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審決分類 |
審判 全部申し立て 1項3号刊行物記載 C12P |
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管理番号 | 1109594 |
異議申立番号 | 異議1999-72001 |
総通号数 | 62 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許決定公報 |
発行日 | 1992-05-07 |
種別 | 異議の決定 |
異議申立日 | 1999-05-21 |
確定日 | 2000-03-24 |
分離された異議申立 | 有 |
異議申立件数 | 3 |
事件の表示 | 特許第2828340号「IL―2レセプターのp55 Tacタンパク質に特異的なキメラ免疫グロブリン」の請求項1ないし29に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 |
結論 | 特許第2828340号の請求項1〜29に係る特許を取り消す。 |
理由 |
〔1〕手続の経緯: 本件特許2828340号は、平成元年(1989年)12月28日に国際出願されたPCT/US89/05857(特願平2-503677号、優先権主張:1988年12月28日、1989年2月13日、米国)の特許出願に係り、平成10年9月18日に特許権が設定され、中外製薬株式会社、財団法人化学及血清療法研究所およびセルテク セラピューティクス リミティドから特許異議の申立てがなされた後、中外製薬株式会社は平成12年3月22日付で異議申立を取り下げた。その後、当審において平成13年3月8日付で取消理由が通知されたところ、意見書と共に明細書の訂正請求がなされたものである。当該訂正請求に対しては平成13年11月14日付で訂正拒絶理由が通知され、平成14年5月27日付で意見書が提出された。 〔2〕訂正の請求について: 本件訂正の要旨は、特許請求の範囲の減縮を目的として請求項1〜17および29を削除すると共に、あわせて明りょうでない記載の釈明を目的として、他の請求項をくり上げて新たな請求項1〜11とし、かつ新たな請求項中で引用する請求項を新請求項に訂正することを求めるものである。 上記訂正は請求項1を削除することを含むので、訂正前の請求項1のみに記載された「相補性決定領域(CDR)」に関する通常のCDRの概念を越える特別な定義(この点については〔3〕で述べる。)が削除されることになる。 ところで、当該「CDR」に関する定義は、訂正前の特許請求の範囲の第1番目の請求項に設けられたことからみても、訂正前の請求項1のみならず、他の請求項中で用いられる「CDR」の用語の概念を決定する定義でもあったことは明らかであるから、上記訂正は、新たな各請求項に記載される「CDR」の概念を、特別に定義されたものから、通常用いられる「CDR」本来の意味に戻すものであるといえる。 してみれば、上記訂正は特許請求の範囲の減縮に相当するものであるとしても、訂正後の請求項1〜11に係る発明における必須の構成である「CDR」の用語の概念を変更するものであるから、結果として特許請求の範囲を実質的に変更するものであると認めざるを得ない。 そして上記認定は、平成14年5月27日付の意見書で述べられた本件特許権者側の事情および本件特許権設定に至る経緯を参酌しても左右されるものではない。 したがって、本件訂正請求は、特許法第120条の4第3項で準用する第126条第3項に規定する要件を満たしていないため、当該訂正は認められない。 〔3〕特許異議の申し立てについて: 本件請求項1〜29に係る発明は、前記訂正が認められないので、特許明細書の請求項1〜29に記載された事項により特定されたとおりのものである。 請求項1において、「相補性決定領域(CDR)」という用語に関し、「Kabatら(“Sequences of Proteins of Immunological Interest”,Kabat,E.ら、U.S.Depertment of Health and Human Services,(1983))ならびにChothiaら(Chothia およびLesk,J.Mol.Biol.,196:901-917(1987))により定義される相補性決定領域(CDR)」という定義を特に設けているが、当該定義は本願出願当初の明細書には記載されておらず、平成7年12月25日付けで提出された手続補正書によりはじめてその請求項1に追加された定義である。 そして、当該追加された定義に従うと、「CDR」に相当するアミノ酸配列としては、当業者が通常CDRとして理解するKabatらの文献で定義されるところの本来のCDR配列(「KabatのCDR配列」)のみならず、Chothiaらの文献に記載される、通常「Loop配列」と呼ばれる配列(「ChothiaのLoop配列」)までも包含することとなる。 「CDR」に関する本件出願当初明細書を詳細に検討しても、明細書中で用いられる「CDR」の用語の概念として、通常の「CDR」本来の意味を越えて「ChothiaのLoop配列」までも包含させるということは記載されておらず、かつ当該明細書の記載から自明であったということもできない。 以上のことから、当審で通知した前記取消理由において認定したとおり、当該定義を追加した平成7年12月25日付の手続補正は本件出願当初の明細書の要旨を変更するものであると認められるから、本件特許は、特許法第40条の規定により平成7年12月25日に出願されたものとみなされる。 しかして、本件特許に係る請求項1〜29に記載された発明は、一部変更されたとはいえ当然に出願当初明細書に記載された発明を包含するものであるから、前記取消理由で示した通り、本件特許公表公報である先の刊行物1、または本件出願の同一発明者によるほぼ同一内容の論文が掲載されている先の刊行物2に記載された発明である。 したがって、本件請求項1〜29に係る発明についての特許は、特許法第29条第1項第3号の規定に違反してされたものである。 記 刊行物1: 特表平4‐502408号公報(本件特許公表公報) 刊行物2: Proc.Natl.Acad.Sci.USA,86:10029-10033(1989) 〔4〕結語: 以上のとおりであるから、本件請求項1〜29に係る発明についての特許は、特許法第113条第2号の規定に該当し取り消されるべきものである。 よって、結論のとおり決定する。 |
異議決定日 | 2002-06-07 |
出願番号 | 特願平2-503677 |
審決分類 |
P
1
651・
113-
ZB
(C12P)
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最終処分 | 取消 |
前審関与審査官 | 小暮 道明 |
特許庁審判長 |
徳廣 正道 |
特許庁審判官 |
佐伯 裕子 大久保 元浩 |
登録日 | 1998-09-18 |
登録番号 | 特許第2828340号(P2828340) |
権利者 | プロテイン デザイン ラブス,インコーポレイティド |
発明の名称 | IL―2レセプターのp55 Tacタンパク質に特異的なキメラ免疫グロブリン |
代理人 | 草野 浩一 |
代理人 | 田村 恭生 |
代理人 | 山本 秀策 |
代理人 | 青山 葆 |