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審決分類 審判 査定不服 特36条4項詳細な説明の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F25B
審判 査定不服 特17条の2、3項新規事項追加の補正 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F25B
審判 査定不服 特36条6項1、2号及び3号 請求の範囲の記載不備 特許、登録しない(前置又は当審拒絶理由) F25B
管理番号 1117709
審判番号 不服2004-2620  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-06-22 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2004-02-10 
確定日 2005-06-09 
事件の表示 平成11年特許願第350719号「冷媒凝縮器」拒絶査定不服審判事件〔平成13年 6月22日出願公開、特開2001-165532〕について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1.手続の経緯
本願は、平成11年12月9日の出願であって、平成15年9月25日付けで拒絶理由が通知され、同年11月27日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされ、平成16年1月7日付で拒絶査定がなされ、これに対して、同年2月10日付けで審判請求がなされ、更に、当審において、同年12月22日付けで拒絶理由が通知され、平成17年3月14日付けで意見書が提出されるとともに手続補正がなされたものである。

第2.平成17年3月14日付け手続補正についての補正却下の決定

[補正却下の決定の結論]
平成17年3月14日付け手続補正(以下、「本件補正」という。)を却下する。

[理由]
1.補正後の請求項1の記載
本件補正により、特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに補正された。

「【請求項1】 内部に冷媒通路(141)が形成され、積層配置された多数のチューブ(14)と、前記チューブ(14)間に配置されたフィン(15)と、前記チューブ(14)の長手方向両端側に配設され、前記冷媒通路(141)と連通するヘッダタンク(11、12)とを有し、前記チューブ(14)間を通過する空気と熱交換して、前記冷媒通路(141)内を流れる冷媒を凝縮させる凝縮器(10)において、
前記冷媒通路(141)のチューブ積層方向高さをチューブ内通路高さ(Tr)とし、前記フィン(15)のチューブ積層方向の高さをフィン高さ(Fh)としたとき、このチューブ内通路高さ(Tr)を
フィン高さ(Fh)2mm超6mm以下では、0.35〜0.8mmに設定し、
フィン高さ(Fh)6mm超8mm以下では、0.5〜0.8mmに設定し、
更に、前記チューブ(14)の外表面と前記冷媒通路(141)との間のチューブ積層方向寸法をチューブ外周肉厚Tdとし、前記チューブ(14)のチューブ積層方向高さをチューブ高さThとし、隣接する前記チューブ(14)のチューブ積層方向間隔をチューブピッチTpとし、通風開口比(Pr)=Th/Tpとしたとき、
0.1429×Td2+0.1343×Td+0.139≧通風開口比(Pr)≧0.1429×Td2+0.1343×Td+0.113、にしたことを特徴とする冷媒凝縮器。」

しかし、本件補正により限定した上記「このチューブ内通路高さ(Tr)をフィン高さ(Fh)2mm超6mm以下では、0.35〜0.8mmに設定し、フィン高さ(Fh)6mm超8mm以下では、0.5〜0.8mmに設定し、」の点は、出願当初の明細書又は図面に記載されておらず、また、これらの記載からみて自明のこととも認められない。

審判請求人は、本件補正と同日付けの意見書で、上記の点に関して、「図3ないし図6の図示と、図7の図示に基づくものである。図7には、フィン高さ(Fh)が6mm以下の範囲、すなわち丸印又は三角印で示される曲線では、およそ0.35〜0.8mmの範囲で優れた放熱性能が得られることが明確に示されている。しかも、図3ないし図6には、横軸のフィン高さFhが2mmにおいても高い放熱性能が得られることが示されている。このことから、図7にはフィン高さ2mmの曲線が示されていないが、フィン高さ2mmにおいても、図7に図示されるフィン高さ4mmと同程度の高い放熱性能が得られることは図3ないし図6から明らかである。よって、図3ないし図6と、図7との図示には、フィン高さ(Fh)2mm超6mm以下では、0.35〜0.8mmに設定することが明確に図示されている。さらに、図7には、フィン高さ(Fh)が6mmを超え、8mm以下程度の範囲、すなわち三角印又は四角印で示される曲線では、先の範囲よりやや高めのおよそ0.5〜0.8mmの範囲で優れた放熱性能が得られることが明確に示されている。」(第1頁下から2行ー第2頁第10行)と主張する。

