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審決分類 審判 査定不服 2項進歩性 特許、登録しない。 G09G
管理番号 1119320
審判番号 不服2002-19425  
総通号数 68 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許審決公報 
発行日 2001-07-19 
種別 拒絶査定不服の審決 
審判請求日 2002-10-03 
確定日 2005-07-07 
事件の表示 特願2000-4103号「画像表示用データ生成装置及び記録媒体」拒絶査定不服審判事件(平成13年7月19日出願公開、特開2001-195051号)について、次のとおり審決する。 
結論 本件審判の請求は、成り立たない。 
理由 第1 手続の経緯
本件は、平成12年1月12日にされた特許出願(特願2000-4103号。以下「本件出願」という。)につき、拒絶査定が平成14年8月26日付けでされ、同年9月3日に発送されたところ、この拒絶査定に対する審判が同年10月3日に請求され、手続補正書が同月28日付けで提出されたものである。

第2 平成14年10月28日付けの手続補正についての補正却下の決定
1 補正却下の決定の結論
平成14年10月28日付けの手続補正を却下する。
2 補正却下の決定の理由
(1)補正後の発明
上記手続補正は、本件出願の明細書の特許請求の範囲を次のとおり補正するものである。
「【請求項1】表示対象となる複数の対象画像を所定のディスプレイ装置上に表示するための画像表示用データを生成する、メインメモリとCPUとを備えた装置であって、
前記複数の対象画像と同数とされた複数のカラーパレットについてのパレットデータが、前記複数の対象画像の各画素に表示する色を決定するための複数の色情報と、該色情報のそれぞれに対で割り当てられた符号に関する符号情報とを含み、且つ前記パレットデータに含まれる前記符号情報のそれぞれが、各カラーパレットに含まれる色情報のうちの一つと対となるように共用されるものとして記録されている、第1記録手段と、
画素によって定められる表示範囲が互いに共通する対象画像に関し、且つ上記複数のカラーパレットのいずれかに対応するものとされていると共に、前記対象画像中の位置についての位置情報と、該位置情報のそれぞれに割り当てられた前記符号情報とを含む互いに共通のものとされており、且つ前記符号情報により特定された、そのカラーパレットに含まれる色情報により決定される色が、前記位置情報により特定される位置に表示すべき色と一致するようなものとして、前記複数の対象画像のそれぞれについての画像データが記録されている第2記録手段と、
前記複数の対象画像の一つについての画像データを、当該画像データを生成するために用いられるカラーパレットについてのパレットデータと共に必要に応じて読出し、これら画像データ及びパレットデータに基づいて、当該対象画像中の画素のそれぞれに、当該画素の位置についての位置情報と対応付けられた前記符号と対にされた色情報により決定される色を配することで画像表示用データを生成する描画手段と、
を備えており、
前記第1記録手段、及び前記第2記録手段は、所定の記録媒体から読み出されたプログラムコードと前記メインメモリの協働により生成されるものであり、前記描画手段は、前記プログラムコードと前記CPUの協働により生成されるものである、
画像表示用データ生成装置。
【請求項2】前記符号の数は、前記複数の対象画像中の画素に表示される色の数をXとし、前記複数の対象画像の数をYとしたときに、XのY乗以上の数とされている、
請求項1記載の画像表示用データ生成装置。
【請求項3】前記符号の数は16であり、前記色の数は2、前記複数の対象画像の数は4である、
請求項2記載の画像表示用データ生成装置。
【請求項4】前記符号の数は16であり、前記色の数は4、前記複数の対象画像の数は2である、
請求項2記載の画像表示用データ生成装置。
【請求項5】前記表示される色の一つが透明である、
請求項1乃至4のいずれか1項に記載の画像表示用データ生成装置。
【請求項6】前記対象画像のそれぞれが文字を表すものである、
