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審決分類 審判 査定不服 5項独立特許用件 特許、登録しない。 G06F
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G06F
管理番号 1109415
審判番号 不服2002-22266  
総通号数 62 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2002-10-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-11-19 
確定日 2005-01-11 
事件の表示 特願2001-105683「オンライン看護支援装置」拒絶査定に対する審判事件[平成14年10月18日出願公開、特開2002-304468]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続の経緯
本願は、平成13年4月4日の出願であって、平成14年10月18日付で拒絶査定がなされ、これに対し、同年11月19日に拒絶査定に対する審判請求がなされるとともに、同日付で手続補正がなされたものである。

2.平成14年11月19日付の手続補正についての補正却下の決定
[補正却下の決定の結論]
平成14年11月19日付の手続補正を却下する。

[理由]
(1)本願補正発明
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、以下のとおりに補正された。
「情報及び該情報に対応するラベルをサーバーに入力し蓄積する情報蓄積工程、該ラベルをコードとして出力するコード出力工程、該コードを端末から読取るコード読取り工程、及び読取りコードを前記端末から前記サーバーに入力し該読取りコードに対応するラベル及び該ラベルに対応する読出し情報を読出して前記端末に出力する情報読出工程を有する、オンライン看護支援方法をプログラミングした看護支援ソフトであって、
該看護支援ソフトは、患者データ入力工程、アセスメント入力工程、看護計画入力工程、看護指示入力工程、看護履歴入力工程、評価又はサマリー入力工程、及び退院時指導入力工程をタグとしてフロー化した入力画面をスタート画面とし、前記タグをクリックすることにより該タグの詳細入力画面が表示され、
該詳細入力画面において、5W1Hのうちのすくなくとも1種をオペレーションラベルとして注記し、且つ
前記看護指示入力工程における詳細指示入力画面において、5W1Hをオペレーションラベルとして注記する、看護支援ソフト。」
上記補正は、請求項1に記載した発明を特定するために必要な事項である「該詳細入力画面において、5W1Hのうちのすくなくとも1種をオペレーションラベルとして注記する」を「該詳細入力画面において、5W1Hのうちのすくなくとも1種をオペレーションラベルとして注記し、且つ前記看護指示入力工程における詳細指示入力画面において、5W1Hをオペレーションラベルとして注記する」に限定するものであり、特許法第17条の2第4項第2号の特許請求の範囲の減縮を目的とするものに該当する。
そこで、本件補正後の請求項1に記載された発明(以下、「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるか(特許法第17条の2第5項において準用する同法第126条第4項の規定に適合するか)について以下に検討する。
(2)引用例に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された特開平11-282933号公報(以下、「引用例1」という。)には、以下(a)〜(m)の事項が記載されている。
(a)「本発明は…看護婦等が患者もしくは患者家族等より患者情報を収集し、看護診断を行い、問題点を明らかにし、看護計画を立案し、実施の有無とその結果を元に医師(看護婦)と患者の双方が容易に評価を行える看護過程を支援する看護過程支援システム及びその制御方法、コンピュータ可読メモリを提供することを目的とする。」(段落0006〜0007)
(b)「外部記憶装置11に本実施形態で説明される処理を制御するためのプログラムを記憶媒体に記憶しておき、そのプログラムを当該看護過程支援システムに読出して本実施形態で説明される処理を実行することもできる。」(段落0025)
(c)「パーソナル・コンピュータ1は、キーボード5、マウス6、外部記憶装置11からのデータの入力を制御する入力処理部2、…、表示部8、…、本実施形態を実現するために管理されるデータベース(記憶手段)であるマスタファイル群M1〜M17、患者に関する情報ファイル群T1〜T19、本実施形態で実行される各種処理を行う処理部10で構成されている。」(段落0027)
(d)「図3に示す看護過程支援システムの運用の流れに基づいて、上述した処理部10の処理部で実行される処理の詳細及びその具体例について説明する。」(段落0047)
(e)「「入院手続き」入力部10Aは、図4A〜図4Dに示す、一連の表示画面をユーザの入力に応じて表示装置8に表示し、ユーザより入院患者に関する基本情報…を収集する。入力は、キーボード5やマウス6を用いて行い、入力された基本情報は入院患者T01に格納される。」(段落0048)
(f)「上述した入院手続が完了すると、図5に示すような表示画面(入力メニュー)を表示装置8に表示する。…また、領域101は、選択した患者に対して行う看護過程の処理項目群を実行するための各種ボタン(「アセスメント入力」ボタン110、「看護問題の確定」ボタン111、「看護計画の立案」ボタン112、「ケア予定日入力」ボタン113、「ケア実施日入力」ボタン114、「看護サマリー」ボタン115、「ADL入力」ボタン116、「疾患別看護問題」ボタン117、「総合アセスメント」ボタン118、「基本情報照会」ボタン119)が配置されており、ユーザは、処理対象の患者を選択した後、所望のボタンを選択する。」(段落0052〜0053)
(g)「「アセスメント入力」ボタンが選択されると、表示装置8に、図6Aに示す表示画面(アセスメント入力)が表示される。図6Aの領域200では、選択された患者のアセスメントに関する情報として、情報を収集した回数、情報収集日、収集区分、収集病棟、収集者がテーブル形式で表示される。…また、情報収集日を更新するための「情報収集日」ボタン213…が配置されている。」(段落0056〜0057)
(h)「「看護計画の立案」ボタン112あるいは「看護計画の立案」ボタン907が選択されると、表示装置8に図10の表示画面(看護計画の立案)が表示される。」(段落0102)
(i)「「ケア予定日入力」ボタン113あるいは「ケア予定日入力」ボタン1007が選択されると、表示装置8に、図11の表示画面(看護ケア予定日入力)が表示される。」(段落0119)
