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審決分類 審判 判定 同一 属さない(申立て成立) A63F
管理番号 1116226
判定請求番号 判定2005-60001  
総通号数 66 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許判定公報 
発行日 1993-04-16 
種別 判定 
判定請求日 2004-12-27 
確定日 2005-04-15 
事件の表示 上記当事者間の特許第2758272号の判定請求事件について、次のとおり判定する。 
結論 イ号物品説明書に示す「遊技場用遊技システム」は、特許第2758272号発明の技術的範囲に属しない。 
理由 1.請求の趣旨
本件判定の趣旨は、イ号物品説明書に示す物件(以下、「イ号物件」という。)は、特許第2758272号発明の技術的範囲に属しない、との判定を求めるものである。

2.本件特許発明
本件特許第2758272号の発明(以下、「本件特許発明」という。)は、明細書または図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載されたとおりのものであり、それを構成要件に分説すると、次のとおりのものである。
A.記憶手段に対して遊技者が獲得した遊技媒体を景品遊技媒体数として記憶させる計数手段を備え、
B.前記記憶手段に記憶された景品遊技媒体数に基づいて景品の払い出しを行うようにした遊技場用遊技システムであって、
C.前記記憶手段に記憶された景品遊技媒体数に基づいて遊技媒体を放出する貸出手段と、
D.前記貸出手段による遊技媒体の放出時には前記記憶手段に記憶された景品遊技媒体数を減少させるように構成され、その減少景品遊技媒体数が放出される遊技媒体数より予め設定された割合だけ多くなるように制御する演算手段とを設けたことを特徴とする遊技場用遊技システム。

3.イ号物件
イ号物件は、判定請求書に添付された「イ号物品説明書」の記載からみて、その構成を本件特許発明の分説と対応するように分説すると、次のとおりのものと認める。
a.会員IDが記憶された会員カードと、会員カードが挿入された状態で遊技者が獲得した遊技媒体が投入されると、会員サーバに対して遊技者が獲得した遊技媒体を景品遊技媒体数として、会員カードから読取った会員IDと対応付けて記憶させる計数手段を備え、
b.前記会員サーバに記憶された景品遊技媒体数に基づいて景品の払い出しを行うようにした遊技場用遊技システムであって、
c.前記会員サーバに記憶された景品遊技媒体数に基づいて遊技媒体を放出する貸出手段と、
d.前記貸出手段による遊技媒体の放出時には前記会員サーバに記憶された景品遊技媒体数を減少させるように構成され、その減少景品遊技媒体数が放出される遊技媒体数より予め設定された割合だけ多くなるように制御する演算手段とを設けたことを特徴とする遊技場用遊技システム。

4.イ号物件が本件特許発明の各構成要件を充足するか否かの検討判断
(1)本件特許発明とイ号物件の対比
i.本件特許発明とイ号物件を対比すると、両者の相違は、遊技者が獲得した遊技媒体を景品遊技媒体数として記憶させる対象について、これを本件特許発明では「記憶手段」としているのに対して、イ号物件では「会員サーバ」としている点に帰着するものと認められる。
ii.すなわち、本件特許発明とイ号物件とを対比すると、イ号物件の各構成a、b、c、dと、本件特許発明の各構成要件A、B、C、Dとでは、イ号物件が「会員サーバ」としているのに対して、本件特許発明が「記憶手段」としていることを除いて両者に構成上の相違が認められない。
この点について、イ号物件の構成aには、前記相違点に加えて、本件特許発明の構成要件Aとされていない「会員カード」に係る構成が規定されているが、これは、「会員サーバ」に付随する構成であるから、単独に取り上げる必要のないものである。
iii.そして、イ号物件が本件特許発明の技術的範囲に属するか否かの争点が、前記の相違点に基づくことは、請求人及び被請求人の間に争いがなく、この点については、当審も是認するところである。
iv.よって、イ号物件における「会員サーバ」が、本件特許発明の「記憶手段」を充足するか否かについて、以下検討する。

