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審決分類 審判 全部申し立て 2項進歩性  A63F
管理番号 1119396
異議申立番号 異議2003-71465  
総通号数 68 
発行国 日本国特許庁(JP) 
公報種別 特許決定公報 
発行日 2000-02-22 
種別 異議の決定 
異議申立日 2003-06-06 
確定日 2005-04-26 
異議申立件数
訂正明細書 有 
事件の表示 特許第3354525号「弾球遊技機」の請求項1乃至3に係る特許に対する特許異議の申立てについて、次のとおり決定する。 
結論 訂正を認める。 特許第3354525号の請求項1及び2に係る特許を取り消す。 
理由 第1.手続の経緯
本件特許第3354525号の請求項1乃至3に係る発明は、平成10年4月21日に特許出願した特願平10-126693号の一部を平成11年8月31日に特願平11-246817号として新たな特許出願としたものであって、平成14年9月27日に設定登録がなされ、その後、丸本功彦、町田彬、市川純、沼尻鴻及び榊原吉保の5名より特許異議の申立てがなされ、平成15年11月27日付けで取消理由通知がなされ、その指定期間内である平成16年2月9日付けで訂正請求がなされたものである。

第2.訂正の適否についての判断
1.訂正の内容(下線部訂正箇所)
i.訂正事項a
特許明細書の特許請求の範囲に記載の請求項3を削除するとともに、請求項1及び2を、
「【請求項1】 遊技球の入賞したことを検出するための遊技球検出手段と、
該遊技球検出手段を介して入力される遊技球の入賞信号に起因して遊技を制御する遊技制御基盤と、
遊技球の入賞に起因して遊技者に賞球を払い出す賞球払出装置と、
を少なくとも備える弾球遊技機において、
前記遊技球検出手段は、遊技盤面上の全ての入賞口に個々に備えられ、
前記遊技制御基盤は入力する遊技球の入賞信号に基づいたデータを、前記賞球払出装置を制御する枠制御基盤に出力し、
前記枠制御基盤は、入力する前記データに基づき記憶される記憶入賞個数又は賞球数を加算し、賞球を払い出すことに起因して記憶入賞個数又は賞球数を減算し、この加減算される記憶入賞個数又は賞球数に従って賞球を払い出し、
前記枠制御基盤は、前記記憶入賞個数又は賞球数を停電時に消滅しないように記憶保持し、
前記遊技球検出手段を介して流下する入賞球を集合させ、該集合させた入賞球を、アウト口から取り込まれた入賞しない遊技球と合流させて排出する、よう構成し、 前記遊技球検出手段にて入賞球を検出した後は対応する賞球の払い出しの終了を待たず、前記検出後の入賞球を、再度検出するための貯留をすることなく遊技機外へ排出し、 前記枠制御基盤がリセットをかけられたとき、前記枠制御基盤に記憶された前記記憶入賞個数又は賞球数の値が異常であると判断すれば零クリアし、 前記リセットが遊技中にかけられたと判断した場合には、異常である旨を表示する処理が実行される、 よう構成したことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】遊技球の入賞したことを検出するための遊技球検出手段と、
該遊技球検出手段を介して入力される遊技球の入賞信号に起因して遊技を制御する遊技制御基盤と、
遊技球の入賞に起因して遊技者に賞球を払い出す賞球払出装置と、
を少なくとも備える弾球遊技機において、
前記遊技球検出手段は、遊技盤面上の全ての入賞口に個々に備えられ、
前記遊技制御基盤は入力する遊技球の入賞信号に基づいたデータを、前記賞球払出装置を制御する枠制御基盤に出力し、
前記枠制御基盤は、入力する前記データに基づき記憶される記憶入賞個数又は賞球数を加算し、賞球を払い出すことに起因して記憶入賞個数又は賞球数を減算し、この加減算される記憶入賞個数又は賞球数に従って賞球を払い出し、
前記枠制御基盤は、前記記憶入賞個数又は賞球数を停電時に消滅しないように記憶保持し、
前記遊技球検出手段を介して流下する入賞球を集合させ、該集合させた入賞球を、アウト口から取り込まれた入賞しない遊技球とは異なる経路で排出する、よう構成し、 前記遊技球検出手段にて入賞球を検出した後は対応する賞球の払い出しの終了を待たず、前記検出後の入賞球を、再度検出するための貯留をすることなく遊技機外へ排出し、 前記枠制御基盤がリセットをかけられたとき、前記枠制御基盤に記憶された前記記憶入賞個数又は賞球数の値が異常であると判断すれば零クリアし、 前記リセットが遊技中にかけられたと判断した場合には、異常である旨を表示する処理が実行される、 よう構成したことを特徴とする弾球遊技機。」と訂正する。
ii.訂正事項b
特許明細書の段落【0003】に記載の「図13」を「図12」と訂正する。
iii.訂正事項c
特許明細書の段落【0005】及び【0008】に記載の「排出する、よう構成したことを特徴とする弾球遊技機」を「排出する、よう構成し、前記遊技球検出手段にて入賞球を検出した後は対応する賞球の払い出しの終了を待たず、前記検出後の入賞球を、再度検出するための貯留をすることなく遊技機外へ排出し、前記枠制御基盤がリセットをかけられたとき、前記枠制御基盤に記憶された前記記憶入賞個数又は賞球数の値が異常であると判断すれば零クリアし、前記リセットが遊技中にかけられたと判断した場合には、異常である旨を表示する処理が実行される、よう構成したことを特徴とする弾球遊技機」と訂正する。
iv.訂正事項d
特許明細書の段落【0009】及び【0027】を削除する。
v.訂正事項e
特許明細書の段落【0028】に記載の「3例」を「2例」と訂正する。
vi.訂正事項f
特許明細書の段落【図面の簡単な説明】に記載の「【図12】 本第3の具体例の遊技盤11の裏面図である。【図13】 従来の遊技盤の構成を示す裏面図である。」を「【図12】 従来の遊技盤の構成を示す裏面図である。」と訂正する。
vii.訂正事項g
特許明細書に添付の「図12」の図面を削除し、「図13」の図面を「図12」の図面に訂正する。

2.訂正の目的の適否、新規事項の有無及び拡張変更の存否
上記訂正事項aは、特許明細書の特許請求の範囲の請求項3を削除し、訂正前の請求項1及び2に記載される、遊技球検出手段にて検出した入賞球の処理について「遊技球検出手段にて入賞球を検出した後は対応する賞球の払い出しの終了を待たず、前記検出後の入賞球を、再度検出するための貯留をすることなく遊技機外へ排出」する構成として特定するとともに、リセット処理の態様として「枠制御基盤がリセットをかけられたとき、前記枠制御基盤に記憶された前記記憶入賞個数又は賞球数の値が異常であると判断すれば零クリアし、前記リセットが遊技中にかけられたと判断した場合には、異常である旨を表示する処理が実行される」構成を付加することで、より下位概念に具体化限定化しようとするものであるから、特許請求の範囲の減縮を目的とするものであり、また、上記訂正事項b乃至gは、前記特許請求の範囲の減縮に伴って、減縮された特許請求の範囲の記載と発明の詳細な説明の記載とを整合させるため、明細書及び図面の記載を訂正する、明りょうでない記載の釈明を目的とするものであり、そして、これらの訂正事項a乃至gは、特許明細書及び図面に記載された事項の範囲内において訂正するものであるから新規事項の追加に該当せず、また、実質上特許請求の範囲を拡張し又は変更するものでもない。

3.むすび
したがって、上記訂正は、特許法第120条の4第2項及び第3項において準用する特許法第126条第2項及び第3項の規定に適合するので、当該訂正を認める。

第3.特許異議申立てについての判断
1.本件発明
特許第3354525号の請求項1乃至3に係る発明は、訂正が認められるから、本件の訂正明細書及び図面の記載からみて、その特許請求の範囲の請求項1及び2(以下、「本件発明1及び2」という。)に記載された事項(前記第2.1.i.参照)により特定されるものである。
2.取消理由の概要
当審が平成15年11月27日付けで通知した取消理由のうち、取消理由1は、特許請求の範囲の請求項1乃至3に記載の発明は、刊行物である下記の第1引用例乃至第8引用例に記載された発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、本件の特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものであって取り消されるべきというものである。
第1引用例:特開平6-71028号公報
第2引用例:特開平7-265529号公報
第3引用例:特開平5-237247号公報
第4引用例:特開平4-329988号公報
第5引用例:特開平6-63230号公報
第6引用例:特開平9-266981号公報
第7引用例:特開平3-286790号公報
第8引用例:特開昭59-166178号公報

