• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) B41J
管理番号 1105610
審判番号 不服2002-2428  
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1997-10-07 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-02-14 
確定日 2004-10-28 
事件の表示 平成 8年特許願第 75573号「券発行装置」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年10月 7日出願公開、特開平 9-262994〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯・本願発明の認定
本願は、平成8年3月29日の出願であって、平成14年1月9日付けで拒絶の査定がされたため、同年2月14日に本件審判請求がされるとともに、同年3月1日付けで明細書についての手続補正がされたものである。
当審においてこれを審理した結果、平成16年6月9日付けで拒絶の理由を通知したところ、請求人は同年7月23日付けで意見書及び手続補正書を提出した。
したがって、本願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成16年7月23日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲【請求項1】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
「複数色の感熱発色剤が配置された感熱記録材を塗布した券を収納する収納庫と、
券が排出される排出口と、
前記収納庫と前記排出口との間に配設され券を搬送する搬送路と、
前記搬送路に沿って配設され、外周に沿って券が搬送されるプラテンドラムと、
前記搬送路を介して前記プラテンドラムに対向して配設され、前記搬送路を搬送される券に印字を行うと共に前記プラテンドラムの外周を搬送される券に印字を行うサーマル印字ヘッドと、
前記サーマル印字ヘッドの搬送方向下流側で前記搬送路を介して前記プラテンドラムに対向して配設され、前記感熱発色剤の塗布部分を定着させる定着手段と、
前記定着手段の搬送方向下流側に、券の搬送方向を前記搬送路から前記プラテンドラム側へ切換えるブレードと、
多色印字を行うか又は黒色印字を行うかを判断する手段とを設け、
黒色印字を行う場合には、前記収納部から繰出され前記プラテンドラムまで搬送された券に対して前記サーマル印字ヘッドにより前記感熱発色剤を発色させ、その後前記定着手段により定着し、その後引き続き券を前記搬送路を同方向に搬送して前記排出口へ送り、
多色印字を行う場合は、前記収納部から繰出され前記プラテンドラムまで搬送された券に対して前記サーマル印字ヘッドにより前記感熱発色剤を発色させ、その後前記定着手段により定着し、前記ブレードを動作して券を前記プラテンドラム側へ導き、再び前記サーマル印字ヘッドにより他の色の感熱発色剤を発色させ、その後前記定着手段により定着し、これらの発色と定着を必要回数行った後に券を前記搬送路を同方向に搬送して前記排出口へ送ることを特徴とする券発行装置。」

第2 当審の判断
本審決では、「発明を特定するための事項」という意味で「構成」との用語を用いる。
1.引用刊行物の記載事項
当審における拒絶理由に引用した実願昭56-107544号(実開昭58-12454号)のマイクロフィルム(以下「引用例1」という。)には、以下のア〜オの記載が図示とともにある。なお、「ヘツド」とあるのを「ヘッド」などと、通常の表記に改めた上で摘記する。
ア.「感熱記録媒体を搬送路に連続的に送り込む機構を備えるとともに、搬送路に沿う部分に、送り込まれた感熱記録媒体に低温で発色画像を形成させる第1の感熱ヘッドを備えた感熱記録機構と、ランプを備え光を照射することにより発色を不能とする定着機構と、高温で発色画像を形成させる第2の感熱ヘッドを備えた感熱記録機構とが、順次配設されていることを特徴とする熱記録装置。」(1頁5〜12行)
