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審決分類 審判 全部無効 特38条共同出願 無効とする。(申立て全部成立) B62J
管理番号 1117119
審判番号 無効2003-35333  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-10-03 
種別 無効の審決 
審判請求日 2003-08-12 
確定日 2004-05-31 
事件の表示 上記当事者間の特許第3373038号発明「二輪車用集配箱」の特許無効審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 特許第3373038号の請求項1に係る発明についての特許を無効とする。 審判費用は、被請求人の負担とする。 
理由 1.手続の経緯
本件特許第3373038号は、平成6年3月15日に特許出願され、平成14年11月22日に特許権の設定登録がなされたものである。
これに対し、請求人 株式会社フォルムから、
「特許第3373038号は、これを無効とする。
審判費用は被請求人の負担とする、
との審決を求める。」
との趣旨の審判請求がなされた。その理由は、「本件特許は、特許法第38条に違反してなされたものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきもの」をその旨としているものである。
これに対し、被請求人 株式会社松田技術研究所及び松田真次から、答弁書提出期間内に、
「本件審判請求は成り立たない。審判費用は請求人の負担とする、との審決を求める。」
との趣旨の答弁書が提出され、その後、請求人 株式会社フォルムから、証人尋問申出書が提出されたところ、当審において、平成16年3月15日に口頭審理及び証拠調べを行った。

2.請求人の主張
A 本件審判請求人である株式会社フォルム{平成15年7月30日にフォルムデザイン有限会社から組織を変更すると共に社名を変更したことを記した登記簿謄本(甲第1号証)}と、本件の特許出願人である株式会社松田技術研究所とは、以下に述べるような経緯によって、本件特許に係る集配用キャリーボックス(本件発明の名称:二輪車用集配箱)の開発を共同で進めて、完成させたものである。
すなわち、
(イ)株式会社松田技術研究所と、株式会社フォルム(フォルムデザイン有限会社)とは、本件特許に係る集配用キャリーボックス(本件発明の名称:二輪車用集配箱)に関し、1993年11月3日から共同で開発を開始した。このとき、株式会社松田技術研究所は、集配用キャリーボックスの全体のサイズ及び取付け金具について担当し、株式会社フォルム(フォルムデザイン有限会社)は、集配用キャリーボックスの機構開発、試作図面、及び試作を担当した。

(ロ)そして、1993年11月25日に株式会社フォルム(フォルムデザイン有限会社)は、集配用キャリーボックスの試作品1台を完成させ{試作品の完成写真(甲第2号証)}、これを株式会社松田技術研究所が、郵政省が希望している機能を満たしているか確認してもらうべく郵政省本庁に提示した。

(ハ)1993年12月8日株式会社フォルム(フォルムデザイン有限会社)にて、集配用キャリーボックスの試行品(実際に現場で試してもらい不具合等を見つけるためのもの)127台のための開発設計を始める。また、同試行品製作の見積り及び加工業者の選定に入り、山田化工株式会社(住所:東京都台東区下谷1-6-5、代表者:中川昭義)に決定、1994年1月25日に発注{発注書(甲第3号証)}する。(尚、発注書では124台の発注となっているが、不良等の対策として3台を口頭で追加発注する。)

(ニ)更に、1994年1月12日に株式会社松田技術研究所と株式会社フォルム(フォルムデザイン有限会社)は、
「1.郵政省大臣官房財務部計画課発注による「集配用キャリーボックス」「同インナーボックス」及び「貯金保険用ボックス」の開発・試作・製造にフォルムデザイン有限会社が参加をする。
2.スライドハンドル部分は、フォルムデザイン有限会社の開発製造したものを株式会社松田技術研究所へ納入する。
3.尚、平成6年3月納品の試作品(郵政側より発注済)は「集配用キャリーボックス」「同インナーボックス」は122セット、「貯金保険用ボックス」は231台とし、生産品は平成6年11月より月々5000セット・3年間で170,000セットの納入予定とする。(郵政側よりの正式発注は平成6年6月)」を内容とする「覚書」(甲第4号証)を交わす。

(ホ)そして、1994年1月29日株式会社フォルム(フォルムデザイン有限会社)が考えたボディー上下スライド機構原案の機構説明図(甲第5号証)を、株式会社松田技術研究所からの要請によって郵送する。

(ヘ)それから、山田化工株式会社で組立てられた集配用キャリーボックス試行品{山田化工株式会社に於ける集配用キャリーボックス試行品の検査及び箱詰め風景(甲第6号証)}の各郵政局物流センターへの納品が1994年3月9日から始まり、3月15日までに127台完納する。

(ト)1994年3月15日株式会社松田技術研究所が、株式会社フォルム(フォルムデザイン有限会社)に無断で、ボディー上下スライド機構を含んだ集配用キャリーボックスに係る特願平6-70083号{特開平7-251774号公報(甲第7号証)}の特許出願をする。