(2)本件特許発明の「記憶手段」について
i.本件特許第2758272号の特許明細書である特許公報には、本件特許発明の「記憶手段」に関して次の記載が認められる。
「【0004】 そこで、従来では、上記のような問題点を解決するために、遊技者が獲得したパチンコ玉を磁気カードのような記憶手段に景品玉数として記憶させ、この記憶手段の記憶内容に基づいて景品の払い出しを行うようにしたパチンコホール用遊技システムが考えられている。
【0005】【発明が解決しようとする課題】 上記のようなパチンコホール用遊技システムでは、その趣旨からいって、記憶手段に記憶した景品玉数は、景品の払い出しのみに有効で、これをもってパチンコ玉の貸出を受けることができないように構成される。このため、遊技者がパチンコゲーム機での再遊技を行う場合には、新たにパチンコ玉の貸出を受ける必要が生ずる結果、当該遊技者が景品玉数を記憶した記憶手段を所有しているにも拘らず多くの現金を用意する必要があり、必ずしも遊技者にとって便利なシステムとはいえないものであった。」(第2頁第3欄第10〜26行)、
「【0008】【作用】 遊技者が獲得した遊技媒体は、記憶手段に対し計数手段を通じて景品記憶媒体数として記憶されるものであり、景品の払い出しは、この記憶手段に記録された景品記憶媒体数に基づいて行われる。また、上記記憶手段を所有した遊技者は、その記憶手段により遊技媒体の貸出を貸出手段を通じて受けることができるものであり、当該貸出手段は、記憶手段に記憶された景品遊技媒体数に基づいて遊技媒体を放出する動作を行う。この放出動作時において、演算手段は、上記記憶手段に記憶された景品遊技媒体数を貸出手段による放出遊技媒体数より予め設定された割合だけ多く減少させる動作を行う。このため、上記放出遊技媒体数は、記憶手段に記憶された景品遊技媒体数より所定の比率分だけ少ないから、遊技場側が損失を被ることがなくなる。」(第2頁第3欄第48行〜第4欄第12行)、
「【0009】【実施例】 以下、本発明の第1実施例について図1乃至図7を参照しながら説明する。図1において、パチンコホール内に複数台設置されたパチンコゲーム機1のパチンコ玉発射機構1aはモータを利用した電動式のものであり、その電源がしゃ断された状態ではパチンコゲーム機1が遊技不能状態に切換えられる。
【0010】 貸出手段としての玉貸機2は、例えばパチンコゲーム機1間に2台のパチンコゲーム機1について1台ずつ設けられており、その機枠本体3の前面には、玉放出口4の他に、左右の表示ランプ5、6を備えて成る。このとき、玉放出口4は、上下動可能な放出口体4aを有し、その放出口体4aが下方位置にある常時においては機枠本体3内から放出された遊技媒体としてのパチンコ玉を一時的に貯留すると共に、放出口体4aが手指などにより上方へ移動されたときには上記パチンコ玉を放出口体4内を通じて落下させる構成となっている。
【0011】 尚、この場合において、パチンコゲーム機1が内蔵した賞球放出用の放出機構(図示せず)を貸出機構として兼用することによって、上述のような玉貸機2を不要な構成としても良い。
【0012】 制御ユニット7は、パチンコゲーム機1の上方に各パチンコゲーム機1に付随した状態で設置されており、これの前面には、後述する記憶手段たる磁気カード8が挿入(セット)されるカード挿入口7a、このカード挿入口7aに挿入された状態の磁気カード8を取出すときに操作されるイジェクトスイッチ9、上記磁気カード8に記憶(記録)された金額データMを表示するための第1の数値表示部10a、この数値表示部10aに対応された第1の玉貸スイッチ11a、磁気カード8に記憶された景品玉数Qを景品と交換する際の換算価額ΔMを表示するための第2の数値表示部10b、この数値表示部10bに対応された第2の玉貸スイッチ11bが設けられている。前記玉貸機2の内部構成は、概略図2のようになっている。」(第2頁第4欄第13〜47行)、
「【0016】 また、磁気カード8は、図4に示すように、その記憶エリアとして、セキュリティ用の暗号コードCXなどを記憶するためのコード記憶エリアME0、通し番号NSを記憶するための通し番号記憶エリアME1、磁気カード8の発行日を示す日付コードCDを記憶するための日付記憶エリアME2、金額データMを記憶するための金額データ記憶エリアME3、景品交換に供するためのパチンコ玉数を景品玉数Qとして記憶するための景品玉数記憶エリアME4、景品交換時に生ずる余りパチンコ玉数Rを記憶するための余り玉数記憶エリアME5、打止フラグFを記憶するための打止フラグ記憶エリアME6、前記機種コードCPを記憶するための機種コード記憶エリアME7、前記サーマル印字を行った場合の最終印字行データPLを記憶するための印字行記憶エリアME8を有する。」(第3頁第5欄第27〜41行)、
