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審決分類 審判 査定不服 1項3号刊行物記載 特許、登録しない。 G01N
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G01N
管理番号 1105514
審判番号 不服2000-12935  
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-07-23 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2000-08-16 
確定日 2004-10-29 
事件の表示 平成7年特許願第2222号「炭酸ガスセンサ」拒絶査定不服審判事件〔平成8年7月23日出願公開、特開平8-189915〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 [1]経緯
本願は、特許法30条1項の規定の適用を主張した平成7年1月10日の出願であって、平成12年7月10日付けで拒絶査定がなされた。この査定を不服として、平成12年8月16日に審判請求がなされ、同時に明細書と特許請求の範囲について手続補正がなされた。

[2]平成12年8月16日の手続補正(以下、「本件補正」という。)の補正却下について
[補正却下の決定の結論]
平成12年8月16日の手続補正を却下する。

[理 由]
補正前の特許請求の範囲の請求項1が、
「固体電解質が、
Li4-0.5xTi5-xAl1.5xO12(0≦x≦0.30)
であることを特徴とする固体電解質型の炭酸ガスセンサ。」
であったのが、本件補正により、

「固体電解質が、
Li4Ti5O12であることを特徴とする固体電解質型の炭酸ガスセンサ。」
と補正された。(以下、この発明を「本願補正発明」という。)

(1)新規事項の有無、補正の目的の適否
上記の補正された事項は、補正前の成分式条件においてx=0に限定するもので、願書に最初に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内でなされたものであるとともに、平成6年改正前の特許法第17条の2第4項の規定において読み替えて準用する同法第126条第1項ただし書き1号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本願補正発明が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。

(2)独立特許要件
2-1 原査定の拒絶の理由に引用された、本件出願前日本国内において頒布された刊行物「波多野博憲、鈴木隆之、二田穂積、矢崎技術リポート、矢崎総業法務部知財室、平成6年12月28日発行、第109〜114頁及び奥付」との関係で、特許法30条1項の規定の適用が認められるか否かが問題となるので、まず、この点について検討する。

2-2 この点に関し、審判請求人は概ね次のような主張をしている。
拒絶理由で引用された引用文献1(矢崎技術リポート)には、本願補正発明と同一の技術内容が記載されているが、その記載内容は、特許法30条適用のために証明書に添付した刊行物(The Fifth International Meeting on Chemical Sensors Technical Digest Volume 1)の記載内容と全く同じで、引用文献1の〔参考文献〕の6)の記載から分かるように、引用文献1は最初に公開した刊行物(30条適用のために提出した刊行物)の公開を受けて、同じ発明者が同じ技術内容を自社の技術雑誌に公開をしたものであり、30条適用のための証明書に添付した刊行物による公開と密接不可分のものであります。
しかして、審査便覧42.45Aによれば、同一内容の発明を複数回発表して公開した場合においてはその適用をすべて認めるとなっており、しかも、審査便覧10.38Aによれば、第2回以降の公開に関する「証明する書面」の提出は密接不可分の場合には省略されても差し支えない、とされています。
本件では、30条適用のための証明書の中に、引用文献1の文献名を挙げておりませんが、本件は「密接不可分」と認めてもよいケースと考えられ、引用文献1は、特許法第29条第2項の引用文献とはなり得ないものであります。

2-3 矢崎技術リポートに対する特許法30条の適用についての当審の判断
ア 審査便覧42.45Aでは、次のように説明されている。
1.特許を受ける権利を有する者が、特許出願前に出願に係る発明を複数回に亘って公開した場合において、それらの公開行為について、特許法第30条第1項又は第3項の規定の適用を受けるための手続きが適法になされた場合には、その適用をすべて認める。
・・・
(注1)経緯
・・・出願発明について、その出願前に複数の公開行為がなされ、これらについての特許法第30条適用の申出手続きが適法である場合は、その適用をすべて容認することが立法趣旨からみても妥当であると認められ・・・
(注2)
一の公開と密接不可分の関係にある他の公開は一の公開として取り扱うこととする。
その際、他の公開についての特許法第4項に規定された手続きにおいて、他の公開に関する「証明する書面」の提出は省略可能である。(→10.38)
ここでいう「一の公開と密接不可分の関係にある他の公開」とは、他の公開が公開者の意志によっては律しきれないものであって、一の公開と互いに密接不可分の関係にあるような他の公開をいい、たとえば、「数日に亘らざるを得ない試験、試験とその当日配布される説明書、刊行物の初版と再版、予稿集と学会発表、学会発表とその講演集、同一学会の巡回的講演、博覧会出品と出品物に関するカタログ」等がそれに当たる。