イ.「本考案は、・・・乗車券などの自動券売機等の出力記録を行うための熱記録装置に関するものである。」(1頁14〜16行)
ウ.「第1図は、感熱記録媒体の断面図で、該感熱記録媒体4は紙又はフィルムよりなる支持体3の上に、ジアゾ化合物とカプラーおよび熱可塑性物質を含む感熱記録層1とロイコ染料とフェノール性化合物および熱可塑性物質を含む感熱記録層2が重ねて被着されて構成されている。・・・感熱記録層2は感熱記録層1よりも高い温度で発色するようになっている。」(5頁1〜10行)
エ.「第3図は、本考案による熱記録装置の一実施例を示す概略側面図で、図中、4は・・・感熱記録媒体であって、該感熱記録媒体はロール状に巻かれている。この感熱記録媒体4は・・・搬送路8上に送り出される。9、12は上記感熱記録媒体4を発色させる感熱記録機構であって、熱ヘッド9a、12aおよびこの熱ヘッドに当接して押し上げる押圧ローラ9b、12bとから構成されている。10は光の照射によりジアゾ化合物を分解して発色不能とする定着機構、11はその定着用ランプである。・・・16は排出された感熱記録媒体を受ける受皿である。」(6頁2〜16行)
オ.「感熱記録媒体4は、・・・ロール状の巻体に限らず、既に切断されたシート、カードであってもよい。」(7頁14〜17行)

2.引用例1記載の発明の認定
記載オの「既に切断されたシート、カード」を感熱記録媒体として用いる場合に、その感熱記録媒体を収納する収納庫が存することは自明である。
熱記録装置を記載イの乗車券自動券売機に用いた場合、記載エの「受皿」が感熱記録媒体が排出される排出口となることは自明である。
したがって、記載ア〜オを含む引用例1の全記載及び図示によれば、熱記録装置を記載イの乗車券自動券売機に用い、その際感熱記録媒体を「既に切断されたシート、カード」としたものは次のような発明である。
「既に切断されたシート、カードからなる感熱記録媒体を収納する収納庫と、
感熱記録媒体券が排出される排出口と、
感熱記録媒体を搬送路に連続的に送り込む機構とを備えるとともに、
搬送路に沿う部分に、送り込まれた感熱記録媒体に低温で発色画像を形成させる第1の感熱ヘッドを備えた感熱記録機構と、ランプを備え光を照射することにより発色を不能とする定着機構と、高温で発色画像を形成させる第2の感熱ヘッドを備えた感熱記録機構とが、順次配設されている乗車券自動券売機。」(以下「引用発明1」という。)

3.本願発明と引用発明1との一致点及び相違点の認定
引用発明1の「既に切断されたシート、カードからなる感熱記録媒体」、「感熱ヘッド」、「定着機構」及び「乗車券自動券売機」は、本願発明の「複数色の感熱発色剤が配置された感熱記録材を塗布した券」、「サーマル印字ヘッド」、「感熱発色剤の塗布部分を定着させる定着手段」及び「券発行装置」にそれぞれ相当する。
そして、本願発明と引用発明1とは、多色印字を行う場合は、収納部から繰出され搬送された券に対してサーマル印字ヘッドにより感熱発色剤を発色させ、その後定着手段により定着し、サーマル印字ヘッドにより他の色の感熱発色剤を発色させ、これらの発色と定着を必要回数行った後に券を搬送路を同方向に搬送して前記排出口へ送る点で一致する。
したがって、本願発明と引用発明1とは、
「複数色の感熱発色剤が配置された感熱記録材を塗布した券を収納する収納庫と、
券が排出される排出口と、
前記収納庫と前記排出口との間に配設され券を搬送する搬送路と、
前記搬送路を介して配設され、前記搬送路を搬送される券に印字を行うサーマル印字ヘッドと、
前記サーマル印字ヘッドの搬送方向下流側に配設され、前記感熱発色剤の塗布部分を定着させる定着手段と、
多色印字を行う場合は、前記収納部から繰出され搬送された券に対して前記サーマル印字ヘッドにより前記感熱発色剤を発色させ、その後前記定着手段により定着し、再びサーマル印字ヘッドにより他の色の感熱発色剤を発色させ、これらの発色と定着を必要回数行った後に券を前記搬送路を同方向に搬送して前記排出口へ送る券発行装置。」である点で一致し、以下の各点で相違する。
