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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B
管理番号 1112385
審判番号 不服2001-23178  
総通号数 64 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-01-26 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2001-12-26 
確定日 2005-03-09 
事件の表示 特願2000-166128「番組表示装置および番組表示方法」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 1月26日出願公開、特開2001- 23265〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由
1.手続の経緯
本件審判請求に係る出願(以下、「本願」という。)は、昭和63年6月6日に出願した特願昭63-138679号の分割出願である特願平10-58567号をさらに分割出願した特願平11-108025号をさらに分割出願して特願2000-166128号(平成12年6月2日出願。)としたものである。そして、分割出願後、平成13年10月25日付け、平成13年12月26日付けの手続補正により明細書が補正され、拒絶査定に対する審判において、上記各手続補正は、本願の願書に最初に添付された明細書及び図面の要旨を変更するものであるとして補正の却下の決定がなされ、該決定に対し、東京高等裁判所において決定取消の判決(平成14年(行ケ)第410号(平成15年9月29日判決言渡し)、及び、平成14年(行ケ)第411号(平成15年9月29日判決言渡し))があったものである。

2.本願発明
本願の請求項1〜10に係る発明は、平成13年12月26日付けの手続補正で補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜10に記載されたとおりの「番組表示装置」乃至「番組表示方法」であると認められるところ、その請求項6に係る発明(以下、「本願発明」という。)は、次のとおりのものである。

「少なくともテレビの各番組とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部からRAMに一旦取り込み、
該RAMに取り込まれた上記情報から当該番組表示方法に係る装置の電源が投入された日の複数チャンネルのテレビ放送の番組を取り出して縦もしくは横の内の1方向に並べて表示し、
上記RAMに取り込まれた上記情報中の当該番組表示方法に係る装置の電源が投入された日の同一チャンネルの番組を、その放送順に、上記1方向と垂直な方向に並べて表示し、
表示された上記情報から所望の番組が表示された表示箇所が選択されると、
上記選択された表示箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から読み出して出力し、
上記選択された表示箇所に対応する番組の開始時刻を上記情報から読み出して出力する
ことを特徴とする番組表示方法。」

3.引用例の記載事項
原査定の拒絶の理由で引用された特開昭60-29957号公報(以下、「引用例」という。)は、録画手続を容易に設定することのできる磁気記録再生装置に関するもので、図面とともに次の技術事項が記載されている。
(i)「発明の目的
本発明は、・・・タイマー予約等に代表されるような録画手続きを容易に設定する事のできる磁気記録再生装置を提供することを目的とする。」(第3頁右上欄第16〜20行)
(ii)「実施例の説明
以下、本発明の一実施例について、図面に基づいて説明する。
・・・(中略)・・・
第23図は全体のブロック図で、23は中央制御装置(以下CPUと記す)であり、このCPU23により、カード読取り装置24、ディスプレイに表示する表示手段25、カーソル移動手段26、読み出し手段27、記憶装置28、タイマー29、及び制御部30が制御されており、制御部30には、選局部31及び磁気記録部(図示せず)が接続されている。前記表示手段25は、カード読取り装置24により再生されたディスプレイ画面すなわちモニターTV12上に記憶すべき手続きを表示し、前記カーソル移動手段26は、前記ディスプレイ画面上に自由にカーソルを移動させ、前記読み出し手段27は、前記ディスプレイ画面上のカーソルにより認識された記憶すべき手続きのみを読み出し、前記記憶装置28は、前記読み出し手段27により読み出された記憶すべき手続きを記憶し、前記タイマー29は、前記記憶装置28に記憶された記憶すべき手続きに沿って所定日時に記憶すべき手続きを読み出し、前記制御部30は、前記所定日時に磁気記録再生装置本体11を作動させるものである。」(第3頁左下欄第16行〜第4頁右上欄第2行)
(iii)「次に動作を説明する。タイマー記録をしようとする場合、先ず磁気記録再生装置本体11のタイマー録画のための操作部の蓋11cを開き、カード挿入口13に記録カード22を挿入する。この記録カード22には、1箇月間のこの地域で視聴可能なTV放送番組が記録されている。記録カード22を挿入した後、表示ボタン14を押すと、第21図のように、モニターTV12の画面上に記録カード22の内容の第1頁目が表れる。ここでP1は第1頁目が表示されている事を表しており、次の行からTV番組の情報が並んでいる(3行目よりもあとは省略している)。P1の次の行について、左から、日、時、番組タイトル、選局番号となっている。第21図において、Pの下にあるのがカーソルである。次にカーソルボタン17を押すと、1回押すごとにカーソルが下降してくる。例えば、5月5日の7:00〜7:20にある1chのニュースをタイマー録画設定する場合を考えてみると、カーソルを動かして第22図の如く所定の行の左端へカーソルを位置させる。そして次に認識ボタン15を押すと、第23図のようにこの行の右端に*(アスタリスク)のマークが表われ、タイマー録画が設定される。なお、これを解除する場合は、解除すべき行の左端にカーソルを位置させて、削除ボタンを押す。これにより*のマークが消え、タイマー録画設定が解除される。タイマー録画が設定されると、その情報は磁気記録再生装置本体11の記憶装置28に記憶され、所定日時にタイマー29によって、この記憶が読み出され、制御部30によって、所定日時、所定放送局の番組を所定時間録画作動する。
なお、上記実施例においては、記録媒体として記録カード22を用いた例について説明したが、例えば印刷物の上をバーコードリーダのようなもので記録データを取り込む等、記録媒体及びその情報の取り込み方法については種々の方式を採用できることは勿論である。」(第4頁右上欄第3行〜同頁左下欄第18行)
(iv)「発明の効果
以上説明したように本発明によれば、記録カードに記録された、例えば番組表を、モニターTV上に表示し、それを画面上のカーソルによって認識させ、それによりその情報を磁気記録再生装置内の記憶装置に記憶し、その記憶内容に連動して内蔵タイマー及び選局部が作動するようにしたので、ごく簡単な操作により、いわゆるタイマー予約等に代表されるような録画手続きを容易に設定し得る。」(第4頁右下欄第14行〜第5頁左上欄第3行)