しかし、図7には、フィン高さ(Fh)が6mmの曲線(三角印で示される曲線)が4本示されているのに対して、フィン高さ(Fh)が4mmの曲線(丸印で示される曲線)、及び、フィン高さ(Fh)が8mmの曲線(四角印で示される曲線)は、1本しか示されていない。また、これらの曲線は、フィン高さ(Fh)にかかわらず、ほぼ同様な形状をしており、チューブ内通路高さ(Tr)が0.5より小さくなると、放熱性能比(%)は急激に低下している。

更に、図3ないし図6には、チューブ高さ(Th)ごとに、フィン高さ(Fh)に対する放熱性能比(%)のグラフが示されているのみであり、チューブ内通路高さ(Tr)に対する放熱性能比(%)のグラフは示されていない。また、図3ないし図6において、フィン高さ(Fh)が2mmの場合の放熱性能比(%)は、フィン高さ(Fh)が4mmの場合に比べて急激に低下している。

したがって、本件補正により限定した上記の点が、図3ないし図6、及び図7に明確に示されているという審判請求人の上記主張は、到底採用できない。

よって、本件補正は、特許法第17条の2第3項の規定に違反し、同法第159条第1項で読み替えて準用する同法第53条第1項の規定により却下すべきものである。

第3.本件明細書
上記のとおり、本件補正(平成17年3月14日付け手続補正)は却下されたので、本件明細書は、平成15年11月27日付けの手続補正により補正されたものである。

また、その特許請求の範囲の請求項1は、次のとおりに記載されている。

「【請求項1】 内部に冷媒通路(141)が形成され、積層配置された多数のチューブ(14)と、前記チューブ(14)間に配置されたフィン(15)と、前記チューブ(14)の長手方向両端側に配設され、前記冷媒通路(141)と連通するヘッダタンク(11、12)とを有し、前記チューブ(14)間を通過する空気と熱交換して、前記冷媒通路(141)内を流れる冷媒を凝縮させる凝縮器(10)において、
前記冷媒通路(141)のチューブ積層方向高さをチューブ内通路高さ(Tr)としたとき、このチューブ内通路高さ(Tr)を0.35〜0.8mmに設定し、
更に、前記チューブ(14)の外表面と前記冷媒通路(141)との間のチューブ積層方向寸法をチューブ外周肉厚Tdとし、前記チューブ(14)のチューブ積層方向高さをチューブ高さThとし、隣接する前記チューブ(14)のチューブ積層方向間隔をチューブピッチTpとし、通風開口比(Pr)=Th/Tpとしたとき、
0.1429×Td2 +0.1343×Td+0.139≧通風開口比(Pr)≧0.1429Td2+0.1343×Td+0.113、にしたことを特徴とする冷媒凝縮器。」

第4.平成16年12月22日付けで通知された拒絶理由(以下、「本件拒絶理由」という。)
本件拒絶理由は、次のとおりのものである。

本件出願は、明細書及び図面の記載が下記の点で不備のため、特許法第36条第4項及び第6項に規定する要件を満たしていない。

1.特許請求の範囲に記載されたチューブ内通路高さ(Tr)、通風開口比(Pr)、及びチューブ外周肉厚(Td)の各数値範囲は、発明の詳細な説明の段落【0019】に記載された前提条件のもとシュミレーションを行い、所定の放熱性能が得られる範囲として求めたものであるにもかかわらず、特許請求の範囲にはこの前提条件が記載されていない。したがって、特許請求の範囲に記載された発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない(以下、「本件拒絶理由1」という。)。

