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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 F03D
管理番号 1105211
審判番号 不服2001-6872  
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-10-27 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-03-23 
確定日 2004-11-05 
事件の表示 平成7年特許願第59679号「駆動力併用伝動装置を利用した発電装置」の拒絶の査定に対する審判事件[平成7年10月27日出願公開、特開平7-279817号]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
(1)本願は、平成3年5月8日に出願された実用新案登録出願(実願平3-62960号)を平成7年2月9日に特許出願に変更したものである。
(2)審査の過程で、平成11年2月23日付けで拒絶の理由が通知され(発送日:平成11年3月2日)、平成13年2月20日付けで拒絶をすべき旨の査定がなされ、その後(発送日:平成13年2月27日)、その査定の謄本が送達された。
(3)その査定の謄本の送達があった日から30日以内である平成13年3月23日に、その査定を不服として審判が請求された。
(4)その審判の請求の日から30日以内である平成13年3月23日に、願書に添付した明細書の全文を補正する手続補正書が提出された。

2.拒絶の査定の理由の概要
拒絶の査定の理由の概要は、平成11年2月23日付けの拒絶理由通知書及び平成13年2月20日付けの拒絶査定書の記載からみて、次のようなものである。
「この出願の請求項1、2に係る発明は、その原出願前日本国内において頒布された下記の刊行物1、2に記載された発明に基いて、その原出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、この出願は、拒絶をすべきものである。
<引用刊行物>
1.特開昭52-29548号公報
2.特公昭28-2054号公報 」

3.本願発明
この出願の請求項1、2に係る発明(以下、「本願発明1、2」ということがある。)は、平成13年3月23日付けの手続補正書により補正された願書に添付された明細書の記載からみて、特許請求の範囲の請求項1、2に記載されたとおりのものであると認められるところ、該請求項1の記載は、次のとおりである。
「【請求項1】 駆動軸(主軸)(9)上に駆動軸併用伝動装置(1)を設置した発電装置。」
なお、「駆動軸併用伝動装置」は、平成13年3月23日付けの手続補正書により補正された願書に添付された明細書の記載全体からみて、「駆動力併用伝動装置」の誤記と認められる。

4.引用刊行物に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物である特公昭28-2054号公報(以下、「引用例」という。)には、次のような技術的事項が記載されている。
ア.「本発明は非運動体に横架せる原動軸に対して前後へ交互に適当数の浮体を配設して、これらの前列浮体及び後列浮体に連結せる各揺動杆を上記原動軸又は適宜の補助軸を中心として回動し得べく装着すると共に、原動軸には各揺動杆に対応して一定方向に回転し得べきフリーホイールを設けて、これらのフリーホイールに前列浮体の揺動杆並びに後列浮体の揺動杆をそれぞれそれらの上昇運動を適宜伝動し得べく連係して単位動力源を構成し、その適当数を発電機据付体の一側又は両側若くは前後に配列して各原動軸の原動フリーホイールより発電機へ集結して伝動するようにしたことを特徴とする波動を利用する発電装置に係るものであって、その第1図乃至第4図に示す一実施例について以下に詳説する。」(1頁左欄10〜24行目)
イ.「而して各揺動杆8,8′は何れも補助軸4を支点として揺動するので上下に円滑に回動し得ると共に、各揺動杆8,8′に於けるフリーホイール11,11′への力点の回転半径に比べて浮体7,7′よりの重点の回転半径は極めて大きくなし得るから、各浮体7,7’に受けた波動は各揺動杆8,8′によりフリーホイール11,11′を経て原動軸3を極めて強力に回転することとなる。
又、押し寄せる波浪に凹凸があるため、単位動力源の各浮体7,7′の昇降度が異なり、更に時間的のずれがあるけれども、原動軸3の前後へ交互に配置された前列浮体7及び後列浮体7′によって原動軸3の前後両側より集結されて原動軸3を間断なく回転することとなる。
而して各単位動力源の原動軸3の動力集結側に設けた原動フリーホイール12より発電機据付体1の前後の遊動鎖車14,14にかけたチェーン20,20によって集結フリーホイール19,19を経て動力集結軸17に伝動して各単位動力源の動力を集結し、適宜の変速調整機構22を経て適当の速度にて発電機24が回転して発電される。
なお、上記の実施例は単位動力源に発生せる動力を1個の発電機に集結したけれども、各単位動力源毎に発電機を設け、又は一列の単位動力源毎に、若くは隣接せる単位動力源毎に、更に数個の単位動力源毎に発電機を設けることができる。」(2頁左欄4〜30行目)
これらの記載事項及び図面(第1図〜第4図)の記載を総合すると、引用例には次のとおりの発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「【引用発明】 動力集結軸17上に集結フリーホイール19,19を設置した波動を利用する発電装置。」

