• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 B65D
審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 B65D
管理番号 1108707
審判番号 不服2002-12655  
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1996-10-29 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-07-08 
確定日 2004-12-08 
事件の表示 平成7年特許願第93939号「脱酸素用複合包装袋」拒絶査定不服審判事件〔平成8年10月29日出願公開、特開平8-282740〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成7年4月19日の出願であって、平成14年6月4日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年7月8日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同年8月7日付で手続補正がなされたものである。

2.平成14年8月7日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年8月7日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)補正後の本願発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は次のように補正された。
「脱酸素剤包装袋(A)の表面に、両面接着テープ(B)、酸素検知剤シート(C)及び透明フィルム(D)をこの順序で積層してなる長尺積層体が所定の間隔で切断された状態で該両面接着テープ(B)を介して接着されており、かつ該酸素検知剤シート(C)の切断端面が露出しており、該透明フィルム(D)が該酸素検知剤シート(C)の該切断端面を除く周辺部で該両面接着テープ(B)に接着しており、該両面接着テープ(B)、該酸素検知剤シート(C)及び該透明フィルム(D)からなる部分の平面図として見た縦、横の各寸法がそれぞれ該脱酸素剤包装袋(A)の表面の平面図として見た縦、横の各寸法よりも小さいことを特徴とする脱酸素剤複合包装袋。」
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「両面接着テープ(B)」、「酸素検知剤シート(C)」及び「透明フィルム(D)」について、補正前の「この順序で積層されており、該透明フィルム(D)も該酸素検知剤シート(C)の周辺部で該両面接着テープ(B)に接着しており」という記載に限定を付加し、「この順序で積層してなる長尺積層体が所定の間隔で切断された状態で該両面接着テープ(B)を介して接着されており、かつ該酸素検知剤シート(C)の該切断端面が露出しており、該透明フィルム(D)が該酸素検知剤シート(C)の該切断面を除く周辺部で該両面接着テープ(B)に接着しており」とするものであって、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、まず、本件補正後の上記請求項1に記載された発明(以下「本願補正発明」という。)が、特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(平成6年改正前特許法第17条の2第4項において読み替えて準用する同法第126条第3項の規定に適合するか)について以下検討する。

(2)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された特開平5-262376号公報(以下、「引用例」という。)には、図面とともに、以下の記載がある。
「本発明の脱酸素用複合包装袋は次のようにすることにより連続方法で製造することができる:長尺の両面接着テープ(B)の片面に剥離紙を取り付け、もう一方の片面にそれよりも巾が若干狭い長尺の酸素検知剤シート(C)を張り付け、その酸素検知剤シート(C)の上をその酸素検知剤シート(C)よりも巾が若干広い長尺の透明フィルム(D)でカバーし、その透明フィルム(D)をその酸素検知剤シート(C)からはみ出ている両面接着テープ(B)の両側の部分に貼り合わせ、このようにして積層体を得る。この積層体は長尺のまま巻き取っておく。一方、脱酸素剤(E)を収容した脱酸素剤包装袋(A)も多数個を連続させた長尺連続体として製造する。この脱酸素剤包装袋(A)の長尺連続体の表面に、上記長尺積層体の両面接着テープ上の剥離紙を取り除きながら取り付け、その後脱酸素用複合包装袋をその封止部分で切断して個々の最終製品とする。」(段落【0010】)
ここで、上記「この脱酸素剤包装袋(A)の長尺連続体の表面に、上記長尺積層体の両面接着テープ上の剥離紙を取り除きながら取り付け、その後脱酸素用複合包装袋をその封止部分で切断して個々の最終製品とする」という記載からみて、引用例には、脱酸素剤包装袋の表面に、長尺積層体が所定の間隔で切断された状態で両面接着テープを介して接着されており、かつ酸素検知剤シートの切断端面が露出している点が開示されているものと認められる。また、上記「長尺の両面接着テープ(B)の片面に剥離紙を取り付け、もう一方の片面にそれよりも巾が若干狭い長尺の酸素検知剤シート(C)を張り付け、その酸素検知剤シート(C)の上をその酸素検知剤シート(C)よりも巾が若干広い長尺の透明フィルム(D)でカバーし、その透明フィルム(D)をその酸素検知剤シート(C)からはみ出ている両面接着テープ(B)の両側の部分に貼り合わせ、このようにして積層体を得る」という記載からみて、引用例には、透明フィルムが酸素検知剤シートの切断端面を除く周辺部で両面接着テープに接着している点が開示されているものと認められる。さらに、図1の記載からみて、引用例には、両面接着テープ、酸素検知剤シート及び透明フィルムからなる部分の平面図として見た横の寸法がそれぞれ脱酸素剤包装袋の表面の平面図として見た横の寸法よりも小さい点が開示されているものと認められる。
してみれば、引用例には、次のような発明(以下「引用例記載の発明」という。)が開示されているものと認められる。
「脱酸素剤包装袋の表面に、両面接着テープ、酸素検知剤シート及び透明フィルムをこの順序で積層してなる長尺積層体が所定の間隔で切断された状態で該両面接着テープを介して接着されており、かつ該酸素検知剤シートの切断端面が露出しており、該透明フィルムが該酸素検知剤シートの該切断端面を除く周辺部で該両面接着テープに接着しており、該両面接着テープ、該酸素検知剤シート及び該透明フィルムからなる部分の平面図として見た横の寸法がそれぞれ該脱酸素剤包装袋の表面の平面図として見た横の寸法よりも小さいことを特徴とする脱酸素用複合包装袋。」