3.引用例に記載の発明
(1)第1引用例に記載の発明
i.第1引用例〔特開平6-71028号公報〕には、以下の事項が記載されている。
「【請求項1】遊技盤の遊技部内に設けた入賞領域へ入賞した入賞球の種別を検出する入賞種別検出手段と、上記入賞種別検出手段によって検出された入賞球の種別に応じた賞球排出数を個別に記憶する賞球排出数記憶手段と、上記賞球排出数記憶手段の記憶内容を保護する記憶保護手段と、上記賞球排出数記憶手段が記憶する賞球排出数に基づいて、遊技球排出装置より賞球を排出させる排出動作制御手段と、を備えることを特徴とする遊技機。
【請求項2】全ての入賞領域へ入賞した球を一括して検出する入賞球検出
手段を備え、上記入賞球検出手段が検出した入賞球と入賞種別検出手段が検出した入賞球種別とを照合して決定された賞球排出数を賞球排出数記憶手段が個別に記憶保持するようにしたことを特徴とする請求項1に記載の遊技機。」(第2頁第1欄第2〜18行)、
「【0024】上記のようにして特別遊技が開始されると、変動入賞装置33の球受扉40を例えば前方に傾動させ、遊技盤10の盤面を流下する遊技球を大入賞口33aへ招じ入れる第2状態に変換するのである。すなわち、特別遊技においては、変動入賞装置33が多量の遊技球を受け入れ得る第2状態に変換されることで、遊技者は多量の賞球を獲得可能となるのである。また、特別遊技においては、大入賞口33aへの入賞球数が所定個数に達するか、変動入賞装置33の第2状態変換時間が予め定めた所定時間(例えば30秒)に達するか、何れか最先の条件が満たされた時点で変動入賞装置33を第1状態に復帰させるものとし、この間を1サイクルとして、例えば最高16サイクルまで更新可能な遊技内容の特別遊技を行うものとしてある。」(第5頁第7欄第20〜33行)、
「【0025】また、上記のように構成した遊技盤10には、補助変動入賞装置34の第1特図始動口38aへ入賞した球を検出する第1特図始動入賞球検出器41、第2特図始動口38bへ入賞した球を検出する第2特図始動入賞球検出器42、第3特図始動口38cへ入賞した球を検出する第3特図始動入賞球検出器43、変動入賞装置33内の継続入賞領域へ入賞した球を検出する継続入賞球検出器44、変動入賞装置33内へ入賞した大入賞口入賞球を一括して検出する大入賞口入賞球検出器45、第1普図始動ゲート36aへの通過入賞球を検出する第1普図始動ゲート通過球検出器46、第2普図始動ゲート36bへの通過入賞球を検出する第2普図始動ゲート通過球検出器47、第1一般入賞口11aへの入賞球を検出する第1一般入賞球検出器48、第2一般入賞口11bへの入賞球を検出する第2一般入賞球検出器49、第3一般入賞口11cへの入賞球を検出する第3一般入賞球検出器50、第4一般入賞口11dへの入賞球を検出する第4一般入賞球検出器51を夫々適宜な位置に設けてあり、各検出器の検出出力は後述する電気的制御装置へ供給される。」(第5頁第7欄第40行〜第8欄第9行)、
「【0027】一方、遊技機1の裏面側(図3に示す)には、上記遊技盤10の遊技部9内へ弾球された球(セーフ球およびアウト球)を回収して、適宜に処理すると共に、各入賞球に応じた賞球の排出制御、プリペイドカードに使用に基づいた遊技者の選択による球貸排出制御を行えるように、各種の機能を備えた裏機構盤55を設けてあり、該裏機構盤55の背面適所には、遊技盤10等を制御するための電気的制御装置56、該電気的制御装置56の収集した予備遊技、第1,第2補助遊技および特別遊技に関連する管理情報を外部たる管理装置等へ出力する第1ターミナル装置57a、該第1ターミナル装置57aが取り扱う以外の管理情報を出力すると共に電源ターミナルとしても機能する第2ターミナル装置57b、賞球排出動作および貸球排出動作を併せて制御する排出制御装置58が着脱可能に取り付けてある。そして、これら電気的制御装置56、第1,第2ターミナル装置57a,57b、排出制御装置58、球貸制御装置15は夫々接続線を介して機能的に接続してあり、各装置間で信号の授受が可能なようにしてある。」(第5頁第8欄第26〜44行)、
「【0030】上記遊技盤10の裏面に設けた入賞球集合樋(図示省略)から流下してきた入賞球を受け得る所要位置において上面が開成する入賞球案内樋62によって、遊技盤10からの入賞球を集め、磁気センサ等よりなるセーフセンサ63へ導くための調流樋64へ入賞球を整列状態で供給し、該調流樋64を通過する間に入賞球は上記セーフセンサ63で1個宛検出され、調流樋64と接続する導出樋65から遊技機1外へ排出される。
【0031】なお、本実施例に係る遊技機1においては、セーフセンサ63とは別途に、遊技盤10に設けた各種入賞領域としての第1〜第4一般入賞口11a〜11dや変動入賞装置33等に夫々入賞球検出器を設けておき、当該入賞球の種別を個別に検出できるので、各入賞領域への入賞数を個別に管理情報として取得することができると共に、各入賞領域の種別に応じて排出賞球数を異ならしめることができる。また、遊技盤10の背面側に設ける入賞球集合樋を複数系統設ける場合には、各入賞球集合樋と接続される入賞球案内樋を夫々構成し、各入賞球案内樋に応じた2系統の流路を設けて、各流路を通過する入賞球を異なるセーフセンサによって別途に検出するように構成してもよい。」(第6頁第9欄第15〜35行)、
「【0032】一方、アウト口14より遊技盤10の裏面側へ導かれたアウト球は、アウト球導出路66を経て、アウト球流下路67から遊技機1外へ排出される。」(第6頁第9欄第36〜38行)、
「【0044】電気的制御装置56は、中央演算装置(CPU98)及び記憶装置(ROM99、RAM100)を主な構成要素とし、CPU98には電源を供給する電源回路101、クロックを供給する分周回路102、音声発生のためのサウンドジェネレータ103等が連絡している。また、サウンドジェネレータ103はアンプ104を介してスピーカ61に連絡していて、遊技の効果音等を発生する。
【0045】また、CPU98へはバッファゲート105及びローパスフィルタ106を介して、第1特図始動入賞球検出器41、第2特図始動入賞球検出器42、第3特図始動入賞球検出器43、継続入賞球検出器44、大入賞口入賞球検出器45、第1普図始動ゲート通過球検出器46、第2普図始動ゲート通過球検出器47、排出制御装置58等と連絡し、これらの検出器や装置からの信号を受信する。
【0046】なお、図5に示すブロック図においては省略したが、遊技機1の電気的制御装置56は、当該遊技店の管理装置とも接続してあり、該管理装置より打止め制御や管理情報要求等の指令信号を受信する。また、第1〜第4一般入賞口11a〜11dへ入賞した球を夫々検出する第1一般入賞球検出器48、第2一般入賞球検出器49、第3一般入賞球検出器50、第4一般入賞球検出器51よりの検出信号を、夫々電気的制御装置56へ供給するようにしてもよい。」(第7頁第12欄第24〜48行)、
「【0049】この排出制御装置58の主要部は、例えばワンチップ・マイクロコンピュータ111より構成するものとしてあり、ワンチップ内にCPU,ROM,RAMが一体的に組み付けられ、電源回路112の供給電源に基づいて動作すると共に、発振器113より入力されるクロックを分周して用いる。また、上記ワンチップ・マイクロコンピュータ111へ停電検出信号を出力する停電検出回路114を設けてあり、上記電源回路112よりワンチップ・マイクロコンピュータ111へ供給される電源電圧を常時監視し、該電源電圧がワンチップ・マイクロコンピュータの動作を賄い得ない程低下した状態(停電状態)を検出することで、停電検出信号を出力するのである。」(第8頁第13欄第19〜31行)、
「【0051】次に、遊技機1の電気的制御装置56と排出制御装置58における賞球排出機能についての要部を、図7に示す機能ブロック図に基づいて詳細に説明する。なお、本ブロック図においては、電気的制御装置56の遊技制御に関連した諸機能や排出制御装置の貸球排出機能等に関連した部分を省略してある。
【0052】先ず、遊技盤10の遊技部9内に設けられた各種入賞領域への入賞球を検出する入賞種別検出手段117(図2においては、各入賞領域に設けた第1〜第3始動入賞球検出器41〜43、継続入賞球検出器44、大入賞口入賞球検出器45等の検出器)より出力される入賞種別検出信号が、電気的制御装置56の第1賞球排出数記憶手段118へ入力されるものとしてある。そして、上記第1賞球排出数記憶手段118は、入賞種別検出手段117より入力された入賞種別検出信号の示す入賞球の種別に応じた賞球排出数を個別に記憶し、当該賞球排出数を賞球排出数送信手段119へ送出するのである。」(第8頁第13欄第47行〜第14欄第14行)、
「【0054】一方、遊技機1の入賞球検出手段120(全ての入賞領域へ入賞した球を一括して検出するもので、上記実施例においてはセーフセンサ63に該当する。なお、セーフセンサ63では第1,第2普図始動ゲート36a,36bを通過入賞した球を検出できないので、これらの通過入賞球に対する賞球も行うように設定した場合には、セーフセンサ63と第1,第2普図始動ゲート通過球検出器46,47とで入賞球検出手段として機能する。)より入力される入賞球検出信号は、排出制御装置58の入賞球数記憶手段121へ入力されるものとしてあり、この入賞球数記憶手段121の入賞球記憶に基づいて、排出排出制御装置58の賞球排出数要求手段122が上記賞球排出数送信手段119へ賞球排出数要求を行うのである。
【0055】すなわち、賞球排出の対象となる何れかの入賞領域を通過する際に、各入賞球は入賞種別検出手段117によって検出されることで、当該入賞球種別に応じた賞球排出数が第1賞球排出数記憶手段118に記憶保持され、上記入賞領域を通過した後に入賞球検出手段120によって検出されることで、当該入賞球検出に基づく入賞球検出記憶が入賞球数記憶121に記憶保持されると共に、この入賞球検出記憶に基づいて賞球排出数要求手段122より賞球排出数送信手段119へ賞球排出数要求が為されると、上記第1賞球排出数記憶手段118より賞球排出数送信手段119に供給されていた賞球排出数が、排出制御装置58内の第2賞球排出数記憶手段123へ送信されるのである。なお、賞球排出数送信手段119は賞球排出数の送信動作が完了する毎に第1賞球排出数記憶手段118へリセット信号を送信するものとし、該リセット信号の入力に伴って第1賞球排出数記憶手段118は当該賞球排出数の記憶を消去すると共に、別の賞球排出数を賞球排出数送信手段119へ出力するのである。
【0056】斯くして、第2賞球排出数記憶手段123は、上記入賞種別検出手段117によって検出された入賞球の種別に応じた賞球排出数を個別に記憶し、該第2賞球排出数記憶手段が記憶する賞球排出数に基づいて、排出動作制御手段124が遊技球排出装置71の動作制御を行い、該遊技球排出装置71より所定数の賞球を排出させるのである。
【0057】このように、全ての入賞領域へ入賞した球を一括して検出する入賞球検出手段120を備えるものとし、該入賞球検出手段120が検出した入賞球と上記入賞種別検出手段117が検出した入賞球種別とを照合して決定された賞球排出数を第2賞球排出数記憶手段123が記憶保持するようにすれば、遊技者の不正行為に起因して入賞種別検出手段117のみが動作したような場合を検出することが可能となり、不正検出に基づく遊技停止等を実行できる。」(第8頁第14欄第26行〜第9頁第15欄第24行)、
「【0058】上記第2賞球排出数記憶手段123は、賞球排出数送信手段119より賞球数を受けると、入賞球数記憶手段121へ記憶リセット信号を出力し、該記憶リセット信号が入力されることで、賞球排出数要求手段122への信号出力を停止すると共に、入賞球数記憶から「1」減ずることで、処理済みの記憶(賞球排出数が第2賞球排出数記憶手段123にセットされた記憶)をリセットするのである。
【0059】また、第2賞球排出数記憶手段123の記憶内容に基づく賞球排出動作が完了すると、排出動作制御手段124は第2賞球排出数記憶手段123へ排出動作完了信号を送出し、該排出動作完了信号の入力に伴って、第2賞球排出数記憶手段123は、排出動作制御手段124への信号出力を停止すると共に、この排出動作が完了した賞球排出数についての記憶をリセットするのである。」(第9頁第15欄第29〜44行)、
「【0060】以上説明したように、本発明に係る遊技機1においては、遊技盤10の遊技部9内に設けた各種の入賞領域へ入賞した入賞球の種別を入賞球種別検出手段117が検出し、該入賞球種別検出手段117によって検出された入賞球の種別に応じた賞球排出数が、第2賞球排出数記憶手段123に一旦記憶されることとなる。したがって、賞球排出動作が完了するまで入賞球を一旦貯留しておく従来の遊技機の如く、短時間に発生した大量の入賞球を処理できない場合に、貯留している入賞球が入賞球集合樋62から遊技盤10裏面側の入賞球集合樋等にまで溢れてしまい、各入賞領域から入賞球集合樋への入賞球受け入れを阻害してしまうような遊技上の不都合が生ずることを未然に防止できる。
【0061】さらに、この第2賞球排出数記憶手段123に記憶されている賞球数記憶に基づいて、排出動作制御手段124が遊技球排出装置71を制御し、賞球数記憶に応じた賞球を排出させるので、第2排出数記憶手段123と排出動作制御手段124を遊技機1の排出制御装置58に設けることで、賞球数記憶に基づいた賞球数排出処理を実現可能となる。したがって、遊技球を一旦貯留する方式の従来の遊技機に対しても、当該入賞球に基づく賞球数記憶を第2賞球排出数記憶手段123に記憶保持させた後に当該入賞球を排出させる構成とすれば、賞球排出動作未完了分の入賞球が大量に残留することを防止できる。よって、賞球数記憶に基づいた賞球排出処理を実現できるので、本発明に係る第2賞球排出数記憶手段123および排出動作制御手段124を備える構成の排出制御装置58を用いれば、従来の遊技機のハード構成を変更することなく、従来の遊技機とも互換性を保持することが可能となる。」(第9頁第15欄第45行〜第16欄24行)、
「【0062】さらに、上記第2賞球排出数記憶手段123が複数の賞球排出数記憶を保持している場合、排出動作制御手段124は、第2賞球排出数記憶手段123の記憶が全てなくなるまで遊技球排出装置71に賞球排出動作を連続して行わせることとなるが、一旦賞球排出動作を行わせた後には、次の賞球排出動作を行わせるまでの間に適宜なウエイトタイム(例えば、0.5秒)を生ぜしめるものとしてある。」(第9頁第16欄第25〜32行)、
「【0063】しかして、上記排出制御手段58内には記憶保護手段125を設けてあり、例えば上記排出制御装置のI/Oブロック図(図6)において説明した停電検出手段114が停電状態を検出することで、入賞球数記憶手段121および第2賞球排出数記憶手段123の記憶内容を保護するために、記憶保持に必要な電源供給を行うものとし、電源供給停止から所定時間は第2賞球排出数記憶手段123と入賞球数記憶手段121の記憶内容をバックアップできるようにしてある。」(第9頁第16欄第40〜48行)、
「【0076】先ず、“球貸音出力フラグ”、“5個排出音出力フラグ”、“15個排出音出力フラグ”、“10個排出音出力フラグ”がセットされているか否かを判定し、何れのフラグもセットされていなければ、上記入力処理において“球貸音要求フラグ”、“5個排出音要求フラグ”、“10個排出音要求フラグ”、“15個排出音要求フラグ”がセットされているか否かを判定し、何れのフラグもセットされていなければ、遊技処理において遊技音要求(当該遊技機1の遊技状態に応じた適宜な遊技音の要求で、例えば予備遊技、第1,第2補助遊技、特別遊技等における遊技状態を報知するために行う)が為されているか否かを判定し、この遊技音要求も為されていなければ、そのまま当該音声出力処理を一旦終了する。一方、遊技音要求が為されていた場合には、要求された遊技音に対応する遊技音のデータをセットし、セットされた遊技音に応じた効果音を出力する。」(第11頁第19欄第35〜50行)、
「【0082】次に、排出制御装置58が賞球排出を行うに際して、排出制御装置58が当該入賞球に応じた排出賞球数を電気的制御装置56へ要求することに基づいて、当該排出賞球数を電気的制御装置56より排出制御装置58へ送信するための賞球数送信処理を説明する。
【0083】この賞球数送信処理においては、上記入力処理において“賞球数要求フラグ”がセットされているか否かを判定し、“賞球数要求フラグ”がセットされていなければ、そのまま賞球数送信処理を終了する。一方、“賞球数要求フラグ”がセットされていた場合には、“賞球数送信フラグ”がセットされているか否かを判定し、“賞球数送信フラグ”がセットされていなければ、先ず5個賞球記憶がセットされているか否かを判定する。そして、5個賞球数記憶が有れば、5個賞球データをセットすると共に5個賞球記憶から「1」減ずることによって5個賞球記憶を更新し、“賞球数送信フラグ”をセットして、5個賞球データを排出制御装置58へ送出する送信処理を行う。斯くして、“賞球数送信フラグ”がセットされた後に行われる賞球数送信処理においては、上記のようにセットされた5個賞球データの送信が終了したか否かを判定し、未だ送信が終了していなければ送信処理を継続し、送信が終了すると、“賞球数送信フラグ”および“賞球数要求フラグ”をリセットして、当該賞球数送信処理を終了する。
【0084】また、5個賞球記憶が無かった場合には、15個賞球記憶があるか否かを判定し、15個賞球記憶があった場合には、15個賞球データをセットすると共に15個賞球記憶から「1」減ずることで15個賞球記憶を更新し、“賞球数送信フラグ”をセットして、15個賞球データを排出制御装置58へ送出する送信処理を行う。斯くして、“賞球数送信フラグ”がセットされた後に行われる賞球数送信処理においては、上記のようにセットされた15個賞球データの送信が終了したか否かを判定し、未だ送信が終了していなければ送信処理を継続し、送信が終了すると、“賞球数送信フラグ”および“賞球数要求フラグ”をリセットして、当該賞球数送信処理を終了する。
【0085】一方、5個賞球記憶も15個賞球記憶も無い場合には、10個賞球データをセットし、“賞球数送信フラグ”をセットして、10個賞球データを排出制御装置58へ送出する送信処理を行う。斯くして、“賞球数送信フラグ”がセットされた後に行われる賞球数送信処理においては、上記のようにセットされた10個賞球データの送信が終了したか否かを判定し、未だ送信が終了していなければ送信処理を継続し、送信が終了すると、“賞球数送信フラグ”および“賞球数要求フラグ”をリセットして、当該賞球数送信処理を終了する。
【0086】なお、本実施例においては、入力処理において5個賞球記憶と15個賞球記憶のみを記憶する構成としたので、これらに記憶されていないものは一律に10個賞球と判定するものと設定したので、5個賞球記憶と15個賞球記憶が共に無い場合に10個賞球データをセットする構成としたが、賞球データの設定法はこれに限定されるものではない。例えば、上記入力処理において10個賞球記憶(例えば第1〜第4一般入賞球検出器48〜51の検出記憶)も記憶保持するものとし、セーフセンサ63の検出した入賞球数と逐一照合するように構成すれば、不正に入賞種別検出手段117がオンさせられたような場合を確実に検出可能となる。」(第12頁第21欄第18行〜第22欄第26行)、
「【0088】排出制御装置58の起動に際して、先ず、当該遊技機1に対する電源投入によるものか、停電復帰によるものか(後述する停電割込処理において停電記憶がセットされているか)を判定し、電源投入であれば各種のフラグやタイマを初期化する。一方、停電復帰であれば、停電時の出力状態へ戻す(例えば、第1,第2排出ソレノイド77a,77bをオン状態に復帰させたり、排出数表示器28への表示出力を再開する)停電復帰処理を行って、停電によって中断された際の各処理へ戻る。」(第12頁第22欄第37〜46行)、
「【0090】ここで、“球貸要求フラグ”がセットされていれば、球貸レートに基づいて所定の排出数(例えば25個)を排出カウンタにセットし、球貸排出処理を行う。さらに、“球貸要求フラグ”はセットされていないが、排出記憶を確認した結果、排出記憶が有った場合には、排出記憶に応じた排出数を排出カウンタにセットし、賞球排出に供される当該排出記憶をリセットして排出記憶を更新し、賞球排出処理を行う。」(第13頁第23欄第8〜15行)、
「【0095】次に、賞球排出処理について説明する。先ず、賞球排出処理においては、上記の如く排出記憶に基づいて排出カウンタにセットした排出数を「排出データエリア」にセットし、“賞球開始フラグ”および“賞球中フラグ”をセットし、第1,第2排出ソレノイド77a,77bをオンにする。
【0096】次いで、“排出終了フラグ”がセットされているか否かを判定し、“排出終了フラグ”がセットされていなければ、排出カウンタのカウント値が「0」か否かを判定し、未だ排出カウンタのカウント値が「0」になっていなければ、“排出立上りフラグ”がセットされているか否かを判定する。
【0097】そして、遊技球排出装置71より遊技球が排出されることに基づいて“排出立上りフラグ”がセットされると、該“排出立上りフラグ”をリセットすると共に、上記排出カウンタのカウント値から「1」減ずることによって排出カウント値を更新し、“排出立上りフラグ”をリセットする。上記のようにして、遊技球排出装置71より所定数の貸球排出動作が行われることで、排出カウンタのカウント値が「0」になると、第1,第2排出ソレノイド77a,77bをオフにして、“排出終了フラグ”をセットし、ウエイトタイマセット処理を行う。
【0098】上記ウエイトタイマセット処理とは、賞球排出動作を連続して行う場合における排出動作間隔を設定するためのものである。」(第13頁第24欄第26行〜第14頁第25欄第1行)、
「【0099】上記のようにして“排出終了フラグ”がセットされた後においては、排出ウエイトタイマがタイムアップしたか否かを判定し、排出ウエイトタイマがタイムアップすると、“排出終了フラグ”および“賞球中フラグ”をリセットして、賞球排出処理を終了する。また、賞球に関する排出記憶が残っていた場合には、再び上記と同様の処理を行うことによって、賞球排出処理が行われるのである。」(第14頁第25欄第14〜21行)、
「【0105】次に、電気的制御装置56からのデータ信号を受信すると共に該受信データの種別を判定し、この判定したデータ中にて賞球数が有るか否かを判定し、賞球数データを受信していないと判断した場合には、そのまま入力処理を一旦終了する。一方、賞球数についてのデータを受信していると判断すれば、当該賞球数についての排出数記憶領域があるか否かを判定し、既に該当する排出数記憶領域が作成されている場合には当該排出数記憶の記憶値に「1」加算することで排出数記憶を更新し、未だ排出数記憶領域が作成されていない場合には該当する排出数記憶領域を作成し、作成した排出数記憶領域に「1」加算することで排出数記憶を更新する。」(第14頁第26欄第25〜36行)、
「【0118】なお、上記実施例の排出数表示器28(4桁の可変表示器より構成した排出数表示手段)によって排出記憶の内容を一度に表示することは困難であるが、例えば、5個賞球の記憶数が“3”、10個賞球の記憶数が“0”、15個賞球の記憶数が“1”の場合には、「5-3,10-0,15-1」の表示をスクロールすることで、排出記憶内容の概要を遊技者に報知することが可能となる。」(第16頁第29欄第25〜32行)。
ii.前記摘示の記載及び図面によれば、第1引用例には、以下の発明(以下、「引用発明」という。)が記載されているものと認められる。
「遊技球の入賞したことを検出するための入賞球検出器41〜45,48〜51と、
該入賞球検出器41〜45,48〜51を介して入力される遊技球の入賞信号に起因して遊技を制御する電気的制御装置56と、
遊技球の入賞に起因して遊技者に賞球を払い出す遊技球排出装置71と、
を少なくとも備える遊技機において、
前記入賞球検出器41〜45,48〜51は、遊技盤面上の全ての入賞口に個々に備えられ、
前記電気的制御装置56は入力する遊技球の入賞信号に基づいた賞球排出数データを、前記遊技球排出装置71を制御する排出制御装置58に出力し、
前記排出制御装置58は、入力する前記賞球排出数データに基づき第2賞球排出数記憶手段123に記憶される記憶賞球排出数を加算し、前記記憶賞球排出数に従って賞球を払い出し、賞球排出動作が完了すると記憶賞球排出数をリセットして排出記憶を更新し、第2賞球排出数記憶手段123の記憶が全てなくなるまで前記賞球排出動作を連続して行い、
前記排出制御装置58は、前記第2賞球排出数記憶手段123に記憶される記憶賞球排出数を停電時に消滅しないように記憶保護手段125により記憶保持に必要な電源を供給するバックアップを行い、
前記入賞球検出器41〜45,48〜51を介して流下する入賞球を入賞球案内樋62により集合させた後、調流樋64を介して導出樋65から遊技機外へ排出するとともに、アウト口から取り込まれた入賞しない遊技球をアウト球流下路67から遊技機外へ排出する、よう構成し、
前記入賞球検出器41〜45,48〜51にて検出した入賞球を前記入賞球案内樋62から前記調流樋64に整列状態で供給し、前記調流樋64を通過する間にセーフセンサ63により入賞球を検出した後は対応する賞球の払い出しの終了を待たず、前記検出後の入賞球を遊技機外へ排出し、
前記排出制御装置58の起動に際して、電源投入であれば各種のフラグやタイマを初期化し、また、停電復帰であれば排出数表示器28への表示出力を再開する等の停電時の出力状態へ戻す停電復帰処理が実行される、
よう構成した遊技機。」