しかして、株式会社松田技術研究所は、共同開発者である株式会社フォルム(フォルムデザイン有限会社)と共同でなければ特許出願をすることができないにもかかわらず、代表者である松田真次を発明者とし、株式会社松田技術研究所が特許出願人となって、株式会社フォルム(フォルムデザイン有限会社)に無断で集配用キャリーボックス(本件発明の名称:二輪車用集配箱)に係る特許出願を平成6年3月15日に行い、平成14年11月22日に特許{特許第3373038号公報(甲第8号証)}を取得したものであり、本件特許は、特許法第38条に違反してなされたものであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

B 上記事実関係をさらに詳述する。
甲第5号証は、株式会社フォルム(フォルムデザイン有限会社)が考えたボディー上下スライド機構原案の機構説明図であって、1994年1月29日に株式会社フォルム(フォルムデザイン有限会社)から株式会社松田技術研究所に郵送したものである。
そして、甲第5号証の図面には、本件特許公報の【図15】の右係止体60Rと外側右収容体46Rが同じ形状に表わされている。
また、甲第5号証には、本件特許の請求の範囲に記載されている(特許第3373038号公報の第2頁左欄第6行目乃至第13行目)、
「内側本体と外側本体間に配置されるようにして前記外側収容部に装着された、係止孔を有する係止ボス部と、係止縁部と操作縁部と下端部とを有して可撓性を有する連結部により係止縁部が前記内側レールに当接させるような配置で前記係止ボス部に連結されるとともに前記係止ボス部と下端部との間に前記係止縁部を前記内側レール部に向かって弾性付勢するようにして設けた弾性片部とを有する係止部と、を具備する係止体と、」
の構成が表現されている。
すなわち、上記「係止孔を有する係止ボス部」が、甲第5号証の「ロックパーツ.サイドカバー取付部」に該当し、上記「係止縁部が前記内側レールに当接させるような配置で前記係止ボス部に連結されるとともに前記係止ボス部と下端部との間に前記係止縁部を前記内側レール部に向かって弾性付勢するようにして設けた弾性片部」が、甲第5号証の「ロックパーツ.樹脂バネ部」に該当し、本件特許の本体係止機構と全く同じ機構が甲第5号証に表わされている。

以上の事実より、本件無効原因頭初に記載の事実関係は明々白々たるところで、本件特許は、特許法第38条に違反してなされたものであることは明らかであり、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。

立証方法

(1)甲第1号証
本件審判請求人である株式会社フォルムが平成15年7月30日にフォルムデザイン有限会社から組織を変更すると共に社名を変更したことを証明する。

(2)甲第2号証
集配用キャリーボックスの試作品1台が完成したことを証明する。

(3)甲第3号証
1994年1月25日付で株式会社フォルム(フォルムデザイン有限会社)から山田化工株式会社に集配用キャリーボックス124台を含む発注書が送られたことを証明する。

(4)甲第4号証
1994年1月12日に株式会社松田技術研究所とフォルムデザイン有限会社との間で交わされた覚書であって、本件特許に係る「集配用キャリーボックス」の開発・試作・製造にフォルムデザイン有限会社が参加をすること、及びスライドハンドル部分は、フォルムデザイン有限会社が開発製造したものを株式会社松田技術研究所へ納入すること等により、フォルムデザイン有限会社が本件特許の共同開発者であることを証明する。

(5)甲第5号証
1994年1月29日にフォルムデザイン有限会社が、ボディー上下スライド機構の原案を開発していたことを証明すると共に、このボディー上下スライド機構が、本件特許の本体係止機構と全く同じ構成であることを証明する。

(6)甲第6号証
1994年3月9日に山田化工株式会社に於いて撮影された写真であって、集配用キャリーボックス試行品の検査及び箱詰めがされていたことを証明する。

(7)甲第7号証
1994年3月15日に、発明者を松田真次とし、特許出願人を株式会
社松田技術研究所とした、二輪車用集配箱(集配用キャリーボックス)に係る特願平6-70083号の特許出願をしたことを証明する。

(8)甲第8号証
2002年11月22日に、発明者を松田真次とし、特許権者を株式会社松田技術研究所とした、二輪車用集配箱(集配用キャリーポックス)に係る特許が登録されたこと、及びその要部となる構成の一部が甲第5号証の内容と全く同じ構成であることを証明する。

(9)甲第9号証
本件特許の特許原簿で、2003年5月23日に、本件の一部移転登録がなされ、発明者でもあった松田真次が、本件特許の共有権利者となったことを証明する。

