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審決分類 |
審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G11B |
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管理番号 | 1117454 |
審判番号 | 不服2001-21500 |
総通号数 | 67 |
発行国 | 日本国特許庁(JP) |
公報種別 | 特許審決公報 |
発行日 | 1994-01-28 |
種別 | 拒絶査定不服の審決 |
審判請求日 | 2001-12-03 |
確定日 | 2005-06-13 |
事件の表示 | 平成 5年特許願第114557号「オートチェンジャ」拒絶査定に対する審判事件[平成 6年 1月28日出願公開、特開平 6- 20363]について、次のとおり審決する。 |
結論 | 本件審判の請求は、成り立たない。 |
理由 |
I.出願の経緯及び本願発明 本願は平成5年5月17日(パリ条約による優先権主張1992年5月15日、英国、1992年12月9日、英国)の出願であって、その請求項1〜27に係る発明は、平成13年12月27日付け手続補正によって補正された明細書の特許請求の範囲の請求項1〜27に記載される事項によって特定されるとおりのものであるところ、その請求項1に係る発明(以後「本願発明」という)は次のとおりである。 「複数の記録媒体製品(52)を保管し、これらの記録媒体製品(52)の読み取り及び/又は書き込みを行う機構(50)との間で前記複数の記録媒体製品(52)を転送するための装置(10)であって、 前記複数の記録媒体製品に共通する回転軸(A、B)の周りに前記記録媒体製品(52)が同時に複数個隔置されるように、かつ前記回転軸(A、B)に沿って前記記録媒体製品(52)が同時に複数個隔置されるように前記複数の記録媒体製品(52)を保管するための保管領域(15)と、前記機構(50)が前記保管領域(15)に隣接して固定配置され、前記回転軸(A、B)が前記機構(50)を通過するようになっていることと、 前記複数の記録媒体製品(52)を担持し、担持した前記複数の記録媒体製品(52)と共に前記保管領域(15)に対する挿入及び取り出しが可能なように構成され、少なくとも2つの側からアクセス可能なマガジン(70、84)と、 前記回転軸(A、B)を横切る1つの方向のみから、前記マガジン(70、84)の前記少なくとも2つの側を介して、前記保管領域(15)に保管されている前記複数の記録媒体製品(52)の何れにもアクセスできるように、前記マガジン(70、84)を回転させ、それによって前記回転軸(A、B)の周りで前記複数の記録媒体製品(52)を一体として回転させるための手段と、及び 前記1つの方向から前記記録媒体製品(52)を収集し、前記保管領域(15)と前記機構(50)との間で前記記録媒体製品(52)を転送するように動作可能な転送手段(13)とからなる装置(10)。」 II.引用刊行物に記載の発明 これに対し原査定で引用された特開平2-9058号公報(以下、「刊行物」という)には、本願発明の「オートチェンジャ」と同じ技術に属する「情報記録媒体のカセット自動交換装置」に関し、以下の記載がある。 A.「〔発明が解決しようとする課題〕・・・カセットの収容数を増大しようとすると収納部が大きくなり、特に高くなると搬送手段の移動距離が増すので、自動交換能率が低下する心配がある。本発明は、カセットの収容数を増大することができ、しかもカセットの交換能率を低下させることがない情報記録媒体のカセット自動交換装置を提供しようとするものである。」(公報第2頁左上欄第17行〜右上欄第4行参照)、 B.「情報記録媒体を収納したカセットをそれぞれ複数個出入自在に収納する複数の収納部と、上記カセットを出入自在に装着しこのカセット内の情報記録媒体に対して情報処理を施す情報処理部と、上記収納部と上記情報処理部との間で上記カセットを搬送しこのカセットをこれら収納部および情報処理部に対して出し入れする搬送手段と、上記複数の収納部を水平面内で回動させる回転駆動手段とを具備し、これら収納部を回動させていずれか1個の収納部を上記搬送手段に対して選択的に対向させることができるようにしたことを特徴とする情報記録媒体のカセット自動交換装置。」(特許請求の範囲参照)、 C.「ディスク自動交換装置について説明すると、図において1は、ディスク自動交換装置の本体となるケーシングを示し、このケーシング1内には、上記カセット20を複数個収容する上記収納部2と、この収納部2の下方に設置された上記カセット20が装填されてこのカセット20内の光ディスク21に対して情報処理を施す情報処理装置3と、上記収納部2と上記情報処理部3との間で上記カセット20を搬送して移し換える搬送手段4が設けられている。」