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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  G05B
管理番号 1107897
異議申立番号 異議2003-70647  
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1998-02-03 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-03-03 
確定日 2004-09-29 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3350717号「デバック装置およびデバック方法」の請求項1ないし4に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3350717号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 【1】手続の経緯
本件特許3350717号の請求項1ないし4に係る発明についての出願は、平成8年7月17日になされ、平成14年9月20日にその特許の設定登録がなされた。これに対し、豊田工機株式会社より特許異議の申立てがあり、取消理由が通知され、その指定期間内である平成16年3月8日に訂正請求がされたものである。

【2】特許異議申立ての理由の概要
特許異議申立人は、下記甲第1、2号証を証拠として提出し、本件請求項1〜4に記載された発明は、甲第1号証に記載の発明及び周知技術(例えば、甲第2号証の実施例に記載されている)に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができないものである。したがって、本件請求項1〜4に記載された発明は、特許法第113条1項2号の規定により、その特許は取り消すべきものである旨主張している。
(証拠方法)
甲第1号証;特開平 2-205901号公報
甲第2号証;特開平 5-241619号公報

【3】取消理由の概要
当審が通知した取消理由の概要は、刊行物として特許異議申立人の提出した上記甲第1号証及び2号証を引用し、本件特許の請求項1ないし4に係る発明は、前記甲第1号証及び周知技術(甲第2号証)に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない、というものである。

【4】訂正の適否について
(1)上記平成16年3月8日の訂正請求による訂正(以下、本件訂正という。)は、以下のとおりである。
(1-1)訂正事項(訂正の要旨)
(ア)訂正事項a
特許請求の範囲を以下のとおりに訂正する。
「【特許請求の範囲】
【請求項1】 制御機器システムを制御するシーケンスプログラムのバグを検出するデバック装置において、
制御機器システムを構成する各制御機器を含んで制御機器システムのイメージ図を表示するイメージ表示手段と、
このイメージ図表示手段により表示された前記制御機器システムのイメージ図中に含まれる各制御機器の接点箇所ごとに、当該接点の前記シーケンスプログラム中の接点番号、コメントおよび接点状態を含む接点データを示す接点ボタンを、それぞれ対応させて表示する接点ボタン表示手段と、
前記接点ボタン表示手段により表示された前記制御機器システムのイメージ図中の接点ボタンに対して起動を駆けることにより、その接点ボタンに対応した接点の状態を変更させる接点状態変更手段と、
を具備すること
を特徴とするデバック装置。」
【請求項2】 前記接点ボタン表示手段は、前記制御機器システムのイメージ図に表示された接点ボタンの一覧とともに、この表示された接点ボタンに対応する接点のタイミングチャートを表示させるタイミングチャート表示ボタンを表示し、
上記タイミングチャートは、各接点ボタンに対応した接点の状態の変化が即座に反映されるものであることを特徴とする請求項1記載のデバック装置。
【請求項3】 制御機器システムを制御するシーケンスプログラムのバグを検出するデバック方法において、
制御機器システムを構成する各制御機器を含んで制御機器システムのイメージ図を表示し、
表示された前記制御機器システムのイメージ図中に含まれる各制御機器の接点箇所ごとに、当該接点の前記シーケンスプログラム中の接点番号、コメントおよび接点状態を含む接点データを示す接点ボタンを、それぞれ対応させて表示し、
前記イメージ図中に表示された接点ボタンに対して起動を駆けることにより、接点ボタンの表示を変更して、接点ボタンに対応した接点の状態を変更させることを特徴とするデバック方法。」
(イ)訂正事項b
