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審決分類 審判 一部申し立て 2項進歩性  H01L
管理番号 1117869
異議申立番号 異議2003-71330  
総通号数 67 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 1997-12-12 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-05-20 
確定日 2005-03-22 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3347583号「配線基板の実装構造」の請求項1ないし3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3347583号の請求項1ないし3に係る特許を維持する。 
理由 I.手続の経緯
特許3347583号の請求項1〜4に係る発明は、平成8年5月30日に特許出願され、平成14年9月6日にその特許権の設定登録がなされ、その後、その特許の請求項1,3に係る発明について、雨山 範子(以下、「特許異議申立人A」という。)より特許異議の申立てがなされ、請求項1〜3に係る発明について、菊野 宏一(以下、「特許異議申立人B」という。)より特許異議の申立てがなされた。
そして、平成16年8月16日付けで取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成16年10月26日に訂正請求(後日取下げ)がなされた後、平成16年12月1日付けで再度の取消しの理由が通知され、その指定期間内である平成17年2月7日に訂正請求がなされたものである。

II.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容
(1)訂正事項a
請求項1中の「前記メタライズ配線層と電気的に接続された接続端子」を、「前記メタライズ配線層と電気的に接続されたロウ材からなる接続端子」と訂正する。
(2)訂正事項b
請求項1中の「少なくとも有機樹脂を含む絶縁体の表面に配線導体が被着形成された外部電気回路基板」を、「少なくとも有機樹脂を含む絶縁体の表面に配線導体が被着形成されたプリント基板からなる外部電気回路基板」と訂正する。
(3)訂正事項c
請求項1中の「熱膨張係数が8〜25ppm/℃の焼結体」を「熱膨張係数が10〜25ppm/℃の焼結体」と訂正する。
(4)訂正事項d
【0012】の「前記メタライズ配線層と電気的に接続された接続端子」を、「前記メタライズ配線層と電気的に接続されたロウ材からなる接続端子」と訂正する。
(5)訂正事項e
【0012】の「少なくとも有機樹脂を含む絶縁体の表面に配線導体が被着形成された外部電気回路基板」を、「少なくとも有機樹脂を含む絶縁体の表面に配線導体が被着形成されたプリント基板からなる外部電気回路基板」と訂正する。
(6)訂正事項f
【0012】の「熱膨張係数が8〜25ppm/℃の焼結体」を「熱膨張係数が10〜25ppm/℃の焼結体」と、【0031】の「熱膨張係数が8〜25ppm/℃」を「熱膨張係数が10〜25ppm/℃」と訂正する。
(7)訂正事項g
【0050】の【表1】の試料No.10、【0058】の【表3】の試料No.25,26に△印を付与し、【表3】の下に「△印の参考試料を示す。」という記載を追加する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無、及び特許請求の範囲の拡張・変更の存否

請求項1において、上記訂正事項aは、接続端子の材質を「ロウ材からなる」と特定するものであり、その点は、願書に添付された明細書の【0021】に記載されており、上記訂正事項bは、外部電気回路基板の種類を「プリント基板からなる」と特定するものであり、その点は、願書に添付された明細書の【0022】に記載されており、上記訂正事項cは、熱膨張係数の数値範囲を減縮したもので、その点は、【0050】【表1】の試料No.4、【0059】に裏付けられているので、それぞれ特許請求の範囲の減縮を目的とした明細書の訂正に該当する。また、上記訂正事項d,e,fは、それぞれ、上記訂正事項a,b,cと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。さらに、訂正事項gも、訂正事項aと整合を図るものであるから、明りょうでない記載の釈明を目的とした明細書の訂正に該当する。
そして、いずれも、新規事項の追加に該当せず、また実質上特許請求の範囲を拡張し、又は変更するものではない。

3.まとめ
以上のとおりであるから、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び同条第3項において準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

III.特許異議申立てについて
1.特許異議申立の概要
(1)特許異議申立人Aは、下記の甲第1〜3号証を提出し、訂正前の請求項1,3に係る発明は、甲第1〜3号証より、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから取り消すべき旨、
甲第1号証:特開平8-55928号公報(刊行物1)
甲第2号証:特公平5-43316号公報(刊行物2)
甲第3号証:特公平4-12639号公報(刊行物3)
(2)特許異議申立人Bは、下記の甲第1〜4号証を提出し、訂正前の請求項1〜3に係る発明は、甲第1〜4号証より、特許法第29条第2項の規定に違反してなされたものであるから取り消すべき旨、主張している。
甲第1号証:特開平8-64711号公報(刊行物4)
甲第2号証:P.W.McMILLAN著、GLASS-CERAMICS、ACADEMIC PRESS出版、1964年発行(刊行物5)
甲第3号証:特公平4-12639号公報(刊行物3)
甲第4号証:特開平6-191887号公報(刊行物6)

2.本件の請求項1〜3に係る発明
上記II.で示したように上記訂正が認められるから、本件の請求項1〜3に係る発明(以下、「本件発明1〜3」という。)は、平成17年2月7日付けの訂正明細書の特許請求の範囲の請求項1〜3に記載された事項により特定される次のとおりのものである。
「【請求項1】絶縁基板と、該絶縁基板の表面および内部に配設されたメタライズ配線層と、該絶縁基板の下面に取着され、前記メタライズ配線層と電気的に接続されたロウ材からなる接続端子とを具備する配線基板を、少なくとも有機樹脂を含む絶縁体の表面に配線導体が被着形成されたプリント基板からなる外部電気回路基板上に載置し、前記配線基板の接続端子と前記外部電気回路基板の配線導体とをロウ付けして実装してなる配線基板の実装構造において、前記配線基板の絶縁基板が、-70℃〜200℃におけるヤング率が200GPa以下、40〜400℃における熱膨張係数が10〜25ppm/℃の焼結体からなることを特徴とする配線基板の実装構造。
【請求項2】前記配線基板における絶縁基板の厚みが0.3mm以上、最大長さが20mm以上であることを特徴とする請求項1記載の配線基板の実装構造。
【請求項3】前記焼結体が、ガラスセラミック焼結体からなることを特徴とする請求項1記載の配線基板の実装構造。」

