• ポートフォリオ機能


ポートフォリオを新規に作成して保存
既存のポートフォリオに追加保存

  • この表をプリントする
PDF PDFをダウンロード
審決分類 審判 訂正 3項(134条5項)特許請求の範囲の実質的拡張 訂正しない G03G
審判 訂正 特許請求の範囲の実質的変更 訂正しない G03G
審判 訂正 4項(134条6項)独立特許用件 訂正しない G03G
管理番号 1117651
審判番号 訂正2004-39259  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 1995-05-02 
種別 訂正の審決 
審判請求日 2004-11-12 
確定日 2005-06-10 
事件の表示 特許第3367533号に関する訂正審判事件について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件特許3367533号に関する手続の経緯は次のとおりである。

平成 5年10月14日 特許出願
平成14年11月 8日 特許の設定登録
平成15年 7月15日 キヤノン株式会社、藤掛栄蔵及び鈴木
祐子より特許異議の申立て
平成16年 8月24日 異議の決定
平成16年10月13日 取消決定取消請求訴訟
(平成17年(行ケ)第10338号)
平成16年11月15日 本件訂正審判請求
平成17年 1月31日 訂正拒絶理由通知
平成17年 3月 3日 意見書

第2 請求の要旨
本件審判請求は、特許第3367533号の願書に添付した明細書を本件審判請求書に添付された訂正明細書のとおりに訂正することを求めるものであって、その訂正の要旨は次のとおりである。

(ア)訂正事項
特許請求の範囲の【請求項1】に「現像器によりトナー画像を形成するプロセス部」とあるのを、
「現像器によりトナー画像を形成するプロセス部に設けられ前記現像器にトナーを搬送することでトナーが補給されるトナー循環系、前記トナー循環系」
と訂正する。

(イ)訂正事項
特許請求の範囲の【請求項1】に「駆動系を備えているとともに、」とあるのを、
「駆動系、および」
と訂正する。

(ウ)訂正事項
特許請求の範囲の【請求項1】の「前記定着部材を加熱した後に前記駆動モータの駆動を開始する」と「制御装置」の間に、
「とともに、トナーエンドセンサからの出力信号によりトナーエンド状態を判断したとき前記トナー循環系を駆動してトナー補給を行うトナー補給モードが設定されている」
を挿入する。

(エ)訂正事項
特許請求の範囲の【請求項1】の「制御装置を備えており、」と「前記制御装置は」の間に、
「前記駆動モータは、スローアップ、スローダウンおよび定速回転に駆動制御されるステップモータであり、」
を挿入する。

(オ)訂正事項
特許請求の範囲の【請求項1】の「前記制御装置は、前記定着部材の温度がトナー固着解除温度になったときに前記駆動モータの駆動を開始する」と「ことを特徴とする」の間に、
「とともに、印字途中に前記トナー補給モードに入った場合は前記定着器を定着温度で制御しつつ前記駆動モータを駆動制御し、印字途中でないときに前記トナー補給モードに入った場合は前記定着器を最低固着解除温度で制御しつつ前記駆動モータを駆動制御する」
を挿入する。

(カ)訂正事項
特許請求の範囲の【請求項2】を削除する

(キ)訂正事項
段落【0007】に「トナー画像を形成するプロセス部」とあるのを、
「現像器にトナーを搬送することでトナーが補給されるトナー循環系」
と訂正する。

(ク)訂正事項
段落【0008】に「現像器によりトナー画像を形成するプロセス部」とあるのを、
「現像器によりトナー画像を形成するプロセス部に設けられ前記現像器にトナーを搬送することでトナーが補給されるトナー循環系、前記トナー循環系」
と訂正する。

(ケ)訂正事項
段落【0008】に「駆動系を備えているとともに、」とあるのを
「駆動系、および」
と訂正する。

(コ)訂正事項
段落【0008】の「前記定着部材を加熱した後に前記駆動モータの駆動を開始する」と「制御装置」の間に、
「とともに、トナーエンドセンサからの出力信号によりトナーエンド状態を判断したとき前記トナー循環系を駆動してトナー補給を行うトナー補給モードが設定されている」
を挿入する。

(サ)訂正事項
段落【0008】の「備えており、」と「前記制御装置が」の間に、
「前記駆動モータが、スローアップ、スローダウンおよび定速回転に駆動制御されるステップモータであり、」
を挿入する。

(シ)訂正事項
段落【0008】の「前記制御装置が、前記定着部材の温度がトナー固着解除温度になったときに前記駆動モータの駆動を開始する」と「ことを特徴とする」の間に、
「とともに、印字途中に前記トナー補給モードに入った場合は前記定着器を定着温度で制御しつつ前記駆動モータを駆動制御し、印字途中でないときに前記トナー補給モードに入った場合は前記定着器を最低固着解除温度で制御しつつ前記駆動モータを駆動制御する」
を挿入する。

(ス)訂正事項
段落【0008】に「とする。また、本発明の画像形成装置は、前記プロセス部の現像器にトナーを補給する補給手段も、前記プロセス部および前記定着器とともに前記1つの駆動モータで駆動することを特徴とする。」とあるのを、
「とする。」
と訂正する。

(セ)訂正事項
段落【0009】に「トナー画像を形成するプロセス部」とあるのを、
「トナー画像を形成するプロセス部の現像器にトナーを搬送することでトナーが補給されるトナー循環系」
と訂正する。