3.被請求人の主張
A.審判請求人は、本件特許に係る二輪車用集配箱(以下「本件集配用キャリーボックス」という。)に関して、1993年11月3日から、株式会社松田技術研究所と株式会社フォルムとが共同で開発を開始して完成させたものであり、従って、株式会社松田技術研究所は共同開発者である株式会社フォルムと共同でなければ特許出願をすることができない、と主張しておりますが、この審判請求人の主張は全くの誤りです。
本件集配用キャリーボックスは、審判請求人が提出した甲第8号証の特許公報における特許請求の範囲に記載の通りであり、
「二輪車の荷台に固設される有底筒形状の内側本体と、該内側本体に外装される筒形状の外側本体と、該外側本体を覆う蓋体と、前記内側本体に前記外側本体を上下方向に摺動可能に支持する本体摺動機構と、前記内側本体に前記外側本体を上下方向の所望高さ位置で係止する本体係止機構と、前記外側本体に前記蓋体を回動可能に軸支する蓋体軸支機構と、前記外側本体に前記蓋体を摺動可能に支持する蓋体摺動機構と、を設けた二輪車用集配箱であって、
前記内側本体は、内側前壁部と、内側後壁部と、内側右壁部と、内側左壁部と、内側底壁部とを具備し、
前記外側本体は、外側前壁部と、外側後壁部と、外側右壁部と、外側左壁部とを具備し、
前記蓋体は、蓋前縁部と、蓋後縁部と、蓋右縁部と、蓋左縁部と、蓋上壁部とを具備し、前記本体摺動機構は、内側本体の内側右壁部及び外側本体の外側右壁部間に設けられる右本体摺動機構と内側本体の内側左壁部及び外側本体の外側左壁部間に設けられる左本体摺動機構とから構成されるとともに、右本体摺動機構及び左本体摺動機構はそれぞれ、
前記内側本体の内側右壁部及び内側左壁部のそれぞれに、上下方向に指向して延設される一組の内側レール部と、前記外側本体の外側右壁部及び外側左壁部のそれぞれに形成した外側壁孔と、該外側壁孔のそれぞれに嵌装した外側収容体と、該外側収容体のそれぞれに、前記一組の内側レール部を挟んで摺接可能な配置で突出させて設けた一組の外側摺接片と、を具備し、
前記本体係止機構は、前記内側本体の内側右壁部及び外側本体の外側右壁部間に設けられた右本体係止機構と前記内側本体の内側左壁部及び外側本体の外側左壁部間に設けられた左本体係止機構とを有するとともに、右本体係止機構と左本体係止機構はそれぞれ、
前記外側収容体内のそれぞれに揺動可能に配設された操作レバーと、
内側本体と外側本体間に配置されるようにして前記外側収容部に装着された、係止孔を有する係止ボス部と、係止縁部と操作縁部と下端部とを有して可撓性を有する連結部により係止縁部が前記内側レールに当接させるような配置で前記係止ボス部に連結されるとともに前記係止ボス部と下端部との間に前記係止縁部を前記内側レール部に向かって弾性付勢するようにして設けた弾性片部とを有する係止部と、を具備する係止体と、
前記操作縁部に当接されるようにして前記操作レバーに突出させた操作片と、を具備し、
前記蓋体軸支機構は、外側本体の外側後壁部に取付けられる第1取付体と、蓋体摺動機構を介して前記蓋体の蓋後縁部に取付けられる第2取付体と、前記第1取付体及び第2取付体を回動可能に軸支する回動軸と、を具備し、
前記蓋体摺動機構は、前記蓋体の蓋上壁部に前後方向に指向して設けた蓋レ一ル部と、該蓋レ一ル部に摺動可能に係合されて前記第2取付体に取付けられる抱持部と、を具備した」ことを特徴としております。
そして、この構成による本件集配用キャリーボックスは、以下に示す経緯を経て、株式会社松田技術研究所代表取締役の松田真次が創作したものであり、審判請求人が共同で開発を開始したと主張する1993年11月3日の時点では、既にそのデザイン及び基本的機構が完成しておりました。そこで、以下において、本件集配用キャリーボックスの開発の経緯を説明するとともに、本件集配用キャリーボックスの発明者が松田真次であり、従って審判請求人の主張は誤りであることを証明します。

(1)1993(平成5)年 5月28日(乙第1号証)
郵政省財務部の菊地係長より株式会社松田技術研究所に電話が入り、午後2時に来訪して欲しい旨の依頼があった。
そこで、同日午後2時頃に株式会社松田技術研究所の代表取締役松田真次(以下単に「松田真次」という。)が郵政省財務部を来訪したところ、郵政省財務部の古原課長補佐、同瀧崎課長補佐、及び同菊地氏より、集配用ボックスの開発について話があり、協力を一任された。

(2)1993(平成5)年 6月17日(乙第2号証)
郵政省財務部にて、郵政省財務部の古原課長補佐、同瀧崎課長補佐、同菊地氏及び松田真次の4名出席のもとで打合せを行った。
このときに、松田真次が集配用キャリーボックスの基本デザイン及び基本構想(乙第3号証)を提示し、上記古原課長補佐、瀧崎課長補佐、菊地氏全員から、基本的にOKとの返事を貰った。

(3)1993(平成5)年 6月25日(乙第4号証)
郵政省財務部にて、郵政省財務部の古原課長補佐、同瀧崎課長補佐、同菊地氏、松田真次の4名出席のもとで打合せを行った。
そして、この席で、松田真次が、集配用キャリーボックの構想説明図、デザイン絵を再提示した(再提示した説明書は紛失)。