本件特許明細書の段落【0010】を以下のとおり訂正する。
「 【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、制御機器システムを制御するシーケンスプログラムのバグを検出するデバック装置において、制御機器システムを構成する各制御機器を含んで前記制御機器システムのイメージ図を表示するイメージ図表示手段と、このイメージ図表示手段により表示された前記制御機器システムのイメージ図中に含まれる各制御機器の接点箇所ごとに、当該接点の前記シーケンスプログラム中の接点番号、コメントおよび接点状態を含む接点データを示す接点ボタンを、それぞれ対応させて表示する接点ボタン表示手段と、前記接点ボタン表示手段により表示された前記制御機器のイメージ図中の接点ボタンに対して起動を駆けることにより、その接点ボタンに対応した接点の状態を変更させる接点状態変更手段とを具備することを特徴とする。」
(ウ)訂正事項c
本件特許明細書の段落【0011】を削除する。
(エ)訂正事項d
本件特許明細書の段落【0013】を以下のとおりに訂正する。
「 【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記接点ボタン表示手段は、前記制御機器システムのイメージ図に表示された接点ボタンの一覧とともに、この表示された接点ボタンに対応する接点のタイミングチャートを表示させるタイミングチャート表示ボタンを表示し、上記タイミングチャートは、各接点ボタンに対応した接点の状態の変化が即座に反映されるものであることを特徴とする。」
(オ)訂正事項e
本件特許明細書の段落【0017】を以下のとおりに訂正する。
「 【0017】
請求項3記載の発明は、制御機器システムを制御するシーケンスプログラムのバグを検出するデバック方法において、制御機器システムを構成する各制御機器を含んで前記制御機器システムのイメージ図を表示し、表示された前記制御機器システムのイメージ図中に含まれる各制御機器の接点箇所ごとに、当該接点の前記シーケンスプログラム中の接点番号、コメントおよび接点状態を含む接点データを示す接点ボタンを、それぞれ対応させて表示し、前記イメージ図中に表示された接点ボタンに対して起動を駆けることにより、接点ボタンの表示を変更して、接点ボタンに対応した接点の状態を変更させることを特徴とする。」
(2)訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否について
(ア)上記訂正事項aは、基本的に特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、訂正した事項はすべてもとの明細書及び図面に記載された事項であると認められ、新規事項の追加に該当せず、又、特許請求の範囲を実質的に拡張・変更するものでもない。
(イ)上記訂正事項bは、訂正事項aの訂正に伴い、それとの整合を図るために本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、訂正した事項はすべてもとの明細書及び図面に記載された事項であると認められ、新規事項の追加に該当せず、又、特許請求の範囲を実質的に拡張・変更するものでもない。
(ウ)上記訂正事項cは、同じく訂正事項aの訂正に伴い、それとの整合を図るために本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載を削除して訂正するものと認められるから、明りょうでない記載の釈明を目的とするものに該当し、新規事項の追加に該当せず、又、特許請求の範囲を実質的に拡張・変更するものでもない。
(エ)上記訂正事項dは、基本的に特許請求の範囲の減縮及び明りょうでない記載の釈明を目的とするものであって、訂正した事項はすべてもとの明細書及び図面に記載された事項であると認められ、新規事項の追加に該当せず、又、特許請求の範囲を実質的に拡張・変更するものでもない。
(オ)上記訂正事項eは、訂正事項aの訂正に伴い、それとの整合を図るために本件特許明細書の発明の詳細な説明の記載を訂正するものであるから、明瞭でない記載の釈明を目的とするものであって、訂正した事項はすべてもとの明細書及び図面に記載された事項であると認められ、新規事項の追加に該当せず、又、特許請求の範囲を実質的に拡張・変更するものでもない。
(3)まとめ
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項から第4項までの規定に適合するので、当該訂正を認める。

【5】特許異議申立てについての判断
(1)本件発明
