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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  B41J
管理番号 1107972
異議申立番号 異議2003-73694  
総通号数 61 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-10-17 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-12-30 
確定日 2004-11-15 
異議申立件数
事件の表示 特許第3437485号「画像印刷装置、画像処理方法および記憶媒体」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 特許第3437485号の請求項1ないし3に係る特許を取り消す。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許についての、出願からの主だった経緯を箇条書きにすると次のとおりである。
・平成11年4月13日 本件出願
・平成15年6月6日 特許第3437485号として設定登録(請求項1〜3)
・同年12月30日 特許異議申立人島田洋より請求項1〜3に係る特許に対して特許異議申立
・平成16年4月16日付け 当審にて、請求項1〜3に係る特許に対しての取消理由を通知
・同年6月22日 特許権者より特許異議意見書及び訂正請求書提出
・同年7月5日付け 当審にて訂正拒絶理由を通知
・同年9月14日 特許権者より特許異議意見書及び手続補正書(訂正請求書)提出

第2 訂正の許否の判断
1.補正前の訂正事項
平成16年6月22日付けの訂正請求は、次の訂正事項を含んでいる。
[訂正事項1]訂正前請求項1記載の「前記削除指示手段により削除を指示された画像ファイルが、前記印刷情報により印刷対象として登録されているか否かを判別する判別手段」の直前に、「削除可能な画像ファイルか否かを判断する判断手段と、
前記判断手段により削除可能な画像ファイルであると判断された場合、」との文言を追加する。
[訂正事項2]訂正前請求項1記載の「該画像ファイルと該画像ファイルの印刷情報とを削除する削除手段と」に続けて句点挿入・改行・1字空白挿入した上で「前記判断手段により削除可能な画像ファイルでないと判断された場合、画像ファイルを削除しないように制御する制御手段と」の文言を追加する。
[訂正事項3]訂正前請求項2記載の「前記印刷情報により印刷対象として登録されているか否かを判別する工程」の直前に、「削除可能な画像ファイルか否か判断する工程と、
前記削除可能な画像ファイルであると判断された場合、前記削除を指示された画像ファイルが」との文言を追加する。
[訂正事項4]訂正前請求項2記載の「該画像ファイルと該画像ファイルの印刷情報とを削除する工程と」に続けて句点挿入・改行・1字空白挿入した上で「前記削除可能な画像ファイルでないと判断された場合、画像ファイルを削除しないよう制御する工程と」の文言を追加する。
[訂正事項5]訂正前請求項3記載の「前記印刷情報により印刷対象として登録されているか否かを判別する手順」の直前に、「削除可能な画像ファイルか否かを判断する手順と、
前記削除可能な画像ファイルであると判断された場合、前記削除を指示された画像ファイルが」との文言を追加する。
[訂正事項6]訂正前請求項3記載の「該画像ファイルと該画像ファイルの印刷情報とを削除する手順と」に続けて句点挿入・改行・1字空白挿入した上で「前記削除可能な画像ファイルでないと判断された場合、画像ファイルを削除しないよう制御する手順と」の文言を追加する。

2.補正事項
平成16年9月14日付けの手続補正(以下「本件補正」という。)は、次の補正事項を含んでいる。
[補正事項1]訂正事項1における追加文言を「画像ファイルが存在するか否か判断する判断手段と、
前記判断手段により画像ファイルが存在すると判断された場合、」と補正する。
[補正事項2]訂正事項2における追加文言を「前記判断手段により画像ファイルが存在しないと判断された場合、画像ファイルの削除処理を終了する手段と」と補正する。
[補正事項3]訂正事項3における追加文言を「存在するか否か判断する工程と、
前記画像ファイルが存在すると判断された場合、前記削除を指示された画像ファイルが」と補正する。
[補正事項4]訂正事項4における追加文言を「前記画像ファイルが存在しないと判断された場合、画像ファイルの削除処理を終了する終了工程と」と補正する。
[補正事項5]訂正事項5における追加文言を「存在するか否か判断する手順と、
前記画像ファイルが存在すると判断された場合、前記削除を指示された画像ファイルが」と補正する。
[補正事項6]訂正事項6における追加文言を「前記画像ファイルが存在しないと判断された場合、画像ファイルの削除処理を終了する終了手順と」と補正する。