2.・・・第三者が「該当するに至った発明」と同一の発明を公開した場合において、その公開が「該当するに至った発明」の公開に基づく場合には、その特許出願に係る発明は第三者の公開によって特許法第29条第1項各号の一に該当するに至らなかったものとする。

イ 本件の平成7年2月1日の「発明の新規性の喪失の例外の規定を受けるための証明書」をみると、

「1.書名 The Fifth International Meeting on Chemical Sensors
Technical Digest Volume 1
2.発行年月 1994年7月11日
3.該当箇所 第476頁〜第479頁
4.発行元 ・・・
5.論文名 ・・・
6.論文著者 ・・・」

との記載があるとともに、「The Fifth International Meeting on Chemical Sensors Technical Digest Volume 1」の写しが添付されているが、矢崎技術リポートに関しては何らの記載もない。

ウ 審判便覧42.45Aでは「・・・複数回に亘って公開した場合において、それらの公開行為について、特許法第30条第1項又は第3項の規定の適用を受けるための手続きが適法になされた場合には、その適用をすべて認める。」としているのであるから、矢崎レポートでの公開についても、平成7年2月1日の「発明の新規性の喪失の例外の規定の適用を受けるための証明書」において、新規性の喪失の例外の規定の適用を受けることを申し出るべきであって、その申し出のない本件では、矢崎技術リポートでの公開について特許法第30条第1項又は第3項の規定の適用を受けるための手続きが適法になされたと認めることはできない。
審判請求人は、「手続きが適法になされた」ことを、証明書の提出が省略できることと考えているが、矢崎技術リポートについては上記申し出がないのであるから、矢崎技術リポートについて証明書の提出が省略できるなどということは問題外である。

エ 念のために、審判請求人の主張「先の公開(The Fifth International Meeting on Chemical Sensors Technical Digest Volume 1)と、矢崎技術リポートによる公開は密接不可分の関係にあるので、第2回以降の公開に関する「証明する書面」の提出は省略されても差し支えない」、についても検討するに、
矢崎技術リポートは、出願人である矢崎総業株式会社に属する部門である矢崎総業株式会社法務部が発行する雑誌であるから、「他の公開が公開者の意志によっては律しきれないもの」と言うことはできず、審判便覧42.45Aでの「一の公開と密接不可分の関係にある他の公開」に該当しない。

さらに、先の公開と矢崎技術リポートとの関係は、審判便覧42.45Aでの例示、「数日に亘らざるを得ない試験、試験とその当日配布される説明書、刊行物の初版と再版、予稿集と学会発表、学会発表とその講演集、同一学会の巡回的講演、博覧会出品と出品物に関するカタログ」のいずれにもあたらず、これら例示と類似のものでもない。
むしろ、「予稿集と学会発表、学会発表とその講演集」の例示からみると、先の刊行物による公開(The Fifth International Meeting on Chemical Sensors Technical Digest Volume 1)に対して、その内容を発表することによる本願補正発明の公開もあったと推認されるのに、その発表については30条の適用を受けることの申し出も、証明書の提出を省略することの申し出もなされていない。(さらに言えば、「Technical Digest Volume 1」の表紙には、「’94」、「Rome 11-14 July」の記載があるが、これは、第5回のミーテイングが開催された期間と推認され、刊行物「…Technical Digest Volume 1」が1994年7月11日に最初に公開されたと認めるには足りない。)

オ 矢崎技術リポートは、出願人である矢崎総業株式会社に属する部門である矢崎総業株式会社法務部が発行する雑誌であるから、審判便覧42.45Aの2.(第三者による公開)を考慮する余地はない。

