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審決分類 |
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G09F 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09F |
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管理番号 | 1107374 |
審判番号 | 不服2002-4178 |
総通号数 | 61 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 2000-06-20 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2002-03-11 |
確定日 | 2004-11-17 |
事件の表示 | 平成 9年特許願第538801号「ディジタル情報システム」拒絶査定不服審判事件〔平成 9年11月 6日国際公開、WO97/41546、平成12年 6月20日国内公表、特表2000-507720〕について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
第1 手続の経緯 本願は1997年(平成9年)4月23日に国際出願された(スウェーデン国出願に基づく優先権主張1996年4月26日(以下「本件優先日」という。)及び1997年1月29日並びに米国出願に基づく優先権主張1996年7月2日)ものであって、平成13年12月5日付けで拒絶の査定がされたため、これを不服として平成14年3月11日付けで本件審判請求がされるとともに、同年4月10日付けで明細書についての手続補正(平成14年改正前特許法17条の2第1項3号の規定に基づく手続補正であり、以下「本件補正」という。)がされたものである。 第2 補正の却下の決定 [補正の却下の決定の結論」 平成14年4月10日付けの手続補正を却下する。 [理由] 1.補正事項 本件補正は、請求項1及び請求項16記載の「動的時間予約システム」及び「制御命令のこゝでは公開リストと称されるリスト」を「動的予約システム」及び「正確な時間スロットの予約が示された、制御命令のこゝでは公開リストと称されるリスト」と補正することを補正事項としている。 2.補正目的 本件補正後の「時間スロット」について、発明の詳細な説明には「公開リストにおける情報が公開あるいは表示されるべき期間(タイムスロット)にファイルされる。」(12頁16〜17行)との記載があり、「時間スロット」と「タイムスロット」は同義と認められ、情報が公開あるいは表示されるべき期間を意味するものである。 そうすると、本件補正は補正前の「時間予約システム」が、情報が公開あるいは表示されるべき期間を予約するシステムである旨限定するものであるから、平成14年改正前特許法17条の2第4項2号規定の「特許請求の範囲の減縮」を目的とするものと認める。 そこで、本件補正後の請求項16に係る発明(以下「補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるかどうか検討する。 3.補正発明の認定 補正発明は、本件補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲【請求項16】に記載された事項によって特定されるとおりの次のものと認める。 「大衆にアクセス可能な場所で情報を表示するためのディジタル情報装置であって、 システムは、上記場所で情報を表示するための可視表示装置(22)と、コンピュータ化された制御センタ(12)と、上記可視表示装置(22)を調整し、制御するために上記場所に設置されたコンピュータ化された装置(16、18、20)と、を含み、 上記制御センタ(12)は上記コンピュータ化された装置(16、18、20)との通信インタフェース(14)を有し、 上記制御センタ(12)は、正確な時間スロットの予約が示された、制御命令のこゝでは公開リストと称されるリストと、予め定められた期間にわたって上記可視表示装置上に表示されるべき情報のブロックとをリアルタイムで作成し更新することができ、 上記の各ブロックはこゝでは公開内容と称され、 制御センタ(12)は、動的予約システムに従って上記公開リストを作成し、更新するように構成されており、 上記制御センタ(12)は、上記可視制御装置(22)の各々が他の可視表示装置とは無関係に制御され、それによって公開リストに従って他の可視表示装置と同じ情報または異なる情報を受信して表示することができるような態様で、上記場所に設置された可視表示装置(22)によって表示されるマテリアルを制御するために上記公開リストを使用することができ、特にどのマテリアルを何時表示させるべきかを制御することができる、 上記ディジタル情報装置。」 