(2)第2引用例に記載の発明
第2引用例〔特開平7-265529号公報〕には、以下の事項が記載されている。
「【0023】遊技盤裏面側には、1組の入賞玉集合カバー体90a,90bが配設されており、互いに分割可能な構成とし、パチンコ遊技機10の機種に応じて一方の入賞玉集合カバー体のみを取替えて他方の入賞玉集合カバー体はそのまま従前のものを使用できるように構成して多くの機種に対処できるようにしている。この入賞玉集合カバー体90a,90bにより、遊技盤40に形成されている各種入賞口48a〜48c、さらには可変入賞球装置43内に形成されている特定入賞口(Vポケット)84あるいは通常入賞口86a,86bに入賞したパチンコ玉が所定の径路に導かれて集合されるように構成されている。さらに、この入賞玉集合カバー体90a,90bには、中継端子基板92や各種の検出器94,96等が取付けられている。なお、88a,88bは、可変入賞球装置43の開閉翼片44a,44bを駆動するためのソレノイドであり、可変入賞球装置43の裏側に取付けられている。
【0024】図中、72は入賞玉集合樋であり、前記入賞玉集合カバー体90a,90bによって集合された入賞玉および始動入賞口48a,48b,48c(図1参照)に入賞した入賞玉さらには可変入賞球装置43に入賞した入賞玉を集合させて入賞玉・アウト玉合流樋76に導くものである。この入賞玉集合樋72によって集合された入賞玉は入賞玉検出器73により検出されてその検出出力が後述する遊技制御に用いられる。本実施例では、入賞玉集合樋72によって集合されたすべての入賞玉を1つの入賞玉検出器73により検出するように構成したが、本発明はこれに限らず、各入賞口ごとに設けられてもよく、さらには、前記それぞれの入賞口をブロック毎に区切りそのブロック毎に入賞玉検出器を設け、それぞれの入賞玉検出器の検出出力を加算してその合計により入賞玉の個数を算出するように構成してもよい。入賞玉検出器をブロック毎に設けた場合には、賞品玉として遊技者の持玉数データに加算される数値をそのブロック毎に異ならせることも可能である。前記入賞玉・アウト玉合流樋76には、アウト口49から回収されたアウト玉がアウト玉樋74を通ってアウト玉検出器75により検出された後落入して入賞玉とアウト玉が合流するように構成されている。そして、この入賞玉とアウト玉が合流した打込玉が打込玉排出連絡口77を通ってパチンコ遊技機10内に設けられている打玉待機樋70内に還元され、その打玉待機樋70内のパチンコ玉が1つずつ打球発射位置に供給されて打球ハンマ58により遊技領域42内に弾発発射される。このように、本実施例では、打球発射装置54により打込まれたパチンコ玉が機外に排出されることなくすべて遊技機内部を循環し再び打球待機樋に戻ってくるように構成したいわゆる封入玉循環方式の弾球遊技機を示したが、本発明はこれに限らず、打込玉を磨いて打玉として補給する方式の弾球遊技機であってもよい。」(第4頁第6欄第24行〜第5頁第7欄第23行)。

(3)第3引用例に記載の発明
第3引用例〔特開平5-237247号公報〕には、以下の事項が記載されている。
「【0021】遊技領域120内に打込まれたパチンコ玉が始動入賞口125a,125b,125c(図1参照)に入賞すれば、その入賞玉が始動入賞玉検出スイッチ128a,128b,128cにより検出され、その検出信号に基づいてゲーム制御用基板ボックス104内のゲーム制御基板148′が可変表示装置123(図1参照)の可変制御を行なう。この始動入賞玉検出スイッチ128aの検出信号はゲーム制御基板148′の遊技制御手段の一例のゲーム制御用マイクロコンピュータ370(図8参照)に入力され後述する制御に用いられる。遊技領域120を形成している遊技盤81の裏面側には、第1の入賞玉集合樋と第2の入賞玉集合樋とからなる入賞玉集合樋が2段に積層して形成されている。そして、始動入賞口125a,125b,125cに入賞した入賞玉は第2の入賞玉集合樋に導かれて入賞玉センサA(170a)により検出される。一方、通常の入賞口または可変入賞球装置124内に入賞したパチンコ玉は、第1の入賞玉集合樋に導かれて入賞玉センサB(170b)により検出される。」(第5頁第7欄第36行〜第8欄第4行)、
「【0024】遊技領域120内に打込まれ入賞口に入賞した入賞玉とアウト口に回収されたアウト玉は合流して打込玉タンク159に落下し、その打込玉が打込玉検出器(打込球カウンタ)160により検出された後島に設けられている集合樋161上に落下する。」(第6頁第9欄第28〜32行)、
「【0026】そして、第1の入賞玉集合樋47に導かれた入賞玉が入賞玉センサA(170a)により検出されれば所定個数の景品玉が払出され、その払出が完了した段階で払出ソレノイドA(171a)を1回励磁して解除する。そして、次の入賞玉が第1の入賞玉集合樋47に存在すれば再度入賞玉センサA(170a)により検出されて、前述と同様に所定個数の景品玉が払出される。また、第2の入賞玉集合樋45に導かれた入賞玉は入賞玉センサB(170b)により検出され、所定個数k個(たとえば15個)の景品玉が払出され、払出ソレノイドB(170b)が励磁されて次の入賞玉があれば再度所定個数k個の景品玉の払出が行なわれる。以上のように、入賞玉が連続して発生したとしても、揺動体29a,29bにより、景品玉の払出が終了した入賞玉だけ流下して未だに景品玉の払出が終了していない入賞玉については流下が阻止されて第1,第2の入賞玉集合樋47,45内に証拠玉として貯留された状態となるために、景品玉の払出個数をめぐるトラブルを防止できる利点がある。なお、証拠玉を貯留する代わりにマイクロコンピュータ等で入賞個数等を記憶しておき、その記憶値に基づいて払出制御を行なうようにしてもよい。その場合には、バツクアップ電源を利用して記憶値が停電等で消去されないようにすることが望ましい。」(第6頁第10欄第27〜49行)、
「【0061】払出集中制御基板730では、ゲーム制御用基板148′から出力されてきた賞球個数信号(電気信号)を各フォトカプラ855〜858が受け、その各フォトカプラ855〜858により電気信号が一旦光信号に変換された後再度電気信号に変換され、その再変換された電気信号から成る賞球個数信号が入力回路851に入力され、その入力回路851から払出制御用マイクロコンピュータ350に賞球個数信号が入力される。そして払出制御用マイクロコンピュータ350では、入力された賞球個数に相当する個数だけの景品玉を払出制御する。」(第12頁第21欄第35〜45行)。