3.引用刊行物の記載事実
(1)刊行物1
(1a)「【請求項1】・・・下面に多数の凹部を有する絶縁基体と、前記絶縁基体の半導体素子が載置される載置部周辺から凹部底面にかけて導出される複数個のメタライズ配線層と、前記絶縁基体の凹部底面に形成され、メタライズ配線層が電気的に接続される複数個の接続パッド・・・半導体素子収納用パッケージ。・・・」(【特許請求の範囲】【請求項1】1〜12行)
(1b)「従来の半導体素子収納用パッケージにおいては、・・・外部電気回路基板は一般にガラスエポキシから成り」(【0004】4〜5行)
(1c)「【0011】前記絶縁基体1 は酸化アルミニウム質焼結体、ムライト質焼結体、炭化珪素質焼結体、窒化アルミニウム質焼結体、ガラスセラミックス焼結体等の電気絶縁材料から成り、」(【0011】1〜4行)
(1d)「前記接続パッド5aにロウ付けされている端子7はまた絶縁基体1 の下面に球状の突出部7aを有しており、該球状突出部7aは端子7 を外部電気回路基板8 の配線導体8aに接続させる際、その接続を容易、且つ確実となす作用をする。」(【0017】)
(1e)「絶縁基体1の凹部1aからはみ出た半田は表面張力によって球状の突出部7aを形成する。」(【0023】4〜6行)
(1f)図1には、メタライズ配線層が絶縁基体の表面及び内部に形成されていることが示されている。

(2)刊行物2
(2a)「半導体素子材料とセラミツクス多層配線回路基板材料との間で実装温度変化によって生ずる応力が大きくなるという問題があった。そのため、セラミツクス多層配線回路基板材料の熱膨張係数を半導体素子のそれに近づけようとしていた。しかし、配線導体材料として抵抗の小さい金、銅又は銀などを高密度配線するためには、セラミツクス絶縁材料の熱膨張係数をこれらの導体材料に近づけなければならない。このように、セラミツクス絶縁材料としては、半導体素子材料及び導体材料の熱膨張係数に近くすることが要求されている。しかし、これらの相反する状態での実装技術については配慮さていなかった。」(2頁3欄20〜33行)
(2b)「セラミツクス内部に気孔を含んだ絶縁材料を作成するには、・・・中空微小球とセラミツクスを複合する方法を採用した。この中空微小空は、比誘電率をできるだけ小さくするために、無機材料中最も誘電率の小さいシリカを主成分とした中空のシリカ微小球を採用し、・・・また、中空のシリカ微小球を結合するセラミツクスとしては、・・・ガラス又は結晶化ガラスで結合した。結晶化ガラスとは、加熱すると非晶質の状態から結晶相が析出するものであり、低温焼結性と強度を有している。」(3頁5欄5〜24行)
(2c)「セラミツクス多層回路基板と半導体素子の間にキヤリア基板を設け、セラミツクス多層回路板と半導体素子との熱膨張係数差を緩和することを考えた。まず、半導体素子をキヤリア基板にはんだバンプで直接搭載した。次に、半導体素子とキヤリア基板の間に、はんだと同等の熱膨張係数をもつ有機材料を主成分とする材料を挿入した。その後、セラミツクス多層回路基板上にはんだバンプで接続し、モジュールとした。・・・キヤリア基板とセラミツクス多層回路基板の熱膨張係数は、ほぼ同じでなければならない。・・・一方、半導体素子とキヤリア基板の熱膨張係数の差による熱応力は、その間に挿入する有機材料を主成分とする材料により緩和され」(3頁6欄14〜33行)
(2d)「実施例1・・・次に、スラリをドクターブレード法を用いて、シリコーン処理したポリエステルフィルム支持体上に0.2mmの厚さに塗布し、乾燥炉内で溶媒を除去し、グリーンシートを作製した。・・・これらのグリーンシートをガイド用の穴の位置を合わせて50枚積層し、・・・・焼成した。このようにして、120mm角、厚さ7mmのセラミックス多層回路基板を作製した。
キャリア基板は、セラミックス多層回路基板と同様の方法で作成した。異なる点は、スルーホール位置、配線パターン、積層枚数7枚で、焼成後のキヤリア基板の寸法が11mm角、厚さ1mmであることである。・・・・次に、コバールピンを金-ゲルマニウムろうで接続したセラミックス多層回路基板上に、・・キャリア基板・・を60%鉛-40%スズはんだで接続し、半導体モジュールを作製した。・・・No.21〜38のセラミツクス多層回路基板は、熱膨張係数が8.0〜13.0×10-6/℃であるため内部配線導体材料である金とのマツチングが良く基板内部にクラツクの発生は無かつた。」(4頁8欄28行〜6頁12欄11行)
(2e)「実施例4
実施例1及び2で作製したセラミックス多層回路基板上に、銅とポリイミドによる多層配線回路を形成した。・・・・半導体素子及びキャリア基板は、実施例1〜3と同様の方法により搭載し、モジュール基板を作製した。」(8頁15欄18行〜16欄第6行)
(2f)第1図、第2図には、コバールピンを、金-ゲルマニウムろうで表面及び内部に配線層を形成したセラミック絶縁材料に接続し、上面に半導体素子をキャリア基板を介してはんだ接続した半導体モジュールが示されている。

(3)刊行物3
(3a)「1 セラミツク絶縁板と、銅、銀、金又はこれらの合金の導体パターンが交互に積層されたセラミツク多層配線回路板において、前記セラミツク絶縁板は、石英ガラス、石英、クリストバライト及びトリジマイトのうちの少なくとも2種の熱膨張係数の異なる物質を10〜70重量%含み、残部がガラスからなり、かつ比誘電率が4.0〜6.0で、熱膨張係数が3.2×10-6〜10.3×10-6/℃であることを特徴とするセラミツク多層配線回路板。」(特許請求の範囲)
(3b)「本発明の目的は、セラミツク絶縁板と、銅、銀、金又はそれらの合金の導体パターンが交互に積層されたセラミツク多層配線回路板において、セラミツク絶縁板の熱膨張係数を制御するとによつて配線に用いる導体ペーストとの適合性を高め、セラミツクの亀裂及び導体の断線又はショートを防止できるセラミツク多層配線回路板を提供することにある。」(1頁2欄22行〜2頁3欄4行)
(3c)「本発明では結晶形の異なる酸化ケイ素を2種類以上混合し、低融点のガラスで焼結したセラミツクスであるため、セラミツクの熱膨張係数を室温から400℃の範囲をとると1×10-6〜20×10-6/℃まで任意に制御することが可能である。」(2頁4欄7〜12行)
(3d)4頁第3表には、低軟化点ガラスと酸化ケイ素からなる焼結体の熱膨張係数3.2〜10.3×10-6/℃のものが示されている。

