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審決分類 審判 査定不服 発明同一 特許、登録しない。 H04N
管理番号 1115858
審判番号 不服2003-11568  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1994-02-18 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2003-06-23 
確定日 2005-04-15 
事件の表示 平成 5年特許願第 92374号「テレビジョン信号受信システム」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 2月18日出願公開、特開平 6- 46386]について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 1.手続きの経緯、本願発明
本願は、平成5年3月25日(パリ条約による優先権主張1992年3月26日、米国)の出願であって、その特許請求の範囲の請求項1に係る発明は、平成12年3月17日付け、及び平成14年3月26日付けの各手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、請求項1に記載された次のとおりのものと認めることができる。
「中央画像領域を表す画像情報と、上下のバー領域に含まれ、所要の表示走査フォーマットで画像を組み立てるのを助ける補助情報とを有するテレビジョン信号を受信するシステムであって、
上記画像情報を処理するための画像情報路と、
上記補助情報を処理するための補助情報路と、
上記画像情報路と補助情報路からの各出力信号を合成して出力信号を生成する手段と、
ビデオ信号処理手段と、
上記画像情報から動きを表す制御信号を取り出す手段と、
上記取り出された制御信号に応答して、上記ビデオ信号処理手段に(a)画像に動きがある場合は上記合成手段からの上記出力信号を供給し、(b)画像に動きがない場合は繰り返された画像情報を供給する手段と、
を有し、
上記システムのノイズ不感性を増強するために、上記制御信号は、高周波数画像情報を実質的に含まない低周波数画像情報から取り出されるものである、
テレビジョン信号受信システム。」

2.先願発明
これに対して、原査定の拒絶理由で挙げる特願平3-8917号(特開平4-252688号)の出願当初の明細書又は図面には、名称を「走査変換回路」とする発明であって、「受像機側での走査変換のための補強情報を送信側より伝送するテレビジョン方式における受像機側処理回路において、静止画時には、補強信号を用いない走査変換を行い、動画時には、補強信号を用いた走査変換を行う」ようにしたものが記載され(請求項1)、また、同発明(以下,「先願発明」という。)について、上記明細書(以下,「先願明細書」という。)又は図面には、
(イ)上記先願発明の走査変換回路は、より具体的には、静止画時と動画時とで走査変換のための処理を切り替え、静止画時には、走査線の補間に補強信号を使わずに、補間信号(A+B)/2〔図1(a)に示される前後フィールドの対応走査線A,Bの平均値信号〕による補間を行い、動画時には、補強信号Yを使い、Y+(C+D)/2〔図1(b)に示されるフィールド内隣接走査線C,Dの平均値信号〕により補間信号(補間走査線信号)を得るようにしたものであって、その一実施例(図4)では、上記動画時の補間信号Y+(C+D)/2を得るために、(C+D)/2に補強信号Y(263H遅延器109で遅延調整されている)を加算する加算器110が設けられ、また、動き情報としてフレーム間差信号を求める減算器111を設け、その出力を2値化器112によって2値化して切り替え器制御信号を得、この切り替え器制御信号により、フレーム間補間信号(上記静止画時の補間信号)と補強信号による補間信号(上記動画時の補間信号である加算器110の出力)とを切り替え器113によって切り替え、その切り替え出力を倍速変換器114に通すことにより、順次走査出力を得るようにしていること(段落【0014】,【0021】〜【0023】)、
(ロ)上記先願発明の走査変換回路は、上記補強信号を上下バー部分(テレビ画面で上下のバーとなる信号部分)に多重化して伝送するレターボックス方式での信号処理部に適用できるものであること(段落【0032】)、
が記載されている。