(ソ)訂正事項
段落【0009】に「1つの駆動モータによりプロセス部」とあるのを、
「1つの駆動モータによりプロセス部のトナー循環系」
と訂正する。

(タ)訂正事項
段落【0009】に「防止される。更に、プロセス部の現像器にトナーを補給するトナー補給手段もプロセス部および定着器とともに1つの駆動モータで駆動されることで、トナー補給時のトナー固着による定着器の損傷が防止されるとともに、トナー補給時の起動トルクが小さくでき、小型のモータが使用可能となる。」とあるのを、
「防止される。更に、印字途中にトナー補給モードに入った場合は定着器を定着温度で制御しつつ駆動モータを駆動制御し、また、印字途中でないときにトナー補給モードに入った場合は定着器を定着温度より低い最低固着温度で制御しつつ駆動モータを駆動制御しているので、印字途中のトナー補給の場合にトナー補給終了後即座に印字可能となり、また、印字途中のトナー補給の場合には装置内部の昇温が防止されるようになる。」
と訂正する。

(チ)訂正事項
段落【0042】に「トナー画像を形成するプロセス部」とあるのを、
「トナー画像を形成するプロセス部の現像器にトナーを搬送することでトナーが補給されるトナー循環系」
と訂正する。

(ツ)訂正事項
段落【0042】の「トナー搬送動作が行われてトナー循環路内に滞留したトナーの溶融や凝集を防止できるようになる。」と「また、駆動モータを1つに」の間に、
「更に、印字途中にトナー補給モードに入った場合は定着器を定着温度で制御しつつ駆動モータを駆動制御し、また、印字途中でないときにトナー補給モードに入った場合は定着器を定着温度より低い最低固着解除温度で制御しつつ駆動モータを駆動制御しているので、印字途中のトナー補給の場合にトナー補給終了後即座に印字可能にしつつ、しかも、印字途中のトナー補給の場合には装置内部の昇温を防止することができる。」
を挿入する。

(テ)請求事項
段落【0042】に「。。」とあるのを、
「。」
と訂正する。

(ト)訂正事項
段落【0042】に「防止できる。更に、プロセス部の現像器にトナーを補給するトナー補給手段もプロセス部および定着器とともに1つの駆動モータで駆動することで、トナー補給時のトナー固着による定着器の損傷を防止できるとともに、トナー補給時の起動トルクを小さくでき、小型のモータを使用できる。」とあるのを、
「防止できる。」
と訂正する。

第3 訂正拒絶理由の概要
当審において、平成17年1月31日付けで通知した訂正拒絶理由の概要は、次のとおりである。

理由1.訂正事項(ア)、(キ)、(ク)、(セ)、(ソ)及び(チ)は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるから、平成6年改正前特許法第126条第2項に規定する要件を満たしていない。

理由2.訂正事項(ウ)及び(コ)ならびにこれらの訂正事項の内容を引用している訂正事項(オ)、(シ)、(タ)及び(ツ)は、実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものであるから、平成6年改正前特許法第126条第2項に規定する要件を満たしていない。

理由3.本件訂正後発明は、訂正後における特許請求の範囲に記載されている事項により構成される発明が特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、平成6年改正前特許法第126条第3項に規定する要件を満たしていないものである。

第4 当審の判断

1.理由1について
上記訂正事項(ア)によって訂正された請求項1に係る発明では、少なくとも以下の2点を特定するものである。
(1)同一の駆動モータで駆動される部位が、少なくとも「現像器によりトナー画像を形成するプロセス部に設けられ前記現像器にトナーを搬送することでトナーが補給されるトナー循環系」及び「定着器」の2つであること。
(2)「トナー循環系」は、「現像器によりトナー画像を形成するプロセス部に設けられ」たものであること。
なお、訂正後の請求項1に係る発明における「前記現像器にトナーを搬送することでトナーが補給されるトナー循環系」は、訂正前の「トナーを補給する補給手段」に他ならない。
そこで、これらの点について、検討する。

本件の願書に添付した明細書(以下、「本件明細書」という。)の特許請求の範囲の請求項1〜2には、以下のとおりに記載されている。
「【請求項1】 転写後の支持体上のトナー画像を少なくとも熱により定着を行う定着器を備えた画像形成装置において、
前記定着器は、回転しながら熱による定着を行う定着部材とこの定着部材のまわりに接触する接触部材とを有する定着器からなり、
現像器によりトナー画像を形成するプロセス部および前記定着器をともに駆動する1つの駆動モータを少なくとも有する駆動系を備えているとともに、および前記定着部材を加熱した後に前記駆動モータの駆動を開始する制御装置を備えており、前記制御装置は、前記定着部材の温度がトナー固着解除温度になったときに前記駆動モータの駆動を開始することを特徴とする画像形成装置。
【請求項2】 前記プロセス部の現像器にトナーを補給する補給手段も、前記プロセス部および前記定着器とともに前記1つの駆動モータで駆動することを特徴とする請求項1記載の画像形成装置。」
本件明細書の段落【0013】には、以下のとおりに記載されている。
「【0013】図示されない駆動系70は駆動モータ71とギア列72からなり、ギア列72はトナー循環系、感光ドラム31、定着ローラ41などに動力を伝達する。」
また、本件明細書の段落【0016】には、以下のとおりに記載されている。
「【0016】図3はトナー循環系とトナータンク36の構成を示す部分切断斜視図である。内部に攪拌器363a、363bをもつトナータンク36は装置にセットされると、蓋361の開口部362からトナー循環路35にトナーを送り出す。トナー循環路35は現像器33とクリーナ部37を結んで閉じたエンドレス状になっている。トナー循環路内には、トナー搬送バネベルト351がエンドレスに張り渡されており、トナー搬送バネベルト351はギア352により駆動され、循環路35内のトナーを搬送する。ギア352は駆動系70により駆動される。」

上記【請求項1】及び【請求項2】の記載からみて、「同一の駆動モータで駆動される部位」は、訂正前の請求項1に係る発明では、少なくとも 「現像器によりトナー画像を形成するプロセス部」及び「定着器」の2つであり、同請求項2に係る発明では、少なくとも「現像器によりトナー画像を形成するプロセス部」、「定着器」及び「プロセス部の現像器にトナーを補給する補給手段」の3つである。
また、訂正前の請求項2の記載からみて、「プロセス部の現像器にトナーを補給する補給手段」は、「現像器によりトナー画像を形成するプロセス部」とは別個のものであることは明らかである。