3.補正の採否
補正事項1〜6によれば、訂正事項1〜6により追加される文言により定まる発明特定事項について、削除可能な画像ファイルか否かを判断する手段・工程・手順から画像ファイルが存在するか否かを判断する手段・工程・手順に変更され、削除可能な画像ファイルでないと判断された場合に画像ファイルを削除しないように制御する制御手段・工程・手順から画像ファイルが存在しないと判断された場合画像ファイルの削除処理を終了する手段・工程・手順に変更されている。
そうすると、補正事項1〜6は訂正前の請求項1〜3に係る発明に対して、補正前とは全く異なる限定を付すものであることは明らかであるから、訂正請求書の要旨を変更するものといわなければならない。
したがって、本件補正は平成15年改正前特許法120条の4第3項で準用する同法131条2項の規定に違反しているから、本件補正を採用することはできない。

4.訂正の許否の判断
本件補正は不採用となったから、本件訂正は1.で列挙した訂正事項1〜6を含んでいる。
訂正事項1〜6における、削除可能な画像ファイルか否かを判断する手段・工程・手順、及び削除可能な画像ファイルでないと判断された場合に画像ファイルを削除しないように制御する制御手段・工程・手順が願書に添付した明細書又は図面に記載されていないことは明らかである。同明細書には「削除可能」との文言すらなく、「制御」との文言についてもわずかに「15は表示制御部であり、表示部14にプリンタにおけるエラー発生などの情報、操作の確認などを表示する。」(段落【0019】)とあるだけである(「表示制御部」の「制御」と、訂正事項2,4,6の「制御」が無関係であることは自明である。)。
したがって、本件訂正は願書に添付した明細書又は図面に記載された事項の範囲内でされたものではない(平成16年9月14日付け特許異議意見書において、特許権者もそのことを認めている。)から、本件訂正は平成15年改正前特許法120条の4第3項で準用する同法126条2項の規定に適合しない。
よって、本件訂正を認めない。

第3 特許異議申立についての判断
1.本件発明の認定
訂正が認められないから、請求項1〜3に係る発明(以下、請求項番号に応じて「本件発明1」〜「本件発明3」という。)は、願書に添付した明細書の特許請求の範囲【請求項1】〜【請求項3】に記載された事項によって特定される次のとおりのものと認める。
本件発明1:「【請求項1】画像ファイルとともに該画像ファイルを印刷するための印刷情報が記録された記録媒体から該印刷情報を読み取って前記画像ファイルの印刷を行う画像印刷装置において、
前記記録媒体に記録された画像ファイルの削除を指示する削除指示手段と、
前記削除指示手段により削除を指示された画像ファイルが、前記印刷情報により印刷対象として登録されているか否かを判別する判別手段と、
前記判別手段により、削除を指示された画像ファイルが印刷対象として登録されていると判別された場合、該画像ファイルが印刷対象になっている旨を提示する提示手段と、
前記画像ファイルを削除する旨の入力を受け付けた場合、該画像ファイルと該画像ファイルの印刷情報とを削除する削除手段とを備えたことを特徴とする画像印刷装置。」
本件発明2:「【請求項2】画像ファイルとともに該画像ファイルを印刷するための印刷情報が記録された記録媒体から前記画像ファイルを読み取って処理を行う画像処理方法において、
前記記録媒体に記録された画像ファイルの削除が指示された場合、該画像ファイルが前記印刷情報により印刷対象として登録されているか否かを判別する工程と、
削除を指示された画像ファイルが印刷対象として登録されていると判別された場合、該画像ファイルが印刷対象になっている旨を提示する工程と、
前記画像ファイルを削除する旨の入力を受け付けた場合、該画像ファイルと該画像ファイルの印刷情報とを削除する工程とを有することを特徴とする画像処理方法。」
本件発明3:「【請求項3】画像ファイルとともに該画像ファイルを印刷するための印刷情報が記録された記録媒体から前記画像ファイルを読み取って処理を行うプログラムが格納された、コンピュータにより読み取り可能な記憶媒体において、
前記プログラムは、
前記記録媒体に記録された画像ファイルの削除が指示された場合、該画像ファイルが前記印刷情報により印刷対象として登録されているか否かを判別する手順と、
削除を指示された画像ファイルが印刷対象として登録されていると判別された場合、該画像ファイルが印刷対象となっている旨を提示する手順と、
前記画像ファイルを削除する旨の入力を受け付けた場合、該画像ファイルと該画像ファイルの印刷情報とを削除する手順とを含むことを特徴とする記憶媒体。」