請求項1乃至5のいずれか1項に記載の画像表示用データ生成装置。
【請求項7】メインメモリとCPUとを備えたコンピュータを、表示対象となる複数の対象画像を所定のディスプレイ装置上に表示するための画像表示用データを生成する画像表示用データ生成装置として機能させるためのプログラムコードがコンピュータ読み取り可能な形態で記録された記録媒体であって、
前記プログラムコードが、
前記メインメモリを、前記複数の対象画像と同数とされた複数のカラーパレットについてのパレットデータが、前記複数の対象画像の各画素に表示する色を決定するための複数の色情報と、該色情報のそれぞれに対で割り当てられた符号に関する符号情報とを含み、且つ前記パレットデータに含まれる前記符号情報のそれぞれが、各カラーパレットに含まれる色情報のうちの一つと対となるように共用されるものとして記録されている、第1記録手段、
及び、画素によって定められる表示範囲が互いに共通する対象画像に関し、且つ上記複数のカラーパレットのいずれかに対応するものとされていると共に、前記対象画像中の位置についての位置情報と、該位置情報のそれぞれに割り当てられた前記符号情報とを含む互いに共通のものとされており、且つ前記符号情報により特定された、そのカラーパレットに含まれる色情報により決定される色が、前記位置情報により特定される位置に表示すべき色と一致するようなものとして、前記複数の対象画像のそれぞれについての画像データが記録されている、第2記録手段として、
前記CPUを、前記複数の対象画像の一つについての画像データを、当該画像データを生成するために用いられるカラーパレットについてのパレットデータと共に必要に応じて読出し、これら画像データ及びパレットデータに基づいて、当該対象画像中の画素のそれぞれに、当該画素の位置についての位置情報と対応付けられた前記符号と対にされた色情報により決定される色を配することで画像表示用データを生成する描画手段として、
それぞれ機能させるものである記録媒体。」
上記手続補正は、本件出願の請求項1に係る発明を特定する事項である「装置」について「メインメモリとCPUとを備えた」との限定を付加し、「第1記録手段」、「第2記録手段」について「所定の記録媒体から読み出されたプログラムコードと前記メインメモリの協働により生成されるものであり」との限定を付加し、「描画手段」について「前記プログラムコードと前記CPUの協働により生成されるものである」との限定を付加し、請求項7に係る発明を特定する事項である「コンピュータ」について「メインメモリとCPUとを備えた」との限定を付加し、「第1記録手段」、「第2記録手段」について「前記メインメモリを」第1記録手段「及び」第2記録手段「として」との限定を付加し、「描画手段」について「前記CPUを」描画手段「として」との限定を付加するものであって、特許法17条の2第4項2号の特許請求の範囲の限定的減縮を目的とするものに該当する。
(2)独立特許要件について
本件補正後の請求項1に係る発明(以下「本願補正発明」という。)が特許出願の際独立して特許を受けることができるものであるかについて以下に検討する。
ア 引用刊行物に記載された発明
原査定の拒絶の理由で引用された特開平8-63141号公報(以下「刊行物1」という。)には、図面とともに、「【0001】【産業上の利用分野】本発明は、画面を構成する画素ごとにカラーを変更して異なる画像の表示を行うカラー画像表示方法及びこれを用いたビデオゲーム装置を提供する。」、「【0013】【発明が解決しようとする課題】したがって、本発明の目的は、メモリ容量の増大を防止し、且つ設計を容易とするカラー画像表示方法を提供することにある。【0014】また、本発明の目的は、カラー変更により容易に異なる画像を形成しうるカラー画像表示方法を提供することにある。【0015】更に、本発明の目的は、上記方法を用いたビデオゲーム装置を提供することにある。」、「【0016】【課題を解決するための手段】本発明にしたがうカラー画像表示方法は、複数の表示画像の各々に対応して、複数のカラーパレットの各々に異なるカラー種を設定し、複数の表示画像に共通の画素メモリ領域を用意し、画素メモリ領域の各々の画素対応にカラー種の指定情報を登録し、複数のカラーパレットを順次選択する。