したがって、「同一の駆動モータで駆動される部位」について、訂正後の請求項1に係る発明は、訂正前の請求項1及び請求項2に係る発明において必須であった「現像器によりトナー画像を形成するプロセス部」を削除するものであるから、上記訂正は、実質上特許請求の範囲を拡張するものである。
この点について、請求人は、上記(2)のように訂正することにより、上記訂正が、実質上特許請求の範囲を拡張するものではない旨の主張をしているが、該訂正は、訂正前の「トナー循環系(補給手段)」が、「プロセス部」とは別個であったものを、「プロセス部」に含まれるように変更するものであって、請求人の主張は、「プロセス部」の技術的意味を変更したうえでのものであるから、到底採用し得ないものである。

上記のとおり、上記訂正事項は、実質上特許請求の範囲を拡張するものであるから、平成6年改正前特許法第126条第2項に規定する要件に適合していない。

2.理由2について
本件明細書の段落【0017】には、以下のとおりに記載されている。
「【0017】図4は制御系51と定着器他のトナー補給動作に関連するユニットとの接続関係を示した図で、制御系は他にも電子写真プロセスの諸要素と接続されているが、ここでは省略した。図中細線は電気的な接続を、細線の二重線は駆動力の伝達を示している。制御系51にはトナーエンドセンサ353の出力信号、定着ローラに接する温度検出素子44の出力信号、インターロックスイッチ62の信号などが入力され、それらの情報を内部のプログラムで処理して、定着ローラやトナー搬送系の駆動信号を駆動系70に、定着器ヒータ43の通電信号をSSR52に、トナーエンドの表示信号をトナーエンド表示64に、ファン駆動信号を冷却ファン11にそれぞれ出力する。」
本件明細書の段落【0018】には、以下のとおりに記載されている。
「【0018】制御系51は、装置が動作している間は、所定時間間隔でトナーエンドセンサ353の出力をモニタし、出力レベルが所定範囲を外れてトナー量が少ない状態であるかどうかを監視する。トナー量が少ないと判断するのは、トナータンク36が空になり交換可能な状態となった時となるようにする。」
本件明細書の段落【0021】には、以下のとおりに記載されている。
「トナーエンドセンサの出力レベルがさらに変化すると、トナーローの場合と同様の判定基準によりトナーエンド状態と判断される。」
本件明細書の段落【0025】には、以下のとおりに記載されている。
「さて、トナーエンド表示を認めてユーザがトナータンク36を交換した後、ユーザが再びカバー61を閉じると、トナー補給を開始する。本実施例では、メモリ53にトナーエンド状態が保持されている時、インターロックスイッチ62が解除からセットされることでカバー61が閉鎖されたことを検知すると、トナー補給モードに入る。トナー補給モードへ入る条件は、この他にもカバー閉鎖直後にトナーエンド状態が検出されたときや、トナーエンド状態で電源が投入されしかもカバーが閉じているとき、あるいはユーザが操作するスイッチによるなどいろいろに設定し得る。」
本件明細書の段落【0026】には、以下のとおりに記載されている。
「トナー補給モードに入ると、ステップS1で定着ローラ表面設定温度が90℃でヒータ制御が開始される。…。サーミスタ検出温度が90℃以上となると、…、駆動系70をスタートさせ(S4)、…。駆動系のスタート後トナーエンドセンサの動作を再開し、トナーエンド状態でなくなっているかどうかを判定する(S6)。…。トナーエンド状態でないと判断されると、…、トナー補給モードを終了する。判定の結果トナーエンド状態のままと判断されると、…トナー補給モードを抜け、トナーエンド判定時と同じ状態に戻る。」

これらの記載からみて、トナー補給モードに入るには、トナーエンド状態であることに加え、インターロックスイッチのセット、カバーの閉鎖、ユーザが操作するスイッチといったユーザによるトナー補給開始を示す操作が必要となるものである。
してみるに、本件明細書に記載の印刷装置においては、トナーエンド状態を判断し、かつ、ユーザによるトナー補給開始を示す操作が入力された場合に限り、制御系がトナー補給モードに入るものである。

しかしながら、上記訂正事項(ウ)によって訂正された請求項1に係る発明における印刷装置は、「トナーエンドセンサからの出力信号によりトナーエンド状態を判断したとき前記トナー循環系を駆動してトナー補給を行うトナー補給モード」を備えたものであって、ユーザによるトナー補給開始を示す操作が入力されない場合においてトナー補給モードに入るものを包含するものである。
すなわち、上記訂正事項(ウ)によって訂正された請求項1に係る発明は、「トナーエンド状態を判断したとき前記トナー循環系を駆動してトナー補給を行うトナー補給モードが設定される」ものであって、本件明細書の【0025】に記載された、インターロックスイッチのセット、カバーの閉鎖、ユーザが操作するスイッチといったユーザによるトナー補給開始を示す操作の有無は、トナー補給モードに入るための要件として上記訂正事項(ウ)によって訂正された請求項1で規定されていないものである。特許発明の技術的範囲は特許請求の範囲の記載に基づいて定められる旨特許法第70条第1項で規定されていることを勘案すると、上記訂正事項(ウ)によって訂正された請求項1に係る発明においては、「トナー補給開始を示す操作を経ずに、トナーエンド状態の検知からただちにトナー補給モードに入る」印刷装置も、その技術的範囲に包含されるものである。