3.対比
本願の前記請求項1に係る発明(以下,「本願発明」という。)と上記先願発明とを対比すると、本願発明では、その対象装置を「中央画像領域を表す画像情報と、上下のバー領域に含まれ、所要の表示走査フォーマットで画像を組み立てるのを助ける補助情報とを有するテレビジョン信号を受信するシステム」としているところ、先願発明も、受像機側での走査変換のための補強情報(本願発明でいう補助情報に相当)を送信側から伝送するテレビジョン方式における受像機側処理回路を対象とするもので、特に、これをレターボックス方式のテレビジョン信号に適用した場合〔先願明細書の前掲記載(ロ)〕についてみると、本願発明でいう上記テレビジョン信号を受信するシステムと格別変わりがないものということができる。
また、本願発明でいう「上記画像情報を処理するための画像情報路」と「上記補助情報を処理するための補助情報路」について、先願発明も、先願明細書の前掲記載(イ)から明らかなように、フィールド内隣接走査線C,Dの平均値信号(C+D)/2を生成するとともに、補強信号Y(上記補強情報)を263H遅延器109で遅延調整して遅延補強信号Yを得ているのであるから、本願発明でいう上記画像情報路と補助情報路を有しているものといえ、また、本願発明でいう「上記画像情報路と補助情報路からの各出力信号を合成して出力信号を生成する手段」,「ビデオ処理手段」,「上記画像情報から動きを表す制御信号を取り出す手段」について、これらはそれぞれ先願発明における加算器110(上記平均値信号(C+D)/2と補強信号Yとの加算手段),倍速変換器114(順次走査出力を得る手段),減算器111と2値化器112(動き情報としてフレーム間差信号を求めこれを2値化して切り替え器制御信号を得る手段)と格別変わりがないものである。 さらに、本願発明でいう「上記取り出された制御信号に応答して、上記ビデオ信号処理手段に(a)画像に動きがある場合は上記合成手段からの上記出力信号を供給し、(b)画像に動きがない場合は繰り返された画像情報を供給する手段」について、先願発明でも、上記切り替え器制御信号により、上記動画時の補間信号(上記加算器110の出力)と静止画時の補間信号とを切り替え器113で切り替え、その切り替え出力を倍速変換器114に通すことにより順次走査出力を得ているのであるから、先願発明も本願発明でいう上記手段を備えているといえる。
そうすると、本願発明と先願発明とは、前者が「上記システムのノイズ不感性を増強するために、上記制御信号は、高周波数画像情報を実質的に含まない低周波数画像情報から取り出されるものである」点を要件としているのに対し、後者はそのような要件を開示するものではない点で一応相違するものの、他に格別の違いはないものと認められる。

4.判断
(1)そこで以下,上記一応の相違点について検討すると、同相違点に関し原査定で引用する特開平2-222283号公報(以下,「文献1」という。)には、テレビジョン画像の動き検出回路において、テレビジョン信号の高域成分を除いた低域成分から画像の動きを検出するようにし、これにより高域成分に重畳されたノイズの影響を受けずに画像の動きを検出できるようにすることが記載され(第3頁右下欄下から3行目〜第4頁右上欄5行目、及び第2図)、同特開昭62-51390号公報(以下,「文献2」という。)には、MUSE方式テレビジョン信号のデコーダで用いる動き検出回路において、画像データ(サブサンプル・フィルタ16,2次元フィルタ17と18からそれぞれ出力される現フレームのデータ、現フレームと1フレーム前のデータ,1フレーム前と2フレーム前のデータ)の低域成分から画像の動きを検出するようになすことが記載されている。(第2図とその説明、特に第2頁右下欄4〜6行目)
また,同特開昭63-197184号公報(以下,「文献3」という。)には、MUSE方式テレビジョン信号の復調系で用いる画像の動き検出回路において、ローパスフィルタを経た入力映像信号から画像の動きを検出するようになすことが記載されており(第1図とその説明、特に第3頁右下欄下から4行目〜第4頁左上欄8行目)、これら文献1ないし3の記載によれば、画像情報の低域成分から画像の動きを検出する(結果としてノイズ等の不要信号成分に対する不感性が増強される)ようにした動き検出手法は、画像情報から画像の動きを検出する上での周知手法というべきものと認められ、かかる動き検出手法は本願発明でいう上記相違点に係る要件と格別変わりがないものである。
先願発明では、前記したように、画像情報からの画像の動き検出を行ってはいるが、そのために上記のような動き検出手法を採用することについては開示がなく、むしろ図4に例示された構成では、画像情報そのもの(高域成分をも含む画像情報)から動き検出を行うようになされている。
しかしながら、先願発明は、その明細書記載の趣旨に照らすと、画像の動きを特に上記画像情報そのものから検出することを必須の要件とするものではなく、動き検出手法として種々の手法を採用し得るものであることが明らかであり、先願発明でもその一実施態様として適宜上記周知の動き検出手法を採用し得、特にこれを排除するものではないと解するのが相当である。
そうすると、上記相違点に係る本願発明の要件は、先願発明で採用し得る種々の動き検出手法を上記周知の動き検出手法に特定したというにすぎないものというべきであるから、かかる特定において本願発明が先願発明とは異なる別の発明であるとすることはできない。