【0017】これにより、表示画像を構成する各々の画素に対して登録されたカラー種の指定情報に対応する、選択されたカラーパレットに設定されたカラー種で表示画像を構成する各々の画素をカラー表示する。【0018】更に、具体的態様として、前記カラーパレットにおいて、数字コードと対でカラー種が設定され、前記表示画像を構成する各々の画素に対して登録されたカラー種の指定情報は、この数字コードによって表される。【0019】また、本発明にしたがうビデオゲーム装置は、ゲームプログラムを記憶するROMと、ROMからゲームプログラムを読出し、ゲームプログラムを実行制御するCPUと、表示画像を表示するモニタとを有する。」、「【0024】【実施例】図1は、本発明の画像表示方法の原理説明図である。図2は、従来例として説明した図4と同様に、○の像と×の像を切り換えてカラー画像表示を行う例を説明している。【0025】図1(1)は、8×8の画素メモリ領域の内容を示し、○の像を構成する画素位置に数字2が、×の像を構成する画素位置に数字1が登録記憶されている。また、図1(1)において、白抜き部分の画素は、数字0が登録記憶されている。【0026】図1(2)、図1(3)は、それぞれ、○の像に対応するカラーパレット及び×の像に対応するカラーパレットの内容である。【0027】即ち、図1(2)のカラーパレットにおいて、数字0、1は、白色を示し、数字2は、青色を示している。したがって、○の像を表示する際は、図1(2)のカラーパレットを選択することにより、青色で○の像が表示される。【0028】一方、図1(3)のカラーパレットにおいて、数字0、2は、白色を示し、数字1は、赤色を示している。したがって、×の像を表示する際は、図1(3)のカラーパレットを選択することにより、赤色で×の像が表示される。【0029】このように、本発明においては、画像対応にカラーパレットを用意し、これを適宜選択して行くことにより、順次異なる画像を表示することが出来る。更に、複数の画像に対し、共通に一の画素メモリ領域を備えるのみで良い。」、「【0032】図2において、CPU1は、プログラムROM2に記憶されたゲームプログラムを読出し、実行制御する。更に、プログラムROM2には、ゲームプログラムの一部として複数のカラーパレット及び複数の画像、本実施例では「砂嵐」の五種類のパターン画像、に共通の一の画面を構成する画素メモリ領域の各々に登録された、カラーパレットのカラー種を指定する情報が記憶されている。【0033】RAM3は、ゲームプログラム実行中のデータを記憶するメモリであり、特に本発明との関連においては、後に説明する「砂嵐」の画面を切り換え制御するタイミングを与えるタイマーのカウント設定値がセットされる。」、「【0038】上記スクロール用のビデオRAM4及びオブジェクト用ビデオRAM7に記憶されるビデオ信号は、ゲームプログラムの進行にしたがい、CPU1によりプログラムROM2から読みだされて、それぞれのビデオRAMに入力される。【0039】優先回路12は、スクロール制御回路5からのビデオ信号とフィールドバッファメモリ10からのビデオ信号を入力し、ビデオ信号に含まれるカラー指示信号に基づき、カラーRAM11からの対応するカラー信号を付加し、且つフィールドバッファメモリ10からのビデオ信号を優先してモニタ13に送り、カラー画像の表示を行う。【0040】更に、カラーRAM11には、後に説明するように「砂嵐」のパターン数分のカラーパレットが順次CPU1の制御により記憶される。」、「【0049】・・・カラーRAM11にセットされた、パターン1の「砂嵐」の画像に対応する第一のカラーパレットの色指定に基づき、「砂嵐」の画面を構成する各画素毎に色信号が優先回路12において付加される。【0050】即ち、「砂嵐」の画面のビデオデータは、プログラムROM2から読みだされ、スクロールRAM4に記憶される。そして、スクロールRAM4に記憶された「砂嵐」の画面のビデオデータは、スクロール制御回路5を経て画素毎に優先回路12に入力する。【0051】ここで、「砂嵐」の画面を表示する時は、オブジェクトの表示は行われないので、優先回路12には、スクロール制御回路5を経た「砂嵐」の画面のビデオデータのみが入力される。