上記のとおり、上記訂正事項は、実質上特許請求の範囲を変更するものであるから、平成6年改正前特許法第126条第2項に規定する要件に適合していない。

3.理由3(独立特許要件)について
(1)訂正後の発明
本件訂正後における特許請求の範囲に記載された事項により構成される発明(以下「本件訂正後発明」という。)は、訂正請求書に添付された明細書の特許請求の範囲に記載された次のとおりのものである。
「転写後の支持体上のトナー画像を少なくとも熱により定着を行う定着器を備えた画像形成装置において、
前記定着器は、回転しながら熱による定着を行う定着部材とこの定着部材のまわりに接触する接触部材とを有する定着器からなり、
現像器によりトナー画像を形成するプロセス部に設けられ前記現像器にトナーを搬送することでトナーが補給されるトナー循環系、前記トナー循環系および前記定着器をともに駆動する1つの駆動モータを少なくとも有する駆動系、および前記定着部材を加熱した後に前記駆動モータの駆動を開始するとともに、トナーエンドセンサからの出力信号によりトナーエンド状態を判断したとき前記トナー循環系を駆動してトナー補給を行うトナー補給モードが設定されている制御装置を備えており、
前記駆動モータは、スローアップ、スローダウン及び定速回転に駆動制御されるステップモータであり、
前記制御装置は、前記定着部材の温度がトナー固着解除温度になったときに前記駆動モータの駆動を開始するとともに、印字途中に前記トナー補給モードに入った場合は前記定着器を定着温度で制御しつつ前記駆動モータを駆動制御し、印字途中でないときに前記トナー補給モードに入った場合は前記定着器を最低固着解除温度で制御しつつ前記駆動モータを駆動制御することを特徴とする画像形成装置。」

(2)引用文献
ア 本願の出願日(平成5年10月14日)以前に頒布された刊行物である、特開平1-91165号公報(以下「引用文献1」という。)には、以下に列挙する事項が記載されている。
(1a)公報2ページ右下欄16行目〜3ページ左上欄10行目
「先ず、第2図により本発明に係る現像装置について説明する。
図において、符号1はトナー収容部を示し、筒体の内側にカートリッジ2を着脱可能に収納自在である。このカートリッジ2は図示省略のトナー補給口からこのトナー収容部1内に装着される。カートリッジ2の内部にはトナーが収容されていて、内蔵のアジテータ2Aにより攪拌が行なわれる。カートリッジ2の一部にはスリット状の開口2Bが形成されていて、この開口2Bはホッパ部3の開口3Aに対向している。
ホッパ部3の内側にはアジテータ3Bが設けてある。このホッパ部3の出口は現像部4に述通しており、該出口部にはスプライン軸上のトナー補給軸5が矢印方向に回転自在に設けてある。」
(1b)公報3ページ右上欄2〜14行目
「上記アジテータ、パドル等の駆動機構は第3図に示すようになっている。
すなわち、複写機本体のメインモータにより駆動される駆動軸にトナー補給クラッチ10を介して歯車7Gが設けてある。…。
従って、トナー補給クラッチ10が接続されるオンのときのみ、トナー補給軸5,アジテータ2A、3Bは駆動されることになる。」
(1c)公報4ページ右上欄6行目〜左下欄15行目
「次に、第1図を参照して、トナーエンド表示後、カートリッジ2が交換された後の複写機の制御態様について説明する。
トナーエンド表示後、所定枚数(例えば50枚)コピーされると機械は停止される。この状態をトナーエンドと称し、トナーエンド表示後所定枚数に至らない範囲での機械の状態をトナーニアエンドと称する。
メインスイッチSW1(第9図参照)が入り、トナーエンド表示がオンとなっているトナーエンド又はトナーニアエンドの下で、トナーカットリッジの交換に際しては前カバーが開けられるとスイッチ手段の傾きでメインスイッチSW1がオフにされる。同時に定着ローラに対するヒータ23もオフとなる(第9図参照)。なお、トナーエンド時の電源オフ保証用にCPU電源端子にはバックアップ用電池が接続されている。
次に、カートリッジが交換されて前カバーが閉じられ、電源がオンされるとトナーエンド表示はクリア(オフ)される。前カバースイッチを第8図に符号25で示す。
その後、定着サーミスタ24(第8図参照)による温度検知により、定着ローラのヒータ23が所定温度に達して定着可能な定着ウォームアップが可能(OK)な状態になると、メインモータM、トナー補給クラッチ10を8secオンさせた後にオフさせてコピー可表示がそれまで「WAIT」であったのを「READY」に切換えて画像形成プロセスが可能な状態にし、メインモータM、トナー補給クラッチ10をオフとする。」
(1d)4ページ右下欄9行目〜5ページ左上欄15行目
「次にフロチャートを以て説明する。
第10図において、トナーエンド表示から所定枚数(例えば50枚)のコピーが行なわれるまでの間は、トナー制御フラグはセットの状態とはならず、トナー補給クラッチ10がオンの状態ではアジテータ3Bも回転するので、第6図の状態となってトナーエンドセンサ22はオン・オフを繰り返し、その都度トナーニアエンドSWカウンタが1ずつ加算される。
上記トナー補給クラッチ10は当該複写機の1コピーサイクル中の所定のタイミング、例えばスキャンの終了時にトナー濃度が別手段で検出されて所定濃度よりも低いと判断されると4sec連続してオンにされて、その後オフされるように設定されている。オンにされるのは次のコピーサイクルにおける上記所定のタイミング時である。
而して、第10図のフローチャートでトナー補給クラッチ10がオフのときにトナーニアエンドSWカウンタ値が2以上ならばトナーニアエンドモードがセットされる。
次に、第11図で、トナーニアエンドモードならば、トナーエンド後フラグのセット有無が判別されセット無ならばトナーニアエンドカウンタを加算していき、50を越えたときつまり50枚コピーが実行されると、トナーエンド表示、コピー終了フラグセット等がなされる。」