(4)1993(平成5)年 6月30日(乙第5号証)
小川テント株式会社会議室にて、小川テント株式会社の青津常務、三浦室長、丸紅の鈴木部長代理、松田真次の4名で、集配用キャリーボックスの開発費等に関する打合せをおこなった。

(5)1993(平成5)年7月6日(乙第6号証)
郵政省財務部にて、郵政省財務部の川西課長補佐、同古原課長補佐、同菊地氏、松田真次の4名出席のもとで打合せを行った。

(6)1993(平成5)年7月10日 松田真次が、本件集配用キャリーボックスの発泡スチロールモデルを完成した(乙第7号証)。
ここで、乙第7号証に示される発泡スチロールモデルは、有底筒形状の内側本体と、この内側本体に外装される筒形状の外側本体と、この外側本体を覆う蓋体が示されている。
そして、この乙第7号証によれば、前記内側本体が、内側前壁部と、内側後壁部と、内側右壁部と、内側左壁部と、内側底壁部とを有すること、前記外側本体が、外側前壁部と、外側後壁部と、外側右壁部と、外側左壁部とを有すること、および前記蓋体が、蓋前縁部と、蓋後縁部と、蓋右縁部と、蓋左縁部とを有することは明白である。
従って、この時点で既に、松田真次は、本件特許発明を構成する「内側本体部」と「外側本体部」と「蓋体」とを創作していたことが証明される。

(7)1993(平成5)年7月13日(乙第8号証)
郵政省財務部の川西氏、同菊地氏、松田真次の3名出席のもとで、松田真次が、前記発泡スチロールモデル(乙第7号証)を提示するとともに、平成15年7月12日作成の「郵政集配業務の軽減策」(乙第9号証)、「郵政集配リアートランク構造説明」(乙第10号証)を提示して報告した。
なお、乙第7号証には、「1993年7/14郵政提出」との記載があるが、これは「1993年7/13郵政提出」の誤記ではないかと思われる。

(8)1993(平成5)年7月20日(乙第11号証)
郵政省財務部にて、郵政省財務部の古原氏、同川西氏、同菊地氏、松田真次、及び株式会社松田技術研究所の伊藤氏の5名出席のもとで、集配用キャリーボックスに関する打合せを行った。
そしてその席で、試作品に関してはFRP試作を基本とすることで合意がなされた。

(9)1993(平成5)年8月18日(乙第12号証) 郵政省財務部にて、郵政省財務部の瀧崎課長補佐、同永井氏、松田真次の3名出席のもとで、試作見積その他に関する打合せを行った。
なお、乙第12号証には出席者として「永田氏」との記載があるが、これは「永井氏」の誤りである。

(10)1993(平成5)年8月25日
松田真次が、1993年8月25日付けの「集配用ボックスの商品比較」(乙第13号証)を作成した。

(11)1993(平成5)年9月6日
松田真次が平成5年9月6日付けで作成した「集配キャリーボックス開発企画書」(乙第14号証)を郵政省に提出した。

(12)1993(平成5)年9月8日
(乙第15号証)郵政省本庁地下会議室にて、郵政省財務部用品課の川西氏、同瀧崎氏、同永井氏、株式会社キクテックの石川氏、郵政ニューオフィス研究会の金井氏、松田真次、株式会社松田技術研究所の早坂氏の7名出席のもとで、集配用キャリーボックスに関する打合せを行った。
なお、乙第15号証の4/3は紛失しており添付していない。
また、乙第15号証の出席者の欄には「永田様」との記載があるが、これは「永井」氏の誤りである。

(13)1993(平成5)年9月22日(乙第16号証)
郵政省財務部にて、郵政省財務部の川西氏、同瀧崎氏、同永井氏、松田真次の4名出席のもとで、試作量産に関する打合せを行った。

(14)1993(平成5)年10月5日(乙第17号証)
郵政省内にて、郵政省財務部の川西氏、同瀧崎氏、同永井氏、松田真次の4名出席のもとで、郵政業務用品に関する打合せを行った。
そして、その席で、郵政省より松田真次に対して、集配用キャリーボックスの安全確認実験実施のための協力依頼があった。

(15)1993(平成5)年10月6日
1993(平成5)年7月10日に完成し、1993(平成5)年7月13日に郵政省に提示した発泡スチロールモデル(乙第7号証)を郵政省仕様に着色した(乙第18号証)。

(16)1993(平成5)年10月22日
株式会社松田技術研究所が完成させたFRPモデルを用いて、集配用キャリーボックスの安全確認実験を実施した(乙第19号証)。