【0052】優先回路12において、「砂嵐」の画面のビデオデータの画素毎に付されているカラー指示信号即ち、本発明においては、カラーパレットの番号に基づき、カラーRAM11にセットされたカラーパレットの対応する番号の色信号が付加される。【0053】この色信号が付加された「砂嵐」の画面のビデオデータは、モニタ13に送られ、カラーでパターン1の「砂嵐」の画像がモニタ13に表示される。」、「【0060】【発明の効果】以上実施例にしたがい説明したように、本発明においては、複数のカラーパレットを用意し、且つ表示画像の各画素毎に、対応するカラーパレットに設定されているカラー種を指定する指定情報を記憶して置く構成である。【0061】したがって、カラーパレットを順次選択することにより、異なる複数のカラー画像を表示することが可能である。また、その際、複数の異なる表示画像に対し、共通の画素メモリ領域を用意すれば良く、したがってメモリ容量の増大化を阻止することが可能である。また、複数の表示画像の設計においても、カラーパレットを変更すれば異なる画像が表示されるので、画像の設計も容易となる。」等の記載がされている。
イ 対比・判断
本願補正発明と刊行物1に記載された発明とを対比すると、刊行物1に記載されたモニタ13、CPU1、カラー種、数字コードによる指定情報、プログラムROM2、ビデオゲーム装置は、それぞれ本願補正発明の「ディスプレイ装置」、「CPU」、「色情報」、「符号情報」、「記録媒体」、「画像表示用データ生成装置」に相当する。
刊行物1には「メインメモリ」との記載はないが、CPU1に対応するメインメモリが存在することは明らかである。
刊行物1に記載された発明では、複数の表示画像の各々に対応する複数のカラーパレットのデータが、表示画像を構成する各々の画素をカラー表示するための白色、青色等のカラー種と、このカラー種と対で設定された0、1、2等の数字コードによる指定情報とを含み、この数字コードによる指定情報のそれぞれが、各カラーパレットに含まれるカラー種のうちの一つと対となるように共用されるものとして記憶され、このカラーパレットがプログラムROM2、カラーRAM11に記憶されているから、刊行物1に記載された発明には「複数の対象画像と同数とされた複数のカラーパレットについてのパレットデータが、前記複数の対象画像の各画素に表示する色を決定するための複数の色情報と、該色情報のそれぞれに対で割り当てられた符号に関する符号情報とを含み、且つ前記パレットデータに含まれる前記符号情報のそれぞれが、各カラーパレットに含まれる色情報のうちの一つと対となるように共用されるものとして記録されている」という点で本願補正発明の「第1記録手段」に相当する記録手段が存在する。
刊行物1に記載された発明では、画素によって定められる表示の範囲が互いに共通する表示画像に関し、複数のカラーパレットのいずれかに対応するものとされており、画素位置のそれぞれに割り当てられた数字コードを含む表示メモリ領域が共通のものとされており、前記数字コードにより指定された、そのカラーパレットに含まれるカラー種により決定される色が画素位置に表示すべき色と一致するようなものとして、表示画像のそれぞれを表示するためのデータがプログラムROM2、スクロール用ビデオRAM4、オブジェクト用ビデオRAM7に記憶されているから、刊行物1に記載された発明には「画素によって定められる表示範囲が互いに共通する対象画像に関し、且つ上記複数のカラーパレットのいずれかに対応するものとされていると共に」、「位置」の「それぞれに割り当てられた前記符号情報とを含む互いに共通のものとされており、且つ前記符号情報により特定された、そのカラーパレットに含まれる色情報により決定される色が」、「特定される位置に表示すべき色と一致するようなものとして、前記複数の対象画像のそれぞれについての画像データが記録されている」という点で本願補正発明の「第2記録手段」に相当する記録手段が存在する。