これらの記載からみて、引用文献1には以下のとおりの発明(以下「引用発明1」という。)が開示されているものと認める。
「定着ローラを有し定着サーミスタで温度監視を行う定着器を備えた画像形成装置において、
トナーカートリッジからトナーを搬送することで現像器にトナーが補給される、アジテータ3B及びトナー補給軸5を含む系と
前記アジテータ3B及びトナー補給軸5ならびに定着ローラを駆動するメインモータと、
定着ローラが定着ウォームアップされた後にメインモータの駆動を開始するとともに、トナーニアエンドSWからの出力信号によりトナーエンド状態を検出し、前記アジテータ3B及びトナー補給軸5を含む系を駆動してトナー補給を行う手段とを備えており、
定着ローラが加熱され定着温度に達してから定着ローラの回転を開始する画像形成装置。」

イ 本願の出願日(平成5年10月14日)以前に頒布された刊行物である、特開平5-88582号公報(以下「引用文献2」という。)には、以下に列挙する事項が記載されている。
(2a)【0002】〜【0017】
「【0002】
【従来の技術】
一般的な電子写真装置では、均一に帯電された感光体をレーザビームなどで露光して潜像を形成し、これを微小粉体(以下トナーと称する)により現像し粉体像(以下トナー像と称する)を形成する。このトナー像を記録媒体(以下記録紙と称する)に転写し、記録紙に転写されたトナー像を、熱や圧力またはその両方で記録紙に定着して、出力画像を得る。
【0003】
一般的な画像定着装置は、少なくとも加熱手段を有する加熱ローラと、この加熱ローラに圧接した加圧ローラとで構成され、この加熱および加圧された一対のローラ間に表面にトナー像を形成した記録紙を挟持しつつ搬送することにより、トナー像に短時間熱を加えて記録紙上に定着させるものである。
【0004】
以下、従来の画像定着装置について、図4〜図8を用いて説明する。図4は画像定着装置の構成を示した側面図、図5は定着部位の拡大図、図6は画像定着装置の温度制御部のブロック図、図7は従来の画像定着方法における制御フロー図、図8は従来の画像定着方法の制御内容を説明する図である。
【0005】
図4において、101は加熱ローラであり、駆動源(図示せず)に連結され、側壁(図示せず)に回転自在に支持されている。103はヒータであり、加熱ローラ101内に収容されている。104はサーミスタなどで構成される温度検出手段であり、加熱ローラ表面温度を検出する。102は加圧ローラであり、加圧ローラ支持部材105によって、加熱ローラ101に接離自在に支持される。加圧ローラ支持部材105は側壁(図示せず)にピン106によって支持される。加圧ローラ支持部材105は、その端部にて付勢部材(図示せず)によって付勢力fで矢印A方向に付勢され、加圧ローラ102を加熱ローラ101に圧接する。そのとき、加圧ローラ102と加熱ローラ101間の圧接力Fは、てこの原理によって式(1)のようになる。
【0006】
F=(L2/L1)×f …(1)
加熱ローラ101は表面にシリコンゴムなどを薄くコーティングした金属ローラであり、加圧ローラ102は表面に薄い弗素樹脂皮膜を持つゴムローラである。両ローラを圧接することによって、図5のごとく加圧ローラ102を変形させて接触面積を増加させ、記録紙の加熱時間(a点からb点間で移動する時間)を長くしている。
【0007】
次に、図4を用いて画像定着装置による定着動作を説明する。定着動作時において、加熱ローラ101はC方向に、加圧ローラ102はD方向にそれぞれ等しい周速で回転し、トナー像112 が形成された記録紙113はB方向に搬送されてくる。記録紙ガイド111 によって画像定着に導かれた表面に未定着トナー像112を有する記録紙113は、ヒータ103によって熱せられた加熱ローラ101と加圧ローラ102との間を通過する。そのときに未定着トナー像が加熱ローラ101の表面に圧接され、瞬間的に熱を加えられてトナーが溶融し、記録紙113に融着し、トナー像が記録紙上113に定着される。画像定着装置を出た記録紙113は、排出ローラ107,108によって排紙トレイ109上に排出される。
【0008】
次に図6を用いて画像定着装置の温度制御について詳細に説明する。CPU1はデータラッチ部2に対して、実際の温度に対応したディジタルデータを出力する。データラッチ部2でラッチされたデータはデータ比較部3に出力される。一方定着器の温度は加熱ローラ101表面に接して設置された温度検出手段104である温度検出部4で検出される。温度検出部4ではサーミスタを用いて、温度によりサーミスタの抵抗値が変化することを利用し、サーミスタ両端の電位をA/D変換部5でディジタルデータに変換し、これをデータ比較部3に出力する。データ比較部3はデータラッチ部2のデータとA/D変換部5のデータを比較し、データラッチ部2の値の方が高温を示せばHIレベルを、それ以外の場合はLOレベルをゲート部7に出力する。
【0009】
後述するエラー検出部6は通常(エラー非検出時)はHIレベルをゲート部7に出力している。ゲート部7はAND回路で構成されており、エラー非検出時は、データ比較部3の出力レベルをそのままヒータドライバ8に入力する。ヒータドライバ部8は入力がHIレベルならば定着装置ヒータ9をオンに、入力がLOレベルならば定着装置ヒータ9をオフに制御する。
【0010】
一方温度検出部4の出力はエラー検出部6にも入力されている。エラー検出部6は前述したように通常HIレベルを出力しているが、温度検出部4の出力電位が、たとえば-10℃以下に相当する電位であればサーミスタがオープン、230℃以上に相当する電位であれば制御に失敗していると判断し、ゲート部7に対してLOレベルを出力する。このときAND回路であるゲート部7は常にLOレベルを出力するから、ヒータドライバ8の入力はLOとなり定着装置ヒータ9はオフされる。