上記のとおり本件訂正は認められるから、本件の請求項1ないし3に係る発明(以下、それぞれ「本件発明1」、「本件発明2」、「本件発明3」という。)は、上記訂正請求に係る訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1ないし3に記載されたとおりのもの(前記【4】(1-1)(ア)参照。)である。
(2)引用刊行物
(2-1)引用例1;特開平2-205901号公報(甲第1号証)
当審が通知した取消理由において引用した上記引用例1には、自明の事項も含め、以下の2つの発明(「引用発明1」、「引用発明2」)が記載されているものと認められる。
(引用発明1)
「制御機器システムを制御するシーケンスプログラムのバグを検出するデバック装置において、制御機器システムを構成する各制御機器(モータ41、センサ43a、43b、44a、電磁弁45)を含んで制御機器システムのイメージ図を表示するイメージ表示手段(画像表示部1)と、このイメージ図表示手段により表示された前記制御機器システムのイメージ図中に含まれる各制御機器の接点箇所ごとに、当該接点の画像表示(スイッチ41a、センサ43a、43b、44a、電磁弁45。第4図参照。)および(スイッチ41aのみに対応する)接点状態を含む接点データを示す接点ボタンを、それぞれ対応させて表示する接点ボタン表示手段と、前記接点ボタン表示手段により表示された前記制御機器システムのイメージ図中の(特定の)1つの接点ボタン(スイッチ41a)に対して起動を駆けることにより、その接点ボタンに対応した接点の状態を変更させる接点状態変更手段と、を具備することを特徴とするデバック装置。」
(引用発明2)
「制御機器システムを制御するシーケンスプログラムのバグを検出するデバック方法において、制御機器システムを構成する各制御機器(モータ41、センサ43a、43b、44a、電磁弁45)を含んで制御機器システムのイメージ図を表示し、表示された前記制御機器システムのイメージ図中に含まれる各制御機器の接点箇所ごとに、当該接点の画像表示(スイッチ41a、センサ43a、43b、44a、電磁弁45。第4図参照。)および(スイッチ41aのみに対応する)接点状態を含む接点データを示す接点ボタンを、それぞれ対応させて表示し、前記イメージ図中に表示された(特定の)1つの接点ボタン(スイッチ41a)に対して起動を駆けることにより、接点ボタンの表示を変更して、接点ボタンに対応した接点の状態を変更させることを特徴とするデバック方法。」
(2-2)引用例2;特開平5-241619号公報(甲第2号証)
同じく当審が通知した取消理由において引用した上記引用例2には、以下の事項が図面と共に記載されている。
a.「本発明の目的は、ネットワークで接続された複数台のPCの関係を、1つの画面を見るだけで把握できるようにし、複数台のPCがネットワークで接続されたシステムにおいて、システムデバック時の現象解析を容易にすることができるプログラミング装置を提供することにある。」(【0005】)
b.「PC間ネットワーク20に接続されたいずれかもしくは特定のPCのCPUに対して、プログラミング装置10を接続し、タイムチャートトレースモニタモードにおいて、モニタしたいCPUのNo.と、信号名を入力すると、ネットワーク20を経由して、指定したCPUのメモリから、常時、シーケンスプログラムの実行状態が読み出される。この情報に基づいて、前記信号名の信号がタイムチャートトレース情報に変換される。変換された各信号の情報は画面上に同時に表示される。このようにして、リアルタイムでの複数台PCのタイムチャートトレースモニタが同一画面上で可能となる。」(【0017】
(なお、図2には、タイムチャートトレースモニタを行ったときの表示画面が記載されている。)

(3)本件発明1、2について
(3-1)対比・判断
上記本件発明1と引用発明1とを対比すると、両者は以下の点で相違し、その余の点で一致する。(一致点は省略する。)
・相違点1:
接点ボタン表示手段が(各制御機器の接点ごとに、それぞれ対応させて)表示する接点ボタンが示す事項(内容)が、本件発明1では、接点のシーケンスプログラム中の接点番号、コメントおよび接点状態を含む接点データであるのに対し、引用発明1では、接点の画像表示(即ちシーケンサの制御対象の画像表示。第4図参照。)および(スイッチ41aにのみ対応させる)接点状態を含む接点データである点。
・相違点2:
(接点ボタンに対応した接点の状態を変更させる)接点状態変更手段が起動を駆ける接点ボタンが、本件発明1では、前記接点ボタン表示手段により表示された前記制御機器システムのイメージ図中の接点ボタンであるのに対し、引用発明1では、前記接点ボタン表示手段により表示された前記制御機器システムのイメージ図中の(特定の)1つの接点ボタン(即ちスイッチ41a)である点。