4.引用刊行物 原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-300563号公報(以下「引用例」という。)には、以下のア〜カの記載が図示とともにある。 ア.「【発明が解決しようとする課題】従来のLED表示機においては、表示内容をROM2に格納していたため、表示内容を変更する場合には、その表示機毎に新たな表示内容を個別に入力したり、あるいは新たな表示内容を格納したROM2に交換しなければならず、表示内容の変更に手間がかかり、いつでも自由にリアルタイムに変更することができなかった。」(段落【0003】) イ.「本発明によれば、表示機が表示データを受信する無線受信機を備えることで、リアルタイムに簡単に表示を変えることができる。・・・各地域に配置されている表示機の表示内容が、遠隔地からいつでも自由に変更でき、タイミングよく宣伝広告をしたり、あるいは地域ごとに異なった時間に合わせて宣伝広告をきめ細かくすることができる。」(段落【0006】) ウ.「本実施例の無線通信による遠隔操作型表示機は、所定の地域毎に配置された無線受信機を備えた表示機11と、この表示機11に無線によりデータ送信を行う共同利用センター12a及び無線基地局12bからなるテレタームナル・システム12と、このテレターミナル・システム12の共同利用センター12aと回線網13を介して接続された表示内容を表示機11毎に送信する本部コンピュータ14及び表示内容の変更管理を行う管理者端末15とから構成される。この管理者端末15においては、変更する表示内容を、各表示機11別、地域別コード及び表示時間等のデータを入力し、本部コンピュータ14に送信する。本部コンピュータ14は、管理者端末15から送信されてきた内容に従い、各表示機11毎に、テレターミナル・システム12を介してデータ送信する。変更内容を受信した表示機11は、変更内容を指定された時間に表示する。」(段落【0007】) エ.「表示機11は、例えば、表示素子としてLEDを使用した表示機であり、CPU16と、本部コンピュータ14から送信されてきた表示内容や一時的に記録するデータ等を記録するRAM17と、表示内容のデータを制御する表示制御部18及び表示部19と、無線受信装置20とから構成されている。この無線受信装置20は、無線基地局12bから送られる無線データを受信する受信部21と、この受信部21とCPU16との間で通信データの制御を行う通信制御部22と、アンテナ23とから構成されている。」(段落【0010】) オ.「管理者端末15においては、変更する表示内容、表示機毎のコード、地域別コード及び表示時間等のデータを入力する(ST1)。次に、この入力したデータを無線により送信するための送信フォーマットに変換する(ST2)。続いて、この変換された変換フォーマットのデータが回線網13を介して本部コンピュータ14に送信される(ST3)。本部コンピュータ14で受信されたデータは、本部コンピュータ14からの送られる指示内容に従って、回線網13及びテレターミナル・システム12を介して各地域にある表示機11に送信する。」(段落【0012】) カ.「管理者端末15で入力された変更する表示内容、表示機毎のコード、地域別コード及び表示時間等のデータが本部コンピュータ14から回線網13及びテレターミナル・システム12を介して各地域にある表示機11に送信され、この表示機11においては、無線受信装置20で受信されRAM17に記憶され、次いで所定の時間にCPU16の制御の元に読み出され、表示制御部18の制御で表示部19に表示されるため、遠隔地からいつでも自由にリアルタイムで表示内容の変更が可能になる。」(段落【0013】) 5.引用例記載の発明の認定 記載ア〜カを含む引用例の全記載及び図示によれば、引用例には次の発明が記載されていると認めることができる。 