2.発明の詳細な説明の段落【0027】には、「そして、図12は、図8〜11から各チューブ外周肉厚Td(0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm)毎に放熱性能が高くなる通風開口比Prの範囲を求めて、通風開口比Prの最適範囲を示したものである。ここで、通風開口比Prの最適範囲は、チューブ外周肉厚Tdで整理した下記式1で表すことができる。」と記載されているが、図8〜11から明らかなように、放熱性能比が高くなる通風開口比Prの範囲はフィン高さFhによって異なることから、放熱性能比が高くなる通風開口比Prの最適範囲がフィン高さFhによらず、チューブ外周肉厚Tdのみで整理できる理由が不明である(以下、「本件拒絶理由2」という。)。

3.図12において「最適範囲」で示された範囲ではどのような「放熱性能比」が得られるか不明である。したがつて、通風開口比(Pr)の数値範囲を限定した請求項1に係る発明の作用効果が不明である(以下、「本件拒絶理由3」という。)。

4.通風開口比(Pr)は、チューブ高さ(Th)及びチューブピッチ(Tp)の関数、すなわち、チューブ内通路高さ(Tr)、チューブ外周肉厚(Td)及びフィン高さ(Fh)の関数であるところ、図8〜11における通風開口比(Pr)に対する放熱性能比のグラフは、チューブ外周肉厚(Td)及びフィン高さ(Fh)を一定にして描いたものであることから、横軸の通風開口比(Pr)は実質的にチューブ内通路高さ(Tr)の関数といえるが、このグラフによると、通風開口比(Pr)したがってチューブ内通路高さ(Tr)に対する放熱性能比の高い領域はフィン高さ(Fh)によって異なっており、この点で図7と矛盾することから、発明の詳細な説明の段落【0023】に記載した「図7から理解されるように、チューブ外周肉厚Tdやフィン高さFhの寸法にかかわらず、チューブ内通路高さTrが、0.35≦Tr≦0.8mmの範囲のとき放熱性能が高くなり、特に、0.5≦Tr≦0.7mmの範囲のとき放熱性能がピークになることが判明した。」との根拠が不明瞭である(以下、「本件拒絶理由4」という。)。

5.発明の詳細な説明には「図3〜6に示す結果をチューブ内通路高さTrで整理したものが図7である。」(段落【0022】)、「図3〜6に示す結果を通風開口比Prで整理したものが図8〜11である。」(段落【0026】)、及び「図12は、図8〜11から各チューブ外周肉厚Td(0.1mm、0.2mm、0.3mm、0.4mm)毎に放熱性能が高くなる通風開口比Prの範囲を求めて、通風開口比Prの最適範囲を示したものである。」(段落【0027】)と記載されているが、具体的にどのようにして各図を作成したのか不明である(各図を作成するための各段階における生データを意見書等において明らかにされたい。)(以下、「本件拒絶理由5」という。)。

第5.本件明細書の記載不備
1.本件拒絶理由1について
審判請求人は、本件補正と同日付けの意見書(平成17年3月14日付けの意見書)(以下、「本件意見書」という。)で、「0019段落の前提条件は、冷媒凝縮器の性能評価における代表的な前提条件を示したものであって、この前提条件の下でのみ本願明細書に開示の性能評価が得られることを示しているものではありません。当業者であれば、0019段落に記載された前提条件の各数値から相当程度の幅をもった範囲内において本願明細書に開示の性能評価が妥当するであろうことは、自明のことです。すなわち、当業者であれば、冷媒凝縮器の開発設計において、代表的な条件のピンポイントばかりでなく、その近傍においても同様の性能が得られることは経験的に当然に知っているからです。なお、本願の発明者らは、0019段落に記載された代表的な前提条件の下ではもちろん、その周辺においても本願に係る性能評価が妥当することを確認して、本願を出願するに至ったものです。」(第2頁第24-33行)と主張する。

しかし、本件明細書には、第0019段落の前提条件の下に行った実験結果が記載されているのみである。また、本件明細書には、上記「0019段落に記載された前提条件の各数値から相当程度の幅をもった範囲内において本願明細書に開示の性能評価が妥当する」点、又は、「代表的な条件のピンポイントばかりでなく、その近傍においても同様の性能が得られる」点は記載されていない。