2.引用刊行物の記載事項
当審における取消理由に引用した特開平11-7701号公報(特許異議申立人の提出した甲第1号証。以下「引用例」という。)には、以下のア〜クの記載が図示とともにある。
ア.「画像再生システム(装置)10は、情報記録媒体11に記録されている画像再生指示データ及び画像データの記録データを読みだして、該記録データをバス16に送出するデータ読み取り部12と、本画像再生システム10の各部を制御してシステム全体の動作を制御するシステム制御部15と、システム制御部15の制御を受けてデータ読み取り部12で読み取られ、バス16に送出された画像データを受けて、この画像データを再生出力するための再生出力データに変換して出力する処理を行う画像再生処理部14と、前記再生出力データを受けて再生出力(プリント)する画像再生部13と、画像再生指示データに選択的にアクセスしてそのデータ内容を解析するデータ処理部170と、データ処理部170の結果を受けて画像再生する画像を一覧表示するデータ表示部180とから構成される。データ表示部180には、本実施例ではサムネール画像を表示した。尚、これに限るものではなく、画像ファイル名等であっても良い。」(段落【0110】)
イ.「本実施例では、ファイル領域に記録されるファイルとして少なくとも2種類のファイルを用いた。一つは、画像データそのものを記録内容としてもつファイルであり、本実施例ではJPEGデータの形式のファイルとした。」(段落【0117】)
ウ.「もう一つのファイルは、画像再生する画像データファイルとその付随情報を記録内容としてもつファイルである。本実施例では該ファイル名は‘AUTPRINT.MRK’とする。」(段落【0119】)
エ.「読み込んだ再生画像ファイル名と現在表示している画像データのファイル名が一致するかどうか判断される。・・・ステップ509でファイル名が一致すると判断された時は、・・・データ表示部180に画像データとともに、現在表示されている画像が再生出力(プリント)される画像データであることを示す再生マークが示される。図24に本実施例の表示部180における表示の一例をしめす。図24において、右下に示される”P”のマークが本画像が再生画像であることを示す。」(段落【0179】)
オ.「図26に本実施例のユーザインターフェイス部190の表示画面を示す。図中、41は情報記録媒体データ表示部を兼ね、ここに情報記録媒体11に記録されている画像データや画像再生指示データが表示される。画像右下に表示されているマーク“P”がこの画像は画像再生されるデータであることを示している。・・・ボタン44は情報記録媒体に記録されている画像を消去するためのボタンであり、このボタンを押すことにより、現在表示されている画像に対応する画像データが情報記録媒体から消去される。」(段落【0255】)
カ.「本発明の特徴的な動作について、本実施例の情報記録媒体データ編集システム10の動作を説明する。本実施例では、ユーザインターフェイス部から画像データ消去の指示が与えられると、該画像データが画像再生指示されていないかどうか検索され、画像再生指示されている時は画像再生指示が解除される。すなわち、該ファイル名がAUTOPRINT。MRKに記載されているかどうか検索され、記載されている時は該ファイル名がAUTOPRINT。MRKファイルから消去される。」(段落【0256】)
キ.「ステップ501で、消去ボタンが押されたかどうか確認される。本動作は、消去ボタンが押されることにより実質的に開始する。」(段落【0260】)
ク.「消去ボタンが押されたことが確認されると、ステップ502に進んで、現在表示されている画像データのファイル名が読み込まる。そして、AUTOPRINT.MRKファイルの内容が解析される。ステップ503で、読み込んだ表示画像ファイル名がAUTOPRINT.MRKファイルにあるかどうか調べられる。AUTOPRINT。MRKファイル中に表示画像ファイル名がある時は、該ファイル名はAUTOPRINT。MRKファイルから削除される。そして、表示画像ファイルが情報記録媒体から消去される。該ファイル名がAUTOPRINT。MRKファイルにないときは、本画像は再生画像ではないから、画像データを消去しても再生画像出力時に問題は生じないので、情報記録媒体から表示画像ファイルが消去される。(段落【0261】)