(4)第4引用例に記載の発明
第4引用例〔特開平4-329988号公報〕には、以下の事項が記載されている。
「【0018】遊技領域120内に打込まれたパチンコ玉が始動入賞口125a,125b,125c(図1参照)に入賞すれば、その入賞玉が始動入賞玉検出スイッチ128a,128b,128cにより検出され、その検出信号に基づいてゲーム制御基板ボックス148内のゲーム制御基板が可変表示装置123(図1参照)の可変制御を行なう。この始動入賞玉検出スイッチ128aの検出信号はゲーム制御基板のゲーム制御用マイクロコンピュータ370を介して払出制御基板の払出制御用マイクロコンピュータ350(図20参照)に入力され後述する制御に用いられる。これら始動入賞玉検出スイッチ125a,125b,125cより検出された入賞玉は入賞玉処理機構445における入賞玉センサA(170a)に導かれてその入賞玉センサA(170a)により検出される。図中171a,171bは払出ソレノイドであり、景品玉の払出処理が終わった入賞玉を1個ずつ下方に落下させるためのものである。図1に示す中央の始動入賞口125aにパチンコ玉が入賞すればその入賞玉1個につきn個(たとえば7個)の景品玉が払出され、左右に設けられている始動入賞口125b,125cのいずれかにパチンコ玉が入賞すればその入賞玉1個につきm個(たとえば10個)の景品玉が払出される。一方、始動入賞口125a,125b,125c以外の通常の入賞口や可変入賞球装置124内に入賞したパチンコ玉は入賞玉センサB(170b)に導かれてその入賞玉センサB(170b)により検出され、その入賞玉1個につきk個(たとえば15個)の景品玉が打球供給皿59に払出される。入賞玉1個につき払出すべき景品玉の個数(n,m,k)が払出制御基板の払出制御用マイクロコンピュータ350に固定情報として記憶されている。」(第4頁第6欄第4〜34行)、
「【0036】そして、第1の入賞玉集合樋47に導かれた入賞玉が入賞玉センサA(170a)により検出されれば所定個数の景品玉が払出され、その払出が完了した段階で排出ソレノイドA(171a)を1回励磁して解除する。そして、次の入賞玉が第1の入賞玉集合樋47に存在すれば再度入賞玉センサA(170a)により検出されて、前述と同様に所定個数の景品玉が払出される。また、第2の入賞玉集合樋45に導かれた入賞玉は入賞玉センサB(170b)により検出され、所定個数k個(たとえば15個)の景品玉が払出され、排出ソレノイドB(170b)が励磁されて次の入賞玉があれば再度所定個数k個の景品玉の払出が行なわれる。以上のように、入賞玉が連続して発生したとしても、揺動体29a,29bにより、景品玉の払出が終了した入賞玉だけ流下して未だに景品玉の払出が終了していない入賞玉については流下が阻止されて第1,第2の入賞玉集合樋47,45内に証拠玉として貯留された状態となるために、景品玉の払出個数をめぐるトラブルを防止できる利点がある。なお、証拠玉を貯留する代わりにマイクロコンピュータ等で入賞個数等を記憶しておき、その記憶値に基づいて払出制御を行なうようにしてもよい。その場合には、バツクアップ電源を利用して記憶値が停電等で消去されないようにすることが望ましい。」(第7頁第12欄第41行〜第8頁第13欄第13行)、
「【0087】S119により、ゲーム制御用マイクロコンピュータから入賞信号があったか否かの判断が行なわれ、あるまで待機する。そして遊技領域120に打込まれたパチンコ玉が始動入賞口125a(図1参照)に入賞すれば、ゲーム制御用マイクロコンピュータ370から払出制御用マイクロコンピュータ350に入賞信号が入力され、S120により入賞記憶数を「1」加算してS119に戻る。」(第16頁第29欄第27〜34行)、
「【0094】一方、始動入賞口125a,125b,125cのいずれかにパチンコ玉が入賞すれば入賞玉センサAにより検出され、S56によりYESの判断がなされてS58に進み、入賞記憶数=0であるか否かの判断が行なわれる。この「入賞記憶数」とは、前述したS120により「1」ずつ加算され、S106より「1」ずつ減算されるものであり、始動入賞口125aに入賞した入賞玉のうち未だに景品玉の払出が行なわれていない入賞玉の個数を意味する。」(第17頁第31欄第22〜30行)、
「【0104】・・・払出状態が「n払出」の場合には、S106により入賞記憶数を「1」減算する処理が行なわれる。「n払出」の場合には入賞記憶数(S120参照)に基づく景品玉の払出であるために、未払出数が「0」(S102参照)となって1個の入賞記憶数に基づく景品玉の排出が終了したことに伴ってその入賞記憶を「1」減算するのである。」(第19頁第36欄第10〜17行)、
「【0106】次に、本発明の別実施例を列挙する。(1)入賞玉を貯留しておき1個の入賞玉に基づく景品玉の払出制御が終了した後入賞玉1個排出処理しさらに次の入賞玉に基づく景品玉の払出制御を行なうという前述した入賞玉1個宛処理方式の代わりに、入賞玉を貯留しておくことなく入賞玉検出毎に対応する景品玉数を未払出数に加算するとともに、払出玉の検出毎に未払出数から減算し、その未払出数を遊技者に表示するようにし、その未払出数が「0」になれば景品玉の払出制御を停止させるようにしてもよい。」(第20頁第37欄第38〜47行)。

(5)第5引用例に記載の発明
第5引用例〔特開平6-63230号公報〕には、以下の事項が記載されている。
「【0032】以上のように、本遊技機においては遊技盤1上のセンサ類やアクチュエータ類は遊技制御装置75がすべて管理制御し、よって映像表示装置53内の映像制御装置57は映像表示のみを担当する。
【0033】映像表示に関するデータについては、指示用データだけを遊技制御装置75から映像制御装置57に向けて、一方向バスを介して片方向送出を行なう。よって映像制御装置57から遊技制御装置75側に信号が返信、またはデータが送信されることはない。
【0034】映像表示装置53内の、映像制御装置57のLCD表示用CPU57aは、LCD表示用ROM57b内の映像制御プログラムと、LCD表示用RAM57cを用いて、遊技制御装置75から受信した指示用データに基づき、表示映像データを作成編集し、映像表示器56gにて表示する。尚、映像表示器56gの実施の一例が、図9に示した液晶ユニット本体56に相当する。
【0035】上記のように、映像表示装置53は映像の表示機能に関し、遊技制御装置75からは独立して作動する。この構成の結果、遊技制御装置75より映像表示装置53への伝送データ量を減少でき、雑音等によるエラー混入の影響を最小限に抑制でき、また遊技制御装置75から映像制御装置57への配線が減少して製造上有利となるのみならず、機能が独立しているゆえ検査や修理作業が容易となる。」(第4頁第6欄第27行〜第5頁第7欄第1行)。

(6)第6引用例に記載の発明
第6引用例〔特開平9-266981号公報〕には、以下の事項が記載されている。
「【0021】このパチンコ遊技機1においては、前述したように、入賞領域の種別に応じて景品玉の払出し個数が異なっており、このような入賞玉の区別をするために、特定入賞玉検出器38,入賞玉検出器39a,39b,始動入賞玉検出器46a,入賞玉検出器41a,41b,46b,46cからの検出信号が、後述する払出制御回路基板152に送られるか、または、遊技制御回路基板199(図2参照)から払出制御回路基板152に賞球個数信号(賞球個数データを表わす信号)が送られるようになっている。」(第5頁第7欄第15〜24行)、
「【0053】このように、本実施例における入賞玉処理装置115は、発生した入賞玉を一端停留し、所定の景品玉が払出される毎に1個ずつ入賞玉を処理するようにしたので、停電時等においては、発生した入賞玉が証拠玉として残留するので、遊技者との間でトラブルが生じることがない。なお、バックアップ機能がある場合には、このような入賞玉処理装置115を使用することなく、発生した入賞玉をすべて記憶して、記憶が終わった入賞玉を弾球遊技機1の外部に排出するようにしてもよい。」(第10頁第17欄第41〜50行)、
「【0067】前記ROM207には、打玉がどの入賞領域に入賞したかに応じて払出すべき景品玉の数である賞球個数データが記憶されている。そして、入賞玉検出器122(図7参照)が入賞玉を検出してその検出信号がスイッチ回路229を介して遊技制御用マイクロコンピュータ202に入力されてくれば、遊技制御用マイクロコンピュータ202は、打玉が入賞した入賞領域に対応する賞球個数データをROM207から読出して、信号回路209,217(ともにフォトカプラで構成されている)を介して払出制御用マイクロコンピュータ220に返信する。」(第12頁第22欄第15〜25行)、
「【0163】以上に説明したように、複数種別の入賞領域に入賞したすべての入賞玉が種別毎にその個数を記憶され、その記憶情報に基づいて、種別毎に異なる景品玉の払出しが行なわれる。その払出しは、遊技制御用マイクロコンピュータ202から払出制御用マイクロコンピュータ220への情報の一方向通信に基づいて行なわれる。このため、入賞玉に応じた払出動作を行なうに際し、払出制御用マイクロコンピュータ220から遊技制御用マイクロコンピュータ202への情報の通信が行なわれないので、払出制御用マイクロコンピュータ220側からの入力を利用した不正なデータの入力による遊技制御用マイクロコンピュータ202の制御の不正改造を防ぐことができる。」(第27頁第51欄第7〜19行)。

(7)第7引用例に記載の発明
第7引用例〔特開平3-286790号公報〕には、以下の事項が記載されている。
「可変入賞球装置7内には、後述する大当り状態中に開閉扉8に受入れられた入賞玉数を検出するための入賞玉検出器10が設けられている。また、可変入賞球装置7の下方には、始動入賞玉検出器12a〜12cを内蔵する始動入賞口11a〜11cが配設されている。更に、可変表示装置5の上部及び左右両側と可変入賞球装置7の左右両側には、打玉を通常の入賞とする通常入賞口13、14a,14b,15a,15bが配置されている。」(第2頁左下欄第16行〜右下欄第5行)、
「しかして、図示の機構板26においては、その前面側に前記遊技盤2の入賞口あるいは入賞球装置から落下する入賞玉を受け止めて一側に集合せしめる入賞玉集合樋27が形成されている。この入賞玉集合樋27は、入賞玉を一列に整列して流下させるようになっているが、その流下通路の途中には、通過する入賞玉を検出する入賞玉検出器28が設けられている。入賞玉検出器28からの信号は、後述する遊技制御回路基板69に送られた後、景品玉払出制御回路基板70によって後述する景品玉払出装置40の動作を制御する。なお、入賞玉検出器28の近傍には、後に詳述するように停止ソレノイド66及びストッパー部材67とからなる入賞玉停止機構が設けられている。」(第3頁左下欄第8行〜右下欄第2行)、
「上記のように配線接続される遊技制御回路基板69と景品玉払出制御回路基板70の具体的な回路構成について第3図を参照して説明する。まず、遊技制御回路基板69は、遊技制御回路79と払出景品玉数設定回路80とを含み、その遊技制御回路79及び払出景品玉数設定回路80に検出回路81を介して始動入賞玉検出器12b,12c(以下、始動入賞玉検出器Aという)、始動入賞玉検出器12a(以下、始動入賞玉検出器Bという)、及び可変入賞球装置7に設けられる入賞玉検出器10が接続されている。」(第6頁左下欄第10〜20行)、
「一方、景品玉払出制御回路基板70には、演算回路86と該演算回路86で演算された演算結果を記憶する複数の記憶回路87〜89と、該記憶回路87〜89の記憶値のいずれかを選択する選択回路90と、該選択回路90によって選択された記憶値に基づいて景品玉の払出動作に関連するすべてを制御する払出制御回路91と、該払出制御回路91の制御結果に基づいていずれかの記憶回路87〜89の記憶値を減算させる分岐回路92とを含んでいる。なお、記憶回路87〜89には、電源回路100に接続されるバックアップ電源101からバックアップ電流が供給されるようになっており、停電時にその記憶値が消滅しないようになっている。」(第7頁左上欄第14行〜右上欄第7行)、
「そこで、まず、景品玉の払出動作の制御について説明すると、払出制御回路91は、選択回路90で選択された記憶回路が記憶回路Aとした場合に、その記憶回路Aの記憶値に基づいて駆動回路95を介してステッピングモータ54に駆動信号を与える。ステッピングモータ54が回転し始めるとスプロケット56も回転するので、玉載置部50に待機していた景品玉が排出通路46に1個づつ放出される。そして、景品玉が1個づつ放出される毎に払出景品玉検出器44が供給通路42を落下する景品玉を検出するので、その検出信号が検出回路96を介して分岐回路92に与えられる。分岐回路92は、入力した検出信号を選択回路90で選択されている記憶回路Aに「-1」の減算信号として送る。上記した制御動作を1個の入賞玉に対応する景品玉数分だけ繰り返した後に、一定時間(例えば、0.5秒程度)を空けて次の入賞玉がある場合には、その入賞玉に対応する景品玉数を払出制御する。また、景品玉が1個払出される毎に記憶回路の記憶値が減少し、その数値は、記憶景品玉数表示器21に刻々と表示される。」(第8頁左上欄第7行〜右上欄第8行)、
「このため、本実施例においては、入賞玉検出器28の直前に出没するストッパー部材67を配置し、そのストッパー部材67を駆動する停止ソレノイド66を設けている。しかして、入賞玉検出器28が正常な状態では、第6B図に示すように入賞玉を入賞玉検出器28へ導くべく停止ソレノイド66をそのままにし、入賞玉検出器28からの異常信号が発生した際には、払出制御回路91から停止ソレノイド66に励磁信号が導出され、第6C図に示すようにストッパー部材67を入賞玉の流下通路に突入させ、発生した入賞玉を入賞玉集合樋27に貯留させるようになっている。」(第11頁右上欄第9〜20行)。