「【0018】 また、図示しないが、パチンコホール内には、遊技者が獲得したパチンコ玉を計数するための計数手段たるパチンコ玉計数装置が設けられており、前記磁気カード8は、上記パチンコ玉計数装置での獲得パチンコ玉の計数時において、そのパチンコ玉計数装置にセットされるものである。この場合、パチンコ玉計数装置にあっては、その計数結果を特定景品の交換に必要な単位パチンコ玉数mにより除算することによって、上記獲得パチンコ玉にて交換可能な特定景品の交換可能個数ΔN、及びそのときの余りパチンコ玉数ΔRを演算すると共に、上記景品交換のために必要なパチンコ玉数ΔQを演算し、セット状態にある磁気カード8に対して、上記パチンコ玉数ΔQ及び余りパチンコ玉数ΔRを夫々景品玉数Q及び余りパチンコ玉数Rとして記憶させるように構成されている。」(第3頁第6欄第2〜16行)、
「【0089】 図12において、貸出手段としての貸出装置19′は、基本的には第2実施例における貸出装置19と同様構成のものであり、外見上の相違点は、カード挿入口23に代えてレシート挿入口23′が設けられている点、指示ランプ23aが除去されている点、及びプリンタ28が設けられている点である。この場合、上記レシート挿入口23′には、記憶手段たるレシート29が挿入されるものであり、この実施例で用いるレシート29は、図14、図15に示すような2種類のフォーマットf1、f2が設定されている(以下においては、必要に応じてフォーマットf1のレシートを29A、フォーマットf2のレシートを29Bとして区分する)。
【0090】 上記レシート29は、遊技者が獲得したパチンコ玉を計数するための計数手段たるパチンコ玉計数装置(図示せず)を通じて発行されるものである。」(第10頁第19欄第33〜47行)、
「【0118】 従って、上記した本実施例によっても、前記第1実施例と同様の効果を奏するものであり、特に本実施例によれば、記憶手段として紙により作成するレシート29を利用する構成としているから、ランニングコストの低減を図り得るものである。」(第13頁第25欄第8〜12行)、
「【0119】【発明の効果】 本発明によれば以上の説明によって明らかなように、遊技場において遊技者が獲得した遊技媒体を記憶手段に景品遊技媒体数として記憶させ、この記憶手段の記憶内容に基づいて景品の払い出しを行うように構成することにより、遊技場の売上高の減少を防止できるようにしたものでありながら、上記のような売上高の減少防止機能を損なうことなく、遊技者側の利便性を向上させることができるという優れた効果を奏するものである。」(第13頁第25欄第13〜22行)。
ii.本件特許第2758272号の特許公報の前記摘示の記載及び図面によると、従来は、遊技者が獲得した遊技媒体(「パチンコ玉」ともいう。)を磁気カードのような記憶手段に景品遊技媒体数(「景品玉数」ともいう。)として記憶させていたが、該記憶手段に記憶した景品遊技媒体数は、景品の払い出しのみに有効で、これをもって遊技媒体の貸出を受けることができないため、遊技者がパチンコゲーム機での再遊技を行う場合に、当該遊技者が景品遊技媒体数を記憶した記憶手段を所有しているにも拘らず新たに現金により遊技媒体の貸出を受ける必要があるという問題点があったので、本件特許発明は、前記問題点を解決することを課題に、遊技者が獲得した遊技媒体を景品遊技媒体数として記憶手段に記憶させ、この記憶手段の記憶内容に基づいて所定の割合で遊技媒体の貸出を行うように構成することにより、遊技場側が損失を被ることがないとともに、遊技者が再遊技を行う場合の利便性を向上させるようにした遊技場用遊技システムを提供するものである。
iii.そして、本件特許発明の遊技場用遊技システムにあっては、遊技者が獲得したパチンコ玉を景品遊技媒体数として記憶手段に記憶させるにあたって、遊技場にいる複数の遊技者の中から当該遊技者を特定する必要があることは明らかである。また、遊技者は、前記記憶手段に記憶した景品遊技媒体数に基づいて景品の払い出し及び遊技媒体の貸出を受けるものであるから、その時点においても前記記憶手段に基づいて該当する遊技者を特定する必要があるものである。
そこで、本件特許発明の構成要件Aである「記憶手段に対して遊技者が獲得した遊技媒体を景品遊技媒体数として記憶させる計数手段」について、その記憶手段においてどのようにして遊技者を特定するのか不明であるから、特許明細書の発明の詳細な説明を参酌する。
iv.しかして、特許明細書には、遊技者が獲得したパチンコ玉を景品遊技媒体数として記憶させておく記憶手段について、明細書の段落【0004】に「磁気カードのような記憶手段」、段落【0008】に「記憶手段を所有した遊技者は、その記憶手段により遊技媒体の貸出を貸出手段を通じて受けることができる」、段落【0012】に「記憶手段たる磁気カード」、段落【0118】に「記憶手段として紙により作成するレシート」と記載されており、これらの記載によると、本件特許発明の「記憶手段」は、遊技者が携帯可能な磁気カードあるいはレシートからなる、いわゆる記録担体により構成され、遊技者が該記録担体を携帯所有することをもって特定され、景品遊技媒体数として記憶させておく手段を直接管理できるようにしたことに技術的意義があるものと認められる。