3.引用例記載の発明の認定
引用例の記載キにおける「消去ボタンが押されること」とは、削除指示がなされることと同じである。
記載ア〜クを含む引用例の全記載及び図示によれば、引用例には、情報記録媒体に記録された画像ファイルの削除を含む画像処理方法として、次の発明が記載されていると認めることができる。
「画像データそのものを記録内容としてもつ画像データファイル及び画像再生する画像データファイルとその付随情報を記録内容としてもつAUTOPRINT.MRKファイルが記録された情報記録媒体に対する画像処理方法であって、
表示されている画像データファイルに対して削除指示がされると、当該ファイル名がAUTOPRINT.MRKファイルに記載されているかどうか検索し、記載されている時は当該ファイル名がAUTOPRINT.MRKファイルから消去するとともに、当該画像データファイルを削除する画像処理方法。」(以下「引用発明」という。)

4.本件発明2と引用発明との一致点及び相違点の認定
引用発明における「画像再生」とはプリント、すなわち印刷の意味であるから、引用発明の「AUTOPRINT.MRKファイル」は「画像ファイルを印刷するための印刷情報」を記録したファイルであるといえるから、本件発明2と引用発明とは「画像ファイルとともに該画像ファイルを印刷するための印刷情報が記録された記録媒体から前記画像ファイルを読み取って処理を行う画像処理方法」である点で一致する(いうまでもないことであるが、引用発明の「画像データファイル」が本件発明2の「画像ファイル」に相当する。)。
引用発明における「表示されている画像データファイルに対して削除指示がされる」ことと本件発明2における「前記記録媒体に記録された画像ファイルの削除が指示された」に相違はなく、引用発明において「当該ファイル名がAUTOPRINT.MRKファイルに記載されているかどうか検索」するということは、本件発明2でいう「該画像ファイルが前記印刷情報により印刷対象として登録されているか否かを判別する工程」を有することに等しい。当然、引用発明の「記載されている時」及び「当該ファイル名がAUTOPRINT.MRKファイルから消去する」と、本件発明2「印刷対象として登録されていると判別された場合」及び「該画像ファイルの印刷情報とを削除する」にも相違はない。すなわち、引用発明は「該画像ファイルと該画像ファイルの印刷情報とを削除する工程」を有している。
したがって、本件発明2と引用発明とは、
「画像ファイルとともに該画像ファイルを印刷するための印刷情報が記録された記録媒体から前記画像ファイルを読み取って処理を行う画像処理方法において、
前記記録媒体に記録された画像ファイルの削除が指示された場合、該画像ファイルが前記印刷情報により印刷対象として登録されているか否かを判別する工程と、
前記画像ファイルを削除する旨の入力を受け付けた場合、該画像ファイルと該画像ファイルの印刷情報とを削除する工程とを有する画像処理方法。」である点で一致し、次の点で相違する。
〈相違点〉本件発明2が「削除を指示された画像ファイルが印刷対象として登録されていると判別された場合、該画像ファイルが印刷対象になっている旨を提示する工程」を有するのに対し、引用発明は同工程を有さない点。

5.相違点についての判断及び本件発明2の進歩性の判断
本件出願当時にはWindows98,WindowsNT及びWindows95(以下「Windows」と総称する。)が普及しており、Windowsにおいてファイルを削除しようとした場合、削除対象ファイルがアプリケーションファイルであったり、読み取り専用ファイルであったりした場合には、それらファイルの属性を提示し、ユーザーの誤操作等により誤ってファイルが削除されることを防止している。「削除を指示された画像ファイルが印刷対象となっている旨を提示する」ことは、削除対象となるファイルが特殊ファイルであることを提示するという点で、Windowsにおけるアプリケーションファイル・読み取り専用ファイルである旨の提示と何ら異ならない。引用発明においても、AUTOPRINT.MRKファイルに記載されたファイルは印刷対象ファイルであり、誤操作等による削除を防止することが有用であることは明らかである。
したがって、相違点に係る本件発明2の発明特定事項を採用することは、Windowsにおいて採用されている周知技術を単に転用した程度であり、当業者であれば容易に想到できたものである。
また、相違点に係る本件発明2の発明特定事項を採用したことによる格別の作用効果を認めることもできない。
したがって、本件発明2は引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたものであるから、請求項2に係る特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許である。

