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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1106003
異議申立番号 異議2003-71991  
総通号数 60 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1999-04-23 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-08-04 
確定日 2004-10-20 
異議申立件数
事件の表示 特許第3374395号「電子部品用パッケージ」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3374395号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 1.手続の経緯
本件は、平成9年10月3日に特許出願したものであって、請求項1〜3に係る発明につき平成14年11月29日に特許権の設定登録がなされた後、平成15年8月4日に特許異議申立人であるリバーエレテック株式会社から請求項1〜3に係る発明の特許について特許異議の申立がなされたものである。

2.特許異議の申立についての判断
(1)本件発明
本件特許の請求項1〜3に係る発明(以下、「本件発明1」〜「本件発明3」という。)は、特許明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「 【請求項1】 セラミック基体と、当該セラミック基体の主面周囲に周状に形成されたメタライズ層と、前記メタライズ層の上面に形成されるメッキ層と、前記メッキ層と電子ビームあるいはレーザビームにより接合される金属フタとからなる電子部品用パッケージであって、
前記メタライズ層は平坦度が5μm以下に平坦化されていることを特徴する電子部品用パッケージ。
【請求項2】 セラミック基体と、当該セラミック基体の主面周囲に周状に形成されたメタライズ層と、前記メタライズ層の上面に形成されるメッキ層と、前記メッキ層と電子ビームあるいはレーザビームにより接合される金属フタとからなる電子部品用パッケージであって、前記メタライズ層は平坦度が5μm以下に平坦化されているとともに、前記メッキ層は4.5〜13μmの厚さを有していることを特徴とする電子部品用パッケージ。
【請求項3】 メッキ層が複数層からなり、下部メッキ層が厚さ4〜12μmのニッケルメッキ層であり、上部メッキ層が0.5〜1μmの金メッキ層であることを特徴とする請求項2記載の電子部品用パッケージ。」

(2)特許異議申立の理由の概要
異議申立人は、本件発明1〜3は、甲第1号証に記載された公然知られた発明及び甲第2、3号証刊行物に記載された発明に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定に違反して特許されたものである旨主張している。

(3)甲第1〜3号証の記載事項
特許異議申立人が提示した甲第1〜3号証には、それぞれ以下の事項が記載されている。
(3-1)甲第1号証(納入仕様図)
甲第1号証には、メタライズ部を有するセラミックが図示され、注記1として、斜線部はメタライズ部であり、当該メタライズ部は、Wベース+Niメッキ(9±6μm、但しシール部は8μm狙い)+Auメッキ(0.6±0.4μm)で構成されていること、及び斜線部総厚みは、セラミック面より測定し、20±10μm(目標値)とすることが記載されている。さらに、注記6として、セラミック全体のソリを0.05mm以下の仕様とすることが記載されている。
(3-2)甲第2号証(JIS Z 8403‐1996)
甲第2号証には、「製品の品質特性-規格値の決め方通則」に関するJIS規格が示されており、「2.用語の定義及び記号(1)望小特性」の項に、「理想的には0がよいとされ、負の値を取らず小さいほど良い特性。」との記載がある。
(3-3)甲第3号証(特開平8-46075号公報)
甲第3号証の第1欄第43行〜第2欄第2行には「電子部品パッケージの周縁部にメタライズ層3を形成し、メタライズ層3の表面に金属メッキ層3を形成し、リッド2を金属メッキ層3の上にのせて、リッド2の上から電子部品パッケージの周縁部の位置にレーザービーム又は電子ビームを照射してリッド2を加熱溶融して、リッド2と電子部品パッケージの周緑部の金属メッキ層3とを溶融接合し、気密封止を行う。」との記載があり、また、第2欄第6〜7行には「……金属メッキ層3の上にAuメッキ層がある場合がある……」との記載が、同欄第16〜18行には「金属メッキ層3の材料としては、ニッケル(Ni)メッキが一般的である。」との記載があり、図3には金属メッキ層3上にAuメッキ層が形成されたものが図示されている。

(4)当審の判断
異議申立人は、甲第1号証として提示した納入仕様図に関して、「京セラ株式会社からリバーエレテック株式会社に送られた電子部品用パッケ一ジの納入仕様図であり、1997年7月25日に、京セラ株式会社半導体部品1事業部設計技術課から発行されたものである。したがって、この納入仕様図に記載の内容は、本件特許出願前に日本国内において既に公知である。」(異議申立書第5頁下から7〜3行)と主張しているが、当該納入仕様図の作成、送付、発行等にあたり、秘密保持義務がなかったとする根拠は何ら示されていないから、その記載内容が公然知られたものであるということはできない。
さらに、前記納入仕様図には、セラミック全体のソリを0.05mm以下の仕様とすることは記載されているものの、同図に記載されたWベース(本件発明1〜3における「メタライズ層」に相当)の平坦度の程度を推認するに足る記載は見当たらないから、甲第1号証には、本件発明1〜3の発明特定事項であるところの「メタライズ層は平坦度が5μm以下に平坦化されている」点については何ら記載乃至示唆されていないというべきである。
そして、前記発明特定事項については、他の証拠である甲第2、3号証にも記載されていない。
加えて、本件発明1〜3は当該発明特定事項を具備することにより、特許明細書の段落【0029】に記載された「メタライズ層の平坦度が5μm以下であるので、その上部に形成されるメッキ層表面の平坦度も良好なものとなり、金属フタとの電子ビームあるいはレーザービームを用いた接合の気密歩留まりが向上するとともに、接合の信頼性も向上する。」という作用効果を奏するものである。
したがって、本件発明1〜3は、甲各号証に記載のものから当業者が容易に発明をすることができたものとはいえない。

3.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立の理由及び証拠によっては、本件発明1〜3に係る特許を取り消すことはできない。
また、他に本件発明1〜3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2004-09-27 
出願番号 特願平9-287876
審決分類 P 1 651・ 121- Y (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 田代 吉成  
特許庁審判長 影山 秀一
特許庁審判官 川真田 秀男
日比野 隆治
登録日 2002-11-29 
登録番号 特許第3374395号(P3374395)
権利者 株式会社大真空
発明の名称 電子部品用パッケージ  
代理人 浅川 哲  

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