(8)第8引用例に記載の発明
第8引用例〔特開昭59-166178号公報〕には、以下の事項が記載されている。
「この変動入賞装置9は、打球が通過することができる間隔で両可動翼片14,14が閉じた状態が第1状態であり、打球が上からしか入らないので入り難い。そして、この第1状態で打球が入賞すると、該打球は第1流出口11を通過して揺動底板16上を後方へ移動し、支軸18の後方に位置したとき揺動底板16を打球の自重で揺動し、上記誘導樋17の側部から延設した第1流路19へ流出する。揺動底板16が揺動すると、先端部16′が可動翼片14の段差部20に係合し、両可動翼片14,14を押し拡げて打球を受け入り易い第2状態に変換し、この第2状態では横方向からも打球が入ることができる。変動入賞装置9が第2状態のときに打球が入賞すると、打球はポケツト13の前面板13′と揺動底板16の先端部16′の間を通過し、両可動翼片14,14の下部14′を押し拡げることによつて可動翼片14を第1状態に復元し、ポケツト13の底部から第2流出口12を通過して下方に位置する第2流路21へ流出する。尚、第2流路21は変動入賞装置9へ入賞した打球ばかりでなく他の入賞口8…へ入賞した打球も回収して流下する。 上記第1流路19の途中には第1入賞球検出器22を、第2流路21の途中には第2入賞球検出器23を各々設け、第1入賞球検出器22は遊技盤5の裏側に設けた第1賞球排出装置24に、第2入賞球検出器23は第2賞球排出装置25に夫々電気的に接続する。」(第2頁左上欄第19行〜左下欄第8行)、
「上記実施例は、変動入賞装置9が打球を受け入り難い第1状態の時に入賞すると第1賞球排出装置24が作動して入賞口8に入賞した場合(例えば15個)よりも多くの賞球(例えば30個)を排出し、打球を受け易い第2状態の時に入賞すると第2賞球排出装置25が作動して入賞口8に入賞した場合と同じ数の賞球(例えば15個)を排出するが、第2状態で入賞した場合に第1状態の場合より多くの賞球を排出するようにしてもよい。 また賞球排出装置の数及び構造は上記実施例に限定されるものでなく、一の装置で排出する賞球数を変換することができるものでもよい。」(第3頁左上欄第5〜17行)。

4.本件発明1と引用発明との対比判断
(1)本件発明1と引用発明との対比
本件発明1と引用発明とを対比すると、引用発明における、「入賞球検出器41〜45,48〜51」、「電気的制御装置56」、「遊技球排出装置71」、「遊技球の入賞信号に基づいた賞球排出数データ」、「排出制御装置58」、「記憶賞球排出数」、「停電時に消滅しないように記憶保護手段125により記憶保持に必要な電源を供給するバックアップを行い」、「入賞球を入賞球案内樋62によって集合させた後、調流樋64を介して導出樋65から遊技機外へ排出する」、「入賞しない遊技球をアウト球流下路67から遊技機外へ排出する」、「起動」、「遊技機」は、それぞれ、本件発明1における、「遊技球検出手段」、「遊技制御基盤」、「賞球払出装置」、「遊技球の入賞信号に基づいたデータ」、「枠制御基盤」、「記憶入賞個数又は賞球数」、「停電時に消滅しないように記憶保持し」、「集合させた入賞球を排出する」、「入賞しない遊技球を排出する」、「リセット」、「弾球遊技機」に相当する。
そして、引用発明における「入賞球検出器41〜45,48〜51にて検出した入賞球を前記入賞球案内樋62から前記調流樋64に整列状態で供給し、前記調流樋64を通過する間にセーフセンサ63により入賞球を検出した後は対応する賞球の払い出しの終了を待たず、前記検出後の入賞球を遊技機外へ排出」することは、入賞球が入賞球案内樋62及び調流樋64にて貯留されることなく通過するのであるから、本件発明1における「遊技球検出手段にて入賞球を検出した後は対応する賞球の払い出しの終了を待たず、前記検出後の入賞球を、再度検出するための貯留をすることなく遊技機外へ排出」することと対比して、「遊技球検出手段にて入賞球を検出した後は対応する賞球の払い出しの終了を待たず、前記検出後の入賞球を、貯留をすることなく遊技機外へ排出」することにおいて共通する。
また、引用発明における「排出制御装置58の起動に際して、電源投入であれば各種のフラグやタイマを初期化し、また、停電復帰であれば排出数表示器28への表示出力を再開する等の停電時の出力状態へ戻す停電復帰処理が実行される」ことは、本件発明1における「枠制御基盤がリセットをかけられたとき、前記枠制御基盤に記憶された前記記憶入賞個数又は賞球数の値が異常であると判断すれば零クリアし、前記リセットが遊技中にかけられたと判断した場合には、異常である旨を表示する処理が実行される」ことと対比して、「枠制御基盤がリセットをかけられたとき、初期化処理を実行し、前記リセットが遊技中にかけられたと判断した場合には、停電復帰処理が実行される」ことにおいて共通する。
そうすると、本件発明1と引用発明は、以下の点でそれぞれ一致ならびに相違するものと認められる。
一致点.「遊技球の入賞したことを検出するための遊技球検出手段と、
該遊技球検出手段を介して入力される遊技球の入賞信号に起因して遊技を制御する遊技制御基盤と、
遊技球の入賞に起因して遊技者に賞球を払い出す賞球払出装置と、
を少なくとも備える弾球遊技機において、
前記遊技球検出手段は、遊技盤面上の全ての入賞口に個々に備えられ、
前記遊技制御基盤は入力する遊技球の入賞信号に基づいたデータを、前記賞球払出装置を制御する枠制御基盤に出力し、
前記枠制御基盤は、入力する前記データに基づき記憶される記憶入賞個数又は賞球数を加算し、記憶される前記記憶入賞個数又は賞球数に従って賞球を払い出し、
前記枠制御基盤は、前記記憶入賞個数又は賞球数を停電時に消滅しないように記憶保持し、
前記遊技球検出手段を介して流下する入賞球を集合させ、該集合させた入賞球と、アウト口から取り込まれた入賞しない遊技球とを排出し、
前記遊技球検出手段にて入賞球を検出した後は対応する賞球の払い出しの終了を待たず、前記検出後の入賞球を、貯留をすることなく遊技機外へ排出する、よう構成し、
前記枠制御基盤がリセットをかけられたとき、初期化処理を実行し、前記リセットが遊技中にかけられたと判断した場合には、停電復帰処理が実行される、よう構成した弾球遊技機。」
相違点A.枠制御基盤が、記憶入賞個数又は賞球数に従って賞球を払い出すときに、本件発明1は、賞球を払い出すことに起因して記憶入賞個数又は賞球数を減算する構成であるのに対して、引用発明は、該構成のものであるか明らかでない点。
相違点B.集合させた入賞球と、アウト口から取り込まれた入賞しない遊技球とを排出するときに、本件発明1は、前記入賞球と前記入賞しない遊技球とを合流させて排出する構成であるのに対して、引用発明は、前記入賞球と前記入賞しない遊技球とを異なる経路で排出する構成である点。
相違点C.対応する賞球の払い出しの終了を待たず、入賞球を遊技機外へ排出するものにおいて、本件発明1は、遊技球検出手段にて検出後の入賞球を、再度検出するための貯留をすることなく遊技機外へ排出する構成であるのに対して、引用発明は、遊技球検出手段にて検出後の入賞球を、調流樋64を通過する間にセーフセンサ63により検出した後で遊技機外へ排出する構成である点。
相違点D.枠制御基盤がリセットをかけられたときの初期化処理として、本件発明1は、前記枠制御基盤に記憶された前記記憶入賞個数又は賞球数の値が異常であると判断すれば零クリアするのに対して、引用発明は、各種のフラグやタイマを初期化する処理を実行する点。
相違点E.枠制御基盤に対するリセットが遊技中にかけられたと判断した場合の停電復帰処理として、本件発明1は、異常である旨を表示する処理が実行されるのに対して、引用発明は、排出数表示器28への表示出力を再開する等の停電時の出力状態へ戻す停電復帰処理が実行される点。