6.本件発明1の進歩性の判断
請求項1と請求項2の記載を比較すると、本件発明1の「画像ファイルとともに該画像ファイルを印刷するための印刷情報が記録された記録媒体から該印刷情報を読み取って前記画像ファイルの印刷を行う画像印刷装置」は、本件発明2の「画像ファイルとともに該画像ファイルを印刷するための印刷情報が記録された記録媒体から前記画像ファイルを読み取って処理を行う画像処理方法」を実行する装置であって、それが印刷装置であるものである。
本件発明1の「前記記録媒体に記録された画像ファイルの削除を指示する削除指示手段」は、本件発明2の「前記記録媒体に記録された画像ファイルの削除が指示」を実現する手段にすぎず、本件発明1の「前記削除指示手段により削除を指示された画像ファイルが、前記印刷情報により印刷対象として登録されているか否かを判別する判別手段」、「前記判別手段により、削除を指示された画像ファイルが印刷対象として登録されていると判別された場合、該画像ファイルが印刷対象になっている旨を提示する提示手段」及び「前記画像ファイルを削除する旨の入力を受け付けた場合、該画像ファイルと該画像ファイルの印刷情報とを削除する削除手段」は、それぞれ本件発明2の「前記記録媒体に記録された画像ファイルの削除が指示された場合、該画像ファイルが前記印刷情報により印刷対象として登録されているか否かを判別する工程」、「削除を指示された画像ファイルが印刷対象として登録されていると判別された場合、該画像ファイルが印刷対象になっている旨を提示する工程」及び「前記画像ファイルを削除する旨の入力を受け付けた場合、該画像ファイルと該画像ファイルの印刷情報とを削除する工程」との各工程を、物の発明についての発明特定事項として単に「手段」として書き換えた程度のものである。
そうすると、本件発明1は、本件発明2をカテゴリーを変えて物の発明とした上で、その物を印刷装置としただけのものである。ところで、引用例には、ファイル削除処理を含む画像処理を実行する物を印刷装置とすることが記載されている(例えば記載ア)。
そうであれば、本件発明2が引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できた以上、本件発明1も引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたといわざるを得ない。
すなわち、請求項1に係る特許も特許法29条2項の規定に違反してされた特許である。

7.本件発明3の進歩性の判断
請求項2と請求項3の記載を比較すると、本件発明3は、本件発明2の各「工程」を「手順」とし、各手順を記述したプログラムを格納した「コンピュータにより読み取り可能な記憶媒体」の発明である。
本件出願当時、一連の処理を行うに当たり、一連の処理工程を処理手順として記述したプログラムにより行うこと、及び同プログラムを「コンピュータにより読み取り可能な記憶媒体」に格納しておくことは周知である(例えば、プログラム自体は本件発明3のそれと同一とはいえないにせよ、引用例の【請求項8】に「媒体に画像出力プログラムが格納されている」との記載があることを参照。)。
そうである以上、本件発明2が引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できた以上、本件発明3も引用発明及び周知技術に基づいて当業者が容易に発明できたといわざるを得ない。
すなわち、請求項3に係る特許も特許法29条2項の規定に違反してされた特許である。

第4 むすび
以上のとおり、本件訂正を認めることはできず、本件の請求項1〜請求項3に係る特許は特許法29条2項の規定に違反してされた特許である。
したがって、これら特許は平成15年改正前特許法113条2号の規定に該当するものとして取り消されなければならない。
よって、結論のとおり決定する。
 
異議決定日 2004-09-24 
出願番号 特願平11-105098
審決分類 P 1 651・ 121- ZB (B41J)
最終処分 取消  
特許庁審判長 小沢 和英
特許庁審判官 津田 俊明
清水 康司
登録日 2003-06-06 
登録番号 特許第3437485号(P3437485)
権利者 キヤノン株式会社
発明の名称 画像印刷装置、画像処理方法および記憶媒体  
代理人 渡部 敏彦  
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