そこで、上記相違点1、2につき検討すると、本件発明1の上記相違点2については当業者が容易に想到し得た程度のものと認められるものの、本件発明1の上記相違点1については、当該相違点1に係る発明特定事項が本件発明前に周知若しくは公知の事項であったことを示す証拠を見出すことはできず、本件発明1は、かかる相違点1に係る発明特定事項を備えることにより、「シーケンスプログラムをシュミレーションを行ってデバックするに際し、起動を駆けられた入出力接点の配置位置が明瞭に把握することができる。従って、デバックをするに際し、実際の制御機器システムのイメージを伴いつつ、容易にデバックを行うことができる。」という、本件特許明細書(【発明の効果】)に記載されたとおりの特有の効果を奏するものと認められる。したがって、本件発明1が上記引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。また、本件発明2は本件発明1をさらに限定するものであるから、同様の理由により、本件発明2が上記引用発明1に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

(4)本件発明3について
(4-1)対比・判断
本件発明3と引用発明2とを対比すると、両者は以下の点でのみ相違し、その余の点で一致する。(一致点は省略する。)
・相違点1’:
(各制御機器の接点ごとに、それぞれ対応させて)表示する接点ボタンが示す事項(内容)が、本件発明3では、接点のシーケンスプログラム中の接点番号、コメントおよび接点状態を含む接点データであるのに対し、引用発明2では、接点の画像表示(即ちシーケンサの制御対象の画像表示。第4図参照。)および(スイッチ41aにのみ対応させる)接点状態を含む接点データである点。
:相違点2’:
(接点ボタンに対応した接点の状態を変更させるために)起動を駆ける接点ボタンが、本件発明3では、前記イメージ図中に表示された接点ボタンであるのに対し、引用発明2では、前記イメージ図中に表示された(特定の)1つの接点ボタン(即ちスイッチ41a)である点。

上記相違点につき検討すると、上記相違点1’、2’は、それぞれ実質的に上記(3-1)に示した相違点1、2と同じである。よって、上記(3-1)に示した理由と同様の理由により、本件発明3が上記引用発明2に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものということはできない。

【6】むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1ないし3に係る特許を取り消すことができない。
また、他に本件請求項1ないし3に係る特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
デバック装置およびデバック方法
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】 制御機器システムを制御するシーケンスプログラムのバグを検出するデバック装置において、
制御機器システムを構成する各制御機器を含んで制御機器システムのイメージ図を表示するイメージ図表示手段と、
このイメージ図表示手段により表示された前記制御機器システムのイメージ図中に含まれる各制御機器の接点箇所ごとに、当該接点の前記シーケンスプログラム中の接点番号、コメントおよび接点状態を含む接点データを示す接点ボタンを、それぞれ対応させて表示する接点ボタン表示手段と、
前記接点ボタン表示手段により表示された前記制御機器システムのイメージ図中の接点ボタンに対して起動を駆けることにより、その接点ボタンに対応した接点の状態を変更させる接点状態変更手段と、
を具備すること
を特徴とするデバック装置。
【請求項2】 前記接点ボタン表示手段は、前記制御機器システムのイメージ図に表示された接点ボタンの一覧とともに、この表示された接点ボタンに対応する接点のタイミングチャートを表示させるタイミングチャート表示ボタンを表示し、
上記タイミングチャートは、各接点ボタンに対応した接点の状態の変化が即座に反映されるものであることを特徴とする請求項1記載のデバック装置。
【請求項3】 制御機器システムを制御するシーケンスプログラムのバグを検出するデバック方法において、
制御機器システムを構成する各制御機器を含んで制御機器システムのイメージ図を表示し、
表示された前記制御機器システムのイメージ図中に含まれる各制御機器の接点箇所ごとに、当該接点の前記シーケンスプログラム中の接点番号、コメントおよび接点状態を含む接点データを示す接点ボタンを、それぞれ対応させて表示し、