【0011】
また画像定着装置は一般に高温を扱うため、安全上加熱ローラ上にサーモスタットなどを配置し(図示せず)、加熱ローラの表面温度を独立して監視し、設定値以上の高温が検出された場合、強制的に定着装置ヒータ9をオフする構成がとられている。また、A/D変換部5の出力およびエラー検出部6の信号はCPU1に接続されており、CPU1で現在の定着器温度を監視でき、またエラーの発生も知ることができる。
【0012】
次に図7を用いて従来例の画像定着装置の制御フローを詳細に説明する。
〈ステップ2-1〉
まず装置全体の電源が投入される。
〈ステップ2-2〉
加熱ローラ表面温度を待機中の設定温度Tst(たとえば150℃)に設定する。
〈ステップ2-3〉
温度設定を行うと、ヒータがオンし加熱ローラの表面温度が上昇する。CPUは加熱ローラ表面温度の監視を開始し、表面温度がプロセス初期化開始温度Tin(たとえば100℃)になるまで待つ。プロセス初期化開始温度Tinは加熱ローラ上に付着したトナーが十分軟化する温度であり、Tin未満の温度で加圧ローラ、加熱ローラを回転させると、ローラ表面に傷などが生じる恐れがある。
〈ステップ2-4〉
加熱ローラ表面温度がTinに達したなら、加熱ローラ、加圧ローラをともに回転させる。回転速度は定着速度Vaである。
〈ステップ2-5〉
電子写真プロセスの初期化を開始する。プロセス初期化が終了するまで次のステップには進まない。
〈ステップ2-6〉
加熱ローラ表面温度が待機中の設定温度Tstになるまで待つ。この間に加圧ローラ表面温度も待機中Tstに近付く。
〈ステップ2-7〉
加熱ローラ、加圧ローラの回転を停止する。以上でウォームアップを終了する。
〈ステップ2-8〉
印字開始指令の有無を判定する。
〈ステップ2-9〉
印字開始指令がない場合、常に加熱ローラ表面の温度設定は待機中の設定温度Tstを維持する。
〈ステップ2-10〉
CPUでエラーをチェックする。異常高温、サーミスタオープンなどのエラーが発生すればエラー処理を行う。エラー処理には、ヒータの強制オフが含まれる。エラーが検出されなければ、ステップ2-8に戻る。
〈ステップ2-11〉
印字開始指令があった場合、加熱ローラ表面温度を動作中の設定温度Tprに設定する。Tprは待機中の設定温度Tstより高温の設定である(たとえば160℃)。このように待機中の加熱ローラ表面温度を低く設定する理由は、消費電力量の低減、画像定着装置近傍に熱に注意すべきユニット(たとえば現像ユニットなど。電子写真装置をコンパクトにしようとすると、画像定着装置の上に現像ユニットを配置すると最良の結果が得られる場合がある)が存在するなどによる。
〈ステップ2-12〉
加熱ローラと加圧ローラの回転を開始する。回転速度は定着速度のVa。
〈ステップ2-13〉
各印字プロセスを順次起動し画像を形成する。
〈ステップ2-14〉
CPUでエラーをチェックする。異常高温、サーミスタオープンなどのエラーが発生すればエラー処理を行う。エラー処理は全ての電子写真プロセスの停止を意味する。
〈ステップ2-15〉
全印字プロセスが終了したかチェックする。プロセスの途中であればステップ2-14に戻る。
〈ステップ2-16〉
全印字プロセスが終了していれば、加熱ローラ、加圧ローラの回転を停止し、ステップ2-8に戻る。
【0013】
次に図8を用いて上記の動作フローに基づく実際の制御結果を詳細に説明する。図8で細線で描かれたグラフは、加熱ローラ表面においてサーミスタで検知される実際の温度を示し、太線で描かれたグラフは、CPUで設定する加熱ローラ表面温度の設定値である。
【0014】
時間軸X0の時点で装置全体の電源が投入される。電源投入直後に加熱ローラ表面温度は待機中の設定温度であるTstに設定される。温度設定とともに加熱ローラ内のヒータはオンされ、加熱ローラ表面温度は上昇し始める。やがて加熱ローラ表面温度はトナーが十分に軟化する温度Tinに達する。Tinに達した時点をX1とするとX0からX1の間は加熱ローラ、加圧ローラはともに停止している。トナーが軟化する前にローラを回転させると各ローラを傷つける恐れがあるからである。
【0015】
加熱ローラ表面温度がTinに達すると、加熱ローラ、加圧ローラともに回転を開始する。回転速度は定着速度のVaである。それと同時に電子写真プロセスの初期化が行われる。初期化では電子写真プロセスの実行に必要なユニットの有無、各ユニット位置チェック、各種モータ動作チェックなどを行う。これらのチェックでエラーが検出されれば、エラー処理を行い、全ての動作を停止する。
【0016】
加熱ローラ、加圧ローラの回転は、加熱ローラ表面温度が待機中の設定温度Tstに達するまで続けられる。Tstに達した時点をX2とすれば、両ローラが回転速度Vaで回転しているのは、X1からX2までとなる。X1からX2までの加熱ローラ表面温度の上昇速度勾配が異なるのは、X1以前は停止していたローラを回転させるため、加熱ローラの熱が加圧ローラに奪われるためである。
【0017】
X2の時点で加熱ローラ、加圧ローラの回転を停止し、ウォームアップ期間を終了する。これ以降は待機中となり、印字開始指令が与えられれば、各電子写真プロセスを起動し画像形成を行う。加熱ローラの表面温度はX2以降オーバーシュートし、定着可能温度Tawを越える温度まで上昇するが、待機時間が経過するにつれてTstを中心として±3℃程度で安定する。」