「店舗の商品広告用として所定の地域毎に配置された表示機と、共同利用センター及び無線基地局からなるテレターミナル・システムと、このテレターミナル・システムの共同利用センターと回線網を介して接続された表示内容を表示機毎に送信する本部コンピュータ及び表示内容の変更管理を行う管理者端末とから構成される遠隔操作型表示機であって、 管理者端末は各表示機別、地域別コード及び表示時間等のデータを入力し、本部コンピュータに送信するものであり、 本部コンピュータは、管理者端末から送信されてきた内容に従い、各表示機毎に、テレターミナル・システムを介してデータ送信するものであり、 表示機はCPUと、本部コンピュータから送信されてきた表示内容や一時的に記録するデータ等を記録するRAMと、表示内容のデータを制御する表示制御部及び表示部と、無線受信装置とから構成されており、変更内容を受信すると変更内容を指定された時間に表示する遠隔操作型表示機。」(以下「引用発明」という。) 6.補正発明と引用発明との一致点及び相違点の認定 引用発明の「表示部」は補正発明の「可視表示装置(22)」に相当し、引用発明の「テレターミナル・システム」、「本部コンピュータ」及び「管理者端末」の全体は補正発明の「制御センタ(12)」に相当する。 引用発明の「表示機」が「CPU」、「RAM」、「表示制御部」及び「無線受信装置」を有すること、並びに「管理者端末から送信されてきた内容に従い、各表示機毎に、テレターミナル・システムを介してデータ送信する」ことは、補正発明において「上記可視表示装置(22)を調整し、制御するために上記場所に設置されたコンピュータ化された装置(16、18、20)」を含むこと及び「上記制御センタは上記コンピュータ化された装置との通信インタフェースを有」することと異ならない。 引用発明において、「管理者端末」において表示内容の変更管理を行い、各表示機別、地域別コード及び表示時間等のデータを入力することは、補正発明でいう「公開リストを作成し、更新する」ことと異ならない。 引用発明では、指定された時間に変更された表示内容が表示されるのだから、表示内容の変更は表示時期よりも前にされており、表示内容の変更は予約(時間予約)であるといえる。また、引用例の記載イ,カによれば、その予約はリアルタイムで行うことができるから、動的予約であるといえる(本願明細書の「情報をリアルタイムで動的(ダイナミック)に更新して表示させる」(2頁2〜3行)等の記載からみて、「動的」とはリアルタイムの意味である。)。引用発明の「表示内容」は補正発明の「可視表示装置上に表示されるべき情報のブロック」及び「公開内容」に相当する。 引用発明において、管理者端末で入力した内容が表示機に送信され、表示機では指定された時間にその内容を表示するということは、入力した内容が制御命令であって、管理者端末での入力内容(公開リストに相当)に従って、各表示機に表示内容が送信されることであり、入力内容が表示機別(表示機毎のコードを含んでいる)ということは、各表示機には同じ表示内容を送信することも異なる表示内容を送信することもできることである。また、補正発明の「マテリアル」については、「表示されるマテリアル」との記載からみて「ブロック」又は「公開内容」と同視できるか、それとも「ブロック」又は「公開内容」のデータを意味する(本願明細書には「情報マテリアル(素材)」(2頁26行)、「マテリアル(素材、データ)を受信する」(11頁12〜13行)等の記載がある。)から、引用発明の「表示内容」又はそのデータと異ならない。したがって、引用発明は「上記制御センタ(12)は、上記可視制御装置(22)の各々が他の可視表示装置とは無関係に制御され、それによって公開リストに従って他の可視表示装置と同じ情報または異なる情報を受信して表示することができるような態様で、上記場所に設置された可視表示装置(22)によって表示されるマテリアルを制御するために上記公開リストを使用することができ、特にどのマテリアルを何時表示させるべきかを制御することができる」との補正発明の発明特定事項を備えている。 引用発明の「表示機」は店舗の商品広告用として配置されるものであり、引用例に直接的記載はなくとも引用発明が「ディジタル情報装置」といえることは明らかであるから、「大衆にアクセス可能な場所で情報を表示するためのディジタル情報装置」である点で、補正発明と引用発明に相違はない。 したがって、補正発明と引用発明とは、 「大衆にアクセス可能な場所で情報を表示するためのディジタル情報装置であって、 システムは、上記場所で情報を表示するための可視表示装置と、コンピュータ化された制御センタと、上記可視表示装置を調整し、制御するために上記場所に設置されたコンピュータ化された装置と、を含み、 上記制御センタは上記コンピュータ化された装置との通信インタフェースを有し、 上記制御センタは、時間予約が示された、制御命令のこゝでは公開リストと称されるリストと、予め定められた期間にわたって上記可視表示装置上に表示されるべき情報のブロックとをリアルタイムで作成し更新することができ、 上記の各ブロックはこゝでは公開内容と称され、 制御センタは、動的予約システムに従って上記公開リストを作成し、更新するように構成されており、 上記制御センタは、上記可視制御装置の各々が他の可視表示装置とは無関係に制御され、それによって公開リストに従って他の可視表示装置と同じ情報または異なる情報を受信して表示することができるような態様で、上記場所に設置された可視表示装置によって表示されるマテリアルを制御するために上記公開リストを使用することができ、特にどのマテリアルを何時表示させるべきかを制御することができる、 上記ディジタル情報装置。」