(公報第2頁右下欄第5〜14行参照)、 D.「収納部2は、複数の格納箇所が、たとえば2個のストッカ5a、5bを備えており、これらストッカ5a、5bはそれぞれ複数のカセット20を各々水平方向にして、かつ互いの間隔を有して上下方向に積層して収容できるようになっている。これらストッカ5a、5bは水平面内で互いに背中合わせとなる状態に配置されており、これらの中央部が回転駆動手段としての旋回モータ6の駆動軸に取付けられている。したがって、これら ストッカ5a、5bは上記旋回モータ6により、水平面内で互いに180°の範囲で回動されるようになっており、いづれか一方のストッカ5a、5bが搬送手段4に対向するようになっている。」(公報第2頁右下欄第15行〜同第3頁左上欄第7行参照)、 E.「上記実施例では2個のストッカ5a、5bを用いて互いに180°の範囲で回動するようにしたが、例えば第6図に他の実施例として示されるように、ストッカを4個用いて(5a、5b、5c、5d)、互いに90°ずつ回動するようにしてもよく、さらには3個あるいは5個以上のストッカを使用してもよい。」(公報第5頁左上欄第7〜13行参照)、 F.「また、2個のストッカ5a、5bが略180°旋回されることにより、搬送手段4に対向しない側のストッカ5aまたは5bは、開閉蓋11と対向するようになり、したがって開閉蓋11を開くことにより開閉蓋11に向いているストッカに対して、外部からカセットの投入や交換が行なえる。」(公報第4頁右下欄第6〜11行参照) F.第1図には2個のストッカ5a,5bを有する実施例、第6図には4個のストッカ5a、5b、5c、5dを有する実施例、第2,3図にはケーシング内に、回転可能な収納部2,旋回モータ6、情報処理部3(記録再生装置7a,7b)が縦に一列に配置された実施例、特に第2図にはカセット交換用の開閉蓋11を備える実施例のぞれぞれの図面が示されている。 各図面を参照しつつ、以上の記載事項を総合すると、刊行物には、 「内部に情報記録媒体(光ディスク)を収納した複数のカセット20を保管し、これらのカセット20内の情報記録媒体に対して情報処理(記録再生)を施す情報処理部3との間で前記複数のカセット20を搬送して移し換えるデイスク自動交換装置であって、 前記複数のカセット20に共通する回転軸(旋回モータの駆動軸)の周りに前記カセット20を各々水平方向にして、かつ互いの間隔を有して上下方向に積層して収容する収納部2と、前記情報処理部3が収納部2の下方に設置され、前記回転軸が前記情報処理部3を通過するようになっている(図2,図3参照)ことと、 前記複数のカセット20を担持し、担持した前記複数のカセット20と共に前記収納部2に収容されるように構成され、少なくとも2つの側からアクセス可能で、開閉蓋11を開くことにより開閉蓋11に向いている側に対して外部からカセットの投入や交換が行えなえるようになっている収納箇所(ストッカ5a、5b)と、 前記回転軸を横切る1つの方向のみから、前記収納箇所の前記少なくとも2つの側を介して、前記収納部2に収容されている前記複数のカセット20の何れにもアクセスできるように、前記収納箇所を回転させ、それによって前記回転軸の周りで前記複数のカセット20を一体として回転させるための回転駆動手段としての旋回モータ6、及び 前記1つの方向から前記カセット20を収集し、前記収納部2と前記情報処理部3との間で前記カセット20を搬送して移し換える搬送手段4とからなるデイスク自動交換装置。」 の発明(以後、「引用発明」という)が記載されていると認められる。 III.対比・判断 そこで本願発明と引用発明と対比することにする。 引用発明の「カセット20」、「情報処理(記録再生)を施す情報処理部3」、「デイスク自動交換装置」、「複数のカセット20に共通する回転軸(旋回モータの駆動軸)の周りに前記カセット20を各々水平方向にして、かつ互いの間隔を有して上下方向に積層して収容する収納部2」、「情報処理部3が収納部2の下方に設置され、前記回転軸が前記情報処理部3を通過するようになっている」、「少なくとも2つの側からアクセス可能な収納箇所(ストッカ5a、5b)」、「収納部を回転させ、それによって前記回転軸の周りで前記複数のカセットを一体として回転させるための回転駆動手段としての旋回モータ6」、「1つの方向からカセット20を収集し、収納部2と情報処理部3との間でカセット20を搬送して移し換える搬送手段4」が、それぞれ本願発明の「記録