これらの記載からみて、引用文献2には以下のとおりの発明(以下「引用発明2」という。)が開示されているものと認める。
「転写後の記録媒体上のトナー画像を少なくとも熱により定着を行う定着器を備えた電子写真装置において、
前記定着器は、回転しながら熱による定着を行う加熱ローラとこの加熱ローラに圧接した加圧ローラとを有する定着器からなり、
定着器を駆動する駆動源、および前記定着部材を加熱した後に前記駆動モータの駆動を開始する温度制御部を備えており、
前記温度制御部は、前記定着部材の温度がプロセス初期化開始温度になったときに前記駆動モータの駆動を開始するとともに、印字途中では定着器を動作中の設定温度で制御し、印字途中でないときは動作中の設定温度未満でかつプロセス初期化開始温度以上である待機中の設定温度で定着器を制御することを特徴とする電子写真装置。」

ウ 本願の出願日(平成5年10月14日)以前に頒布された刊行物である、特開平5-3700号公報(以下「引用文献3」という。)には、以下に列挙する事項が記載されている。
(3a)【0002】〜【0003】
「 【0002】
【従来の技術】
図6にレーザプリンタ,レーザファクス等として広く利用される電子写真装置の概略構成を示す。
同図において、1は像担持体ユニットでプロセス手段を形成するドラム状感光体からなる像担持体2、廃トナーボックス3、現像器4等をケース5に一体的に組込んだものである。この像担持体ユニット1は、カバー7を開放することによって、矢印Y方向から本体6に着脱可能である。
したがって、図6に実線で示す装着状態において、右方向から左方向に用紙を搬送すれば、像担持体2を通過するときに静電画像が転写され、左方向の定着器8を通し、用紙上に電子写真をとることができる。
【0003】
この用紙搬送手段は、搬送ローラ41,ステッピングモータ,ステッピングモータ制御部,スローアップカーブデータ記憶手段等を含み形成されている。また、ステッピングモータは像担持体2,定着器8の回転駆動手段をも兼ねるメーンモータとして形成される場合が多い。」
(3b)【0045】
「 【0045】
なお、本実施例では、スローダウンカーブデータについても、カウンタ9のデータ記憶エリアに記憶させ、かつデータ読取入力制御手段(11,12),ステッピングモータ制御部20もスローアップカーブデータの場合と同様に作動するものと構成されているが、スローアップカーブデータについての上記説明から容易推考できるので、スローダウンカーブデータについての説明は割愛する。」

これらの記載事項から、引用文献3には以下のとおりの発明(以下「引用発明3」が開示されているものと認める。
「像担持体2と定着器8とを少なくとも含む電子写真装置内の部位を回転駆動するステッピングモータからなるメーンモータを有し、前記ステッピングモータはスローアップおよびスローダウンを行う電子写真装置。」

(3)対比
本件訂正後発明と引用発明1とを対比する。
引用発明1における「定着ローラ」は、本件訂正後発明における「定着部材」に相当する。
引用発明1における「トナーカートリッジからトナーを搬送することで現像器にトナーが補給される、アジテータ3B及びトナー補給軸5を含む系」は、現像器にトナーを搬送することでトナーが補給されるものであるから、本件訂正後発明における「トナー循環系」と同様の機能を有する。
定着部材と現像器にトナーを搬送することでトナーを補給する系とを駆動するモータである点で、引用発明1における「メインモータ」は本件訂正後発明における「駆動モータ」に相当する。
引用発明1における定着ローラが所定温度に達してからメインモータを駆動することは、本件訂正後発明における定着部材を加熱した後に駆動モータの駆動を開始することに相当する。
引用発明1における「トナーニアエンドSWからの出力信号によりトナーエンド状態を検出し、前記アジテータ3B及びトナー補給軸5を含む系を駆動してトナー補給を行う」ことは、本件訂正後発明における「トナーエンドセンサからの出力信号によりトナーエンド状態を判断したときトナー循環系を駆動してトナー補給を行う」ことに相当する。

したがって、両者は、
「転写後の支持体上のトナー画像を少なくとも熱により定着を行う定着器を備えた画像形成装置において、
前記定着器は、回転しながら熱による定着を行う定着部材を有する定着器からなり、
現像器によりトナー画像を形成するプロセス部に設けられ前記現像器にトナーを搬送することでトナーが補給される系、前記トナーが補給される系および前記定着器をともに駆動する1つの駆動モータを少なくとも有する駆動系、および前記定着部材を加熱した後に前記駆動モータの駆動を開始するとともに、トナーエンドセンサからの出力信号によりトナーエンド状態を判断したとき前記トナー循環系を駆動してトナー補給を行うトナー補給モードが設定されている制御装置を備えており、
前記制御装置は、前記定着部材の温度がトナー固着が解除されている温度になったときに前記駆動モータの駆動を開始することを特徴とする画像形成装置。」
である点で一致し、以下に列挙する点で相違している。

(あ)本件訂正後発明における定着器は定着部材に加えて定着部材のまわりに接触する接触部材とを有し、制御装置は定着部材の温度がトナー固着解除温度になったときに駆動モータの駆動を開始し、印字途中に前記トナー補給モードに入った場合は前記定着器を定着温度で制御しつつ前記駆動モータを駆動制御し、印字途中でないときに前記トナー補給モードに入った場合は前記定着器を最低固着解除温度で制御しつつ前記駆動モータを駆動制御するのに対して、引用発明1は接触部材を有するか否か不明であり、定着ローラが加熱され定着温度に達してから定着ローラの回転を開始する点。
(い)トナー画像を形成するプロセス部に設けられ現像器にトナーを搬送することでトナーが補給される系において、本件訂正後発明においてはトナー循環系であるのに対して、引用発明1においてはアジテータ3B及びトナー補給軸5を介してトナーカートリッジからトナーを搬送することで現像器にトナーが補給される系である点。
(う)本件訂正後発明における駆動モータは、スローアップ、スローダウン及び定速回転に駆動制御されるステップモータであるのに対して引用発明1ではその旨の開示が無い点。