(4)刊行物4
(4a)「【発明が解決しようとする課題】上述したように、セラミックス製BGAパッケージは、高放熱性と優れた電気特性を満足し、かつ多端子・狭ピッチ化が可能な高密度パッケージとして期待されているものの、従来構造ではセラミックス製パッケージとパッケージ搭載用のプリント基板との間の熱膨張係数の差が大きいことから、プリント基板等に搭載する際のリフローはんだ付け工程や使用中における環境温度変化等により、接続部である半田バンプ部分の接続信頼性が低下しやすいという問題を有していた。本発明は、このような課題に対処するべくなされたもので、半田からなる突起接続体(バンプ)による接続部信頼性の向上を図ったセラミックスを主体とするBGA構造の半導体用パッケージを提供することを目的とする。」(【0012】)
(4b)「また、絶縁性基材の構成材料としては、有機絶縁物および無機絶縁物のいずれも用いることができ、」(【0019】1〜3行)
(4c)「一般的にボード材として用いられている、ガラス布繊維布やガラス布を付けたエポキシ基材等が良好かつ実用的である。」(【0022】3〜5行)
(4d)「【作用】セラミックス製パッケージとプリント基板等の搭載ボードとの接続部、すなわち突起接続体に発生する熱応力の大きさは、下記の (1)式により表される。
【0028】
σc =(Δα・ΔT・Ec ・Eb ・tb )
/((1-ν)(Ec ・tc +Eb ・tb )) …(1)
(式中、σは応力、Δαは熱膨張係数差、ΔTは温度差、Eはヤング率、νはポアッソン比、tは厚さ、添字のbとcはそれぞれボードとセラミックスを示す)
上記 (1)式から分かるように、熱応力の大きさはΔαに比例する。しかも、本発明者らの研究の結果、この熱応力は熱サイクル試験等の温度変化に対する信頼性試験において、熱膨脹係数が異なる場合、温度変化に伴って内部応力を生じ、ボードに反りを生じさせ、接続突起体内部に亀裂が発生し、接合強度の低下並びに接続抵抗の増加による接続不良を招くことが明らかとなった。
【0029】そこで、本発明の半導体用パッケージにおいては、ボードの熱膨張係数にセラミックス製パッケージの熱膨張係数を近似させるべく、セラミックス基材にボードとセラミックス基材との中間の熱膨張係数を有する絶縁性基材を貼り合せており、これにより半田からなる突起接続体内部およびセラミックスパッケージに加わる内部応力を緩和することができ、セラミックスを主体とする高放熱性のパッケージの信頼性を大幅に向上させることが可能となる。」(【0027】〜【0029】)

刊行物5
(5a)「5章ガラスセラミックス」の 「B.機械的特性 1.機械的強度」の項に、結晶化触媒として金属リン酸塩を用いたLi2O-ZnO-SiO2型のガラスセラミックスにおいて、表XIIに、ガラスセラミックスの特性に関する亜鉛酸化物とアルミニウム酸化物の濃度の影響として、(ZnO[Mol%],Al2O3[Mol%])が、(4.5,3.0)(6.0,1.5)(7.5,0)の場合に、弾性係数[lb/in2]が、それぞれ14.2×106,17.6×106,21.6×106、熱膨張係数(20-500℃)が、それぞれ108.6×107,118.4×107,126.6×107であることが示されている。
(5b)「B.機械的特性 2.弾性特性」の項において、表XVIに、ガラスセラミックス及び他の物質の弾性係数として、ガラスセラミックスの場合12-20×106であることが示されている。

刊行物6
(6a)「【作用】上記構成により、パッケージ材料と、水晶板等圧電部品の熱膨張率が整合し、加熱冷却後に水晶振動子等圧電部品の残留歪が低減され、共振周波数の変動が抑えられる。また、抗折強度も十分になる。」(【0008】)
(6b)「まず、表1に示すガラス,セラミックおよび添加物(ジルコニア)を湿式ボールミルで粉砕混合を行い、乾燥、らいかい後、粉末成形プレスをおこない、800℃〜1000℃で焼成した後直方体に切断し、抗折強度、熱膨張率を測定した。それらの結果を表1,表2中に示す。これにより、本発明に示すガラスおよびフォルステライトを微粉化し混合したものは熱膨張率が役100〜140×10-7/℃と大きく、さらにジルコニアを混合したものは抗折強度が2200kg/cm2 以上となり、組成によっては3000kg/cm2 以上にも改善されることがわかった。ジルコニアを添加し焼成したものは示差熱分析およびX線回折の結果、部分的に結晶化していることが確認された。ジルコニアは核発生剤として作用しているものと考えられる。
【0016】次に、水晶振動子用パッケージの特性を調査するために、表1中の実施例1に示す原料粉末を使用して以下に述べる製造工程に従って、図1に示す構造のパッケージを作成した。
(a)前記材料とバインダ、溶剤を混合し、スラリーを製造して、ドクターブレード法により厚さ100〜300μmのグリーンシートを作成する。(b)前記グリーンシートにスルーホールを形成し、Agペーストをスクリーン印刷しスルーホールを充填するとともに内部導体部を形成する。
(c)別のグリーンシートにAg/Pdペーストをスクリーン印刷し、外部取出し電極部を形成する。
(d)別のグリーンシートに水晶振動子のキャビティ用の穴を打ち抜く。
(e)前記(a)〜(c)のグリーンシートおよびダミーのグリーンシートを積層し100℃で100〜200kg/cm2 の圧力でホットプレスする。
(f)前記積層体を脱バインダーし、800℃〜1000℃で焼成する。
(g)焼成された積層体を切断し、図1に示すパッケージのベース部材1を得る。
(h)ベース部材1と同じ混合粉末を用いてパッケージのキャップ部材3を粉末プレスにより形成し、800℃〜1000℃で焼成しキャップ部材3を得る。
(i)前記ベース部材1に予め低融点のガラス封止部4を形成しておき、図1に示す構成で前記ベース部材1上の電極パッド部80と水晶片2の電極リード部7を導電性接着剤で固着した後、前記キャップ部材3で封止し、水晶振動子用パッケージ50を完成する。」(【0015】,【0016】)

4.対比・判断
4-1.本件発明1について
上記摘記事項(1a)(1f)から、絶縁基体と、前記絶縁基体の表面及び内部に設けられた複数個のメタライズ配線層と、メタライズ配線層が電気的に接続される複数個の接続パッドを設けた半導体素子収納用パッケージが記載され、上記摘記事項(1c)には、絶縁基体の材質として、ガラスセラミックス焼結体が例示され、上記摘記事項(1d)(1e)から、絶縁基体下面に設けられた、接続パッドにロウ付けされている半田からなる球状の突出部を有する端子を、外部電気回路基板の配線導体に接続することが記載されているので、刊行物1には、「ガラスセラミックス焼結体からなる絶縁基体と、前記絶縁基体の表面及び内部に設けられたメタライズ配線層と、絶縁基体下面に設けられた、メタライズ配線層が電気的に接続される、接続パッドにロウ付けされている半田からなる球状の突出部を有する端子を設け、該端子を外部電気回路基板の配線導体に接続する半導体素子収納用パッケージ」(以下、刊行物1発明という。)