ここで、上記記載事項(iii)と併せて第21図〜第23図をみると、記録カード22には、少なくともテレビの各番組とその開始時刻とその終了時刻と選局番号とを含む情報が記録されていることは明らかである。

したがって、上記記載事項及び図面の記載を総合勘案して整理すると、引用例には、結局次の発明が記載されているものと認める。

少なくともテレビの各番組とその開始時刻とその選局番号とを含む情報を、記録カード22等から取り込み、
上記情報からテレビ放送の番組を取り出して表示し、
同一選局番号(第21〜23図においては、1ch)の番組をその放送順に、画面上で縦の方向に並べて表示し、
表示された上記情報から所望の番組が表示された行の左端にカーソルを位置させ次いで認識ボタン15が押されると、
上記カーソルを位置させた行に対応する所望の番組の日時、選局番号の情報は磁気記録再生装置本体11の記憶装置28に記憶され、所定日時にタイマー29によって、この記憶が読み出され、所定日時、所定放送局の番組を所定時間録画作動する
番組表示録画方法。

4.対 比
本願発明と引用例に記載された発明とを対比する。引用例に記載された発明における「選局番号」は、本願発明における「放映チャンネル」のことである。引用例に記載された発明は、テレビの放送番組が記録された記録カード等つまり「外部」からテレビの番組情報を取り込むものである。引用例に記載された発明における「所望の番組が表示された行の左端にカーソルを位置させ次いで認識ボタン15が押される」ことは、本願発明における「所望の番組が表示された表示箇所が選択される」ことに相当する。また、引用例に記載された発明においては、「上記カーソルを位置させた行(選択された表示箇所)に対応する所望の番組の日時、選局番号(チャンネル)の情報は磁気記録再生装置本体11の記憶装置28に記憶され」るものであり、このとき、上記「所望の番組の日時(開始時刻を含む)、選局番号(チャンネル)の情報」を読み出し出力することになることは明らかであり、その意味で本願発明における「上記選択された表示箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から読み出して出力し、上記選択された表示箇所に対応する番組の開始時刻を読み出して出力する」ことに相当するといえる。
そうすると、本願発明と引用例に記載された発明とは、次の点で一致する。
<一致点>
少なくともテレビの各番組とその開始時刻とその放映チャンネルとを含む情報を、外部から取り込み、
取り込まれた上記情報からテレビ放送の番組を取り出して表示し、
上記情報中の同一チャンネルの番組を、その放送順に、縦の方向に並べて表示し、
表示された上記情報から所望の番組が表示された表示箇所が選択されると、
上記選択された表示箇所に対応する番組のチャンネルを上記情報から読み出して出力し、
上記選択された表示箇所に対応する番組の開始時刻を上記情報から読み出して出力する
番組表示方法。
そして、次の各点で相違する。
<相違点>
(a) テレビ番組情報の取り込みに関し、本願発明においては、外部からのテレビ番組情報はRAMに一旦取り込むものであるのに対し、引用例に記載された発明においては、このことについて特に示されていない点(以下、「相違点a」という。)。
(b) 表示されるテレビ放送の番組内容に関し、本願発明においては、装置の電源が投入された日の番組であるのに対し、引用例に記載された発明においては、このことについて特に示されていない点(以下、「相違点b」という。)。
(c) テレビ放送の番組の表示形態に関し、本願発明においては、複数チャンネルのテレビ番組を縦もしくは横の1方向に並べ、かつ同一チャンネルの番組を上記1方向と垂直な方向に並べて表示するものであるのに対し、引用例に記載された発明においては、同一チャンネルの番組を画面上で縦方向に並べて表示するものである点(以下、「相違点c」という。)。