(17)1993(平成5)年10月25日
松田真次が「年内郵政業務用開発計画」(乙第20号証)を作成した。
ここで、この乙第20号証の第5頁目に示される集配用キャリーボックスには、本件特許発明を構成する「蓋体軸支機構」と「蓋体摺動機構」が明確に示されている。
即ち、参考図(A)(B)は、前記乙第20号証の第5頁目に示されている集配用キャリーボックスを示すとともに説明の都合上各構成部分に構成部分名を付したものであり、この参考図(A)(B)に示される集配用キャリーボックスでは、本件特許発明における「蓋体軸支機構」を構成する、「外側本体の外側後壁部に取付けられる第1取付体」と、「蓋体摺動機構を介して前記蓋体の蓋後縁部に取付けられる第2取付体」と、「前記第1取付体及び第2取付体を回動可能に軸支する回動軸」とが明確に示されているとともに、本件発明における「蓋体摺動機溝」を構成する、「前記蓋体の蓋上壁部に前後方向に指向して設けた蓋レ一ル部」と、「該蓋レ一ル部に摺動可能に係合されて前記第2取付体に取付けられる抱持部」とが明確に示されている。
従って、この時点で、既に、松田真次が、本件特許発明を構成する「蓋体軸支機構」と「蓋体摺動機横」とを創作していたことが証明される。

(18)1993(平成5)年12月17日(乙第21号証)
郵政省内にて、郵政省の川西氏、同瀧崎氏、同永井氏、松田真次の4名出席のもと、現開発用品特許の取り扱いに関する打合せを行った。

(19)1993(平成5)年12月14日、19日
松田真次が「奨励用BOX・集配用キャリーBOX、改良設変説明」を作成した(乙第22号証)。
ここで、この乙第22号証の第3頁目における右端の下から2個目のマスには、本件特許発明を構成する「本体摺動機溝」および「本体係止機構」が示されている。
即ち、参考図(C)(D)は、前記乙第22号証第3頁目に示される「本体摺動機構」および「本体係止機構」を拡大するとともに説明の都合上各構成部分に構成部分名を示した図であり、参考図(D)には、「本体摺動機溝」を構成する、「上下方向に指向して延設される一組の内側レール部」と、「内側レール部を挟んで摺接可能な一組の外側摺接片」が示されている。
また、参考図(C)には、「本体係止機構」を構成する、「操作レバー」と、「前記操作レバーに突出させた操作片」とが示されている。
更に、参考図(D)には、「本体係止機構」における「係止体」を構成する「係止ボス部」が示されており、および、「本体係止機構」における「係止部」を構成する、「係止縁部と操作縁部と下端部とを有して可撓性を有する連結部により係止縁部が前記内側レールに当接させるような配置で前記係止ボス部に連結されるとともに前記係止ボス部と下端部との間に前記係止縁部を前記内側レール部に向かって弾性付勢するようにして設けた弾性片部とを有する係止部」の概略が示されている。
従って、この時点で、既に、松田真次が、本件特許発明を構成する「本体摺動機構」と「本体係止機構」とを創作していたことが証明される。
なお、乙第22号証に示される図は、フリーハンドによるラフな図であるために、審判請求人が提出した甲第8号証の特許公報における図15とは細部が異なっており、また、「弾性片部」が「係止ボス部」と連結されていないが、基本的な構成は、審判請求人が提出した甲第8号証の特許公報における特許請求の範囲に記載された「本体係止機構」と同一であることは明白である。
そして、この乙第22号証は、審判請求人が提出した甲第5号証の日付よりも前の日付であるため、審判請求人が「ボディー上下スライド機構原案の機構説明図」を考える前に、松田真次が「本体摺動機構」および「本体係止機構」を発明していたことは明白である。

B.このように、本件集配用キャリーボックスは株式会社松田技術研究所の代表取締役である松田真次が創作したものであり、従って、本件集配用キャリーボックスに関する特許を受ける権利は株式会社松田技術研究所のみが有していたものであり、本件特許が特許法第123条第1項第2号に該当するとの審判請求人の主張は誤りでありますので、本審判請求は成り立たないと考えます。
なお、審判請求人は、実質的には、本件特許発明の構成部分の中の「本体摺動機構」と「本体係止機構」を示す甲第5号証のみをもって、審判請求人と株式会社松田技術研究所とが本件集配用キャリーボックスを開発したと主張しておりますが、前述しましたように、「本体摺動機構」および「本体係止機構」は、審判請求人が、甲第5号証に示される「ボディー上下スライド機構原案の機構説明図」を株式会社松田技術研究所に郵送する前に既に、本件特許発明の発明者である松田真次が完成していたものであり、甲第5号証に示される機構説明図は、松田真次が完成させていた「本体摺動機構」および「本体係止機構」を量産可能なように図面化したものにすぎず、この行為は発明には該当しないと考えます。
また、審判請求人が提出した甲第8号証の特許公報における特許請求の範囲に示されるように、本件集配用キャリーボックスは、「内側本体」と「外側本体」と「蓋体」と「本体摺動機構」と「本体係止機構」と「蓋体軸支機構」と「蓋体摺動機構」とにより構成され、これらの構成すべてについて松田真次が創作したものであるところ、審判請求人は、これらの構成中の「本体摺動機構」および「本体係止機構」に関する量産用図面を作成したにすぎません。従いまして、審判請求人は共同発明者には該当せず、本件特許が特許法第123条第1項第2号に該当するとの審判請求人の主張は誤っており、本審判請求は成り立たないと考えます。