(2)相違点の検討
i.相違点Aについて
まず、第4引用例〔特開平4-329988号公報〕に、玉払出器(賞球払出装置)が1個の入賞球に対応する賞球払出がなされる毎に入賞記憶数を「1」減算するようにしたパチンコ遊技機の発明が、また、第7引用例〔特開平3-286790号公報〕に、賞球が1個払い出される毎に記憶賞球数を減算する弾球遊技機の発明が記載されているように、賞球を払い出すことに起因して記憶入賞個数又は賞球数を減算する構成は、周知技術である。
また、引用発明を認定した第1引用例には、入賞球の種別により賞球排出数が異なるため、賞球排出数に対応した排出音として“5個排出音”、“10個排出音”、“15個排出音”の音声出力を行うこと(段落【0076】)、及び、入賞球の種別毎にその入賞記憶数をもって排出記憶の内容を表示すること(段落【0118】)が記載されていることからして、当業者は、引用発明において排出記憶を更新しながら該排出記憶が全てなくなるまで賞球排出動作を連続して行うときに、入賞球の種別毎にその入賞記憶数をもって排出数記憶の減算を行う構成のものと理解又は想定するところである。
そうすると、引用発明において、排出記憶を更新するときに、前記周知技術に示される、賞球の払い出しに応じて入賞記憶数又は記憶賞球数の減算を行う構成を採用するか、あるいは、前記のように引用発明から理解又は想定されるところに基づいて、前記相違点Aに係る本件発明1のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。
ii.相違点Bについて
集合させた入賞球を、アウト口から取り込まれた入賞しない遊技球と合流させて排出する構成は、周知技術(例えば、第2引用例〔特開平7-265529号公報〕、第3引用例〔特開平5-237247号公報〕)である。
そうすると、引用発明に示される、入賞球と入賞しない遊技球とを異なる経路で排出する構成に代えて、前記周知技術に示される、入賞球と入賞しない遊技球とを合流させて排出する構成を採用して、前記相違点Bに係る本件発明1のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。
iii.相違点Cについて
引用発明は、第1引用例に開示される、遊技球検出手段にて検出した入賞球について、調流樋64を通過する間にセーフセンサ63により入賞球を検出した後で、対応する賞球の払い出しの終了を待たずに遊技機外へ排出するようにした実施例に基づいて認定したものであるところ、該第1引用例の特許請求の範囲の請求項1には、入賞種別検出手段と賞球排出数記憶手段と記憶保護手段と排出動作制御手段とを備える遊技機として、入賞球を貯留して検出するためのセーフ球タンク及びセーフセンサを発明の構成要件としない、対応する賞球の払い出しの終了を待たずに入賞球を再度検出するための貯留をすることなく遊技機外へ排出するようにした非証拠玉方式の弾球遊技機の発明が完成した1つの発明として規定されているとともに、その段落【0060】及び【0061】には、これによって従来の証拠玉方式の弾球遊技機における入賞球を貯留して検出する構成に起因する問題を全面的に解決できることが記載されている。
また、第3,4,6引用例には、証拠玉方式の弾球遊技機の構成を変更したものとして、入賞個数の記憶値が停電等で消去されないようにバツクアップ電源を利用することで、遊技球検出手段にて検出後の入賞球を再度検出するための貯留をすることなく、対応する賞球の払い出しの終了を待たず遊技機外へ排出するようにした非証拠玉方式の弾球遊技機発明が開示(例えば、第3引用例の段落【0026】、第4引用例の段落【0036】、第6引用例の段落【0053】)されており、非証拠玉方式をもって弾球遊技機を構成することは周知技術というべきものである。
そうすると、第1引用例の特許請求の範囲の請求項1に開示される発明、あるいは、前記周知技術に示される非証拠玉方式の弾球遊技機の構成に基づいて、引用発明における、セーフセンサ63により入賞球を検出する構成を省略し、遊技球検出手段にて検出後の入賞球を再度検出するための貯留をすることなく遊技機外へ排出する構成をもって、前記相違点Cに係る本件発明1のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。
iv.相違点Dについて
リセットによる起動、あるいは、タイマ割込による起動のときに、弾球遊技機の制御装置を構成するRAMのデータをチェックし、該データが異常であると判断すれば零クリアすることは、周知技術(例えば、特開平4-58975号公報、特開昭62-14878号公報、特開昭61-259685号公報)であり、記憶入賞個数又は賞球数の値は、弾球遊技機の制御装置としての枠制御基盤を構成するRAMのデータに含まれるものである。
そうすると、引用発明に示される、弾球遊技機の制御装置としての枠制御基盤がリセットをかけられたときの初期化処理として、前記周知技術に示される、RAMのデータが異常であると判断すれば零クリアする構成を採用して、前記相違点Dに係る本件発明1のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。
v.相違点Eについて
ところで、一般にマイコン回路が動作中に停電が発生し、その後に電源が復帰した場合に、該マイコン回路にリセットをかけるとともに停電という異常が発生した旨を表示する処理を実行することは、特定の技術分野に限定されない周知技術(例えば、特開平2-28801号公報、特開平5-261055号公報、特開平8-178391号公報)である。
そして、弾球遊技機の技術分野においても、遊技中に停電が発生し、その後に電源が復帰した場合に、弾球遊技機に関連するマイコン回路にリセットをかけるとともに停電という異常が発生した旨を表示する処理を実行することは、適宜実施されている周知技術(例えば、特開平9-117560号公報、特開平10-71257号公報)である。
しかも、弾球遊技機の技術分野において、遊技中の停電から復帰した場合に係員が遊技機の状態に応じて動作を停電時の出力状態へ戻して再開するか、初期化するかを選択して停電復帰処理を実行する構成は、周知技術(例えば、特開昭60-58186号公報)であり、該構成において係員に対して遊技機の状態を報知する異常表示手段を具備させることは、当業者が適宜になし得る設計的事項というべきである。
そうすると、引用発明に示される、枠制御基盤に対するリセットが遊技中にかけられたと判断した場合に停電時の出力状態へ戻す停電復帰処理が実行される構成において、停電が発生後に電源が復帰した場合にマイコン回路にリセットをかけるとともに異常である旨を表示する処理を実行する前記一般的技術、あるいは、係員が弾球遊技機の状態に応じて停電復帰処理を実行する前記周知技術を背景に、弾球遊技機における前記周知技術に示される、停電が発生後に電源が復帰した場合に異常である旨を表示する処理を実行する構成を採用して、前記相違点Eに係る本件発明1のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。
vi.本件発明1の作用効果について
本件発明1の作用効果は、引用発明及び前記各周知技術に基づいて、当業者が当然予測できるものである。
vii.特許権者の主張について
特許権者は、引用発明は、従来の証拠玉方式の弾球遊技機のハード構成を変更することなく、互換性を保持できることを課題として、入賞球を貯留して検出するためのセーフ球タンク及びセーフセンサを必須の要件としている旨主張している。
しかしながら、該主張の根拠とする、例えば第1引用例における「遊技球を一旦貯留する方式の従来の遊技機に対しても、当該入賞球に基づく賞球数記憶を第2賞球排出数記憶手段123に記憶保持させた後に当該入賞球を排出させる構成とすれば、賞球排出動作未完了分の入賞球が大量に残留することを防止できる。」(段落【0061】)との記載は、引用発明から派生する発明として、第1引用例の特許請求の範囲の請求項1に規定の如き発明によれば、対応する賞球の払い出しの終了を待たず、入賞球を再度検出するための貯留をすることなく入賞球を遊技機外へ排出するという技術事項が、賞球排出動作が完了するまで入賞球を一旦貯留しておく従来の証拠玉方式の弾球遊技機との互換性を保持することを前提とすることなく汎用的に適用できることを説明するものと解すべきである。そして、第1引用例の特許請求の範囲の請求項2に規定の如き、入賞球の検出を2段階に行って照合する発明においてこそ、セーフセンサを具備すること、及び、セーフセンサの入賞球検出に基づき排出制御装置58から電気的制御装置56へ通信することに必然性が生じるのである。よって、特許権者の前記主張は失当である。

(3)まとめ
よって、本件発明1は、第1引用例に記載の発明(引用発明)及び前記各周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

5.本件発明2と引用発明との対比判断
(1)本件発明2と引用発明との対比検討
前記4.(1)において本件発明1と引用発明とを対比した事項を踏まえると、本件発明2と引用発明は、前記相違点A,C,D,Eにおいて相違することを除き、その余の点で一致しているものと認められるところ、前記相違点A,C,D,Eについては、前記4.(2)において検討したとおりであるから、本件発明2のように構成することは、当業者が容易に想到できるものである。

(2)まとめ
よって、本件発明2は、第1引用例に記載の発明(引用発明)及び前記各周知技術に基づいて、当業者が容易に発明をすることができたものであるから、特許法第29条第2項の規定により特許を受けることができない。

6.むすび
以上のとおり、本件発明1及び2は、第1引用例に記載の発明に基づいて当業者が容易に発明をすることができたものであるから、その特許は特許法第29条第2項の規定に違反してされたものである。
したがって、本件発明1及び2についての特許は、特許法第113条第2号に該当し、取り消されるべきものである。
よって、結論のとおり決定する。
 