(j)図11の「看護ケア予定日入力」画面に関し、「領域11-cには、看護介入T12、看護介入パターンM12aにより、「看護計画の立案」入力部10Fで入力された介入項目が表示される。…領域11-cに表示された介入項目に対し、実施する予定日をマウス6を用いて、領域11-dで指定する。」(段落0123〜0124)
(k)「「ケア実施日入力」ボタン114が選択されると、表示装置8に、図12の表示画面(看護ケア実施日入力)が表示される。」(段落0130)
(l)図12の「看護ケア実施日入力」画面に関し、「領域12-cには、看護介入T12、看護介入パターンM12aにより、「看護計画の立案」入力部10Fで入力された介入項目が表示される。…領域12-cに表示された介入項目を実施した場合は、実施した日付をマウス6を用いて、領域12-dで指定する。」(段落0134〜0136)
(m)「「看護サマリー」ボタン115が選択されると、表示装置8に、図13の表示画面(看護サマリー)が表示される。」(段落0141)
上記(b)の「外部記憶装置11に本実施形態で説明される処理を制御するためのプログラムを記憶媒体に記憶しておき、そのプログラムを当該看護過程支援システムに読出して本実施形態で説明される処理を実行することもできる。」の記載からみて、上記(a)〜(m)の記載事項は、記憶媒体に記憶された看護過程支援方法のプログラムに関するものとしても把握できる。
また、情報処理において、情報を記憶手段に記憶し管理するのに、各情報に識別名等の識別子を対応させて記憶し、識別子を指定して識別子と共に読み出すことが慣用手段であるから、上記(c)の「本実施形態を実現するために管理されるデータベース(記憶手段)であるマスタファイル群M1〜M17、患者に関する情報ファイル群T1〜T19」に記憶管理する各データを、識別子を対応させて記憶し、識別子を指定して識別子と共に読み出すことは自明のことである。
また、上記(f)の記載事項に関連して、図5から、「入力メニュー」画面において、「アセスメント入力」と表記されたボタン110、「疾患別看護問題」と表記されたボタン117、「看護問題の確定」と表記されたボタン111、「看護計画の立案」と表記されたボタン112、「ケア予定日入力」と表記されたボタン113、「ケア実施日入力」と表記されたボタン114、「看護サマリー」と表記されたボタン115をフローとして表示していることが看取される。
さらに、上記(g)の記載事項に関連して、図6Aから、「アセスメント入力」画面において、「情報収集日」の文言を入力すべき項目の項目名として表記していることが看取される。
したがって、以上(a)〜(m)の記載事項及び図面の記載から、引用例1には、
データ及び該データに対応する識別子を記憶手段に記憶するデータ記憶工程、パーソナル・コンピュータから識別子を指定して識別子に対応するデータを識別子と共に記憶手段から読み出しパーソナル・コンピュータの表示部に表示するデータ読み出し工程を有する、記憶媒体に記憶された看護過程支援方法のプログラムであって、
該看護過程支援方法のプログラムは、「入力メニュー」画面において、看護過程の各業務を示す「アセスメント入力」、「疾患別看護問題」、「看護問題の確定」、「看護計画の立案」、「ケア予定日入力」、「ケア実施日入力」、「看護サマリー」を表記した各ボタンをフローとして表示し、
ユーザが所望のボタンを選択することにより該ボタンに対応する入力画面が表示され、
「アセストメント入力」を表記したボタンに対応する入力画面である「アセストメント入力」画面において、「情報収集日」の文言を入力すべき項目の項目名として表記する、記憶媒体に記憶された看護過程支援方法のプログラム(以下、「引用例1に記載された発明」という。)
が記載されていると認められる。
同じく引用された登録実用新案第3068772号公報(平成12年5月16日発行。以下、「引用例2」という。)には、以下(p)〜(s)の事項が記載されている。
(p)「本考案は…パソコンやワープロによる入力操作に不慣れな介護ヘルパーでも遠隔地から容易に短時間で業務内容を報告することができるので、介護ヘルパーの負担を軽減することができる…介護業務情報の遠隔一元管理システムを提供することを目的とする。」(段落0004)
(q)「上述した課題を解決するために構成された本考案の手段は、介護業務情報に対応するバーコードを直接又は間接に読み取り可能な構成からなり、各介護ヘルパーが所持する業務記載シートと、前記バーコードを読み取るために前記各介護ヘルパーが携帯するバーコード読取り機と、該バーコード読取り機に接続され、読取り信号をデジタル信号に変換して送信する携帯通信端末器と、該携帯通信端末器から送信される読取り信号を受信して各介護ヘルパー毎の介護業務データを管理し、かつ可視情報の形で再生するパーソナルコンピュータとからなる。」(段落0005)
(r)「介護業務が終了したら、介護ヘルパーは自己のID1Aと要介護者のID1Bのバーコード2A、2B及び業務記載シート1に記載してある各種介護項目の内、当日提供した介護業務のバーコード2をバーコード読取り器3で読取り、携帯通信端末器4により中央管理装置6に送信する。」(段落0014)
(s)「中央管理装置6では、複数の介護ヘルパーから送信されてくる各々の介護情報信号をパソコン8に取り込み、各種の演算処理を行なって介護ヘルパー毎の稼働時間、稼働内容、稼働日数等を常時把握することにより、稼働日時、月次の売上げ、稼働率等を介護ヘルパー全員について集計を行なうことかできる。また、モニターやプリンター9により可視情報の形で出力することができる。」(段落0015)
図1から、上記(r)の「介護ヘルパー…のID1A…のバーコード2A」も業務記載シート1に記載してあることが看取され、業務記載シート1に介護ヘルパーのIDのバーコードを予め印刷しておくことは明らかである。
また、上記(r)の「介護ヘルパーの…ID」は、各介護ヘルパーを中央管理装置が識別する識別子としての機能を有している。
さらに、上記(s)の「中央管理装置」は、情報を「モニターやプリンター9により可視情報の形で出力することができる。」のであるから、情報を蓄積することは明らかである。
したがって、以上(p)〜(s)の記載事項及び図面の記載から、引用例2には、
情報管理(介護業務情報の管理)において、端末の入力操作に不慣れな者(介護ヘルパー)でも容易に識別子(介護ヘルパーのID)を端末から情報を蓄積する管理装置に通知できるように、識別子(介護ヘルパーのID)のバーコードをシート(業務記載シート)に予め印刷しておき、該バーコードをバーコード読取り機から読み取って、該バーコードをデジタル信号に変換して端末から情報を蓄積する管理装置に送信し、バーコードに対応する識別子(介護ヘルパーのID)を情報を蓄積する管理装置に知らしめること
が記載されていると認められる。