前記イメージ図中に表示された接点ボタンに対して起動を駆けることにより、接点ボタンの表示を変更して、接点ボタンに対応した接点の状態を変更させることを特徴とするデバック方法。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、プログラマブルコントローラ(以下、PLCという)を稼働させるシーケンスプログラム上のバグを検出するデバック装置およびデバック方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
PLCは、制御対象機器の状態を検出する各種のセンサからの出力情報(開放状態かまたは閉状態か)に基づき、予め記憶されたシーケンスプログラムに従って、制御機器を制御している。
【0003】
このようなシーケンスプログラムは、プログラマが必要な場合には、図14に示すようなラダーチャートを参照して直にコーディングして作成されるか、または、プログラム支援装置がすでに作成されているラダーチャートから直に作成される。
【0004】
このようにして作成された、シーケンスプログラムは、一般的にはバグを含んでおり、バグを含んだシーケンスプログラムを実際の制御機器システムの制御に使用するのは、誤動作および事故等による欠陥製品の発生のみならず安全性においても大変危険である。
【0005】
従って、作成したシーケンスプログラムは、実際の制御機器システムに搭載させる前に、各制御機器が正常に動作する否かを予めシュミレーションして、このプログラムに潜むバグを予め検証する必要がある。
【0006】
上述したシーケンスプログラムのバグを検証する装置には、従来からデバック装置(デバッガ)が存在し、このデバック装置は、PLCに接続されており、CRTには、図15に示すように、制御機器の入出力接点に対して起動(ON/OFF)を駆ける接点ボタン101が必要数だけ備えたスイッチボックス10が表示されている。
【0007】
このデバック装置は、このスイッチボックスの中の所望の接点ボタン101を、例えばマウスデでクリックされると、PLCの入力接点がONになり、センサ等の代わりに模擬的な入力信号を与えて入力接点状態を変更させるとともに、これに応じた出力接点の変化状態を接点ボタン101にONとして表示させることで、模擬的に制御機器システムを稼働させ、シーケンスプログラムに潜むバクを検査するようになっている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、このような従来のデバック装置では、上述したスイッチボックス10から該当する接点ボタン101をクリック等して起動を駆けて、その起動に対する出力状態が、再びスイッチボックス10上の接点ボタン101で表示されるようになっているので、起動を駆けられた入出力接点の制御機器システムに対する配置イメーが湧かず、このため、動作状況を把握することは大変困難であるという問題点があった。
【0009】
そこで、本発明は上述の問題点に鑑み、シーケンスプログラムをシュミレーションを行ってデバックする際し、制御機器システムの実機動作イメージを伴ように接点ボタンを配置したデバック装置およびデバック方法を提供することを目的とする。
【0010】
【課題を解決するための手段】
上述の目的を達成するために、請求項1記載の発明は、制御機器システムを制御するシーケンスプログラムのバグを検出するデバック装置において、制御機器システムを構成する各制御機器を含んで制御機器システムのイメージ図を表示するイメージ図表示手段と、このイメージ図表示手段により表示された前記制御機器システムのイメージ図中に含まれる各制御機器の接点箇所ごとに、当該接点の前記シーケンスプログラム中の接点番号、コメントおよび接点状態を含む接点データを示す接点ボタンを、それぞれ対応させて表示する接点ボタン表示手段と、前記接点ボタン表示手段により表示された前記制御機器システムのイメージ図中の接点ボタンに対して起動を駆けることにより、その接点ボタンに対応した接点の状態を変更させる接点状態変更手段とを具備することを特徴とする。
【0011】
【0012】
【0013】
請求項2記載の発明は、請求項1記載の発明において、前記接点ボタン表示手段は、前記制御機器システムのイメージ図に表示された接点ボタンの一覧とともに、この表示された接点ボタンに対応する接点のタイミングチャートを表示させるタイミングチャート表示ボタンを表示し、上記タイミングチャートは、各接点ボタンに対応した接点の状態の変化が即座に反映されるものであることを特徴とする。
【0014】
【0015】
【0016】
【0017】