また、刊行物1に記載された発明では、複数の表示画像の各々についてのカラー種の指定情報を、当該表示画像を生成するために用いられるカラーパレットのカラー種等のデータとともに用い、これに基づいて、当該表示画像の画素のそれぞれに、画素位置に記憶された数字コードと対にされたカラー種で表示画像を表示しており、プログラムROM2からゲームプログラムを読み出し、CPU1がこれを実行しているから、刊行物1に記載された発明には「複数の対象画像の一つについての画像データを、当該画像データを生成するために用いられるカラーパレットについてのパレットデータと共に必要に応じて読出し、これら画像データ及びパレットデータに基づいて、当該対象画像中の画素のそれぞれに」、「位置」と「対応付けられた前記符号と対にされた色情報により決定される色を配することで画像表示用データを生成」するという点で本願補正発明の「描画手段」に相当するものが存在し、この手段は、「プログラムコードと前記CPUの協働による生成されるもの」である。
そうすると、本願補正発明と刊行物1に記載された発明とは、「表示対象となる複数の対象画像を所定のディスプレイ装置上に表示するための画像表示用データを生成する、メインメモリとCPUとを備えた装置であって、前記複数の対象画像と同数とされた複数のカラーパレットについてのパレットデータが、前記複数の対象画像の各画素に表示する色を決定するための複数の色情報と、該色情報のそれぞれに対で割り当てられた符号に関する符号情報とを含み、且つ前記パレットデータに含まれる前記符号情報のそれぞれが、各カラーパレットに含まれる色情報のうちの一つと対となるように共用されるものとして記録されている、第1記録手段」と、「画素によって定められる表示範囲が互いに共通する対象画像に関し、且つ上記複数のカラーパレットのいずれかに対応するものとされていると共に」、「位置」の「それぞれに割り当てられた前記符号情報とを含む互いに共通のものとされており、且つ前記符号情報により特定された、そのカラーパレットに含まれる色情報により決定される色が」、「特定される位置に表示すべき色と一致するようなものとして、前記複数の対象画像のそれぞれについての画像データが記録されている第2記録手段」と、「前記複数の対象画像の一つについての画像データを、当該画像データを生成するために用いられるカラーパレットについてのパレットデータと共に必要に応じて読出し、これら画像データ及びパレットデータに基づいて、当該対象画像中の画素のそれぞれに、当該画素の位置」と「対応付けられた前記符号と対にされた色情報により決定される色を配することで画像表示用データを生成する描画手段とを備えており」、「前記描画手段は、前記プログラムコードと前記CPUの協働により生成されるものである」、「画像表示用データ生成装置」である点で一致し、次の相違点1及び2で相違する。
相違点1 本願補正発明では、「対象画像中の位置についての位置情報」を含み、この「位置情報」のそれぞれに符号情報が割り当てられ、位置が「位置情報により特定され」、符号情報が「位置情報」と対応づけられているのに対し、刊行物1にはこのような記載が明確にされていない点。
相違点2 本願補正発明では「前記第1記録手段、及び前記第2記録手段は、所定の記録媒体から読み出されたプログラムコードと前記メインメモリの協働により生成されるもの」であるのに対し、刊行物1にはこのような記載が明確にされていない点。
相違点1について検討すると、位置を特定、指定するために位置情報を用いることは周知慣用の技術手段であり、刊行物1に記載された発明において相違点1のようにすることは当業者が適宜に行いうることである。
相違点2について検討すると、所定の記録媒体から読み出されたプログラムコードとメインメモリの協働により記録手段を生成することは周知慣用の手段であり、刊行物1に記載された発明において上記相違点のようにすることは当業者が適宜に行いうることである。
本願補正発明の効果についてみても、刊行物1に記載された発明、周知慣用の技術手段から予測しうるものであって、格別のものではない。
そうすると、本願補正発明は、当業者が刊行物1に記載された発明及び周知慣用の技術手段に基いて容易に発明をすることができたものである。
したがって、本願補正発明は、特許法29条2項の規定により特許出願の際独立して特許を受けることができないものである。
(4)補正却下の決定についてのむすび