(3)本願補正発明と引用例に記載された発明との対比
そこで、本願補正発明と引用例1に記載された発明とを対比すると、
(イ)後者の「データ」、「識別子」は、前者の「情報」、「ラベル」にそれぞれ相当し、
(ロ)後者の「記憶手段」は、前者の「サーバー」と、情報を蓄積する手段(以下、「情報蓄積手段」という。)である点で共通し、
(ハ)後者の「データ記憶工程」は、前者の「情報蓄積工程」に相当し、
(ニ)本願明細書の発明の詳細な説明は、「端末」について、「本発明の装置に用いられる端末は、サーバーと有線又は無線で接続可能ないかなる端末も用いることができる。例えば、種々の形態のパソコン、即ちデスクトップ型、ノート型又はパームトップ型パーソナルコンピュータ…などを挙げることができるが、これらに限定されない。」(段落0040)と説明しており、後者の「パーソナル・コンピュータ」は、前者の「端末」と、パーソナルコンピュータである点で共通し、
(ホ)後者の「看護過程支援方法のプログラム」は、前者の「オンライン看護支援方法をプログラミングした看護支援ソフト」と、看護支援方法をプログラミングした看護支援ソフトである点で共通し、
(ヘ)後者の「アセスメント入力」、「看護計画の立案」は、前者の「アセスメント入力工程」、「看護計画入力工程」にそれぞれ相当し、
(ト)後者の「ケア予定日入力」は、上記2.(2)(j)摘記のように、各看護介入項目に対し実施する予定日を入力するのであるから、前者の「看護指示入力」に相当し、
(チ)後者の「ケア実施日入力」は、上記2.(2)(l)摘記のように、各看護介入項目に対し実施した場合に実施した日を入力するのであるから、前者の「看護履歴入力」に相当し、
(リ)後者の「看護サマリー」は、前者の「評価又はサマリー入力工程」に相当し、
(ヌ)後者の「ボタン」は、看護過程の各業務を示す文言を表記しているのであるから、前者の「タグ」に相当し、
(ル)後者の「ボタンを選択する」、「ボタンに対応する入力画面」は、前者の「タグをクリックする」、「タグの詳細入力画面」にそれぞれ相当し、
(ヲ)後者の「情報収集日」は5W1Hの1種(いつ)であるから、後者の「「情報収集日」の文言を入力すべき項目の項目名として表記する」は、前者の「5W1Hのうちのすくなくとも1種をオペレーションラベルとして注記し」に相当している。
したがって、両者は、「情報及び該情報に対応するラベルを情報蓄積手段に入力し蓄積する情報蓄積工程、ラベル及び該ラベルに対応する読出し情報を前記情報蓄積手段から読出してパーソナルコンピュータに出力する情報読出工程を有する、看護支援方法をプログラミングした看護支援ソフトであって、該看護支援ソフトは、少なくとも、アセスメント入力工程、看護計画入力工程、看護指示入力工程、看護履歴入力工程、評価又はサマリー入力工程をタグとしてフロー化した入力画面において、前記タグをクリックすることにより該タグの詳細入力画面が表示され、該詳細入力画面において、5W1Hのうちのすくなくとも1種をオペレーションラベルとして注記する看護支援ソフト。」である点で一致し、以下の点で相違している。
[相違点1]
前者は、情報蓄積手段がサーバーであり、パーソナルコンピュータが端末であり、オンラインで接続しているクライアントサーバーシステムであるのに対して、後者は、クライアントサーバーシステムを用いることは記載していない点。
[相違点2]
前者が、ラベル及び該ラベルに対応する読出し情報を情報蓄積手段から読出してパーソナルコンピュータに出力するのに、情報に対応するラベルをコードとして出力するコード出力工程、該コードをパーソナルコンピュータから読取るコード読取り工程を有し、読取りコードをパーソナルコンピュータ(端末)から情報蓄積手段(サーバー)に入力して該読取りコードに対応するラベル及び前記読出し情報を読出しているのに対して、後者は、コードを用いずにラベルを指定している点。
[相違点3]
前者は、各入力工程をタグとしてフロー化した入力画面が、スタート画面であるのに対して、後者は、入力メニュー画面ではあるがスタート画面ではない点。
[相違点4]
前者が、入力画面において、患者データ入力工程、アセスメント入力工程、看護計画入力工程、看護指示入力工程、看護履歴入力工程、評価又はサマリー入力工程、及び退院時指導入力工程をタグとしてフロー化しているのに対して、後者は、アセスメント入力工程、「疾患別看護問題」、「看護問題の確定」、看護計画入力工程、看護指示入力工程、看護履歴入力工程、評価又はサマリー入力工程をタグとしてフロー化しており、「疾患別看護問題」、「看護問題の確定」をフローに含む一方で患者データ入力工程、退院時指導入力工程をフローに欠いている点。
[相違点5]
前者が、看護指示入力工程における詳細指示入力画面において、5W1Hをオペレーションラベルとして注記するのに対して、後者は、5W1Hをオペレーションラベルとして注記することは記載していない点。