そこで、本件発明1と刊行物1発明とを対比すると、刊行物1発明の「絶縁基体」「接続パッドにロウ付けされている半田からなる球状の突出部を有する端子」は、それぞれ本件発明1の「絶縁基板」「ロウ材からなる接続端子」に相当し、刊行物1発明の「絶縁基体と、前記絶縁基体の表面及び内部に設けられたメタライズ配線層と、絶縁基体下面に設けられた、メタライズ配線層が電気的に接続される、・・・端子」は、本件発明1の「絶縁基板と、・・・メタライズ配線層と、接続端子とを具備する配線基板」に相当し、刊行物1発明の「半導体素子収納用パッケージ」は、本件発明1の「配線基板の実装構造」に相当しているので、両者は、「絶縁基板と、該絶縁基板の表面および内部に配設されたメタライズ配線層と、該絶縁基板の下面に取着され、前記メタライズ配線層と電気的に接続されたロウ材からなる接続端子とを具備する配線基板を、絶縁体の表面に配線導体が被着形成された外部電気回路基板上に載置し、前記配線基板の接続端子と前記外部電気回路基板の配線導体とをロウ付けして実装してなる配線基板の実装構造」である点で一致し、以下の点で相違する。

イ.外部電気回路基板について、本件発明1においては、「少なくとも有機樹脂を含む絶縁体の表面に配線導体が被着形成されたプリント基板からなる」という特定がなされているのに対して、刊行物1発明では、そのような特定がない点。
ロ.配線基板の絶縁基板について、本件発明1においては、「-70℃〜200℃におけるヤング率が200GPa以下、40〜400℃における熱膨張係数が10〜25ppm/℃の焼結体からなる」としているのに対して、刊行物1発明では、ガラスセラミックス焼結体であるものの、ヤング率、熱膨張係数については何も記載されていない点。

そこで、上記相違点について検討する。

相違点イについて
上記摘記事項(1b)から、外部電気回路基板の材質は、ガラスエポキシからなるのが一般的であると記載されており、これは、「少なくとも有機樹脂を含む絶縁体の表面に配線導体が被着形成された基板」であり、ガラスエポキシ基板上の配線形成は印刷されるのが一般的であるから「少なくとも有機樹脂を含む絶縁体の表面に配線導体が被着形成されたプリント基板」といえる。
したがって、相違点イについては、当業者であれば容易になし得る特定である。

相違点ロについて
刊行物2には、本件発明1の配線基板に相当するセラミツクス多層回路基板が、絶縁材料として、シリカ微小球をガラスで結合した、つまりガラスセラミックスを用い、全体として、熱膨張係数が8.0〜13.0×10-6/℃であることは示されているものの、ヤング率について何ら記載がなく、セラミックス多層回路基板の熱膨張係数は、配線導体材料に近づけるとされ、半導体素子との熱膨張係数の差による熱応力は、その間に挿入する有機材料を主成分とする材料により緩和されるとあるので、セラミックス多層回路基板自体のヤング率を小さくすることも示唆されていない。
また、刊行物3には、セラミック多層配線回路板に用いるセラミック絶縁板として、結晶形の異なる酸化ケイ素をガラスで焼結したセラミックスで、熱膨張係数が3.2〜10.3×10-6/℃で調整できることは示されているものの、ヤング率について何ら記載がなく、セラミックス多層回路基板の熱膨張係数は、導体の断線又はショートを防止するために導体の熱膨張係数に近似させるとされるのみで、セラミックス多層回路基板自体のヤング率を小さくすることも示唆されていない。
また、刊行物4には、半導体用パッケージとして、セラミックス基材と絶縁性基材との接合基材を用いる技術に関するもので、その接合基材中の絶縁性基材の方を無機系とする場合の例示としてガラスセラミックスが記載されてはいるものの、本件発明1の絶縁基板に相当する配線と接続端子以外の配線基板全体の材質については記載されていない。
さらに、パッケージとプリント基板等の搭載ボードとの接続部、すなわち突起接続体に発生する熱応力の大きさにパッケージと搭載ボード両方のヤング率が関係していることは示されているものの、ヤング率をどのように設定するかは何ら記載されていない。
また、刊行物5には、ガラスセラミックスのZnO-Al2O3-SiO2系のZnOとAl2O3の量を調整した場合のガラスセラミックスの特性として、弾性率と熱膨張係数が示されているものの、何ら用途が示唆されておらず、配線基板に用いる絶縁基板として、どのように、ヤング率と熱膨張係数の範囲を特定すればよいかを示唆するものではない。
また、刊行物6には、ガラスセラミックス複合体として、熱膨張率が、10.0×10-6〜14.0×10-6/℃のものが示されているが、ヤング率について何ら記載がなく、ガラスセラミックス複合体の熱膨張係数は、圧電部品用の面実装用のフラットパッケージとして用いたときパッケージ材料と、圧電部品の熱膨張係数を整合させるためのものであり、ガラスセラミックス複合体のヤング率を小さくすることも示唆されていない。

したがって、刊行物1発明において、刊行物2〜6に記載された発明を考慮しても、配線基板の絶縁基板として用いるガラスセラミックスを、-70℃〜200℃におけるヤング率が200GPa以下、40〜400℃における熱膨張係数が10〜25ppm/℃の焼結体とすることは、当業者といえども容易に想到し得ないものである。

そして、本件発明1は、配線基板の絶縁基板を、-70℃〜200℃におけるヤング率が200GPa以下、40〜400℃における熱膨張係数が10〜25ppm/℃の焼結体とすることによって、大型の配線基板を熱膨張係数が大きいプリント基板などの外部電気回路基板に実装した場合に、両者の熱膨張係数の差に起因する応力発生を緩和し、配線基板と外部電気回路とを長期間にわたり正確、かつ強固に電気的接続させることが可能になるという刊行物1〜6の記載からは予測することのできない顕著な効果を奏するものである。
したがって、本件発明1は、刊行物1〜6に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4-2.本件発明2について
本件発明2は、請求項1を引用する発明であって本件発明1を全て含むとともに、さらに「配線基板における絶縁基板の厚みが0.3mm以上、最大長さが20mm以上である」点を追加したものであるから、本件発明1が、刊行物1〜6に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない以上、本件発明2は、刊行物1〜6に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

4-3.本件発明3について
本件発明3は、請求項1を引用する発明であって本件発明1を全て含むとともに、さらに「焼結体が、ガラスセラミック焼結体からなる」点を追加したものであるから、本件発明1が、刊行物1〜6に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない以上、本件発明3は、刊行物1〜6に記載された発明に基いて当業者が容易に発明をすることができたものではない。