したがって、第0019段落の前提条件が記載されていない特許請求の範囲に記載した発明は、依然として、発明の詳細な説明に記載したものではない。

なお、本件図面の図2に示す扁平チューブと図13に示す扁平チューブとは、当然に、流動抵抗及び放熱特性が異なるものであり、特許請求の範囲に記載された数値限定は、図2に示す扁平チューブを用いた実験結果によるものであるにもかかわらず、特許請求の範囲には、該扁平チューブを用いた点が記載されていない。したがって、この点からも、特許請求の範囲に記載した発明は、発明の詳細な説明に記載したものではない。

また、特許請求の範囲に、上記「前提条件の各数値から相当程度の幅をもった範囲」又は「代表的な条件のピンポイント」の「近傍」が記載されていないため、特許請求の範囲に記載した数値限定の有効な範囲が不明である。したがって、特許請求の範囲に記載した発明は、明確でない。

更に、上記「前提条件の各数値から相当程度の幅をもった範囲」又は「近傍」において、特許請求の範囲に記載した該数値限定に対応する放熱性能比は、当然に異なることになるが、発明の詳細な説明には、どのような放射性能比になるのか記載されていない。したがって、該数値限定の技術上の意義が明らかでない。

2.本件拒絶理由2について
審判請求人は、本件意見書で、「補正後の請求項1には、フィン高さFhが、2mm〜8mmの範囲の値をとることが明確化されました。そして、フィン高さFhが、2mm〜8mmの範囲内においては、チューブ肉厚Tdのみで整理した数式1によって高い放熱性能が得られる範囲が特性されることは、本願の当初明細書に記載されたとおりです。」(第2頁第38-42行)と主張する。

しかし、本件補正は、上記のとおり却下された。そして、放熱性能比(%)が高くなる通風開口比(Pr)の最適範囲がフィン高さ(Fh)によらず、チューブ外周肉厚(Td)のみで整理できる理由が依然として不明であり、特許請求の範囲に記載した、通風開口比(Pr)の範囲をチューブ外周肉厚(Td)のみで限定する数式の技術上の意義が依然として明らかでない。

3.本件拒絶理由3について
審判請求人は、本件意見書で、「図12においては、各フィン高さに対して、最大の放熱性能をもたらすチューブ外周肉厚値を基準として、その最大放熱性能から所定値以下の放熱性能低下を生じる領域を範囲として特定しています。具体的には、約3%以内の低下ですむ領域を示しています。冷媒凝縮器の放熱性能が約3%変化すると、その冷媒凝縮器を備える冷凍サイクルシステムにおいてはおよそ1%程度の性能変化が現れ、その程度の性能変化であれば、ほぼ同等の性能を有するとみなせることが、この技術分野では一般的です。このような当業者の知見に基づき、約3%の放熱性能範囲内を、最適範囲として規定するのが、図12の図示です。」(第2頁第45行-第3頁第2行)と主張する。

しかし、図12において、チューブ外周肉厚(Td)が0.4mmのとき、通風開口比(Pr)の最適範囲は、ほぼ0.182〜0.225となるが、この最適範囲を図11にあてはめると、放熱性能比(%)は、フィン高さ(Fh)が6mmのときに、ほぼ104%〜99%の間で変化し、フィン高さ(Fh)が8mmのときに、ほぼ95%〜86%の間で変化する。また、この最適範囲は、それぞれのフィン高さ(Fh)について、放熱性能比(%)が最も高いときの通風開口比(Pr)から、該通風開口比(Pr)の大きい側にずれた範囲となっている。

同様に、チューブ外周肉厚(Td)が0.2mmのとき、通風開口比(Pr)の最適範囲は、ほぼ0.142〜0.176となるが、、この最適範囲を図9にあてはめると、放熱性能比(%)は、フィン高さ(Fh)が6mmのときに、ほぼ107%〜104%の間で変化し、フィン高さ(Fh)が8mmのときに、ほぼ98%〜92%の間で変化する。また、この最適範囲は、それぞれのフィン高さ(Fh)について、放熱性能比(%)が最も高いときの通風開口比(Pr)から、該通風開口比(Pr)の大きい側にずれた範囲となっている。なお、図9の縦軸(放熱性能比)の目盛りは、80から120までふられているが、図8及び図10の縦軸の目盛りを参照して、80から115までと解釈した。