(4)容易性の判断
[相違点1]について検討する。
情報処理において、情報蓄積にクライアントサーバーシステムを用いることが周知であるから、後者において、情報蓄積手段としてサーバーを用い、パーソナルコンピュータを端末とし、オンラインで接続することは、当業者が必要に応じて適宜になし得たことである。
[相違点2]について検討する。
引用例2に、情報管理において、端末の入力操作に不慣れな者でも容易に識別子を端末から情報を蓄積する管理装置に通知できるように、識別子のバーコードをシートに予め印刷しておき、該バーコードをバーコード読取り機から読み取って、該バーコードをデジタル信号に変換して端末から情報を蓄積する管理装置に送信し、バーコードに対応する識別子を情報を蓄積する管理装置に知らしめることが記載されているから、後者において、ラベル及び該ラベルに対応する読出し情報を情報蓄積手段から読出してパーソナルコンピュータに出力するのに、情報に対応するラベルをコードとして出力するコード出力工程、該コードをパーソナルコンピュータから読取るコード読取り工程を設け、読取りコードをパーソナルコンピュータから情報蓄積手段に入力してラベル及び該ラベルに対応する読出し情報を情報蓄積手段から読出すことは、当業者が容易になし得たことである。
[相違点3]について検討する。
情報処理において、処理メニューの提示を最初に行うことが周知であるから、後者において、入力メニュー画面をスタート画面とすることは、当業者が格別に思考することなくなし得たことである。
[相違点4]について検討する。
看護計画の立案のために行う看護問題に関する業務は看護計画に関する業務の一部として捉えることもでき、患者データの収集及び退院時指導を看護業務の一環として捉えることもでき、どのような看護業務を看護支援の対象とするかは当業者が適宜に選択し得ることであるから、後者において、看護問題に関する業務を看護計画に関する業務に組み込んで、「疾患別看護問題」、「看護問題の確定」をフローから除き、患者データの収集及び退院時指導も一連の看護支援の対象として、患者データ入力工程のタグをフローの前に加え、退院時指導入力工程をタグとしてフローの後に加えることは、当業者が容易になし得たことである。
[相違点5]について検討する。
業務管理において、仕事の進め方として5W1Hを決めておくことが周知であり(例えば特開平10-240813号公報(段落0012、0021)参照。)、看護業務においても、該周知の技術手段を適用し仕事の進め方として5W1Hを決めておくことは当業者が当然に考えることであるから、後者において、看護業務の仕事の進め方として5W1Hを設定しておくようにし、看護指示入力工程における詳細指示入力画面において、5W1Hをオペレーションラベルとして注記することは、当業者が容易に推考し得たことである。
そして、本願補正発明の作用効果も、引用例1、2に記載された発明及び周知の技術手段から当業者が予測できる範囲のものである。
したがって、本願補正発明は、引用例1、2に記載された発明及び周知の技術手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。