〈相違点1〉多色印字を行うための構成として、本願発明では「搬送路に沿って配設され、外周に沿って券が搬送されるプラテンドラム」を備え、「サーマル印字ヘッド」は「搬送路を介して前記プラテンドラムに対向して配設され、前記搬送路を搬送される券に印字を行うと共に前記プラテンドラムの外周を搬送される券に印字を行う」ように構成されており、「定着手段」は「サーマル印字ヘッドの搬送方向下流側で前記搬送路を介して前記プラテンドラムに対向して配設され」ており、「定着手段の搬送方向下流側に、券の搬送方向を前記搬送路から前記プラテンドラム側へ切換えるブレード」を備えており、「収納部から繰出され前記プラテンドラムまで搬送された券に対して前記サーマル印字ヘッドにより前記感熱発色剤を発色させ、その後前記定着手段により定着し、前記ブレードを動作して券を前記プラテンドラム側へ導き、再び前記サーマル印字ヘッドにより他の色の感熱発色剤を発色させ、その後前記定着手段により定着し、これらの発色と定着を必要回数行」うとされているのに対し、引用発明1では、搬送路に沿って「第1の感熱ヘッドを備えた感熱記録機構」、「定着機構」及び「第2の感熱ヘッドを備えた感熱記録機構」がこの順に配されており、これら構成要件がその配置の順に従って動作することにより多色印字を行うよう構成されている点。この相違点には、引用発明1においては、「第2の感熱ヘッドを備えた感熱記録機構」の後に定着機構が設けられておらず、当然定着されないことも含まれる。
〈相違点2〉本願発明が「多色印字を行うか又は黒色印字を行うかを判断する手段」を有するのに対し、引用発明1が同手段を有するとはいえない点。
〈相違点3〉本願発明では、「黒色印字を行う場合には、前記収納部から繰出され前記プラテンドラムまで搬送された券に対して前記サーマル印字ヘッドにより前記感熱発色剤を発色させ、その後前記定着手段により定着し、その後引き続き券を前記搬送路を同方向に搬送して前記排出口へ送」るのに対し、引用発明1では黒色印字がされるのかどうか明らかでなく、黒色印字をするとしても、どのように印字するのか明らかでない点。

4.相違点についての判断及び本願発明の進歩性の判断
(1)相違点1について
相違点1に係る本願発明の構成のうち、サーマル印字ヘッドが搬送路を搬送される券に印字を行うと共にプラテンドラムの外周を搬送される券に印字を行うように構成されている点についてまず検討する。搬送路を搬送される券に印字を行う場合と、プラテンドラムの外周を搬送される券に印字を行う場合とで、印字される位置が異なるわけではなく、プラテンドラムの一部が搬送路にもなっており、その位置で印字されるものと認める。
当審における拒絶理由に引用した特開平5-16400号公報(以下「引用例2」という。)には、次のカ〜コの各記載がある。
カ.「図1において、プラテンドラム10は、その外周にカラー感熱記録材料11を保持し、熱記録時にパルスモータ12によって矢線方向に回転される。」(段落【0008】)
キ.「前記プラテンドラム10の外周には、多数の発熱素子をライン状に配列したサーマルヘッド20と、光定着器21とが設けられている。・・・給排紙通路24には、搬送ローラ対25が配置されており、これを通ってカラー感熱記録材料11が搬送される。また、給排紙通路24のプラテンドラム側には、排紙時にカラー感熱記録材料11の後端を給排紙通路24に案内するための分離爪26が設けられている。この実施例では、1つの通路が給紙通路と排紙通路に兼用されているが、これらは別個に設けてもよい。」(段落【0009】)