したがって、図12は、最大の放熱性能から約3%以内の低下ですむ領域を示したとする本件意見書の上記主張は到底採用できず、依然として、特許請求の範囲に記載した、通風開口比(Pr)の範囲をチューブ外周肉厚(Td)のみで限定する数式の作用効果が明らかでなく、該数値限定の技術上の意義が明らかでない。

4.本件拒絶理由4について
審判請求人は、本件意見書で、「0023段落の記載は、図7のグラフにおける曲線のピーク領域をおよその範囲で把握してチューブ内通路高さTrの範囲を特定したものです。そのような、おおよその範囲の規定は、図7のごとき曲線から範囲を規定する場合に通常とられる手法です。しかしながら、「フィン高さ(Fh)によって異なっており・・・根拠が不明瞭である」との拒絶理由通知書におけるご指摘ももっともです。そこで、出願人は、チューブ内通路高さTrの範囲を「フィン高さ(Fh)2mm超6mm以下では、0.35〜0.8mmに設定し、フィン高さ(Fh)6mm超8mm以下では、0.5〜0.8mmに設定し、」に特定しました。かかる規定は、補正の根拠において述べたように、図7の図示から当業者が当然に導き出しうるものです。しかも、フィン高さ(Fh)ごとにチューブ内通路高さTrの範囲を特定するものであり、同拒絶理由を解消するものです。」(第3頁5-14行)と主張する。

しかし、本件補正は、上記のとおり却下された。また、図8において、放熱性能比(%)がピークとなる通風開口比(Pr)すなわちチューブ内通路高さ(Tr)が各フィン高さ(Fh)ごとに異なることが明確に示されており、該図8の記載は、第0023段落の「チューブ外周肉厚Tdやフィン高さFhの寸法にかかわらず、チューブ内通路高さTrが、0.35≦Tr≦0.8mmの範囲のとき放熱性能が高くなり、」と矛盾する。したがって、特許請求の範囲に記載した「このチューブ内通路高さ(Tr)を0.35〜0.8mmに設定し」の根拠が不明であり、依然として、該数値限定の技術上の意義が明らかでない。

5.本件拒絶理由5について
審判請求人は、本件意見書で、「発明者らは、図3〜図6、図7、図8〜図11、そして図12に図示される各プロットに対応するデータを得ました。そのうえで、横軸、縦軸ならびにパラメータを上記各図に示されたように選定して、グラフを作図したものです。その作業自体は、単なるグラフ化作業であって、何ら特別なものではありません。本願に添付した上記各図には、発明者らが得たデータがそのまま表されているのです。よって、敢えて生データを示すまでもなく、本願の明細書および図面には、発明者らが本願発明を完成するに要したデータが余すところなく示されています。」(第3頁17-23行)と主張する。

したがって、上記「1.」〜「4.」についての判断において、他に考慮すべきデータは存在しない。

第6.まとめ
本件明細書の特許請求の範囲に記載した発明は、発明の詳細な説明に記載したものでなく、この点で、特許請求の範囲の記載は、特許法第36条第6項第1号に適合するものでない。また、特許請求の範囲に記載した数値限定の技術上の意義が明らかでないことから、発明の詳細な説明の記載は、特許法施行規則第24条の2の規定に違反し、当業者が実施をすることができる程度に明確かつ充分に記載したものとはいえないことから、特許法第36条第4項の規定に違反する。

よって、上記結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-04-06 
結審通知日 2005-04-12 
審決日 2005-04-26 
出願番号 特願平11-350719
審決分類 P 1 8・ 561- WZ (F25B)
P 1 8・ 537- WZ (F25B)
P 1 8・ 536- WZ (F25B)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 丸山 英行  
特許庁審判長 水谷 万司
特許庁審判官 長浜 義憲
櫻井 康平
発明の名称 冷媒凝縮器  
代理人 加藤 大登  
代理人 碓氷 裕彦  
代理人 伊藤 高順  

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