請求項3記載の発明は、制御機器システムを制御するシーケンスプログラムのバグを検出するデバック方法において、制御機器システムを構成する各制御機器を含んで制御機器システムのイメージ図を表示し、表示された前記制御機器システムのイメージ図中に含まれる各制御機器の接点箇所ごとに、当該接点の前記シーケンスプログラム中の接点番号、コメントおよび接点状態を含む接点データを示す接点ボタンを、それぞれ対応させて表示し、前記イメージ図中に表示された接点ボタンに対して起動を駆けることにより、接点ボタンの表示を変更して、接点ボタンに対応した接点の状態を変更させることを特徴とする。
【0018】
本発明によれば、制御機器システムのイメージ図が表示された後、この表示されたこのイメージ図中に接点ボタンが表示が表示されているため、デバックに際し、起動を駆けられた入出力接点の配置位置が明瞭である。
【0019】
また、制御機器システムのメージ図に表示された接点ボタンの表示を変更させることによるり、所望する接点の状態を変更させることができる。
【0020】
さらに、制御機器システムのイメージ図に表示された接点ボタンの一覧とともに、この表示された接点ボタンに対する接点のタイミングチャートを表示させるタイミングチャート表示ボタンを有するため、タイミングチャートを参照してデバックすることができる。
【0021】
【発明の実施の形態】
以下、本発明に係るデバック装置およびデバック方法の実施形態を図面を参照して説明する。
【0022】
図1は本発明に係るデバック装置の一実施形態の構成を示すブロック図である。
【0023】
この実施形態のデバック装置は、イメージデータを読み込むイメージデータ読込み部1と、イメージデータを記憶するイメージデータ記憶部2と、画面制御部3と、接点ボタン操作実行部4とを備えて構成されている。
【0024】
イメージデータ読込み部1は、イメージデータを読み込むものであって、例えばスキャナ等がある。
【0025】
ここで、CRTに描かれるイメージデータとして、制御機器システムの全体または必要に応じて分割された部分の手書きの図面,写真,イラストをイメージスキャナーで読み込んで、イメージデータ記憶部に記憶されたものや、CADの図面データ等のように直に画面上に表示したものが使用される。
【0026】
画面制御部3は、後述する画面全体を制御するものであって、イメージ表示部31および接点ボタン表示部32を備えている。そして、イメージ表示部31は、イメージ読込み部1で読み込んでイメージデータ記憶部2に記憶されたイメージデータをCRT画面上に描画するように構成されており、また、接点ボタン表示部32は、イメージ表示部31でCRT画面に表示された制御機器システムのイメージ図上の所定箇所に、接点ボタンを表示するように構成されている。
【0027】
ここで、画面に表示される接点ボタンは、ラダーチャートや、ニーモニックで記述されたプログラムから予め抽出された接点番号,コメント,接点の種類および接点状態からなる接点データを読み出して表示する。
【0028】
例えば、図2に示すように、モータM1により回転するベルト45上に載置され、所定箇所でセンサ46,47でこのワーク48の良/不良判定を行い、その結果、このワーク48が不良である場合には、シリンダ49でワーク48をベルト45から排除する工程についての表示画面では、センサ46に接点ボタン41a,センサ47に接点ボタン41b,シリンダ49に接点ボタン41c,41d,41e,41fがウィンドウとして貼り付けられている。
【0029】
因みに、センサ46の接点ボタン41aは、接点番号401aとして「00005」,コメント402aとして「検出1」,接点の種類403aとして「I」となっている。
【0030】
接点ボタン操作実行部3は、所定の接点ボタンがマウスでクリックされると、そのクリックされた接点ボタンの表示をONにして、この接点に対応する制御機器システムのセンサ等の代わりに模擬的な入力信号をPLCに与えるように構成されている。
【0031】
ここで、この実施形態のデバック装置のCRTが表示する画面について説明する。
【0032】
この実施形態のデバック装置のCRTには、図3に示すように、スイッチボックスウィンドウ20,タイミングチャートウィンドウ30,イメージ図表示ウィンドウ40およびクラス一覧ウィンドウ50を少なくとも表示するようになっている。
【0033】
(1)スイッチボックスウィンドウについて
スイッチボックスウィンドウ20は、図4(a)に示すように、制御機器の入力接点に対して起動を駆け、また、制御機器の出力接点の表示を示す接点ボタン41が表示されている。
【0034】
各接点ボタン41は、図4(b)に示すように、接点番号および接点の種類が表示されたボタンエリア410aおよびこの接点の内容をコメントコメントエリア410bで形成されている。
【0035】