また、その他の異議申立の理由及び証拠は、本件発明1〜3を取り消すべき理由として採用することはできない。

V.むすび
以上のとおりであるから、特許異議申立ての理由及び証拠によっては、本件請求項1〜3に係る発明の特許を取り消すことはできない。
また、他に本件請求項1〜3に係る発明の特許を取り消すべき理由を発見しない。
よって結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
配線基板の実装構造
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】絶縁基板と、該絶縁基板の表面および内部に配設されたメタライズ配線層と、該絶縁基板の下面に取着され、前記メタライズ配線層と電気的に接続されたロウ材からなる接続端子とを具備する配線基板を、少なくとも有機樹脂を含む絶縁体の表面に配線導体が被着形成されたプリント基板からなる外部電気回路基板上に載置し、前記配線基板の接続端子と前記外部電気回路基板の配線導体とをロウ付けして実装してなる配線基板の実装構造において、前記配線基板の絶縁基板が、-70℃〜200℃におけるヤング率が200GPa以下、40〜400℃における熱膨張係数が10〜25ppm/℃の焼結体からなることを特徴とする配線基板の実装構造。
【請求項2】前記配線基板における絶縁基板の厚みが0.3mm以上、最大長さが20mm以上であることを特徴とする請求項1記載の配線基板の実装構造。
【請求項3】前記焼結体が、ガラスセラミック焼結体からなることを特徴とする請求項1記載の配線基板の実装構造。
【請求項4】前記焼結体が、Li2Oを5〜30重量%含有するリチウム珪酸ガラス20〜80体積%と、フォルステライト、クリストバライトおよびアルミナの少なくとも1種を含むフィラー80〜20体積%とからなる混合物を成形し、焼成したものであることを特徴とする請求項3記載の配線基板の実装構造。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、有機樹脂を含む絶縁基板を備えた外部電気回路基板の表面に、配線基板、特に大型の表面実装型の配線基板をロウ付けして実装するのに適した実装構造に関するものである。
【0002】
【従来技術】従来、配線基板は、絶縁基板の表面あるいは内部にメタライズ配線層が配設された構造からなる。また、この配線基板の代表的な例として、半導体素子、特にLSI(大規模集積回路素子)等の半導体集積回路素子を収容するための半導体素子収納用パッケージは、一般にアルミナセラミックスからなる絶縁基板の表面に半導体素子を収容するための凹部が形成され、また絶縁基板の表面および内部には、タングステン、モリブデン等の高融点金属粉末から成る複数個のメタライズ配線層が配設され、凹部内に収納される半導体素子と電気的に接続される。また、絶縁基板の下面または側面には、外部電気回路基板と電気的に接続するための接続端子が備えられ、この接続端子は、メタライズ配線層と電気的に接続されている。
【0003】そして、かかる半導体素子収納用パッケージは、絶縁基板下面または側面に設けられた接続端子と外部電気回路基板表面に形成された配線導体とを半田等によりロウ付けして電気的に接続することにより実装される。
【0004】一般に、半導体素子の集積度が高まるほど、半導体素子に形成される電極数も増大するが、これに伴いこれを収納する半導体収納用パッケージにおける端子数も増大することになる。ところが、電極数が増大するに伴いパッケージ自体の寸法を大きくする必要があるが、それと同時に小型化も要求されるためパッケージにおける接続端子の密度を高くすることが必要となる。
【0005】これまでのパッケージにおける接続端子の構造としては、パッケージの下面にコバールなどの金属ピンを接続したピングリッドアレイ(PGA)が最も一般的であるが、表面実装型のパッケージとして、パッケージの側面に導出されたメタライズ配線層にL字状の金属部材がロウ付けされたクワッドフラットパッケージ(QFP)、パッケージの4つの側面に電極パッドを備えたリードピンのないリードレスチップキャリア(LCC)、さらに絶縁基板の下面に半田からなる球状端子により構成したボールグリッドアレイ(BGA)等があり、これらの中でもBGAが最も高密度化が可能であると言われている。
【0006】このボールグリッドアレイ(BGA)は接続端子を接続パッドに半田などのロウ材からなる球状端子をロウ付けした端子により構成し、この球状端子を外部電気回路基板の配線導体上に載置当接させ、しかる後、前記端子を約250〜400℃の温度で加熱溶融し、球状端子を配線導体に接合させることによって外部電気回路基板上に実装することが行われている。このような実装構造により、半導体素子収納用パッケージの内部に収容されている半導体素子はその各電極がメタライズ配線層及び接続端子を介して外部電気回路に電気的に接続される。
【0007】また、半導体素子収納用パッケージにおける絶縁基板としては、最近では、低温焼成化、低誘電率化および高電気伝導性の銅配線が可能なことから、絶縁基板をガラスセラミックス焼結体により構成することも提案されている。
【0008】
【発明が解決しようとする課題】上記のパッケージにおける絶縁基板として従来より使用されているアルミナ、ムライトなどのセラミックスは、200MPa以上の高強度を有し、しかもメタライズ配線層などとの多層化技術として信頼性の高い点で多用されているが、絶縁基板がガラス-エポキシ樹脂複合材料、ガラス-ポリイミド樹脂複合材料などの有機樹脂を含むプリント基板などの外部電気回路基板に表面実装した場合、半導体素子の作動時に発する熱が絶縁基板と外部電気回路基板の両方に繰り返し印加されると、前記外部電気回路基板の絶縁基板の熱膨張係数が10×10-6/℃以上と大きいために、熱応力が発生するという問題がある。
【0009】この熱応力は、パッケージにおける端子数が300未満と比較的少ない場合には、発生する熱応力も小さいが、接続端子数が300以上となるような大型のパッケージでは、発生する応力も増大する傾向にあり、半導体素子の作動/停止によりこれがパッケージの外部電気回路基板の実装部に繰り返し印加されると、パッケージの接続端子の外周部、及び外部電気回路基板の配線導体と接続端子との接合界面に応力が集中し、パッケージにおいて接続端子が絶縁基板より剥離したり、接続端子が外部電気回路基板の配線導体から剥離し、半導体素子収納用パッケージの接続端子を外部電極回路の配線導体に長期にわたり安定に電気的接続させることができないという致命的な欠点を有していた。
【0010】従って、本発明は、半導体素子収納用パッケージ等の配線基板を、絶縁基板が有機樹脂を主体としてなる外部電気回路基板にロウ付けによって表面実装する際に、強固に且つ長期にわたり安定した接続状態を維持できる高信頼性の配線基板の実装構造を提供することを目的とするものである。
【0011】
【課題を解決するための手段】本発明者らは、パッケージ等の配線基板の外部電気回路基板への実装時において発生する熱応力を緩和させる方法について種々検討を重ねた結果、配線基板の絶縁基板をヤング率が小さく、熱膨張係数の大きい焼結体によって構成することにより、発生した熱応力が絶縁基板の低剛性によって吸収され応力が緩和されることを見いだし、本発明に至った。
【0012】即ち、本発明の配線基板の実装構造は、絶縁基板と、該絶縁基板の表面および内部に配設されたメタライズ配線層と、該絶縁基板の下面に取着され、前記メタライズ配線層と電気的に接続されたロウ材からなる接続端子とを具備する配線基板を、少なくとも有機樹脂を含む絶縁体の表面に配線導体が被着形成されたプリント基板からなる外部電気回路基板上に載置し、前記配線基板の接続端子と前記外部電気回路基板の配線導体とをロウ付けして実装してなる配線基板の実装構造において、前記配線基板の絶縁基板が、-70℃〜200℃におけるヤング率が200GPa以下、40〜400℃における熱膨張係数が10〜25ppm/℃の焼結体からなることを特徴とする。
【0013】また、配線基板の絶縁基板を構成する焼結体が、ガラスを20〜80体積%、フィラーを20〜80体積%の割合で含む成形体を焼成して得られた焼結体からなること、前記ガラスが、Li2Oを5〜30重量%含有するリチウム珪酸ガラスであること、さらには前記フィラーとして、フォルステライト、クリストバライトおよびアルミナの少なくとも1種を全量中20〜80体積%の割合で含むことを特徴とするものである。
【0014】このように、ガラス-エポキシ樹脂基板などのプリント基板からなる外部電気回路に対して実装される半導体素子収納用パッケージにおける絶縁基板として-70〜200℃の温度範囲におけるヤング率が200GPa以下のセラミックスを用いることにより、絶縁基板と外部電気回路基板との間に発生する応力を緩和し、その結果、絶縁基板と外部電気回路基板に発生する応力によって端子が外部電気回路の配線導体とが接続不良を起こすことがなく、これによっても容器内部に収容する半導体素子と外部電気回路基板とを長期間にわたり正確に、且つ強固に電気的接続させることが可能となる。
【0015】
【発明の実施の形態】本発明によれば、配線基板や、半導体素子収納用パッケージの絶縁基板として、Li2Oを5〜30重量%含有し、屈伏点が400℃〜800℃のリチウム珪酸ガラスを20〜80体積%と、必須成分としてフォルステライトとクオーツもしくはクリストバライトとを20〜80体積%の割合で含む成形体を焼成することにより-70℃〜200℃におけるヤング率が200GPa以下の焼結体を容易再現よく製造することができる。
【0016】また、上記ガラスとして、Li2Oを必須の成分としてその含有量が5〜30重量%のリチウム珪酸ガラスを用いることにより、焼結後の焼結体中に高熱膨張のリチウムシリケート(例えば、Li2SiO3)を析出することができ、しかも、屈伏点が比較的低く、ガラスの添加量が少なくても低温焼成が可能であるために、Cuからなるメタライズ配線層と同時に焼成することができる。
【0017】さらに、リチウム珪酸ガラスの屈伏点を400℃〜800℃とすることにより、ガラス含有量を低減しフィラー量を増量することができ、また焼成収縮開始温度を上昇することが可能である。それにより、成形時に添加された有機樹脂等の成形用バインダーを効率的に除去するとともに、絶縁基体と同時に焼成されるメタライズとの焼成条件のマッチングを図ることができる。
【0018】
【発明の実施の形態】以下、本発明を一実施例を示す添付図面に基づき詳細に説明する。
【0019】図1及び図2は、本発明の一例を示す図であり、絶縁基板の表面あるいは内部にメタライズ配線層が配設された、いわゆる配線基板を基礎的構造とするものであるが,図1及び図2は,本発明における配線基板の一例としてBGA型パッケージと、その実装構造を示すものであり、AはBGA型パッケージ、Bは外部電気回路基板である。
【0020】図1において、パッケージAは、絶縁基板1と蓋体2とメタライズ配線層3と端子4およびパッケージの内部に収納される半導体素子5により構成され、絶縁基板1及び蓋体2は半導体素子5を内部に気密に収容するための容器6を構成している。
【0021】また、絶縁基板1の表面および内部には、メタライズ配線層3が被着形成されており、更に絶縁基板1の下面には接続端子4が形成されている。このBGA型パッケージにおいては、接続端子は、絶縁基板1の下面に形成された多数の凹部に半田(錫-鉛合金)などのロウ材からなる突起状の接続端子4により構成される。