発明の名称 (54)【発明の名称】
弾球遊技機
(57)【特許請求の範囲】
【請求項1】
遊技球の入賞したことを検出するための遊技球検出手段と、
該遊技球検出手段を介して入力される遊技球の入賞信号に起因して遊技を制御する遊技制御基盤と、
遊技球の入賞に起因して遊技者に賞球を払い出す賞球払出装置と、
を少なくとも備える弾球遊技機において、
前記遊技球検出手段は、遊技盤面上の全ての入賞口に個々に備えられ、
前記遊技制御基盤は入力する遊技球の入賞信号に基づいたデータを、前記賞球払出装置を制御する枠制御基盤に出力し、
前記枠制御基盤は、入力する前記データに基づき記憶される記憶入賞個数又は賞球数を加算し、賞球を払い出すことに起因して記憶入賞個数又は賞球数を減算し、この加減算される記憶入賞個数又は賞球数に従って賞球を払い出し、
前記枠制御基盤は、前記記憶入賞個球又は賞球数を停電時に消滅しないように記憶保持し、
前記遊技球検出手段を介して流下する入賞球を集合させ、該集合させた入賞球を、アウト口から取り込まれた入賞しない遊技球と合流させて排出する、
よう構成し、
前記遊技球検出手段にて入賞球を検出した後は対応する賞球の払い出しの終了を待たず、前記検出後の入賞球を、再度検出するための貯留をすることなく遊技機外へ排出し、
前記枠制御基盤がリセットをかけられたとき、前記枠制御基盤に記憶された前記記憶入賞個数又は賞球数の値が異常であると判断すれば零クリアし、
前記リセットが遊技中にかけられたと判断した場合には、異常である旨を表示する処理が実行される、
よう構成したことを特徴とする弾球遊技機。
【請求項2】
遊技球の入賞したことを検出するための遊技球検出手段と、
該遊技球検出手段を介して入力される遊技球の入賞信号に起因して遊技を制御する遊技制御基盤と、
遊技球の入賞に起因して遊技者に賞球を払い出す賞球払出装置と、
を少なくとも備える弾球遊技機において、
前記遊技球検出手段は、遊技盤面上の全ての入賞口に個々に備えられ、
前記遊技制御基盤は入力する遊技球の入賞信号に基づいたデータを、前記賞球払出装置を制御する枠制御基盤に出力し、
前記枠制御基盤は、入力する前記データに基づき記憶される記憶入賞個数又は賞球数を加算し、賞球を払い出すことに起因して記憶入賞個数又は賞球数を減算し、この加減算される記憶入賞個数又は賞球数に従って賞球を払い出し、
前記枠制御基盤は、前記記憶入賞個数又は賞球数を停電時に消滅しないように記憶保持し、
前記遊技球検出手段を介して流下する入賞球を集合させ、該集合させた入賞球を、アウト口から取り込まれた入賞しない遊技球とは異なる経路で排出する、
よう構成し、
前記遊技球検出手段にて入賞球を検出した後は対応する賞球の払い出しの終了を待たず、前記検出後の入賞球を、再度検出するための貯留をすることなく遊技機外へ排出し、
前記枠制御基盤がリセットをかけられたとき、前記枠制御基盤に記憶された前記記憶入賞個数又は賞球数の値が異常であると判断すれば零クリアし、
前記リセットが遊技中にかけられたと判断した場合には、異常である旨を表示する処理が実行される、
よう構成したことを特徴とする弾球遊技機。
【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は、発射された遊技球の挙動により入賞状態が発生した場合に遊技者に賞球としての遊技球を払い出す弾球遊技機に係わり、詳しくは賞球払出機構に関する。
【0002】
【従来の技術】
近年の遊技機としては、所謂フィーバー機、権利物又はアレンジ等と呼ばれる種々のゲーム内容の遊技機が普及している。前記フィーバー機は、可変表示装置の表示状態が変動表示後に特定の図柄を静止表示すると、例えば、3桁表示部のうち2桁の表示部を同一図柄とする所謂リーチ表示を行い、その後残りの表示部に他の表示部と同-の図柄の組み合わせ、具体的には「7、7、7」等の特定のゾロ目の組み合わせを表示すると、所謂大当たり状態としてアタッカーと呼ばれる大入賞口を開放するように構成されている。大入賞口は、所定個数の遊技球が入賞するか所定時間が経過することにより一旦閉鎖されるが、上記開放中において大入賞口内に形成された特定領域を遊技球が通過していれば再び開放し、この開放及び閉鎖の動作を最大16回繰り返すように構成されている。この大当たり状態においては、大量の遊技球を大入賞口に入賞させることができる。通常は、大入賞口の1回の開放により10個の遊技球を大入賞口内に入賞させることができ、これが16回繰り返されるので160個の遊技球を入賞させることができる。入賞した遊技球1個に対し15個の遊技球が賞球として払い出されるよう構成されているものが一般的である。従って、大当たり状態が発生すると、最大2400(=10×16×15)個の遊技球が賞球として払い出される。
【0003】
この賞球払出装置としては以下の構成が-般的である。即ち、図12に示すように、大入賞口等の入賞口に入賞した遊技球は、セーフ球タンクに一旦貯留される。セーフ球タンクの最下部には遊技球排出ソレノイド100と遊技球検知スイッチ101とから構成される賞球排出装置が設けられている。遊技球検知スイッチ101が入賞した遊技球を検出すると、この検出信号は賞球払出装置に出力される。賞球払出装置は、検出信号を入力すると遊技球1個に対し予め定められた数の遊技球(通常は15個)を賞球として払い出す。賞球払出装置には払い出される賞球の数を検出するための賞球カウントセンサが設けられている。賞球カウントセンサにより15個の遊技球が払い出されたことが検出されると、賞球排出装置の遊技球排出ソレノイド100が駆動され、セーフ球タンクの遊技球は1個機外に排出される。この動作は、セーフ球タンクの遊技球が全て機外に排出されるまで繰り返される。
この従来の賞球払出装置は、入賞した遊技球がセーフ球タンクに貯留されているので、瞬停等の停電により各種制御装置が不慮に初期状態に復帰しても遊技者に払い出される賞球が確保されているという優れた効果を有している。
一方、特公平3-3288号公報、実公平6-17458号公報、実公平4-53820号公報、特公平3-8235号公報に示されるように、入賞した遊技球を電子的処理により記憶して賞球排出処理を行う発明もなされている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、前述した従来の賞球払出装置は、セーフ球タンクを設ける必要から遊技機本体の構成を徒に複雑な構成としているという課題、セーフ球タンク用の空間を確保する必要から遊技機本体を大きな構成としているという課題、この結果原価コストを高くするという課題、等を有していた。
また、入賞した遊技球の個数を記憶して賞球排出処理を行う発明では、前記課題を有しないものの、機械の故障や停電等により入賞球個数の記憶がなくなることがあり遊技者に不測の損害を与えることがあるという課題、電子的に記憶していることから不正遊技の対象とされ易いという課題、が考えられた。
本発明の弾球遊技機は、これらの課題を好適に解決する遊技機、即ち遊技機の構成を大きくしない、遊技者に不測の損害を与えない、不正遊技を未然に防ぐ遊技機を提供することを目的としている。
【0005】
【課題を解決するための手段】
前述した課題が本発明の起因ないし契機となったものであり、請求項1に記載の発明は、
遊技球の入賞したことを検出するための遊技球検出手段と、
該遊技球検出手段を介して入力される遊技球の入賞信号に起因して遊技を制御する遊技制御基盤と、
遊技球の入賞に起因して遊技者に賞球を払い出す賞球払出装置と、
を少なくとも備える弾球遊技機において、
前記遊技球検出手段は、遊技盤面上の全ての入賞口に個々に備えられ、
前記遊技制御基盤は入力する遊技球の入賞信号に基づいたデータを、前記賞球払出装置を制御する枠制御基盤に出力し、
前記枠制御基盤は、入力する前記データに基づき記憶される記憶入賞個数又は賞球数を加算し、賞球を払い出すことに起因して記憶入賞個数又は賞球数を減算し、この加減算される記憶入賞個数又は賞球数に従って賞球を払い出し、
前記枠制御基盤は、前記記憶入賞個球又は賞球数を停電時に消滅しないように記憶保持し、
前記遊技球検出手段を介して流下する入賞球を集合させ、該集合させた入賞球を、アウト口から取り込まれた入賞しない遊技球と合流させて排出する、
よう構成し、
前記遊技球検出手段にて入賞球を検出した後は対応する賞球の払い出しの終了を待たず、前記検出後の入賞球を、再度検出するための貯留をすることなく遊技機外へ排出し、
前記枠制御基盤がリセットをかけられたとき、前記枠制御基盤に記憶された前記記憶入賞個数又は賞球数の値が異常であると判断すれば零クリアし、
前記リセットが遊技中にかけられたと判断した場合には、異常である旨を表示する処理が実行される、
よう構成したことを特徴とする弾球遊技機。
【0006】
この弾球遊技機によれば、遊技制御手段は遊技球検出手段を介して入力する遊技球の入賞信号を入賞出力手段により賞球払出手段に出力し、賞球払出手段は入力される入賞信号に基づき記憶される記憶入賞個数を加算し、賞球を払い出すことに起因して記憶入賞個数を減算し、この加減算される記憶入賞個数に従って賞球を払い出しする構成されている。
これにより、遊技制御手段に異常が発生しても賞球払出手段は賞球の払い出しを遊技制御手段の状態に関係なくそれまで記憶した賞球の払い出しを続行することができる。
【0007】
ここで、遊技球の入賞状態を検出する遊技球検出手段とは、遊技球が入賞したことを検出するものであれば良く、遊技盤面上の各入賞口に対応して個々に設けても良く、また、同じ賞球数の複数の入賞口から樋等の集合手段により入賞する遊技球を集合させて1つの検出手段により検出するよう賞球数の相違毎に個々設けても良く、あるいはこれらを複合させた構成としても良い。
遊技球検出手段を介して入力される遊技球の入賞信号に起因して遊技内容を制御する遊技制御手段とは、例えば、始動口である入賞口に遊技球が入球するタイミングに起因して乱数を選択し、選択された乱数に対応した図柄を表示装置に一定時間変動表示後に静止表示し、静止表示される図柄が予め定められた特定図柄であれば大当たり状態として大入賞口を開放動作させる制御装置等をいう。
遊技制御手段が賞球払出手段に出力する遊技球の入賞信号は、入賞がある毎にリアルタイムに出力しても良く、一定時間内に積算された入賞個数を一定時間毎に出力しても良い。また、出力される入賞信号は、各入賞口毎の入賞信号を出力しても良く、賞球数の相違毎の入賞信号を出力しても良く、あるいは-定時問内の入賞信号を合計した賞球数に対応した信号に換算して出力しても良い。
入力される入賞信号に基づき記憶される記憶入賞個数を加算し、賞球を払い出すことに起因して記憶入賞個数を減算する賞球払出手段とは、入賞信号があれば記憶入賞個数をインクリメントし、所定数の賞球を払い出しすればデクリメントする構成とすることが考えられるが、入賞口毎に対応して加減算し記憶しても良い。
【0008】
請求項2に記載の発明は、
遊技球の入賞したことを検出するための遊技球検出手段と、
該遊技球検出手段を介して入力される遊技球の入賞信号に起因して遊技を制御する遊技制御基盤と、
遊技球の入賞に起因して遊技者に賞球を払い出す賞球払出装置と、
を少なくとも備える弾球遊技機において、
前記遊技球検出手段は、遊技盤面上の全ての入賞口に個々に備えられ、
前記遊技制御基盤は入力する遊技球の入賞信号に基づいたデータを、前記賞球払出装置を制御する枠制御基盤に出力し、
前記枠制御基盤は、入力する前記データに基づき記憶される記憶入賞個数又は賞球数を加算し、賞球を払い出すことに起因して記憶入賞個数又は賞球数を減算し、この加減算される記憶入賞個数又は賞球数に従って賞球を払い出し、
前記枠制御基盤は、前記記憶入賞個数又は賞球数を停電時に消滅しないように記憶保持し、
前記遊技球検出手段を介して流下する入賞球を集合させ、該集合させた入賞球を、アウト口から取り込まれた入賞しない遊技球とは異なる経路で排出する、
よう構成し、
前記遊技球検出手段にて入賞球を検出した後は対応する賞球の払い出しの終了を待たず、前記検出後の入賞球を、再度検出するための貯留をすることなく遊技機外へ排出し、
前記枠制御基盤がリセットをかけられたとき、前記枠制御基盤に記憶された前記記憶入賞個数又は賞球数の値が異常であると判断すれば零クリアし、
前記リセットが遊技中にかけられたと判断した場合には、異常である旨を表示する処理が実行される、
よう構成したことを特徴とする弾球遊技機である。
これにより、全ての入賞口に入賞する遊技球の個数を入賞口ごとに集計することができ、入賞に関係するデータの計算が正確になる等の利点が生じる。
【0009】
【0010】
【0011】
【発明の実施の形態】
本発明の実施形態の弾球遊技機の具体例について説明する。
図1は本発明の遊技機としてのパチンコ機10の概略正面図である。このパチンコ機10は、いわゆるフィーバ機として構成されており、パチンコ機10に備えられた遊技盤11の中央部には液晶表示盤を有する特別図柄表示装置12が組み付けられている。この特別図柄表示装置12は、第1種始動口としての普通電動役物13に遊技球が入賞すると表示される図柄を所定時間(5秒〜25秒)変動表示させるためのものである。普通電動役物13の他に遊技盤11上には、天入賞口14、左通過口15及び右通過口16、左入賞口17及び右入賞口18、左下入賞口19及び右下入賞口20、アタッカーとしての大入賞口21、その他風車及び遊技釘等を配設している。各入賞口に入賞した場合に遊技者に払い出される賞球個数は、その構成については後述するが、普通電動役物13は6個の払い出しをし、天入賞口14、左入賞口17、右入賞口18、左下入賞口19及び右下入賞口20が10個、大入賞口21が15個である。左通過口15及び右通過口16は、図示しない普通図柄表示装置に普通図柄を変動表示させるものであり、一定の確率(本実施例では、1/10)で普通図柄として当たり図柄、例えば「7」等が表示されると普通電動役物13を約5秒間拡大開放する。また、大入賞口21は、特別図柄表示装置12に一定の確率(本実施例では、1/220)で大当たり図柄、例えば「777」等が表示されると、約30秒又は遊技球が10個入賞するまで開放される。
このとき、大入賞口21内の特定領域を遊技球が通過すると一旦閉鎖させられた後再び開放し、初回を含めて最大16回開放動作を繰り返す。従って、大当たり状態が発生すると、遊技者には、最大2400個(10×15×16)の遊技球が賞球として払い出される。この構成についても、後に詳述する。
パチンコ機10には、そのほか公知の上皿22、下皿23、発射ハンドル24及び大当たりランプ25等が設けられ、従来のフィーバー機と同様の構成とされている。
【0012】
パチンコ機10の裏側には、図2に示すように裏面左側に、遊技の制御を司る遊技制御基盤30、発射ハンドル24や賞球払出等の遊技機枠に係る制御を行う枠制御基盤31、遊技盤11と遊技制御基盤30との電気的中継を行う端子基盤32、裏面右側に賞球の払出を行う賞球払出部34、これら遊技制御基盤30、枠制御基盤31、賞球払出部33等に電源め供給を行う電源ターミナル基盤34等が備えられている。賞球払出部33は、遊技盤11上の各入賞口14〜21のいずれかに遊技球の入賞があった場合に、裏面上部の球タンクの遊技球を上皿22に払い出すためのものである。尚、上皿22が遊技球で一杯になったとき、溢れ球を下皿23に誘導する機構、いわゆる球抜き動作により遊技球を機外に排出する機構等は従来のものと同様の構造である。
【0013】
また、図3に示すように、遊技盤11の裏面には、遊技球集合盤40が備えられている。この遊技球集合盤40は、誘導樋41〜44から形成されている。誘導樋41は天入賞口14、右入賞口18及び右下入賞口20に入賞した遊技球を入賞球検知スイッチ45に、誘導樋42は左入賞口17及び左下入賞口19に入賞した遊技球を入賞球検知スイッチ46に、誘導樋43は普通電動役物13に入賞した遊技球を入賞球検知スイッチ47に、それぞれ誘導するためのものである。
また、大入賞口21に入賞した遊技球は、カウント検知スイッチ48又はカウント検知及び特定領域検知スイッチ49に誘導される。カウント検知及び特定領域検知スイッチ49は、大入賞口21内の特定領域を通過する遊技球を検出するためのものでもある。各検知スイッチ45〜49を通過する遊技球は、誘導樋44により公知のアウトロ50のアウト球誘導樋51に誘導された後、機外に排出される。本具体例では、各検知スイッチ45〜49は近接スイッチが用いられている。
【0014】
次に図4を用いてパチンコ機10の制御回路について説明することにする。