証拠方法

(1)乙第1号証
1993(平成5)年5月28日に松田真次が郵政省にて集配用キャリーボックスの開発に関する協力を一任されたことを証明するための打合せ記録である。

(2)乙第2号証
1993(平成5)年6月17日に、松田真次が、郵政省財務部にて、郵政省財務部の古原課長補佐、同瀧崎課長補佐、同菊地氏と打合せをしたことを証明するための打合せ記録である。

(3)乙第3号証
1993(平成5)年6月17日の打合せの際に、松田真次が郵政省側に提示した「郵政集配リアートランク商品説明」である。

(4)乙第4号証
1993(平成5)年6月25日に、松田真次が、郵政省財務部にて、郵政省財務部の古原課長補佐、同瀧崎課長補佐、同菊地氏と打合せを行ったことを証明するための打合せ記録である。

(5)乙第5号証
1993(平成5)年6月30日に、小川テント株式会社会議室にて、松田真次が、小川テント株式会社の青津常務、三浦室長、丸紅の鈴木部長代理と打合せを行ったことを証明するための打合せ記録である。

(6)乙第6号証
1993(平成5)年7月6日に、松田真次が、郵政省財務部にて、郵政省財務部の川西課長補佐、同古原課長補佐、同菊地氏と打合せを行ったことを証明するための打合せ記録である。

(7)乙第7号証
1993(平成5)年7月10日に、松田真次が本件集配用キャリーボックスの発泡スチロールモデルを完成させたことを証明するための、当該発泡スチロールモデルの写真のコピーであり、松田真次が、本件特許発明を構成する「内側本体部」と「外側本体部」と「蓋体」とを創作していたことを証明する。

(8)乙第8号証
1993(平成5)年7月13日に、松田真次が、郵政省財務部の川西氏、同菊地氏と打合せをしたことを証明するための打合せ記録である。

(9)乙第9号証
乙第8号証により証明した1993(平成5)年7月13日の打合せの際に、松田真次が郵政省側に提示した、平成15年7月12日作成の「郵政集配業務の軽減策」である。

(10)乙第10号証
乙第8号証により証明した1993(平成5)年7月13日の打合せの際に、松田真次が郵政省側に提示した、平成15年7月12日作成の「郵政集配リアートランク構造説明」である。

(11)乙第11号証
1993(平成5)年7月20日に、松田真次が、郵政省財務部にて、郵政省財務部の古原氏、同川西氏、同菊地氏、及び株式会社松田技術研究所の伊藤氏と打合せをしたことを証明するための打合せ記録である。

(12)乙第12号証
1993(平成5)年8月18日に、松田真次が、郵政省財務部にて、郵政省財務部の瀧崎課長補佐、同永田氏と打合せを行ったことを証明するための打合せ記録である。

(13)乙第13号証
1993(平成5)年8月25日に,松田真次が作成した「集配用ボックスの商品比較」の写しである。

(14)乙第14号証
1993(平成5)年9月6日に松田真次が作成した「集配キャリーボックス開発企画書」の写しである。

(15)乙第15号証
1993(平成5)年9月8日に、松田真次が、郵政省本庁地下会議室にて、郵政省財務部用品課の川西氏、同瀧崎氏、同永田氏、株式会社キクテックの石川氏、郵政ニューオフィス研究会の金井氏、株式会社松田技術研究所の早坂氏と打合せを行ったことを証明するための打合せ記録である(なお、乙第15号証の4/3は紛失している。)

(16)乙第16号証
1993(平成5)年9月22日に、松田真次が、郵政省財務部にて、郵政省財務部の川西氏、同瀧崎氏、同永井氏と打合せを行ったことを証明するための打合せ記録である。

(17)乙第17号証
1993(平成5)年10月5日に、松田真次が、郵政省内にて、郵政省財務部の川西氏、同瀧崎氏、同永井氏と打合せを行ったことを証明するための打合せ記録である。

(18)乙第18号証
1993(平成5)年10月6日に完成させた、前記乙第7号証を郵政省仕様に着色した発泡スチロールモデルの写真の写しである。

(19)乙第19号証
1993(平成5)年10月22日に、FRPモデルを用いて実施した、集配用キャリーボックスの安全確認実験を証明するための写真の写しである。

(20)乙第20号証
1993(平成5)年10月25日に松田真次が作成した「年内郵政業務用開発計画」の写しであり、松田真次が、本件特許発明を構成する「蓋体軸支機構」と「蓋体摺動機溝」とを創作していたことを証明する。

(21)乙第21号証
1993(平成5)年12月17日に、松田真次が、郵政省にて、郵政省財務部の川西氏、同瀧崎氏、同永田氏と打合せを行ったことを証明するための打合せ記録である。