【0022】一方、外部電気回路基板Bは、いわゆるプリント基板からなり、ガラス-エポキシ樹脂、ガラス-ポリイミド樹脂複合材料などの有機樹脂を含む材料からなる絶縁体7の表面に、Cu、Au、Al、Ni、Pb-Snなどの金属からなる配線導体8が被着形成されたものであり、以下、単にプリント基板と称する場合もある。
【0023】上記BGA型パッケージAを上記プリント基板Bに実装するには、パッケージAの絶縁基板1下面の突起状接続端子4をプリント基板Bの配線導体8上に載置当接させ、しかる後、約250〜400℃の温度で加熱することにより、半田などのロウ材からなる突起状端子4自体が溶融し、端子4を配線導体8に接合させることによってプリント基板B上に実装される。
【0024】また、他の例として、図2に示すように前記接続端子として、接続パッド3aに対して高融点材料からなる球状端子10を低融点ロウ材11によりロウ付けしたものが適用できる。かかる構成においてはパッケージAの絶縁基板1下面の接続パッド3aに取着されている球状端子10をプリント基板Bの配線導体8上に載置当接させ、しかる後、球状端子10を半田などのロウ材12により配線導体8に接着させてプリント基板B上に実装することができる。また、低融点のロウ材としてAu-Sn合金を用いて接続端子をプリント基板に接続してもよく、さらに上記球状端子に代わりに柱状の端子を用いてもよい。
【0025】本発明によれば、図1に示されるような実装構造において、プリント基板Bの表面に実装される半導体素子収納用パッケージA等の配線基板として、その絶縁基板1を-70〜200℃の温度範囲におけるヤング率が200GPa以下、特に150GPa以下の焼結体によって構成することが重要である。
【0026】パッケージのプリント基板への実装時、または実装後の半導体素子の繰り返し作動時において、パッケージには、プリント基板との熱膨張係数差により、パッケージの中心方向への圧縮応力と、パッケージに垂直に下方への応力による曲げ応力が発生する。この圧縮応力は、パッケージがひずむことで緩和され、また曲げ応力はパッケージがたわみことにより緩和される。このパッケージのひずみ量およびたわみ量は、パッケージのサイズと、絶縁基板のヤング率によって決定され、ヤング率が低いほどパッケージはひずみやすく、たわみ易くなり、圧縮応力および曲げ応力を緩和することができる。
【0027】特に、本発明の実装構造は、熱膨張差に起因する応力の影響が大きくなる絶縁基板の厚みが0.3mm以上、最大長さが20mm以上、とりわけ絶縁基板の厚みが0.5mm以上、最大長さ30mm以上の配線基板の実装に好適であって、かかる大きさの配線基板を40〜400℃の熱膨張係数が13〜20ppm/℃のプリント基板に実装する場合において、配線基板の絶縁基板のヤング率200GPa以下であれば、これらの応力を有効的に緩和することができる。このヤング率が200GPaを越えると、パッケージの変形が小さく、それにより応力緩和が起こらず、応力が大きくなり、外部電気回路基板BとパッケージAとの電気的接続状態が悪化することを防止することができない。ここで、上記「最大長さ」とは、例えば、四角形状の基板の場合、最大長さとはその対角線の長さを意味する。
【0028】なお、絶縁基板のヤング率が小さくなるに従い、パッケージのSiを基板とする半導体素子の実装状態での応力が逆に大きくなってしまうため、半導体素子を絶縁基板に接着する場合には、その応力を緩衝するために接着材として、例えば、エポキシ系、ポリイミド系の有機系接着材や、この接着材にAgなどの金属を添加した、可撓性の接着材によって接着することが望ましい。
【0029】これまで絶縁基板材料として用いられてきたアルミナ焼結体や窒化アルミニウム焼結体の-70〜200℃のヤング率は、いずれも300GPaを越えるもので、本発明の目的に合致しない。また、窒化ケイ素焼結体、炭化ケイ素焼結体、ジルコニア焼結体も同様に300GPaを越えるものであり使用できない。
【0030】これに対して、ジルコニア焼結体、ムライト焼結体、シリコン単結晶は100〜200GPa、ガラスを主成分とし所望によりフィラー成分を添加してなる混合物を焼成したガラスセラミック焼結体は、ヤング率が50〜150GPa程度と低く、また、合成石英ガラス、マコール、パイロセラム、パイレックス、などの耐熱性ガラスも同様にヤング率は100GPa以下と小さく、これらの材料は、本発明には好適である。
【0031】本発明によれば、配線基板の絶縁基板は、-70〜200℃のヤング率が200GPa以下であるとともに、40〜400℃における熱膨張係数が10〜25ppm/℃であることが重要である。これは、ヤング率の低い絶縁基板を用いることにより、発生した応力を絶縁基板のたわみとひずみによって吸収するとともに、熱膨張係数をプリント基板の熱膨張係数により近づけることにより、発生する応力を小さくできるため、さらに信頼性に高い実装構造を実現できる。また、配線基板としてメタライズ配線層を金、銅により構成し、且つ絶縁基板と同時焼成によって作製できることが望ましい。その点で、1000℃以下で焼結できることが望ましい。
【0032】その好適な絶縁基板材料としては、Li2Oを5〜30重量%含有する結晶性リチウム珪酸ガラスを20〜80体積%と、少なくともフォルステライトとクリストバライトとを含むフィラー成分80〜20体積%とからなる混合物を成形し、焼成したガラスセラミック焼結体であることが望ましく、特に結晶性リチウム珪酸ガラスの軟化点は420〜460℃であることが望ましい。
【0033】本発明によれば、結晶性リチウム珪酸ガラスを上記の範囲で配合することにより、1000℃以下の温度で焼成でき、焼結後の焼結体のヤング率が200GPa以下、熱膨張係数8〜25ppm/℃が達成できる。
【0034】さらに、結晶性リチウム珪酸ガラスの屈伏点は400℃〜800℃、特に400〜650℃であることが成形用有機バインダーを効率的に除去できるとともに、銅との同時焼結性を高める点で望ましい。
【0035】具体的な、結晶性リチウム珪酸ガラスとしては、Li2Oを5〜30重量%の割合で含有するとともに、SiO2を60〜85重量%含み、Li2OとSiO2の合量が65〜95重量%であり、残部がAl2O3、アルカリ土類酸化物、アルカリ金属酸化物、ZnO、P2O5等から構成されるものである。
【0036】一方、フィラー成分としては、少なくともフォルステライト、クリストバライトを含むことが、熱膨張係数を前記範囲に制御する上で好適である。また、フィラーの種類によってヤング率や熱膨張係数を制御することも可能であって、その他のフィラー成分としては、クォーツ(SiO2)、トリジマイト(SiO2)、クリストバライト(SiO2)、フォルステライト(2MgO・SiO2)、スピネル(MgO・Al2O3)、ウォラストナイト(CaO・SiO2)、モンティセラナイト(CaO・MgO・SiO2)、ネフェリン(Na2O・Al2O3・SiO2)、リチウムシリケート(Li2O・SiO2)、ジオプサイド(CaO・MgO・2SiO2)、メルビナイト(3CaO・MgO・2SiO2)、アケルマイト(2CaO・MgO・2SiO2)、マグネシア(MgO)、アルミナ(Al2O3)、カーネギアイト(Na2O・Al2O3・2SiO2)、エンスタタイト(MgO・SiO2)、ホウ酸マグネシウム(2MgO・B2O3)、セルシアン(BaO・Al2O3・2SiO2、B2O3・2MgO・2SiO2、ガーナイト(ZnO・Al2O3)、ペタライト(LiAlSi4O10)等が挙げられる。
【0037】この結晶性ガラスとフィラーとの混合物を用いて、配線基板を作製するには、適当な成形用有機樹脂バインダーを添加した後、所望の成形手段、例えば、ドクターブレード、圧延法、金型プレス等によりシート状に成形する。
【0038】そして、このシート状成形体の表面に銅や金などのメタライズペーストをスクリーン印刷法等によって印刷し、また、場合によっては、前記グリーンシートに適当な打ち抜き加工してスルーホールを形成し、このホール内にもメタライズペーストを充填する。そしてこれらのグリーンシートを複数枚積層し焼成する。
【0039】焼成にあたっては、まず、成形のために配合したバインダー成分を除去する。
【0040】バインダーの除去は、700℃前後の大気雰囲気中で行われるが、配線導体としてCuを用いる場合には、水蒸気を含有する100〜700℃の窒素雰囲気中で行われる。この時、成形体の収縮開始温度は700〜850℃程度であることが望ましく、かかる収縮開始温度がこれより低いとバインダーの除去が困難となるため、成形体中の結晶化ガラスの特性、特に屈伏点を前述したように制御することが必要となる。
【0041】焼成は、850℃〜1050℃の酸化性雰囲気中で行われ、これにより相対密度90%以上まで緻密化される。この時の焼成温度が850℃より低いと緻密化することができず、1050℃を越えるとメタライズ配線層との同時焼成でメタライズ層が溶融してしまう。
【0042】このようにして作製された配線基板の絶縁基板を構成するガラスセラミック焼結体中には、フィラーとして添加したフォルステライトやクリストバライト等のフィラー成分以外に、結晶性ガラスからリチウムシリケートが析出する。
【0043】。その他、結晶性ガラスとフィラーとの反応により生成した結晶相も存在する場合がある。そして、これらの結晶相の粒界には、ガラス相が存在する。
【0044】ることにより多層構造の配線基板やパッケージを得ることができる。
【0045】
【実施例】
実施例1
表1に示す各種セラミック材料について、5×4×40mmの形状の焼結体を作製した後、各焼結体について-70〜200℃のヤング率、および40〜400℃における熱膨張係数を測定し表1に示した。
【0046】また、表1に示す各種セラミック材料を用いて、表1の材質からなるメタライズ配線層およびスルーホールを形成し、また、基板の下面にスルーホールに接続する箇所に多数の凹部を形成しCuメタライズからなる接続パッドを形成し、その接続パッドに半田(錫30〜10%-鉛70〜90%)からなる接続端子を取着した。なお、接続端子は、1cm2当たり30端子の密度で50mm×50mmの配線基板の下面全体に形成した。なお、配線基板の厚みはすべて1.6mmとした。
【0047】一方、ガラス-エポキシ基板からなる40〜800℃における熱膨張係数が13ppm/℃の絶縁体の表面に銅箔からなる配線導体が形成されたプリント基板を準備した。
【0048】そして、上記のパッケージ用配線基板をプリント基板の上の配線導体とパッケージ用絶縁基板の接続端子が接続されるように位置合わせし、これをN2 の雰囲気中で260℃で3分間熱処理しパッケージ用配線基板をプリント基板表面に実装した。この熱処理によりパッケージ用配線基板の半田からなる接続端子が溶けてプリント基板の配線導体と電気的に接続されたことを確認した。
【0049】(熱サイクル試験)次に、上記のようにしてパッケージ基板をプリント基板表面に実装したものを大気の雰囲気にて-40℃と125℃の各温度に制御した恒温槽に試験サンプルを15分/15分の保持を1サイクルとして最高500サイクル繰り返した。そして、各サイクル毎にプリント基板の配線導体とパッケージ用基板との電気抵抗を測定し電気抵抗に変化が現れるまでのサイクル数を表1に示した。
【0050】
【表1】