パチンコ機10の制御回路は、前述した遊技制御基盤30、枠制御基盤31、端子基盤32、電源ターミナル基盤34及び特別図柄表示装置12を制御するための特別図柄制御基盤54、更には前述した各検知スイッチ45〜49、遊技者が発射ハンドル24に触れていることを検出するタッチスイッチ55、遊技球の発射を一時的に停止する発射停止スイッチ56、前述の遊技盤11上の通過口15又は16を遊技球が通過したことを検出する左右普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ57、遊技球の発射強度を調整するポリュウムスイッチ58、各種ランプLED60、音量スイッチ61、普通電動役物13及び大入賞口21の開放動作を行うための各種ソレノイド62、公知のサウンドジェネレータ63、前述した賞球払出部33に備えられた賞球払出装置64及び発射装置制御基盤65等からなる。
【0015】
遊技制御基盤30には、パチンコ機10の制御回路の中枢となる主制御用のCPU70が備えられている。このCPU70には、CPU70の動作プログラム等を記憶しているROM71及びCPU70のワークエリア等となるRAM72が接続されており、CPU70は、ROM71に格納されているプログラムにしたがって、パチンコ機10の各部を制御することができる。
CPU70には、入出力ポート(I/O)73が接続されている。この入出力ポート73には、入力系として直接に前述の入賞球検知スイッチ45〜47、端子基盤32を介してカウント検知スイッチ48、カウント検知及び特定領域検知スイッチ49、タッチスイッチ55、発射停止スイッチ56、左右普通図柄作動ゲート通過検知スイッチ57及びボリュームスイッチ58等が接続され、また、出力系として枠制御基盤31を介して各種ランプLED60、音量スイッチ61、各種ソレノイド62、サウンドジェネレータ63、賞球払出装置64及び発射装置制御基盤65等が接続されている。
遊技制御基盤30には、更に前述の特別図柄制御基盤54が接続され、電源ターミナル基盤34から電源を供給されるよう構成されている。
【0016】
特別図柄制御基盤54は、図5に示すように、遊技制御基盤30と同様にCPU80を中心として、このCPU80、RAM81、ROM82及び入出力I/O83をパスにより相互に接続した論理演算回路として構成され、この他ビデオ信号を出力するVDP84、デジタル信号をアナログ信号に変換するD/A85及び液晶表示盤用出力I/O86等から構成され、更にRAM81に非常用の電源を供給するバッテリ87等から構成されている。液晶表示盤用出力I/O86には前述の液晶表示体である特別図柄表示装置12が接続されている。入出力I/O83には遊技制御基盤30が接続されている。
RAM81はCPU80のワークエリア等となり、ROM82にはCPU80の動作プログラムや画像データ等が格納されている。
【0017】
枠制御基盤31は、ROM及びRAMを内蔵した1チップマイコン90及び入出力I/O91を中心に、この他1チップマイコン90のRAMに非常用の電源を供給するバッテリ92等から構成されている。入出力I/O91には、遊技制御基盤30の他、各種ランプLED60、音量スイッチ61、各種ソレノイド62、サウンドジェネレータ63、賞球払出装置64及び発射装置制御基板65が接続されている。
本具体例では、遊技制御基盤30から枠制御基盤31及び特別図柄制御基盤54への通信は-方向のみとされ、枠制御基盤31又は特別図柄制御基盤54から遊技制御基盤30へは通信できない構成とされている。
【0018】
上記構成を有する本具体例のパチンコ機10は、遊技制御基盤30が中心として遊技者が発射する遊技球が第1種始動口である普通電動役物13に入賞すれば特別図柄制御基盤54が、特別図柄表示装置12に所定時間図柄を変動表示した後、遊技球が普通電動役物13に入賞したときのタイミングに従って選択された乱数の値に応じた図柄を静止表示する。このとき、静止表示された図柄が特定の図柄、例えば「777」等の特定図柄であれば公知の「大当たり」として大入賞口21を開放する処理を実行する。これらの処理は従来と同様なのでその詳細な説明は割愛する。
大当たり時に発射された遊技球が、大入賞口21に入賞した場合やその他の入賞口13〜14、17〜20に入賞した場合に遊技球が賞球として払い出されるが、これらの処理について詳細に説明する。
【0019】
図7に示す「入賞検出ルーチン」は、遊技制御基盤30のCPU70により実行される種々の処理のうち遊技球の入賞検出に関する処理のみを示したものである。CPU70により実行される処理が本ルーチンに移行すると、先ずタイマTがインクリメントされた後(ステップS100)、入賞検知スイッチ45〜47、カウント検知スイッチ48、カウント検知及び特定領域検知スイッチ49の入力状態がスキャンされる(ステップS110)。入賞球検知スイッチ45又は46に入力があるときは入賞記憶N1の値が、入賞球検知スイッチ47に入力があるときは入賞記憶N2の値が、カウント検知スイッチ48又は49に入力があるときは入賞記憶N3の値がそれぞれインクリメントされる(ステップS120)。この処理に続きタイマTの値がT1を超えるか否かが判定され(ステップS130)、T1を超えるとの肯定判断がなされると(ステップS130:YES)、入賞記憶N1〜N3の値が入出力I/F73を介して枠制御基盤31に送信された後(ステップS140)、タイマT及び入賞記憶N1〜N3の値が零クリアされ(ステップS150)、処理は「リターン」に抜ける。一方、タイマTの値がT1以下との否定判断がなされると(ステップS130:NO)、処理はそのまま「リターン」に抜ける。
本具体例では、ステップS140及びS150の処理が5秒毎に実行されるようT1の値が予め定められCPU70の処理に負担がかからないよう構成されているが、遊技に支障がない範囲内で適宜変更可能である。尚、タイマT及び入賞記憶N1〜N3の値は、電源投入時には零クリアされる。
【0020】
図8の通り、枠制御基盤31の1チップマイコン90は、遊技制御基盤30から入賞記憶N1〜N3の送信があれば受信し(ステップS200)、この受信した入賞記憶N1〜N3の値を入賞記憶M1〜M3の値にそれぞれ加算する処理を行い(ステップS210)、「リターン」に抜ける。この入賞記憶M1〜M3の値を記憶する1チップマイコン90内のRAMはバッテリ92によりバックアップされている。
図9の通り、入賞記憶があれば、換言すれば入賞記憶M1〜M3のいずれかの値が零でなければ、枠制御基盤31の1チップマイコン90は入賞記憶M1〜M3に応じて賞球の払出を行った後、入賞記憶M1〜M3の値をデクリメントし(ステップS250〜S270)、「リターン」に抜ける。これらの処理(ステップS250〜S270)は、入賞記憶M1〜M3の各値が零になるまで繰り返し実行される(S250:NO)。
本具体例においては、入賞記憶M1の値が「1」に対して賞球として遊技球が10個、入賞記憶M2の値が「1」に対して賞球として遊技球が6個、入賞記憶M3の値が「1」に対して賞球として遊技球が15個それぞれ払い出されるよう設定されている。換言すれば、遊技盤11上の天入賞口14、左右入賞口17〜18及び左右下入賞口19〜20に遊技球が1個入賞すれば賞球が10個、普通電動役物13に遊技球が1個入賞すれば賞球が6個、大入賞口21に遊技球が1個入賞すれば賞球が15個払い出される。
【0021】
尚、賞球の払出処理において、設定通りの個数が払い出されたか否かは賞球払出部33に設けられた遊技球検知スイッチで検出されており、払い出されない場合には賞球異常処理を行うのは従来の技術と同様である。また、図8〜図9に示す処理は、枠制御基盤31の1チップマイコン90により実行される処理のうち賞球払出に関する処理のみを記載したものであり、各種ランプLED60や発射装置制御基盤65等の制御は図示しない他のルーチンにより公知の技術で処理されている。
【0022】
本具体例によれば、従来より行われている入賞球を証拠球として一旦セーフ球タンクに貯留し、証拠球1個に対し予め定められた遊技球を賞球として払い出す構成とは異なり、入賞球を全く貯留しない。これにより、セーフ球タンクを無くすことができ入賞球をアウト球と-緒に機外に排出する構成とすることができ、パチンコ機10の構成を簡易コンパクトにすることができるという優れた効果を有する。また、入賞球の個数は枠制御基盤31の1チップマイコン90内に記憶される構成であるため、遊技制御基盤30の状態に係わりなく賞球が行われる。これにより、遊技制御基盤30のCPU70が例え暴走したり、瞬停により電源が供給されなくなっても枠制御基盤31は好適に賞球の払出処理を実行することができるという極めて優れた効果も奏する。更に、枠制御基盤31の1チップマイコン90内のRAMはバッテリ92によりバックアップされているので、枠制御基盤31に瞬停等により電源が供給されなくなっても証拠球として好適に記憶することができ、これにより遊技者に損失を与えないという極めて優れた効果も有する。
尚、枠制御基盤31の1チップマイコン90が静電気等により暴走した場合には、ウォッチドッグ回路によりリセットをかけ、このときRAMの入賞記憶M1〜M3の前後に記憶された値、例えば「55H」又は「AAH」が値を変えていなければ入賞記憶M1〜M3の値が正常と判断して処理し、値を変更していれば入賞記憶M1〜M3の値が異常と判断して零クリアする構成としても良い。
【0023】
次に図10及び図11を用いて本発明の第2の具体例について説明する。
第2の具体例では、図6に示す枠制御基盤31として図10に示す枠制御基盤31を用い、図7〜図9に示す処理の他に図11に示す処理を追加実行するものであり、その他の構成は第1の具体例と同様である。
第2の具体例では、図10の通り、枠制御基盤31には、第1の具体例で示した各種ランプLED60、音量スイッチ61、各種ソレノイド62、サウンドジェネレータ63、賞球払出装置64、発射装置制御基盤65の他に賞球個数表示LED95及びリセット釦96が接続されている。
【0024】
図11の通り、第2の具体例では、第1の具体例と同様に入賞記憶M1〜M3に基づき賞球の払出が実行されるが、その他まず入賞記憶M1〜M3の値に基づき賞球個数Hが算出される(ステップS300)。具体的に説明すると、入賞記憶M1の値に10が乗算された値と、入賞記憶M2の値に6が乗算された値と、入賞記憶M3の値に15が乗算された値とが合計された値が賞球個数Hとされる。この値Hは賞球個数表示LED95に出力され表示される(ステップS310)。これにより、遊技者は未だ払い出されていない賞球の個数を知ることができる。
次にパワーオンリセット信号が有るか否か、タッチスイッチ55がオンか否かが続いて判断される(ステップS320〜S330)。パワーオンリセット信号がないと否定判断されたときは(ステップS320:NO)、正常時であり処理はそのまま「リターン」に抜ける。パワーオンリセット信号が有り、かつタッチスイッチ55がオンとの肯定判断が共にされたときは突発的な瞬停時であり(ステップS320及びS330:YES)、リセット釦96が押下されるまで発射装置制御基盤65を制御して遊技球の発射を停止し異常ランプを点灯させる等の異常処理が実行される(ステップS340〜S350のループ処理)。リセット釦96が押下されれば(ステップS350:YES)、メモリの値はクリアされた後に(S360)、処理は「リターン」に抜ける。一方、パワーオンリセット信号が有り、かつタッチスイッチ55がオフのときは(ステップS320:YES、S330:NO)、電源投入時と判断されメモリの値はクリアされ(ステップS360)、処理は「リターン」に抜ける。
【0025】
一般的なマイコン回路では電源投入時及び瞬停時にもリセット信号が出力されるが、電源投入時には遊技者は発射ハンドル24に触れていない。本具体例では、このことに着目しステップS320及びステップS330の処理により電源投入時と瞬停時とを区別する構成としそれぞれの場合で実行される処理を異なるものとしているのである。尚、遊技者が一瞬発射ハンドル24を離したとき瞬停が発生する場合も有るが、この場合を考慮してタッチスイッチ55が所定時間(1〜2分間が好ましい)オンしているか否かを判断する構成とすれば良い。
【0026】
第2の具体例では、賞球払出処理に関し瞬停時には入賞記憶M1〜M3に基づき賞球処理は実行されないが、バッテリバックアップされた入賞記憶M1〜M3に基づき未だ払い出されていない賞球個数Hが表示されたまま残る。
これにより、未だ払い出されていない賞球をパチンコホールの店員により遊技者に損失補填され得るという効果を奏する。バッテリバックアップされた入賞記憶M1〜M3に基づき自動的に賞球の払い出しをしないということは次の理由による。
賞球個数Hをバッテリバックアップする構成は、この記憶した値を不正に書き換え異常に賞球を払い出すことにも成りかねない。本具体例では、入賞記憶M1〜M3に基づきただ単に賞球個数Hを表示するのみに留めたので、店員が遊技の状況から瞬停により未だ払い出されない賞球個数Hが残ったのか、不正により賞球個数Hを書き換えたのか判断する余地を残したのである。
【0027】
【0028】
以上、本発明の具体例を2例挙げて説明したが本発明は上記具体例に何等制限されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲で種々変更可能なことは言うまでもない。例えば、上記具体例では入賞口の払出個数の相違に従って誘導樋41〜43により入賞球を誘導し入賞球検知スイッチにより検知する構成としたが、各入賞口それぞれに入賞球検知スイッチを設け、賞球個数の相違に従って入賞球の個数を集計する構成とする。これにより、誘導樋41〜43が不必要になるという効果を有する他、各入賞口に入賞する遊技球の個数を入賞口毎に集計することもできる。
【0029】
【発明の効果】
本発明によれば、従来のようにセーフ球タンクを設けることなく、しかも遊技者に不測の不利益を与えることなく、更に不正遊技を未然に防止し、入賞球を1個1個動力で区切らないので高速の賞球払い出し動作を好適に実行することができるという極めて優れた効果を奏する。
【図面の簡単な説明】
【図1】 本具体例のパチンコ機の正面図である。
【図2】 本具体例のパチンコ機の裏面図である
【図3】 本具体例の遊技盤11の裏面図である
【図4】 本具体例のパチンコ機の電気回路を示すブロック図である。
【図5】 本具体例の特別図柄制御基盤54の構成を示すブロック図である。
【図6】 本具体例の枠制御基盤31の構成を示すブロック図である。
【図7】 本具体例の遊技制御基盤30のCPU70により実行される「入賞検出ルーチン」の処理を示すフローチャートである。
【図8】 本具体例の枠制御基盤31の1チップマイコン90により実行される「入賞データ受信ルーチン」の処理を示すフローチャートである。
【図9】 本具体例の枠制御基盤31の1チップマイコン90により実行される「賞球払出ルーチン」の処理を示すフローチャートである。
【図10】 本第2の具体例の枠制御基盤31の構成を示すブロック図である。
【図11】 本第2の具体例の枠制御基盤31の1チップマイコン90により実行される「賞球個数表示ルーチン」の処理を示すフローチャートである。
【図12】 従来の遊技盤の構成を示す裏面図である。
【符号の説明】
10・・・パチンコ機、11・・・遊技盤、12・・・特別図柄表示装置、
13・・・普通電動役物、14・・・天入賞口、17・・・左入賞口、
18・・・右入賞口、19・・・左下入賞口、20・・・右下入賞口、
21・・・大入賞口、30・・・遊技制御基盤、31・・・枠制御基盤、
32・・・端子基盤、33・・・賞球払出部、34・・・電源ターミナル基盤、
40・・・集合盤、41,42,43,44・・・誘導樋、
45〜47・・・入賞球検知スイッチ、48・・・カウント検知スイッチ、カウント検知及び特定領域検知スイッチ49、
50・・・アウト口、70,80・・・CPU、87,92・・・バッテリ、
90・・・1チップマイコン、95・・・賞球個数表示LED、
96・・・リセット釦、98・・・セーフ球タンク、
99・・・メカスイッチ
【図面】

 
訂正の要旨 審決(決定)の【理由】欄参照。
異議決定日 2004-03-25 
出願番号 特願平11-246817
審決分類 P 1 651・ 121- ZA (A63F)
最終処分 取消  
前審関与審査官 ▲吉▼川 康史  
特許庁審判長 二宮 千久
特許庁審判官 渡戸 正義
鉄 豊郎
登録日 2002-09-27 
登録番号 特許第3354525号(P3354525)
権利者 株式会社高尾
発明の名称 弾球遊技機  
代理人 尾崎 隆弘  
代理人 尾崎 隆弘  

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