なお、ボタンエリア41aをマウスでクリックすることにより、接点をON/OFFすることができる。
【0036】
なお、このスイッチボックスウィンドウ20の大きさを変更させることにより、表示させる接点ボタン41の数を調節することができ、また、表示しきれない接点ボタン41は画面をスクロールすることで、表示させることができる。
【0037】
図5(a)に示すように、マウスで[表示]メニュー11をクリックし、ポップアップメニュー12を表示させ、その中のコメント表示13をクリックすることで、すでに表示されているスイッチボックスウィンドウ41中のコメントエリア41bを消去するようになっている。
【0038】
こうすることにより、接点ボタン41がボタンエリア41aおよびコメントエリア41bの場合には、表示する量がたくさんあり、表示することができないときでも、コメントエリア41bを消去することにより表示することが可能となる。
【0039】
(2)タイミングチャートウィンドウ
タイミングチャートウィンドウ30は、図6に示すように、各接点ボタン41に応じた接点の状態変化を表したタイムチャートグラフ32が表示されている。
【0040】
このタイミングチャートウィンドウ30は、デバック実行中は接点の状態の変化が即座にタイムチャートグラフとして反映されるので、デバックの進行状況を容易に確認することができるとともに、ログファイルに保存されたデバック実行結果をタイムチャートに表示することができるので、過去の実行結果と容易に比較することができる。
【0041】
なお、このウィンドウに表示されている接点ボタン41を、マウスでクリックすることで、スイッチボックスウィンドウ20を介さずに直に接点をON/OFFすることができる。
【0042】
なお、このウィンドウ30も、その大きさを変更させることにより、表示させる接点ボタン41の数を調節することができ、また、表示しきれない接点ボタン41は画面をスクロールすることで、表示させることができる。
【0043】
(3)イメージ図表示ウィンドウイメージ
図表示ウィンドウ40は、先に説明したように、手書きの図面,写真,イラスト等で描かれたイメージ図が表示されており、この描かれたイメージ図中に、対応する接点ボタン41が自由に貼り付けたものが表示されている(図7参照)。
【0044】
このイメージ図表示ウィンドウ40は、デバックする工程のイメージ図上に、対応する接点ボタンを貼り付けることによって、制御機器システムの実機動作をイメージしやすくなる。なお、このウィンドウ40もまた、その大きさを変更させることができる。
【0045】
(4)クラス一覧ウィンドウについて
クラス一覧ウィンドウ50は、図8に示すように、実機システムの各制御機器における動作状態を表示するクラス状態ボタン51と、実機システムの各制御機器ごとに備える接点に対応した接点ボタン41と、制御機器の上述したタイミングチャートウインド30を表示させるチャート表示ボタン52が表示されている。
【0046】
因みに、制御機器としてシリンダの場合には、接点ボタン41a,41b,41c,41d,41eを有している。
【0047】
なた、マウスでチャート表示ブタン52をクリックすると、図8(b)に示すように、チャート表示ボタン52をクリックした箇所における制御機器に設けられた接点ボタン41の上述したタイミングチャートウィンドウ30が表示される。
【0048】
次に、CRTに表示されたイメージ図に該当する接点ボタンを貼り付け方法を説明する。
【0049】
図9に示すように、操作者は、イメージデータ記憶部2に予め記憶されている制御機器システムのイメージデータをCRTに表示する。
【0050】
次に、操作者は、接点ボタン41を表すクラス一覧ウィンドウ50を、制御機器システムのイメージデータが表示されたCRT上に表示する。
【0051】
そして、表示されたクラス一覧ウインド中において、クラス状態ボタン51,このクラス状態ボタン51の接点ボタン41およびチャート表示ボタン52を切り取り、図10,図11に示すように、画面中の所定の箇所に移動して貼り付ける。
【0052】
画面に、クラス状態ボタン51等が貼り付けられると、図12示すように、クラス一覧ウィンドウ50を表示画面から消去する。
【0053】
その後、操作者は、クラス状態ボタン51およびチャート表示ボタン52を、マウスをクリックして表示画面から消去し、接点ボタン41のみを表示し、その後、表示されている接点ボタン41の各々を、マウスでクリックして、制御機器システムのイメージデータを表示する画面の適当な箇所に貼り付ける。
【0054】
すると、図13に示すように、各制御機器ごとに、接点ボタン41が貼り付けられたイメージ図ウィンドウ40がCRT上に表示される。