以上のとおりであるから、上記手続補正は、特許法17条の2第5項で準用する同法126条4項の規定に違反するものであり、同法159条1項で準用する同法53条の規定により却下しなければならないものである。

第3 本件出願に係る発明
平成14年10月28日付けの手続補正は上記のとおり却下したので、本件出願の請求項1に係る発明(以下「本願発明」という。)は、平成14年7月19日付け手続補正書により補正された明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1に記載された次のとおりのものである。
「【請求項1】表示対象となる複数の対象画像を所定のディスプレイ装置上に表示するための画像表示用データを生成する装置であって、
前記複数の対象画像と同数とされた複数のカラーパレットについてのパレットデータが、前記複数の対象画像の各画素に表示する色を決定するための複数の色情報と、該色情報のそれぞれに対で割り当てられた符号に関する符号情報とを含み、且つ前記パレットデータに含まれる前記符号情報のそれぞれが、各カラーパレットに含まれる色情報のうちの一つと対となるように共用されるものとして記録されている、第1記録手段と、
画素によって定められる表示範囲が互いに共通する対象画像に関し、且つ上記複数のカラーパレットのいずれかに対応するものとされていると共に、前記対象画像中の位置についての位置情報と、該位置情報のそれぞれに割り当てられた前記符号情報とを含む互いに共通のものとされており、且つ前記符号情報により特定された、そのカラーパレットに含まれる色情報により決定される色が、前記位置情報により特定される位置に表示すべき色と一致するようなものとして、前記複数の対象画像のそれぞれについての画像データが記録されている第2記録手段と、
前記複数の対象画像の一つについての画像データを、当該画像データを生成するために用いられるカラーパレットについてのパレットデータと共に必要に応じて読出し、これら画像データ及びパレットデータに基づいて、当該対象画像中の画素のそれぞれに、当該画素の位置についての位置情報と対応付けられた前記符号と対にされた色情報により決定される色を配することで画像表示用データを生成する描画手段と、
を備える画像表示用データ生成装置。」

第4 引用刊行物に記載された発明
原査定の拒絶の理由に引用された刊行物1及びその記載事項は、前記のとおりである。

第5 当審の判断
本願発明は、本願補正発明から「装置」の限定事項である「メインメモリとCPUとを備えた」との点を省き、「第1記録手段」、「第2記録手段」の限定事項である「所定の記録媒体から読み出されたプログラムコードと前記メインメモリの協働により生成されるものであり」との点を省き、「描画手段」の限定事項である「前記プログラムコードと前記CPUの協働により生成されるものである」との点を省いたものである。
そうすると、本願発明を特定する事項を全て含み、更に他の事項を付加したものである本願補正発明が、前示のとおり、当業者が刊行物1に記載された発明及び周知慣用の技術手段に基いて容易に発明をすることができたものであるから、本願発明も、同様の理由により、当業者が刊行物1に記載された発明及び周知慣用の技術手段に基いて容易に発明をすることができたものである。

第6 まとめ
以上のとおりであるから、本件出願の請求項1に係る発明は特許法29条2項の規定により特許を受けることができないものであり、その余の請求項に係る発明について判断するまでもなく、本件出願は、拒絶をすべきものである。
よって、結論のとおり審決する。
 
審理終結日 2005-04-26 
結審通知日 2005-05-10 
審決日 2005-05-23 
出願番号 特願2000-4103(P2000-4103)
審決分類 P 1 8・ 121- Z (G09G)
最終処分 不成立  
前審関与審査官 後藤 亮治  
特許庁審判長 瀧 廣往
特許庁審判官 後藤 時男
福田 裕司
発明の名称 画像表示用データ生成装置及び記録媒体  
代理人 鈴木 正剛  

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