2-4 本願補正発明について
矢崎技術リポートには、「固体電解質が、Li4Ti5O12であることを特徴とする固体電解質型の炭酸ガスセンサ。」が記載されていると認められる。
そうすると、本願補正発明は、その出願前日本国内において頒布された刊行物である矢崎技術リポートに記載された発明と同一であるから、特許法29条1項3号の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
したがって、本件補正は、平成6年改正前の特許法第17条の2第4項の規定において読み替えて準用する同法第126条第3項の規定に違反するので、特許法第159条第1項の規定において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

(3)本願発明について
3-1 平成12年8月16日の手続補正は、上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明は、次のとおりのものである。
「固体電解質が、
Li4-0.5xTi5-xAl1.5xO12(0≦x≦0.30)
であることを特徴とする固体電解質型の炭酸ガスセンサ。」
(以下、本願発明という。)

3-2 本願発明はアルミニウムを含む炭酸ガスセンサである場合も含むのに対し、新規性の喪失の例外証明書提出書に添付された刊行物(The Fifth International Meeting on Chemical Sensors Technical Digest Volume 1)と矢崎リポートにはアルミニウムを含む炭酸ガスセンサは記載されていないから、アルミニウムを含む本願発明について該刊行物(・・・Technical Digest Volume 1)と矢崎リポートを新規性の喪失の例外証明書と認めることはできない。

3-3 審判請求人は、審査段階での意見書において、概略、
「・・・本願発明ではx=0の場合について30条の適用をもとめているものである。」と主張し、また、「矢崎技術リポートによる公開は、30条適用のための証明書に添付した刊行物による公開と合わせて複数公開であり、しかも、密接不可分のものであって、審査便覧42.45Aによれば、同一内容の発明を複数回発表して公開した場合においてはその適用をすべて認めるとなっている」と主張している。
しかしながら、x=0の場合については、平成7年2月1日の新規性の喪失の例外証明書提出書に添付された刊行物(・・・Technical Digest Volume 1)による公開に対して、矢崎技術リポートは後の公開になるところ、矢崎技術リポートは第1回公開と密接不可分の関係にある他の公開とはいえず、矢崎リポートについて特許法30条4項に規定された手続きにおいて要求されている「証明する書面」の提出がないから、審査便覧42.45Aでの「複数回の公開行為について、特許法第30条第1項又は第3項の規定の適用を受けるための手続が適法になされた場合には、その適用をすべて認める。」にあたらない(上記2-3 参照)。
また、前示2-4からして、本願発明のx=0の部分は、その出願前日本国内において頒布された刊行物である矢崎技術リポートに記載された発明と同一であると認められ、その部分について本願発明は特許法29条1項3号の規定により特許を受けることができないものである。

3-4 審判請求人は、「なお、本件の拒絶査定の備考においては、前記拒絶理由通知書に示された理由以外の本願について特許法第30条適用を認めない理由について詳細に述べられている。もし、平成12年4月5日付け拒絶理由通知書に記載された理由1において示されている、特許法第30条適用を認めない理由以外の理由によって特許法第30条適用を認めず、進歩性なしとするには、新しい拒絶理由を示した拒絶理由通知書が再度出されるべきである。」と主張しているが、新規性の喪失の例外の規定の適用を受けることを申し出ることのできる時期、そのための証明書を提出できる時期を過ぎており、また、特許法30条の適用を認めないことは、特許法49条で規定する拒絶査定の理由ではないから、再度の拒絶理由は通知しない。

3-5 原査定では、本願発明について特許法29条2項を根拠としているが、上記のとおり、本願発明のx=0の部分については矢崎技術リポートに記載された発明と同一であると認められ、審判請求人も審査段階での意見書において、「x=0の部分について30条の適用を認めるべきであって矢崎リポートは引用刊行物になりえない」と主張しているので、特許法29条1項3号の規定を根拠に結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-08-26 
結審通知日 2004-09-01 
審決日 2004-09-14 
出願番号 特願平7-2222
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G01N)
P 1 8・ 113- Z (G01N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 郡山 順  
特許庁審判長 渡部 利行
特許庁審判官 長井 真一
水垣 親房
発明の名称 炭酸ガスセンサ  
代理人 本多 弘徳  
代理人 萩野 平  
代理人 市川 利光  
代理人 濱田 百合子  
代理人 添田 全一  
代理人 高松 猛  
代理人 小栗 昌平  
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