3が、1995.1.10に株式会社ロックの草野が株式会社名商宇都宮営業所の坂本に手渡したものであること等から、本件出願(1997年)前に頒布された刊行物であると認められる。 (4-1)本件発明1について 本件発明1と上記甲第1号証記載の発明とを対比すると、甲第1号証記載の発明の「セフティカバー」、「水路」、「水路よう壁」、「ベース」が、本件発明1の「水路用安全カバーの開閉カバー支持構造」、「凹溝」、「側壁」、「金属製のベース」に相当し、両者に構成の差異は認められない。 本件発明1と上記甲第4号証記載の発明とを対比すると、甲第4号証記載の発明の「セフティカバー」、「水路」、「水路よう壁」、「ベース」が、本件発明1の「水路用安全カバーの開閉カバー支持構造」、「凹溝」、「側壁」、「金属製のベース」に相当し、両者に構成の差異は認められない。 (4-2)本件発明2について 本件発明2と上記甲第1号証又は甲第4号証記載の発明とを対比すると、両者に構成の差異は認められない。 (4-3)本件発明3について 本件発明3は、本件発明1又は2を更に「ネットの外側部に沿った網目を互い違いに縫うように貫通し且つ前記ベースに連結されたネット固定部材」を備えることを限定したものであるが、該限定事項は、甲第1号証(「施工手順 7」参照)、甲第4号証(12頁)に記載されている。 (4-4)本件発明4について 本件発明4は、本件発明1ないし3のいずれかに「一端側に小径部が形成され他端側に前記小径部が嵌合可能な形状の嵌合穴が形成された前記中央部継ぎフレーム」であることを限定したものであるが、該限定事項は、甲第4号証(8頁)に記載されている。 (4-5)本件発明5について 本件発明5は、本件発明1ないし4のいずれかに「中央部継ぎフレームの一端部が嵌合する溝および前記横フレームの外側面に密着して当接する接合面を有する継ぎフレーム嵌合部材と、前記継ぎフレーム嵌合部材に連結されて両端部が半円状に曲げられた針金状弾性部材とを有し、前記中央部継ぎフレームの一端部と前記横フレームとを連結するワイヤティワン」を備えることを限定したものであるが、該限定事項は、甲第1号証、甲第4号証(9頁)に記載されている。 (4-6)本件発明6について 本件発明6は、本件発明1ないし5のいずれかに「中央部継ぎフレームに引っ掛ける半円形中央部と半円状に曲げられた両端部とを有し、前記フレームと中央部継ぎフレームの中間部とを連結するトップセッタ」を備えることを限定したものであるが、該限定事項は、甲第1号証、甲第4号証(9頁)に記載されている。 (4-7)本件発明7について 本件発明7は、本件発明1ないし6のいずれかに「前記凹溝に沿って配置された複数の各枠体のうちの外端に配置された枠体の外端面を被覆するように配置された外端面被覆ネット」及び「前記凹溝を横切って配置されるとともに両端部が前記凹溝を形成する両側壁に固定され、且つ前記外端面被覆ネットの下端を支持する外端面被覆ネット下端支持部材。」を備えることを限定したものであるが、該限定事項は、甲第1号証(「施工手順8」参照)、甲第4号証(14頁)に記載されている。 したがって、本件発明1ないし3及び本件発明5ないし7は甲第1号証記載の発明であり、本件発明1ないし7は、甲第4号証記載の発明である。 5.むすび 以上のとおりであるから、本件発明1ないし7に係る発明は特許法第29条第1項第3号に該当し、他の無効理由を検討するまでもなく、本件特許は無効とすべきものである。 審判に関する費用については、特許法第169条第2項の規定において準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-08-19 |
結審通知日 | 2004-08-20 |
審決日 | 2004-08-31 |
出願番号 | 特願2002-48223(P2002-48223) |
審決分類 |
P
1
112・
113-
Z
(E02B)
|
最終処分 | 成立 |
前審関与審査官 | 土屋 真理子 |
特許庁審判長 |
木原 裕 |
特許庁審判官 |
新井 夕起子 山田 忠夫 |
登録日 | 2003-10-31 |
登録番号 | 特許第3486628号(P3486628) |
発明の名称 | 水路用安全カバーの開閉カバー支持構造 |
代理人 | 久保 司 |