【0055】
なお、図12に示すように、画面に表示された制御機器の近傍に、この制御機器に関するクラス状態ボタン51,接点ボタン41およびチャート表意ボタン52を表示させに止めることも可能である。この場合、クラス状態ボタン51をマウスでクリックし、ONにすることで、このクラス状態ボタン51につながる接点ボタン41を順次自動的にONしていき、その進行状況を接点ボタン41の表示状態の変化でとらえることができる。
【0056】
また、チャート表示ボタン52をマウスでクリックしてタイムチャートウィンドウ30を表示させ、さらに該当する接点ボタン41を、マウスでクリックしていくことで、各接点ボタンに対応した制御機器の接点の動作がタイミングチャートとして表示することができる。
【0057】
この実施形態のデバック装置では、どの装置/機器にどの接点が関係しているか否かが視覚的に理解できるので、デバック中に、今この接点がどんな状態であるのが正しいのか、また、状態を変更する必要がある接点はどれかといったことが容易に判断することができる。
【0058】
また、制御機器システムのメージ図に表示された接点ボタンの表示を変更させることによるり、所望する接点の状態を変更させることができる。
【0059】
さらに、制御機器システムのイメージ図に表示された接点ボタンの一覧とともに、この表示された接点ボタンに対する接点のタイミングチャートを表示させるタイミングチャート表示ボタンを有するため、タイミングチャートを参照してデバックすることができる。
【0060】
【発明の効果】
以上本発明によれば、制御機器システムのイメージ図が表示された後、この表示されたこのイメージ図中に接点ボタンが表示が表示されているため、シーケンスプログラムをシュミレーションを行ってデバックするに際し、起動を駆けられた入出力接点の配置位置が明瞭に把握することができでる。
【0061】
従って、デバックをするに際し、実際の制御機器システムのイメージを伴いつつ、容易にデバックを行うことができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】
本発明に係るデバック装置の一実施形態の構成を示すブロック図。
【図2】
制御機器システムのイメージ図中に接点ボックスが表示されたときの参考図。
【図3】
この実施形態のデバック装置の一表示画面。
【図4】
この実施形態のデバック装置に表示されるスイッチボックスウィンドウの表示画面。
【図5】
スイッチボックスウィンドウ中の接点ボタンからコメントエリアを消去する際の処理説明図。
【図6】
この実施形態のデバック装置に表示されるタイムチャートウィンドウの表示画面。
【図7】
この実施形態のデバック装置に表示されるイメージ図ウィンドウの表示画面。
【図8】
この実施形態のデバック装置に表示されるクラス一覧ウィンドウの表示画面。
【図9】
CRTに表示されたイメージ図に接点ボタンを貼り付け処理についての説明図。
【図10】
CRTに表示されたイメージ図に接点ボタンを貼り付け処理についての説明図。
【図11】
CRTに表示されたイメージ図に接点ボタンを貼り付け処理についての説明図。
【図12】
CRTに表示されたイメージ図に接点ボタンを貼り付け処理についての説明図。
【図13】
CRTに表示されたイメージ図に接点ボタンを貼り付け処理についての説明図。
【図14】
ラダーチャートにつての説明図。
【図15】
CRTに表示されるスイッチボックスについて説明図。
【符号の説明】
1 イメージデータ読込み部
2 イメージデータ記憶部
3 画面制御部
4 接点ボタン操作実行部
20 スイッチボックスウィンドウ
30 タイムチャートウィンドウ
40 イメージ図ウィンドウ
50 クラス一覧ウィンドウ
31 イメージ表示部
32 接点ボタン表示部
41 クラス状態ボタン51
52 チャート表示ボタン
41a,41b,41c,41d,41e,41f 接点ボタン
410a 接点エリア
410b コメントエリア
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-09-07 
出願番号 特願平8-187890
審決分類 P 1 651・ 121- YA (G05B)
最終処分 維持  
前審関与審査官 槻木澤 昌司  
特許庁審判長 三友 英二
特許庁審判官 村上 哲
岩本 正義
登録日 2002-09-20 
登録番号 特許第3350717号(P3350717)
権利者 オムロン株式会社
発明の名称 デバック装置およびデバック方法  
代理人 和田 成則  
代理人 和田 成則  

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