(4)判断
ア 相違点(あ)について
トナーの固着による定着器の損傷を起こさずに定着器を駆動する温度である点で、引用発明2におけるプロセス初期化開始温度は、本件訂正後発明におけるトナー固着解除温度に相当する。
印字途中の定着器の制御目標温度である点で、引用発明2における動作中の設定温度は、本件訂正後発明における定着温度に相当する。
印字途中でないときの定着器の制御目標温度であって、トナーの固着による定着器の損傷を起こさずに定着器を駆動する温度である点で、引用発明2における待機中の設定温度は、本件訂正後発明における最低固着解除温度と同等の意味を有する。
ゆえに、引用文献2には、上記相違点(あ)に係る構成のうち、定着部材に接触する部材を設けること、定着部材の温度がトナー固着解除温度になったときに駆動モータの駆動を開始すること及び印字途中に前記トナー補給モードに入った場合は前記定着器を定着温度で制御しつつ前記駆動モータを駆動制御することは開示されている。しかしながら、印字途中でないときの定着器の制御目標温度を本件訂正後発明では最低固着解除温度に設定するのに対して引用発明2では最低固着解除温度以上である待機中の設定温度となるよう制御するが待機中の設定温度が最低固着解除温度である点までは開示されていない。
そこで、引用発明1と引用発明2との適用容易性について検討する。引用発明1と引用発明2は、いずれも画像形成装置の駆動制御に関する技術であり、同一の技術分野に属する。また、組み合わせによって新規の作用効果を奏するものでもない。加えて、引用発明2における待機中の設定温度はトナーが固着しない温度範囲の中から設定するものであって、引用発明2を実施するにあたり、その待機中の設定温度は該温度範囲内において当業者が任意に設定しうる事項に過ぎないから、待機中の設定温度を最低固着解除温度に設定することは、当業者が実装の過程で適宜選択しうる事項にすぎない。

したがって、引用発明1における画像形成装置において、相違点(あ)に係る事項を引用発明2から導き出すことは、当業者が容易に想到し得るものである。

イ 相違点(い)について
クリーニング装置で回収したトナーを現像器に搬送する手段を有する画像形成装置であって、該搬送する手段を介して新しいトナーを現像器に補給するものは、たとえば特開昭54-89742号公報、特開昭55-129375号公報及び特開平2-236575号公報に記載されているように当業者に周知である。
また、クリーニング装置と現像器の間でトナーを循環搬送し、クリーニング装置で回収したトナーを現像器に搬送する機能を有するものは、たとえば特開昭54-89742号公報及び実願昭56-111808号(実開昭58-18270号)のマイクロフィルムに記載されている様に、当業者に周知である。
これらの周知技術の存在からみて、クリーニング装置と現像器の間でトナーを循環搬送し、クリーニング装置で回収したトナーを現像器に搬送する機能を有するとともに、該搬送する手段を介して新しいトナーを現像器に補給するもの、すなわち相違点(い)における「現像器にトナーを搬送することでトナーが補給されるトナー循環系」は、本件特許の出願当時すでに当業者に周知であったものと認められる。
したがって、引用発明1における画像形成装置において、周知の「現像器にトナーを搬送することでトナーが補給されるトナー循環系」により、「トナー画像を形成するプロセス部に設けられ現像器にトナーを搬送することでトナーが補給される系」を構成することは、当業者が必要に応じて適宜なし得る単なる設計変更程度の事項にすぎない。

ウ 相違点(う)について
引用文献3に記載されている様に、像担持体と定着器とを少なくとも含む電子写真装置内の部位を回転駆動するステッピングモータからなるメーンモータを有し、前記ステッピングモータはスローアップおよびスローダウンを行うことは当業者に公知である。
引用文献3には定速回転を行うことが一見記載されていない。しかしながら、引用文献2には、摘示事項(2a)において、定着速度Vaで回転させることが記載されている。この様に、一定の速度で定着器を駆動することは、当業者が通常行っている事項にすぎない。
このことを勘案するに、引用文献3に記載された発明においても定速回転を行うことは、直接記載されていなくとも、当業者に自明の事項にすぎない。
したがって、引用発明1における画像形成装置において、その駆動のために引用文献3に記載されたステッピングモータを用いることは、当業者が容易に想到し得るものである。

エ まとめ
以上のとおり、相違点(あ)ないし(う)は、いずれも当業者が容易に想到し得るものであり、そして、相違点(あ)ないし(う)を組み合わせたことにより、顕著な作用効果を奏するものでもない。
よって、本件訂正後発明は、引用文献1ないし3に記載された発明及び周知技術に基づいて、当業者が容易に想到し得るものであって、特許法第29条第2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものであるから、平成6年改正前特許法第126条第3項の規定に適合しない。

第4 むすび
以上のとおりであるから、上記訂正事項は平成6年改正前特許法第126条第2項の規定に適合するものではなく、また、同法第126条第3項の規定に適合するものでもない。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-04-13 
結審通知日 2005-04-15 
審決日 2005-04-26 
出願番号 特願平5-257285
審決分類 P 1 41・ 856- Z (G03G)
P 1 41・ 854- Z (G03G)
P 1 41・ 855- Z (G03G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 ▲高▼橋 祐介  
特許庁審判長 江藤 保子
特許庁審判官 井出 和水
山下 喜代治
山口 由木
伏見 隆夫
登録日 2002-11-08 
登録番号 特許第3367533号(P3367533)
発明の名称 画像形成装置  
代理人 青木 健二  
  • この表をプリントする

プライバシーポリシー   セキュリティーポリシー   運営会社概要   サービスに関しての問い合わせ