(3)イ号物件の「会員サーバ」について
イ号物件における「会員サーバ」は、遊技者が携帯所有する会員カードに記憶された会員IDに対応して、当該遊技者が獲得したパチンコ玉を景品遊技媒体数として記憶させておくものとして管理コンピュータ内に電子的に構成されるから、遊技者を特定する手段は別に設けられ、景品遊技媒体数を記憶させておく手段が携帯可能な構成ではないとともに、景品遊技媒体数として記憶させておく手段を遊技者が直接管理できないようにしたことに技術的意義があるものと認められる。

(4)イ号物件の「会員サーバ」が本件特許発明の「記憶手段」を充足するか否かの判断
以上の認定を踏まえて、イ号物件の「会員サーバ」が本件特許発明の「記憶手段」を充足するか否かについて検討すると、獲得したパチンコ玉を景品遊技媒体数として記憶させておく手段として、本件特許発明における「記憶手段」は、携帯可能な磁気カードあるいはレシートからなる直接管理可能な記録担体により構成されるのに対して、イ号物件における「会員サーバ」は、遊技者が直接管理できない管理コンピュータ内に電子的に構成されるものであって、景品遊技媒体数を記憶させておく手段としての構成及び技術的意義が別異のものであるから、イ号物件における「会員サーバ」は、本件特許発明における「記憶手段」を充足しないというべきである。