である点で一致し、次の点で相違する。 〈相違点〉時間予約につき、補正発明では「正確な時間スロットの予約」とされているのに対し、引用発明では時間スロットの予約であるのかどうか明らかでない(例えば、開始時間だけの予約の可能性もある。)。 7.相違点についての判断及び補正発明の独立特許要件の判断 補正発明の「正確な時間スロットの予約」について、本願の願書に最初に添付した明細書には「正確」との文言は記載されていないから、「正確な」との文言の有無によって「時間スロットの予約」の意味が異なると解することはできない(仮に異なるとすれば、本件補正は新規事項を追加するものとして却下される。)。したがって、相違点に係る補正発明の発明特定事項は「情報が公開あるいは表示されるべき期間」の意味に解する。 6.で述べたように、引用発明では、「期間」の予約であるのかどうか明らかでないけれども、予約一般に当たり、所要時間が定まっていない場合には開始時間のみ予約することが多い(診療予約などがその例である)が、所要時間が定まっている場合には開始時間だけでなく期間を予約することが多い(例えば、パーティー会場の予約やビデオの録画予約)ことは周知の事実である。そして、広告等の表示時間は定まっている場合が多いこと、少なくとも定まっている場合があることは自明である。 そうであれば、引用発明における時間予約を、表示内容が表示されるべき期間として、すなわち「正確な時間スロットの予約」とすることは設計事項程度というべきである。 請求人は、「引用文献1(審決注;引用例)に記載の発明では、本部コンピュータ(14)にエンターできるのはあくまでも管理者端末(15)であって、各加入者自身が各個人のコンピュータ(24)から公開リストと予約マテリアルを用いて可視表示装置の表示内容、表示時間について予約可能にした本願発明の考え方とは明らかに相違する。」(平成14年6月26日付け手続補正書(方式)5頁13〜17行)と主張している(同旨の主張は、原審においてもされている。)が、補正発明は「制御センタは、動的予約システムに従って上記公開リストを作成し、更新するように構成されて」いることを発明特定事項とはしているが、予約可能な者が誰であるか(加入者自身が予約可能であるか)は発明特定事項としていない。そのことは、原審における拒絶査定の追って書きにおいても指摘したとおりである。かえって、上記主張の直前に「引用文献1に記載の発明は、端末(管理者端末15)によって各表示機(11)別コード、地域別コード、表示時間等のデータを本部コンピュータ(14)に送って、各表示機毎の表示内容、表示時間を制御する点で、本願発明の各個人のコンピュータ(24)から公開リストと予約マテリアルを用いて可視表示装置の表示内容、表示時間について予約可能にした点と類似している」(同頁9〜13行)とあること、及び加入者自身により予約可能であることが引用発明との相違である旨主張していることからみて、「公開リストと予約マテリアルを用いて可視表示装置の表示内容、表示時間について予約可能にした点」に相違がないことは、請求人も認めていると解さざるを得ない。そうである以上、請求人の上記主張を採用することはできない。 仮に、補正発明を、加入者が動的予約可能なディジタル情報装置と解する余地があるとすれば、そのことが引用発明との新たな相違点となるが、進歩性を左右するほどではない。なぜなら、引用発明そのものは店舗の商品広告用のものであるから、その店舗と無関係な加入者を想定することは困難かもしれないが、引用発明を自店舗広告用から広く一般広告用に拡張することは雑作もないことであり、一般広告用であれば広く加入者から広告を募るのが通常である。そして、本件優先日当時においては、インターネット技術又は電話回線を利用した各種自動サービス(例えば、診療予約・株式売買等)が普及しており、加入者がサービス提供者のコンピュータにアクセスすることにより、何らかのサービスを受けることは恒常化している。加入者が表示予約をするというのは、サービスを受けることの1つの態様にほかならないから、本件優先日当時の技術水準を考慮すれば、上記新たな相違点についても当業者にとって想到容易といわざるを得ない。 