ク「プラテンドラム10が一定ステップずつ間欠回転して、カラー感熱記録材料11の記録エリアの先端がサーマルヘッド20に達すると、イエロー画像の熱記録が開始される。・・・イエロー画像を熱記録した部分が光定着器21に達すると、ここでイエロー感熱発色層33が光定着される。・・・プラテンドラム10が1回転して記録エリアが再びサーマルヘッド20の位置にくると、マゼンタ画像が1ラインずつ熱記録される。・・・マゼンタ画像を熱記録したカラー感熱記録材料11は、前述したように定着器21で光定着される。・・・プラテンドラム10が更に1回転して記録エリアが再びサーマルヘッド20の位置にくると、シアン画像の熱記録が開始される。・・・シアン感熱発色層31は、発色熱エネルギーが通常の保管状態では発色することはない値になっているので、シアン感熱発色層31に対しては光定着性が与えられていない。」(段落【0019】〜段落【0022】)
ケ.「イエロー画像,マゼンタ画像,シアン画像の熱記録が終了した後に、プラテンドラム10と搬送ローラ対25とが逆転する。このプラテンドラム10の逆転により、カラー感熱記録材料11の後端が分離爪26によって給排紙通路24に案内され、・・・熱記録済みカラー感熱記録材料11は、給排紙通路24を経てトレイに排出される。」(段落【0023】)
コ.「最下層となる感熱発色層に対しても光定着性を与えてもよい。」(段落【0026】)

引用例2の記載コにあるように最下層となる感熱発色層に対しても光定着性を与える構成とし、かつ記載キにあるように給紙通路と排紙通路を別個とした場合には、これら通路(及びプラテンドラム)が本願発明(及び引用発明1)の「搬送路」に相当するから、記載カ〜コを含む引用例2の全記載及び図示によれば、引用例2記載の発明(以下「引用発明2」という。)は引用発明1同様多色印字を行うものであって、プラテンドラムは搬送路に沿って配設され、外周に沿って券(引用例2記載の「カラー感熱記録材料11」がこれに相当する。)が搬送されるものであり、サーマル印字ヘッド(引用例2記載の「サーマルヘッド20」がこれに相当する。)は搬送路を介してプラテンドラムに対向して配設され、搬送路を搬送される券に印字を行うと共にプラテンドラムの外周を搬送される券に印字を行う(この意味は本項冒頭に述べたとおりである。)ように構成されており、定着手段(引用例2記載の「光定着器21」がこれに相当する。)はサーマル印字ヘッドの搬送方向下流側で搬送路を介してプラテンドラムに対向して配設されており、プラテンドラムまで搬送された券に対してサーマル印字ヘッドにより感熱発色剤を発色させ、その後定着手段により定着し、再び前記サーマル印字ヘッドにより他の色の感熱発色剤を発色させ、その後前記定着手段により定着し、これらの発色と定着を必要回数行うものと認めることができる。
また、給紙通路と排紙通路を別個とした場合、給紙と排紙を同一方向とする場合と反対方向とする場合が自明にあり得るが、同一方向とする場合には、引用例2記載の「分離爪26」は定着手段の搬送方向下流側に移設されなければならず(例えば、そのように移設したものが特開平5-24242号公報【図2】に示されている。)、移設した分離爪26は本願発明の「券の搬送方向を前記搬送路から前記プラテンドラム側へ切換えるブレード」に相当し、第1色の印字及び定着後にはブレードを動作して券をプラテンドラム側へ導くものでなければならない。
すなわち、相違点1に係る本願発明の構成は実質的に、引用発明2が備えた構成にほかならない。
請求人は、「引用例2における、給紙通路と排紙通路を別個に設けてもよい旨の記載は、搬送方向を逆転することなく感熱記録材料を排出することを意味していません。1つの兼用通路を2つの専用通路に別けるということ以上のことを示唆していません。引用例2では、給排紙通路のプラテンドラム側に、排紙時にカラー感熱記録材料の後端を給排紙通路に案内するための分離爪が設けられ、熱記録が終了した後に、プラテンドラムが逆転するとカラー感熱記録材料の後端が分離爪によって給排紙通路に案内されるようにしています。引用例2の分離爪は、カラー感熱記録材料が逆搬送された場合には必ずその後端を給排紙通路に案内する構成になっているものであり、これは単色記録を行う場合でも多色記録を行う場合でも同様に行うようにしています。」(平成16年7月23日付け意見書2頁24〜32行)と主張するが、給紙通路と排紙通路が兼用の場合(引用例2記載の実施例)には、搬送方向逆転の必要性があるが、別個とする場合にはその必要性がないのだから、引用例2に接した当業者であれば、給紙通路と排紙通路を別個とする場合の態様として、前掲特開平5-24242号公報【図2】記載の態様を想起するであろうことは想像に難くない。したがって、請求人の上記主張は採用できない。