(5)被請求人の主張について
i.被請求人は、本件特許発明における「記憶手段」の用語は、「情報を記憶するもの」として一義的に明瞭であって、発明の詳細な説明を参酌する必要がないから、イ号物件における「会員サーバ」は、「情報を記憶するもの」として本件特許発明における「記憶手段」を充足する旨を主張する。
ii.そこで、検討するに、特許発明の技術的範囲は、特許請求の範囲の記載に基づいて定められるが、その用語の意義については、明細書の記載及び図面を考慮して解釈すべきことは、特許法第70条第1項及び第2項に規定するとおりである。
本件においてもその例外ではなく、一般的には「記憶手段」の用語の意味は明瞭であるとしても、本件特許発明において、「記憶手段」の用語がどのような意義を有するかは、明細書を考慮しなければ明確といえない。
そして、明細書を考慮すると、「記憶手段」の用語の意義は、前記(2)ivに示したとおり、イ号物件の「会員サーバ」を包含するものでないことが明らかである。
iii.この点について、さらに具体的に検討するに、本件特許発明における「記憶手段」の用語自体をもって「情報を記憶するもの」として解釈すると、その具体的実現手段として、記録担体のような、遊技者が物理的に所有可能で、かつ、特定の遊技者の情報のみを記憶管理する形態、あるいは会員サーバのような、遊技者が物理的に所有不可能で、かつ、全ての遊技者の情報をデータベースとして記憶管理する形態が想定されることになる。
そして、「記憶手段」が記録担体の形態であれば、該記録担体を携帯所有する遊技者が該記録担体に記憶された景品遊技媒体数に基づいて景品の払い出しあるいは遊技媒体の貸し出しを行うものとして本件特許発明を合理的に理解できるところであるが、「記憶手段」が会員サーバの形態であるとすると、該会員サーバに記憶された景品遊技媒体数に係る遊技者を特定する手段が本件特許請求の範囲に規定されていないことからして、景品遊技媒体数を記憶させておく会員サーバのみでは景品の払い出しあるいは遊技媒体の貸し出しを行うべき遊技者を特定できないことになり、本件特許発明を合理的に理解できないところである。
iv.なお、本件特許発明に係る基準明細書は本件特許明細書であるものの、景品遊技媒体数を記憶させておく手段について、審査過程において、本件特許出願時に最初に添付された明細書に記載の「記録担体」を現在の「記憶手段」に補正したものであることからみると、「情報を記憶するもの」としての「記憶手段」の技術概念が本件特許発明の出願当初から開示されていたとは必ずしも認められない。
v.よって、本件特許発明における「記憶手段」の用語の意義について、明細書の記載を考慮して解釈すべきことは当然であって、該「記憶手段」の用語について、「情報を記憶するもの」として解釈すると本件特許発明を合理的に理解できず、その用語の意義について発明の詳細な説明を参酌する必要があることは、明らかであり、「記憶手段」として「会員サーバ」を想定することは、本件特許請求の範囲の全体の記載からみて適切ではないから、被請求人の上記主張は採用できない。

(6)均等論の適用について
i.イ号物件における「会員サーバ」が本件特許発明における「記憶手段」の均等物に相当するか否かについて、以下検討する。
ii.均等論の第2要件である「置換可能性」について検討すると、「記憶手段」を「会員サーバ」に置き換えただけでは、該会員サーバに記憶された景品遊技媒体数に係る遊技者を特定する手段として、例えば、会員IDが記憶された会員カードを追加しない限り、本件特許発明の目的を達成できず、同一の作用効果を奏することができないことは、前記(5)に示したように、明らかである。
iii.また、均等論の第3要件である「置換容易性」について検討すると、本件特許発明における「記憶手段」は、携帯可能な磁気カードあるいはレシートからなる記録担体により構成され、遊技者が直接管理可能であることに技術的意義があるのに対して、イ号物件における「会員サーバ」は、管理コンピュータ内に電子的に構成され、遊技者が直接に管理できないようにしたものであるから、両者は、遊技場用遊技システムにおける、遊技者が獲得したパチンコ玉を景品遊技媒体数としてどのように管理するかという点において、設計思想が基本的に異なるものというべきである。
被請求人は、磁気カード及び会員サーバは、いずれもパチンコ玉数の預け個数を記録する預かりデータ記録媒体として現時点で当業者に周知(例えば、特公昭55-24906号公報、特開昭58-130075号公報、特開平2-4397号公報)であるから、磁気カードを会員サーバに置換することは容易に想到できる旨主張しているが、磁気カードと会員サーバはデータ記録媒体として異質の手段であって、係る相違点は進歩性の判断の範疇に属し、均等論の範囲内のものではないことは明らかである。
iv.したがって、少なくとも均等論の第2要件及び第3要件からみて、イ号物件における「会員サーバ」は、本件特許発明における「記憶手段」の均等物に相当するということはできない。

(7)まとめ
よって、イ号物件における「会員サーバ」は、本件特許発明の「記憶手段」を充足しないから、この点において、イ号物件の各構成は本件特許発明の各構成要件を充足しないものである。

5.むすび
以上のとおりであるから、イ号物件は、本件特許発明の技術的範囲に属しない。
よって、結論のとおり判定する。
 
判定日 2005-04-05 
出願番号 特願平2-414587
審決分類 P 1 2・ 1- ZA (A63F)
最終処分 成立  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 國分 直樹
白樫 泰子
登録日 1998-03-13 
登録番号 特許第2758272号(P2758272)
発明の名称 遊技場用遊技システム  
代理人 特許業務法人快友国際特許事務所  
代理人 佐藤 強  
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