5.本願発明1と引用発明との対比
本願発明1と引用発明を対比すると、引用発明の「集結フリーホイール19,19」は、発電機据付体1の両側の異なる2つのチェーン20,20に集約された異なる系統の動力を単一の動力集結軸17に集結するものであるのに対し、本願発明1の「駆動力併用伝動装置(1)」は、本願の明細書の記載「本発明は、駆動軸(9)上にある複数の「駆動力併用伝動装置(1)」のフリー軸(8)でスピードの異なる動力を受け入れ、同軸(9)上で複数の異なる動力を併用して発電機を駆動させることが出来る(図1)。 例えば、駆動軸(9)上に設置した駆動力併用伝動装置(1)は、2系統の動力を受けて、ひとつの動力にする。」(段落【0004】参照)からみて、2系統の動力を受けて、ひとつの動力にするものを含むことが明らかであるから、該引用発明の「集結フリーホイール19,19」は、その技術的意義において、該本願発明1の「駆動力併用伝動装置(1)」に相当し、引用発明の「波動を利用する発電装置」は、本願発明1の「発電装置」に相当すると認めることができる。
また、引用発明の「動力集結軸17」と本願発明1の「駆動軸(主軸)(9)」は、共に、異なる系統の動力を集結した後、直接的か間接的かは別として、発電機を駆動する動力を伝達する軸であるから「発電機の駆動力を伝達する軸」の限度で一致していると認めることができる。
してみると、本願発明1と引用発明の対比における一致点及び相違点は、以下のとおりである。
<一致点>
発電機の駆動力を伝達する軸上に駆動力併用伝動装置を設置した発電装置。
<相違点>
本願発明1では、「駆動軸(主軸)(9)」となっているのに対し、引用発明では、「動力集結軸17」となっている点。

6.相違点の検討及び判断
引用発明の「動力集結軸17」と本願発明1の「駆動軸(主軸)(9)」が、「発電機の駆動力を伝達する軸」の限度で一致していることは、前示のとおりである。
また、特定の軸を駆動する際、該特定の軸に対し、動力を直接的に伝達するか、変速機構を介して間接的に伝達するかは、従来から、適宜実施されていることであって、共に周知の技術的事項にすぎない。
そして、動力を直接的に伝達するようにすると、動力を間接的に伝達するものに比べて、変速機構の分だけ、装置がコンパクトになるものの、変速機構の機能を享受できなくなることは、当業者にとってたやすく予測ができることにすぎない。
さらに、引用発明において、動力を直接的に伝達するようにすることを妨げる特段の事情も見当たらない。
してみると、相違点に係る本願発明1の構成要件は、引用発明に上記動力伝達に係る周知の技術的事項を適用することにより、当業者が容易に想到することができたものというべきである。

また、本願発明1の効果は、引用発明及び上記動力伝達に係る周知の技術的事項に基づいて、当業者が予測できる範囲を越えるものではない。
したがって、本願発明1は、引用発明及び周知の技術的事項に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものと認められる。

7.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は、その原出願前日本国内において頒布された刊行物に記載された発明に基いて、その原出願前にその発明の属する技術の分野における通常の知識を有する者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、この出願は、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-04-09 
結審通知日 2003-04-15 
審決日 2003-04-30 
出願番号 特願平7-59679
審決分類 P 1 8・ 121- Z (F03D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 前田 幸雄亀丸 広司  
特許庁審判長 舟木 進
特許庁審判官 鈴木 充
亀井 孝志
発明の名称 駆動力併用伝動装置を利用した発電装置  

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