媒体製品」、「読み取り及び/又は書き込みを行う機構」、「装置」、「複数の記録媒体製品に共通する回転軸の周りに記録媒体製品が同時に複数個隔置されるように、かつ回転軸に沿って記録媒体製品が同時に複数個隔置されるように複数の記録媒体製品を保管するための保管領域」、「機構が前記保管領域に隣接して固定配置され、回転軸が機構を通過するようになっている」、「少なくとも2つの側からアクセス可能なマガジン」、「マガジンを回転させ、それによって前記回転軸の周りで複数の記録媒体製品を一体として回転させるための手段」、「1つの方向から前記記録媒体製品を収集し、前記保管領域と機構との間で前記記録媒体製品を転送するように動作可能な転送手段」に相当することは明らかであるから、 両者は、 「複数の記録媒体製品を保管し、これらの記録媒体製品の読み取り及び/又は書き込みを行う機構との間で前記複数の記録媒体製品を転送するための装置であって、 前記複数の記録媒体製品に共通する回転軸の周りに前記記録媒体製品が同時に複数個隔置されるように、かつ前記回転軸に沿って前記記録媒体製品が同時に複数個隔置されるように前記複数の記録媒体製品を保管するための保管領域と、前記機構が前記保管領域に隣接して固定配置され、前記回転軸が前記機構を通過するようになっていることと、 前記複数の記録媒体製品を担持し、担持した前記複数の記録媒体製品と共に前記保管領域に収納されるように構成され、少なくとも2つの側からアクセス可能なマガジンと、 前記回転軸を横切る1つの方向のみから、前記マガジンの前記少なくとも2つの側を介して、前記保管領域に保管されている前記複数の記録媒体製品の何れにもアクセスできるように、前記マガジンを回転させ、それによって前記回転軸の周りで前記複数の記録媒体製品を一体として回転させるための手段と、及び 前記1つの方向から前記記録媒体製品を収集し、前記保管領域と前記機構との間で前記記録媒体製品を転送するように動作可能な転送手段とからなる装置。」 である点で一致し、 本願発明では、カセットを交換するために、「マガジンが、担持した複数の記録媒体製品と共に保管領域に対する挿入及び取り出しが可能なように構成され」ているのに対し、引用発明では、マガジンは担持した記録媒体製品と共に保管領域に収納されることが規定されているが、実施例では、マガジンは保管領域において、回転可能であるが取り外しは不可能に固定配置され、転送手段とは反対側の開閉蓋11を開くことによりマガジンに対して外部からカセットの投入や交換が行えるようになっている 、 点で相違している。 しかるに、複数の記録媒体製品を担持し、担持した前記複数の記録媒体製品と共に前記保管領域に収納されるように構成され、記録媒体製品を一体として共通の回転軸の周りを回転させる少なくとも2つの側からアクセス可能なマガジンをオートチェンジャに対して挿入及び取り出しが可能にすることによってオートチェンジャをコンパクトにし、操作を簡単にすることは、本願出願当時すでに周知慣用されている技術(必要ならば、本件の請求人が早期審査、早期審理請求時に事情説明のため提出した特開昭57-169965号公報や特開平2-247859号公報、特開平3-73459号公報等を参照されたい)に過ぎず、また本願発明、引用発明、周知慣用技術のいずれもが、記録媒体のオートチェンジャという共通の技術分野のものであることから、これらの周知慣用技術を引用発明に適用して、引用発明の固定配置されたマガジンを保管領域に対して挿入及び取り出し可能なものと置換する程度のことは当業者において容易に想到可能と認められるので、この相違は格別のものとは認められない。 .IV.結び 以上のとおり、本願発明は、原査定において引用された刊行物に記載の技術に本願出願時すでに周知となっていた技術を勘案することによって、当業者が容易に発明をすることができたと認められるものであり、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。 よって、結論のとおり審決する。 |
審理終結日 | 2003-09-05 |
結審通知日 | 2003-09-09 |
審決日 | 2003-09-25 |
出願番号 | 特願平5-114557 |
審決分類 |
P
1
8・
121-
Z
(G11B)
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最終処分 | 不成立 |
前審関与審査官 | 宮下 誠 |
特許庁審判長 |
麻野 耕一 |
特許庁審判官 |
江畠 博 片岡 栄一 |
発明の名称 | オートチェンジャ |
代理人 | 古谷 聡 |
代理人 | 古谷 馨 |
代理人 | 溝部 孝彦 |