(2)請求人は、本件審判の請求理由において、(a)前記文献1ないし3には、そのいずれにも、本願発明での動き検出の前提となる補助情報を利用した走査変換(飛び越し走査から順次走査への変換)については一切記載がないから、これら各文献を先願明細書と組み合わせて本願発明の同一性を論ずることは不適当であり、(b)また、上記文献2では、サブサンプル・フィルタ16,2次元フィルタ17と18の各出力画像情報から動き検出がなされているところ、上記各フィルタは、低域通過フィルタではなく、これらによっては本願発明のような高周波数画像情報を実質的に含まない低周波数画像情報は得られず、また文献3では、低域濾波された画像情報から動き検出がなされているが、上記低域濾波の技術的意義が不明で、本願発明のような高周波数画像を実質的に含まない低周波数画像を得ているのか、または画像情報以外の高域ノイズを除去しているだけなのかも不明である旨主張する。
しかしながら、上記主張(a)について、上記文献1ないし3が開示する画像の動き検出技術は、確かに本願発明のような補助情報を利用する走査変換を前提とするものではないが、画像の動き検出技術自体は、その前提が本願発明のような補助情報を利用する走査変換であるか否かによって格別異なる技術的意義を有するものではなく、動き適応制御を行う上で共通の技術であることは明らかであるから、上記各文献の開示から動き検出技術の一般的技術水準を判断し、本願発明と先願発明との同一性を論ずることが誤りであるとはいえない。
上記主張(b)について、上記文献2ではフィルタ16はその出力から動画用画像信号が生成され、フィルタ17,18はその出力から静止画用画像信号が生成されているのであるから(第2頁左下欄下から5行目〜同頁右下欄3行目)、これらフィルタ16〜18は請求人主張のとおり低周波数画像情報を生成するものではないが、文献2には、動き検出回路22が「各フィルタ16,17,18の低域成分から1フレーム間または2フレーム間の動き量を検出する」ものであるとの記載があり(第2頁右下欄4〜6行目)、同記載からすると、文献2では、先に認定したように、上記フィルタ16ないし18の出力,すなわち画像情報中の低域成分(高周波数画像情報を含まない低周波数画像情報)から動きの検出を行うようにしていることは明らかである。
また,文献3での上記低域濾波は、確かにその技術的意義について特段の説明がないから、請求人主張のように、画像情報以外の高域ノイズを除去するだけのものである場合がないとはいえないが、画像情報を低域濾波するものである以上、特段の説明がない限り、高周波数画像情報を含まない低周波数画像情報を得る通常の低域濾波を行うものと解するのが相当である。
したがって上記請求人の主張にはそのいずれにも理由がなく、採用できない。

5.むすび
以上のとおりであるから、本願発明は先願発明と同一であり、かつ、本願発明の発明者及び出願人が先願発明の発明者及び出願人と同一でもないことが認められ、本願発明は特許法第29条の2の規定により特許を受けることができない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-02-03 
結審通知日 2004-02-10 
審決日 2004-02-23 
出願番号 特願平5-92374
審決分類 P 1 8・ 161- Z (H04N)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 田村 征一國分 直樹  
特許庁審判長 杉山 務
特許庁審判官 橋爪正樹
小林秀美
発明の名称 テレビジョン信号受信システム  
代理人 川上 光治  
代理人 田中 浩  
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