(3)対比
そこで、本願補正発明と引用例記載の発明とを比較すると、両者は、
「脱酸素剤包装袋の表面に、両面接着テープ、酸素検知剤シート及び透明フィルムをこの順序で積層してなる長尺積層体が所定の間隔で切断された状態で該両面接着テープを介して接着されており、かつ該酸素検知剤シートの切断端面が露出しており、該透明フィルムが該酸素検知剤シートの該切断端面を除く周辺部で該両面接着テープに接着しており、該両面接着テープ、該酸素検知剤シート及び該透明フィルムからなる部分の平面図として見た横の寸法がそれぞれ該脱酸素剤包装袋の表面の平面図として見た横の寸法よりも小さい脱酸素用複合包装袋。」
である点で一致し、次の点で相違する。
[相違点]本願補正発明は、両面接着テープ、酸素検知剤シート及び透明フィルムからなる部分の平面図として見た縦の寸法もそれぞれ脱酸素剤包装袋の表面の平面図として見た縦の寸法よりも小さいのに対して、引用例記載発明は、両面接着テープ、酸素検知剤シート及び透明フィルムからなる部分の平面図として見た縦の寸法はそれぞれ脱酸素剤包装袋の表面の平面図として見た縦の寸法と同じである点。

(4)判断
吸収剤包装袋の表面に検知剤シートを配設する吸収剤複合包装袋において、検知剤シートと透明フィルムとからなる部分の縦、横の各寸法をそれぞれ、吸収剤包装袋の縦、横の各寸法よりも小さくすることは、原査定の拒絶の理由に引用された特開平7-17582号公報、同特開昭59-26475号公報に記載されるように従来周知の技術であるものと認められる。さらに、吸収剤として脱酸素剤を用い、検知剤シートとして酸素検知剤シートを用いた脱酸素剤複合包装袋において、酸素検知剤シートと両面接着テープとからなる部分の縦、横の各寸法をそれぞれ、脱酸素剤包装袋の縦、横の各寸法よりも小さくすることも、例えば、実願平2-44626号(実開平4-3980号)のマイクロフィルムに開示されるように、従来周知の技術であるものと認められる。
してみれば、上記周知技術を採用して本願補正発明の構成を得ることは、当業者が容易に想到し得たものというべきである。
そして、本願補正発明の作用効果も、引用例記載の発明および上記周知技術から当業者が予測できる範囲のものと認められる。
よって、本願補正発明は、引用例記載の発明および上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)むすび
以上のとおり、本件補正は、特許法等の一部を改正する法律(平成6年法律第116号)附則第6条第1項の規定によりなお従前の例によるものとされた同法[第1条の規定]による改正前の特許法第17条の2第4項において読み替えて準用する同法第126条第3項の規定に違反するので、特許法第159条第1項において読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。
よって、上記[補正却下の決定の結論]のとおり決定する。

3.本願発明について
平成14年8月7日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1〜4に係る発明は、出願時の特許請求の範囲の請求項1〜4に記載された事項により特定されるとおりのものと認められるところ、請求項1に記載された発明(以下「本願発明」という。)は、以下のとおりのものである。
「脱酸素剤包装袋(A)の表面に両面接着テープ(B)、酸素検知剤シート(C)及び透明フィルム(D)がこの順序で積層されており、該透明フィルム(D)も該酸素検知剤シート(C)の周辺部で該両面接着テープ(B)に接着しており、両面接着テープ(B)、酸素検知剤シート(C)及び透明フィルム(D)からなる部分の平面図として見た縦、横の各寸法がそれぞれ脱酸素剤包装袋(A)の表面の平面図として見た縦、横の各寸法よりも小さいことを特徴とする脱酸素用複合包装袋。」

(1)引用例
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及びその記載事項は、上記2.(2)に記載したとおりである。

(2)対比・判断
本願発明は、上記2.で検討した本願補正発明から、「両面接着テープ(B)」、「酸素検知剤シート(C)」および「透明フィルム(D)」についての限定事項である「この順序で積層してなる長尺積層体が所定の間隔で切断された状態で該両面接着テープ(B)を介して接着されており、かつ該酸素検知剤シート(C)の該切断端面が露出しており、該透明フィルム(D)が該酸素検知剤シート(C)の該切断面を除く周辺部で該両面接着テープ(B)に接着しており」という記載を省き、「この順序で積層されており、該透明フィルム(D)も該酸素検知剤シート(C)の周辺部で該両面接着テープ(B)に接着しており」としたものである。
してみると、本願発明の構成要件をすべて含み、さらに他の構成要件を付加したものに相当する本願補正発明が、上記2.(4)に記載したとおり、引用例及び上記周知技術に基づいて、当業者が容易に発明することができたものと認められるのであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例記載の発明および上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものと認められる。

(3)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例記載の発明および上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明することができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
それゆえ、本願は他の請求項に係る発明について判断するまでもなく拒絶されるべきものである。
よって、上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-10-14 
結審通知日 2004-10-15 
審決日 2004-10-26 
出願番号 特願平7-93939
審決分類 P 1 8・ 575- Z (B65D)
P 1 8・ 121- Z (B65D)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 石田 宏之  
特許庁審判長 松縄 正登
特許庁審判官 中村 則夫
溝渕 良一
発明の名称 脱酸素用複合包装袋  
代理人 山下 穣平  

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