(5)補正の可否
以上のとおり、本件補正は、特許法第17条の2第5項で準用する同法第126条第4項の規定に違反するものであるから、同法第159条第1項で準用する同法53条1項の規定により却下されるべきものである。

3.本願発明について
(1)本願発明
平成14年11月19日付の手続補正は上記のとおり却下されたので、本願の請求項1に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、平成13年9月12日付の手続補正書の特許請求の範囲の請求項1に記載された事項により特定される、以下のとおりのものである。
「情報及び該情報に対応するラベルをサーバーに入力し蓄積する情報蓄積工程、該ラベルをコードとして出力するコード出力工程、該コードを端末から読取るコード読取り工程、及び読取りコードを前記端末から前記サーバーに入力し該読取りコードに対応するラベル及び該ラベルに対応する読出し情報を読出して前記端末に出力する情報読出工程を有する、オンライン看護支援方法をプログラミングした看護支援ソフトであって、
該看護支援ソフトは、患者データ入力工程、アセスメント入力工程、看護計画入力工程、看護指示入力工程、看護履歴入力工程、評価又はサマリー入力工程、及び退院時指導入力工程をタグとしてフロー化した入力画面をスタート画面とし、前記タグをクリックすることにより該タグの詳細入力画面が表示され、
該詳細入力画面において、5W1Hのうちのすくなくとも1種をオペレーションラベルとして注記する、看護支援ソフト。」

(2)引用例に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された引用例及び該引用例に記載された発明は、上記2.(2)に記載したとおりである。

(3)対比・判断
上記2.で検討した本願補正発明は、本願発明の「該詳細入力画面において、5W1Hのうちのすくなくとも1種をオペレーションラベルとして注記する」を「該詳細入力画面において、5W1Hのうちのすくなくとも1種をオペレーションラベルとして注記し、且つ前記看護指示入力工程における詳細指示入力画面において、5W1Hをオペレーションラベルとして注記する」に限定したものである。
そうすると、本願発明の構成を全て含み限定した本願補正発明が、上記2.(4)に記載したとおり、引用例1、2に記載された発明及び周知の技術手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、引用例1、2に記載された発明及び周知の技術手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものである。

(4)むすび
以上のとおり、本願発明は、引用例1、2に記載された発明及び周知の技術手段に基いて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2003-04-24 
結審通知日 2003-04-30 
審決日 2003-05-14 
出願番号 特願2001-105683(P2001-105683)
審決分類 P 1 8・ 575- Z (G06F)
P 1 8・ 121- Z (G06F)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 松田 直也  
特許庁審判長 佐藤 荘助
特許庁審判官 山本 穂積
久保田 健
発明の名称 オンライン看護支援装置  
代理人 井波 実  

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