【0051】表1より明らかなように、ヤング率が200GPa以下である材料、試料No.1〜4、8、10〜13ではプリント基板とパッケージ用基板との間に電気抵抗変化は熱サイクル550回まで全く見られず、極めて安定で良好な電気的接続状態を維持できた。しかし、ヤング率が200GPaを越える材料、試料No.5、6、7、9、10では500サイクル未満で抵抗変化が検出され、実装後の信頼性に欠けることがわかった。
【0052】実施例2
ガラスセラミック焼結体として、表2に示すように、リチウム珪酸ガラス(組成:74重量%SiO2、14重量%Li2O、4重量%Al2O3、2重量%K2O、2重量%P2O5、2重量%Na2O、2重量%ZnO、屈伏点480℃、40〜400℃における熱膨張係数10.3ppm/℃)とアルミナの体積比を変えて混合し、実施例1と同様にして成形し、脱バインダー処理し、焼成した。そして、上記のようにして得られた焼結体に対して実施例1と同様にして、-70〜200℃のヤング率、熱膨張係数を確認した。
【0053】また、実施例1と同様にしてメタライズ配線層としてCuを用いて配線基板を作成し、これをガラス-エポキシ基板に実装し、実装時の熱サイクル試験を行い、プリント基板とパッケージ基板との電気抵抗の変化を調べた。
【0054】
【表2】