また、相違点(上記新たな相違点を含む)に係る補正発明の発明特定事項を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。 したがって、補正発明は引用発明に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができない。 [補正の却下の決定のむすび] 以上のとおりであるから、本件補正は平成14年改正前特許法17条の2第5項で準用する同法126条4項の規定に違反する。 よって、同法159条1項で読み替えて準用する同法53条1項の規定により、補正の却下の決定の結論のとおり決定する。 第3 本件審判請求についての当審の判断 1.本願発明の認定 平成14年4月10日付けの手続補正は却下されたから、本願の請求項16に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成13年10月2日付け手続補正により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲【請求項16】に記載された事項によって特定されるとおりの次のものと認める。 「大衆にアクセス可能な場所で情報を表示するためのディジタル情報装置であって、 システムは、上記場所で情報を表示するための可視表示装置(22)と、コンピュータ化された制御センタ(12)と、上記可視表示装置(22)を調整し、制御するために上記場所に設置されたコンピュータ化された装置(16、18、20)と、を含み、 上記制御センタ(12)は上記コンピュータ化された装置(16、18、20)との通信インタフェース(14)を有し、 上記制御センタ(12)は、制御命令のこゝでは公開リストと称されるリストと、予め定められた期間にわたって上記可視表示装置上に表示されるべき情報のブロックとをリアルタイムで作成し更新することができ、 上記の各ブロックはこゝでは公開内容と称され、 制御センタ(12)は、動的時間予約システムに従って上記公開リストを作成し、更新するように構成されており、 上記制御センタ(12)は、上記可視制御装置(22)の各々が他の可視表示装置とは無関係に制御され、それによって公開リストに従って他の可視表示装置と同じ情報または異なる情報を受信して表示することができるような態様で、上記場所に設置された可視表示装置(22)によって表示されるマテリアルを制御するために上記公開リストを使用することができ、特にどのマテリアルを何時表示させるべきかを制御することができる、 上記ディジタル情報装置。」 2.本願発明の新規性又は進歩性の判断 本願発明は補正発明と異なり「正確な時間スロットの予約が示された、」との発明特定事項を有さない。また、本願発明の「予約システム」は「動的時間予約システム」であるけれども、そのことが引用発明との相違点とならないことは自明である。 したがって、本願発明と引用発明とはすべての発明特定事項において一致し、両者に相違点は存在しない。 仮に、本願発明を、加入者が動的予約可能なディジタル情報装置と解する余地があるとすれば、そのことが引用発明との相違点となるが、当業者にとって想到容易であること、及び格別の作用効果を奏さないことは「第2[理由]7」で述べたとおりである。 したがって、本願発明は引用発明そのものである(特許法29条1項3号該当)か、引用発明に基づいて当業者が容易に発明できたものである。すなわち、本願発明は特許法29条1項又は2項の規定により特許を受けることができない。 第4 むすび 平成14年4月10日付けの手続補正は却下されるべきであり、本願発明が特許を受けることができない以上、本願のその余の請求項に係る発明について検討するまでもなく、本願は拒絶を免れない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2004-06-15 |
結審通知日 | 2004-06-22 |
審決日 | 2004-07-05 |
出願番号 | 特願平9-538801 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G09F)
P 1 8・ 575- Z (G09F) |
最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 仁木 浩、竹之内 秀明 |
特許庁審判長 |
砂川 克 |
特許庁審判官 |
清水 康司 津田 俊明 |
発明の名称 | ディジタル情報システム |
代理人 | 田中 浩 |