5.当審の判断
そこで、上記各相違点について検討する。
相違点aについて:
引用例に記載された発明は、テレビの放送番組情報が記録された記録カード等から(外部から)テレビの放送番組情報を取り込み、画面上に表示するものである(なお、テレビ番組情報を外部より取り込み画面上に表示すること自体は、この他にも、特開昭60-29958号公報、特開昭49-135513号公報、及び、特開昭61-113379号公報にもみられるように本願出願前に周知の技術である。)。また、テレビの放送番組とその開始時刻等の番組情報を内部のメモリに取り込み記憶しておき、該メモリから番組情報を読み出して画面上に表示することは本願出願前に周知の技術である〔必要があれば、特開昭61-227486号公報、特開昭62-60377号公報(特に、第2頁右下欄の記載、及び第1、3図等。)を参照。〕から、引用例に記載された発明においても、外部からのテレビの番組情報を、上記周知技術のように一旦内部のメモリに取り込み、該メモリから番組情報を読み出し画面上に表示するように構成することは、当業者が容易に想到できたものである。また、メモリとして周知の書込み読み出し可能なRAMを用いることは適宜なし得た事項である。
相違点bについて:
引用例に記載された発明において、テレビ番組の録画予約の目的で番組を表示させる場合、表示させる番組データは、電源を投入した日またはそれより後の日のデータが重要であり、それより以前のデータは通常余り意味がないことは明らかである。また、主電源をオン(投入)することによってスケジュール画像の表示ステップとし、テレビ画面上に当日のスケジュールを表示させること、すなわち電源をオン(投入)することにより電源がオン(投入)された日の必要なスケジュール情報を画面表示することは本願出願前に周知の技術である〔必要があれば、特開昭61-74475号公報(特に、第3頁右下欄〜第4頁左上欄、第6頁左上欄の記載、第2図の表示ステップi、第3図F、G等)、及び、特開昭61-74476号公報(特に、第4頁左上欄〜同頁右上欄の記載、第2図の表示ステップi、第3図F、G等)を参照。〕から、引用例1に記載された発明においても、テレビ番組を画面上に表示しようとする際、電源がオン(投入)された日のテレビのスケジュール情報であるテレビ番組情報を取り出して画面表示することは当業者が容易に想到できたものである。
相違点cについて:
引用例に記載された発明は、テレビの番組内容を同一チャンネルの番組内容を放送順に縦方向に画面に並べて表示するものである(第21図〜第23図を参照。)が、一般には、むしろ、テレビ番組内容を放映チャンネル毎に時刻情報とともに放送順に並べて表形式で表示するのが普通である〔新聞、雑誌等のテレビ番組欄を想起されたい。また、特開昭49-135513号公報、特開昭61-113379号公報(特に、第4図を参照。このような番組表を画面上に表示して所望の番組を(予約)設定するものである。)、及び、実願昭56-56229号(実開昭57-170166号公報)のマイクロフィルムを参照。〕から、引用例に記載された発明においても、上記周知のもののように、テレビ番組内容を放映チャンネル毎に時刻情報とともに放送順に並べて表形式で画面上に表示することは、当業者が必要に応じて容易に想到できたものである。

そして、本願発明の奏する効果も、引用例及び上記周知技術から当業者が十分に予測できたものであって、格別のものとはいえない。

なお、請求人は、平成14年4月25日付けの上申書において、審査官が拒絶査定の謄本の備考欄で、補正前の請求項1及び請求項6は拒絶の理由が解消していないと指摘したことに対応して、当該請求項1及び請求項6を削除し他の請求項を残す手続補正をしたにも拘わらず、審査前置解除通知がなされたのは誤りであり、審査前置の段階で特許査定できない新たな拒絶の理由を発見した場合には、特許法第163条第2項の規定により新たに拒絶理由を通知すべきである旨、主張する。
しかし、補正後の請求項6に係る発明(本願発明)が、特許法第29条第2項の規定に該当し進歩性を備えるものではないものであることは上記したとおりであるところ、その根拠となる、特開昭60-29957号公報(本件審決の引用例)は、本件の審査手続きにおける拒絶理由通知(平成13年8月20日付け)において引用されたものである。
したがって、上記補正後の請求項6に係る発明に対しては、審査手続きにおいて提示された拒絶理由が該当するものであるから、請求人の上記主張は採用の限りではない。
なお、審査においてされた拒絶理由通知が拒絶査定に対する審判においてもなお効力を有することは、特許法第158条に規定されるとおりである。

6.むすび
以上のとおりであって、本願の請求項6に係る発明は、引用例に記載された発明及び上記周知技術に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものと認められるので、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。
したがって、本願は、その余の請求項について論及するまでもなく、拒絶すべきものである。

よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-04-20 
結審通知日 2004-04-27 
審決日 2004-05-12 
出願番号 特願2000-166128(P2000-166128)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G11B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 竹中 辰利小林 大介  
特許庁審判長 片岡 栄一
特許庁審判官 江畠 博
山田 洋一
発明の名称 番組表示装置および番組表示方法  
代理人 足立 勉  

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