【0055】表2の結果から明らかなように、ヤング率が200GPa以下である、試料No.20〜24では500サイクルまでプリント基板とパッケージ基板との電気抵抗の変化が見られなかった。これに対して、試料No.14〜18では500サイクル以下で、接続部の破壊による電気抵抗の変化が見られた。また、熱膨張係数が8ppm/℃以上のものは700サイクル以上の耐久性を示した。
【0056】実施例3
表3に示すようにリチウム珪酸ガラス(組成:78重量%SiO2、10重量%Li2O、4重量%Al2O3、4重量%K2O、2重量%P2O5、2重量%Na2O、屈伏点480℃、40〜400℃における熱膨張係数10.3ppm/℃)と、フィラーとしてフォルステライト、クリストバライト、ペタライト、ネフェリン、リチウムシリケートを用いて、それらのフィラーを表3の体積比率で混合し、実施例1と同様にして成形し、脱バインダー処理し焼成した。そして得られた焼結体に対して実施例1と同様にして、-70〜200℃のヤング率、熱膨張係数を確認した。
【0057】また、実施例1と同様にグリーンシートを作成した後にCuメタライズペーストをスクリーン印刷法により配線パターンに塗布し、シートの所定箇所に基板の下面まで通過するスルーホールを形成しその中にもCuメタライズペーストを充填した。そして、実施例1と同様に、このグリーンシートを積層圧着、焼成し、パッケージ用の配線基板を作成し、このパッケージ用配線基板をプリント基板表面に実装し、実施例1と同様な方法で熱サイクル試験を行い、最高1000サイクルまで行った。
【0058】
【表3】

【0059】表3に示すように、ヤング率が200GPa以下の焼結体の中でも、40〜400℃における熱膨張係数が10〜25ppm/℃のものは、熱サイクル1000回でもプリント基板とパッケージ用配線基板との間に電気抵抗変化は見られず、信頼性に優れることがわかる。
【0060】
【発明の効果】以上詳述したように、本発明の配線基板の実装構造によれば、大型の配線基板を熱膨張係数が大きいプリント基板などの外部電気回路基板に実装した場合に、両者の熱膨張係数の差に起因する応力発生を緩和し、配線基板と外部電気回路とを長期間にわたり正確、かつ強固に電気的接続させることが可能となり、配線基板の半導体回路素子の大型化による多ピン化に十分対応できる信頼性の高いパッケージの実装構造を実現できる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明におけるボールグリッドアレイ型の半導体素子収納用パッケージの実装構造を説明するための断面図である。
【図2】他の実施例における接続端子の要部拡大断面図である。
【符号の説明】
1・・・絶縁基板
1b・・凹部
2・・・蓋体
3・・・メタライズ配線層
3a・・接続パッド
4、10・・・接続端子
5・・・半導体素子
6・・・容器
7・・・絶縁体
8・・・配線導体
A・・・BGA型パッケージ
B・・・外部電気回路基板
 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2005-03-01 
出願番号 特願平8-136554
審決分類 P 1 652・ 121- YA (H01L)
最終処分 維持  
前審関与審査官 坂本 薫昭  
特許庁審判長 城所 宏
特許庁審判官 瀬良 聡機
市川 裕司
登録日 2002-09-06 
登録番号 特許第3347583号(P3347583)
権利者 京セラ株式会社
発明の名称 配線基板の実装構造  
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