(22)乙第22号証
1993(平成5)年12月14日および19日に松田真次が作成した、本件集配用キャリーボックスに関する資料の写しであり、松田真次が、本件特許発明を構成する「本体摺動機構」と「本体係止機構」とを創作したことを証明する。

4.当審の判断
(1)本件発明
本件特許第3373038号の発明は、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。

「【請求項1】 二輪車の荷台に固設される有底筒形状の内側本体と、該内側本体に外装される筒形状の外側本体と、該外側本体を覆う蓋体と、前記内側本体に前記外側本体を上下方向に摺動可能に支持する本体摺動機構と、前記内側本体に前記外側本体を上下方向の所望高さ位置で係止する本体係止機構と、前記外側本体に前記蓋体を回動可能に軸支する蓋体軸支機構と、前記外側本体に前記蓋体を摺動可能に支持する蓋体摺動機構と、を設けた二輪車用集配箱であって、
前記内側本体は、内側前壁部と、内側後壁部と、内側右壁部と、内側左壁部と、内側底壁部とを具備し、
前記外側本体は、外側前壁部と、外側後壁部と、外側右壁部と、外側左壁部とを具備し、
前記蓋体は、蓋前縁部と、蓋後縁部と、蓋右縁部と、蓋左縁部と、蓋上壁部とと具備し、
前記本体摺動機構は、内側本体の内側右壁部及び外側本体の外側右壁部間に設けられる右本体摺動機構と内側本体の内側左壁部及び外側本体の外側左壁部間に設けられる左本体摺動機構とから構成されるとともに、右本体摺動機構及び左本体摺動機構はそれぞれ、
前記内側本体の内側右壁部及び内側左壁部のそれぞれに、上下方向に指向して延設される一組の内側レール部と、前記外側本体の外側右壁部及び外側左壁部のそれぞれに形成した外側壁孔と、該外側壁孔のそれぞれに嵌装した外側収容体と、該外側収容体のそれぞれに、前記一組の内側レール部を挟んで摺接可能な配置で突出させて設けた一組の外側摺接片と、を具備し、
前記本体係止機構は、前記内側本体の内側右壁部及び外側本体の外側右壁部間に設けられた右本体係止機構と前記内側本体の内側左壁部及び外側本体の外側左壁部間に設けられた左本体係止機構とを有するとともに、右本体係止機構と左本体係止機構はそれぞれ、
前記外側収容体内のそれぞれに揺動可能に配設された操作レバーと、
内側本体と外側本体間に配置されるようにして前記外側収容部に装着された、係止孔を有する係止ボス部と、係止縁部と操作縁部と下端部とを有して可撓性を有する連結部により係止縁部が前記内側レールに当接させるような配置で前記係止ボス部に連結されるとともに前記係止ボス部と下端部との間に前記係止縁部を前記内側レール部に向かって弾性付勢するようにして設けた弾性片部とを有する係止部と、を具備する係止体と、
前記操作縁部に当接されるようにして前記操作レバーに突出させた操作片と、を具備し、
前記蓋体軸支機構は、外側本体の外側後壁部に取付けられる第1取付体と、蓋体摺動機構を介して前記蓋体の蓋後縁部に取付けられる第2取付体と、前記第1取付体及び第2取付体を回動可能に軸支する回動軸と、を具備し、
前記蓋体摺動機構は、前記蓋体の蓋上壁部に前後方向に指向して設けた蓋レール部と、該蓋レール部に摺動可能に係合されて前記第2取付体に取付けられる抱持部と、を具備した、
ことを特徴とする二輪車用集配箱。」(以下、「本件発明」という。)

(2)検討・判断
当審で行った証拠調べにおいて、両当事者によって真正に成立したことが確認され、当事者間に争いのない甲第4号証によれば、株式会社松田技術研究所とフォルムデザイン有限会社(後に、「株式会社フォルム」に組織及び社名変更。以下、「株式会社フォルム」という。)とは、本件特許の出願前である平成6年1月12日に、
「1.郵政省大臣官房財務部計画課発注による「集配用キャリーボックス」「同インナーボックス」及び「貯金保険用ボックス」の開発・試作・製造にフォルムデザイン有限会社が参加をする。
2.スライドハンドル部分は、フォルムデザイン有限会社の開発製造したものを株式会社松田技術研究所へ納入する。
3.尚、平成6年3月納品の試作品(郵政側より発注済)は「集配用キャリーボックス」「同インナーボックス」は122セット、「貯金保険用ボックス」は231台とし、生産品は平成6年11月より月々5000セット・3年間で170,000セットの納入予定とする。(郵政側よりの正式発注は平成6年6月)」
をその内容とする「覚書」を作成している。
このことから、被請求人である株式会社松田技術研究所と請求人である株式会社フォルムとは、集配用キャリーボックス等(二輪車用集配箱)の開発・試作・製造を共同で行うとともに、特に、スライドハンドル部分(本体係止機構)については、請求人が開発製造を担当したものと認められる。