そして、引用発明1と引用発明2は、複数色の感熱発色剤が配置された感熱記録材を塗布した媒体にサーマル印字ヘッドにより複数回加熱して多色印字を行う発明であるから、相違点1に係る引用発明1の構成を引用発明2の構成に変更して、本願発明の構成とすることは当業者にとって想到容易である。

(2)相違点2及び相違点3について
引用発明1は「乗車券自動券売機」であり、多くの乗車券は黒色のみで印刷されておれば十分であるが、大人用乗車券と小人用乗車券を区別する等の必要性から、部分的に赤色等で印字されることがあることは常識といえる。したがって、引用発明1における印字色の1つを黒色とすることは設計事項である。
また、乗車券に多色印字を行うか、それとも黒色印字のみを行うかは、乗車券の種類によって定まっており、黒色印字のみを行う場合にまで、多色印字機構を動作させる必要がないことは自明である。そして、相違点1に係る本願発明の構成を採用した場合には、多色印字の際には、同一のサーマル印字ヘッドで複数回の印字を行う関係上、2色目の印字のために券をプラテンドラム外周に導かなければならないが、1色の印字(1回の加熱)だけでよい場合には、わざわざプラテンドラム外周に導く必要はなく、給紙通路から排紙通路に直接券を導けばよいことは自明である。そのことは、前掲特開平5-24242号公報に「全発色層が発色しうる高エネルギーを与える単色モードとを備え、且つこれらのモードを切り換える手段とを備えたカラー画像形成装置」(段落【0006】)及び「全層の発色処理が終了した感熱紙2はその後剥離爪26(審決注;引用発明2の「分離爪26」を定着手段の搬送方向下流側に移設したものに当たる。)によりプラテンローラ18周面からすくい上げられて剥離され装置外に排出される。」(段落【0017】)と記載があり、ここに記載の「単色モード」ではプラテンドラム外周を周回することなく、プラテンドラムまで搬送された券を1回の加熱・定着の後に搬送路を同方向に搬送して排出口へ送るものと解されることからも明らかといえる。
そうであれば、黒色印字のみ必要な乗車券にまで、プラテンドラム外周を周回させることのないよう、黒色印字のみ必要な乗車券であるのか、それとも多色印字の必要な乗車券であるのかを判断する手段を備え(相違点2に係る本願発明の構成)、同手段により前者であると判断された場合には相違点3に係る本願発明の構成を採用することは、相違点1に係る本願発明の構成を前提とした場合の自然な構成というべきであり、引用発明1を出発点とした場合にも、当業者にとって想到容易な構成である。

(3)本願発明の進歩性の判断
相違点1〜相違点3に係る本願発明の構成を採用することは当業者とって想到容易であり、これら構成を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本願発明は引用発明1及び引用発明2に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法29条2項の規定により特許を受けることができない。

第3 むすび
以上のとおり、本願発明が特許を受けることができないから、本願は拒絶を免れない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-08-24 
結審通知日 2004-08-31 
審決日 2004-09-13 
出願番号 特願平8-75573
審決分類 P 1 8・ 121- WZ (B41J)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 藤本 義仁  
特許庁審判長 番場 得造
特許庁審判官 津田 俊明
藤井 靖子
発明の名称 券発行装置  
代理人 大西 健治  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