また、同じく証拠調べにおいて、請求人である株式会社フォルムの代表取締役松本有により真正に成立したことが確認され、当事者間に争いのない甲第5号証によれば、請求人は、サイドスライドロック(本体係止機構)の構成について説明を付した図面を作成し、本件特許の出願前に被請求人宛に郵送している。

そこで、本件発明について精査すると、本件発明は、本体係止機構について、
「前記本体係止機構は、前記内側本体の内側右壁部及び外側本体の外側右壁部間に設けられた右本体係止機構と前記内側本体の内側左壁部及び外側本体の外側左壁部間に設けられた左本体係止機構とを有するとともに、右本体係止機構と左本体係止機構はそれぞれ、
前記外側収容体内のそれぞれに揺動可能に配設された操作レバーと、
内側本体と外側本体間に配置されるようにして前記外側収容部に装着された、係止孔を有する係止ボス部と、係止縁部と操作縁部と下端部とを有して可撓性を有する連結部により係止縁部が前記内側レールに当接させるような配置で前記係止ボス部に連結されるとともに前記係止ボス部と下端部との間に前記係止縁部を前記内側レール部に向かって弾性付勢するようにして設けた弾性片部とを有する係止部と、を具備する係止体と、
前記操作縁部に当接されるようにして前記操作レバーに突出させた操作片と、を具備」
することをその構成要件とするものであるが、これは、まさに甲第5号証に図示された機構を表したものであるといえる。(なお、本件特許の願書に添付した図面である図14及び図15にも甲第5号証に記載されたものと同様の本体係止機構の構成が図示されている。)

これに対し、被請求人は、乙第22号証を根拠に、「請求人である株式会社フォルムが『ボディー上下スライド機構原案の機構説明図』を考える前に、松田真次が『本体摺動機構』および『本体係止機構』を発明していたことは明白である。本件集配用キャリーボックス(二輪車用集配箱)は、『内側本体』と『外側本体』と『蓋体』と『本体摺動機構』と『本体係止機構』と『蓋体軸支機構』と『蓋体摺動機構』とにより構成され、これらの構成すべてについて松田真次が創作したものであるところ、請求人は、これらの構成中の『本体摺動機構』および『本体係止機構』に関する量産用図面を作成したにすぎない」旨主張している。

しかしながら、乙第22号証には、本体係止機構の基となる考え方が示されているとしても、それを具現化した、本件発明の構成要件である本体係止機構、すなわち
「前記本体係止機構は、前記内側本体の内側右壁部及び外側本体の外側右壁部間に設けられた右本体係止機構と前記内側本体の内側左壁部及び外側本体の外側左壁部間に設けられた左本体係止機構とを有するとともに、右本体係止機構と左本体係止機構はそれぞれ、
前記外側収容体内のそれぞれに揺動可能に配設された操作レバーと、
内側本体と外側本体間に配置されるようにして前記外側収容部に装着された、係止孔を有する係止ボス部と、係止縁部と操作縁部と下端部とを有して可撓性を有する連結部により係止縁部が前記内側レールに当接させるような配置で前記係止ボス部に連結されるとともに前記係止ボス部と下端部との間に前記係止縁部を前記内側レール部に向かって弾性付勢するようにして設けた弾性片部とを有する係止部と、を具備する係止体と、
前記操作縁部に当接されるようにして前記操作レバーに突出させた操作片と、を具備」
した構成が示されているとは言えず、被請求人の主張する、本件発明は被請求人のみの創作によるものであり、請求人は量産用図面を作成したにすぎないとの主張には根拠がない。
本件発明は、被請求人の創作である本体係止機構を除く部分の構成に、請求人の創作に係る本体係止機構の構成を加えることにより、全体として二輪車用集配箱の発明として完成されたものであることは以上より明らかである。

よって、その他の主張、証拠について検討するまでもなく、本件発明については、請求人と被請求人との共同でなされた発明と認められるところ、請求人の有する特許を受ける権利を、同人から本件特許の出願人である被請求人に対し移転したという事実もないから、特許法第38条の「特許を受ける権利が共有に係るとき」に該当する。その際、「各共有者は、他の共有者と共同でなければ特許出願をすることができない」と規定されているところ、被請求人は、他の共有者である請求人と共同で特許出願することなく、被請求人のみで特許出願したものであるから、本件特許は特許法第38条の規定に違反してなされたものである。

5.むすび
上記のとおり、本件特許は、特許法第123条第1項第2号に該当し、無効とすべきものである。
審判費用については、特許法第169条第2項の規定で準用する民事訴訟法第61条の規定により、被請求人が負担すべきものとする。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2004-03-26 
結審通知日 2004-03-30 
審決日 2004-04-16 
出願番号 特願平6-70083
審決分類 P 1 112・ 151- Z (B62J)
最終処分 成立  
特許庁審判長 八日市谷 正朗
特許庁審判官 鈴木 久雄
見目 省二
登録日 2002-11-22 
登録番号 特許第3373038号(P3373038)
発明の名称 二輪車用集配箱  
代理人 杉本 良夫  
代理人 杉本 良夫  
代理人 中村 政美  
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